第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当年度(2014年4月1日~2015年3月31日)の売上高は前年度比783億円(5.2%)増加して、1兆5,869億円となりました。

国内売上高は建設機械やエンジンが堅調に推移しましたが、農業機械が大きく減少したほか、官公需関連を中心とする水・環境部門も微減となったため、全体では前年度比771億円(12.1%)減の5,612億円となりました。

海外売上高は景気回復が続く北米や建設機械需要が回復した欧州で機械部門の売上が大きく拡大したほか、水・環境部門も中東向けを中心に拡大したため、全体では前年度比1,555億円(17.9%)増加の1兆257億円となりました。当年度の海外売上高比率は前年度比6.9ポイント上昇して64.6%となりました。

営業利益は国内での減販損を海外での増販益や円安効果等で補い、前年度比17億円(0.8%)増加の2,041億円となりました。税金等調整前純利益は営業利益にその他の収益(△費用)71億円を加え、前年度とほぼ同額の2,113億円となりました。法人所得税は612億円の負担、持分法による投資損益は17億円の利益、非支配持分帰属損益は118億円の控除となり、これらを合計した当社株主に帰属する純利益は前年度を84億円(6.3%)上回る1,400億円となりました。

 

事業別セグメントの外部顧客への売上高及びセグメント利益の状況は次のとおりです。

① 機械

当部門は農業関連商品を含む農業機械、エンジン、建設機械等により構成されております。

当部門の売上高は前年度比5.4%増加して1兆2,150億円となり、売上高全体の76.6%を占めました。

国内売上高は前年度比22.6%減の2,576億円となりました。農業機械は前年度の消費増税特需の反動や米価下落の影響等により大幅減となりました。一方、建設機械、エンジンは復興需要や公共工事拡大に伴う需要増に支えられて増加しました。

海外売上高は前年度比16.7%増の9,574億円となりました。北米では景気回復基調が続くなか、主力のトラクタが市場拡大等により底堅く推移しました。また、堅調な住宅着工を背景とする土木・建築市場の拡大により建設機械、エンジンも増加となりました。欧州では為替改善効果に加え、景気の底打ちやポーランド等、中・東欧地域での事業拡大もあって、トラクタ、建設機械、エンジンが揃って大幅に増加しました。アジアでは中国が当社製品に対する補助金の一時停止により低調でしたが、東南アジアやインド等で農業機械が伸張したため、前年度を上回る売上高となりました。

当部門のセグメント利益は国内での減販損等を海外での増販益や円安効果等で補いきれず、前年度比1.8%減少して1,933億円となりました。

 

② 水・環境

当部門はパイプ関連製品(ダクタイル鉄管、合成管、ポンプ、バルブ等)、環境関連製品(各種環境プラント等)、社会インフラ関連製品(素形材、スパイラル鋼管、自動販売機、精密機器、空調機器等)により構成されております。

当部門の売上高は前年度比5.2%増加して3,433億円となり、売上高全体の21.6%を占めました。

国内売上高は前年度比0.6%減の2,757億円となりました。環境関連製品や社会インフラ関連製品は増加しましたが、ダクタイル鉄管等のパイプ関連製品が減少しました。

海外売上高はダクタイル鉄管、素形材等の増加により、前年度比38.1%増の676億円となりました。

当部門のセグメント利益は輸出の拡大に加え、製品価格の値上げも奏効し、前年度比16.5%増加して295億円となりました。 

 

 

③ その他

当部門は各種サービス事業等により構成されております。

当部門の売上高は前年度比2.1%減の287億円となり、売上高全体の1.8%を占めました。

当部門のセグメント利益は前年度比3.7%減少して33億円となりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは840億円の収入となりました。未払法人所得税は減少しましたが、非支配持分控除前純利益の増加に加え、受取債権や仕入債務等の運転資本の変動等により、前年度比7億円の収入増となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは1,175億円の支出となりました。有形固定資産の売却収入は増加しましたが、投資有価証券の売却による収入の減少や金融債権の増加等により、前年度比133億円の支出増となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは526億円の収入となりました。現金配当の支払は増加しましたが、長期債務による資金調達の増加等により、前年度比494億円の収入増となりました。

これらのキャッシュ・フローに為替変動の影響を加えた結果、当年度末の現金及び現金同等物残高は期首残高から260億円増加して1,130億円となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当年度における事業別セグメントの生産実績は次のとおりです。

 

事業別セグメントの名称

金額(百万円)

前年度比(%)

