第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

 当連結会計年度の受注工事高は、7,467億91百万円(前連結会計年度比 26.6%増)となり、その内訳は、海外 6,358億1百万円(同 31.0%増)、国内 1,109億89百万円(同 6.0%増)となりました。なお、当連結会計年度末受注残高は、1兆4,169億1百万円となりました。

 連結完成工事高については、手持工事の進捗により 4,809億79百万円(同 7.8%増)となり、その内訳は、海外 3,676億38百万円(同 15.8%増)、国内 1,133億41百万円(同 12.0%減)となりました。

  利益面では、完成工事総利益は 456億51百万円(同 10.1%増)、営業利益は 214億66百万円(同 1.8%増)、経常利益は 222億71百万円(同 2.5%減)、当期純利益は 110億29百万円(同 18.0%減)となりました。

 

 セグメントの業績は次のとおりであります。

a エンジニアリング事業

 当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、米国経済の回復基調が保たれる一方で、世界各地域の景気低迷と地政学的リスクが続く中、年度半ばからの原油価格急落の影響により不透明感が増してきています。各種の設備投資計画では、中長期的に予測されるエネルギー需要増への対応と足もとの不透明感が交錯し、個々の案件の推進にも慎重さが出始めています。一方、国内経済は金融政策と円安、さらには原油安や株高に伴うプラス効果が景気の下支えとなり、景気持ち直しの傾向は強まっているものの、消費税増税後の落ち込みからの回復ペースは弱く、総じて一進一退の動きとなっています。

 このような状況下、当社グループは中期経営計画の諸施策に沿って、従来分野への取り組みを継続、オフ

ショア及びアップストリーム分野での事業展開、当社独自技術による水素サプライチェーンの構築や太陽光・太陽熱発電の推進など、新エネルギーや再生可能エネルギーを含む新たな分野への進出に取り組んでいます。

 工事の遂行については、海外ではオーストラリアと米国、ロシアでのLNG(液化天然ガス)プラント、ベトナムやカタール、ベネズエラでの石油関連プラント、モンゴルでの新国際空港、国内ではLNG受入基地や太陽光発電設備工事などが順調に進みました。

 これらの結果、当連結会計年度の受注工事高は 7,408億87百万円(前連結会計年度比 26.6%増)となり、完成工事高については 4,764億99百万円(同 7.9%増)となりました。

b その他の事業

  その他の事業のセグメントは、上記エンジニアリング事業部門に対する各種サポート業務が中心であり、当連結会計年度の受注工事高は 59億3百万円(前連結会計年度比 32.5%増)となり、完成工事高については 44億79百万円(同 1.2%減)となりました。

(2) キャッシュ・フローの状況

  当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益の計上、運転収支がプラスとなったものの、ジョイントベンチャー持分資産の増加、法人税等の支払い、有形固定資産及び無形固定資産の取得などにより、前連結会計年度末に比べ 320億57百万円減少(前連結会計年度は 349億25百万円減少)し、当連結会計年度末には 1,132億46百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

  当連結会計年度における営業活動による資金収支は 241億45百万円の減少(前連結会計年度は 171億77百万円の減少)となりました。

  これは、税金等調整前当期純利益 220億12百万円の計上に加え、運転資金収支(売上債権、未成工事支出金、仕入債務、未成工事受入金の増減額合計)が 291億94百万円のプラスとなったものの、ジョイントベンチャー持分資産が 552億46百万円増加、法人税等の支払額 125億50百万円を計上したことなどによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

  当連結会計年度における投資活動による資金収支は 54億44百万円の減少(前連結会計年度は 167億96百万円の減少)となりました。
  これは、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出 38億72百万円、投資有価証券の取得による支出 12億45百万円などによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

  当連結会計年度における財務活動による資金収支は 45億69百万円の減少(前連結会計年度は 52億49百万円の減少)となりました。
  これは、配当金の支払 41億39百万円などによるものです。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)受注実績

セグメントの名称

前連結会計年度

 (自 平成25年4月1日

至 平成26年3月31日)

当連結会計年度

 (自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

受注高

受注残高

受注高

受注残高

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

<前年同期比>

構成比

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

1 エンジニアリング
事業

585,413

99.2

1,071,910

(27,874)

100.0

740,887

<26.6%増>

99.2

1,415,170

(78,871)

99.9

(1) LNGプラント
関係

436,963

74.1

755,643

(552)

70.5

550,813

<26.1%増>

73.8

1,102,951

(54,365)

