第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当期の世界経済は、米国景気は堅調な個人消費や住宅市場が下支えし、緩やかに回復した。欧州景気は緊縮的な財政政策、高水準の失業率、弱い南欧経済などが下押し要因となった。新興国経済は緩やかに減速した。

わが国経済は、政府や日本銀行の経済・金融政策の効果もあり、企業収益・設備投資に改善がみられ、景気は緩やかな回復傾向となった。特に個人消費は、消費税率引き上げ前の駆け込み需要もあり、堅調に推移した。

このような事業環境のもと、当社グループは、平成27年度を目標年度とする戦略経営計画“FUSION15(フュージョン・フィフティーン)”の中間年となる平成25年のグループ年頭方針を「これまでの歩みと可能性を信じて、挑戦に次ぐ挑戦を」と定め、国内空調市場での拡販、中国・アジアをはじめとする新興国事業の拡大、北米事業基盤の強化など、さらなる成長に向けた取り組みを推進した。また、収益力の抜本的強化に向けて全社一丸となって取り組んできた。

当期の業績については、主力の空調・冷凍機事業では、国内・中国・アジア等の地域での販売が堅調に推移したことに加え、円安による円貨換算額の増加もあり、増収・増益となった。また、平成24年11月に買収した米国グッドマン社の売上高・利益を第1四半期から新規連結したことによる寄与もあった。これらの結果、連結売上高は過去最高となる1兆7,830億77百万円(前期比38.1%増)となった。各利益も過去最高益を更新し、連結営業利益は1,550億75百万円(前期比75.0%増)、連結経常利益は1,541億8百万円(前期比63.7%増)となった。連結当期純利益は、投資有価証券評価損計上額が前期から大幅に減少したこともあり、918億80百万円(前期比110.8%増)と大きく増加した。

当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、営業活動では、税金等調整前当期純利益の増加等により、前連結会計年度に比べ765億52百万円増加し、1,797億13百万円のキャッシュの増加となった。投資活動では、前連結会計年度にグッドマン社株式の取得による支出があったこと等により、前連結会計年度に比べて減少幅が1,375億51百万円減少し、808億34百万円のキャッシュの減少となった。財務活動では、前連結会計年度にグッドマン社の買収資金としての長期借入れによる収入の増加及び社債の発行による収入があったこと等により、前連結会計年度に比べて1,817億69百万円減少し、382億49百万円のキャッシュの減少となった。この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ717億24百万円増加し、2,572億95百万円となった。

また、有利子負債については、短期借入金の減少等により、前連結会計年度に比べて119億27百万円減少し、6,939億43百万円となり、有利子負債比率(有利子負債/総資産)は、40.7%から34.5%へ減少した。

 

セグメントごとの業績を示すと、次のとおりである。

 

①  空調・冷凍機事業

空調・冷凍機事業セグメント合計の売上高は、前期比42.2%増の1兆5,928億85百万円となった。営業利益は、前期比95.3%増の1,384億77百万円となった。

国内業務用空調機器では、消費税率引き上げ前の駆け込み需要と建築着工件数の増加により、業界需要は堅調に推移した。当社グループは、業務用空調機器として初めて新冷媒HFC32(R32)を採用した店舗・オフィス用エアコン『FIVE STAR ZEAS(ファイブスタージアス)』を11月に発売した。平成25年度省エネ大賞資源エネルギー庁長官賞を受賞した本商品を中心に、優れた省エネ性と環境性を訴求する高付加価値商品の販売拡大に取り組んだ結果、売上高は前期を上回った。

国内住宅用空調機器では、天候に恵まれたことに加え、消費税率引き上げ前の駆け込み需要と住宅着工件数の増加により、業界需要は過去最高水準を記録した。当社グループは、ルームエアコン『うるさら7(セブン)』を中心とした省エネ商品を重点に販売を伸ばした結果、売上高は前期を上回った。

 

欧州地域では、EU経済に復調の兆しがみられたことや新興市場の比較的堅調な需要に支えられ、地域全体の売上高は前期を上回った。住宅用空調機器は、欧州市場向けの低価格帯のルームエアコンの販売を強化したことや、新興市場のトルコでの拡販により、前期を上回る販売を達成した。業務用空調機器は、EU域の建築需要の底打ちに加え、新興市場での価格競争力ある店舗用エアコンの商品展開や、トルコでのビル用マルチエアコンの拡販により、地域全体では前期を上回る販売量を確保した。ヒートポンプ式住宅温水暖房機器では、主力市場のフランスで前期を下回ったが、中欧・イタリア・スペインなどでの販売店開発が進展し、地域全体では前期を上回る販売量を確保した。

中国地域では、金融引締め政策の影響などにより、新規の大型投資・不動産物件は減少したが、一般消費は引き続き堅調に推移した。当社グループは早くから小売・街売重点に販売をシフトし、一般消費に注力してきたことから、景気の販売への影響も少なく、業務用・住宅用空調機器ともに売上高は前期を上回った。平成25年は全製品のフルモデルチェンジを行い、業務用を中心に差別化を加速するとともに、あわせて地方都市向け商品の品揃えを強化し、中国全土に販売網を広げた。なかでも、当社グループの専売小売販売網である「プロショップ」の展開により、地域密着型の販売と新規顧客の開拓を進め、ルームエアコンにマルチエアコンを加えた商品戦略で、住宅市場でのシェアを拡大した。また、環境と空気質への関心の高まりにより、年々市場拡大を続けている空気清浄機の販売も、伸長した。大型空調(アプライド)分野は、新築ビル・政府物件などの伸びが鈍化する中、民間物件を中心にチラーやエアハンドリングユニット等の機器の拡販及び保守・サービス事業の拡大により、売上高は増加した。

