第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率 (%)

受注高

491,280

477,956

△13,324

△2.7

売上高

486,235

476,104

△10,130

△2.1

営業利益

38,011

29,995

△8,015

△21.1

売上高営業利益率 (%)

7.8

6.3

経常利益

36,471

28,464

△8,007

△22.0

親会社株主に帰属する

当期純利益

17,254

20,587

3,333

19.3

1株当たり当期純利益 (円)

185.58

213.71

28.13

 

 

当連結会計年度における事業環境は、好調が持続する米国に加えて、アジアでも景気の持ち直しの動きが出ています。日本国内でも公共投資が底堅く、民間設備投資も持ち直しつつあり、全体として市況は緩やかに回復しました。

一方で、当連結会計年度の受注高は、精密・電子事業では半導体市場の堅調な設備投資を受け増加したものの、風水力事業が石油・ガス市場の顧客の低調な設備投資を受け減少し、エンジニアリング事業は前年度好調だった長期包括案件の受注が反動減となったことなどから、全体としては前年度を下回りました。売上高と営業利益についても、精密・電子事業で増加したものの、風水力事業とエンジニアリング事業で減少し、前年度を下回りました。一方、親会社株主に帰属する当期純利益については、前年度に訴訟損失引当金繰入額を計上した影響で、当年度は前年度比で増加しました。

当連結会計年度における売上高は4,761億4百万円前年度比2.1%減)、営業利益は299億95百万円前年度比21.1%減)、経常利益は284億64百万円前年度比22.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は205億87百万円前年度比19.3%増)となりました。

 

(2) セグメント別の状況

(単位:百万円)

報告セグメント

受注高

売上高

セグメント損益

前連結

会計年度

当連結

会計年度

増減率

(%)

前連結

会計年度

当連結

会計年度

増減率

(%)

前連結

会計年度

当連結

会計年度

増減率

(%)

風水力

307,624

288,532

△6.2

320,829

292,246

△8.9

19,335

9,476

△51.0

エンジニアリング

80,095

64,605

△19.3

70,381

68,064

△3.3

6,431

5,760

△10.4

精密・電子

101,870

123,144

20.9

93,328

114,120

22.3

11,697

14,115

20.7

報告セグメント計

489,590

476,282

△2.7

484,538

474,432

△2.1

37,464

29,352

△21.7

その他

1,690

1,673

△1.0

1,696

1,672

△1.4

515

632

22.6

調整額

30

11

合計

491,280

477,956

△2.7

486,235

476,104

△2.1

38,011

29,995

△21.1

 

 

 

《セグメント別の事業環境と事業概況》

セグメント

平成29年3月期の事業環境

平成29年3月期の事業概況と受注高の増減率

風水力

ポンプ

<海外>

・石油・ガス市場の低迷は継続

<国内>

・建築着工棟数に持ち直しの動き

・社会インフラの更新や補修に対する投資は前年度並み

<海外>

・石油・ガス関連の受注は低調

・水インフラ、電力関連の受注は堅調

<国内>

・建築設備向けは前年度並み

・公共向けは上期好調で、前期を上回る


コンプ

レッサ・

タービン

・原油価格は持ち直すも、市場は回復していない

・アジアや中東など一部の地域では設備投資が動き始める

・受注は全体的に低調

・アジアの石油精製プラントなど中小型の案件を受注


冷熱

・国内の市況は回復傾向

・中国の市況は低調の中で厳しい競争環境が継続

・受注は全体的に微減


エンジニアリング

・廃棄物処理施設の建設工事の発注量は前年度並み

・既存施設の運転及び維持管理の発注量は例年通り推移

・民間企業でのバイオマス等を用いた発電施設の計画が増加

・大型案件の受注件数減少により前期を下回る

<大型案件の受注状況>

廃棄物処理施設の建設工事(1件)

既存施設の基幹的設備改良工事
(1件)

既存施設の長期包括案件(1件)

木質バイオマス発電施設の建設工事(2件)

<優先交渉権を取得している大型案件>

廃棄物処理施設の建設工事(1件)


精密・電子

・半導体関連の設備投資額は高水準が続く

・サーバ向けストレージ需要が増加

・最先端ロジック用や3次元NANDフラッシュメモリ用のCMP装置、コンポーネント機器の需要が拡大


 