77.9

(2) その他ガス関係

14,286

2.4

21,585

(89)

2.0

49,604

<247.2%増>

6.6

33,254

(113)

2.4

(3) 石油・石油化学・ガス化学関係

49,181

8.3

203,356

(21,528)

19.0

49,061

<0.2%減>

6.6

169,953

(24,201)

12.0

(4) 資源関係

393

0.1

113

(3)

0.0

11,446

<2,805.5%増>

1.5

10,276

(-)

0.7

(5) 一般化学・

  産業設備関係

41,042

7.0

42,560

(5,210)

4.0

39,630

<3.4%減>

5.3

33,113

(△7,211)

2.3

(6) 環境・

  新エネルギー・

  インフラ関係

37,342

6.3

45,119

(670)

4.2

35,456

<5.0%減>

4.7

63,906

(6,702)

4.5

(7) その他

6,202

1.0

3,530

(△181)

0.3

4,874

<21.4%減>

0.7

1,714

(700)

0.1

2 その他の事業

4,454

0.8

308

(5)

0.0

5,903

<32.5%増>

0.8

1,731

(0)

0.1

総合計

589,867

100.0

1,072,218

(27,879)

100.0

746,791

<26.6%増>

100.0

1,416,901

(78,871)

100.0

 

  なお、国内及び海外の受注高並びに受注残高の内訳は、次のとおりであります。

 

国内外内訳

前連結会計年度

 (自 平成25年4月1日

至 平成26年3月31日)

当連結会計年度

 (自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

受注高

受注残高

受注高

受注残高

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

<前年同期比>

構成比

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

国内

104,690

17.7

103,244

(△478)

9.6

110,989

<6.0%増>

14.9

100,218

(△674)

7.1

海外

485,177

82.3

968,974

(28,357)

90.4

635,801

<31.0%増>

85.1

1,316,683

(79,545)

92.9

合計

589,867

100.0

1,072,218

(27,879)

100.0

746,791

<26.6%増>

100.0

1,416,901

(78,871)

100.0

  (注) 受注残高の( )内の数字は、前連結会計年度以前に受注した工事の契約変更等による減額分並びに受注高
    の調整による増額分及び外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額の合計を表示しております。

 

 

  (2)売上実績

セグメントの名称

前連結会計年度

 (自 平成25年4月1日

至 平成26年3月31日)

当連結会計年度

 (自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

<前年同期比>

構成比(%)

1 エンジニアリング事業

441,615

99.0

476,499

<7.9%増>

99.1

(1) LNGプラント関係

203,034

45.5

257,871

<27.0%増>

53.6

(2) その他ガス関係

47,493

10.7

38,049

<19.9%減>

7.9

(3) 石油・石油化学・

  ガス化学関係

75,976

17.0

106,665

<40.4%増>

22.2

(4) 資源関係

4,302

1.0

1,283

<70.2%減>

0.3

(5) 一般化学・

  産業設備関係

94,330

21.1

41,865

<55.6%減>

8.7

(6) 環境・新エネルギー・

  インフラ関係

13,330

3.0

23,372

<75.3%増>

4.9

(7) その他

3,147

0.7

7,390

<134.9%増>

1.5

2 その他の事業

4,532

1.0

4,479

<1.2%減>

0.9

総合計

446,147

100.0

480,979

<7.8%増>

100.0

 

  なお、国内及び海外の売上実績の内訳は、次のとおりであります。

 

国内外内訳

前連結会計年度

 (自 平成25年4月1日

至 平成26年3月31日)

当連結会計年度

 (自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

<前年同期比>

構成比(%)

国内

128,743

28.9

113,341

<12.0%減>

23.6

海外

317,404

71.1

367,638

<15.8%増>

76.4

合計

446,147

100.0

480,979

<7.8%増>

100.0

  (注) 1  当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。

       2  主な相手先別の売上実績及び総売上高に対する割合は次のとおりであります。

前連結会計年度

当連結会計年度

 相手先

金額

(百万円)

割合

(%)

 相手先

金額

(百万円)

割合

(%)

イクシス・エルエヌジー・ピーティーワイ・リミテッド

109,964

24.6

イクシス・エルエヌジー・ピーティーワイ・リミテッド

143,688

29.9

エッソ・ハイランズ・リミテッド

68,788

15.4

オージェイエスシー・ヤマル・エルエヌジー

51,948

10.8

トクヤマ・マレーシア・センドリアン・ベルハッダ

49,934

11.2

 