アジア・オセアニア地域では、タイでは景気減速と政情不安影響により住宅用販売が低迷し、売上高は前期並みにとどまったが、オーストラリア・シンガポール・マレーシアでの販売が堅調に推移した。また、インド・ベトナム・インドネシアなど販売網構築を進めてきた新興国では、住宅用・業務用空調機器ともに、前期比2桁増の売上高となった。これらの結果、地域全体での売上高は前期を大きく上回った。

北米地域のアプライド分野では、非住宅市場の建築着工が回復傾向にある一方、業界受注は依然厳しい状況の中、販売店網強化による機器拡販、アフターサービス事業の拡大、中南米への好調な輸出により、売上高は前期を上回った。住宅用では、住宅着工の回復とともに住宅用空調機器の出荷が好調に推移した。また、業務用では建築市場の回復を背景に、特に学校向けや政府関係物件で堅実に受注を確保し、売上高は前期を上回った。地域全体の売上高は、グッドマン社を新規に連結した効果もあり、前期比で大きく増加した。

舶用事業では、海上コンテナ冷凍装置の販売台数がアジア地域を中心に増加したことにより、売上高は前期を上回った。

 

②  化学事業

化学事業セグメント合計では、円安によるプラス効果がある一方、供給増を背景とした需給バランス悪化にともなう価格下落の影響があり、売上高は前期比12.7%増の1,401億77百万円となった。営業利益は、前期比14.0%減の141億89百万円となった。

フッ素樹脂は、中国では鉄道・通信を中心とするインフラ投資の改善や、自動車関係の需要が好調であったことから、売上高は前期を上回った。米国ではLAN電線用途の需要が伸びない中で、自動車・航空機向け等の需要が比較的堅調であったことから、売上高は前期を上回った。国内需要については半導体や自動車分野での回復の兆しがあるものの、売上高は前期を若干下回った。また、フッ素ゴムについては、中国など海外での自動車を中心とする需要が堅調であったため、売上高は前期を上回った。これらの結果、フッ素樹脂全体での売上高は、前期を上回った。

化成品は、撥水撥油剤については、国内の需要が落ち込む一方、中国での衣料用途向け等の需要回復により、売上高は前期を上回った。また、タッチパネル等に用いられる表面防汚コーティング剤は新たな用途開発を進めるものの、既存需要の落ち込みにより売上高が減少した。また、その他の化成品分野でも半導体用のエッチング剤等で需要に好転がみられないことから、売上高は前期並みとなった。化成品全体での売上高は、撥水撥油剤の海外での販売が牽引し、前期を上回った。

フルオロカーボンガスについては、国内外での需要に大きな変化がみられなかったことから、売上高は前期並みとなった。

 

 

③  その他事業

その他事業セグメント合計の売上高は、前期比7.6%増の500億14百万円となった。営業利益は、前期比96.4%増の24億13百万円となった。

産業機械用油圧機器は、国内及び米国市場が堅調に推移し、売上高は前期を上回った。建機・車両用油圧機器は、国内主要顧客の国内需要及び海外向け需要とも堅調に推移し、売上高は前期を上回った。

特機部門では、防衛省向け砲弾・誘導弾用部品の受注減少により、売上高は前期を下回った。在宅酸素医療用機器については販売が好調に推移した。

電子システム事業では、IT投資が緩やかに回復しつつある中、設計開発分野向けデータベースシステムの販売を伸ばした。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

空調・冷凍機事業

1,185,684

45.5

化学事業

126,344

11.7

その他事業

45,519

7.9

合計

1,357,548

39.9

 

(注) 1  金額は販売価格による。

2  上記の金額には、消費税等は含まれていない。

 

(2) 受注状況

当社グループの製品は、大部分見込み生産であるため、受注高及び受注残高の記載は省略した。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

空調・冷凍機事業

1,592,885

42.2

化学事業

140,177

12.7

その他事業

50,014

7.6

合計

1,783,077

38.1

 

(注) 1  セグメント間の取引については相殺消去している。

2  いずれの相手先についても総販売実績に対する割合が100分の10未満のため、相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合の記載を省略した。

3  上記の金額には、消費税等は含まれていない。

 

 

3 【対処すべき課題】

今後の世界経済については、米国は民需を中心に景気回復ペースが加速するほか、欧州景気も底入れの兆しがみられる。新興国経済は中国、インドを中心に緩やかな減速傾向をたどる見通しである。

わが国経済は、消費税率引き上げにともなう駆け込み需要の反動により、一時的に減速するが、政府の経済対策、輸出の回復が下支えし、緩慢ながらも景気拡大を維持する見通しである。

このような事業環境のもと、当社では、昨年策定した“FUSION15後半3ヵ年計画”を柱に、本年(平成26年)のグループ年頭方針を「グループの総力を結集し、今こそやり抜こう」と定め、環境変化に対する柔軟かつ迅速な対応で、中長期の発展と短期の収益確保の両立を図っていく。

