第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当期の売上高は前期比2,980億円(24.6%)増加して1兆5,086億円となりました。

国内売上高は農業機械、建設機械、エンジン等の機械部門が大幅に増加し、官公需を中心とする水・環境部門も堅調に推移したため増収となり、全体では前期比953億円(17.6%)増の6,383億円となりました。海外売上高は機械部門が北米・アジア・欧州の各地域で伸張したほか、水・環境部門やその他部門もアジア中心に拡大したため、全体では前期比2,027億円(30.4%)増加の8,702億円となりました。当期の海外売上高比率は前期比2.6ポイント上昇して57.7%となりました。

営業利益は国内外での増収や円安効果等により、前期比811億円(66.8%)増加の2,024億円となりました。

税金等調整前純利益は営業利益にその他の収益(△費用)89億円を加えた2,113億円となり、前期比841億円(66.1%)の増加となりました。法人所得税は719億円の負担、持分法による投資損益は30億円の利益、非支配持分帰属損益は108億円の控除となり、これらを合計した当社株主に帰属する純利益は前期を536億円(68.7%)上回る1,317億円となりました。

 

事業別セグメントの外部顧客への売上高及びセグメント利益の状況は次のとおりです。

① 機械

当部門は農業関連商品を含む農業機械、エンジン、建設機械等により構成されております。

当部門の売上高は前期比29.3%増加して1兆1,531億円となり、売上高全体の76.4%を占めました。

国内売上高は前期比24.9%増の3,326億円となりました。農業機械は消費税率引き上げによる前倒し需要の発生に加え農業関連補正予算の執行もあって、記録的増加となりました。また、建設機械は公共工事の増加等で大幅に伸張し、エンジンも増加しました。

海外売上高は前期比31.1%増の8,205億円となりました。北米では景気回復基調が続くなか、主力のトラクタが新製品効果等により順調に伸張しました。また、エンジンは微増にとどまりましたが、建設機械は住宅着工の回復を背景に増加となりました。欧州では景気の底打ちによりトラクタ、建設機械が伸張し、エンジンも堅調に推移したため、大幅な増加となりました。アジアでは農業機械が増加したほか、中国での建設機械の回復もあって大幅な伸張となりました。

当部門のセグメント利益は国内・海外での増収や円安効果等により、前期比69.2%増加して1,969億円となりました。

 

② 水・環境

当部門はパイプ関連製品(ダクタイル鉄管、合成管、ポンプ、バルブ等)、環境関連製品(各種環境プラント等)、社会インフラ関連製品(素形材、スパイラル鋼管、自動販売機、精密機器、空調機器等)により構成されております。

当部門の売上高は前期比10.6%増加して3,139億円となり、売上高全体の20.8%を占めました。

国内売上高は前期比9.5%増の2,689億円となりました。パイプ関連製品が合成管の伸張等で増加したほか、環境関連製品、社会インフラ関連製品も増加となりました。海外売上高はポンプ、素形材の増加により、前期比17.6%増の450億円となりました。

当部門のセグメント利益は原材料費の上昇等を増販で補い、前期比6.5%増加して249億円となりました。 

 

 

③ その他

当部門は工事、各種サービス事業等により構成されております。

当部門の売上高は前期比20.1%増加し416億円となり、売上高全体の2.8%を占めました。工事、その他の事業とも増加となりました。

当部門のセグメント利益は前期比57.7%増加して38億円となりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

当期の営業活動によるキャッシュ・フローは833億円の収入となりました。非支配持分控除前純利益や未払法人所得税の増加に、受取債権や支払手形・買掛金等の運転資本の変動を加え、前期比340億円の収入増となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは1,042億円の支出となりました。投資有価証券の売却収入は増加しましたが、固定資産の購入による支出増や金融債権の増加等により、前期比251億円の支出増となりました。
 財務活動によるキャッシュ・フローは32億円の収入となりました。非支配持分の購入による支出は減少しましたが、資金調達が減少したことに加え、自己株式の購入や現金配当の増加等により、前期比257億円の収入減となりました。