 

 

       3  本表の金額には消費税等は含まれておりません。

3【対処すべき課題】

(1) 当社グループの対処すべき課題

 当社グループが展開する事業に関係の深いエネルギー分野においては、中長期的に予測されるエネルギー需要の増加やシェール革命、更には世界的なガスシフトを背景として様々な地域で設備投資計画が進んでいる一方で、原油価格下落の影響や新興国の景気動向の行方、或いは地政学的リスクの高まりなどにより、個々の案件の実現度予測が従来以上に難しくなっており、常に的確な経営判断が求められております。

 当社グループは単に眼前の設備投資需要を取り込むだけでなく、これからの時代の流れを予見し、社会が必要とし当社の優位性を活かせるサービスと価値を提供し続けることを目指して重点施策に取り組んでいます。

 平成28年3月期(2015年度)においては、当社グループ全体の品質の維持・向上を図りつつ、人材育成の基盤整備を重点的に行い成長戦略と組み合わせることで、当社グループの企業価値の向上を図るとともに、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等ステークホルダーを尊重しつつ、透明公正かつ迅速果断な意思決定を行うための仕組みとして、コーポレートガバナンス体制の更なる整備を図っていきます。

 中期経営計画の折り返し地点である当年度では、当社コア事業であるLNG分野においてロシアで新たな案件を受注することが出来ました。遂行中の米国案件と合わせ、複数の大型案件を安定的に同時遂行するための更なる態勢強化を実施してまいります。また、新規分野であるオフショア及びアップストリーム分野では、コンサルティング・サービスに加えて、新たにFEED(基本設計)業務をグローバルに手掛ける体制を整備することが出来ましたので、

収益事業としての基盤を更に整備し、事業環境に対応しながら展開を図ってまいります。更に、水素サプライ

チェーン事業やライフサイエンス事業を新たな成長分野として展開していきます。

 

(2) 株式会社の支配に関する基本方針について

 当社は、基本的には、企業価値を高めるとともにIR(投資家向け広報)に努めて、株主の方々に評価してもらうことが重要と考えております。

 したがって、新株予約権の発行などによる買収防衛策をとることは予定しておりませんが、当社に対して買収提案があった場合には、企業価値の向上・株主共同の利益を判断基準として、当社としての意見表明などの適切な措置をとってまいります。

 また、当社は、自社による努力はもとより、他社との提携も含めた一層の事業深耕・拡大を追求することにより、企業価値向上を図ることを基本方針としております。このような考え方に基づき、平成20年(2008年)3月31日に三菱商事株式会社と資本業務提携を行って協力関係を強化し、更なる企業価値向上を目指すこととしました。

 

4【事業等のリスク】

 当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項、及びそれらに対する対応は以下のとおりであります。

 当社グループは、これら事項の発生の可能性を認識した上で、発生の低減に注力するとともに、発生した場合にはその影響を最小限に抑えるべく可及的速やかに対応に努める所存です。

 なお、以下記載事項については、当連結会計年度末現在において認識したものであります。

 

  (a)景気動向、経済・社会・政治情勢の変動による影響

 世界的な景気動向や社会・政治情勢の変化、経済制裁の状況、各国のエネルギー政策の転換、原油やLNG価格の市場動向等により、顧客の投資計画に中止・延期や内容の変更が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす場合があります。また、顧客・下請業者・機器資材発注先等のプラント建設に関わる取引先の経営状況により、工事の遂行計画や採算、代金回収への影響が発生する場合があります。

 当社グループでは、取引にあたりましては、経済・社会情勢の変動を注視しつつ受注活動を行っていくとともに、リスクを最小化する契約条件の確保に留意しております。また、取引先の状況等の調査を十分に行い、取引の可否、取引上の条件の確認や代替取引先の確保を行う等、これらのリスクの回避・影響の最小化に努めております。

 

  (b)地震等の自然災害、テロ・紛争等の不可抗力

 地震等の自然災害やテロ・紛争等の不可抗力の発生により、工事従事者の生命への危険、機器資材の工事現場への搬入の遅れ、現場工事の中断など遂行中案件の工事現場あるいは国内外の事業所において直接的又は間接的な損害が発生する場合があります。

 当社グループでは人命第一と安全確保を最優先に考え、危機管理ユニットを設置し情報の収集・分析を行うとともに、治安が悪化している国や地域の状況を踏まえてセキュリティコンサルタントを雇用するなど、危機管理の強化を図っております。また、日頃から有事の際には顧客等関係先との協議を含め迅速な初動対応を実施できるよう危機管理システムの拡充を図り、これらの危機事象発生に伴うリスクの回避・影響の最小化を図っております。