具体的には、中国をはじめ各地域での販売網拡大や新市場開拓など販売力の抜本的強化による大拡販、サービスや保守メンテナンス事業強化によるソリューション事業の構築、次世代冷媒開発や暖房事業展開などの環境イノベーション事業の拡大など、成長戦略の実行に邁進する。同時に、投資の厳選、経費や間接部門の効率化による固定費の抜本的削減など、収益力ある事業構造の確立に向けた施策を推進していく。また、品質・コンプライアンスの向上、人材力の強化などに努め、持続的な成長の実現に向けた企業体質の構築に取り組んでいく所存である。

 

《株式会社の支配に関する基本方針》

当社は、平成18年5月10日開催の取締役会において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(会社法施行規則第118条第3号)である「ダイキン・シェアホルダー・リレーションシップ・ポリシー(DAIKIN Shareholder Relationship Policy)」(以下「DSRポリシー」という。)、ならびにこの基本方針を実現するための特別の取り組み(同条同号ロ(1))について決定した。

DSRポリシーは、当社株式を大量買付する者が現れた場合において、株主のみなさまに十分な情報提供を行うことを目的として当社独自の対応方針を定めたものである。新株予約権や新株の割当てを用いた対抗策は想定しておらず、当社から独立した第三者メンバーで構成された独立委員会が、買付者に対して買付目的や経営方針などの情報提供を求め、内容を十分に検討した上で、一定期間内に株主のみなさまに意見を表明する。株主のみなさまは、独立委員会が表明した意見を参考にしたうえで、それぞれご判断いただくことができる内容になっている。

当社は、この対応方針の在り方について、一定期間ごとに見直しているが、昨今の市場環境を鑑みると、DSRポリシーを保持することは重要であると考えている。このような理由から、当社は、平成24年5月10日開催の取締役会において、DSRポリシーの更新について決定した。

 

(1) 基本方針の内容

当社は、冷媒と空調機器を併せ持つ世界唯一の空調メーカーとして、長年にわたり培ってきた「空調」と「化学」の技術を根幹とする新しい豊かさの創造を通じて、企業価値・株主共同の利益の確保・向上に取り組んでいる。

空調事業・化学事業等において一段と激化する競争の中にあって、当社グループが持続的な成長を実現していくためには、従来型の発想・取り組みに拘泥することなく、技術革新を核とした新たな需要・市場創造に積極的に挑戦していく姿勢が必要不可欠である。そして、こうした革新・挑戦を担うのは、当社が培ってきた「人を基軸においた経営」の下での強いチームワークをはじめとした人と組織の力である。当社は、「最高の信用」「進取の経営」「明朗な人の和」という社是の下、平成14年8月に策定した「グループ経営理念」に基づく思考と行動を徹底しており、これまでの当社グループの発展は、こうした経営理念や従業員と経営陣との深い信頼関係を背景とした強力な人材力にその基礎を置くものである。

 

加えて、当社グループが中長期的視野に立って飛躍的な成長を維持していくためには、より一層のグローバル化が今後必要不可欠である。こうしたグローバル化のためには、世界各地における強力な生産拠点網・販売網の構築が不可欠であり、それを推進する企業文化を保持していく必要がある。また、環境や社会との共生を図りつつ、真のグローバル企業としての信頼と認知を高めていくことで、世界各地における顧客・取引先・従業員等といった様々なステークホルダーとの信頼関係を維持していくことも、極めて重要である。このように、当社の企業価値は、これまで当社が培ってきた有形無形の財産にその源泉を有するものということができる。

これら当社の企業価値の源泉が、当社の財務及び事業の方針の決定を支配することとなる大量買付を行う者の下においても、中長期的に確保され、向上させられるのでなければ、当社の企業価値・株主共同の利益は毀損されることになる。したがって、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれが、株式の大量買付を行う者の目的等から認められる場合には、そうした大量買付行為は不適切であると考える。

さらに、株式の大量買付行為の中には、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるものや、対象会社の取締役会や株主が買付の条件等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買付者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買付者との交渉を必要とするもの等、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものもある。当社は、これらの大量買付行為も不適切なものであると考える。

当社は、当社の企業価値・株主共同の利益を確保・向上させる大量買付行為であるか否かについて、株主がその提案やそれに対する当社の現経営陣の経営方針等について十分な情報を得た上で、適切な判断を下すこと(インフォームド・ジャッジメント)を好ましいと考える反面、以上のように、当社の企業価値・株主共同の利益に反するおそれのある大量買付や株主による適切な判断が困難な方法で大量買付を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないと考える。当社取締役会は、こうした考え方を、会社法施行規則第118条第3号の基本方針と位置付け、DSRポリシーとして決定した。

 

(2) 基本方針を実現するための当社の取り組み

当社は、上記の基本方針の実現に資する特別な取り組みとして、戦略経営計画“FUSION15(フュージョン・フィフティーン)”を策定し、企業価値の持続的な向上の実現を目指すとともに、当社株式について大量買付行為がなされた際にそれに対する評価が透明性・客観性をもって行われ、国内外の株主や投資者に適切に開示がなされるよう確保していくことが重要であると考えている。

 