(注)矢印は受注高の前期比の増減率を示しています。

 +5%以上の場合は


、△5%以下の場合は


、±5%の範囲内の場合は


で表しています。

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、主に売上債権の回収が進んだ結果、338億16百万円の収入超過前年度比122億87百万円の収入増加)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出215億91百万円などの結果、185億63百万円の支出超過前年度比42億19百万円の支出増加)となりました。

営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、152億52百万円の収入超過(前年度比80億67百万円の収入増加)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金を55億82百万円支払ったことや連結の範囲の変更を伴わない子会社株式及び出資金の取得による支出51億69百万円などにより、151億2百万円の支出超過前年度比54億46百万円の支出増加)となりました。

以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前年度末から5億1百万円減少し、906億83百万円となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

報告セグメント

 

 

 風水力事業

285,517

△9.6

 エンジニアリング事業

22,115

14.0

 精密・電子事業

99,498

33.0

  報告セグメント計

407,131

△0.8

 その他

合計

407,131

△0.8

 

 

(2) 受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

報告セグメント

 

 

 

 

 風水力事業

288,532

△6.2

167,534

△4.1

 エンジニアリング事業

64,605

△19.3

166,324

△2.3

 精密・電子事業

123,144

20.9

29,299

42.7

  報告セグメント計

476,282

△2.7

363,158

△0.7

 その他

1,673

△1.0

2

98.4

合計

477,956

△2.7

363,160

△0.6

 

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

報告セグメント

 

 

 風水力事業

292,246

△8.9

 エンジニアリング事業

68,064

△3.3

 精密・電子事業

114,120

22.3

  報告セグメント計

474,432

△2.1

 その他

1,672

△1.4

合計

476,104

△2.1

 

(注) 上記(1)から(3)の金額は、いずれも販売価格によっており、消費税等は含まれていません。また、セグメント間取引消去後の金額です。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「水と空気と環境の分野で、優れた技術と最良のサービスを提供することにより、広く社会に貢献する」ことを企業理念としています。社会に安全・安心と快適さを届けるための製品を提供し、それが最も効率よく使われるためのサービスとサポートを提供し続けることによって、企業としての価値を向上させていきます。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標

 <中長期的な会社の経営戦略>

当社グループでは、2017年度から2019年度を計画対象期間とする中期経営計画「E-Plan2019」を策定しました。特に風水力事業の収益性改善が不十分であったという前中期経営計画の総括を踏まえ、当該期間においては、E-Plan2019完了時に世界規模で事業展開し成長する産業機械メーカへとさらなる発展を目指すために、全事業の収益性を徹底的に改善することを目標とし、「成長への飽くなき挑戦」を実践する期間と位置づけています。

 

 E-Plan2019では、グループ基本方針として以下の5つを策定しました。

 

1. 当社グループの収益基盤を市況変動によらない強固なものとし、さらなる成長を図ります。

1) グローバル市場において安定的な成長と収益が期待できる事業は、着実な成長と収益性改善を図ります。

2) 市況変動の影響を大きく受ける事業は、市況の底においても安定して収益を計上できる事業構造に変革します。

 

2. 全自動化工場を核として生産プロセスと業務プロセスの刷新を図り、製品競争力強化と収益性改善を実現します。

1) IoT、AI、ロボティクス技術の導入を拡大し、E-Plan2019期間中に、標準ポンプ事業と精密・電子事業において、生産効率を画期的に高め全自動化された生産工場を立ち上げ、さらには生産工場を核として販売、サプライチェーン、サービス&サポート(S&S)等の業務プロセスを革新します。
2) 既存機種の絞り込みを進めたうえで、設計・生産・サプライチェーンを根本から見直すことにより、製品リードタイム短縮と製造原価低減を実現します。
3) 従来の業務プロセスを見直し、受注、生産、販売、S&Sが一体となった事業運営と業務システムの刷新を図ることにより、業務効率を大幅に改善し、固定費の圧縮を図ります。
4) 新製品は、ターゲット市場を明確にしたうえで顧客ニーズを確実に反映し、革新した生産プロセスを活用して迅速に市場投入します。
 

3. 収益性の改善と安定化のためにS&S事業を拡大します。

1) S&S事業の拡大のために、サービス拠点の拡充と拠点機能の強化を進めるとともに、IoT、AI等の新技術を取り入れた新サービスの開発と市場投入を行います。
2) 特に市況変動の影響を大きく受ける事業においては、売上高・営業利益におけるS&S事業の比率を高めることにより、収益性の改善と安定化を図ります。
 

