第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における世界経済は、中国をはじめ新興諸国経済の減速、資源安が進む中、総じて緩やかな成長となりました。米国経済は個人消費を中心に堅調に推移し、欧州経済は緩やかな回復が続きました。中国経済は年度半ばから減速が顕著となり、近隣の新興諸国経済は停滞が続きました。

国内経済は、企業業績は好調が続きましたが、個人消費は低迷が続きました。

工作機械の需要動向につきましては、前連結会計年度よりは弱まりましたが、史上4番目となる高い受注水準でありました。北米市場では、自動車や航空機関連は堅調に推移しましたが、原油安や中国経済の減速等により、製造業全般としては設備投資に弱さが見られました。欧州市場は、ユーロ安及び金融緩和策の継続により、極めて緩やかながらも回復が続きました。中国市場は年度後半に需要が大きく減少しましたが、省人化・無人化などの合理化を目的とした設備投資は底堅いものがありました。国内市場では、好調な企業業績と省エネ補助金等の政策効果もあり、設備投資の回復が進み旺盛な需要が発現しました。しかし、補助金関係の受注が年度前半に集中したこともあり、年度後半にかけては需要が弱まりました。

このような状況の下、当グループは付加価値の高い製品・サービスを提供し、受注・売上・収益の拡大を図ってまいりました。

販売戦略におきましては、「ものづくりの可能性を切り拓き、新たな顧客価値の創造」を意味するブランドメッセージ「OPEN POSSIBILITIES」を制定し、全世界に向けて発信を開始いたしました。また、ビジュアルデザインを統一して、世界各地の展示会に積極的に参加し、オークマブランドの強化・浸透を図ってまいりました。新興諸国市場では、「第14回中国国際工作機械展覧会(CIMT2015)」を始めとする各国の展示会に参加し、オークマブランドの強化・浸透と顧客開拓を進めました。先進国市場では、アメリカ及びフランスの販売拠点に設けたAerospace Center of Excellenceを活用し、テストカットの充実とソリューションの開発を進め、航空機関連の受注拡大を図りました。国内では、昨年11月に本社工場で「オークマ・マシンフェア2015」を開催し、最新鋭の複合加工機や5軸制御マシニングセンタ等による加工実演と知能化技術を紹介いたしました。また、本社の最新鋭工場DS1(ドリームサイト1)で進めておりますスマートファクトリー(賢い工場)の取り組みを紹介し、生産性向上に結び付くソリューションを提案いたしました。

技術戦略におきましては、高速・高精度の5軸加工に旋削・研削・ギア加工の工程集約を実現した旋削機能付5軸制御立形マシニングセンタ「MU-4000V-L」などを開発し、高精度、高効率生産を実現する製品群を充実させてまいりました。この「MU-4000V-L」は日刊工業新聞社主催の「2015年度十大新製品賞 本賞」を受賞いたしました。また、新型CNC装置「OSP suite」に搭載された「ECO suite」は、高精度を維持しながら運転電力と待機電力を削減する新世代省エネルギーシステムであります。高度な省エネルギー技術の実現と可視化によるCNC装置の機能性を高めたことが評価され、日刊工業新聞社主催の「第45回機械工業デザイン賞 最優秀賞・経済産業大臣賞」を受賞いたしました。

コスト戦略におきましては、本社工場DS1(ドリームサイト1)においてスマートファクトリーの取り組みを強化し、さらなる生産効率の向上に努めてまいりました。

これらの戦略を確実に実行してまいりました結果、当期の連結受注高は1,818億96百万円(前期比3.9%増)、連結売上高は1,834億78百万円(前期比10.4%増)、連結営業利益は215億83百万円(前期比48.6%増)、連結経常利益は215億96百万円(前期比58.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は136億97百万円(前期比18.7%増)となりました。

 

次に、セグメント別の業績は、次のとおりであります。

① 日本

国内経済は緩やかな回復が続く中、好調な企業業績と補助金等の政策効果もあり、設備投資の回復が進み工作機械も旺盛な需要が発現しました。しかし、補助金関係の受注が年度前半に集中したことにより、年度後半の需要は弱まりました。