①  戦略経営計画“FUSION15”の実行による企業価値の向上の取り組み

「真のグローバルエクセレント企業」の実現をめざす“FUSION15”では、そのテーマを「パラダイムシフトの時代を勝ち抜く成長シナリオ」と位置づけ、『時代の変化を成長として取り込む「新成長戦略4テーマ」』、『新たな時代を勝ち抜くための「経営体質革新4テーマ」』、『人を基軸に置いた経営を基盤として「人材力の強化を図る3テーマ」』、の「全社コア戦略11テーマ」を定めている。
  これらのテーマの着実な遂行にグループの総力を挙げて取り組むことこそが、当社企業価値の最大化、ひいては株主のみなさまの利益を一層向上させることにつながると考えている。

 

②  大量買付行為についての評価の客観性・透明性を確保する取り組み

(a) 手続きの概要

当社は、当社株式に対する大量買付行為が行われるに際して、これに先立ち、独立性の高い当社社外取締役等からなる独立委員会が、情報収集、その検討及び株主に対する意思表明を行うことが適切であると判断し、そのための手続き(以下「DSRルール」という。)を設定している。

 

 

(b) 手続きの内容

(i) DSRルールの適用対象

DSRルールは、以下①または②に該当する当社株券等の買付もしくはこれに類似する行為またはその提案(以下、併せて「買付等」という。)がなされる場合に適用される。①または②に該当する買付等を行おうとする者(以下「買付者等」という。)には、あらかじめDSRルールに従っていただくこととする。

① 当社が発行者である株券等について、保有者の株券等保有割合が20%以上となる買付

② 当社が発行者である株券等について、公開買付に係る株券等の所有割合及びその特別関係者の株券等所有割合の合計が20%以上となる公開買付

(ii) 独立委員会

当社は、DSRルールにしたがった手続きの進行にあたり買付者がDSRポリシーに照らして不適切な者でないか否かを客観的に判断するための組織として、当社経営陣からの独立性の高い社外取締役等で構成される独立委員会を設置する。独立委員会は、買付者等に対する事前の情報提供の要求、買付等の内容の検討・判断、買付等に対する意見の表明等を行うことを予定しており、これにより当社大量買付行為に関する手続きの客観性・合理性・透明性を高めることを目的としている。独立委員会は、上記(i)に定める買付等が判明した後、速やかに招集されるものとする。

 

(iii) DSRルールの内容

ア  必要情報の提供

独立委員会は、当社取締役会の同意を得ることなく上記(i)に定める買付等を行う買付者等に対し、買付等の実行に先立ち、当社に対して、当該買付等の内容の検討に必要な情報(以下「本必要情報」という。)を提出していただくよう要請する。独立委員会は、合理的な範囲で期限を定めて追加的に情報提供を求めるが、DSRルールの適用対象となる当社株券等の買付、もしくはこれに類似する行為またはその提案があった日から起算して、最長60日間を超えないものとする。

 

イ  買付等の内容の検討・買付者等との交渉・代替案の提示

独立委員会は、買付者等から本必要情報が全て提出された場合、当社取締役会に対しても、独立委員会が定める期間内に買付者等の買付等の内容に対する意見(これを留保する旨の意見を含むものとする。)及びその根拠資料、代替案(もしあれば)その他独立委員会が適宜必要と認める情報を提示するよう要求することができる。また、独立委員会は、適宜必要と判断した場合には、当社の従業員、労働組合、取引先、顧客等の利害関係者に対しても、意見を求める。

独立委員会は、買付者等及び(当社取締役会に対して上記のとおり情報の提示を要求した場合には)当社取締役会から情報を受領してから最長60日間が経過するまでの間(ただし、独立委員会は、下記ウに記載するところにしたがい、これらの期間を最長30日間延長することができるものとする。以下「検討期間」という。)、買付等の内容の検討、当社取締役会による代替案の検討、買付者等と当社取締役会の事業計画等に関する情報収集・比較検討等を行う。

独立委員会の判断が、企業価値ひいては株主共同の利益に資するようになされることを確保するために、独立委員会は、当社の費用で、独立した第三者(ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家を含む。)の助言を得ることができるものとする。

また、独立委員会は、買付者等から本必要情報が提出された事実、及び、本必要情報その他の情報のうち独立委員会が適切と判断する事項について、独立委員会が適切と判断する時点で、株主のみなさまに対する情報開示を行う。

 

 

ウ  独立委員会による意見等の開示

独立委員会は、上記イの検討期間を経た上、買付者等による買付等が、以下にしめす不適切な買付等に係る要件のいずれかに該当するか否かについて判断するものとし、その結果、及びその理由その他当該買付等に関する株主の判断に資すると判断する情報を、株主のみなさまに対し情報開示するものとする。

 

(不適切な買付等の要件)

①DSRルールを遵守しない買付等である場合

②下記に掲げる行為等により、当社の企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれのある買付等である場合

・株券等を買い占め、その株券等について当社に対して高値で買取りを要求する行為

・当社の経営を一時的に支配して、当社の重要な資産等を廉価に取得する等当社の犠牲の下に買付者等の利益を実現する経営を行うような行為

・当社の資産を買付者等やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する行為

・当社の経営を一時的に支配して、当社の事業に当面関係していない高額資産等を処分させ、その処分利益をもって、一時的な高配当をさせるか、一時的高配当による株価の急上昇の機会を狙って高値で売り抜ける行為