これらのキャッシュ・フローに為替変動の影響を加えた結果、当期末の現金及び現金同等物残高は、期首残高から128億円減少して870億円となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当期における事業別セグメントの生産実績は次のとおりです。

 

事業別セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

機械

1,170,119

27.8

水・環境

314,769

8.7

その他

40,114

8.4

合計

1,525,002

22.7

 

(注) 1  セグメント間取引については相殺消去しております。

2  金額は販売額をもって計上しております。

3  金額に消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当期における事業別セグメントの受注状況は次のとおりです。

なお、機械部門は受注生産を行っておらず、水・環境、その他の各事業部門についても一部受注生産を行っていない事業があります。

 

事業別セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

水・環境

240,129

13.0

107,613

13.5

その他

16,975

△1.8

16,149

△5.0

合計

257,104

11.8

123,762

10.7

 

(注) 1  セグメント間取引については相殺消去しております。

2  金額に消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

当期における事業別セグメントの販売実績は次のとおりです。

 

事業別セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

機械

1,153,088

29.3

水・環境

313,931

10.6

その他

41,571

20.1

合計

1,508,590

24.6

 

(注) 1  セグメント間取引については相殺消去しております。

2  販売額が総販売額の10%以上に及ぶ販売先は前期、当期ともにありません。

3  金額に消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

当社は、グローバル化への取り組みを加速するとともに、新たな事業分野への進出や事業展開地域の拡大などを通じて、長期にわたる持続的成長が可能な企業をめざしています。その実現に向け、以下の重点施策を推進していきます。

 

(1) 戦略市場での事業展開加速

当社は、畑作用大型農機市場での事業展開を加速します。当社はこれまで、国内市場で培ってきた稲作用農機をベースに海外事業を拡大してきました。今後は、耕地面積比で稲作の4倍ともいわれる畑作の農機市場に本格進出することにより事業を飛躍的に拡大し、中長期にわたる成長を実現していきます。当社は、2012年に畑作用インプルメントメーカーを買収したのに続き、2013年12月には欧州に畑作用農機の製造拠点を設置することを決定し、総合農機メーカーへの第一歩を踏み出しました。既存の欧米メーカーに伍して畑作用大型農機市場で確固たる地位を築くべく、早期に製品ラインアップの拡大、販売・サービス網の整備・拡充などを行い、事業展開を加速します。その実行にあたっては、当社グループ一丸となって取り組むとともに、他社との連携も含めた様々な選択肢を視野に入れていきます。

水・環境分野ではアジアでの事業展開を加速します。中国では、既に設立しているエンジニアリング、ポンプなどの事業会社を起点に展開を促進します。東南アジアでは、マレーシア・インドネシアでパーム油廃液処理装置を受注するなど新たな事業に取り組んでいますが、地域全体として事業展開を加速するため、2012年に買収した子会社の現地拠点の活用を進めます。経営資源を重点投入するのはもちろんのこと、現地のリソースも活用しながら、既存の製品・技術・営業手法にとらわれない事業展開を進めていきます。

 

(2) グローバル事業運営体制の強化

畑作用農機市場への進出や水・環境事業のアジア展開にとどまらず、グローバル市場での成長をさらに追求するため、研究・開発体制の拡充・整備を進めます。現地ニーズに合致した製品の開発に向けて、既に北米、タイ、中国などでは現地開発を推進しており、成果を挙げつつあります。今後も、「マーケットイン」をより一層徹底するため、国内開発拠点と海外開発拠点の役割や機能を明確にしたうえで、研究・開発体制の強化を推進します。特に開発力の源泉である人材については、その強化のための投資は惜しみません。また、研究・開発をスピードアップするため、自前主義にこだわらず、他社との提携なども積極的に推し進めます。

生産面においては、海外生産比率の向上をめざします。当社は、海外で販売する製品は海外で生産するという基本方針に則り、海外生産拠点の拡充に努めてきました。2012年には機械事業の根幹であるエンジンの生産をタイで開始し、2013年にはアメリカでのトラクタ生産を拡充、中国でのトラクタ生産も立ち上げました。今年は中国でのエンジン生産を開始します。当社は今後も、海外生産の拡充をさらに促進していきます。また一方で、モノづくりの基盤となる固有技術・管理技術のレベルアップに向け、国内生産拠点の機能充実にも努めます。世界のどこで生産しても「Made By Kubota」の品質、コスト、納期が実現できるよう、国内で培ったモノづくり力を海外の生産拠点に展開します。

