第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における事業環境は、米国においては、雇用者数の増加や失業率の低下が見られるなど景気の回復が続き、ヨーロッパでも持ち直しの動きが続きましたが、原油価格の下落に伴い、先行き不透明感が広がりました。アジアでは、一部の国で減速が見られるものの、全体的に景気の緩やかな拡大傾向が継続しました。一方国内では、消費税増税後に落ち込んだ個人消費や住宅建設等の民間部門の需要回復の遅れや公共部門の投資の動きに弱さが見られましたが、全体としては景気の緩やかな回復基調は継続している状況でした。

このような経済情勢のもと、当社グループは平成28年度を目標年度とする3ヵ年の中期経営計画「E-Plan2016」の初年度として、①市場の成長を確実に当社ビジネスに取り込むこと、②製品・プラントのライフサイクル全体を対象とするサービス業たること、③産業機械メーカとしてのCore Competence(技術力)を継続的に強化していくこと、④グローバル事業展開を支える経営インフラの拡充を図ること、という4つの基本方針のもと、「『経営基盤強化』から『成長』へと明確に舵を切る変換点」と位置付け、スピード感を持った変化の実現と成長の加速を図る施策に注力しています。

この結果、当連結会計年度の受注高は、精密・電子事業で増加したものの、風水力事業、エンジニアリング事業の減少により、全体としては前年度を下回りました。一方、売上高は全ての事業で前年度を上回りました。営業利益は、風水力事業で減少したものの、エンジニアリング事業、精密・電子事業の増加により、全体としては前年度を上回りました。

当連結会計年度における売上高は4,826億99百万円前年度比7.6%増)、営業利益は345億67百万円前年度比7.4%増)、経常利益は362億58百万円前年度比15.8%増)、当期純利益は235億80百万円前年度比24.3%増)となりました。

 

(2) セグメント別の状況

(風水力事業)

ポンプ事業では、海外において、石油・ガス市場におけるパイプライン向けや中東、東南アジアでの石油精製プラント向けの需要は堅調であり、化学市場向けの肥料プラント用ポンプを含め順調に受注を重ねてきました。電力市場においても中国、東南アジアで発電プラント向け案件があり受注は堅調でした。国内においては、民間部門では消費税増税の影響からの回復が弱く、建築着工棟数は前年を下回りましたが、現在までに市場投入した新製品の効果や大型案件の受注などにより、受注は前年度を上回りました。一方公共部門では、社会インフラの更新・補修に対する投資は底堅く推移しましたが、ポンプ設備の大型案件の発注は低調であったため、受注は前年度を下回りました。

コンプレッサ・タービン事業では、原油価格下落による石油・ガス市場における新規案件の発注延期や投資判断の先延ばし、価格競争の激化の影響等を受け、受注は前年度を下回りました。

冷熱事業では、日本国内での需要は回復傾向にあるものの、中国において特に電力業界でのヒートポンプ案件に対する投資の停滞が続き、全体として受注は前年度を下回りました。

当連結会計年度における同事業の売上高は3,420億91百万円前年度比6.2%増)、セグメント利益は207億62百万円前年度比6.4%減)となりました。

 

(エンジニアリング事業)

エンジニアリング事業では、新規建設工事(EPC)や施設建設から運転管理・事業運営までを含めた事業型案件(DBO)に関しては、発注量は緩やかな回復傾向にあり、廃棄物処理施設の維持管理(O&M)においては、既存施設に対する大規模な補修、温暖化ガス排出抑制のための基幹的設備改良工事や長期包括運営契約などを含めて、発注量はほぼ例年通りに推移しました。このような状況の中、基幹的設備改良工事を3件、DBO案件及び長期包括運営契約を各1件受注計上しました。また、建設中であった自治体向け一般廃棄物処理施設1件と民間向け産業廃棄物処理施設1件を竣工引渡しました。

当連結会計年度における同事業の売上高は649億32百万円前年度比22.6%増)、セグメント利益は62億31百万円前年度比30.7%増)となりました。

 

(精密・電子事業)