その結果、売上高は1,600億14百万円(前連結会計年度比17.4%増)となりました。

利益面では、本社工場(ドリームサイト1)の稼働率を高め、多品種少量での高効率生産とコストダウンを進めた結果、営業利益は178億90百万円(前連結会計年度比79.7%増)となりました。

 

② 米州

米国経済は堅調に推移し、自動車や航空機関連からの底堅い需要はありましたが、海外経済の減速等の影響もあり、製造業全般としては設備投資に弱さが見られました。

その結果、売上高は458億25百万円(前連結会計年度比4.1%減)、営業利益は30億71百万円(前連結会計年度比90.2%増)となりました。

 

③ 欧州

欧州経済は緩やかな回復が続き、工作機械需要は、ユーロ安及び金融緩和策の継続を背景に、極めて緩やかながらも回復基調で推移いたしました。

その結果、売上高は255億7百万円(前連結会計年度比4.7%増)、営業利益は3億54百万円(前連結会計年度比65.4%減)となりました。

 

④ アジア・パシフィック

中国経済は、年度半ばから減速が顕著となり、近隣の新興国経済は停滞が続きました。年度後半から、中国市場の需要は大きく減少しましたが、省人化・無人化などの合理化を目的とした設備投資は底堅く推移しました。一方、その他アジア新興国の需要は停滞が続きました。

その結果、売上高は185億円(前連結会計年度比2.3%減)、営業利益は12億46百万円(前連結会計年度比19.5%減)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前年同期と比較して97億84百万円増加し、495億70百万円となりました。
  営業活動によるキャッシュ・フローは、236億68百万円の収入となりました(前年同期は241億18百万円の収入)。主な資金の増加項目としては、税金等調整前当期純利益214億21百万円、及び減価償却費55億1百万円などによるものであります。
 投資活動によるキャッシュ・フローは、58億26百万円の支出となりました(前年同期は38億97百万円の支出)。主な資金の減少項目としては、有形固定資産の取得による支出25億57百万円、定期預金等の純増額15億8百万円、及び無形固定資産の取得による支出14億90百万円などによるものであります。
 財務活動によるキャッシュ・フローは、74億35百万円の支出となりました(前年同期は88億70百万円の支出)。主な資金の減少項目は、長期借入金の返済による支出40億80百万円、配当金の支払額25億66百万円、及びリース債務の返済による支出5億90百万円などによるものであります。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における当グループの連結生産実績は、1,862億90百万円(前年同期比13.9%増)であります。なお、日本での生産高が90%以上であるため、セグメントごとの記載を省略しております。

 

(2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高
(百万円)

前年同期比
(%)

受注残高
(百万円)

前年同期比
(%)

日本

98,756

8.2

28,505

△11.9

米州

47,532

△3.2

12,494

16.3

欧州

25,014

△2.1

9,263

△3.9

アジア・パシフィック

10,592

17.0

2,221

66.2

合計

181,896

3.9

52,484

△2.9

 

(注) 1.  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高
(百万円)

前年同期比
(%)

日本

102,600

21.7

米州

45,782

△3.8

欧州

25,388

4.6

アジア・パシフィック

9,707

△3.3

合計

183,478

10.4

 

(注) 1.  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.  主要な販売先については、総販売実績の100分の10以上を占める販売先がないため、記載を省略しておりま

   す。 

3.  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

(1) 当グループの現状認識について

今後の世界経済の見通しにつきましては、緩やかな回復基調で推移するものと見込まれます。米国経済は、好調な個人消費とともに、ドル高の是正により企業の生産活動も好転していくものと見込んでおります。欧州経済は、金融緩和の継続等により、緩やかな回復が続くと見込まれます。中国経済は停滞が続いておりますが、安定成長に向けて大型インフラ投資などの諸施策も進められております。その他のアジア新興国においては、地域により強弱はあるものの、先進国経済に牽引され、アジア全体では経済は持ち直しに向かうものと期待されます。