機械

1,219,154

4.2

水・環境

352,674

8.3

その他

28,801

△1.8

合計

1,600,629

5.0

 

(注) 1  セグメント間取引については相殺消去しております。

2  金額は販売額をもって計上しております。

3  金額に消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当年度における事業別セグメントの受注状況は次のとおりです。

なお、機械部門は受注生産を行っておらず、水・環境、その他の各事業部門についても一部受注生産を行っていない事業があります。

 

事業別セグメントの名称

受注高(百万円)

前年度比(%)

受注残高(百万円)

前年度比(%)

水・環境

254,799

1.6

126,867

3.7

その他

6,073

△5.5

1,159

△17.0

合計

260,872

1.5

128,026

3.4

 

(注) 1  セグメント間取引については相殺消去しております。

2  金額に消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

当年度における事業別セグメントの販売実績は次のとおりです。

 

事業別セグメントの名称

金額(百万円)

前年度比(%)

機械

1,214,971

5.4

水・環境

343,278

5.2

その他

28,688

△2.1

合計

1,586,937

5.2

 

(注) 1  セグメント間取引については相殺消去しております。

2  販売額が総販売額の10%以上に及ぶ販売先は前年度、当年度ともにありません。

3  金額に消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

当社は、グローバル化への取り組みを加速するとともに、新たな事業分野への進出や事業展開地域の拡大等を通じて、長期にわたる持続的成長が可能な企業をめざしています。その実現に向け、以下の重点施策を推進していきます。

 

(1) 戦略市場での事業展開加速

当社は畑作用農業機械市場の攻略を成長戦略の根幹に据えた事業展開を推進します。欧米市場においては、これまで世界の農業機械メジャーに比肩しうる大型製品の開発、販売・サービス網の拡充、畑作用インプルメントメーカーの買収等の諸施策を推進してきましたが、170馬力クラスの大型トラクタを投入し、畑作用農業機械市場への本格参入を開始します。これを端緒として、農業機械メジャーの一角を占めるべく、製品ラインアップのさらなる拡充と他社をしのぐ品質・コスト・納期の確保に取り組んでいきます。また、新興国市場においても、今後成長が期待される畑作用農業機械に注力します。「マーケットイン」に基づくアプローチで開発した新製品を連続的に投入し、引き続き拡大が見込まれる稲作用農業機械と連携して農業機械全体の成長を図ります。
 北米の建設機械市場においては、スキッドステアローダを新規投入し、フルラインアップを揃えた小型建設機械総合メーカーとして一層の事業拡大をめざします。また、大型農業機械との連携により農業市場でも拡販を図ります。

水・環境事業については、アジア市場での事業展開のあり方を見直します。水・環境事業は、ミャンマーのティラワ経済特区における関連施設の一括受注の成功やダクタイル鉄管の中東向け輸出の拡大等、個別案件では一定の成果を挙げていますが、グループとしての総合力を発揮した取り組みは未だ不足しています。今後は、狙うべき地域や技術・製品を絞り込み、水・環境事業全体、あるいは機械事業まで含めたグループ全体の強みを活かした事業横断的展開への切り替えを図ります。そして、当社の目標であるアジアの水・環境の向上にしっかりと貢献していきます。

 

(2) 経営全体のグローバル化

当社は海外事業の一層の拡大に向けて研究開発体制の再構築を進めます。国内外の研究開発拠点の役割分担を明確にして主力である国内拠点の拡充を進めるとともに、今後重要性の増す地域密着型開発を担う海外拠点においても人材や施設等の増強を進めます。

生産面では、海外で販売する製品は海外で生産するという地産地消の基本方針に則り、引き続き海外生産の拡大を図ります。これを支えるため、徹底的なムダの排除により大幅な原価低減を可能とする「クボタ生産方式」を早期に確立し、全世界の生産拠点に展開します。調達面では、新興国での現地調達能力の強化等によりグローバル調達を拡充し、長期的観点に立った最適調達を追求します。

経営管理面では、グローバル企業として一層の成長を図るため、クボタグループ各社の決算期を統一して親会社・子会社の一体化を促進します。連結経営の強化と業務の効率化が狙いです。また、事業拡大を進める中でも財務の健全性維持には常に留意します。資産管理の強化等を通じて運転資金水準を適正に保ち、キャッシュ・フローの改善と財務体質のさらなる強化を図ります。

 

