第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当社は、事業のグローバル化が進展する中、業績等経営情報の開示のさらなる適時・適正化を図るため、当連結会計年度より当社及び従来3月決算であった連結子会社の決算日を3月31日から12月31日に変更し、当社と連結子会社の決算日を12月31日に統一しました。この変更に伴い、当連結会計年度においては、当社及び3月決算であった連結子会社は4月1日から12月31日までの9か月間、12月決算である連結子会社は1月1日から12月31日までの12か月間をそれぞれ連結対象期間としています。

以下、増減については「前年度同一期間」との比較で記載しています。(前年度同一期間とは、3月決算であった会社は平成28年4月1日から12月31日までを指し、12月決算会社である会社は平成28年1月1日から12月31日までを指します。)

(単位:百万円)

 

前年度同一期間

当連結会計年度

増減額

増減率 (%)

受注高

385,443

413,569

28,125

7.3

売上高

350,288

381,993

31,704

9.1

営業利益

11,462

18,115

6,653

58.0

売上高営業利益率 (%)

3.3

4.7

経常利益

9,512

16,529

7,017

73.8

親会社株主に帰属する

当期純利益

7,334

9,531

2,196

29.9

1株当たり当期純利益 (円)

77.54

93.84

16.30

 

 

 当連結会計年度における事業環境は、好調が持続する米国に加えて、アジアでも景気が回復しつつあります。日本国内でも公共投資が堅調に推移し、民間設備投資も持ち直しており、全体として市況は緩やかに回復しました。

 この結果、当連結会計年度の受注高は、風水力事業と精密・電子事業の増加により、全体としては前年度同一期間を上回りました。売上高、営業利益は、精密・電子事業の増加により前年度同一期間を上回りました。

 なお、第1四半期連結会計期間より、従来「エンジニアリング事業」としていた報告セグメントの名称を「環境プラント事業」に変更しています。当該変更は名称変更のみであり、セグメント情報に与える影響はありません。

当連結会計年度における売上高は3,819億93百万円(前年度同一期間比9.1%増)、営業利益は181億15百万円(前年度同一期間比58.0%増)、経常利益は165億29百万円(前年度同一期間比73.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は95億31百万円(前年度同一期間比29.9%増)となりました。

 

(2) セグメント別の状況

(単位:百万円)

セグメント

受注高

売上高

セグメント損益

前年度
同一期間

当連結

会計年度

増減率

(%)

前年度
同一期間

当連結

会計年度

増減率

(%)

前年度
同一期間

当連結

会計年度

増減率

(%)

風水力

231,559

251,985

8.8

213,874

225,795

5.6

△3,406

1,262

環境
プラント

50,984

51,513

1.0

45,707

47,616

4.2

3,958

3,148

△20.4

精密・電子

101,664

108,858

7.1

89,473

107,368

20.0

10,361

13,667

31.9

報告セグメント計

384,208

412,358

7.3

349,056

380,780

9.1

10,913

18,078

65.7

その他

1,234

1,210

△1.9

1,232

1,212

△1.7

536

37

△93.1

調整額

11

△0

合計

385,443

413,569

7.3

350,288

381,993

9.1

11,462

18,115

58.0

 

 

《セグメント別の事業環境と事業概況》

セグメント

平成29年12月期の事業環境

平成29年12月期の事業概況と受注高の増減率
(注)1

風水力

ポンプ

<海外>

・石油・ガス市場は引き続き低調

・水インフラ、電力市場は前年並みで推移

 

<国内>

・建築着工棟数は前年並みで推移

・社会インフラの更新・補修に対する投資は、前年を若干下回る

 

<海外>

・石油・ガス関連の受注は低調

・水インフラの受注は前年度同一期間を上回る

・電力関連の受注は低調

 

<国内>

・建築設備向けの受注は前年度同一期間に比べ増加

・公共向けの受注は前年度同一期間を若干上回る

 


コンプ

レッサ・

タービン

 

・新規製品への投資は緩やかに回復しているものの、市場は依然として低調で価格を含めた厳しい競争が継続

 

・韓国及び中国を中心にエチレンや石油精製の分野で動きがあり、北米でも案件が発注された

 