 また大規模地震等の災害が発生した場合に備えBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)を策定し、災害発生時にもスムーズに初動対応・優先業務が行えるよう平時から事業継続力向上に取り組んでおります。

 

  (c)機器資材費の高騰

 プラント建設では見積時期と発注時期に時間的差異があるため、一括請負契約において、機器資材の価格が予想を超えて高騰するリスクに曝されております。特にプラント建設で主要部分を占める鉄鋼製品の価格は原材料である原料炭と鉄鉱石の価格の変動に大きく影響を受けます。また、銅・ニッケル・アルミニウム・亜鉛などの市場価格の変動は予想し難いものがあります。

 当社グループでは、これらのリスクを回避し影響を最小化するために、市場動向の調査に加え、世界各地からの購入先の分散を図るなどの調達先の多様化、機器資材の早期発注、有力な業者との協力関係構築などの対策を講じております。

 

  (d)工事従事者・機器資材の手配と確保

 プラント建設では、大規模な建設工事に必要な工事従事者などの人的資源の確保、工事に要するインフラ確保や機器資材の輸送が計画どおりできない場合、工程に遅れが生じ、その工程の遅れを回復するために追加費用が発生する場合があります。

 当社グループでは、労働力の逼迫する地域での工事や、想定を超える工事コストの高騰リスクに対し、モジュール工法の採用など建設手法の工夫や有力な工事業者・機器資材供給業者との協力関係を基礎にして、これらのリスクの回避及び顕在化した場合の影響の最小化を図っております。また、ストライキ等により工事が中断を余儀なくされた場合には、顧客や現地関係機関と適切な対応を取ることで、工事への影響の最小化を図っております。

 

  (e)プラント事故

 当社グループが建設中又は建設したプラントに、何らかの原因によって爆発や火災の発生等の重大事故が発生し、その原因が当社グループの責任と判断された場合には、損害賠償責任の負担など業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループはこのような不測の事態が発生しないよう、“Safety is the Core Value”を標語に設計時の安全設計、建設現場での無事故・無災害を最優先に品質管理・工事安全管理等について万全を期すことはもとより、適切な保険の付保、損害の負担に関わる顧客との合理的な分担を定めた契約条件の獲得などによりこれらのリスクの回避・影響の最小化を図っております。

 

  (f)為替レートの変動

 海外向け工事では、機器資材調達や下請工事代金の決済が顧客より受領する対価と異なる通貨で行われる場合があるため、為替レートの変動が業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、支出を予定する複数の通貨での工事代金受領や為替予約の手当によって為替レート変動のリスクを回避し影響を最小化するよう努めております。

 

  (g)コンプライアンス対応

 国内外でプラント建設を行うにあたり、国内の関連する法令・規制や、海外施工地等の国・地域の法令・規制に従う必要があります。それら法令・諸規制に違反する行為、もしくは疑義を持たれる行為が万が一発生した場合には、プロジェクトの遂行や事業の運営に多大な影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、これら違反の防止、疑義を持たれる事の回避のため、集合研修やe-ラーニング等の継続的な社員教育を通じ、人権尊重や贈賄疑念防止を含めて、事業遂行にかかる最新の法令・諸規制やルール等を遵守することの周知徹底を図るとともに常に国内外の関係当局や顧客をはじめとするステークホルダーの動向をタイムリーに把握することに努めております。加えて、経営会議直轄の組織としてコンプライアンス委員会とその傘下にグ

ループ各社からの委員をメンバーとするグループコンプライアンス委員会を設置し、「千代田グループ行動規範」に定める精神に基づき、コンプライアンスへの対応を確実に業務プロセスに落とし込んでおります。

 

  (h)情報セキュリティ

 当社グループは、事業の遂行に必要な顧客や取引先情報を多数管理しているほか、技術・営業・その他事業に関する秘密情報を保有しております。また、多くの基幹業務や商取引がITシステムを駆使して世界中の拠点で行われておりますので、コンピューターウィルスの感染や外部からの不正アクセス、サイバー攻撃などの不測の事態により、システム障害、秘密情報の漏洩、重要な事業情報の滅失等が発生して当社の事業へ影響を与える可能性があります。

 当社グループでは本社はもとより主なグループ会社でISMS認証を取得して、定期的な教育や監査等の情報セキュリティマネジメントを徹底し、これらのリスクの回避に努めております。