(3) 水・環境事業の収益力向上

水・環境事業については、当面売上の拡大よりも収益の改善および赤字事業の根絶を優先します。グローバル市場での競争力を強化するため、まずはコストダウン・固定費削減等で国内事業の収益極大化を図ります。赤字事業については、個別製品単位で事業性を確認した上で、回復の目処の立たない製品については撤退も選択肢に入れて善後策を講じます。また、グループ内におけるシナジーの追求にも注力し、これに資する組織改革も実施します。

 

(4) 国内農業機械事業の再活性化

国内農業機械市場は当年度以降、厳しい状況が続いています。これは、消費増税に起因した一過性のものではなく、コメ消費の継続的減少、農家戸数の減少、農業従事者の高齢化等を背景とした構造的なものであると捉えています。今後はこれら構造変化への対応策を強力に推進していきます。ターゲットを絞り込んだ集中的な販売活動や、全社を挙げての事業活動支援等により、当社の基盤事業である国内農業機械事業の再活性化に全力で取り組みます。また、機械の販売促進のみにとどまらず、サービス対応力の強化、スマート農業をはじめとする新たな営農方法の提案、農産物の加工・販売までを視野に入れた6次産業化の支援等にも積極的に取り組みます。当社は国内農業の再活性化への包括的な貢献を通じて周辺事業を含む農業関連事業の拡大を図ります。

 

4 【事業等のリスク】

当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当年度末現在において当社が判断したものです。

(1) 経済状況

当社製品には生産財・資本財が多いため、民間設備投資、建設投資、国内公共投資等の低迷により、当社製品の需要が減退し、売上が減少する可能性があります。また、農業政策が国内農業関連製品の売上に影響を与える可能性があります。海外、特に欧米においては、小型トラクタ等の売上が個人消費や住宅建設投資等の一般景気の低迷により減少する可能性があります。

(2) 為替レートの変動

当社は海外に経営成績及び財政状態に大きく貢献する複数の販売・生産子会社を有しております。各海外子会社の現地通貨建ての財務諸表は、円換算後に連結財務諸表に反映されております。また、親会社が海外の子会社や外部顧客に輸出する場合、その取引の多くは現地通貨建てで行われ、獲得した外貨は円貨へと換算されます。したがって、現地通貨と円貨との為替レートの変動が経営成績及び財政状態に影響を与えます。通常は他の通貨に対して円高になれば当社の経営成績及び財政状態にマイナスの影響を及ぼします。為替レートの変動によるマイナスの影響を軽減するため、各販売拠点での製造を目的とした、生産拠点の現地への移行を進めております。また、先物為替契約、通貨スワップ契約及び通貨金利スワップ契約を行っております。しかし、これらの活動に関わらず著しい為替レート変動は当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 原材料の価格高騰・調達難

当社は外部の供給業者から多くの原材料、部品を調達しております。こうした原材料、部品の価格が需給の逼迫や市況の変動等によって急激に高騰し、それが長期化した場合は利益を減少させる可能性があります。また、原材料、部品の調達に支障をきたした場合、製品の製造や販売が困難となり、経営成績の悪化を招く可能性があります。

(4) 国際的事業展開に伴うリスク

当社が大規模な海外展開を行っている事業は、海外事業に付随したリスクを抱えております。これらのリスクが顕在化した場合、海外市場での安定的な製品の製造及び販売が困難となり、当社の経営成績に影響を与え、成長を阻害する可能性があります。重要なリスクとしては次のようなものがあります。

① 各国税制の予期せぬ変化に伴うリスク
② 各国法規制の予期せぬ変化に伴うリスク
③ 移転価格や事前確認申請の交渉における予期せぬ結果に伴うリスク
④ 人材確保の困難性
⑤ 発展途上国における未成熟な技術水準や不安定な労使関係
⑥ 発展途上国における政情不安

当社にとって米国、欧州、アジアが重要な海外市場ですが、上記で述べたリスクについては、アジア地域でのリスクが他地域に比べ相対的に高いと考えております。

(5) 第三者との戦略的提携、合併・買収等の成否

当社は今後も第三者との提携、合併・買収等に取り組み、新たな成長を模索する可能性がありますが、このような活動の成否は事業を取り巻く環境、取引相手の能力、あるいは当社と相手が共通の目標を共有しているか否か等に影響されると考えられます。このような活動が成功しない場合や投資に対するリターンが予想を下回る場合は、収益性が悪化する可能性があります。

(6) 株式相場の変動リスク

当社は有価証券を保有しており、その大半が株式であるため株式相場の動向次第で減損を認識する可能性があります。また、株式相場の下落により退職給付制度に関する年金資産が減少する可能性があります。有価証券の減損処理、年金資産の減少及びこれに伴う退職給付費用の増加を通して、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(7) 他社との競争