③強圧的二段階買付(最初の買付で全株式の買付を勧誘することなく、二段階目の買付条件を不利に設定し、あるいは明確にしないで、公開買付等の株式買付を行うことをいう。)等、株主に株券等の売却を事実上強要するおそれのある買付等である場合

④買付等の条件(対価の価額・種類、買付等の時期、買付等の方法の適法性、買付等の実行の蓋然性等を含む。)が当社の企業価値及び株主共同の利益に鑑み不十分または不適当な買付等である場合

 

他方、独立委員会は、当初の検討期間終了時までに、上記の判断を行うに至らない場合には、その旨を情報開示した上で、買付等の内容の検討等に必要とされる範囲内で、検討期間を最長30日間延長することもできることとする。

 

(ⅳ) DSRルールの改廃等

DSRルールは、平成24年7月1日より発効することとし、有効期間は3年間とする。ただし、当社は、有効期間中であっても、DSRルールについて随時、再検討を行い、見直すことがあるものとする。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがある。

なお、以下に記載の内容は、当連結会計年度末現在において判断したものである。

 

(1) 主要市場での政治・経済状況及び製品需給の急激な変動

当社グループは、全世界で商品やサービスを提供しており、日本、欧米、中国を含むアジア地域などの市場における政治・経済動向が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

特に、ヨーロッパにおける新たな空調機器の生産拠点の設立や代理店買収、中国においても生産・販売会社を設立するなど海外での積極的な事業展開を図っており、各地域における経済状況の悪化、素材価格の高騰によるコストの上昇や競合他社との競争激化等、事業環境の変化により業績に影響を及ぼす可能性がある。

また米国において、当社は、平成24年11月1日(米国現地時間)にグッドマン社(グッドマン グローバル グループ インク  本社:米国テキサス州ヒューストン市)の買収に関する全ての手続きを完了した。なお、本件買収にかかる買収価額(グッドマン社の借入の借換分を含む)は37億ドルであった。

本件の買収により、米国の住宅用空調・業務用空調市場に対して、グッドマン社の最大規模の販売網に当社の環境技術を融合した環境先進商品を投入し、北米空調市場において新たな潮流を起こすことで環境貢献と事業拡大の両立を図る。さらに、グッドマン社の持つローコスト経営ノウハウを、新興国・ボリュームゾーンの市場に展開するとともに、先進国を含めたグループ全体の収益体質の改革に取り組むことで、一層の競争力向上を図るが、その進捗状況によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

 

(2) 冷夏及び天候不順に伴う空調需要の変動

当社グループの事業内容は、空調・冷凍機事業が連結売上高の89.3%を占めていることから、世界の主要マーケットでの気象情報や需要動向の把握に努めるとともに、その変化に対して影響を最小限にとどめるべくフレキシブルな生産方式や販売政策を採っているが、冷夏及び天候不順に伴う空調需要の変動の大きさによっては業績に影響を及ぼす可能性がある。

 

(3) 為替相場の大幅な変動

当社グループの連結売上高に占める海外売上高の割合は平成26年3月期71.2%であり、今後もグローバル展開の加速により、海外売上高の割合がさらに増加する見込みである。連結財務諸表の作成にあたっては、各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目を円換算している。従って、換算時の為替レートにより、これらの項目は、各地域の現地通貨における価値が変わらなかったとしても円換算後の価値が影響を受けることになる。また、部材の調達、商品やサービスについて外貨建てで取引しているものもあり、為替動向によって製造コストや売上高に影響する可能性がある。当社グループでは、これらの為替リスクを回避するため、短期的には為替予約等によりリスクヘッジを行っており、中長期的には為替変動に連動した最適調達・生産分担の構築、通貨毎の輸出入バランス化等により為替変動に左右されない体質の実現に取り組んでいるが、これにより当該リスクを完全に回避できるものではない。

 

(4) 重大な品質クレーム

当社グループでは国内外を問わず生産する全ての商品について、万全の品質管理に努めている。

新商品の開発については、設計・生産技術・購買・サプライヤーを開発の前段階から巻き込んだ四位一体となった同時並行の協業展開へとプロセスの革新を進め、品質、コスト、さらには開発スピードの革新を図っている。また、予期せぬ品質クレームに備え賠償保険に加入しているが、重大な品質クレームが発生した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

 

(5) 重大な生産トラブル

当社グループでは国内外を問わず全ての工場の設備の予防保全に努めるとともに、特に化学事業については、設備の安全審査、保安管理体制等の強化を図っている。また、生産トラブルに関しては、設備の損傷や逸失利益のための保険に加入しているが、重大な生産トラブルが発生した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

 

 

(6) 保有する有価証券の時価の大幅な変動

当社グループの保有する有価証券は、主に取引先との相互の事業拡大や取引関係の強化のために保有しているものであるが、株式市況の動向や取引先の経営破綻等によって当社グループの業績に影響する可能性がある。

 

(7) 固定資産の減損

当社グループは、事業用の資産や企業買収の際に生じるのれんなど様々な有形・無形の固定資産を計上している。これらの資産については、今後の業績動向や時価の下落等によって、期待されるキャッシュ・フローを生み出さない状況により、減損処理が必要となる場合がある。これらの処理が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

 

(8) 自然災害

地震・台風等の自然災害が発生した場合、当社グループの生産、販売、物流拠点に影響が出ることで、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