4. 安定した成長と収益が期待できる事業においては、海外市場シェア向上と製品ラインナップ拡充を目的として、市況変動の影響を大きく受ける事業においては、S&S事業の領域拡大を目的として、M&Aを有効な手段として活用します。

 
5. 各事業のグローバル展開を支えるため、コーポレートの戦略的機能を強化するとともに、全グループにおいて定常的な業務の集約・効率化を図ります。
 

 

 <目標とする経営指標>

 当計画では投下資本利益率(ROIC)、各事業における売上高営業利益率を経営指標としています。

 最終年度における目標値は以下のとおりです。

 

ROIC

 

8.0%以上

売上高営業利益率 

グループ全体

9.0%以上

 風水力事業

8.5%以上

  ポンプ事業

8.0%以上

  コンプレッサ・タービン事業

11.0%以上

  冷熱事業

7.0%以上

 環境プラント事業

11.0%以上

 精密・電子事業

12.0%以上

 

(注) 1 ROIC = 親会社株主に帰属する当期純利益 ÷{有利子負債(期首期末平均)+自己資本(期首期末平均)}

2 5,000億円以上の売上高を前提とする

 

(3) 経営環境

中期経営計画E-Plan2019を策定する上で前提とした経営環境は以下のとおりです。

当社製品はいずれも世界各国のGDP 成長、経済発展による生活レベルの向上により需要が確実に拡大する製品です。従って、世界経済の影響により短期的には市場が変動する可能性はありますが、長期的には各事業において成長が望めると想定しています。

そのような中で、各事業の市場成長に一定のリスクを織り込み、売上規模拡大に依存しない計画を策定し実行します。

なお、当連結会計年度における経営環境については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」及び「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) セグメント別の状況」をご参照ください。

  

(4) 会社の対処すべき課題

当社グループは、平成31年度を目標年度とする3ヵ年の中期経営計画「E-Plan2019」に基づき、世界規模で事業展開し成長する産業機械メーカへとさらなる発展を目指すために、全事業の収益性を徹底的に改善することを目標とし、「成長への飽くなき挑戦」を実践していきます。

また、当社グループはその実践に向け、競争し挑戦する企業風土へと変革するため、人事制度を改定し、年功性を排除することにより人材登用の活性化と実力主義・成果主義を徹底するとともに、組織については、大型化・フラット化を実行し、組織数を半減させ、組織運営の効率化を推進していきます。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存です。

本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は本有価証券報告書提出日現在において判断したものです。

 

(1) 市場環境

当社グループが事業を展開している市場は競争が激しく、当社グループのほとんどの製品及びサービスが価格低下の圧力に直面しており、価格低下の圧力が当社グループの事業、業績を悪化させる可能性があります。また、エンジニアリング事業では公共事業割合が高く公共事業費支出動向の影響を受け、精密・電子事業ではシリコンサイクルに伴う市況変動等の影響を大きく受けることがあります。

 

(2) 大型プロジェクト及び海外事業

当社グループは、国内外での大型プロジェクトにおいて機械・プラントの設計・製作、据付・施工等を行っていますが、これらの中には技術的難易度が高いものが含まれ、不適合や所定の能力への到達期間が長期化すること等により追加コストが発生する可能性があります。また、海外事業にはカントリーリスク等国内と異なる事業環境に伴うリスクがあり、海外グループ会社及びその従業員のコンプライアンスには困難が伴う場合があります。これらのリスクに対する管理は万全を期していますが、適切に対処できない場合には当社グループの業績や社会的信用等に影響を与える可能性があります。

 

(3) 事業再編等

当社グループは不断に経営基盤の強化に取り組んでおり、不採算事業からの撤退や関係会社の整理等の事業再編を行うことがありますが、かかる事業再編が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 為替リスク

海外における事業活動に係る外貨建取引等は、連結財務諸表作成のために円換算されています。これらは換算時の為替レートの変動により、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5) 金利変動及び資金調達に関するリスク

当社グループの有利子負債は固定金利と変動金利からなっており、金利の高下が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループが借入契約の財務制限条項に抵触した場合は、金利の上昇を請求されたり期限の利益を喪失したりする可能性があり、当社の格下げや市場の混乱といった事態が生じた場合は、当社グループの借入コストや資金調達能力に影響を与える可能性があります。

 

(6) 災害や社会インフラの障害発生にかかる影響

当社グループの事業所が、大規模な台風、地震等の自然災害に見舞われた場合は操業に支障を来たすことがあり、また、重大な労働災害、設備事故等が発生した場合には事業活動の停止や制約等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(7) 繰延税金資産