精密・電子事業では、半導体市場において、スマートフォンやタブレット型等のモバイル端末に対する需要が堅調であり、市場全体をけん引しました。それに伴いDRAMやNANDフラッシュメモリ等の設備投資が順調な推移を見せており、コンポーネント事業を中心に受注が堅調に推移しました。一方、フラットパネルディスプレイや太陽電池、LED等の市場は低調な状態が続きました。

当連結会計年度における同事業の売上高は739億56百万円前年度比3.0%増)、セグメント利益は70億60百万円前年度比51.8%増)となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、主に売上債権の回収が進んだ結果、112億96百万円の収入超過前年度比153億18百万円の収入減少)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券及び投資有価証券の取得による支出154億94百万円などの結果、158億94百万円の支出超過前年度比194億34百万円の支出増加)となりました。

営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、45億97百万円の支出超過(前年度比347億53百万円の支出増加)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金を純額で46億97百万円返済したことや配当金を40億63百万円支払ったことなどにより、70億44百万円の支出超過前年度比182億91百万円の支出減少)となりました。

以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前年度末から67億37百万円減少し、956億4百万円となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

報告セグメント

 

 

 風水力事業

337,313

4.5

 エンジニアリング事業

15,601

34.0

 精密・電子事業

52,367

6.1

  報告セグメント計

405,281

5.6

 その他

合計

405,281

5.6

 

 

(2) 受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

報告セグメント

 

 

 

 

 風水力事業

334,473

△1.9

190,938

4.5

 エンジニアリング事業

73,785

△25.2

160,652

6.1

 精密・電子事業

77,569

9.4

12,170

50.4

  報告セグメント計

485,828

△4.8

363,761

6.3

 その他

1,725

2.2

7

758.8

合計

487,553

△4.8

363,768

6.3

 

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

報告セグメント

 

 

 風水力事業

342,091

6.2

 エンジニアリング事業

64,932

22.6

 精密・電子事業

73,956

3.0

  報告セグメント計

480,980

7.6

 その他

1,719

1.8

合計

482,699

7.6

 

(注) 上記(1)から(3)の金額は、いずれも販売価格によっており、消費税等は含まれていません。また、セグメント間取引消去後の金額です。

 

 

3 【対処すべき課題】

当社グループは、平成28年度を目標年度とする3ヵ年の中期経営計画「E-Plan2016」に基づき、世界的規模で事業展開を行う中でグローバルに存在感を発揮する高収益体質を構築し、各事業領域において確固たる地位を確保するため、内外リソースの機動的・集中的な活用によるスピード感を持った変化の実現と成長の加速を図ります。

また、当社グループは、コーポレート・ガバナンスの強化とコンプライアンスの徹底により経営の透明性と客観性を確保し、グローバルに展開する企業グループ体制を構築していきます。

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存です。

本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は本有価証券報告書提出日現在において判断したものです。

 

(1) 市場環境

当社グループが事業を展開している市場は競争が激しく、当社グループのほとんどの製品及びサービスが価格低下の圧力に直面しており、価格低下の圧力が当社グループの事業、業績を悪化させる可能性があります。また、エンジニアリング事業では公共事業割合が高く公共事業費支出動向の影響を受け、精密・電子事業ではシリコンサイクルに伴う市況変動等の影響を大きく受けることがあります。

 

(2) 大型プロジェクト及び海外事業

当社グループは、国内外での大型プロジェクトにおいて機械・プラントの設計・製作、据付・施工等を行っていますが、これらの中には技術的難易度が高いものが含まれ、不適合や所定の能力への到達期間が長期化すること等により追加コストが発生する可能性があります。また、海外事業にはカントリーリスク等国内と異なる事業環境に伴うリスクがあり、海外グループ会社及びその従業員のコンプライアンスには困難が伴う場合があります。これらのリスクに対する管理は万全を期していますが、適切に対処できない場合には当社グループの業績や社会的信用等に影響を与える可能性があります。

 

(3) 事業再編等

当社グループは不断に経営基盤の強化に取り組んでおり、不採算事業からの撤退や関係会社の整理等の事業再編を行うことがありますが、かかる事業再編が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 為替リスク