わが国経済の見通しにつきましては、金融緩和の継続や経済政策の効果、海外経済の持ち直し等により、緩やかな回復が見込まれます。

このような経済情勢の下、工作機械の市況につきましては、米国及び欧州市場では、自動車や航空機関連を中心に需要は底堅く推移すると予想されます。中国市場では、省人化、無人化ニーズに対応する高付加価値マシンの需要は底堅く、また、鉄道関連投資の拡大に伴う需要も期待されます。アセアン、インドなど新興諸国市場につきましても緩やかな回復に向かうと見込まれます。国内市場では、ものづくり補助金及び固定資産税の減免措置の実施、生産性向上設備投資促進税制の効果等により、効率向上に向けての投資や老朽化設備の更新需要が期待されます。

 

(2) 当グループの具体的な対応方針について

このような状況の下、当グループは「総合ものづくりサービス」の提供による顧客価値の創造を進め、当グループの成長を図ってまいります。

販売戦略におきましては、世界各地の展示会に積極的に参加して、当社の知能化技術と高付加価値マシンのPRに努めてまいります。また、スマートファクトリーの取り組みを紹介するなど、オークマブランドの浸透と新規顧客の開拓を進めてまいります。北米、フランスの拠点に続き、日本の本社にもAerospace Center of Excellenceを設置し、世界3極でノウハウを蓄積して、好調な航空機関連向けのソリューション強化を図ってまいります。新興国市場では、現地拠点のサービス力を強化してまいります。そして、日本の可児工場内にありますサービスパーツセンターを拡張して、サービスパーツの供給能力を大幅に引き上げ、世界各地に迅速供給してまいります。

技術戦略におきましては、需要が高まる5軸制御マシニングセンタ、複合加工機を中心に、当社の強みであります高付加価値マシンの製品ラインアップをさらに強化してまいります。また、当社独自の知能化技術を一段と進化させて、ものづくりの高度化を図るスマートマシンの開発を進めてまいります。

コスト戦略につきましては、需要変動に柔軟に対応できる生産システムの高度化と物流改革による高効率生産を推し進めます。また、新工場DS2(ドリームサイト2)の建設に着手いたします。DS1(ドリームサイト1)で培ったノウハウをもとに、無人化をさらに進化させたスマートファクトリーを構築し、生産効率の大幅向上を図ってまいります。

このような戦略を強力に推し進め、受注・売上・収益を拡大し、当グループのさらなる成長を目指してまいります。

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、平成28年3月末日現在で当グループが判断したものであります。

 

(1) 工作機械の主要消費地域の経済状況について

 工作機械の需要は、主要消費地域(日本、米州、欧州、中国を含むアジア)の経済状況と同地域における設備投資需要の変動に左右されます。特に、当グループの連結売上高に占める海外売上高の割合は、当連結会計年度において56.6%、前連結会計年度においても63.3%といずれも高い比率となっており、海外消費地域の経済状況の悪化により需要が低下した場合は、当グループの業績への影響が懸念されます。

 

(2) カントリーリスクについて

 当グループは、中国及び台湾の子会社にて工作機械を製造しており、米州、欧州及びアジア・パシフィック地域の子会社を通じて製品の販売及びアフターサービスの提供をしておりますが、これらの国または地域において、政情の悪化、予期せぬ法律・規制の変更等があった場合は、当グループの業績への影響が懸念されます。

 また、グループ会社間の取引価格に関しては、適用される日本及び相手国の移転価格税制を順守するよう細心の注意を払っておりますが、税務当局から取引価格が不適切であるなどの指摘を受ける可能性があります。さらに政府間協議が不調となるなどの場合、結果として二重課税や追加課税を受ける可能性があります。これらの事態が発生した場合は、当グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(3) 為替、金利及び株価の変動リスクについて

 当グループはグローバルに販売及び生産活動を展開しているため、外貨建て商取引及び投資活動等は為替変動の影響を受けます。また、有利子負債の削減を軸に財務体質の強化に努めておりますが、金利上昇は支払利息の増加を招き、当グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当グループは、為替変動及び金利の変動リスクを回避すべく、輸出地域の分散、社内管理規定に従ったヘッジ取引等を実施しておりますが、その影響を完全に回避できるとは限りません。また、当社は、取引先企業や金融機関等の株式を保有しており、株価が大幅に下落した場合は投資有価証券評価損が発生し、当グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(4) 財務制限条項について

 当社が複数の金融機関との間で締結している借入れに係る契約には、財務制限条項が定められており、条項に抵触した場合は、借入金利の上昇等により、当グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(5) 固定資産の減損について