当社グループの繰延税金資産については、将来の課税所得見込額から回収可能性を判定し、回収が不確実と考えられる部分(回収懸念額)に対しては評価性引当額を計上しています。将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。

 

(8) 資材調達

当社グループは製造や建設等のために部品・資材・工事の調達を行っており、市況の変動による影響を受けます。素材価格又は工事費の高騰は当社グループの調達コストの増加につながり、業績に影響を与える可能性があります。

 

(9) 法的規制

当社グループは国内外で事業を展開しており、許認可、製造物責任、貿易、租税、競争、汚職、知的財産、環境、労務等に関する各国の法的規制を受けているため、当社グループがかかる法的規制に違反した場合、当社グループの業績及び社会的信用等に影響を与える可能性があります。また、法令の制定、改廃等により計画の前提条件が変更になる場合があります。それらの前提条件の変更が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(10) 訴訟その他の紛争に関するリスク

当社グループの事業活動において、製造物責任、知的財産、環境保全、労務問題等に関し訴訟を提起されたり訴訟を提起する場合があり、また、当社グループの製品による知的財産権の侵害を理由に製品供給先から訴訟提起等をされる場合があります。これらの動向によっては当社グループの業績及び社会的信用等に影響を与える可能性があります。

 

(11) 旧本社・羽田工場跡地売却に関する係争について

旧本社・羽田工場の跡地については、ヤマト運輸株式会社との譲渡契約に従い明渡しが完了していますが、その後、同社の物流ターミナル建設工事に伴い石綿含有スレート片が発見され、同社より譲渡契約における債務不履行又は瑕疵担保責任を理由に85億5百万円及び遅延損害金の支払いを求める損害賠償請求訴訟を提起されています。当社は、当該スレート片は債務不履行又は瑕疵には該当しないとの見解であり、法律事務所からも当社の見解を支持する法的意見書を入手しています。当社は見解の正当性を主張・立証してまいりましたが、平成28年4月28日、東京地方裁判所より56億18百万円及び遅延損害金の支払いを命じる判決があり、当社は控訴しました。当社は判決に伴う訴訟損失引当金64億64百万円を計上済みですが、今後の事態の進展によっては、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(12) 輸出債権回収リスク

当社グループは中東地域等へ製品を輸出していますが、国際的な協調政策や地域政情変動等の政治要因により輸出債権の回収不能が見込まれる恐れがあります。回収不能が発生する場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(13) 退職給付債務

退職給付制度に関する費用負担の変動(年金資産の時価や運用利回りの変動等)が、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、数理計算上の差異及び過去勤務費用の変動が、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 技術導入契約

記載すべき重要な契約はありません。

 

(2) 技術供与契約

記載すべき重要な契約はありません。

 

(3) 業務提携契約

記載すべき重要な契約はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発は、①事業の根幹を支える共通基盤技術、その融合による製品コア技術の研究開発、②中長期的展望に基づいた技術シーズの探索と実用化、③現有技術の拡張展開、新技術の実用化・新製品応用のための研究開発、④既存製品の高付加価値化のための研究開発に区分されます。①と②は平成26年4月から活動を開始したコーポレート研究開発組織を中心に、カンパニーと密接に連携を取り、大学等の外部研究機関との共同研究も積極的に活用して進めました。さらに前年度からは、特徴のある技術を有する中小企業との連携構築のための新しい試みも開始しました。また、③と④については個別の事業部門及びグループ各社が主体となって実施しました。さらにこれらのいずれにも区分されない新規領域推進のために運用を開始した、EIX(Ebara Innovation for X)制度を適用し、プロセスイノベーションに取り組み、成果の利用を開始しました。当連結会計年度の研究開発費は87億58百万円です。

セグメントごとの研究開発活動の状況は、以下のとおりです。

 

(風水力事業)

風水力事業分野では、中長期的に成長の持続が期待される、水インフラ、エネルギー(電力、石油・ガス)、環境(省エネ)などのグローバル市場向け製品に関し、海外グループ会社との連携強化を含め、ラインナップ拡充や製品力強化に取り組み市場投入を行いました。標準ポンプでは、引き続き省エネ・省資源・環境負荷低減を指向した製品群の開発と市場浸透などを図りました。国内及び中国市場に続きグローバル市場での販売を開始したターボ冷凍機については、大容量圧縮機の応用開発に取り組み、製品シリーズ拡充を図りました。基盤技術に関しては、開発スループットの一層の向上を目指した数値シミュレーション技術やポンプや圧縮機形状の最適化技術の強化、解析プロセスの標準化、実験基盤技術の拡充、製品ライフサイクルを支えるサービス&サポート向け技術の開発・応用などについて継続して取り組みました。当連結会計年度の研究開発費は47億61百万円です。