調達面においては、グローバル調達体制の整備を進めます。昨年、調達本部を全社組織として設置し、各事業部・各拠点間の連携強化を図りました。また、調達情報の共有化を目的に、情報システムの構築にも取り組んでいきます。調達機能・組織の強化と情報システムの整備を両輪として、グローバルに最適調達を実現できる体制をめざします。

 

(3) 水・環境事業の再構築

機械事業に比べて海外展開の遅れている水・環境事業については、グローバル市場での事業拡大を図る一方で、長期的な視点に立った事業の再構築を推進します。成長性と収益性の観点から事業・製品の再検証を行い、強化すべき事業には経営資源を積極的に投入しますが、成長性が乏しい、或いは収益改善の見込みが立たないと判断される事業・製品については、事業撤退も選択肢に入れて検討していきます。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当期末現在において当社が判断したものです。

(1) 経済状況

当社製品には生産財・資本財が多いため、民間設備投資、建設投資、国内公共投資等の低迷により、当社製品の需要が減退し、売上が減少する可能性があります。また、農業政策が国内農業関連製品の売上に影響を与える可能性があります。海外、特に欧米においては、小型トラクタ等の売上が個人消費や住宅建設投資等の一般景気の低迷により減少する可能性があります。

(2) 為替レートの変動

当社は海外に経営成績及び財政状態に大きく貢献する複数の販売・生産子会社を有しております。各海外子会社の現地通貨建ての財務諸表は、円換算後に連結財務諸表に反映されております。また、親会社が海外の子会社や外部顧客に輸出する場合、その取引の多くは現地通貨建てで行われ、獲得した外貨は円貨へと換算されます。したがって、現地通貨と円貨との為替レートの変動が経営成績及び財政状態に影響を与えます。通常は他の通貨に対して円高になれば当社の経営成績及び財政状態にマイナスの影響を及ぼします。為替レートの変動によるマイナスの影響を軽減するため、各販売拠点での製造を目的とした、生産拠点の現地への移行を進めております。また、先物為替契約、通貨スワップ契約及び通貨金利スワップ契約を行っております。しかし、これらの活動に関わらず著しい為替レート変動は当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 原材料の価格高騰・調達難

当社は外部の供給業者から多くの原材料、部品を調達しております。こうした原材料、部品の価格が需給の逼迫や市況の変動等によって急激に高騰し、それが長期化した場合は利益を減少させる可能性があります。また、原材料、部品の調達に支障をきたした場合、製品の製造や販売が困難となり、経営成績の悪化を招く可能性があります。

(4) 国際的事業展開に伴うリスク

当社が大規模な海外展開を行っている事業は、海外事業に付随したリスクを抱えております。これらのリスクが顕在化した場合、海外市場での安定的な製品の製造及び販売が困難となり、当社の経営成績に影響を与え、成長を阻害する可能性があります。重要なリスクとしては次のようなものがあります。

① 各国税制の予期せぬ変化に伴うリスク
② 各国法規制の予期せぬ変化に伴うリスク
③ 移転価格や事前確認申請の交渉における予期せぬ結果に伴うリスク
④ 人材確保の困難性
⑤ 発展途上国における未成熟な技術水準や不安定な労使関係
⑥ 発展途上国における政情不安

当社にとって米国、欧州、アジアが重要な海外市場ですが、上記で述べたリスクについては、アジア地域でのリスクが他地域に比べ相対的に高いと考えております。

(5) 第三者との戦略的提携、合併・買収等の成否

当社は今後も第三者との提携、合併・買収等に取り組み、新たな成長を模索する可能性がありますが、このような活動の成否は事業を取り巻く環境、取引相手の能力、あるいは当社と相手が共通の目標を共有しているか否か等に影響されると考えられます。このような活動が成功しない場合や投資に対するリターンが予想を下回る場合は、収益性が悪化する可能性があります。