・サービスでは前年度までのメンテナンス先送りの影響により、故障によるプラント停止対応が増加、また改造案件の発注延期傾向に歯止めがかかった

 

・新規製品の受注は引き続き低調

 

・アジアや中東の石油化学・石油精製プラント向けなどの案件を受注

 

・サービス関連の受注はアジアを中心に復調


冷熱

・国内・中国ともに市況は例年並み

・国内の受注は堅調

 

・中国の受注は前年度同一期間並み


 環境プラント

(注)2

・公共向け廃棄物処理施設のEPCの発注量は前年並み

 

・既存施設のO&Mの発注量は例年どおり推移

 

・民間企業でのバイオマス等を用いた発電施設の建設需要は継続

・DBO案件及び長期包括案件の受注が堅調

 

<大型案件の受注状況>

・公共向け廃棄物処理施設のDBO案件

  (4-6月:1件)

 

・公共向け廃棄物処理施設の長期包括  案件

 (7-9月:1件、10-12月:1件)


精密・電子

・半導体関連の設備投資額は依然として高水準が続く

 

・メモリ関連の設備投資が活況

・メモリ、ロジックともに好調であり、特にアジアの設備投資が活発


 

(注)1.矢印は受注高の前期比の増減率を示しています。

 +5%以上の場合は


、△5%以下の場合は


、±5%の範囲内の場合は


で表しています。

 

2.EPC(Engineering, Procurement, Construction)…プラントの設計・調達・建設

O&M(Operation & Maintenance) ……………………プラントの運転管理・メンテナンス

DBO(Design, Build, Operate)………………………プラントの設計・調達・建設に加え、建設後の

運転管理・メンテナンスを一定期間請け負う。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度は平成29年4月1日から平成29年12月31日までの9か月決算となります。このため、前年度比については記載していません。

営業活動によるキャッシュ・フローは、主に売上債権の回収が進んだ結果、441億57百万円の収入超過となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出123億80百万円、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入55億43百万円などにより、79億6百万円の支出超過となりました。

営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、362億50百万円の収入超過となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入100億円、短期借入金及び長期借入金が純額で80億31百万円増加したことや、配当金を60億93百万円支払ったことなどにより、112億96百万円の収入超過となりました。

以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前年度末から484億19百万円増加し、1,391億2百万円となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当連結会計年度は平成29年4月1日から平成29年12月31日までの9か月決算となります。

下記の前年度同一期間比(%)は、前年度同一期間の実績と当期実績を比較した増減率です。前年度同一期間とは、3月決算であった会社は平成28年4月1日から12月31日までを指し、12月決算会社である会社は平成28年1月1日から12月31日までを指します。

 

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年度同一期間比(%)

報告セグメント

 

 

 風水力事業

223,609

△1.6

 環境プラント事業

19,027

5.4

 精密・電子事業

68,877

△1.4

  報告セグメント計

311,514

△1.1

 その他

合計

311,514

△1.1

 

 

(2) 受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年度同一期間比(%)

受注残高(百万円)

前期末比(%)

報告セグメント

 

 

 

 

 風水力事業

251,985

8.8

194,063

15.8

 環境プラント事業

51,513

1.0

170,416

2.5

 精密・電子事業

108,858

7.1

30,832

5.2

  報告セグメント計

412,358

7.3

395,312

8.9

 その他

1,210

△1.9

0

△65.0

合計

413,569

7.3

395,313

8.9

 

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年度同一期間比(%)

報告セグメント

 

 

 風水力事業

225,795

5.6

 環境プラント事業

47,616

4.2

 精密・電子事業

107,368

20.0

  報告セグメント計

380,780

9.1

 その他

1,212

△1.7

合計

381,993

9.1

 

(注) 上記(1)から(3)の金額は、いずれも販売価格によっており、消費税等は含まれていません。また、セグメント間取引消去後の金額です。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「水と空気と環境の分野で、優れた技術と最良のサービスを提供することにより、広く社会に貢献する」ことを企業理念としています。社会に安全・安心と快適さを届けるための製品を提供し、それが最も効率よく使われるためのサービスとサポートを提供し続けることによって、企業としての価値を向上させていきます。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標

