第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

 

(1) 業績

当年度(2017年1月1日~2017年12月31日)の売上高は前年同期比1,554億円(9.7%)増加して1兆7,515億円となりました。

国内売上高は官公需関連を中心とする水・環境部門は前年並みにとどまりましたが、農業関連商品やトラクタ等が好調だった機械部門が伸長したため、前年同期比128億円(2.3%)増の5,642億円となりました。

海外売上高は原油価格の低迷等により中東を主要市場とするダクタイル鉄管が低調でしたが、世界的な好景気と建設需要の拡大を背景に建設機械やエンジンが大幅に増加し、トラクタも順調に拡大したため、前年同期比1,427億円(13.7%)増の1兆1,873億円となりました。当年度の海外売上高比率は前年同期比2.3ポイント上昇して67.8%となりました。

営業利益は販売費や原材料費等の増加を国内外での増販で補い、前年同期比100億円(5.3%)増の1,988億円となりました。税金等調整前当期純利益は営業利益にその他の収益141億円を加えた2,129億円となり、前年同期比159億円(8.1%)の増加となりました。法人所得税は米国連邦法人税率の引き下げ決定に伴い、繰延税金資産の取り崩しが発生した影響もあって、前年同期比134億円負担増の699億円となり、持分法による投資損益は24億円の利益、非支配持分帰属損益は89億円の控除となりました。これらを合計した当社株主に帰属する当期純利益は前年同期を40億円(3.0%)上回る1,364億円となりました。

 

事業別セグメントの外部顧客への売上高及びセグメント利益の状況は次のとおりです。

 

① 機械

当部門は農業機械及び農業関連商品、エンジン、建設機械、電装機器により構成されております。

当部門の売上高は前年同期比12.9%増加して1兆4,366億円となり、売上高全体の82.0%を占めました。

国内売上高は前年同期比4.6%増の2,945億円となりました。トラクタがエンジン排ガス規制強化後の低迷から回復に転じたほか、農業関連商品や建設機械も増加しました。

海外売上高は前年同期比15.3%増の1兆1,421億円となりました。北米では需要の拡大が続くホーム・オーナー向け等の小型トラクタが底堅く推移し、建設機械やエンジンも増加しました。また、前期に実施した事業買収も売上の上積みにはたらきました。欧州では住宅・インフラ等の工事需要の拡大を背景に建設機械、エンジンが堅調だったほか、農業市場向けインプルメントも増加しました。アジアではタイの農業機械が年度前半は好調だったものの、後半は集中豪雨の影響により低迷したため、年間では小幅な増加にとどまりました。中国では政府補助金の予算削減等によるコンバインの減少を好調な田植機、建設機械、エンジンが補って大幅な増加となりました。

当部門のセグメント利益は販売費等の増加を国内外での増販で補い、前年同期比7.1%増加して1,982億円となりました。

 

② 水・環境

当部門はパイプ関連製品(ダクタイル鉄管、合成管、ポンプ、バルブ等)、環境関連製品(各種環境プラント等)、社会インフラ関連製品(素形材、スパイラル鋼管等)により構成されております。

当部門の売上高は前年同期比2.9%減少して2,861億円となり、売上高全体の16.3%を占めました。

国内売上高は前年同期比0.1%増の2,411億円となりました。パイプ関連製品は合成管が伸長しましたが、工事事業等が減少したため前年同期をわずかに下回りました。環境関連製品は運転・保守事業の減等により減少しましたが、社会インフラ関連製品は土木工事用スパイラル鋼管の好調により増加しました。

海外売上高は中東向けのダクタイル鉄管等の減少により、前年同期比16.2%減の450億円となりました。

当部門のセグメント利益は海外での減収を選別受注による採算改善や固定費削減等で補い、前年同期比18.3%増加して262億円となりました。

 

 

③ その他

当部門は各種サービス事業等により構成されております。

当部門の売上高は前年同期比1.9%減の289億円となり、売上高全体の1.7%を占めました。

当部門のセグメント利益は前年同期比21.1%減少して29億円となりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは2,223億円の収入となりました。当期純利益の増加に加え、たな卸資産や仕入債務等の運転資本の変動により前年同期比373億円の収入増となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは1,303億円の支出となりました。金融債権の増加に伴う支出は増加しましたが、事業の買収による支出が減少したため、前年同期比372億円の支出減となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは資金調達の減少等により326億円の支出(前年同期は114億円の収入)となりました。