(6) 株式相場の変動リスク

当社は有価証券を保有しており、その大半が株式であるため株式相場の動向次第で減損を認識する可能性があります。また、株式相場の下落により退職給付制度に関する年金資産が減少する可能性があります。有価証券の減損処理、年金資産の減少及びこれに伴う退職給付費用の増加を通して、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(7) 他社との競争

当社は各事業において競合他社との厳しい競争にさらされているため、取引条件、研究開発、品質等で他社を凌駕できない場合には、経営成績の悪化を招く可能性があります。

 

(8) 製品やサービス

当社が提供する製品やサービスに重大な瑕疵や欠陥があった場合、多額の賠償責任を負う可能性があり、それが当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、そのような事態が発生した場合には、当社に対する社会的評価及びブランド価値の低下を招き、当社製品に対する需要を減退させ、売上を減少させる可能性があります。

(9) 環境規制への対応

当社は製造販売する製品や事業活動に関するさまざまな環境規制に対応する必要があります。今後さらなる規制の強化、例えば二酸化炭素排出規制や排ガス規制、主要材料の使用制限等が行われた場合、その対応のために相当のコスト負担をする可能性があり、それが当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社がそれらの環境規制に対応することに経済的合理性がないと判断した場合、関連する事業領域での事業活動を縮小したり、撤退したりする可能性があります。

(10) 環境汚染、公害等

当社が有害物質の排出・漏洩、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染等を引き起こした場合、その是正措置をとるために多額の費用が発生したり、訴訟に発展したりする可能性があります。それらが当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(11) アスベスト関連

当社は過去、昭和29年から平成13年にわたりアスベストを含む製品の製造に携わっておりました。アスベスト健康被害に関連して、健康被害にあった人への支払いや訴訟に関する費用が発生し、それらの費用が多額になるような場合には、当社の経営成績、財政状態あるいは資金流動性に対して重大な影響を及ぼす可能性があります。

(12) コンプライアンス・リスク

当社は法令遵守と倫理に基づいた企業活動を行う旨を宣言し、当社の取締役、執行役員及び従業員が事業遂行にあたって、各種法令や倫理基準並びに社内行動規範等から逸脱した行為を行うことがないよう、グループ全体への徹底を図っております。しかし、万一、それらの行為が発生し、当社がコンプライアンス上の問題に直面した場合には、監督官庁等からの処分、訴訟の提起や社会的信用の失墜等により、当社の経営成績及び財政状態に重大な影響が生じる可能性があります。

(13) 自然災害等予測困難な事象による被害

当社は日本、北米、欧州及びアジア等で事業活動を営んでおります。それらの国・地域において予測困難な事象が発生した場合、製品の製造や物流、販売活動に被害を受けることにより、当社の経営成績及び財政状態に重大な影響が生じる可能性があります。予測困難な事象には、地震や津波、洪水、台風といった自然災害や感染症の流行、戦争やテロ、火災等の事故及び情報システムや通信ネットワークの停止等が含まれます。とりわけ、日本は世界でも有数の地震多発国であり、強度の地震もしくは津波の被害を受ける可能性があります。

(14) ITシステム及びネットワーク

当社はデータ及び情報システムの機密性、可用性及び完全性といった情報セキュリティを毀損するような一定のリスクを抱えております。当社のITシステム及びネットワーク上の問題が発生した場合、業務運営の中断による事業機会損失や社内情報流出に伴う損害賠償責任を負う可能性があり、それが当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、そのような事態が発生した場合、当社に対する社会的評価及びブランド価値の低下を招き、当社製品に対する需要を減退させ、売上を減少させる可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 当社が技術導入している契約

主な技術導入契約の相手先及び概要は次のとおりです。

 

契約会社名

相手先

国名

契約の内容

契約期間

クボタ環境
サービス㈱

フィシイア バブコック エンバイロメント
GmbH

ドイツ

大型焼却プラント向ボイラ設備に関する技術導入

自 平成10年10月22日
至 平成26年10月21日
(自動延長条項あり)

㈱クボタ

ノバケミカルズ Corp.