海外における事業活動に係る外貨建取引等は、連結財務諸表作成のために円換算されています。これらは換算時の為替レートの変動により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(5) 金利変動及び資金調達に関するリスク

当社グループの有利子負債は固定金利と変動金利からなっており、金利の高下が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループが借入契約の財務制限条項に抵触した場合は、金利の上昇を請求されたり期限の利益を喪失したりする可能性があり、当社の格下げや市場の混乱といった事態が生じた場合は、当社グループの借入コストや資金調達能力に影響を与える可能性があります。

 

(6) 災害や社会インフラの障害発生にかかる影響

当社グループの事業所が、大規模な台風、地震等の自然災害に見舞われた場合は操業に支障を来たすことがあり、また、重大な労働災害、設備事故等が発生した場合には事業活動の停止や制約等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(7) 繰延税金資産

当社グループの繰延税金資産については、将来の課税所得見込額から回収可能性を判定し、回収が不確実と考えられる部分(回収懸念額)に対しては評価性引当額を計上しています。将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。

 

 

(8) 資材調達

当社グループは製造や建設等のために部品・資材・工事の調達を行っており、市況の変動による影響を受けます。素材価格又は工事費の高騰は当社グループの調達コストの増加につながり、業績に影響を与える可能性があります。

 

(9) 法的規制

当社グループは国内外で事業を展開しており、許認可、製造物責任、貿易、租税、競争、汚職、知的財産、環境、労務等に関する各国の法的規制を受けているため、当社グループがかかる法的規制に違反した場合、当社グループの業績及び社会的信用等に影響を与える可能性があります。また、法令の制定、改廃等により計画の前提条件が変更になる場合があります。それらの前提条件の変更が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(10) 訴訟その他の紛争に関するリスク

当社グループの事業活動において、製造物責任、知的財産、環境保全、労務問題等に関し訴訟を提起されたり訴訟を提起する場合があり、また、当社グループの製品による知的財産権の侵害を理由に製品供給先から訴訟提起等をされる場合があります。これらの動向によっては当社グループの業績及び社会的信用等に影響を与える可能性があります。

 

(11) 土地売却費用増加リスク

旧本社・羽田工場の跡地については、ヤマト運輸株式会社との譲渡契約に従い明渡しが完了していますが、その後、同社の物流ターミナル建設工事に伴い石綿含有スレート片が発見され、同社より譲渡契約における債務不履行又は瑕疵担保責任を理由に85億5百万円及び遅延損害金の支払いを求める損害賠償請求訴訟を提起されています。当社は、当該スレート片は債務不履行又は瑕疵には該当しないとの見解であり、法律事務所からも当社の見解を支持する法的意見書を入手しています。当社は見解の正当性を主張していますが、今後の事態の進展によっては、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(12) 輸出債権回収リスク

当社グループは中東地域等へ製品を輸出していますが、国際的な協調政策や地域政情変動等の政治要因により輸出債権の回収不能が見込まれる恐れがあります。回収不能が発生する場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(13) 退職給付債務

退職給付制度に関する費用負担の変動(年金資産の時価や運用利回りの変動等)が、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、数理計算上の差異及び過去勤務費用の変動が、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 技術導入契約

記載すべき重要な契約はありません。

 

(2) 技術供与契約

記載すべき重要な契約はありません。

 

(3) 業務提携契約

記載すべき重要な契約はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発は、①事業を根幹から支える共通基盤技術と、その融合による製品コア技術の研究開発、②中長期的展望に基づいた技術シーズの探索、③現有技術の拡張、新技術の実用化、新製品応用のための研究開発、④既存製品の改良・改善のための研究開発に区分されます。①と②は平成26年4月にコーポレートに新たに設置した研究開発組織を中心に、カンパニーと密接に連携を取り、大学等の外部研究機関との共同研究も積極的に活用して進め、③と④については個別の事業部門及びグループ各社が主体となって実施しました。当連結会計年度の研究開発費は67億54百万円です。

セグメントごとの研究開発活動の状況は、以下のとおりです。

 