当社は各事業において競合他社との厳しい競争にさらされているため、取引条件、研究開発、品質等で他社を凌駕できない場合には、経営成績の悪化を招く可能性があります。

 

(8) 製品やサービス

当社が提供する製品やサービスに重大な瑕疵や欠陥があった場合、多額の賠償責任を負う可能性があり、それが当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、そのような事態が発生した場合には、当社に対する社会的評価及びブランド価値の低下を招き、当社製品に対する需要を減退させ、売上を減少させる可能性があります。

(9) 環境規制への対応

当社は製造販売する製品や事業活動に関するさまざまな環境規制に対応する必要があります。今後さらなる規制の強化、例えば二酸化炭素排出規制や排ガス規制、主要材料の使用制限等が行われた場合、その対応のために相当のコスト負担をする可能性があり、それが当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社がそれらの環境規制に対応することに経済的合理性がないと判断した場合、関連する事業領域での事業活動を縮小したり、撤退したりする可能性があります。

(10) 環境汚染、公害等

当社が有害物質の排出・漏洩、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染等を引き起こした場合、その是正措置をとるために多額の費用が発生したり、訴訟に発展したりする可能性があります。それらが当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(11) アスベスト関連

当社は過去、1954年から2001年にわたりアスベストを含む製品の製造に携わっておりました。アスベスト健康被害に関連して、健康被害にあった人への支払いや訴訟に関する費用が発生し、それらの費用が多額になるような場合には、当社の経営成績、財政状態あるいは資金流動性に対して重大な影響を及ぼす可能性があります。

(12) コンプライアンス・リスク

当社は法令遵守と倫理に基づいた企業活動を行う旨を宣言し、当社の取締役、執行役員及び従業員が事業遂行にあたって、各種法令や倫理基準並びに社内行動規範等から逸脱した行為を行うことがないよう、グループ全体への徹底を図っております。しかし、万一、それらの行為が発生し、当社がコンプライアンス上の問題に直面した場合には、監督官庁等からの処分、訴訟の提起や社会的信用の失墜等により、当社の経営成績及び財政状態に重大な影響が生じる可能性があります。

(13) 自然災害等予測困難な事象による被害

当社は日本、北米、欧州及びアジア等で事業活動を営んでおります。それらの国・地域において予測困難な事象が発生した場合、製品の製造や物流、販売活動に被害を受けることにより、当社の経営成績及び財政状態に重大な影響が生じる可能性があります。予測困難な事象には、地震や津波、洪水、台風といった自然災害や感染症の流行、戦争やテロ、火災等の事故及び情報システムや通信ネットワークの停止等が含まれます。とりわけ、日本は世界でも有数の地震多発国であり、強度の地震もしくは津波の被害を受ける可能性があります。

(14) ITシステム及びネットワーク

当社はデータ及び情報システムの機密性、可用性及び完全性といった情報セキュリティを毀損するような一定のリスクを抱えております。当社のITシステム及びネットワーク上の問題が発生した場合、業務運営の中断による事業機会損失や社内情報流出に伴う損害賠償責任を負う可能性があり、それが当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、そのような事態が発生した場合、当社に対する社会的評価及びブランド価値の低下を招き、当社製品に対する需要を減退させ、売上を減少させる可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 当社が技術導入している契約

主な技術導入契約の相手先及び概要は次のとおりです。

 

契約会社名

相手先

国名

契約の内容

契約期間

クボタ環境
サービス㈱

ステインミュラー バブコック エンバイロメント GmbH

ドイツ

大型焼却プラント向ボイラ設備に関する技術導入

自 1998年10月22日
至 2015年10月21日
(自動延長条項あり)

㈱クボタ

ノバケミカルズ Corp.

カナダ

鋳鋼製チューブの内表面改質による皮膜形成の技術導入

自 2002年3月20日
至 2015年12月31日
(自動延長条項あり)

 

(注)  実施料は原則として販売額または販売数量に応じて支払っております。

 

(2) 当社が技術供与している契約

該当事項はありません。

 

(3) 特定融資枠契約

当社は運転資金の効率的な調達を行うため、2015年3月31日現在で取引金融機関5行と特定融資枠契約を締結しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記 ※8 短期借入金及び長期債務 (2) 特定融資枠契約」に記載しております。

 

 