 

5【経営上の重要な契約等】

業務提携等

契約会社名

相手方の名称

国名

契約締結日

契約内容

千代田化工建設株式会社

(当社)

三菱商事株式会社

日本

平成20年3月31日

第三者割当増資による普通株式の発行を含む資本業務提携

千代田化工建設株式会社

(当社)

中鼎工程股份有限公司

(シーティーシーアイ・コーポレーション)

台湾

平成23年7月29日

但し、平成26年7月29日に更新

ノンハイドロカーボン分野等の業務提携

千代田化工建設株式会社

(当社)

Xodus Group (Holdings) Limited

(エクソダス・グループ

・ホールディングス・

リミテッド)

英国

平成25年6月28日

普通株式取得を含むオフショア及び

アップストリーム分野の資本業務提携

 

 

6【研究開発活動】

(1) エンジニアリング事業

 当社の研究開発活動は、ビジネスの発掘、受注の促進、付加価値の増大、技術優位性の確立等に寄与する技術・商品の開発を目指し、以下の4つを重点分野として取り組んでおります。

①ガス・石油・環境分野

②再生可能エネルギー分野

③新化学・バイオ・水分野

④エンジニアリング力強化

ガス・石油・環境分野

・天然ガスをCO2により改質し、GTL、メタノール、DMEなどの原料となる合成ガス(CO/H2)を製造するCO2改質プロセス(CT-CO2AR®)の商業化を進めております。本技術はCO2を原料として利用することから、化学メーカーからも注目され、国内商用機への触媒交換に採用され、順調に稼働しております。現在、国内2号機案件について取り組んでいる他、海外新規プロジェクト案件の打診もあり、今後が期待されております。

・軽油の超深度脱硫用として開発したハイブリッドチタニア触媒は、商用1号機が昨年2月から順調に稼働しております。国内別顧客向け2号機案件についての事前評価試験も開始するなど、営業展開が始まっております。

・既に商業化実績のある排煙脱硫技術では、湿式石灰石石膏法排煙脱硫装置CT-121®は、石炭種の低品位化、微量成分の規制強化に対する技術改良・技術強化を進めており、触媒酸化法排煙脱硫装置CASOX PROCESS®は、システムの簡便性、ゼロエミッションという利点を生かしビジネス化を図っております。

<再生可能エネルギー分野>

・太陽熱と高温溶融塩(Molten Salt)を利用した次世代型太陽熱発電システムの開発と商業化プラントへの展開を目的に、伊ASE社(アルキメデ・ソーラー・エナジー社)へ出資、イタリア国内でデモプラントを建設し、平成25年7月の運用開始後、順調に各種試験を実施しております。

・4年目の取り組みとなるメガソーラー発電所の受注実績も35件で累計192MWを超え、引き続き当社のシステム

インテグレーションによる高い発電量と建設コスト競争力が高い評価を頂いております。

・将来の水素エネルギー社会への対応として、有機ケミカルハイドライドを用いた水素輸送/貯蔵システム(SPERA水素®)の開発を実施しております。子安の研究開発センターに設置したデモンストレーションプラントは、10,000時間の運転を達成しました。また、実証事業の検討を進めております。

新化学・バイオ・水分野

・一酸化炭素とメタノールを原料とする新酢酸合成プロセス(CT-ACETICA®)は、ペトロブラス社石油化学(UNF-IV)コンプレックス案件向けライセンサーパッケージ作成作業を完了し、今後の建設に向けて引き続き対応してまいります。また、ライセンス販売に関し米国KBR社と業務提携契約を締結し、今後KBR社の販売網も活用しながら新規顧客獲得に向けた活動を精力的に進めてまいります。

・非在来型水処理技術開発では、膜メーカーとセラミック膜を用いた油田の随伴水処理について実液ラボ試験により基本技術の構築を進めております。

<エンジニアリング力強化>

・エンジニアリング力強化では、プラント建設やO&M(オペレーション&メンテナンス)で重要となる高度解析技術(特に3Dやダイナミックシミュレーションを中心とした高度解析技術、複数技術統合など)や各種検査/センシング技術・IT技術、レーザースキャンによる3Dモデル化技術の開発を進めることにより、高度な診断技術を提供し、当社のPLE(プロジェクト・ライフサイクル・エンジニアリング)の事業を様々な分野に展開しております。また、国土強靭化法に沿った製油所の耐震診断を遂行中で、我が国の要となる石油エネルギー供給設備の強化事業にも参画し、我が国の安全保障に貢献しております。

