第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

当社は、国内外一体となった決算・管理体制の強化・効率化を図ることを目的として、2015年6月19日開催の第125回定時株主総会において定款一部変更の件を決議し、前年度より決算日を3月31日から12月31日に変更しました。また、決算日が12月31日以外の国内子会社についても、同様の変更を行っております。このため、以下の記述において、当年度の業績は前年同一期間である2015年1月1日から2015年12月31日までの業績と比較しております。

 

(1) 業績

当年度(2016年1月1日~2016年12月31日)の売上高は前年同期比925億円(5.5%)減少して1兆5,961億円となりました。

国内売上高は農業機械や建設機械が減少したほか、官公需関連も低調に推移したため、前年同期比289億円(5.0%)減の5,514億円となりました。

海外売上高は北米の建設機械やアジアのコンバイン等は好調でしたが、北米のトラクタや中東向けのダクタイル鉄管が大幅に減少しました。海外全体では円高に伴う為替換算差の影響が大きく、前年同期比636億円(5.7%)減の1兆447億円となりました。当年度の海外売上高比率は前年同期比0.1ポイント低下して65.5%となりました。

営業利益は国内の不振や円高の影響により、前年同期比341億円(15.3%)減少して1,888億円となりました。税金等調整前当期純利益は前年同期比271億円(12.1%)減少して1,970億円となりました。法人所得税は565億円の負担、持分法による投資損益は24億円の利益、非支配持分帰属損益は104億円の控除となり、これらを合計した当社株主に帰属する当期純利益は前年同期を169億円(11.3%)下回る1,325億円となりました。

 

事業別セグメントの外部顧客への売上高及びセグメント利益の状況は次のとおりです。

 

① 機械

当部門は農業機械及び農業関連商品、エンジン、建設機械、電装機器等により構成されております。

当部門の売上高は前年同期比5.1%減少して1兆2,721億円となり、売上高全体の79.7%を占めました。

国内売上高は前年同期比7.0%減の2,815億円となりました。前年のエンジン排ガス規制強化に伴う駆け込み需要の反動等により、農業機械や建設機械が減少しました。

海外売上高は前年同期比4.6%減の9,907億円となりましたが、為替換算差を除いた現地通貨ベースでは各地域とも堅調に推移しました。北米では農業市場悪化やディーラー在庫抑制等に伴うトラクタの減を、新製品本格投入等による建設機械の大幅増が補いました。欧州では農業市場向けインプルメントは低調でしたが、大型トラクタの本格投入効果に加え、景気底打ちや投資促進税制実施等を背景とした市場の回復もあり、トラクタ、エンジン、建設機械が揃って増加しました。アジアでは主力のタイが前半は干ばつによる水不足の影響で苦戦し、降雨に恵まれた後半も米価の急落により伸び悩みました。一方、自脱型コンバインや田植機が好調な中国や、農業機械化が進むアセアン諸国では順調に伸長し、アジア全体では前年同期を上回りました。しかし、北米、欧州、アジアの各通貨に対して大幅な円高が進行したため、円換算後の売上高は各地域とも減少となりました。

当部門のセグメント利益は海外での現地通貨ベースの増販に伴う増益はあったものの、国内の不振と円高の影響が大きく、前年同期比16.5%減少して1,850億円となりました。

 

② 水・環境

当部門はパイプ関連製品(ダクタイル鉄管、合成管、ポンプ、バルブ等)、環境関連製品(各種環境プラント等)、社会インフラ関連製品(素形材、スパイラル鋼管等)により構成されております。

当部門の売上高は前年同期比7.5%減少して2,945億円となり、売上高全体の18.5%を占めました。

国内売上高は前年同期比3.2%減の2,409億円となりました。官公需向けを中心にポンプや合成管等のパイプ関連製品が減少したほか、環境関連製品、社会インフラ関連製品も前年同期を下回りました。

海外売上高は環境関連製品が伸長したものの、中東向け大口案件の輸出が一巡したダクタイル鉄管が大幅に減少したため前年同期比22.8%減の537億円となりました。

当部門のセグメント利益は国内外での減販により前年同期比13.3%減少して222億円となりました。

 