これらのキャッシュ・フローに為替変動の影響を加えた結果、当年度末の現金及び現金同等物残高は期首残高から613億円増加して2,307億円となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当年度における事業別セグメントの生産実績は次のとおりです。

 

事業別セグメントの名称

金額(百万円)

前年度比(%)

機械

1,399,150

12.8

水・環境

286,048

0.4

その他

28,993

△0.6

合計

1,714,191

10.3

 

(注) 1  セグメント間取引については相殺消去しております。

2  金額は販売額をもって計上しております。

3  金額に消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当年度における事業別セグメントの受注状況は次のとおりです。

なお、機械部門は電装機器を除き受注生産を行っておらず、水・環境、その他の各事業部門についても一部受注生産を行っていない事業があります。

 

事業別セグメントの名称

受注高(百万円)

前年度比(%)

受注残高(百万円)

前年度比(%)

機械

11,975

△1.4

2,837

△11.9

水・環境

241,800

5.4

181,557

18.7

その他

5,293

△8.7

2,159

△2.4

合計

259,068

4.8

186,553

17.7

 

(注) 1  セグメント間取引については相殺消去しております。

2  金額に消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

当年度における事業別セグメントの販売実績は次のとおりです。

 

事業別セグメントの名称

金額(百万円)

前年度比(%)

機械

1,436,578

12.9

水・環境

286,095

△2.9

その他

28,862

△1.9

合計

1,751,535

9.7

 

(注) 1  セグメント間取引については相殺消去しております。

2  販売額が総販売額の10%以上に及ぶ販売先は前年度、当年度ともにありません。

3  金額に消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社は「グローバル・メジャー・ブランド」すなわち「最も多くのお客様から信頼されることにより、最も多くの社会貢献をなしうるブランド」となることを長期目標としております。その実現に向けて以下の重点施策を推進し、食料・水・環境分野における課題解決力の一層の強化を図っております。当社は国連の推進する持続可能な開発目標(SDGs)への最大限の貢献を図りつつ、「グローバル・メジャー・ブランド」としての持続的発展をめざします。

 

(1) 事業領域拡大による新たな成長機会の追求

従来は「戦略分野での事業展開の加速」を重点施策に掲げ、同分野での新製品の投入や生産・販売・サービス等事業基盤の構築を進めてきました。現在はそれを「事業領域の拡大による新たな成長機会の追求」へと発展、強化させ、確実に成果に結び付けることをめざしております。

畑作用農業機械事業では、大型トラクタ市場への本格参入を通じて従来とは異なる顧客ニーズや事業課題が明らかになりました。これらへの対応具体策を早急に実行することにより事業の拡大と収益力の向上を図ります。また、インド、東欧、トルコ、メキシコ等の新興国市場やブラジル、ケニア等のフロンティア市場の開拓においても、従来のやり方にとらわれず徹底した現場主義を貫き、各地域の多様なニーズを捉えることにより新たな事業機会を創出していきます。当社はこれらの取り組みを通じて「世界の総合農機トップクラスメーカー」への飛躍をめざします。

海外建設機械事業では、小型建設機械の品揃えに努め、間断なく新機種を投入することにより高い成長を果たしてきました。今後は製品ラインアップの一層の拡充、現地生産の強化、先進新技術の導入等をスピードアップするとともに、ASEANをはじめとする新興市場にも注力します。当社は建設機械事業を農業機械事業と並ぶ主力事業に育てていきます。

エンジン事業は、これまで各地域の排ガス規制を着実にクリアし、ニーズに即した製品開発を行うことにより成長を果たしてきました。その結果、当年度は過去最高の出荷台数を記録するに至りました。今後も大型エンジンの開発、クリーン化・エコ化への対応、小型エンジンのラインアップ拡充等の取り組みを強化し、「200馬力以下で世界No.1の産業用エンジンメーカー」をめざします。

汎用機器事業も一段の飛躍を図ります。生産能力増強を実施した米国拠点を活かして、ラインアップ拡充の進む芝刈機や、2018年に投入する高速ユーティリティ・ビークル(多目的四輪車)を中心に顧客層の大幅拡大を実現していきます。