 

(エンジニアリング事業)

エンジニアリング事業分野では、廃棄物処理施設の建設工事(EPC)から施設運営・維持管理(O&M)までを長期的に一括して行うDBO事業、既存施設の延命化を提案する延命化事業、既存施設のO&Mを長期にわたり運営委託を受ける長期包括事業に取り組んでおり、これまで以上に提案力や、品質、コスト競争力強化が求められています。また、再生可能エネルギー電力固定価格買取制度(FIT)開始によりバイオマス発電の需要が高まりを見せています。これらの状況を踏まえ、施設更新に伴う機能強化、ライフサイクルコスト低減を可能とする新技術・新製品開発、保守運営技術の改良開発、バイオマス発電における要素技術の開発に取組むとともに、これらを支えるAIやIoT技術の活用を推進しています。当連結会計年度の研究開発費は2億69百万円です。

 

(精密・電子事業)

精密・電子事業分野では、半導体デバイス製造プロセス用装置において、チップの微細化や3次元集積化だけでなく、昨今注目されている新しいパッケージング技術などの開発要求やIoT市場を見据えた技術開発要求に対応できるよう、装置の改良・改善及び新機種の開発に取り組んでいます。コンポーネント製品においては、更なる省エネ化及び環境負荷低減に貢献できる製品の開発に取り組んでいます。また、顧客との共同開発・コンソーシアムへの参画、さらには各大学との共同研究などを通して、次世代半導体プロセス技術における研究も継続しています。当連結会計年度の研究開発費は37億27百万円です。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

(1) 財政状態に関する分析

① 資産

当連結会計年度末における資産総額は、前年度末に比べて受取手形及び売掛金が134億36百万円減少した一方、仕掛品が94億5百万円、投資その他の資産のその他が58億26百万円、建物及び構築物が46億50百万円増加したことなどにより、85億97百万円増加し5,884億57百万円となりました。

② 負債

当連結会計年度末における負債総額は、前年度末に比べて長期借入金が116億50百万円増加した一方、主に新株予約権の行使により新株予約権付社債が199億88百万円減少したことや、短期借入金が149億25百万円減少したことなどにより、184億67百万円減少し3,109億48百万円となりました。

③ 純資産

当連結会計年度においては、配当金を55億82百万円支払ったほか、為替換算調整勘定が51億33百万円減少した一方、親会社株主に帰属する当期純利益205億87百万円を計上しました。また、新株予約権の権利行使に伴う新株の発行によって資本金及び資本剰余金がそれぞれ100億4百万円増加し、資本剰余金に関しては子会社出資持分の追加取得などの影響により14億89百万円減少したため、純額で85億14百万円の増加となりました。その結果、当連結会計年度末の純資産は、前年度末に比べて270億64百万円増加し2,775億9百万円となりました。自己資本は2,713億56百万円で、自己資本比率は46.1%となりました。

 

(2) 経営成績に関する分析

売上高は、精密・電子事業で増加したものの、風水力事業、エンジニアリング事業での減少により、前年度比101億30百万円減少して4,761億4百万円となりました。

売上原価は、前年度比33億11百万円減少し、3,500億32百万円となりました。売上原価率は前年度から0.8ポイント悪化して73.5%となり、売上総利益は前年度比68億18百万円減少し1,260億72百万円となりました。販売費及び一般管理費は、前年度比11億96百万円増加し、960億76百万円となりました。主な要因は、研究開発費の増加11億26百万円等です。その結果、営業利益は80億15百万円減少し299億95百万円となりました。

営業外損益の純額は、前年度比8百万円改善し、15億31百万円のマイナスとなりました。営業外収益は持分法による投資利益が3億12百万円減少したこと等により、前年度比2億74百万円減少し20億82百万円となりました。営業外費用は、為替差損が7億75百万円減少したこと等により、前年度比2億83百万円減少し36億13百万円となりました。その結果、経常利益は前年度比80億7百万円減少し284億64百万円となりました。