③ その他

当部門は各種サービス事業、住宅機材等により構成されております。

当部門の売上高は前年同期比0.1%減の294億円となり、売上高全体の1.8%を占めました。

当部門のセグメント利益は前年同期比14.2%増加して36億円となりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは1,850億円の収入となりました。当期純利益の減少や、受取債権、仕入債務等の運転資本の変動により前年同期比209億円の収入減となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは1,675億円の支出となりました。金融債権の増加に伴う支出は減少しましたが、事業の買収による支出が増加したため、前年同期比304億円の支出増となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは資金調達の増加等により114億円の収入(前年同期は372億円の支出)となりました。

これらのキャッシュ・フローに為替変動の影響を加えた結果、当年度末の現金及び現金同等物残高は期首残高から231億円増加して1,694億円となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当年度における事業別セグメントの生産実績は次のとおりです。

 

事業別セグメントの名称

金額(百万円)

前年度比(%)

機械

1,240,018

水・環境

284,938

その他

29,163

合計

1,554,119

 

(注) 1  セグメント間取引については相殺消去しております。

2  金額は販売額をもって計上しております。

3  金額に消費税等は含まれておりません。

4 前年度は、決算期変更により2015年4月1日から2015年12月31日までの9ヶ月間となっております。
このため、対前年度比については記載しておりません。

 

(2) 受注状況

当年度における事業別セグメントの受注状況は次のとおりです。

なお、機械部門は電装機器を除き受注生産を行っておらず、水・環境、その他の各事業部門についても一部受注生産を行っていない事業があります。

 

事業別セグメントの名称

受注高(百万円)

前年度比(%)

受注残高(百万円)

前年度比(%)

機械

12,143

3,222

水・環境

229,330

153,012

その他

5,800

2,212

合計

247,273

158,446

 

(注) 1  セグメント間取引については相殺消去しております。

2  金額に消費税等は含まれておりません。

3 前年度は、決算期変更により2015年4月1日から2015年12月31日までの9ヶ月間となっております。
このため、対前年度比については記載しておりません。

 

(3) 販売実績

当年度における事業別セグメントの販売実績は次のとおりです。

 

事業別セグメントの名称

金額(百万円)

前年度比(%)

機械

1,272,144

水・環境

294,530

その他

29,417

合計

1,596,091

 

(注) 1  セグメント間取引については相殺消去しております。

2  販売額が総販売額の10%以上に及ぶ販売先は前年度、当年度ともにありません。

3  金額に消費税等は含まれておりません。

4 前年度は、決算期変更により2015年4月1日から2015年12月31日までの9ヶ月間となっております。
このため、対前年度比については記載しておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

当社は各種経営要素の大幅なレベル・アップと中長期的な視点に立った成長戦略の着実な遂行により、「グローバル・メジャー・ブランド・クボタ」の早期確立を図っております。今後も「グローバル・メジャー・ブランド・クボタ」の追求を通じて長期にわたる持続的発展と、食料・水・環境分野での課題解決及び社会貢献を促進していきます。この目標の実現に向け、現在以下の課題に取り組んでおります。

 

(1) 戦略分野での事業展開の加速

当年度は大幅な円高の影響等により、残念ながら業績目標は未達に終わりました。しかし中長期的な業績向上に向けた戦略分野での事業展開は着実に進展しました。今後はこれをさらに加速させていきます。

畑作用農業機械市場への進出については、当年度本格投入を果たした大型トラクタの生産・販売・サービス活動を早急に軌道に乗せるとともに、市場の評価を反映した製品の改良・開発を急ぎます。また、欧米のマーケティング拠点や研究開発部門を活用した新製品の開発も加速します。インプルメント事業では、欧州のクバンランド社と当年度に買収した米国のグレートプレーンズ社とのシナジーを追求し、欧米インプルメント事業の再構築を進めます。また、アジアにおいては、世界最大量のトラクタ需要を抱えるインド市場を海外戦略上の重要市場と位置付け、クボタブランドの早期確立を図ります。