6 【研究開発活動】

当社は「食料・水・環境を一体のものとして捉え、優れた製品・技術・サービスを通じて課題解決し、地球と人の未来を支え続ける」ことを使命としております。当社はこの使命に基づき、事業に直結した製品・技術の開発と、会社の持続的な発展を支える中長期的研究開発の両立に努めております。

当年度の研究開発費は395億円であり、事業別セグメントごとの研究開発費及びその主な研究開発成果等は次のとおりです。なお、「その他」事業の研究開発費及び特定の事業部門に関連づけられない基礎研究費等は、合算の上で「その他・全社」として分類しております。

 

(1) 機械

農業関連商品を含む農業機械、エンジン、建設機械等の製品開発とそれに関連する先行基礎研究開発を行っております。主な成果は次のとおりです。

畑作用トラクタ「M7001シリーズ」の開発

畑作市場への本格参入に向け、欧米を中心に日本市場にも投入するトラクタを開発しました。主な特徴は以下のとおりです。①メーターパネル等にトラクタとインプルメントの情報を分かりやすく表示するとともに、複数の機能を1つの画面でコントロールできるタッチスクリーンモニターを採用する等、「使いやすさ」と「分かりやすさ」を追求しました。②エンジン・トランスミッション・油圧機能・インプルメントを一体的に制御し、トラクタの最適能力を引き出すことにより、低コストで精度の高い農作業を実現しました。③ワイドキャビンのほか、主要な操作系を手元に集中配置し、長時間作業でも疲れない快適な運転空間を実現しました。④先進性と力強さを兼ね備えた外観デザインを採用しました。

 

米国排出ガス規制対応産業用水冷ガソリン・ガスエンジン「WG3800」の開発

米国排出ガス規制に対応した産業用水冷ガソリン・ガスエンジン「WG3800(排気量3.8L)」を開発しました。本製品はガソリン、液化石油ガス(LPG)、天然ガスの多種燃料を使用することができ、さらに1台でガソリンとLPGを切替えて運転できるデュアルフューエル仕様も採用しました。「WG3800」はディーゼルエンジン「V3800」をベースに、燃焼室、燃料系、点火系をガソリン・ガス専用にするとともに、三元触媒(炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物を同時に浄化する排気後処理装置)を追加することで、排出ガス規制に対応し、LPG仕様で米国の行政機関であるCARB、EPAの排出ガス適合認証を取得しました。

 

自走式電動芝刈機「しずかる」の開発

住宅地近郊での草刈り作業を行う場合、近隣住民への配慮が求められます。このニーズに応えるため、早朝の作業や住宅地近郊、学校、公園でも使用できる優れた静粛性を持ち、環境に配慮した、業界初の電動の自走式草刈機「しずかる」を開発しました。主な特徴は以下のとおりです。①運転音が静かなため、近隣住民に配慮した草刈作業ができます。②手元振動が少なく疲れにくいので、長時間でも快適に作業ができます。③家庭用の電源で簡単に充電ができます。④エンジン式のようにリコイルやチョークの操作が無く、電気スイッチで簡単に始動できます。また、ボタン1つで作業速度と刈刃の回転数を簡単に変更できるほか、ハンドルが折りたためるので、運搬や収納が楽に行えます。⑤モーターと刈刃部が進行方向に傾く「スイング式刈刃機構」の採用により、刈った草の排出がスムーズになり、密集した草地でも効率よく草刈り作業ができます。

 

当セグメントに係る研究開発費は284億円です。

 

 

(2) 水・環境

パイプ関連製品(ダクタイル鉄管、合成管、ポンプ、バルブ等)と環境関連製品(各種環境プラント等)、社会インフラ関連製品(素形材、スパイラル鋼管、自動販売機、精密機器、空調機器等)の製品開発とそれに関連する先行基礎研究開発を行っております。主な成果は次のとおりです。

地盤大変位対応管路システムの開発

耐震形ダクタイル管路は継手部が伸縮・屈曲することで、液状化等の大きな地盤変位を吸収できる鎖構造管路です。断層のように局所的に大きな地盤変位が想定される場合、従来は管長を短くして継手数を増すことで、管路の伸縮・屈曲性能を向上させてきました。しかし、短い管を使用するため、管本数の増加と工事期間の長期化による管路コストの増大という課題がありました。この課題を解決するため、長尺継ぎ輪と耐震管からなる大変位対応ユニットを断層を挟んで適所に配置する管路「地盤大変位対応管路システム」と、その設計方法を開発しました。このシステムは、大変位対応ユニットが断層近傍で地盤変位を大きく吸収することで軸力・屈曲角度を低減し、3m以上の断層変位に無理なく追随できます。国内の断層の大半は3m以下の変位が予想されているため、当システムを活用することで、大部分の断層を安全に横断できる管路を構築できます。

