第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度の世界経済は、総じて緩やかな成長が続きました。

米国経済は、個人消費は堅調に推移しましたが、製造業は大統領選挙の様子見もあり盛り上がりに欠けました。欧州経済は、Brexitの影響は軽微に止まり、緩やかな成長が続きました。中国経済は減速が続き、その他アジア新興国経済は斑模様ですが、緩やかに回復しています。

わが国経済は、年度前半は円高が進み、景気は足踏み状態で推移しました。しかし、年度後半には円安の進行等により、緩やかな回復が進みました。

工作機械の需要動向につきましては、北米市場は停滞が続きましたが、米国大統領選挙後は、経済政策への期待等により回復の動きが見られました。欧州市場では、力強さを欠きながらも堅調に推移いたしました。低迷が続いた中国市場は昨年暮れ頃から底打ち感が見られ、年度末には電気・精密分野で旺盛な需要が発現いたしました。その他のアジア新興国では、緩やかに回復が進みました。

国内市場では、中堅・大手企業の設備投資は堅調に推移いたしました。中小企業の設備投資は慎重な姿勢が続きましたが、ものづくり補助金や設備投資減税を活用した受注が発現し、需要は一進一退の状況が続きました。

このような経済情勢の下、当グループは、付加価値の高い製品やサービスの提供とIoTを活用したオークマスマートファクトリーの取り組みを積極的にPRし、受注・売上・収益の拡大に努めてまいりました。

販売戦略におきましては、世界各地の展示会に積極的に参加し、PRを強化、営業活動を強化するなど、オークマブランドの浸透と顧客開拓を進めました。

中国では「第13回 中国国際工作機械・工具展(CIMES2016)」、「上海ダイモールド2016」等の展示会に出展いたしました。北米市場では「IMTS2016(シカゴショー)」に出展し受注拡大に繋げました。ドイツでは「CeBIT 2017」に初出展し、当社のIoTの取り組みを紹介いたしました。

国内では11月に開催された「第28回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2016)」に出展し、当社独自の知能化技術を搭載した最新鋭スマートマシンの展示とオークマスマートファクトリーの実演により、IoTソリューションを提案いたしました。

技術戦略におきましては、高付加価値のスマートマシンの開発に注力してまいりました。搬送機能も内蔵し省スペースで量産分野にも対応する5軸制御立形マシニングセンタ「MU-S600V」を開発しました。また、従来の切削、研削加工に加えAdditive Manufacturing(積層造形加工)、レーザー焼入れの機能を搭載した超複合加工機「LASER EX」シリーズを開発し、「2016年十大新製品賞 本賞」(日刊工業新聞社主催)を受賞いたしました。

自社開発の制御装置OSPを活用したテクノロジーでは、工作機械の「運転電力の低減」と「待機電力の削減」を実現する新世代省エネルギーシステム「ECO suite」が「平成28年度優秀省エネルギー機器表彰 経済産業大臣賞」(日本機械工業連合会主催)を受賞いたしました。

さらに、OSPに世界初のAI(人工知能)を搭載し、故障の前兆を自動で検知して、予防保全に繋げる診断技術「OSP-AI」を開発いたしました。

コスト戦略におきましては、オークマスマートファクトリーの第2弾となるDS2(Dream Site 2)の部品工場の建設を進め、2017年3月に稼働を開始いたしました。既存工場においても、生産システムを高度化し、生産効率の向上を図ってまいりました。また、海外調達の拡大などにより、調達部品のコストダウンに努めてまいりました。

これらの事業戦略を確実に実行してまいりました結果、当期の連結受注額は1,569億76百万円(前期比13.7%減)、連結売上高は1,626億79百万円(前期比11.3%減)、営業利益は155億60百万円(前期比27.9%減)、経常利益は159億61百万円(前期比26.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は102億41百万円(前期比25.2%減)となりました。

 