 

(2) 収益力向上・体質強化の徹底

年々熾烈さを増す競争を勝ち抜き、持続的な成長を確保するため、収益力向上と体質強化を徹底します。

海外農業機械事業では、主力製造拠点である国内工場での大幅コストダウン及び増産体制を整備した海外工場のフル活用に注力します。また、インプルメントの販売が回復に転じたクバンランド社について、収益力の改善及びグレートプレーンズ社とのさらなるシナジーの発現を推進します。

厳しい市場環境が続く国内農業機械事業では、販売・流通の生産性向上等利益確保を重視した事業運営を徹底します。また、高水準できめ細かなサービスやソリューションの提供による差別化を進めるとともに、農業・農家・農産物に係る様々なニーズの事業化に取り組み、「農業総合サービス事業」への進化を図ります。

水・環境事業では、これまで取り組んできた体質改善や構造改革が成果をあげつつあり、当年度は減収の中でも増益を果たしました。この取り組みを一層強化するとともに、革新的価格の実現による製品力の強化や関連製品間の連携強化を通じて競争力の底上げを図ります。海外では、水処理需要が拡大するアジアにおいて浄化槽や膜等の環境関連事業が軌道に乗りつつあります。グループ会社を含む国内外拠点が一体となった事業運営によりこれを加速させていきます。また、KSIS(水環境分野においてIoT技術を活用し、トータルソリューションサービスを提供するシステム)の活用により、お客様の省エネ・省人、利便性向上等のニーズに応え、「水環境のクボタ」としての新たな価値を創造していきます。

経営効率向上策の一環として、たな卸資産の大幅削減に取り組んでいます。今後は事業所毎に設定した目標の早期達成に向けてグローバル・サプライ・チェーン・マネジメントに立脚した具体策を推進していきます。生産性向上への取り組みも強化しています。製造部門のみにとどまらず、販売部門や間接部門においてもクボタ生産方式の考え方に基づく徹底的な効率化を推進し、生産性の飛躍的向上をめざします。

なお、当年度は自動販売機事業からの撤退を決定しました。グループ全体としての収益力向上を図るうえでやむを得ないものと判断しました。同事業に係る経営資源の再配分を通じて他の事業の成長を一層促進していきます。

 

(3) 技術開発の能力底上げと効率化

お客様の多様なニーズに応えうる「グローバル・メジャー・ブランド」をめざすには技術開発能力の一層の底上げが不可欠です。北米、タイに続き欧州での体制整備を本格化してグローバル開発体制を進化させます。また、その基盤となる研究開発人員の技術レベル向上に向けた採用・育成プログラムの拡充や、「製品開発プロセス改革プロジェクト」を通じた新製品の開発期間短縮にも取り組みます。

技術面では、戦略分野での先端技術開発に重点をおき、自動運転の拡充・高度化や省エネプラント技術の強化等を通じてお客様のニーズの変化に迅速に対応していきます。

 

(4) 経営全体のグローバル化

グローバル・メジャー・ブランドにふさわしい経営全体のグローバル化に向け、各種経営機能の一層の高度化に取り組みます。

クボタ生産方式の展開では、基本思想である「徹底的なムダの排除」をすべての事業プロセスに浸透させます。また、リードタイムの短縮と売れたものだけを作る仕組みを実現することによって、世界トップレベルの効率的な生産体制を構築していきます。

IT化の推進では、これまでの取り組みを通じてITインフラの標準化・統合化・一元化に係る思想がグループ全体に浸透し、基幹システムの高度化への道筋も見えてきました。先進的なIT基盤は地域戦略を支え、業務改革を促進するうえで不可欠です。競合他社を凌駕しうるIT基盤の構築に向け、取り組みを加速していきます。

 

4 【事業等のリスク】

当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当年度末現在において当社が判断したものです。

(1) 経済状況

当社製品には生産財・資本財が多いため、民間設備投資、建設投資、国内公共投資等の低迷により、当社製品の需要が減退し、売上が減少する可能性があります。また、農業政策が国内農業関連製品の売上に影響を与える可能性があります。海外、特に欧米においては、小型トラクタ等の売上が個人消費や住宅建設投資等の一般景気の低迷により減少する可能性があります。