 <中長期的な会社の経営戦略>

当社グループでは、2017年度から2019年度を計画対象期間とする中期経営計画「E-Plan2019」を策定しました。特に風水力事業の収益性改善が不十分であったという前中期経営計画の総括を踏まえ、当該期間においては、E-Plan2019完了時に世界規模で事業展開し成長する産業機械メーカへとさらなる発展を目指すために、全事業の収益性を徹底的に改善することを目標とし、「成長への飽くなき挑戦」を実践する期間と位置づけています。

 

 E-Plan2019では、グループ基本方針として以下の5つを策定しました。

 

1. 当社グループの収益基盤を市況変動によらない強固なものとし、さらなる成長を図ります。

1) グローバル市場において安定的な成長と収益が期待できる事業は、着実な成長と収益性改善を図ります。

2) 市況変動の影響を大きく受ける事業は、市況の底においても安定して収益を計上できる事業構造に変革します。

 

2. 全自動化工場を核として生産プロセスと業務プロセスの刷新を図り、製品競争力強化と収益性改善を実現します。

1) IoT、AI、ロボティクス技術の導入を拡大し、E-Plan2019期間中に、標準ポンプ事業と精密・電子事業において、生産効率を画期的に高め全自動化された生産工場を立ち上げ、さらには生産工場を核として販売、サプライチェーン、サービス&サポート(S&S)等の業務プロセスを革新します。
2) 既存機種の絞り込みを進めたうえで、設計・生産・サプライチェーンを根本から見直すことにより、製品リードタイム短縮と製造原価低減を実現します。
3) 従来の業務プロセスを見直し、受注、生産、販売、S&Sが一体となった事業運営と業務システムの刷新を図ることにより、業務効率を大幅に改善し、固定費の圧縮を図ります。
4) 新製品は、ターゲット市場を明確にしたうえで顧客ニーズを確実に反映し、革新した生産プロセスを活用して迅速に市場投入します。
 

3. 収益性の改善と安定化のためにS&S事業を拡大します。

1) S&S事業の拡大のために、サービス拠点の拡充と拠点機能の強化を進めるとともに、IoT、AI等の新技術を取り入れた新サービスの開発と市場投入を行います。
2) 特に市況変動の影響を大きく受ける事業においては、売上高・営業利益におけるS&S事業の比率を高めることにより、収益性の改善と安定化を図ります。
 

4. 安定した成長と収益が期待できる事業においては、海外市場シェア向上と製品ラインナップ拡充を目的として、市況変動の影響を大きく受ける事業においては、S&S事業の領域拡大を目的として、M&Aを有効な手段として活用します。

 
5. 各事業のグローバル展開を支えるため、コーポレートの戦略的機能を強化するとともに、全グループにおいて定常的な業務の集約・効率化を図ります。
 

 

 <目標とする経営指標>

 当計画では投下資本利益率(ROIC)、各事業における売上高営業利益率を経営指標としています。

 最終年度における目標値は以下のとおりです。

 

ROIC

 

8.0%以上

売上高営業利益率 

グループ全体

9.0%以上

 風水力事業

8.5%以上

  ポンプ事業

8.0%以上

  コンプレッサ・タービン事業

11.0%以上

  冷熱事業

7.0%以上

 環境プラント事業

11.0%以上

 精密・電子事業

12.0%以上

 

(注) 1 ROIC = 親会社株主に帰属する当期純利益 ÷{有利子負債(期首期末平均)+自己資本(期首期末平均)}

2 5,000億円以上の売上高を前提とする

 

(3) 経営環境

中期経営計画E-Plan2019を策定する上で前提とした経営環境は以下のとおりです。

当社製品はいずれも世界各国のGDP 成長、経済発展による生活レベルの向上により需要が確実に拡大する製品です。従って、世界経済の影響により短期的には市場が変動する可能性はありますが、長期的には各事業において成長が望めると想定しています。