次に、セグメント別の業績は、次のとおりであります。

① 日本

日本経済は、年度前半は円高が進み、景気は足踏み状態で推移いたしました。しかし、年度後半には円安の進行等により、緩やかな回復が進みました。工作機械需要は、中堅・大手企業の設備投資は堅調に推移しました。中小企業の設備投資は慎重な姿勢が続きましたが、ものづくり補助金や設備投資減税を活用した受注が発現し、需要は一進一退の状況が続きました。

業績につきましては、売上高は1,441億50百万円(前連結会計年度比9.9%減)となりました。損益面では、生産管理システムの高度化による生産効率向上、海外調達拡大による調達部品のコストダウン等を推進し、営業利益は132億43百万円(前連結会計年度比26.0%減)となりました。

 

② 米州

米国経済は、個人消費が堅調に推移いたしましたが、製造業は大統領選挙の様子見もあり盛り上がりに欠けました。工作機械需要は停滞が続きましたが、米国大統領選挙後は、経済政策への期待等により回復の動きが見られました。

業績につきましては、売上高は415億76百万円(前連結会計年度比9.3%減)、営業利益は12億50百万円(前連結会計年度比59.3%減)となりました。

 

③ 欧州

欧州経済は、Brexitの影響は軽微に止まり、緩やかな成長が続きました。工作機械需要は力強さを欠きながらも堅調に推移いたしました。

業績につきましては、売上高は220億80百万円(前連結会計年度比13.4%減)、営業利益は13百万円(前連結会計年度比96.2%減)となりました。

 

④ アジア・パシフィック

中国経済は減速が続き、その他のアジア新興国経済は斑模様ではありますが緩やかに回復いたしました。中国の工作機械需要は、昨年暮れ頃から底打ち感が見られ、年度末には電気・精密分野で旺盛な需要が発現いたしました。その他のアジア新興国の需要は、緩やかに回復が進みました。

業績につきましては、売上高は181億円72百万円(前連結会計年度比1.8%減)、営業利益は14億54百万円(前連結会計年度比16.7%増)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前年同期と比較して12億1百万円減少し、483億69百万円となりました。
  営業活動によるキャッシュ・フローは、99億28百万円の収入となりました(前年同期は236億68百万円の収入)。主な資金の増加項目としては、税金等調整前当期純利益155億42百万円、及び減価償却費54億63百万円などであります。一方、主な資金の減少項目としては、法人税等の支払額85億67百万円、及び売上債権の増加額20億27百万円などであります。
 投資活動によるキャッシュ・フローは、96億33百万円の支出となりました(前年同期は58億26百万円の支出)。主な資金の減少項目としては、有形固定資産の取得による支出70億9百万円、無形固定資産の取得による支出16億35百万円、及び定期預金の純増額9億6百万円などであります。
 財務活動によるキャッシュ・フローは、12億64百万円の支出となりました(前年同期は74億35百万円の支出)。主な資金の減少項目は、配当金の支払額30億47百万円、及びリース債務の返済による支出5億83百万円などであります。一方、主な資金の増加項目としては、短期借入金の純増額23億75百万円などであります。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における当グループの連結生産実績は、1,626億61百万円(前年同期比12.7%減)であります。なお、日本での生産高が90%以上であるため、セグメントごとの記載を省略しております。

 

(2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高
(百万円)

前年同期比
(%)

受注残高
(百万円)

前年同期比
(%)

日本

87,684

△11.2

26,260

△7.9

米州

39,371

△17.2

10,319

△17.4

欧州

20,353

△18.6

7,627

△17.7

アジア・パシフィック

9,567

△9.7

2,574

15.9

合計

156,976

△13.7

46,782

△10.9

 

(注) 1.  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高
(百万円)

前年同期比
(%)

日本

89,930

△12.3

米州

41,546

△9.3

欧州

21,989

△13.4

アジア・パシフィック

9,213

△5.1

合計

162,679

△11.3

 

(注) 1.  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.  主要な販売先については、総販売実績の100分の10以上を占める販売先がないため、記載を省略しておりま