海外建設機械事業では、北米に本格投入したスキッドステアローダが市場から高い評価を受け、小型建設機械総合メーカーとして順調な一歩を踏み出すことができました。今後はさらなるライン・アップの充実を進め、北米No.1小型建設機械メーカーに向けての地歩を固めていきます。加えて、欧州、アジアでも一層の事業拡大を進め、世界各地域で確固たる地位の確立をめざします。

農業機械及び建設機械の心臓部であるエンジン事業については、搭載用・外販用ともに強化を図り、各国排ガス規制対応やエコ対応の強化、多種多様な需要に応えるライン・アップの拡充を進めます。また、ユーティリティビークル(多目的四輪車)や芝刈機などの汎用機器については、未参入市場への進出を図り、高い成長ポテンシャルを具現化していきます。

 

(2) 収益力向上と体質強化

厳しい事業環境のなか、当社が中長期的に成長を果たし、顧客の拡大を実現していくには、持続的な利益の拡大が不可欠です。今後は戦略分野での展開加速による「売上拡大」とあわせて、全社にわたる「利益拡大」にも重点を置き、収益力の向上と体質の強化を推進していきます。

国内農業機械事業については、KSAS(ICT活用による農業支援システム)やクボタファーム(儲かる農業の実証プラント)の拡充・高度化を推進するほか、野菜機械・ポストハーベスト機器等の関連製品の強化、ITを活用した販売会社の生産性向上や流通網の再編等に取り組みます。これらを通じて国内農業機械事業の再活性化を図るとともに、圧倒的なシェアの獲得をめざします。加えて、国内農業機械事業の収益力強化に向けた新たな機能・組織を立ち上げます。

水・環境事業については、増収に頼らない収益力向上をめざし、事業体質の強化に注力します。市場に即した効率的・効果的な組織体制の確立や低採算事業の改革を進めるほか、成長性・収益性の観点に照らして今後注力すべき地域や技術を改めて見直します。

機械事業、水・環境事業ともに、経営効率の向上に向けた受取債権及びたな卸資産の削減を継続します。事業所・子関連会社毎に設定した削減目標の必達に向け、クボタ生産方式によるトータルリードタイムの短縮と一体となった構造的・恒久的な削減策を実施します。

固定費については、これまで事業拡大のための先行投資等により増加傾向にありましたが、当面、厳しい事業環境が続くことを前提に全面的な見直しを行い、事業の成長性と収益性に応じた固定費構造にしていきます。

 

(3) 技術開発の能力底上げと効率化

技術開発課題の急増に対応し、今後も現地ニーズに即した開発を通じてお客様の期待を超える品質及び価格を実現していくには、技術開発能力の底上げと効率化が急務です。当年度に新設したタイの開発拠点を含めたグローバル開発体制の構築を一層推進するほか、育成プログラムの導入による若手技術者の強化、研究開発プロセスの改革による開発リードタイムの大幅な短縮、研究開発人材の受入・教育体制の拡充等の対応を急ぎます。また、KSASの高度化やその技術の水・環境事業への展開、プレシジョンファーミング、ロボット化等の先端技術開発も重点的に推進し、業界の先陣を切って事業化を果たしていきます。

 

(4) 経営全体のグローバル化

グローバル・メジャー・ブランドにふさわしい経営全体のグローバル化を実現するため、様々な経営機能の高度化を一層推進します。クボタ生産方式は、モノづくり力の継続的向上と他社に打ち克つ品質・価格競争力の実現に不可欠です。更なるレベル・アップを図るとともに、その範囲をサプライチェーン全体にまで拡大することにより、大幅なコストダウンの達成をめざします。あわせて各種事業プロセスでの生産性向上にも取り組みます。

また、海外の主要競合先に対抗するためのIT化にも取り組みます。サプライチェーンマネジメント基盤の再構築、カスタマーリレーションシップマネジメント基盤の強化等により、地域戦略を支えるIT基盤を構築していきます。また、IT組織の集約・統制強化等の再編を通じて業務改革を牽引していきます。

 

4 【事業等のリスク】

当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当年度末現在において当社が判断したものです。

(1) 経済状況

当社製品には生産財・資本財が多いため、民間設備投資、建設投資、国内公共投資等の低迷により、当社製品の需要が減退し、売上が減少する可能性があります。また、農業政策が国内農業関連製品の売上に影響を与える可能性があります。海外、特に欧米においては、小型トラクタ等の売上が個人消費や住宅建設投資等の一般景気の低迷により減少する可能性があります。