そのような中で、各事業の市場成長に一定のリスクを織り込み、売上規模拡大に依存しない計画を策定し実行します。

なお、当連結会計年度における経営環境については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」及び「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) セグメント別の状況」をご参照ください。

  

(4) 会社の対処すべき課題

当社グループは、平成31年度を目標年度とする3ヵ年の中期経営計画「E-Plan2019」に基づき、世界規模で事業展開し成長する産業機械メーカへとさらなる発展を目指すために、全事業の収益性を徹底的に改善することを目標とし、「成長への飽くなき挑戦」を実践していきます。

また、当社グループはその実践に向け、人事制度、組織、働き方改革を含む企業風土改革を実行していきます。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存です。

本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は本有価証券報告書提出日現在において判断したものです。

 

(1) 市場環境

当社グループが事業を展開している市場は競争が激しく、当社グループの製品及びサービスに対する価格低下の圧力が当社グループの業績を悪化させる可能性があります。また、風水力事業では主力のポンプ事業及びコンプレッサ・タービン事業において石油・ガス市場での石油・ガスの需要・供給バランスや価格の変動が同事業の収益性を悪化させる可能性があります。環境プラント事業では公共事業割合が高く公共事業費支出動向の影響を受けることがあり、精密・電子事業では半導体市場における顧客の設備投資の動向に大きく影響を受けることがあります。

 

(2) 追加コストの発生及び海外事業

当社グループは、国内外において機械・プラントの設計・製作、据付・施工等を行っていますが、これらの中には技術的難易度が高いものが含まれ、不適合や所定の能力への到達期間が長期化すること等により追加コストが発生する可能性があります。また、海外事業にはカントリーリスク等国内と異なる事業環境に伴うリスクがあり、海外グループ会社及びその従業員のコンプライアンスには困難が伴う場合があります。これらのリスクに対する管理は万全を期していますが、適切に対処できない場合には当社グループの業績や社会的信用等に影響を与える可能性があります。

 

(3) 事業再編等

当社グループは不断に経営基盤の強化に取り組んでおり、不採算事業からの撤退や関係会社の整理等の事業再編を行うことがありますが、かかる事業再編が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 為替リスク

海外における事業活動に係る外貨建取引及び外貨建資産・負債等は、連結財務諸表作成のために円換算されています。これらは換算時の為替レートの変動により、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5) 金利変動及び資金調達に関するリスク

当社グループの有利子負債に係わる金利の変動が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループが借入契約の財務制限条項に抵触した場合は、金利の上昇を請求されたり期限の利益を喪失したりする可能性があり、当社の格下げや市場の混乱といった事態が生じた場合は、当社グループの借入コストや資金調達能力に影響を与える可能性があります。

 

(6) 災害や社会インフラの障害発生にかかる影響

当社グループの事業所が、大規模な台風、地震等の自然災害に見舞われた場合は操業に支障を来たすことがあり、また、重大な労働災害、設備事故等が発生した場合には事業活動の停止や制約等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(7) 繰延税金資産

当社グループの繰延税金資産については、将来の課税所得見込額から回収可能性を判定し、回収が不確実と考えられる部分(回収懸念額)に対しては評価性引当額を計上しています。将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、純損益額が変動する可能性があります。また、税制の改正等により純損益額が変動する可能性があります。

 

(8) 資材調達

当社グループは製造や建設等のために部品・資材・工事の調達を行っており、市況の変動による影響を受けます。素材価格又は工事費の高騰は当社グループの調達コストの増加につながり、業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(9) 法的規制

当社グループは国内外で事業を展開しており、許認可、製造物責任、貿易、租税、競争、汚職、知的財産、環境、労務等に関する各国の法的規制を受けているため、当社グループがかかる法的規制に違反した場合、当社グループの業績及び社会的信用等に影響を与える可能性があります。また、法令の制定、改廃等により計画の前提条件が変更になる場合があります。それらの前提条件の変更が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(10) 輸出債権回収リスク

当社グループは世界各国へ製品を輸出していますが、国際的な協調政策や地域政情変動等の政治要因により輸出債権の回収不能が見込まれる恐れがあります。回収不能が発生する場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(11) 退職給付債務