(風水力事業)

風水力事業分野では、中長期的に成長の持続が期待される、水インフラ、エネルギー(電力、石油・ガス)、環境(省エネ)などのグローバル市場向け製品に関し、海外グループ会社との連携強化を含め、ラインナップ拡充や製品力強化に取り組み市場投入を行いました。標準ポンプでは、引き続き省エネ・省資源・環境負荷低減を指向した製品群の開発と市場浸透などを図りました。国内および中国市場に続きグローバル市場での販売を開始したターボ冷凍機については、高圧及び大容量圧縮機の応用開発に取り組み、製品シリーズ拡充を図りました。基盤技術に関しては、開発スループットの一層の向上を目指した数値シミュレーション技術や最適化技術の強化、シミュレーションインフラの拡充、解析プロセスの標準化、製品ライフサイクルを支えるサービス&サポート向け技術の開発・応用などについて継続して取り組みました。当連結会計年度の研究開発費は44億79百万円です。

 

(エンジニアリング事業)

エンジニアリング事業分野では、事業の中心が新設プラント建設から運営・維持管理(O&M)へ移行していることから、これまで以上に既存施設の更新、並びにO&Mに対する提案力とコスト競争力強化が求められる時代に移ってきています。このような状況を踏まえ、施設更新に伴う機能強化とライフサイクルコスト低減を可能とする新技術・新製品開発、並びに既存製品・保守運営技術の改良開発を推進しています。当連結会計年度の研究開発費は1億1百万円です。

 

(精密・電子事業)

精密・電子事業分野では、半導体デバイス製造プロセス用装置において、チップの更なる微細化や3次元集積化などの要求に対応できるよう、装置の改良・改善及び新機種の開発に取り組んでいます。コンポーネント製品においては、更なる省エネ化及び環境負荷低減に貢献できる製品の開発に取り組んでいます。また、顧客との共同開発・コンソーシアムへの参画、さらには各大学との共同研究などを通して、次世代半導体プロセス技術における研究も継続しています。当連結会計年度の研究開発費は21億72百万円です。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

(1) 財政状態に関する分析

① 資産

当連結会計年度末における資産総額は、流動資産が349億52百万円増加し、有形固定資産が56億87百万円それぞれ増加したことなどにより、前年度末に比べて401億80百万円増加し5,703億92百万円となりました。主な増減要因は以下のとおりです。

流動資産は、受取手形及び売掛金が257億86百万円増加したことなどにより、349億52百万円増加しました。

有形固定資産と無形固定資産は、資本的支出158億46百万円の実施、減価償却費130億38百万円の計上等の結果、53億89百万円増加しました。

投資その他の資産は、繰延税金資産の減少等により、1億60百万円減少しました。

② 負債

当連結会計年度末における負債総額は、流動負債が68億27百万円、固定負債が8億48百万円増加したことにより、前年度末に比べて76億75百万円増加し3,228億38百万円となりました。主な増減要因は以下のとおりです。

流動負債は、支払手形及び買掛金と電子記録債務が純額で77億26百万円増加したことなどにより、68億27百万円増加しました。

固定負債は、退職給付に係る負債が7億57百万円増加したことなどにより、8億48百万円増加しました。

③ 純資産

当連結会計年度末における純資産は、配当金を40億63百万円支払った一方、当期純利益を235億80百万円計上したことや為替換算調整勘定が89億50百万円増加したことなどにより、前年度末に比べて325億5百万円増加し2,475億53百万円となりました。自己資本は2,390億58百万円で、自己資本比率は41.9%となりました。

 

(2) 経営成績に関する分析

売上高は、全ての事業で前年度を上回ったことにより、前年度比340億42百万円増加して4,826億99百万円となりました。

売上原価は、前年度比273億64百万円増加し、3,564億24百万円となりました。売上原価率は前年度から0.5ポイント悪化して73.8%となり、売上総利益は前年度比66億77百万円増加し1,262億75百万円となりました。販売費及び一般管理費は、前年度比43億4百万円増加し、917億8百万円となりました。主な要因は、人件費の増加42億49百万円等です。その結果、営業利益は23億72百万円増加し345億67百万円となりました。