   す。 

3.  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当グループは、以下のグループ企業理念を掲げております。

オークマは、総合一貫した“ものづくりサービス”を通して、世界中のお客様の価値創造に貢献することで、オークマと共に歩むすべての人々の幸せを実現します。

 

(2)目標とする経営指標、(3)中長期的な会社の経営戦略

当グループは、「お客様第一主義」を基本として、品質、信頼性に基軸を置き、顧客のニーズを取り込んだ製品を全世界のユーザーに積極的に提供していくことで、収益力及び財務体質の強化を図り、売上高営業利益率の向上を指標とし、需要変動に左右されない強固な企業体質を今後も構築してまいります。

また、中長期的な経営戦略は以下の3点であります。
・グローバル市場に貢献する“ものづくりサービス”を提供、差別化技術・製品を軸に、利益ある成長を進める
・自己完結一貫生産体制の構築により、高効率スピード生産を追求する
・人材強化、育成、人員の最適化、原価管理体制の強化により、経営品質を向上させる事業基盤を確立する

当グループは、以上3点を経営の三つの基本戦略として、世界中のものづくりに携わるお客様の期待に応え、また、期待を超えるサービスを提供する、“高収益、高企業価値の企業”を実現することにより、「世界の工作機械のリーディングカンパニー」として、永続的に成長してまいる所存であります。

 

(4) 当グループの現状認識について

今後の世界経済の見通しにつきましては、緩やかな回復基調で推移すると見込まれます。

米国経済は、新大統領の通商・外交政策の行方が懸念されますが、大型インフラ整備が計画されるなど新政権の経済政策の実行により景気再加速が期待されます。欧州経済は、緩やかな回復基調が続くと予想されます。中国経済は、本年に入り、製造業が活況になりかつ一般市況も好転してきています。その他のアジア新興国経済も緩やかな回復に向かうと期待されます。わが国経済は、世界経済の回復と経済政策等により緩やかな回復が続くと見込まれます。

このような経済情勢の下、工作機械の市況は緩やかな回復基調で推移すると予想されます。

北米市場では、新政権の減税政策やインフラ投資により、設備投資の回復が見込まれます。また、原油価格の持ち直しによりオイル・ガス関連の設備投資の再開が期待されます。

欧州市場は生産革新に向けた設備投資が底堅く、緩やかな回復が続くと予想されます。中国市場はスマートフォン、自動車、インフラ関連産業が好調であり、自動化・無人化対応の高付加価値マシンの需要は底堅く推移すると見込まれます。その他のアジア新興国市場は、緩やかな回復に向かうと見込まれます。

国内市場は、世界経済の回復に伴い、輸出企業を中心に需要の回復が期待されます。また、老朽化設備の更新及び合理化投資の潜在需要は大きく、ものづくり補助金や中小企業経営強化税制等の政策が中小企業の設備投資を 後押しするものと期待されます。

 

(5) 当グループの具体的な対応方針について

このような経営環境の下、当グループは、高度な知能化技術を搭載したスマートマシンの提供と、加工技術、自動化技術等のソリューションの提供により、世界最高のものづくりサービス企業を目指してまいります。

販売戦略におきましては、新興国市場における拠点拡充により、新市場・新規顧客の開拓を進めてまいります。中国南部市場では、広州テクニカルセンターを開設いたします。また、韓国に現地法人を設立し、販売・サービスの強化と加工技術などのソリューション強化を進めてまいります。

国内では、2017年5月に「創業120周年記念オークママシンフェア」を開催し、最新のスマートファクトリーDS2を披露いたしました。最新のスマートマシンとスマートマニュファクチャリングを展示・紹介して、当社が進める「総合ものづくりサービス」を積極的に提案してまいります。

日米欧の各拠点に設置したAerospace Center of Excellence(略称ACE)を積極的に活用し、世界3極でノウハウを蓄積してプレミアムソリューションを提供し、好調な航空機関連からの受注拡大に努めてまいります。

 