退職給付制度に関する費用負担の変動(年金資産の時価や運用利回りの変動等)が、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、数理計算上の差異及び過去勤務費用の変動が、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(12) 訴訟その他の紛争に関するリスク

当社グループの事業活動において、製造物責任、知的財産、環境保全、労務問題等に関し訴訟を提起されたり訴訟を提起する場合があり、また、当社グループの製品による知的財産権の侵害を理由に製品供給先から訴訟提起等をされる場合があります。これらの動向によっては当社グループの業績及び社会的信用等に影響を与える可能性があります。

 

(13) 旧本社・羽田工場跡地売却に関する係争について

旧本社・羽田工場の跡地については、ヤマト運輸株式会社との譲渡契約に従い明渡しが完了していますが、その後、同社の物流ターミナル建設工事に伴い石綿含有スレート片が発見され、同社より譲渡契約における債務不履行又は瑕疵担保責任を理由に85億5百万円及び遅延損害金の支払いを求める損害賠償請求訴訟を提起されています。当社は、当該スレート片は債務不履行又は瑕疵には該当しないとの見解であり、法律事務所からも当社の見解を支持する法的意見書を入手しています。当社は見解の正当性を主張・立証してまいりましたが、平成28年4月28日、東京地方裁判所より56億18百万円及び遅延損害金の支払いを命じる判決があり、当社は控訴しました。当社は判決に伴う訴訟損失引当金64億64百万円を計上済みですが、今後の事態の進展によっては、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(14) 岐阜市東部クリーンセンター粗大ごみ処理施設の火災事故について

平成27年10月23日に、岐阜県岐阜市芥見の岐阜市東部クリーンセンター粗大ごみ処理施設において、当社連結子会社の荏原環境プラント株式会社(以下、EEP)による設備修繕作業中に火災事故が発生しました。なお、EEPは粗大ごみ処理施設に隣接するごみ焼却施設の運転管理業務を受託しています。本事故の損害賠償に関し、岐阜市と対応を協議していますが、今後の事態の進展によっては、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 技術導入契約

記載すべき重要な契約はありません。

 

(2) 技術供与契約

記載すべき重要な契約はありません。

 

(3) 業務提携契約

記載すべき重要な契約はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発は、①事業の根幹を支える共通基盤技術、その融合による製品コア技術の研究開発、②中長期的展望に基づいた技術シーズの探索と実用化、③現有技術の拡張展開、新技術の実用化・新製品応用のための研究開発、④既存製品の高付加価値化のための研究開発に区分されます。①と②は平成26年4月から活動を開始したコーポレート研究開発組織を中心に、カンパニーと密接に連携を取り、大学等の外部研究機関との共同研究も積極的に活用して進めました。さらに特徴のある技術を有する中小企業との連携を発展させ、研究開発に係わる試作機能を強化しました。また、③と④については個別の事業部門及びグループ各社が主体となって実施しました。これらのいずれにも区分されない新規領域推進のために運用を開始したEIX(Ebara Innovation for X)制度を活用し、プロセスイノベーション等への取り組みと成果の利用を加速し進めています。当連結会計年度の研究開発費は72億18百万円です。

セグメントごとの研究開発活動の状況は、以下のとおりです。

 

(風水力事業)

風水力事業分野では、中長期的に成長の持続が期待される、水インフラ、エネルギー(電力、石油・ガス)、環境(省エネ)などのグローバル市場向け製品に関し、海外グループ会社との連携強化を含め、ラインナップ拡充や製品力強化に取り組み、市場投入を行いました。標準ポンプでは、省エネ・省資源・環境負荷低減を指向した製品群の開発を進めるとともに、顧客の利便性向上に向け近距離無線通信(NFC)を搭載した給水ユニット製品を市場投入しました。冷凍機分野においては、環境負荷低減化の要望の高まりに応えるために、従来のフロン冷媒に替わる、地球温暖化係数が小さい冷媒を用いた新製品の開発に取り組みました。基盤技術に関しては、「数値シミュレーションなどによる開発スループットの一層の向上とプロセスの標準化」、「実験基盤技術の拡充」、「製品性能や信頼性の向上に寄与する“制振・制御技術”、“材料技術”、“製品ライフサイクルを支えるIoT技術”の開発・応用」などについて継続して取り組みました。当連結会計年度の研究開発費は38億61百万円です。