(2) 原材料の価格高騰・調達難

当社は外部の供給業者から多くの原材料、部品を調達しております。こうした原材料、部品の価格が需給の逼迫や市況の変動等によって急激に高騰し、それが長期化した場合は利益を減少させる可能性があります。また、原材料、部品の調達に支障をきたした場合、製品の製造や販売が困難となり、経営成績の悪化を招く可能性があります。

(3) 国際的事業展開に伴うリスク

当社が大規模な海外展開を行っている事業は、海外事業に付随したリスクを抱えております。これらのリスクが顕在化した場合、海外市場での安定的な製品の製造及び販売が困難となり、当社の経営成績に影響を与え、成長を阻害する可能性があります。重要なリスクとしては次のようなものがあります。

① 各国税制の予期せぬ変化に伴うリスク
② 各国法規制の予期せぬ変化に伴うリスク
③ 移転価格や事前確認申請の交渉における予期せぬ結果に伴うリスク
④ 重要な市場における政府による許認可政策や補助金政策の変化に伴うリスク
⑤ 政府間で協議決定される国際貿易政策による予期せぬ関税や輸出入割当量の変化に伴うリスク
⑥ 人材確保の困難性
⑦ 発展途上国における未成熟な技術水準や不安定な労使関係
⑧ 発展途上国等における政情不安

(4) 為替レートの変動

当社は海外に経営成績及び財政状態に大きく貢献する複数の販売・生産・金融子会社を有しております。各海外子会社の現地通貨建ての財務諸表は、円換算後に連結財務諸表に反映されております。また、親会社が海外の子会社や外部顧客に輸出する場合、その取引の多くは現地通貨建てで行われ、獲得した外貨は円貨へと換算されます。従って、現地通貨と円貨との為替レートの変動が経営成績及び財政状態に影響を与えます。通常は他の通貨に対して円高になれば当社の経営成績及び財政状態にマイナスの影響を及ぼします。為替レートの変動によるマイナスの影響を軽減するため、各販売拠点での製造を目的とした、生産拠点の現地への移行を進めております。また、先物為替契約、通貨スワップ契約及び通貨金利スワップ契約を行っております。しかし、これらの活動に関わらず著しい為替レート変動は当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 金利変動リスク

金利の上昇により支払利息が増加し、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(6) 株式相場の変動リスク

当社は有価証券を保有しており、その大半が株式であるため株式相場の動向次第で減損を認識する可能性があります。また、株式相場の下落により退職給付制度に関する年金資産が減少する可能性があります。有価証券の減損処理、年金資産の減少及びこれに伴う退職給付費用の増加を通して、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(7) 第三者との戦略的提携、合併・買収等の成否

当社は今後も第三者との提携、合併・買収等に取り組み、新たな成長を模索する可能性がありますが、このような活動の成否は事業を取り巻く環境、取引相手の能力、あるいは当社と相手が共通の目標を共有しているか否か等に影響されると考えられます。このような活動が成功しない場合や投資に対するリターンが予想を下回る場合は、収益性が悪化する可能性があります。

 

(8) 他社との競争

当社は各事業において競合他社との厳しい競争にさらされているため、取引条件、研究開発、品質等で他社を凌駕できない場合には、経営成績の悪化を招く可能性があります。

(9) 製品やサービス

当社が提供する製品やサービスに重大な瑕疵や欠陥があった場合、多額の賠償責任を負う可能性があり、それが当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、そのような事態が発生した場合には、当社に対する社会的評価及びブランド価値の低下を招き、当社製品に対する需要を減退させ、売上を減少させる可能性があります。

(10) 環境汚染、公害等

当社が有害物質の排出・漏洩、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染等を引き起こした場合、その是正措置をとるために多額の費用が発生したり、訴訟に発展したりする可能性があります。それらが当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(11) アスベスト関連

当社は過去、1954年から2001年にわたりアスベストを含む製品の製造に携わっておりました。アスベスト健康被害に関連して、健康被害にあった方々への支払いや訴訟に関する費用が発生し、それらの費用が多額になるような場合には、当社の経営成績、財政状態あるいは資金流動性に対して重大な影響を及ぼす可能性があります。