提出会社

(1) 相互技術援助契約

 

相手先

国名

契約内容

契約期間

イー  アイ  デュポン  デ  ニモアス  アンド  カンパニー  インク

アメリカ合衆国

HFC混合冷媒の組成に関する特許のクロスライセンス

自  平成9年2月5日
至  対象特許の最終満了日

ハネウェル  インターナショナル  インク

アメリカ合衆国

HFC混合冷媒の組成に関する特許のクロスライセンス

自  平成10年12月28日
至  対象特許の最終満了日

 

 

(2) 業務提携契約

 

相手先

国名

契約内容

契約期間

パナソニック㈱

日本

空調事業の下記分野に関する提携についての基本合意

①生産  ②開発  ③購買  ④圧縮機  ⑤リサイクル  ⑥その他

自  平成11年11月22日

至  平成27年11月21日

 

 

(3) 合弁契約

 

相手先

国名

契約内容

契約期間

アルケマ アジア エスエイエス

フランス共和国

HFC125の製造・販売に関する合弁契約

自  平成19年8月1日
至  合弁会社設立から50年後

アルケマ チャイナ インベストメント カンパニー リミテッド

中華人民共和国

アルケマ アジア エスエイエス

フランス共和国

新冷媒の販売に関する合弁契約

自  平成19年8月1日
至  合弁会社設立から50年後

中蛍集団有限公司

中華人民共和国

無水フッ酸の製造・販売に関する合弁契約

自  平成19年8月14日
至  合弁会社設立から50年後

珠海格力電器股有限公司

中華人民共和国

空調機用基幹部品の製造・販売に関する合弁契約

自  平成21年2月18日
至  合弁会社設立から20年後

珠海格力電器股有限公司

中華人民共和国

金型の製造・販売に関する合弁契約

自  平成21年2月18日
至  合弁会社設立から20年後

ダンフォス パワー ソリューションズ インク

アメリカ合衆国

建機車両用油圧機器の製造・販売に関する合弁契約

自  平成24年10月30日
至  定めなし

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、世界規模での地球温暖化への関心の高まりを受け、地球環境問題に対して積極的に貢献し事業拡大するべく、先端的な研究開発に取り組んでいる。

環境技術研究所では、空調におけるヒートポンプ技術、インバータ技術に加え、環境建築・再生可能エネルギー領域、材料加工領域での新商品開発に取り組んでいる。また、公的機関、大学などと協同で、代替冷媒の開発をはじめ新たな環境テーマにも取り組んでいる。

ソリューション商品開発センターでは、最先端のIT(情報技術)活用により、空調制御システムの開発と、空調を軸とした省エネソリューションビジネスの研究を行っている。

化学事業では、化学研究開発センターが、化学事業部と一体となり、フッ素の新たな用途開発や、高機能材料、環境社会に適合する材料の開発に取り組んでいる。

各事業の商品開発部門では、これらの研究開発部門で開発された新技術を利用して商品の開発を行っている。

平成27年度には「テクノロジー・イノベーションセンター」を設立し、コア技術・基盤技術・世界標準商品の開発に重点を置いたダイキングループの技術開発の中核施設とする。研究・開発技術者を集約し、技術者同士のコミュニケーションを誘発することで、コア技術開発の大幅な効率化とスピードアップを図る。さらに、社内外の技術者同士の交流を促し、「オープンイノベーション」を推進するとともに、海外拠点の技術者を育成する場とする。

 

当連結会計年度におけるグループ全体の一般管理費及び当期製造費用に含まれる研究開発費は、401億77百万円であり、当連結会計年度における各事業別の主要な取り組みと成果及び研究開発費は次の通りである。

 

①  空調・冷凍機事業

住宅用空調機器ではルームエアコン壁掛形において、地球環境に配慮した新冷媒HFC32を世界で初めて搭載し、新冷媒の特性を最大限活かし全ての部品を一から見直し、省エネ性を大幅に向上させた「うるさら7」を平成24年11月に発売し大きな反響を得たが、その後、新冷媒HFC32を搭載した機器を業界に先駆け壁掛形ペアタイプ全機種に展開、さらにハウジングエアコン1方向吹出しカセット形まで展開した。この地球温暖化抑制の取組み、さらには多くの技術的課題を達成させ、日本のものづくり競争力強化に貢献したことが高く評価され、経済産業省主催の第5回「ものづくり日本大賞  内閣総理大臣賞」を家電で初めて受賞、さらには日刊工業新聞社主催の第16回「オゾン層保護・地球温暖化防止大賞  優秀賞」を受賞した。

この「うるさら7」はリビング等の大空間、長時間運転する中大型機器において省エネ性をさらに向上し、機器が室内及び室外の温湿度環境、変化を分析し、冷やしすぎ等を検知しより快適でより節電に導く“音声アドバイス機能”を搭載し発売した。

業務用空調機器においても、業界に先駆け新冷媒HFC32を搭載し、機器の要素技術や構造を一から見直し、新冷媒HFC32の特性を最大限に引き出す新冷媒回路を開発することで高い省エネ性を発揮し、業務用エアコンにおいて特に重要視される「環境」、「省エネ」、「快適」、「施工性」、「安心設計」の5つの観点で最高品質を実現した店舗・オフィス用エアコン「FIVE STAR ZEAS(ファイブスタージアス)」を発売した。環境性能、省エネ性能等が評価され平成25年度省エネルギーセンター主催の「省エネ大賞 資源エネルギー庁長官賞」を受賞、住宅用エアコン付床暖房「ホッとく~る」の「省エネ大賞 省エネルギーセンター会長賞」の受賞とあわせ昨年度に続き省エネ大賞ダブル受賞を獲得した。今後も空調業界における環境対応のリーディングカンパニーとして、地球環境に配慮した商品開発に取り組んでいく。