 

 なお、研究開発業務に従事している人員は研究開発センターを含む技術開発ユニットを中心に約80名であり、当連結会計年度中に支出した研究開発費の総額は 24億56百万円であります。

 

(2) その他の事業

 該当活動はありません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成27年6月25日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。一般に公正妥当と認められる連結財務諸表の作成にあたっては、期末日における資産及び負債の報告額や、報告対象期間中の収益及び費用の報告額に影響する判断及び見積りを行うことが要求されます。当社グループの連結財務諸表作成にあたっては、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づいて判断及び見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合もあります。

 当社は、特に以下の重要な会計方針の適用において使用される当社の判断と見積りが、当社グループの連結財務諸表の報告額に重要な影響を及ぼすと考えております。

① 貸倒引当金

 当社グループでは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、貸倒懸念債権等特定の債権については、保守的に見積った回収不能見込額を貸倒引当金として計上しております。

② 完成工事補償引当金

 当社グループでは、主として、過去の経験割合に基づく一定の算定基準により、完成工事に係わる瑕疵担保等の費用を見積り、完成工事補償引当金を計上しております。

③ 工事損失引当金

 当社グループでは、当連結会計年度末において損失の発生が見込まれる未引渡工事に係る将来の損失に備えるため、合理的に見積もった損失見込み額を工事損失引当金として計上しております。

④ 退職給付に係る負債

 当社グループでは、従業員の退職給付に備えるため、見積りを反映した各種の仮定に基づく数理計算により算出された退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき退職給付に係る負債の計上を行っております。

⑤ 収益の認識

 当社グループでは、当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については、工事進行基準(工事進捗率の見積りは原価比例法)により完成工事高を計上しております。

⑥ 工事原価の見積り

 当社グループでは、工事契約において定められている目的物の引渡しを行った連結会計年度末において確定していない費用については、次期以降に発生する費用を見積り、工事原価として計上しております。

⑦ 繰延税金資産

 当社グループでは、繰延税金資産の回収可能性を評価するにあたり、将来の課税所得を合理的に見積り、将来の税金負担を軽減する効果を有すると判断した繰延税金資産を計上しております。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

① 概要

 当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、米国経済の回復基調が保たれる一方で、世界各地域の景気低迷と地政学的リスクが続く中、年度半ばからの原油価格急落の影響により不透明感が増してきています。各種の設備投資計画では、中長期的に予測されるエネルギー需要増への対応と足もとの不透明感が交錯し、個々の案件の推進にも慎重さが出始めています。一方、国内経済は金融政策と円安、さらには原油安や株高に伴うプラス効果が景気の下支えとなり、景気持ち直しの傾向は強まっているものの、消費税増税後の落ち込みからの回復ペースは弱く、総じて一進一退の動きとなっています。

 このような状況下、当社グループは中期経営計画の諸施策に沿って、従来分野への取り組みを継続、オフショア及びアップストリーム分野での事業展開、当社独自技術による水素サプライチェーンの構築や太陽光・太陽熱発電の推進など、新エネルギーや再生可能エネルギーを含む新たな分野への進出に取り組んでいます。

 工事の遂行については、海外ではオーストラリアと米国、ロシアでのLNG(液化天然ガス)プラント、ベトナムやカタール、ベネズエラでの石油関連プラント、モンゴルでの新国際空港、国内ではLNG受入基地や太陽光発電設備工事などが順調に進みました。

 これらの結果、当連結会計年度の連結受注工事高は 7,467億91百万円(前連結会計年度比 26.6%増)、連結受注残高は 1兆4,169億1百万円(同 32.1%増)となりました。また、連結完成工事高については 4,809億79百万円(同 7.8%増)、営業利益は 214億66百万円(同 1.8%増)、経常利益は 222億71百万円(同 2.5%減)、当期純利益は 110億29百万円(同 18.0%減)となりました。

 

② 受注工事高/完成工事高

 当連結会計年度の受注工事高は、海外 6,358億1百万円(前連結会計年度比 31.0%増)、国内 1,109億89百万円(同 6.0%増)、合計 7,467億91百万円(同 26.6%増)を獲得し、完成工事高は、海外 3,676億38百万円(同 15.8%増)、国内 1,133億41百万円(同 12.0%減)、合計 4,809億79百万円(同 7.8%増)となりました。

 