(12) コンプライアンス・リスク

当社は法令遵守と倫理に基づいた企業活動を行う旨を宣言し、当社の取締役、執行役員及び従業員が事業遂行にあたって、各種法令や倫理基準並びに社内行動規範等から逸脱した行為を行うことがないよう、グループ全体への徹底を図っております。しかし、万一、それらの行為が発生し、当社がコンプライアンス上の問題に直面した場合には、監督官庁等からの処分、訴訟の提起や社会的信用の失墜等により、当社の経営成績及び財政状態に重大な影響が生じる可能性があります。

(13) IT(情報技術)システム及びネットワーク

当社はデータ及びITシステムの機密性、可用性及び完全性といった情報セキュリティを毀損するような一定のリスクを抱えております。これらのリスクを低減すべく、適切な情報管理を目的としたセキュリティシステム、方針・方策、過程、手法、専門チームや技術を構築しております。しかし、これらの努力にもかかわらず、当社のITシステム及びネットワーク上の問題が発生した場合、業務運営の中断による事業機会損失や社内情報流出に伴う損害賠償責任を負う可能性があり、それが当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、そのような事態が発生した場合、当社に対する社会的評価及びブランド価値の低下を招き、当社製品に対する需要を減退させ、売上を減少させる可能性があります。

(14) 環境規制への対応

当社は製造販売する製品や事業活動に関するさまざまな環境規制に対応する必要があります。今後さらなる規制の強化、例えば二酸化炭素排出規制や排ガス規制、主要材料の使用制限等が行われた場合、その対応のために相当のコスト負担をする可能性があり、それが当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社がそれらの環境規制に対応することに経済的合理性がないと判断した場合、関連する事業領域での事業活動を縮小したり、撤退したりする可能性があります。

(15) 自然災害等予測困難な事象による被害

当社は日本、北米、欧州及びアジア等で事業活動を営んでおります。それらの国・地域において予測困難な事象が発生した場合、製品の製造や物流、販売活動に被害を受けることにより、当社の経営成績及び財政状態に重大な影響が生じる可能性があります。予測困難な事象には、地震や津波、洪水、台風といった自然災害や感染症の流行、戦争やテロ、火災等の事故及び情報システムや通信ネットワークの停止等が含まれます。とりわけ、日本は世界でも有数の地震多発国であり、強度の地震もしくは津波の被害を受ける可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 当社が技術導入している契約

主な技術導入契約の相手先及び概要は次のとおりです。

 

契約会社名

相手先

国名

契約の内容

契約期間

クボタ環境
サービス㈱

ステインミュラー バブコック エンバイロメント GmbH

ドイツ

大型焼却プラント向ボイラ設備に関する技術導入

自 1998年10月22日
至 2018年10月21日
(自動延長条項あり)

㈱クボタ

ノバケミカルズ Corp.

カナダ

鋳鋼製チューブの内表面改質による皮膜形成の技術導入

自 2002年3月20日
至 2018年12月31日
(自動延長条項あり)

 

(注)  実施料は原則として販売額または販売数量に応じて支払っております。

 

(2) 当社が技術供与している契約

該当事項はありません。

 

(3) 特定融資枠契約

当社は運転資金の効率的な調達を行うため、2017年12月31日現在で取引金融機関5行と特定融資枠契約を締結しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表に対する注記 ※9 短期借入金及び長期債務 (2) 特定融資枠契約」に記載しております。

 

 

6 【研究開発活動】

当社は「食料・水・環境を一体のものとして捉え、優れた製品・技術・サービスを通じて課題解決し、地球と人の未来を支え続ける」ことを使命としております。当社はこの使命に基づき、事業に直結した製品・技術の開発と、会社の持続的な発展を支える中長期的研究開発の両立に努めております。

当年度の研究開発費は481億円であり、事業別セグメントごとの研究開発費及びその主な研究開発成果等は次のとおりです。「その他」事業の研究開発費及び特定の事業部門に関連づけられない基礎研究費等は、合算の上で「その他・全社」として分類しております。

 

(1) 機械

農業機械及び農業関連商品、エンジン、建設機械、電装機器等の製品開発とそれに関連する先行基礎研究開発を行っております。主な成果は次のとおりです。

 