カナダ

鋳鋼製チューブの内表面改質による皮膜形成の技術導入

自 平成14年3月20日
至 平成26年12月31日
(自動延長条項あり)

 

(注)  実施料は原則として販売額または販売数量に応じて支払っております。

 

(2) 当社が技術供与している契約

主な技術援助契約の相手先及び概要は次のとおりです。

 

契約会社名

相手先

国名

契約の内容

契約期間

㈱クボタ

大同工業株式会社

韓国

コンバインの組立・製造法及び販売権

自 平成3年9月2日
至 平成26年8月31日

 

(注)  実施料は原則として販売額または販売数量に応じて受取っております。

 

(3) 特定融資枠契約

当社は運転資金の効率的な調達を行うため、平成26年3月31日現在で取引金融機関5行と特定融資枠契約を締結しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記 ※8 短期借入金及び長期債務 (2) 特定融資枠契約」に記載しております。

 

 

6 【研究開発活動】

当社は「食料・水・環境を一体のものとして捉え、優れた製品・技術・サービスを通じて課題解決し、地球と人の未来を支え続ける」ことを使命としております。当社はこの使命に基づき、事業に直結した製品・技術の開発と、会社の持続的な発展を支える中長期的研究開発の両立に努めております。

当期の研究開発費は356億円であり、事業別セグメントごとの研究開発費及びその主な研究開発成果等は次のとおりです。なお、「その他」事業の研究開発費及び特定の事業部門に関連づけられない基礎研究費等は、合算の上で「その他・全社」として分類しております。

 

(1) 機械

農業関連商品を含む農業機械、エンジン、建設機械等の製品開発とそれに関連する先行基礎研究開発を行っております。主な成果は次のとおりです。

ICT(情報通信技術)を活用した営農・サービス支援システム対応のコンバイン、田植機開発

安心・安全でおいしいといった消費者のニーズに合った食の高付加価値化や、農家の営農基盤強化による競争力強化に向けた取り組みが、国内農業において今後一層求められます。このたび、ICTを活用した営農・サービス支援システム『クボタスマートアグリシステム(略称:KSAS)』に対応した、モミの食味(タンパク・水分)・収量測定機能付きコンバインと肥料散布量の自動調整機能付き田植機を初めて開発しました。KSAS対応の農業機械は無線LANで情報端末を介してKSASと情報通信ができるため、機械の稼働状況やほ場ごとの作物・作業情報を蓄積・分析できます。これを行うことで、翌年度の食味や収量改善につながるように土づくりや肥料散布量を設計できるため、コメの品質や収量向上に役立ち、消費者の満足と農家の収入アップに貢献します。

 

アジア向け小型トラクタの開発

タイやインドでは農村部の人手不足からサトウキビ、ブドウなどの除草や防除作業の機械化が進み、小型トラクタの需要が拡大しています。作付した作物の間で作業するための幅狭の車体や、長時間の過酷な使用条件に耐える耐久性の高さが要求され、これに対し、現地での評価を繰り返し実施することで現地の要求に合ったスペック、作業性や強度を実現しました。また、従来機種の小型車体を強度アップして使用することやタイでの現地生産に切り替えることにより安価な製品の実現と収益性の向上に繋げたことで、大規模農家の方はもちろん中小規模の農家の方にも好評を頂いています。

 

大規模農家向け乗用田植機「ラクエルα(アルファ)シリーズ」の開発

国内農業は高齢化に伴う離農・委託により小規模農家等が漸減し、その受け皿となる担い手農家の増加が予想されます。就農者の構成が担い手農家主体に変化することで、より一層効率化、省力化、低コスト化が求められます。これらのニーズに応えるため、現行機の「楽に簡単に、きれいに田植え作業ができる」機能を継承しつつ、新たに高出力ガソリンエンジンを搭載し走行性と作業能率を向上した「ラクエルα(アルファ)シリーズ」を開発しました。「植付」と同時に「施肥」、「枕地ならし(※)」が自動でできるほか、上位機種では業界最速の1秒あたり1.8mでの植え付けが可能です。さらに、専用の散布機を装着することで「殺虫・殺菌剤散布」、「除草剤散布」を同時に行うことができます。
※ターン時に車輪が土を掘ることによってできる凹凸を平らにならすこと。