技術戦略におきましては、超複合加工機「LASER EX」シリーズ等のプレミアムプロダクトの強化と、海外生産機の商品強化を進めてまいります。AI(人工知能)を搭載したNC装置の開発など、オークマ独自のスマートマシンをより高度化させて、生産革新に貢献してまいります。また、IoTを活用したスマートマニュファクチャリングの提案を強化してまいります。

製造戦略におきましては、2017年3月に稼働を開始したDS2の部品工場の全面稼働に向けて、垂直立ち上げを進めてまいります。また、新生産システムの展開、高効率生産による部品加工の内製強化などを進め、利益確保に努めてまいります。

これらの成長に向けた事業戦略により、当グループの受注・売上・収益を拡大してまいります。

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、平成29年3月末日現在で当グループが判断したものであります。

 

(1) 工作機械の主要消費地域の経済状況について

 工作機械の需要は、主要消費地域(日本、米州、欧州、中国を含むアジア)の経済状況と同地域における設備投資需要の変動に左右されます。特に、当グループの連結売上高に占める海外売上高の割合は、当連結会計年度において54.6%、前連結会計年度においても56.6%といずれも高い比率となっており、海外消費地域の経済状況の悪化により需要が低下した場合は、当グループの業績への影響が懸念されます。

 

(2) カントリーリスクについて

 当グループは、中国及び台湾の子会社にて工作機械を製造しており、米州、欧州及びアジア・パシフィック地域の子会社を通じて製品の販売及びアフターサービスの提供をしておりますが、これらの国または地域において、政情の悪化、予期せぬ法律・規制の変更等があった場合は、当グループの業績への影響が懸念されます。

 また、グループ会社間の取引価格に関しては、適用される日本及び相手国の移転価格税制を順守するよう細心の注意を払っておりますが、税務当局から取引価格が不適切であるなどの指摘を受ける可能性があります。さらに政府間協議が不調となるなどの場合、結果として二重課税や追加課税を受ける可能性があります。これらの事態が発生した場合は、当グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(3) 為替、金利及び株価の変動リスクについて

 当グループはグローバルに販売及び生産活動を展開しているため、外貨建て商取引及び投資活動等は為替変動の影響を受けます。また、有利子負債の削減を軸に財務体質の強化に努めておりますが、金利上昇は支払利息の増加を招き、当グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当グループは、為替変動及び金利の変動リスクを回避すべく、輸出地域の分散、社内管理規定に従ったヘッジ取引等を実施しておりますが、その影響を完全に回避できるとは限りません。また、当社は、取引先企業や金融機関等の株式を保有しており、株価が大幅に下落した場合は投資有価証券評価損が発生し、当グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(4) 財務制限条項について

 当社が複数の金融機関との間で締結している借入れに係る契約には、財務制限条項が定められており、条項に抵触した場合は、借入金利の上昇等により、当グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(5) 固定資産の減損について

 当グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しており、事業環境の大幅な変動が生じた場合や土地等の固定資産価格が下落した場合には減損損失が発生し、当グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(6) 原材料費の大幅な変動について

 工作機械の主要原材料として使われる鋳物・鋼材などは、原油価格の動向、国際的な需給の状況などにより価格が変動し、コストアップ要因となる場合があります。このコストアップに対しては、コストダウン推進や製品価格への転嫁によってカバーする方針でありますが、さらなる価格の高騰が続いた場合には、当グループの業績への影響が懸念されます。

 

(7) 自然災害及びテロ等のリスクについて

 当グループは製造、販売及びサービス拠点をグローバルに展開しているため、予測不可能な自然災害、コンピュータウィルス、テロといった多くの事象によって引き起こされる災害に影響を受ける可能性があります。

  特に、当グループの本社機能及び主要な製造拠点があります愛知・岐阜両県は、東海大地震の防災強化地域であり、ひとたび大きな地震が発生した場合には、大きな損害が発生し、当グループの業績への甚大な影響が懸念されます。当グループといたしましては、建物等の耐震工事、防災訓練の実施及び従業員への啓蒙などの地震対策を逐次実施しており、リスクの極小化に努めております。