営業外損益の純額は、前年度比25億74百万円改善し、16億90百万円のプラスとなりました。営業外収益は、持分法による投資利益が3億18百万円増加したこと等により、前年度比4億83百万円増加し40億90百万円となりました。営業外費用は、前年度に計上した海外プロジェクト租税公課の減少等により、前年度比20億90百万円減少し23億99百万円となりました。その結果、経常利益は前年度比49億46百万円増加し362億58百万円となりました。

特別損益の純額は、前年度比8億22百万円改善し、5億30百万円のプラスとなりました。特別利益は、投資有価証券売却益が前年度比2億10百万円増加したこと等により、前年度比4億21百万円増加し9億16百万円となりました。特別損失は、前年度に計上した減損損失の減少等により、前年度比4億円減少し3億85百万円となりました。その結果、税金等調整前当期純利益は、前年度比57億69百万円増加し367億88百万円となりました。

また、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額は前年度比11億56百万円増加したほか、少数株主利益は17億43百万円となりました。その結果、当期純利益は前年度比46億7百万円増加し235億80百万円となりました。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積もりと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表、偶発債務に影響を及ぼします。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。

① 繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。

将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。

 

② 退職給付債務及び退職給付費用

退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算しています。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い長期債利回りを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、過去の運用実績及び将来見通し等を基礎として設定しています。割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。

③ 完成工事補償引当金

完成工事高に対して将来予想される瑕疵担保費用を一定の比率で算定し、完成工事補償引当金として計上しています。

引当金の見積りにおいて想定していなかった完成工事の不具合による補償義務の発生や、引当の額を超えて補償費用が発生する場合は、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。一方、実際の補償費用が引当金の額を下回った場合は引当金戻入益を計上することになります。

④ 製品保証引当金

製品売上高に対して将来予想される瑕疵担保費用を一定の比率で算定し、製品保証引当金として計上しています。

引当金の見積りにおいて想定していなかった製品の不具合による保証義務の発生や、引当の額を超えて保証費用が発生する場合は、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。一方、実際の保証費用が引当金の額を下回った場合は引当金戻入益を計上することになります。

⑤ 工事損失引当金

工事契約について、未引渡工事のうち損失の発生する可能性が高く、工事損失額を期末において合理的に見積もることが出来る工事については、当該損失見込額を工事損失引当金として計上しています。

技術的難易度の高い長期請負工事や海外でのカントリー・リスク等のある工事等において、工事の進行に伴い見積りを超えた原価が発生する場合は、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性に係る情報

① 資本の財源

財務基盤の強化については、収益力及び資産効率の向上によることを基本としています。当連結会計年度においては、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、45億97百万円の支出超過となり、前年度比347億53百万円の支出増加となりました。これは、営業活動によるキャッシュ・フローは前年度比153億18百万円の収入減少となり、投資活動によるキャッシュ・フローも前年度比194億34百万円の支出増加となったことが原因です。

また、当連結会計年度末において、有利子負債残高は1,215億円(短期有利子負債655億70百万円、長期有利子負債559億29百万円)で、前年度末の有利子負債残高1,196億72百万円からは18億27百万円増加しました。

 

② 資金の流動性管理

資金の流動性については、事業規模に応じた現金及び現金同等物の適正額を維持することとしています。また、金融上のリスクに対応するため主要取引銀行とコミットメントライン契約等を締結することで手許流動性を確保しています。なお、グループ内の資金効率を高めるため、余資は当社に集中し、不足するグループ会社に配分する制度を運用しています。

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は956億4百万円であり、金融機関との間で当座貸越契約50億円、コミットメントライン450億円の契約を締結しています。これら契約に基づく当座貸越極度額及びコミットメントラインの総額500億円に対し、当連結会計年度末の借入実行残高はありません。

 

 