当社の主たる事業セグメントであるエンジニアリング事業の概況は、次のとおりです。

 

 LNG・その他ガス分野

 海外では、オーストラリア、米国、ロシアでのLNGプラントのEPC(設計・調達・建設)業務、またインドネシア、モザンビーク、カナダ及び米国でのLNGプラントのFEED(基本設計)業務を鋭意遂行中です。一方、カタールでは、当社が建設したLNG・ガス処理プラントの改造・改修案件のEPCm(設計・調達・建設管理)業務を現地グループ会社が継続して受注・遂行中です。国内では、LNG受入基地案件の内、2件を完工し、1件の建設工事を遂行するほか、既設プラントの改造等に伴う検討業務及び工事案件を引き続き遂行しています。

 LNG・その他ガス分野は当社の重点分野であり、今後とも国内・海外、陸上・海上、在来ガス・非在来ガスの全てについて注力していきます。

 当連結会計年度の受注工事高は 6,004億18百万円(前連結会計年度比 33.1%増)となり、完成工事高は 2,959億21百万円(同 18.1%増)となりました。

 

b 石油・石油化学・ガス化学分野

 海外では、マレーシアの製油所向けに受注した残油流動接触分解装置のEPCC(設計・調達・建設・試運転)業務を開始するとともに、ベトナムでの製油所・石油化学コンプレックス、カタールでの製油所のEPC業務及びベネズエラでの重質油処理設備のEPsCm(設計・調達支援・建設管理)業務などを鋭意遂行中です。また、シンガポールのグループ会社が、アジア地域の石油・石油化学等ダウンストリーム案件に関わるプロジェクトマネジ

メント業務を長期契約にて遂行中です。

 国内では、石油顧客各社向けに、国土強靭化基本法に関連する既設設備改造工事や石油化学製品製造装置、既設諸装置の省エネ対応工事を受注し遂行中です。また、エネルギー供給構造高度化法対応を目的とした既設設備改造や不均化装置を完工しました。

 当連結会計年度の受注工事高は 490億61百万円(同 0.2%減)となり、完成工事高は 1,066億65百万円(同 40.4%増)となりました。

 

 一般化学・産業設備・資源・環境分野

 交通インフラ分野では、新モンゴル国際空港のEPC業務を遂行する一方で、新たにフィリピン新ボホール空港のEPC業務を受注し、更なる空港案件や鉄道案件の受注に向けて準備中です。水分野では、サウジアラビアの工業排水処理/再利用モデル事業のほか、中東及びアジア地域で現地グループ会社による中小規模水処理EPC遂行体制の整備に取り組むなど関連する案件の受注に向けて営業活動を進めています。

 その他ノンハイドロカーボン関連分野でも、国内顧客の海外進出案件に対し、鋭意営業活動を展開しています。

 国内では、各地で太陽光発電設備(メガソーラー)のEPC業務を受注・遂行中で、引き続き案件獲得に向けグループ遂行体制を強化し営業活動を展開しています。医薬品関連分野においては、新規に原薬製造工場やワクチン製造工場の増設工事を受注し、バイオ医薬品製造設備などのEPC業務とともに遂行しています。また産官学連携のナノテクノロジー研究開発施設等を完工しました。

 当連結会計年度の受注工事高は 914億8百万円(同 7.6%増)となり、完成工事高は 739億12百万円(同 35.8%減)となりました。

 

d 新分野

 オフショア及びアップストリーム分野に関しては、資本提携した英国のエクソダスグループ社と協調して、わが国の資源開発会社等に対し海洋開発分野への設計、コンサルティング等のサービス提供を行っており、

インドネシアではFPU(洋上ガス処理設備)のEPCI(設計・調達・建設・据付)業務を遂行中です。また、エクソダスグループ社及びサイペムインターナショナル社と共同で新会社を設立、サブシー(海中・海底設備)・エンジニアリング事業への展開を進める一方、メタンハイドレートの中長期海洋産出試験等への参画を目指す新会社にも資本参加し、我が国のメタンハイドレート資源開発に貢献していきます。

 また、新エネルギー関連では、水素社会実現に向け自社開発した水素の大量貯蔵・輸送技術を活用する水素サプライチェーンの事業化に向けて、国内外の関係者との検討・協議を継続しており、太陽熱発電でもイタリアでの「溶融塩パラボリックトラフ型太陽熱発電」の実証運転と商用化に向けた検討を継続しています。