 

(8) 資材の調達リスクについて

 自然災害等によって調達先の生産が滞ることにより、工作機械の構成部品やユニットの調達難が生じ、安定した生産が阻害される可能性があります。調達部品の確保のために、調達難の要因となる事象の監視と対応、代替手段の確保等により、リスクの極小化に努めております。

 

(9) 電力不足のリスクについて

 原子力発電所の停止等により電力供給不足に陥った場合、節電対応により、安定した生産が阻害される可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当グループでは、基礎及び応用研究、そして、これらの研究により裏付けされた新製品の開発までの一連の研究開発活動を、当社の技術本部及びFAシステム本部を中心として行っております。当連結会計年度は、研究開発費として41億79百万円を支出いたしました。

研究開発活動の概要は、次のとおりであります。

 

(1) 新機種・新技術開発

グローバルに拡大を続ける航空機産業やIT・半導体産業、先進国・新興国ともに需要が広がる自動車産業、並びに広範囲に亘る国内製造業の設備投資意欲が旺盛な状況となりました。2016年の日本の業界受注額は1兆2,500億円と前年の1兆4,806億円には届かなかったものの、6年連続で1兆円超えとなり、円高傾向となった中では高水準となりました。

このような市場において、製品競争力を一層高めていくためには、生産性の向上に貢献し、高付加価値加工・高精度加工が安定して実現でき、かつ、環境・エネルギーに配慮したスマートファクトリーに対応できる自律型工作機械「スマートマシン」の開発が必要となります。当グループは、このような市場要求に対して業界唯一の、機・電・情・知(機械・電気・情報・知識創造)の融合技術を持つ強みを活かし、「高精度生産性」の追求と「省エネルギー」に貢献するオンリーワン技術・商品の開発を行っております。

当グループは、これまでにお客様の加工能率最大を支援する「加工ナビ」、安定した高精度加工が誰にでも実現できる「サーモフレンドリーコンセプト」、衝突を気にせず誰でも熟練の操作が実現できる「ぶつからない機械(アンチクラッシュシステム)」、5軸制御加工機の幾何誤差を自動計測・補正する「ファイブチューニング」等の知能化技術を開発いたしました。

拡大を続ける航空機産業に対しては、航空機業界向けの支援拠点Aerospace Center of Excellence – Japanを開設いたしました。すでに開設している、アメリカ(ノースカロライナ州)、フランス(パリ)の各拠点と航空機部品加工ノウハウを共有し、先進のマシンと加工技術、そして、トータルソリューションを提案する体制が整いました。

航空・宇宙、エネルギー、自動車、半導体、一般機械等幅広い業界で、部品の高精度化・軽量化を目的として複数部品の一体化が加速し、複雑形状化が進んでおります。そのため加工の工程集約のニーズが一層高まり、1回の段取りであらゆる加工ができる5軸制御マシニングセンタや複合加工機の需要がグローバルに増加しております。

 

こうした需要に対して当社は、これまでの複合加工機の機能であるミーリング、旋削、研削加工に加え、レーザ加工技術を融合した超複合加工機「MU-6300V LASER EX」「MULTUS U3000 LASER EX」を開発し、「第28回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2016)」に出品いたしました。従来にない高能率かつ高精細な三次元金属積層造形加工を世界最大級の加工範囲で実現いたしました。この金属積層技術は、異種金属への積層が可能となるため、複雑形状や難削材など切削による除去加工で時間がかかる部品加工の生産性を劇的に変革させることが可能となりました。さらにレーザ技術による焼入れ工程を実現し、熱処理炉での従来焼入れと比較し、短時間かつ歪みの少ない焼入れ処理を実現しスループットを向上させました。この「LASER EX」シリーズは、「2016年十大新製品賞 本賞」(日刊工業新聞社主催)を受賞いたしました。