(2) 為替レートの変動

当社は海外に経営成績及び財政状態に大きく貢献する複数の販売・生産子会社を有しております。各海外子会社の現地通貨建ての財務諸表は、円換算後に連結財務諸表に反映されております。また、親会社が海外の子会社や外部顧客に輸出する場合、その取引の多くは現地通貨建てで行われ、獲得した外貨は円貨へと換算されます。したがって、現地通貨と円貨との為替レートの変動が経営成績及び財政状態に影響を与えます。通常は他の通貨に対して円高になれば当社の経営成績及び財政状態にマイナスの影響を及ぼします。為替レートの変動によるマイナスの影響を軽減するため、各販売拠点での製造を目的とした、生産拠点の現地への移行を進めております。また、先物為替契約、通貨スワップ契約及び通貨金利スワップ契約を行っております。しかし、これらの活動に関わらず著しい為替レート変動は当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 原材料の価格高騰・調達難

当社は外部の供給業者から多くの原材料、部品を調達しております。こうした原材料、部品の価格が需給の逼迫や市況の変動等によって急激に高騰し、それが長期化した場合は利益を減少させる可能性があります。また、原材料、部品の調達に支障をきたした場合、製品の製造や販売が困難となり、経営成績の悪化を招く可能性があります。

(4) 国際的事業展開に伴うリスク

当社が大規模な海外展開を行っている事業は、海外事業に付随したリスクを抱えております。これらのリスクが顕在化した場合、海外市場での安定的な製品の製造及び販売が困難となり、当社の経営成績に影響を与え、成長を阻害する可能性があります。重要なリスクとしては次のようなものがあります。

① 各国税制の予期せぬ変化に伴うリスク
② 各国法規制の予期せぬ変化に伴うリスク
③ 移転価格や事前確認申請の交渉における予期せぬ結果に伴うリスク
④ 重要な市場における政府による許認可政策や補助金政策の変化に伴うリスク
⑤ 政府間で協議決定される国際貿易政策による予期せぬ関税や輸出入割当量の変化に伴うリスク
⑥ 人材確保の困難性
⑦ 発展途上国における未成熟な技術水準や不安定な労使関係
⑧ 発展途上国等における政情不安

(5) 第三者との戦略的提携、合併・買収等の成否

当社は今後も第三者との提携、合併・買収等に取り組み、新たな成長を模索する可能性がありますが、このような活動の成否は事業を取り巻く環境、取引相手の能力、あるいは当社と相手が共通の目標を共有しているか否か等に影響されると考えられます。このような活動が成功しない場合や投資に対するリターンが予想を下回る場合は、収益性が悪化する可能性があります。

(6) 株式相場の変動リスク

当社は有価証券を保有しており、その大半が株式であるため株式相場の動向次第で減損を認識する可能性があります。また、株式相場の下落により退職給付制度に関する年金資産が減少する可能性があります。有価証券の減損処理、年金資産の減少及びこれに伴う退職給付費用の増加を通して、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(7) 他社との競争

当社は各事業において競合他社との厳しい競争にさらされているため、取引条件、研究開発、品質等で他社を凌駕できない場合には、経営成績の悪化を招く可能性があります。

 

(8) 製品やサービス

当社が提供する製品やサービスに重大な瑕疵や欠陥があった場合、多額の賠償責任を負う可能性があり、それが当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、そのような事態が発生した場合には、当社に対する社会的評価及びブランド価値の低下を招き、当社製品に対する需要を減退させ、売上を減少させる可能性があります。

(9) 環境規制への対応

当社は製造販売する製品や事業活動に関するさまざまな環境規制に対応する必要があります。今後さらなる規制の強化、例えば二酸化炭素排出規制や排ガス規制、主要材料の使用制限等が行われた場合、その対応のために相当のコスト負担をする可能性があり、それが当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社がそれらの環境規制に対応することに経済的合理性がないと判断した場合、関連する事業領域での事業活動を縮小したり、撤退したりする可能性があります。