 

当セグメントに係る研究開発費は271億円です。

 

 

(2) 水・環境

パイプ関連製品(ダクタイル鉄管、合成管、ポンプ、バルブ等)と環境関連製品(各種環境プラント等)、社会インフラ関連製品(素形材、スパイラル鋼管、自動販売機、精密機器、空調機器等)の製品開発とそれに関連する先行基礎研究開発を行っております。主な成果は次のとおりです。

水道管路を短期間で敷設できるシステム「サイトイノベーション」の開発

日本の水道管路の多くが老朽化していますが、水道予算や熟練施工者の不足等の問題のために更新が進んでいないのが現状です。そのような状況の中、効率よく水道管路を更新できるシステム「サイトイノベーション」を開発することで水道管路更新の資金的問題、人的問題を軽減する手段を見出しました。このシステムの主な特徴は以下のとおりです。①機械を用いることで狭い溝幅で管を接合できます。②小型カメラを利用した接合チェックにより確実に接合できます。③GPSを利用して管の敷設位置を把握することにより施工図面を自動作成できます。

 

空気清浄機「ピュアウォッシャー」の開発

近年、花粉症有病率の増加や新型インフルエンザ、黄砂、PM2.5による健康被害への意識が高まる中、病院待合室、老人福祉施設、保育園、オフィス、ホテル、映画館などのパブリックスペースにおいて、空気清浄機のニーズが高まっています。このたび、これらのニーズに応えるべく空気清浄機「ピュアウォッシャー」を開発いたしました。これはクリーンルーム向け空調機で培った水噴霧技術とフィルターの組み合わせで、空気中の塵埃、ウイルス、カビ、浮遊菌を水で確実に取り込むものです。さらに、取り込まれたウイルス、カビ、浮遊菌は、ピュアウォッシャー内部で生成される微酸性次亜塩素酸水の力で除菌します。消臭・加湿効果もあり、安心快適な室内環境を提供します。

 

海外向け「ミドルレンジ重量フィーダ」の開発

樹脂コンパウンドの製造工程の中で樹脂原材料を連続定流量供給する装置(重量フィーダ)のラインアップとして、海外(中国・東南アジア)市場に適合する「ミドルレンジ機」を開発しました。本フィーダは独自形状の構造により、粉体、ペレットなどの幅広い特性の樹脂原材料を定流量で次の工程へ供給し続けることができます。フィーダとコントローラは一体化しコンパクトに設計されていますので、工場内での装置のレイアウトが容易になると共に、専用の統合コントローラによって複数フィーダの集中管理も可能です。また、プラシレスACサーボモータを採用するなどの「メンテナンスフリー」設計が、システムの安定稼働に役立ちます。もちろん、スクリュー等の主要部品の取り外しは容易で「段取り変え」時の清掃作業も簡単です。すでに各方面の利用者の方から好評を頂いています。

 

当セグメントに係る研究開発費は61億円です。

 

(3) その他・全社

全社基盤としての計測制御技術開発に取り組んでいます。各事業部の製品に組み込まれる制御ユニットの開発と、生産品質改善のために、画像・光・設備化技術を駆使した先進の検査技術開発を行っています。また、環境プラントや社内工場向け監視制御システムの開発や、食品検査技術にも注力しています。

 

当セグメントに係る研究開発費は24億円です。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当期末現在において当社が判断したものです。

(1) 業績

「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」に記載しております。

 

(2) 資金の源泉及び流動性

① 資金調達及び流動性管理

当社の財務の基本方針は、操業に必要となる資金源を十分に確保すること、及びバランスシートの健全性を強化することです。

当社の資金源は、現金及び現金同等物、その他の流動資産、営業活動によるキャッシュ・フロー及び借入金等であり、事業の拡大、研究開発及び設備投資等に必要な十分な資金源を有しております。資金調達の具体的な方法は、金融機関からの借入、コミットメントラインの設定、社債の発行、コマーシャル・ペーパーの発行等です。