また、工作機械の「運転電力の低減」と「待機電力の削減」を実現する新世代省エネルギー技術「ECO suite」が、「平成28年度優秀省エネルギー機器表彰 経済産業大臣賞」を受賞いたしました。

5軸制御マシニングセンタでは、従来の概念を変える省スペースでコンパクトなスマートマシン「MU-S600V」を開発いたしました。単体での使い易さ・生産性と、2台以上連結ではテーブルがロボット機能を発揮する事で機台間の搬送装置レスでのライン構成の実現を可能としました。多品種少量生産から量産部品加工までを1種類の機械で自在にこなす全く新しいコンセプトで、生産量の変化に合わせて、1台から複数台の連結に自在に組替えを可能としました。

複合加工機では、中・大物部品の強力加工に対応する工程集約機で、これまでに開発した「MULTUS U3000」「MULTUS U4000」の上位機種となる「MULTUS U5000」を開発いたしました。

研削盤においては、自動車部品に代表される量産加工に対応する省スペースで操作性を高めた砥石台トラバース方式の円筒研削盤「GA26W」、「GP26W」を開発いたしました。先に発売された「GA15W」、「GP15W」と併せ、需要規模の大きい小型量産部品から中型部品まで、対象部品にあわせたラインナップを完成させました。

当グループは今後とも、お客様の利益の最大化に向けて「高精度生産性」を追求し、また、お客様が求める「ソリューション(課題解決や付加価値向上のための提案)」を機械に組込むことにより、新しい差別化・成長製品の創出を目指してまいります。機械技術、加工技術、制御・ITの技術基盤をベースに、トータルレスポンシビリティの強みをさらに拡げて「最高のものづくりサービス」を提供してまいります。

この戦略は、当グループならではの強みであり、他社が容易に真似できない差別化戦略であります。オンリーワン技術・商品を間断なく開発し、その業界、対象ワークでグローバルに競争力をもつ生産手段を提供し、お客様の利益を創出し続けることにより、世界の工作機械のエクセレントカンパニーを目指してまいります。

 

(2) NC装置とIT製品の開発

当グループは、1963年(昭和38年)に自社製NC「OSP」の開発に成功して以来、機械とNC装置を一体でサポートする「トータルレスポンシビリティ」を基本理念とし、現在では、機・電・情・知(機械・電気・情報・知識創造)の融合をコンセプトとして、お客様のものづくりを支えるソリューションを提供する先進技術と機能の開発を続けております。近年、グローバル競争が激化する中、ものづくり産業における生産革新、スマート化の流れが進展しております。こうしたスマートなものづくりを支えるのが、スマートマシンであり、スマートマニュファクチャリング(スマートなものづくりの仕組み)であります。

当連結会計年度における研究開発活動として、スマートマシン、そしてスマートマニュファクチャリングの中核であるものづくりコントローラ「OSP suite」の開発展開を加速してまいりました。さらには、自社工場DS1(Dream Site1)にて実証を進めてきたスマートマニュファクチャリングの研究成果を活かして、お客様の工場のスマート化をサポートする製品・ソリューション開発を進めてまいりました。

1) ものづくりコントローラ「OSP suite」の進化

ものづくりの情報化・ネットワーク化に関して、日増しに高度化する要求に応えられるように、ものづくりコントローラ「OSP suite」の基本性能・機能を大きく進化させ、CNC装置のモデルを「OSP-P300A」として開発いたしました。「OSP-P300A」は2016年8月から複合加工機と5軸制御マシニングセンタに、 2016年11月からは全機種に搭載し販売を開始いたしました。

1-1) 新CNCモデル「OSP-P300A」

最新CPUを搭載して処理速度、描画性能の向上を実現し、また、加工現場に最適なマルチタッチパネルを採用いたしました。第4次産業革命の流れにおいては、IoT技術の活用、スマートな製造による生産革新が求められており、「OSP-P300A」は、ものづくり現場において高度なデジタル情報をスムースかつ双方向に扱うことのできる処理能力と操作性を提供いたします。