 更に、iPS細胞に象徴される新しい医療分野の展開にも注目し、医療・医薬を軸にライフサイエンス事業の展開を行ってまいります。

 

③ 完成工事総利益

 完成工事総利益は、前連結会計年度比 10.1%増の 456億51百万円となりました。また、完成工事総利益率は前連結会計年度の9.3%から0.2ポイント増加し9.5%となりました。

④ 販売費及び一般管理費

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度より 38億1百万円増加し 241億85百万円となりました。また、販売費及び一般管理費比率は前連結会計年度の4.6%から0.4ポイント増加し5.0%となりました。

⑤ 営業利益

 営業利益は、前連結会計年度比 1.8%増の 214億66百万円となりました。また、営業利益率は前連結会計年度の4.7%から0.2ポイント減少し4.5%となりました。

⑥ 営業外収益・営業外費用

 営業外収益及び営業外費用は、前連結会計年度の 17億58百万円の収益超過に対し、8億4百万円の収益超過となりました。

 為替差損益については、前連結会計年度では 1億45百万円の為替差損を計上したのに対し、当連結会計年度は 11億82百万円の為替差損を計上しました。
 また、受取利息・受取配当金から支払利息を差し引いた金融収支は、当連結会計年度は 28億55百万円の入金超過となり、前連結会計年度に比べ 4億99百万円増加しました。持分法による投資損益は、前連結会計年度の 3億74百万円の投資損失に対し、当連結会計年度は 7億83百万円の投資損失となりました。

⑦ 特別利益・特別損失

 特別利益及び特別損失は、前連結会計年度が 2億99百万円の損失超過であったのに対し、当連結会計年度では 2億58百万円の損失超過となりました。

⑧ 法人税、住民税及び事業税・法人税等調整額

 当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ 5億25百万円減少し 220億12百万円となりました。また、法人税、住民税及び事業税は、前連結会計年度に比べ 68億43百万円減少し 62億57百万円となりました。

 法人税等調整額は 45億42百万円のプラスとなったことから、税金費用負担額(純額)は 107億99百万円となり、前連結会計年度に比べ 14億72百万円の増加となりました。

⑨ 当期純利益

 当連結会計年度の当期純利益は、前連結会計年度比 18.0%減の 110億29百万円となりました。

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フロー

 当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は 1,132億46百万円となり、前連結会計年度末に比べ 320億57百万円減少しました。これは、税金等調整前当期純利益計上した一方で、ジョイントベンチャー持分資産の増加、法人税等の支払額を計上したこと等により営業活動によるキャッシュ・フローが 241億45百万円のキャッシュ・アウト・フロー(前連結会計年度は 171億77百万円のキャッシュ・アウト・フロー)、投資活動によるキャッシュ・フローが 54億44百万円のキャッシュ・アウト・フロー、財務活動によるキャッシュ・フローが 45億69百万円のキャッシュ・アウト・フローとなったことによります。

② 資金需要

 当社グループの資金需要のうち主なものは、当社が受注した国内外のプラント建設に関わる費用、販売費及び一般管理費のほか、今後の成長戦略を支えるための投資であります。販売費及び一般管理費のうち主なものは、従業員給与手当等の人件費のほか、業務委託費等であります。当社の研究開発費は、研究開発に携わる従業員の人件費が過半を占めております。

③ 財務政策

 現在、当社グループは、運転資金及び投資向け資金等の必要資金については、内部資金又は借入により資金調達することとしております。このうち、当社の運転資金については、将来の資金需要に備えて、150億円の短期コミットメントライン枠を設定しております。

 また、今後の投資資金については、コア事業の強化、ビジネス・ポートフォリオの多様化・拡大を目指した成長のための戦略投資、競争力強化並びに業務効率化のためのITやオフィスを始めとした経営基盤強化投資及び当社技術力の更なる強化、早期のビジネス化を目指した研究開発投資などを想定しており、手元資金を充当してまいります。

 当社グループは、現時点での受注実績、財政状態、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力と、短期コミットメントラインの未使用借入枠により、当社グループを安定的に運営するのに充分な資金調達が可能と考えております。

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因・経営者の問題意識、及び戦略的現状と今後の方針について

 経営成績に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項、及び、それらに対する対応については、4.事業等のリスクに記載致しました。

 史上最高水準の受注残高を抱える状況下においては、オーストラリア、米国、ロシアでの大型プロジェクトの確実な遂行に加え、新分野を伸長させ事業ポートフォリオを多様化する中期経営計画の成長戦略をより一層加速させてまいります。