また、当社は日本における子会社及び関連会社、北米における子会社を対象にグループファイナンスを実施しており、グループ内における資金の過不足を調整することで各地域における資金管理の集中化と効率化を図っております。

当社はバランスシートの健全性を保ち十分な資金調達手段を確保するために、小売金融関連以外の有利子負債残高を注意深く監視しております。当社は製品販売を促進するために日本、北米、タイ、中国及びその他の地域において小売金融サービスを提供しておりますが、これに伴って調達される有利子負債は事業の拡大に応じて増加するものと考えております。

当期末の有利子負債全体の残高は前期末比769億円増加して5,869億円となりました。このうち、5,230億円は金融機関からの借入、639億円は社債の発行による調達です。

当社の有利子負債は主に日本円、米ドル、タイバーツ及びユーロで調達されており、その資金使途についての制約はありません。当期末の短期借入金の残高は1,816億円となり、加重平均利子率は当期末現在1.0%(米ドル:0.5%、ユーロ:0.4%、その他:1.8%)となりました。また、キャピタルリース債務を除いた長期債務の残高は4,012億円となりました。長期債務は固定金利及び変動金利により調達しており、加重平均利子率は1.4%(円:0.8%、米ドル:1.4%、その他:2.8%)となりました。社債の発行残高は当期末現在で639億円となりました。

コミットメントラインについては、親会社が200億円を上限に設定しておりますが、これまでのところその使用実績はありません。

当社の一部の借入契約については担保制限、格付維持及び純資産維持等の財務制限条項が存在しております。格付維持条項は株式会社格付投資情報センターのBBB-格以上に格付けを保つこと、純資産維持条項は純資産の金額を連結財務諸表で5,675億円以上、親会社単独財務諸表で3,357億円以上に保つことを求めております。当社は平成26年3月31日現在これらの財務制限条項を遵守しております。

当社は今後の需要予測、キャッシュ・フロー等を総合的に勘案して設備投資計画を立案しております。所要資金は主として自己資金で賄い、一部は金融機関からの借入金等を充当しております。なお、設備投資に係る契約債務は金額的に重要なものではありません。

当社には主として親会社において、確定給付企業年金及び退職一時金制度における未積立の退職給付債務が当期末現在130億円存在します。制度の積立状況が一定の水準より悪化した場合、積立状況を回復するために特別掛金として追加の掛金を拠出する必要があります。平成26年度の年金資産への会社負担拠出見込額は149億円であり、特別掛金が含まれます。

また、当社は安定的な配当の維持及び向上並びに自己株式の取得を株主還元の基本方針としており、営業活動によるキャッシュ・フローをその財源としております。

 

 

運転資本の金額は前期末比696億円増加して5,150億円となりました。流動比率(流動資産を流動負債で除した比率)は、受取債権及び棚卸資産の増加による流動資産の増加により前期末比1.4ポイント増加して171.6%となりました。なお、当社の資金流動性は季節性を有しております。これは地方自治体に対する売掛債権の多くは毎年4月から6月に回収が行われることによるものです。現在のところ当社は事業活動を行ううえで十分な運転資本を有していると考えております。

上記のとおり、当社は事業運営や投資活動を賄う資金調達に困難が生じることはないと考えております。

 

② 資産・負債・純資産
(a) 資産

当期末の総資産は前期末比2,581億円(14.0%)増加して2兆1,047億円となりました。

資産の部では、為替が前期末と比べ円安となったことや売上の伸張等により、受取債権やたな卸資産、短期及び長期の金融債権が増加しました。

 

(b) 負債

負債は前期末比1,094億円(11.0%)増加して1兆1,040億円となりました。

買掛金は減少しましたが、支払手形は増加、販売金融の拡大により短期借入金や長期債務が増加しました。

 

(c) 純資産

純資産は前期末比1,486億円(17.4%)増加して1兆6億円となりました。

利益の積み上がりによるその他の剰余金やその他の包括損益累計額の大幅な改善により増加しました。株主資本比率は前期末比1.5ポイント増加して44.4%となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載しております。