(5) 経営戦略の現状と見通し

当社グループは、平成26年5月に平成28年度を最終年度とする中期経営計画「E-Plan2016」を策定しました。当計画では、投下資本利益率(ROIC)を重要経営指標と位置付け、その改善を図っていきます。また、D/Eレシオ(安定性指標)と自己資本利益率(ROE)(効率性指標)を経営管理上の重点指標と位置づけ、それらの均衡の取れた改善を図っていきます。上記を踏まえ、各事業部門としては売上高営業利益率を事業遂行上の重点指標と位置付け、その管理を行っていきます。

セグメントごとの見通しと個別戦略は、以下のとおりです。

 

(風水力事業)

ポンプ事業では、石油・ガス市場における石油精製プラント向けポンプやLNG液化プラント・LNG受入基地・運搬船で使用されるクライオジェニックポンプなどの需要が引き続き見込まれます。電力市場では、国内における電力自由化に伴うスクラップアンドビルド、東南アジアを中心とした大型石炭火力発電、LNGコンバインド火力発電の活発な建設に伴う需要が続く見通しです。国内建築設備市場においては、政府が消費税再増税の延期を発表したものの、市場の不透明感を払拭するまでに至っておりませんが、期初から導入されるトップランナーモータ規制による価格改定の実施により受注額の増加が見込まれます。国内一般産業市場では、企業の設備更新などの需要増加を見込んでいます。海外における建築設備市場・一般産業市場は、地域により不透明感はあるものの、新興国を中心として需要は堅調に伸びるものと見込まれます。

コンプレッサ・タービン事業では、現状レベルの原油価格が続くとともに世界的な経済成長の停滞感もあり石油・ガス市場を主とする事業環境は不透明です。世界的に新規案件での厳しい価格競争は続くものの、米国の案件は受注が期待できるため対応を強化していきます。当事業では厳しい市場環境にあっても収益性を重視しつつ受注拡大に向けて注力していきます。

冷熱事業では、中国において停滞していた電力業界でのヒートポンプ需要に緩やかな回復が見込まれます。日本国内と東南アジアをはじめとする海外の需要は堅調に推移するものと見込んでいます。

このような状況において、海外では地域ごとのニーズに合った製品開発の推進と、グローバルな生産・販売体制及びサービス&サポート体制の充実を図ることにより、事業範囲の拡大を進めていきます。また国内では顧客ニーズに対応した販売・サービス体制の拡充を図ります。

 

(エンジニアリング事業)

エンジニアリング事業では、公共部門においては堅調な施設更新需要が見込まれ、既存施設に対する大規模な補修や温暖化ガス排出抑制のための基幹的設備改良工事などの需要も堅調に推移すると予想されます。また、国や地方公共団体の財政逼迫や技術系職員の不足により、O&Mの長期包括契約化の進展や施設建設から運転管理・事業運営までを含めたDBO案件の増加が引き続き見込まれます。また、国のエネルギー政策の見直しに伴い、廃棄物発電への注目が高まっています。

このような状況において、O&M事業を通じて把握したマーケットニーズに対しO&MとEPCの技術を組み合わせることにより、DBO案件や基幹的設備改良工事などの積極的な提案を行い、市場環境と顧客ニーズの変化に的確に対応していきます。また、受注残案件の遂行においては、業務改善による効率化などをより一層進めていきます。

 

(精密・電子事業)

精密・電子事業では、半導体市場において、引き続きモバイル端末への需要が景気のけん引役として伸び続けていくものと思われます。先行きの不透明感は残るものの、DRAMやNANDフラッシュメモリの需要は今後も回復していき、微細化や三次元メモリ等の先端投資の動きがますます活発になってくるものと想定されます。また、フラットパネルディスプレイや太陽電池、LED等の市場においても製品への需要は徐々に回復基調にあり、来年度以降には設備投資も回復してくるものと期待されます。

このような状況において、生産革新活動によるリードタイム短縮及び海外生産・海外調達を推進して原価低減を図るとともに、顧客に密着したサービス&サポート体制を強化することで安定的な収益構造の実現を目指します。また、更なる微細化・新デバイス用・三次元実装用・大口径化などの顧客ニーズに対応した開発を継続していき、事業の拡大を図ります。