 

1-2) 新サーボシステム「MCS4」

工作機械では、高速で高精度かつ高品位な加工面が求められ、機械の送り軸や主軸には精密なサーボ制御が要求されます。「MCS4」は、送り軸と主軸制御における位置・速度・電流の制御周期を高速化し、新開発の検出器により送り軸の位置検出分解能を大幅に向上させることで、超ハイゲイン化(高感度化)を可能としました。「OSP-P300A」の演算性能アップと相まって、機械性能を最大限に引き出し、高速で高精度かつ高品位な加工で生産性向上に寄与いたします。

1-3) 工作機械保全支援ソリューション「メンテナンス suite」

機械の安定稼動に繋がる効率的な保全作業がこれまで以上に重要視され、保全の容易化、機械停止時間の最小化に向けての支援システムの構築が強く求められています。「メンテナンスsuite」は、機械停止を未然に防ぐ予防保全機能として「OSP-AI 故障診断機能」、定期保全の支援と見える化を実現する「メンテナンスモニター」、事後保全として機械停止をいち早く知らせる「メール通知機能」をひと揃え(suite)で提供いたします。特に「OSP-AI 故障診断機能」は、当社の強みである知能化技術を発展させ、AI(人工知能)診断技術を世界で初めて工作機械用CNC装置に内蔵し、ボールねじ、ボールねじ支持軸受の不具合の有無、異常部位をAIが診断し、機械保全に関する専門知識が無くても予防保全を可能とします。

2) オークマスマートファクトリーの開発

ドイツの「Industrie4.0」や米国の「Industrial Internet」など、国を挙げて次世代のものづくりを推進するなか、当社は、自社工場DS1にて実証を進めてきたスマートマニュファクチャリングをお客様向けに商品化し、2016年11月に開催した「第28回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2016)」にて発表いたしました。「OSP suite」を中核に、工作機械とPC(パソコン)をつなぎ機械の稼働状況を見える化する「Connect Plan」と生産計画の見える化で工場生産性を向上する「Smart Plan」を発表し、お客様の工場のスマート化の支援を開始いたしました。

「Connect Plan」は、IoTをスモールスタートで始めたいお客様向けのプランで、機械の稼働状況、実績を見える化する事で、カイゼンサイクルを促して稼働率向上を支援いたします。「Smart Plan」は、さらに生産計画、生産進捗を見える化する事で、工場内での不慮のトラブルや頻繁な需要の変動、多品種少量・初品の短納期対応など市場・需要の変化に柔軟に対応できる生産の構築を支援いたします。

当グループでは、半世紀に渡る自社製NC開発の基本理念を今後も継承するとともに、オークマの強みである機・電・情・知融合のコンセプトを基盤として、先進のサーボ技術、先進の情報技術、オンリーワンの知能化技術の開発と強化を進め、自社製NCとIT製品のさらなる進化を促進し、「総合一貫した“ものづくりサービス”」を通じて世界中のお客様の価値創造に貢献できるように推進してまいります。

 

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、平成29年3月末日現在で当グループが判断したものであります。

 

(1) 当連結会計年度における重要な会計方針及び見積り

当グループの連結財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。

連結財務諸表の作成においては、連結会計年度末日における資産・負債の金額及び偶発債務の開示、並びに連結会計年度における収益・費用の適正な計上を行うため、見積りや前提が必要となります。当グループは、過去の実績、または各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しております。

以下、当グループの財政状態や経営成績にとって重要であり、かつ相当程度の経営判断や見積りを必要とする重要な会計方針についてご説明いたします。

 

① 貸倒引当金

当グループは、貸倒れによる損失に備えるため、連結会社間の債権債務を相殺消去した期末の金銭債権に対し、一般債権につきましては貸倒実績率により、また貸倒れが懸念される債権につきましては、回収可能性を勘案して貸倒見積り額を計上しております。取引先の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。

 