 

(環境プラント事業)

環境プラント事業分野では、廃棄物処理施設の建設工事(EPC)から施設運営・維持管理(O&M)までを長期的に一括して行うDBO事業、既存施設の延命化を提案する延命化事業、既存施設のO&Mを長期にわたり運営委託を受ける長期包括事業に取り組んでおり、これまで以上に提案力や、品質、コスト競争力強化が求められています。また、再生可能エネルギーの1つとしてバイオマス発電の需要が高まりを見せています。これらの状況を踏まえ、施設更新に伴う機能強化、ライフサイクルコスト低減を可能とする新技術・新製品開発、保守運営技術の改良開発、バイオマス発電における要素技術の開発に取組むとともに、これらを支えるAIやIoT技術の活用を推進しています。当連結会計年度の研究開発費は3億48百万円です。

 

(精密・電子事業)

精密・電子事業分野では、半導体デバイス製造プロセス用装置において、チップの微細化や3次元集積化だけでなく、昨今注目されている新しいパッケージング技術などの開発要求やIoT分野などの新しい市場を見据えた技術開発要求に対応できるよう、装置の改良・改善及び新機種の開発に取り組んでいます。コンポーネント製品においては、更なる省エネ化及び環境負荷低減に貢献できる製品の開発に取り組んでいます。また、顧客との共同開発・コンソーシアムへの参画、さらには各大学との共同研究などを通して、次世代半導体プロセス技術における研究も継続しています。当連結会計年度の研究開発費は30億8百万円です。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

(1) 財政状態に関する分析

① 資産

当連結会計年度末における資産総額は、前年度末に比べて現金及び預金が480億94百万円、原材料及び貯蔵品が53億11百万円、仕掛品が44億23百万円増加した一方、受取手形及び売掛金が335億76百万円減少したことなどにより、244億62百万円増加し6,129億19百万円となりました。

② 負債

当連結会計年度末における負債総額は、前年度末に比べて社債が100億円、短期借入金が76億80百万円増加したことなどにより、171億82百万円増加し3,281億31百万円となりました。

③ 純資産

当連結会計年度末における純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益を95億31百万円計上した一方、配当金を60億93百万円支払い、為替換算調整勘定が18億83百万円増加したことなどにより72億79百万円増加し2,847億88百万円となりました。自己資本は2,779億55百万円で、自己資本比率は45.3%となりました。

 

(2) 経営成績に関する分析

当連結会計年度は平成29年4月1日から平成29年12月31日までの9か月決算となります。

以下、増減については「前年度同一期間」との比較で記載しています。(前年度同一期間とは、3月決算であった会社は平成28年4月1日から12月31日までを指し、12月決算会社である会社は平成28年1月1日から12月31日までを指します。)

売上高は、主に精密・電子事業の増加により、前年度同一期間比で317億4百万円増加して3,819億93百万円となりました。

売上原価は2,852億61百万円、売上原価率は74.7%となり、売上総利益は967億32百万円となりました。販売費及び一般管理費は786億16百万円、営業利益は前年度同一期間比で66億53百万円増加して181億15百万円となりました。

営業外損益の純額は、支払利息11億36百万円を計上したこと等により、15億85百万円のマイナスとなりました。その結果、経常利益は前年度同一期間比で70億17百万円増加して165億29百万円となりました。

特別損益の純額は、固定資産売却益22億9百万円、投資有価証券売却益13億52百万円、減損損失9億52百万円を計上したこと等により、20億24百万円のプラスとなりました。その結果、税金等調整前当期純利益は、185億54百万円となりました。

また、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額が82億32百万円になったほか、非支配株主に帰属する当期純利益は7億90百万円となりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度同一期間比で21億96百万円増加して95億31百万円となりました。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表、偶発債務に影響を及ぼします。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。

① 繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。

将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。

② 退職給付債務及び退職給付費用

退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算しています。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い長期債利回りを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、過去の運用実績及び将来見通し等を基礎として設定しています。割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。