 

液中膜用「膜カートリッジ510」の開発

液中膜は、浄化槽、中小規模産業排水、ビル中水、小規模下水、小規模産業排水等に国内外で幅広く利用されています。その液中膜を構成する膜カートリッジは、ろ板、膜シート、スペーサから成り、上記用途向け液中膜製品や定期的な交換部品として販売されています。この市場での事業基盤を強化するため、従来製品よりも軽量で、耐久性の向上した「膜カートリッジ510」を開発しました。本製品はろ板の内部構造を変更することで軽量化を図るとともに、膜シートのろ板への溶着方法を改良することで、膜カートリッジ溶着部の強度を強化し、耐久性を向上させました。

 

機械式継手「ラクニカン」付き鋼管矢板の開発

昨今の杭工事現場では、少子高齢化に伴う熟練溶接工の不足や、時間的・空間的な制約を伴う都市部における工事の期間短縮が喫緊の課題となっています。これらの課題を解決する製品として、機械式継手「ラクニカン」付き鋼管杭は近年、採用数が増加してきました。しかし、橋梁の基礎や港湾・河川の岸壁・護岸で用いられる鋼管矢板については、これまで製造上の問題から機械式継手の適用が困難とされていました。このたび、この製造上の課題を克服し、世界で初めて機械式継手の鋼管矢板への適用を実現しました。杭工事の現場ニーズに適合した機械式継手「ラクニカン」付き鋼管矢板は、市場から高い評価を頂き、橋梁基礎や河川護岸の工事現場で採用されています。

 

当セグメントに係る研究開発費は100億円です。

 

(3) その他・全社

全社の基盤技術である光画像・情報通信・高精度制御技術の研究開発に取り組み、各事業部の製品群に組み込む要素技術、製造品質改善のための検査技術、環境プラントや社内工場向け監視制御システム技術等に展開しています。

 

当セグメントに係る研究開発費は11億円です。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当年度末現在において当社が判断したものです。

(1) 業績

「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」に記載しております。

 

(2) 資金の源泉及び流動性

① 資金調達及び流動性管理

当社の財務の基本方針は、操業に必要となる資金源を十分に確保すること、及びバランスシートの健全性を強化することです。

当社は運転資金の効率的な管理を通じて、事業活動における資本効率の最適化を図るとともに、グループ内の資金管理を親会社や海外の金融子会社に集中させることにより、グループ内の資金管理の効率改善に努めております。

当社は、営業活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物を内部的な資金の源泉と考えており、資金需要に応じて金融機関からの借入、社債の発行、債権の証券化による資金調達、コマーシャル・ペーパーの発行等を行っております。設備投資のための資金については、主として内部資金により充当することとしており、必要に応じて金融機関からの借入金等を充当しております。また、親会社が200億円を上限に取引金融機関と特定融資枠契約を設定しておりますが、これまでのところその使用実績はありません。

当社の一部の借入契約については担保制限、格付維持及び純資産維持等の財務制限条項が存在しております。格付維持条項は株式会社格付投資情報センターのBBB-格以上に格付けを保つこと、純資産維持条項は純資産の金額を連結財務諸表で7,005億円以上、親会社単独財務諸表で3,651億円以上に保つことを求めております。当社は2015年3月31日現在これらの財務制限条項を遵守しております。

現在のところ当社は事業活動を行ううえで十分な運転資本を有しており、事業運営や投資活動のための資金調達に困難が生じることはないと考えております。

 

② 資産・負債・純資産
(a) 資産

当年度末の総資産は前年度末比3,722億円(17.7%)増加して2兆4,768億円となりました。

資産の部では、為替が前年度末と比べ大幅な円安となったことや海外売上の拡大等により、受取債権やたな卸資産、短期及び長期の金融債権が増加しました。

 

(b) 負債

負債は前年度末比1,934億円(17.5%)増加して1兆2,974億円となりました。

買掛金は減少しましたが、支払手形が増加したほか、短期借入金、一年内返済予定の長期債務、長期債務を合わせた有利子負債も販売金融の拡大等により増加しました。

 

(c) 純資産

純資産は前年度末比1,788億円(17.9%)増加して1兆1,794億円となりました。

利益の積み上がりやその他の包括損益累計額の改善により増加しました。株主資本比率は前年度末と同じく44.4%となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載しております。