(10) 環境汚染、公害等

当社が有害物質の排出・漏洩、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染等を引き起こした場合、その是正措置をとるために多額の費用が発生したり、訴訟に発展したりする可能性があります。それらが当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(11) アスベスト関連

当社は過去、1954年から2001年にわたりアスベストを含む製品の製造に携わっておりました。アスベスト健康被害に関連して、健康被害にあった人への支払いや訴訟に関する費用が発生し、それらの費用が多額になるような場合には、当社の経営成績、財政状態あるいは資金流動性に対して重大な影響を及ぼす可能性があります。

(12) コンプライアンス・リスク

当社は法令遵守と倫理に基づいた企業活動を行う旨を宣言し、当社の取締役、執行役員及び従業員が事業遂行にあたって、各種法令や倫理基準並びに社内行動規範等から逸脱した行為を行うことがないよう、グループ全体への徹底を図っております。しかし、万一、それらの行為が発生し、当社がコンプライアンス上の問題に直面した場合には、監督官庁等からの処分、訴訟の提起や社会的信用の失墜等により、当社の経営成績及び財政状態に重大な影響が生じる可能性があります。

(13) 自然災害等予測困難な事象による被害

当社は日本、北米、欧州及びアジア等で事業活動を営んでおります。それらの国・地域において予測困難な事象が発生した場合、製品の製造や物流、販売活動に被害を受けることにより、当社の経営成績及び財政状態に重大な影響が生じる可能性があります。予測困難な事象には、地震や津波、洪水、台風といった自然災害や感染症の流行、戦争やテロ、火災等の事故及び情報システムや通信ネットワークの停止等が含まれます。とりわけ、日本は世界でも有数の地震多発国であり、強度の地震もしくは津波の被害を受ける可能性があります。

(14) IT(情報技術)システム及びネットワーク

当社はデータ及びITシステムの機密性、可用性及び完全性といった情報セキュリティを毀損するような一定のリスクを抱えております。これらのリスクを低減すべく、適切な情報管理を目的としたセキュリティシステム、方針・方策、過程、手法、専門チームや技術を構築しております。しかし、これらの努力にもかかわらず、当社のITシステム及びネットワーク上の問題が発生した場合、業務運営の中断による事業機会損失や社内情報流出に伴う損害賠償責任を負う可能性があり、それが当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、そのような事態が発生した場合、当社に対する社会的評価及びブランド価値の低下を招き、当社製品に対する需要を減退させ、売上を減少させる可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 当社が技術導入している契約

主な技術導入契約の相手先及び概要は次のとおりです。

 

契約会社名

相手先

国名

契約の内容

契約期間

クボタ環境
サービス㈱

ステインミュラー バブコック エンバイロメント GmbH

ドイツ

大型焼却プラント向ボイラ設備に関する技術導入

自 1998年10月22日
至 2017年10月21日
(自動延長条項あり)

㈱クボタ

ノバケミカルズ Corp.

カナダ

鋳鋼製チューブの内表面改質による皮膜形成の技術導入

自 2002年3月20日
至 2017年12月31日
(自動延長条項あり)

 

(注)  実施料は原則として販売額または販売数量に応じて支払っております。

 

(2) 当社が技術供与している契約

該当事項はありません。

 

(3) 特定融資枠契約

当社は運転資金の効率的な調達を行うため、2016年12月31日現在で取引金融機関5行と特定融資枠契約を締結しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表に対する注記 ※9 短期借入金及び長期債務 (2) 特定融資枠契約」に記載しております。

 

 

6 【研究開発活動】

当社は「食料・水・環境を一体のものとして捉え、優れた製品・技術・サービスを通じて課題解決し、地球と人の未来を支え続ける」ことを使命としております。当社はこの使命に基づき、事業に直結した製品・技術の開発と、会社の持続的な発展を支える中長期的研究開発の両立に努めております。

当年度の研究開発費は430億円であり、事業別セグメントごとの研究開発費及びその主な研究開発成果等は次のとおりです。「その他」事業の研究開発費及び特定の事業部門に関連づけられない基礎研究費等は、合算の上で「その他・全社」として分類しております。

 