自動運転農機アグリロボトラクタ「SL60A」の開発

トラクタ事業では、ファームパイロット(Farm Pilot)シリーズと称するGPS農機第三弾として、自動運転農機アグリロボトラクタ「SL60A」を業界に先駆けてモニター販売しております。主な特長は以下のとおりです。①有人監視下で、リモコンからの遠隔指示により無人による自動運転作業(耕うん、代かき)ができるようになりました。また、作業者1人で無人機と有人機を使用した2台協調運転作業や同時作業も可能となり、省人化と高効率化を実現しました。②直進時のハンドル操作が不要な自動操舵(オートステア)機能を装備しており、あぜ塗りや肥料散布等で高精度な直進作業が可能となりました。③多様な安全装置を装備しました。例えば、障害物をレーザスキャナーや超音波ソナーで検知した場合や、リモコン、RTK-GPS基地局からトラクタが一定以上離れたり、設定の作業経路を大きく外れたりした場合に自動で停止するようになりました。また、監視者はトラクタに搭載された4台のカメラからのトラクタ周囲画像をターミナルモニタやタブレットで確認できるほか、自動運転中は状態表示灯が点灯することでトラクタの動作状態が確認できるようになりました。

 

ウインチ型パワーアシストスーツ「WIN-1」の開発

農業ソリューション事業では、農業分野における重量物運搬時の軽労化ニーズに応えるため、ウインチ型パワーアシストスーツ「WIN-1」を開発しました。主な特長は以下のとおりです。①ウインチワイヤーによる最大20kgの牽引力で重量物の多段積み上げ・積み下ろし作業を補助し、最大30kgまでの荷物であれば腕の力をほとんど使わずに吊ったままでの移動ができるウインチアシスト機能を備えました。②左右のアームで太ももを押すことで上半身の起き上がりを補助し、地面近くからの重量物の持上げや荷下ろしの際の腰の負担を軽減する腰アシスト機能を備えました。③腰にしっかりとフィットする装着方式の採用により荷物や製品本体の重みを下半身に分散して重量感を軽減させ、フレームにはカーボンファイバー素材を使用することで軽量化と省スペース化を両立し、狭いところ等でも作業しやすい製品にしました。④手元のスイッチの簡単な操作だけで自然なフィーリングで作業を行うことができ、作業初心者から熟練者までの幅広いユーザに対応した3段階のアシストモードを備えました。

 

産業用大型ディーゼルエンジン「V5009(排気量5.0L)」の開発

エンジン事業では、新しいディーゼルエンジン「V5009(排気量5.0L)」を開発しました。このエンジンは排ガス後処理装置として、排気中の窒素酸化物浄化技術(SCR)や粒子状物質を捕集するフィルター(DPF)を採用し、2019年から欧州で施行される欧州StageⅤに適合します。主な特長は以下のとおりです。①コンパクトな4気筒エンジンで213.9馬力(157.3kW)の高出力を提供し、同じ出力クラスで最高レベルの低燃費性能を達成することで高出力かつ低燃費を実現しました。②動力の取り出し口(PTO)のオプションを3箇所採用することで建設機械・産業機械側の設計柔軟性を実現しました。③自動ベルトテンショナーの採用、またメンテナンス部品を片側に集めることによりメンテナンス及びサービス性の向上を実現しました。今後はこれまでの当社の強みであった100馬力以下エンジンのラインアップに加え、100馬力以上エンジンのラインアップを拡充し、200馬力以下での世界No.1の産業用ディーゼルエンジンメーカーをめざします。

 

当セグメントに係る研究開発費は382億円です。

 

 

(2) 水・環境

パイプ関連製品(ダクタイル鉄管、合成管、ポンプ、バルブ等)、環境関連製品(各種環境プラント等)、社会インフラ関連製品(素形材、スパイラル鋼管等)の製品開発とそれに関連する先行基礎研究開発を行っております。主な成果は次のとおりです。

 