② たな卸資産

当グループは、たな卸資産について、推定される将来需要及び市場状況に基づく時価の見積り額と原価との差額に相当する陳腐化の見積り額について、評価損を計上しております。将来需要または市場状況が当グループの見積りより悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。

 

③ 繰延税金資産

繰延税金資産のうち、将来において回収が見込めない部分については評価性引当額を設定しております。繰延税金資産の評価は将来の課税所得の見積りに依拠します。将来の課税所得が、経済環境の変化や収益性の低下により予想された額よりも低い場合には、繰延税金資産の金額は調整される可能性があります。

 

④ 退職給付債務及び費用

従業員の退職給付債務及び費用の計算は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率などが含まれます。当グループは、使用した仮定は妥当なものと考えておりますが、実績との差異または仮定自体の変更により、年金債務と将来の費用に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 投資有価証券の減損

当グループは、その他有価証券のうち、取得価額に比べ実質価額が著しく下落したものにつきましては、回復可能性があると認められる場合を除き、減損処理を行っております。時価のある有価証券につきましては、期末日における時価の簿価に対する下落率が50%以上の場合には、回復可能性はないものと判断し、30%以上50%未満の下落の場合には、当該有価証券の発行会社の財務状況及び将来の展望などを総合的に勘案して回復可能性を判断しております。時価のない有価証券につきましては、その有価証券の発行会社の1株当たり純資産額が、取得価額を50%程度以上下回った場合に回復可能性がないものとして判断し、30%以上50%未満下落の場合には、当該有価証券の発行会社の財務状況及び将来の展望などを総合的に勘案して回復可能性を判断しております。

将来の時価の下落または投資先の業績不振や財政状態の悪化により、評価損の計上が必要となる可能性があります。

 

⑥ 固定資産の減損

減損損失の認識及び回収可能価額の算定に際し、将来キャッシュ・フローについて見積りを行っております。当グループは将来キャッシュ・フローの見積りは合理的であると考えておりますが、予測不能な事業上の仮定の変化による将来キャッシュ・フローの見積りの変化が、固定資産の評価に影響する可能性があります。

 

 

(2) 当連結会計年度における経営成績の分析

① 売上高

当グループは、オークマブランドの強化・浸透、生産性向上に結び付くソリューションの提案等、顧客拡大に向けた諸施策を進め、受注・売上高の拡大を図ってまいりました。

その結果、売上高は1,626億79百万円(前連結会計年度比11.3%減)となりました。

 

② 営業利益

生産効率向上、コストダウン施策に注力し、収益力の強化を進め、営業利益は155億60百万円(前連結会計年度比27.9%減)となりました。売上総利益率は、前連結会計年度に比較して1.2%減少の29.6%となり、販売費及び一般管理費の対売上高比率は、前連結会計年度に比較して0.9%増加の20.0%となりました。

 

③ 経常利益

営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は4億1百万円の利益となりました。そのうち、受取利息及び受取配当金から支払利息を差し引いた金融収支は4億67百万円の利益となりました。また、その他の営業外収益として、受取地代家賃1億56百万円、その他の営業外費用として、借入手数料1億43百万円等を計上し、経常利益は159億61百万円(前連結会計年度比26.1%減)となりました。

 

④ 親会社株主に帰属する当期純利益

特別損失には、新工場の建設に伴い発生する工場再構築費用4億19百万円を計上し、税金等調整前当期純利益は155億42百万円となりました。また、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額、非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は102億41百万円(前連結会計年度比25.2%減)となりました。

 

(3) 当連結会計年度における連結財政状態及び連結キャッシュ・フローの分析

当グル-プの資金状況は、「1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」をご参照願います。

当連結会計年度末の純資産額は、前連結会計年度末に比べて104億48百万円増加し、1,451億53百万円となりました。主な増加要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上102億41百万円などによるものであります。また、総資産額は前連結会計年度末に比べて85億22百万円増加し、2,111億17百万円となりました。

その結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、66.1%となりました。