 当グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しており、事業環境の大幅な変動が生じた場合や土地等の固定資産価格が下落した場合には減損損失が発生し、当グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(6) 原材料費の大幅な変動について

 工作機械の主要原材料として使われる鋳物・鋼材などは、原油価格の動向、国際的な需給の状況などにより価格が変動し、コストアップ要因となる場合があります。このコストアップに対しては、コストダウン推進や製品価格への転嫁によってカバーする方針でありますが、さらなる価格の高騰が続いた場合には、当グループの業績への影響が懸念されます。

 

(7) 自然災害及びテロ等のリスクについて

 当グループは製造、販売及びサービス拠点をグローバルに展開しているため、予測不可能な自然災害、コンピュータウィルス、テロといった多くの事象によって引き起こされる災害に影響を受ける可能性があります。

  特に、当グループの本社機能及び主要な製造拠点があります愛知・岐阜両県は、東海大地震の防災強化地域であり、ひとたび大きな地震が発生した場合には、大きな損害が発生し、当グループの業績への甚大な影響が懸念されます。当グループといたしましては、建物等の耐震工事、防災訓練の実施及び従業員への啓蒙などの地震対策を逐次実施しており、リスクの極小化に努めております。

 

(8) 資材の調達リスクについて

 自然災害等によって調達先の生産が滞ることにより、工作機械の構成部品やユニットの調達難が生じ、安定した生産が阻害される可能性があります。調達部品の確保のために、調達難の要因となる事象の監視と対応、代替手段の確保等により、リスクの極小化に努めております。

 

(9) 電力不足のリスクについて

 原子力発電所の停止等により電力供給不足に陥った場合、節電対応により、安定した生産が阻害される可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当グループでは、基礎及び応用研究、そして、これらの研究により裏付けされた新製品の開発までの一連の研究開発活動を、当社の技術本部及びFAシステム本部を中心として行っております。当連結会計年度は、研究開発費として41億42百万円を支出いたしました。

研究開発活動の概要は、次のとおりであります。

 

(1) 新機種・新技術開発

グローバルに拡大を続ける航空機産業や、先進国・新興国ともに需要が広がる自動車産業、並びに広範囲に亘る国内製造業の設備投資意欲が旺盛な状況となりました。2015年の日本の業界受注額は1兆4,806億円と前年の1兆5,094億円には届かなかったものの歴代3番目の高水準となりました。

このような市場において、製品競争力を一層高めていくためには、生産性の向上に貢献し、高付加価値加工・高精度加工が安定して実現でき、かつ、環境・エネルギーに配慮したスマートファクトリーに対応できる自律型工作機械「スマートマシン」の開発が必要となります。当グループは、このような市場要求に対して業界唯一の、機・電・情・知(機械・電気・情報・知識創造)の融合技術を持つ強みを活かし、「高精度生産性」の追求と「省エネルギー」に貢献するオンリーワン技術・商品の開発を展開しております。

当グループは、これまでにお客様の加工能率最大を支援する「加工ナビ」、安定した高精度加工が誰にでも実現できる「サーモフレンドリーコンセプト」、衝突を気にせず誰にでも熟練の操作が実現できる「ぶつからない機械(アンチクラッシュシステム)」、5軸制御加工機の幾何誤差を自動計測・補正する「ファイブチューニング」等の知能化技術を開発いたしました。また、拡大を続ける航空機業界で課題となっている、チタン・インコネル材の様な難削材の高能率加工を実現する「シンクロドライビング」の開発は、当グループの技術力を示す新技術開発となりました。

航空・宇宙、エネルギー、自動車、一般機械等幅広い業界で、部品の高機能化・軽量化を目的として複数部品の一体化が加速し、複雑形状化が進んでおります。そのため加工の工程集約のニーズが一層高まり、1回の段取りであらゆる加工ができる5軸制御マシニングセンタや複合加工機の需要がグローバルに増加しております。