特別損益の純額は、前年度比68億17百万円改善し、20億32百万円のプラスとなりました。特別利益は、投資有価証券売却益19億78百万円を計上したこと等により、前年度比6億28百万円増加し26億77百万円となりました。特別損失は、前年度に訴訟損失引当金繰入額64億57百万円を計上したこと等により、前年度比61億89百万円減少し6億45百万円となりました。その結果、税金等調整前当期純利益は、前年度比11億89百万円減少し304億97百万円となりました。

また、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額が前年度比39億43百万円減少し、88億45百万円になったほか、非支配株主に帰属する当期純利益は前年度比5億78百万円減少し、10億63百万円となりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比33億33百万円増加し、205億87百万円となりました。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表、偶発債務に影響を及ぼします。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。

① 繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。

将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。

 

② 退職給付債務及び退職給付費用

退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算しています。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い長期債利回りを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、過去の運用実績及び将来見通し等を基礎として設定しています。割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。

③ 完成工事補償引当金

完成工事高に対して将来予想される瑕疵担保費用を一定の比率で算定し、完成工事補償引当金として計上しています。

引当金の見積りにおいて想定していなかった完成工事の不具合による補償義務の発生や、引当の額を超えて補償費用が発生する場合は、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。一方、実際の補償費用が引当金の額を下回った場合は引当金戻入益を計上することになります。

④ 製品保証引当金

製品売上高に対して将来予想される瑕疵担保費用を一定の比率で算定し、製品保証引当金として計上しています。

引当金の見積りにおいて想定していなかった製品の不具合による保証義務の発生や、引当の額を超えて保証費用が発生する場合は、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。一方、実際の保証費用が引当金の額を下回った場合は引当金戻入益を計上することになります。

⑤ 工事損失引当金

工事契約について、未引渡工事のうち損失の発生する可能性が高く、工事損失額を期末において合理的に見積ることが出来る工事については、当該損失見込額を工事損失引当金として計上しています。

技術的難易度の高い長期請負工事や海外でのカントリー・リスク等のある工事等において、工事の進行に伴い見積りを超えた原価が発生する場合は、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性に係る情報

① 資本の財源

財務基盤の強化については、収益力及び資産効率の向上によることを基本としています。当連結会計年度においては、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、152億52百万円の収入超過となり、前年度比80億67百万円の収入増加となりました。これは営業活動によるキャッシュ・フローが前年度比122億87百万円の収入増加となった一方、投資活動によるキャッシュ・フローについては前年度比42億19百万円の支出増加となったことが要因です。

また、当連結会計年度末において、有利子負債残高は965億31百万円(短期有利子負債635億38百万円、長期有利子負債329億93百万円)で、前年度末の有利子負債残高1,201億26百万円からは235億94百万円減少しました。

 

② 資金の流動性管理

資金の流動性については、事業規模に応じた現金及び現金同等物の適正額を維持することとしています。また、金融上のリスクに対応するため主要取引銀行とコミットメントライン契約等を締結することで手許流動性を確保しています。なお、グループ内の資金効率を高めるため、余資は当社に集中し、不足するグループ会社に配分する制度を運用しています。

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は906億83百万円であり、金融機関との間で当座貸越契約50億円、コミットメントライン450億円の契約を締結しています。これら契約に基づく当座貸越極度額及びコミットメントラインの総額500億円に対し、当連結会計年度末の借入実行残高はありません。

 

 

(5) 今後の見通し

全般的な市場環境としては、米国や中国などの政策動向や地政学的リスクにより先行きの不透明な状況が続くことが予測されますが、主に米国経済が世界景気を牽引して回復基調が続くと見込んでおり、当社の事業環境も緩やかに改善すると見込んでいます。 

 

《事業環境の見通し》

セグメント

事業環境

風水力

ポンプ

<海外>

・石油・ガス市場では、設備投資が緩やかに回復

・電力、水インフラ、肥料市場では北米や東南アジアを中心に需要が堅調

<国内>

・建築設備向け市場は前年度並み

・公共向けは社会インフラの老朽化対策が重点的に推進され、堅調に推移する見込み

コンプレッサ

・タービン

・石油・ガス市場の設備投資に持ち直しの動きがあるもペースは緩やか

・中小型案件の動きが活発化し、大型案件も具体化していく見込み

・競合他社との厳しい競争は継続

冷熱

・国内は更新需要を中心に堅調

・中国は市況の回復に強さはみられず、前年度並みの見込み

エンジニアリング

・公共の廃棄物処理施設の需要は例年並みの見込み

・民間の木質バイオマス等を用いた発電施設の計画が増加

精密・電子

・半導体関連の設備投資はメモリ、ロジックともに堅調