鋼管杭・鋼管矢板の新型機械式継手「ラクニカンジョイント(ステップ型)」の開発

素形材事業では、建設構造物を支える基礎杭として活用されている鋼管杭・鋼管矢板の機械式継手(ラクニカンジョイント)を素材から構造まで見直し、あらゆる施工法に適用でき、さらなるコスト競争力を持つ新型機械式継手「ラクニカンジョイント(ステップ型)」を開発しました。主な特長は以下のとおりです。①鋼管の外径・板厚によらず、1箇所の接合時間を約5分と従来の半分の時間にすることで鋼管杭の接合工程をさらに短縮し、コスト削減を実現しました。②荷重伝達キーの構造の改良及び使用部品の挿入固定ボルトへの変更により、取り外し機能のレベルアップを図りました。③施工技量や施工方法、施工条件によらず誰でも簡単に接合可能であるため、国内外の鋼管杭・鋼管矢板の施工現場で適用可能となり、あらゆる施工法に対応した接合品質を確保できるようになりました。

 

水環境分野におけるIoTを活用した新サービス(KSIS)の開発

水環境分野においてIoTを活用した新サービス「クボタスマートインフラストラクチャシステム(KSIS)」を開発しました。主な特長は以下のとおりです。①これまでの5,000を超える施設の遠隔監視の実績をベースに、機器の監視から診断の一連の業務サイクルにIoTを活用し、施設の遠隔監視のソリューションを提供することで維持管理の簡素化を図りました。②機器・プラントメーカーであるクボタと施設の維持管理サービスを行うクボタ環境サービス㈱をはじめとするグループ各社が一体となり、監視及び診断データに基づく維持管理のサービスを提供できるようになりました。③2016年に開始したNTTグループとの連携協定にもとづき、AI技術を用いたポンプや水処理設備等の診断装置や、省エネ運転を実現する新しい製品・サービスの開発、提供にも取り組んでおります。

 

当セグメントに係る研究開発費は54億円です。

 

(3) その他・全社

全社の基盤技術である光画像・センシング・情報通信・高精度制御技術を高度化し、各事業部の製品群に組み込む先行要素技術開発、モノづくり・システムを革新する社内工場向けの検査装置・監視システムの開発、食料・水環境インフラソリューション向け遠隔監視・診断システム技術開発等に取り組んでおります。

 

当セグメントに係る研究開発費は44億円です。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当年度末現在において当社が判断したものです。

(1) 業績

「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」に記載しております。

 

(2) 資金の源泉及び流動性

① 資金調達及び流動性管理

当社の財務の基本方針は、操業に必要となる資金源を十分に確保すること、及びバランスシートの健全性を強化することです。

当社は運転資金の効率的な管理を通じて、事業活動における資本効率の最適化を図るとともに、グループ内の資金管理を親会社や海外の金融子会社に集中させることにより、グループ内の資金管理の効率改善に努めております。

当社は営業活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物を内部的な資金の源泉と考えており、資金需要に応じて金融機関からの借入、社債の発行、債権の証券化による資金調達、コマーシャル・ペーパーの発行等を行っております。設備投資のための資金については、主として内部資金により充当することとしており、必要に応じて金融機関からの借入金等を充当しております。また、親会社が200億円を上限に取引金融機関と特定融資枠契約を設定しておりますが、これまでのところその使用実績はありません。

当社の一部の借入契約については担保制限、格付維持及び純資産維持等の財務制限条項が存在しております。格付維持条項は株式会社格付投資情報センターのBBB-格以上に格付けを保つこと、純資産維持条項は純資産の金額を連結財務諸表で8,530億円以上、親会社単独財務諸表で3,891億円以上に保つことを求めております。当社は2017年12月31日現在これらの財務制限条項を遵守しております。

現在のところ当社は事業活動を行う上で十分な運転資本を有しており、事業運営や投資活動のための資金調達に困難が生じることはないと考えております。

 

② 資産・負債・純資産
(a) 資産

総資産は前年度末(2016年12月末)比1,833億円増加して2兆8,539億円となりました。

資産の部では海外売上の拡大により売掛金が増加したほか、小売が好調な北米での販売金融の拡大により、短期及び長期の金融債権も増加しました。

 

(b) 負債

負債の部では支払手形及び買掛金が増加したほか、短期借入金、長期債務、一年内返済予定の長期債務をあわせた有利子負債も増加しました。

 

(c) 純資産

純資産は利益の積み上がりやその他の包括損益累計額の改善により増加しました。株主資本比率は前年度末比0.7ポイント増加して45.6%となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載しております。