これらの需要に対応すべく、サーモフレンドリーコンセプトによる抜群の加工精度安定性とファイブチューニングによる高精度な加工を実現する5軸制御マシニングセンタ「MU-4000V」を開発しました。「MU-4000V」は、昨年までに開発した「MU-5000V」「MU-6300V」「MU-8000V」のMU-1000Vシリーズを完成させるもので、高速・高精度な5軸制御マシニングセンタでありながら旋削機能、研削機能、スカイビング歯車加工等の多工程をコンパクトサイズに集約可能といたしました。新たな5軸制御マシニングセンタのベストセラーマシンとしてまいります。

さらに大型の5軸制御マシニングセンタとしては、横形の「MU-10000H」を既に市場投入しており、幅広い市場ニーズに応えることができるよう新機種開発を進めてまいりました。今後とも5軸制御マシニングセンタ、複合加工機シリーズの育成展開を継続して、一層の市場競争力強化を図ってまいります。

5軸制御マシニングセンタ及び複合加工機の領域において、さらなる工程集約・機能拡張を実現するため、複合加工機では、工具主軸の回転を利用し、加工物の外周穴や突出部の旋削加工も可能にしたターニングカット機能を開発し、シール機構部に要求される加工精度の対応を可能にしました。工具主軸の持つB軸動作と旋削加工を同期制御することで、工具寿命の延長や、曲面形状の加工精度を向上するB軸旋削機能、さらに、複雑形状加工を実施後、加工物を取外すことなく、三次元計測を可能とした、機内計測システム等を開発いたしました。また、生産性向上を目的とした、下刃物台付の複合加工機では、下刃物台の取付け工具本数の制約から、長時間連続運転に制限がありましたが、工具を自動交換する技術を開発し、長時間自動運転の対応を可能としました。

また、当社のベストセラーマシンであります「LB EX」シリーズの中でも、最も需要の大きな「LB3000 EXⅡ」において長尺加工を可能とする心間1,300mm仕様を開発いたしました。長尺加工物を高能率に加工する為、加工物を支持する振止めをNC制御にて長手に移動可能とした「自走式振止め」や、ねじ加工時のビビリを抑制する「加工ナビT-gねじ切り」機能を付加し、新たに長手展開をいたしました。

これらの継続的な機械及び技術の開発の結果、2015年には、5軸制御マシニングセンタ「MU-4000V-L」が、日刊工業新聞社主催の「2015年度十大新製品賞 本賞」を、また、新世代省エネルギー技術として開発いたしました「ECO suite」が、日刊工業新聞社主催の「第45回機械工業デザイン賞 最優秀賞・経済産業大臣賞」をそれぞれ受賞いたしました。

 

当グループは今後とも、お客様の利益の最大化に向けて「高精度生産性」を追求し、また、お客様が求める「ソリューション(課題解決や付加価値向上のための提案)」を機械に組込むことにより、新しい差別化・成長製品の創出を目指してまいります。機械技術、加工技術、制御・ITの技術基盤をベースに、トータルレスポンシビリティの強みをさらに拡げて「最高のものづくりサービス」を提供してまいります。

この戦略は、当グループならではの強みであり、他社が容易に真似できない差別化戦略であります。オンリーワン技術・商品を間断なく開発し、その業界、対象ワークでグローバルに競争力をもつ生産手段を提供し、お客様の利益を創出し続けることにより、世界の工作機械のエクセレントカンパニーを目指してまいります。

 

(2) NC装置とIT製品の開発

当グループは、1963年(昭和38年)に自社製NC「OSP」の開発に成功して以来、機械とNC装置を一体でサポートする「トータルレスポンシビリティ」を基本理念とし、現在では、機・電・情・知(機械・電気・情報・知識創造)の融合をコンセプトとして、お客様のものづくりを支えるソリューションを提供する先進技術と機能の開発を続けております。

当連結会計年度における研究開発活動として、1)新世代知能化CNC「OSP suite」 、2)新世代省エネシステム「ECO suite」、3)オークマスマートファクトリー、4)新制御技術の開発を進めてまいりました。
 
1)新世代知能化CNC「OSP suite」の全機種展開

「OSP suite」は、オンリーワン技術である「知能化技術」に加えて、タッチパネル操作を進化させた新操作感覚「suite タッチ」と加工現場から発想した「suite アプリ」を搭載し、始業点検からプログラムや工具・治具の準備、加工、終業作業に至るまで、作業全般でのデジタル情報の活用を促進する新世代知能化CNC装置であります。