 

③ 完成工事補償引当金

完成工事高に対して将来予想される瑕疵担保費用を一定の比率で算定し、完成工事補償引当金として計上しています。

引当金の見積りにおいて想定していなかった完成工事の不具合による補償義務の発生や、引当の額を超えて補償費用が発生する場合は、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。一方、実際の補償費用が引当金の額を下回った場合は引当金戻入益を計上することになります。

④ 製品保証引当金

製品売上高に対して将来予想される瑕疵担保費用を一定の比率で算定し、製品保証引当金として計上しています。

引当金の見積りにおいて想定していなかった製品の不具合による保証義務の発生や、引当の額を超えて保証費用が発生する場合は、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。一方、実際の保証費用が引当金の額を下回った場合は引当金戻入益を計上することになります。

⑤ 工事損失引当金

工事契約について、未引渡工事のうち損失の発生する可能性が高く、工事損失額を期末において合理的に見積ることが出来る工事については、当該損失見込額を工事損失引当金として計上しています。

技術的難易度の高い長期請負工事や海外でのカントリー・リスク等のある工事等において、工事の進行に伴い見積りを超えた原価が発生する場合は、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性に係る情報

① 資本の財源

財務基盤の強化については、収益力及び資産効率の向上によることを基本としています。当連結会計年度においては、営業活動によるキャッシュ・フローは441億57百万円の収入超過、投資活動によるキャッシュ・フローについては79億6百万円の支出超過となり、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、362億50百万円の収入超過となりました。

また、当連結会計年度末において、有利子負債残高は1,145億92百万円(短期有利子負債812億11百万円、長期有利子負債333億80百万円)で、前年度末の有利子負債残高965億31百万円からは180億61百万円増加しました。

 

② 資金の流動性管理

資金の流動性については、事業規模に応じた現金及び現金同等物の適正額を維持することとしています。また、金融上のリスクに対応するため主要取引銀行とコミットメントライン契約等を締結することで手許流動性を確保しています。なお、グループ内の資金効率を高めるため、余資は当社に集中し、不足するグループ会社に配分する制度を運用しています。

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,391億2百万円であり、金融機関との間で当座貸越契約50億円、コミットメントライン 450億円の契約を締結しています。これら契約に基づく当座貸越極度額及びコミットメントラインの総額500億円に対し、当連結会計年度末の借入実行残高はありません。

 

 

(5) 今後の見通し

全般的な市場環境としては、米国や中国などの政策動向や地政学的リスクにより先行きの不透明な状況が続くことが予測されますが、主に米国経済が世界景気を牽引して回復基調が続くと見込んでおり、当社の事業環境も緩やかに改善すると見込んでいます。

 

《事業環境の見通し》

セグメント

事業環境

風水力

ポンプ

 

<海外>

・石油・ガス市場では、設備投資が緩やかに回復

・電力市場では、東南アジアを中心に需要が堅調

・水インフラ市場では、北米や東南アジアを中心に需要が堅調

・肥料市場では、インド、東南アジア、北米を中心に需要が堅調

 

<国内>

・建築設備向け市場は前年並みで推移

・公共向けは自然災害に対する事前防災対策や社会インフラの老朽化対策が推進されることにより堅調に推移

 

コンプレッサ・タービン

 

・原油価格は安定を取り戻した一方、顧客は投資に対する慎重な姿勢を崩していない

・新規製品の石油化学・石油精製プラント向けは回復傾向だが、石油・ガス市場全体は依然として低調であり、厳しい競争は継続する見込み

・サービスでは目立った市場規模の拡大は見込まれない一方、改造案件の増加が見込まれる

 

冷熱

・国内は更新需要を中心に堅調

・中国は市況の回復に強さは見られない

環境プラント

 

・公共向け廃棄物処理施設の新規建設需要は例年並みの見込み

・既存施設のO&Mの需要は例年並みの見込み

・民間企業での木質バイオマス等を用いた発電施設の建設需要は継続する見込み

 

精密・電子

・半導体関連の設備投資はメモリ、ロジックともに堅調