住宅用空気清浄機では、空気清浄と湿度コントロールを1台で同時に制御し、居室の空気質を変える空気清浄機のプレミアムとして相応しい「クリアフォースZ」を発売した。業界では初めて、除湿から加湿へ、さらにはその反転を自動で切替え、常に快適な清浄と湿度環境を実現した。

国内アプライド機器において、Ve-upモジュールチラーを発売した。これは、ビル用マルチエアコンの先進技術を搭載し、優れた効率性と柔軟な制御性を実現し、また、エレベーター搬入が可能なコンパクトサイズと複数台組合わせることによる故障時のリスク分散が可能となり、これからの空調熱源機器の更新需要対応に大きな力を発揮する。

北米では、市場の省エネニーズに対応して、高効率の小型空冷スクロールチラー(30-70トン)を平成25年11月に市場投入した。また、データセンター向けとして、瞬時停電時でも圧縮機を止めることなく、電算室の温度上昇を最小限に抑えることが可能なラピッドリースタートをターボチラーWMEシリーズへ搭載した。

中国では、従来1機種シリーズであった満液式水冷スクリューチラーをお客様のニーズに合わせて選択できるように3機種シリーズへと品揃えを拡大した。また、標準のファンコイルに対して30~60%の電力消費を削減できる(当社比)DCブラシレスインバータファンコイルユニットを発売した。さらに、近年の省エネニーズのための冷水の大温度差や東南アジア等の高外気時に高効率な性能を発揮する二段圧縮機搭載のターボ冷凍機WTCシリーズを発売した。

 

欧州では、中東等の大型地域冷房にも対応できる二段圧縮機を搭載した超大型3,000トンターボ冷凍機を開発した。また、環境意識の高まりに対応し、部分負荷時の消費電力を大幅に低減可能な空冷DCインバータマルチスクロールチラーを発売した。

 

空調・冷凍機事業に係る研究開発費は、349億63百万円である。

 

②  化学事業

化学事業の研究開発は、豊富なフッ素素材や多岐にわたるフッ素化学関連技術を元に新商品開発及び用途開発を行っている。

フッ素樹脂、ゴムではフッ素材料の得意とする耐熱性や耐薬品性、誘電特性などを活かし、自動車、半導体、ワイヤー&ケーブル(IT分野)などでの差別化新商品研究を行っている。また、フッ素の非粘着性、耐薬品性を活かしたコーティング材料開発や、撥水撥油特性を活かしたテキスタイル処理剤、カーペット処理剤の開発、さらには含フッ素化合物の機能性を活かした液晶関連材料の開発や、医薬中間体の受託合成研究など、フッ素に関する幅広い研究を行っている。これらの素材開発に加え、周辺事業領域の研究開発や用途開発としてはフィルム等の加工品や他素材との複合材料開発を、先端材料研究としては電池エネルギー分野、光学分野、環境分野などで新たな部材・デバイスビジネスの探索を進めることによってフッ素化学グローバルNo.1、オンリーワンのケミカルソリューション事業展開を目指している。

電池エネルギー分野ではリチウム二次電池の電解液(フッ素エーテル)、添加剤、正極バインダー、ガスケット等の開発に注力、電池の高容量化・安全性向上に欠かせない材料として、今後大きく成長させていく。

これらの研究開発を加速・推進するべく、「化学研究開発センター」では切れ目のない新商品開発・次世代大型テーマの創出を主に担い、「テクニカルサービス部」ではユーザーからの要求に迅速に対応した中・短期集中テーマの確実な実行を担っている。また、「大阪大学ダイキン共同研究講座」をはじめとしたグローバルでの産学連携では、研究開発力の強化や次々世代テーマの探索を担っている。平成25年4月には、フッ素化学製品のさらなる用途拡大を目指して神戸医療産業都市にサテライトオフィスを開設している。

近年、情報端末機タッチパネル表面の指紋汚れ防止用フッ素系コーティング剤「オプツール」の需要が急増しているが、営業・研究・製造各部門の連携により、市場に適した製品の開発・製造を迅速に行うことで、旺盛かつ変化の大きい需要に対応している。その他の製品群においても、グローバルでの営業・研究・製造各部門の連携をより強化することで、新商品開発、市場投入のスピードアップを図っている。

 

化学事業に係る研究開発費は、43億円である。

 

③  その他事業

油機関連では、大容量シリーズ化と用途開発を進めており、油圧技術とインバータ技術を融合させた商品であるハイブリッド油圧システムの特徴を活かし、従来の油圧システムではなし得ない省エネ性と高機能を実現している。

プレスなどの産業機械向けの「スーパーユニット」は工場の電力削減の切り札として省エネ性で高い評価を得ており、低騒音、発熱低減、タンク油量削減による作業環境改善や環境負荷低減にも寄与している。