当社はJIMTOF2014を皮切りに、19インチ大画面を搭載した新世代知能化CNC「OSP suite」のPRを開始し、2015年4月より複合加工機、5軸制御マシニングセンタへの適用、販売を開始いたしました。

「OSP suite」は、「IoT」時代にフィットした「ものづくりのデジタル化」を推進する「CNC装置」として、人に優しい操作性と省スペースを両立する15インチ画面を採用した「OSP suite」スリムタイプ及びコンパクトタイプを開発し、2015年8月から 旋盤、マシニングセンタ全機種に搭載し販売を開始いたしました。
2)新世代省エネルギー技術「ECO suite」の全機種展開

「ECO suite」は、「運転電力の低減」と「待機電力の削減」による省エネを実現する新世代省エネルギー技術であります。

「ECO suite」は、世界初の工作機械アイドリングストップ機能「ECOアイドルストップ」、電力消費量をリアルタイムで見える化する「ECO電力モニタ」、ものづくりの環境に合わせて省エネルギーを最適化する「ECOユアツ」、「ECOオペレーション」で構成され、高度な省エネルギー技術により、高精度を維持したまま電力消費量の削減を実現するものであります。

2015年4月から「ECO suite」を複合加工機、5軸制御マシニングセンタに搭載、販売を開始、2015年8月からは、旋盤、マシニングセンタ全機種に搭載し、販売を開始いたしました。
3)オークマスマートファクトリーの提案

ドイツの「Industrie4.0」や米国の「Industrial Internet」など、国を挙げて次世代のものづくりを推進するなか、当社は、2015年11月に開催した「OMF」(オークママシンフェア)にて、「OSP suite」を中核に、CAD、CAM、そして工作機械の動作を忠実にシミュレーションする当社独自の3Dバーチャモニタと機械をつなぎ、最短時間で加工準備を完了するものづくり現場のスマートファクトリー化の提案を行いました。

また、生産計画の変更に対して、柔軟に作業計画を変更し、作業者に分かりやすく伝えるシステム、作業計画から加工準備、実加工、品質検査までの各種情報をデジタル化して蓄積し、製品のトレーサビリティを確保すると共に、データ分析によって計画策定や加工準備、加工作業の改善につなげるスマートマニュファクチャリングを提案いたしました。

 

4) 新制御技術の開発

高付加価値加工が求められる複合加工機や5軸制御マシニングセンタの回転軸においては、加工物の径が大きい場合、微細な角度誤差が加工面に大きな誤差となって現れるため、精密なサーボ制御が要求されます。

当社が開発した、サーボナビAI(Automatic Identification)は、ワーク重量に応じて最適な制御パラメータを自動的に調整する新制御技術であり、これをさらに進化させ、機械の摩擦抵抗などの状態変化に対しても、自動的に最適な制御パラメータを調整するサーボナビSF(Surface Fine tuning)を5軸制御マシニングセンタに適用いたしました。これらサーボナビによって、機械性能を最大限に引き出し、複雑化する5軸加工の高生産性と高品位加工の両立の実現を図りました。

当グループでは、半世紀に渡る自社製NC開発の基本理念を今後も継承するとともに、オークマの強みである機・電・情・知融合のコンセプトを基盤として、先進のサーボ技術、先進の情報技術、オンリーワンの知能化技術の開発と強化を進め、自社製NCとIT製品のさらなる進化を促進し、「総合一貫した“ものづくりサービス”」を通じて世界中のお客様の価値創造に貢献できるように推進してまいります。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、平成28年3月末日現在で当グループが判断したものであります。

 

(1) 当連結会計年度における重要な会計方針及び見積り

当グループの連結財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。

連結財務諸表の作成においては、連結会計年度末日における資産・負債の金額及び偶発債務の開示、並びに連結会計年度における収益・費用の適正な計上を行うため、見積りや前提が必要となります。当グループは、過去の実績、または各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しております。

以下、当グループの財政状態や経営成績にとって重要であり、かつ相当程度の経営判断や見積りを必要とする重要な会計方針についてご説明いたします。

 