(1) 機械

農業機械及び農業関連商品、エンジン、建設機械、電装機器等の製品開発とそれに関連する先行基礎研究開発を行っております。主な成果は次のとおりです。

 

担い手農家向け普通型コンバイン「ERH450」の開発

収穫機事業では、水田の有効活用として作付面積が堅調に増加している大豆、麦、そば、雑穀等を収穫する普通型コンバイン「ERH450」を開発しました。主な特長は、以下のとおりです。①国内特殊自動車排出ガス3次規制に対応したエンジンを搭載し、クリーンな排気を実現しました。②脱穀方式として、「こぎ胴」を従来の「ドラムタイプ」から独自の脱穀機構である「バータイプ」としたことで、脱穀部の空間が広くなり、作物をもんだり、抑え込まずに逃がすため、品質の良い作物の高精度かつ高能率な収穫を実現しました。③運転席前方マルチワンレバーにモンロー(水平制御装置)左右、モンロー水平復帰スイッチを追加し、運転席左側マルチシフトレバーにワンタッチ副変速スイッチを追加しました。主な操作を2本のレバーに集約することにより、効率的に作業ができるようにしました。④キャビン内のエアコンの配置を後方に変更し、キャビンに乗ったまま後方が確認できるバックモニタを装備することで、キャビンの居住性を向上させました。⑤無線LANユニットを標準装備し、クボタスマートアグリシステム(KSAS)に対応できるようにしました。

 

直進キープ機能付田植機の開発

移植機事業では、ファームパイロット(Farm Pilot)シリーズと称するGPS農機第一弾として、業界初となるGPSを活用した直進キープ機能付田植機ラクエル「EP8D-GS」(8条植)を開発しました。主な特長は、以下のとおりです。①直進時に自動操舵できる機能(直進キープ機能)の搭載により、高い精度が求められる田植作業において、未熟練者は簡単に真っすぐ田植ができ、熟練者は直進操舵のストレスから解放されるため、作業負担を軽減できます。②安心サポート機能を搭載し、緊急時の手動ハンドル操作を可能にしました。また、あぜ接近時の警報や圃場外での直進キープ機能の誤使用を防止できるようにしました。③多搭載予備苗台(レール8枚、段積8枚)により、通常の田植機よりも苗を多く搭載できるので、あぜからの補給回数を少なくでき、また苗を補給する際の補助者の省人化を可能にしました。

 

国内向け大型トラクタの開発

トラクタ事業では、国内の畑作、酪農農家の担い手の営業規模拡大に対応するために、2015年から欧米で先行販売していた畑作用大型トラクタの国内仕様「M7シリーズ」を本格投入しました。M7シリーズでは、170馬力のM7-171、150馬力のM7-151、130馬力のM7-131をライン・アップしました。主な特長は、以下のとおりです。①国内特殊自動車排出ガス4次規制に対応したエンジンを搭載しました。また、高負荷作業時にエンジン出力を維持するため、最大20馬力のパワーブースト機能を搭載しました。②シンプル機能のスタンダード仕様(S仕様)、高機能のプレミアム仕様(P仕様)、高機能かつ無段変速ミッション(KTV)のプレミアムハイ仕様(H仕様)の3つのグレードを設定しました。③P仕様とH仕様には、GPS(全地球測位システム)信号の受信位置や車速等から、自動的に前輪の切れ角を調整するオートステアリング(自動操舵)機能を内蔵した「GF仕様」を採用し、ファームパイロット(Farm Pilot)シリーズのライン・アップ拡充を図りました。

 

当セグメントに係る研究開発費は331億円です。

 

 

(2) 水・環境

パイプ関連製品(ダクタイル鉄管、合成管、ポンプ、バルブ等)、環境関連製品(各種環境プラント等)、社会インフラ関連製品(素形材、スパイラル鋼管等)の製品開発とそれに関連する先行基礎研究開発を行っております。主な成果は次のとおりです。

 