また、電動に匹敵する高い応答性と省エネ性を実現した成形機向けの大型システムも市場に投入、異電圧電源対応などアジア各国、その他の地域特性に合わせた機種シリーズを拡充し、各地域での採用が進んでおり、プレスなど、他の用途でのグローバル展開、拡販も進めている。

さらに、建設機械用や特殊車両用の省エネシステムについても開発を進めており、ショベル向けの油圧ハイブリッドシステムが実機採用されている。

このように従来油圧システムに加えて、その枠を超えた先進的な環境対応商品をグローバルに提供する商品と技術の開発を進めている。

特機関連では、主に防衛省向け砲弾・誘導弾用部品に関する研究を行っている。

 

その他事業に係る研究開発費は、9億13百万円である。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

以下に記載の内容については、当連結会計年度末現在において判断したものである。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の計上、当連結会計年度における収益、費用の計上については、現況や過去の実績に基づいた合理的な基準による見積りが含まれている。

なお、連結財務諸表作成にあたっての重要な会計方針等は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりである。

 

(2) 財政状態

①資産

総資産は、2兆125億30百万円となり、前連結会計年度末に比べて2,766億94百万円増加した。

流動資産は、現金及び預金、受取手形及び売掛金の増加等により、前連結会計年度末に比べて1,645億45百万円増加し、9,678億71百万円となった。

固定資産は、投資有価証券の新規取得・時価変動等により、前連結会計年度末に比べて1,121億49百万円増加し、1兆446億59百万円となった。

 

②負債及び純資産

負債は、支払手形及び買掛金の増加等により、前連結会計年度末に比べて883億42百万円増加し、1兆1,881億81百万円となった。

純資産は、配当金の支払いによる減少の一方、当期純利益の計上による増加及び為替換算調整勘定の変動等により、前連結会計年度末に比べて1,883億51百万円増加し、8,243億48百万円となった。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の35.6%から39.9%となり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の2,123.10円から2,749.76円となった。

 

(3) 経営成績

①売上高

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比38.1%増の1兆7,830億77百万円となった。

空調・冷凍機事業では、国内・中国・アジア等の地域での販売が堅調に推移したことに加え、円安による円貨換算額の増加及び平成24年11月に買収した米国グッドマン社の売上高・利益を第1四半期から新規連結したことによる寄与もあり、売上高は前連結会計年度比42.2%増の1兆5,928億85百万円となった。

化学事業では、円安によるプラス効果がある一方、供給増を背景とした需給バランス悪化にともなう価格下落の影響があり、売上高は前連結会計年度比12.7%増の1,401億77百万円となった。

その他事業全体では、建機・車両用油圧機器において、国内主要顧客の国内需要及び海外向け需要とも堅調に推移したこと等により、売上高は前連結会計年度比7.6%増の500億14百万円となった。

 

②営業費用、営業利益

売上原価は、前連結会計年度比34.7%増加し、1兆2,162億16百万円となった。

販売費及び一般管理費については、前連結会計年度比37.5%増加し、4,117億85百万円となった。従業員給与手当及び製品保証引当金繰入額の増加が主な要因である。

以上の結果、営業利益は前連結会計年度比75.0%増の1,550億75百万円となった。

なお、セグメントの営業損益については、空調・冷凍機事業では、前連結会計年度比95.3%増の1,384億77百万円の営業利益となり、化学事業では、前連結会計年度比14.0%減の141億89百万円の営業利益となり、その他事業は前連結会計年度比96.4%増の24億13百万円の営業利益となった。

 

③営業外損益、経常利益

営業外損益は、為替差益の計上額が減少したこと等により、前連結会計年度に比べて64億85百万円減少し、9億67百万円のマイナスとなった。

経常利益は、前連結会計年度比63.7%増の1,541億8百万円となった。

 

 

④特別損益、当期純利益

特別損益は、投資有価証券評価損計上額が前連結会計年度から大幅に減少したこと等により、前連結会計年度に比べて112億13百万円増加し、14億54百万円のマイナスとなった。

当期純利益は、前連結会計年度比110.8%増の918億80百万円となった。

 

(4) 流動性及び資金の源泉

営業活動では、税金等調整前当期純利益の増加等により、前連結会計年度に比べ765億52百万円増加し、1,797億13百万円のキャッシュの増加となった。投資活動では、前連結会計年度にグッドマン社株式の取得による支出があったこと等により、前連結会計年度に比べて減少幅が1,375億51百万円減少し、808億34百万円のキャッシュの減少となった。財務活動では、前連結会計年度にグッドマン社の買収資金としての長期借入れによる収入の増加及び社債の発行による収入があったこと等により、前連結会計年度に比べて1,817億69百万円減少し、382億49百万円のキャッシュの減少となった。この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ717億24百万円増加し、2,572億95百万円となった。

 

キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりである。

 

 

平成22年3月期

平成23年3月期

平成24年3月期

平成25年3月期

平成26年3月期

自己資本比率(%)

43.5

43.1

43.3

35.6

39.9

時価ベースの自己資本比率(%)

97.9

64.2

56.5

61.9

83.8

キャッシュ・フロー対有利子負債比率 (年)

3.1

4.8

8.7

6.8

3.9

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

19.5

11.8

6.9

15.3

18.0

 

 

(注)  自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

 

※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出している。

※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出している。

※営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用している。

※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としている。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息支払額を使用している。