① 貸倒引当金

当グループは、貸倒れによる損失に備えるため、連結会社間の債権債務を相殺消去した期末の金銭債権に対し、一般債権につきましては貸倒実績率により、また貸倒れが懸念される債権につきましては、回収可能性を勘案して貸倒見積り額を計上しております。取引先の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。

 

② たな卸資産

当グループは、たな卸資産について、推定される将来需要及び市場状況に基づく時価の見積り額と原価との差額に相当する陳腐化の見積り額について、評価損を計上しております。将来需要または市場状況が当グループの見積りより悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。

 

③ 繰延税金資産

繰延税金資産のうち、将来において回収が見込めない部分については評価性引当額を設定しております。繰延税金資産の評価は将来の課税所得の見積りに依拠します。将来の課税所得が、経済環境の変化や収益性の低下により予想された額よりも低い場合には、繰延税金資産の金額は調整される可能性があります。

 

 

④ 退職給付債務及び費用

従業員の退職給付債務及び費用の計算は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率などが含まれます。当グループは、使用した仮定は妥当なものと考えておりますが、実績との差異または仮定自体の変更により、年金債務と将来の費用に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 投資有価証券の減損

当グループは、その他有価証券のうち、取得価額に比べ実質価額が著しく下落したものにつきましては、回復可能性があると認められる場合を除き、減損処理を行っております。時価のある有価証券につきましては、期末日における時価の簿価に対する下落率が50%以上の場合には、回復可能性はないものと判断し、30%以上50%未満の下落の場合には、当該有価証券の発行会社の財務状況及び将来の展望などを総合的に勘案して回復可能性を判断しております。時価のない有価証券につきましては、その有価証券の発行会社の1株当たり純資産額が、取得価額を50%程度以上下回った場合に回復可能性がないものとして判断し、30%以上50%未満下落の場合には、当該有価証券の発行会社の財務状況及び将来の展望などを総合的に勘案して回復可能性を判断しております。

将来の時価の下落または投資先の業績不振や財政状態の悪化により、評価損の計上が必要となる可能性があります。

 

⑥ 固定資産の減損

減損損失の認識及び回収可能価額の算定に際し、将来キャッシュ・フローについて見積りを行っております。当グループは将来キャッシュ・フローの見積りは合理的であると考えておりますが、予測不能な事業上の仮定の変化による将来キャッシュ・フローの見積りの変化が、固定資産の評価に影響する可能性があります。

 

(2) 当連結会計年度における経営成績の分析

① 売上高

当グループは、オークマブランドの強化・浸透、生産性向上に結び付くソリューションの提案等、顧客拡大に向けた諸施策を進め、受注・売上高の拡大を図ってまいりました。

その結果、売上高は1,834億78百万円(前連結会計年度比10.4%増)となりました。

 

② 営業利益

生産効率向上、コストダウン施策に注力し、収益力の強化を進め、営業利益は215億83百万円(前連結会計年度比48.6%増)となりました。売上総利益率は、前連結会計年度に比較して2.8%増加の30.8%となり、販売費及び一般管理費の対売上高比率は、前連結会計年度に比較して0.1%減少の19.1%となりました。

 

③ 経常利益

営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は12百万円の利益となりました。そのうち、受取利息及び受取配当金から支払利息を差し引いた金融収支は3億79百万円の利益となりました。また、その他の営業外収益として、受取地代家賃1億73百万円、その他の営業外費用として、借入手数料3億14百万円等を計上し、経常利益は215億96百万円(前連結会計年度比58.0%増)となりました。

 

④ 親会社株主に帰属する当期純利益

特別損失には、新工場の建設決定に伴い発生する減損損失1億75百万円を計上し、税金等調整前当期純利益は214億21百万円となりました。また、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額、非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は136億97百万円(前連結会計年度比18.7%増)となりました。

 

(3) 当連結会計年度における連結財政状態及び連結キャッシュ・フローの分析

当グル-プの資金状況は、「1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」をご参照願います。

当連結会計年度末の純資産額は、前連結会計年度末に比べて57億66百万円増加し、1,347億5百万円となりました。主な増加要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上136億97百万円によるものであります。また、総資産額は前連結会計年度末に比べて23億98百万円増加し、2,025億94百万円となりました。

その結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、63.9%となりました。