低価格耐震型ダクタイル鉄管「NECS(ネクス)」の開発

パイプシステム事業では、水道管路の更新・耐震化を進めている事業体の様々な要望に応えるため、技術開発により、低コスト・軽量化を実現した「NECS(ネクス)」を耐震型ダクタイル鉄管のライン・アップに拡充しました。主な特長は、以下のとおりです。①管厚を薄肉化することで、NS形3種管に比べ約2割軽くなり、現場での取り扱いが容易になりました。②挿し口突部に溶接ビード突起を採用し、従来製品と同等の3DkNの離脱防止性能を確保しました。③内面塗装は粉体塗料に珪砂を所定の混合比率で吹き付けた新しい塗装へと変更しました。技術開発と生産工程の抜本的な見直しにより、大幅なコストダウンを実現した低価格耐震型ダクタイル鉄管をライン・アップできたことで、これまで財政上の理由で耐震型ダクタイル鉄管の採用に踏み切れなかった水道事業体においても採用が進んでおり、ライフサイクルコストが低減された安全安心な管路構築ができると高評価を得ております。

 

大型コンパクト浄化槽「KTZ型」の開発

浄化槽事業では、下水道整備区域外の集合住宅や宿泊施設等向けの汚水処理施設として業界最小クラスのサイズにコンパクト化した大型浄化槽「KTZ型」を開発しました。主な特長は、以下のとおりです。①各単位装置の機能を向上させ、処理性能を損なうことなく、本体槽をコンパクト化しました。この結果、施工する際の掘削土量の減量、施工資材の減少につながり、工事費の低減を可能にしました。②処理性能は、処理水中に含まれる懸濁物質を除去するための担体ろ過技術の開発により、BOD(生物化学的酸素要求量)20mg/L以下に加え、新たにSS(浮遊物質量)10mg/L以下の清澄な処理水を実現しました。

 

当セグメントに係る研究開発費は56億円です。

 

(3) その他・全社

全社の基盤技術である光画像・情報通信・制御技術を高度化し、各事業部の製品群に組み込む先行要素技術開発、モノづくり・システムを革新する検査技術開発、食料・水・環境ソリューション向け遠隔監視・診断システム技術開発等に取り組んでおります。

 

当セグメントに係る研究開発費は43億円です。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当年度末現在において当社が判断したものです。

(1) 業績

「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」に記載しております。

 

(2) 資金の源泉及び流動性

① 資金調達及び流動性管理

当社の財務の基本方針は、操業に必要となる資金源を十分に確保すること、及びバランスシートの健全性を強化することです。

当社は運転資金の効率的な管理を通じて、事業活動における資本効率の最適化を図るとともに、グループ内の資金管理を親会社や海外の金融子会社に集中させることにより、グループ内の資金管理の効率改善に努めております。

当社は営業活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物を内部的な資金の源泉と考えており、資金需要に応じて金融機関からの借入、社債の発行、債権の証券化による資金調達、コマーシャル・ペーパーの発行等を行っております。設備投資のための資金については、主として内部資金により充当することとしており、必要に応じて金融機関からの借入金等を充当しております。また、親会社が200億円を上限に取引金融機関と特定融資枠契約を設定しておりますが、これまでのところその使用実績はありません。

当社の一部の借入契約については担保制限、格付維持及び純資産維持等の財務制限条項が存在しております。格付維持条項は株式会社格付投資情報センターのBBB-格以上に格付けを保つこと、純資産維持条項は純資産の金額を連結財務諸表で8,256億円以上、親会社単独財務諸表で3,911億円以上に保つことを求めております。当社は2016年12月31日現在これらの財務制限条項を遵守しております。

現在のところ当社は事業活動を行う上で十分な運転資本を有しており、事業運営や投資活動のための資金調達に困難が生じることはないと考えております。

 

② 資産・負債・純資産
(a) 資産

総資産は前年度末(2015年12月末)比1,377億円増加して2兆6,706億円となりました。

資産の部では事業の買収等により受取債権や有形固定資産、無形固定資産等が増加したほか、海外での販売金融の拡大により短期及び長期の金融債権も増加しました。

 

(b) 負債

負債の部では販売金融の拡大等により、短期借入金、長期債務、一年内返済予定の長期債務をあわせた有利子負債が増加しました。

 

(c) 純資産

純資産は為替の変動等によってその他の包括損益累計額が減少しましたが、利益の積み上がりがこれを補って増加しました。株主資本比率は前年度末比0.1ポイント減少して44.9%となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載しております。