第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における世界経済は、総じて緩やかな回復基調で推移いたしました。米国経済は堅調に推移し、欧州経済は地政学的なリスク等の影響を受けながらも、持ち直しの動きが続きました。中国経済は、景気が緩やかに減速する中、安定成長に向かいました。

わが国の経済は、消費税率引き上げ後の落ち込みから持ち直し、次第に回復へと向かいました。

工作機械の需要動向につきましては、北米市場は堅調に推移し、自動車及び航空機関連を中心に幅広い分野で旺盛な需要が見られました。欧州市場は緩やかな回復基調で進みましたが、設備投資に対し慎重な姿勢が見られました。中国市場では、高水準で推移していた電気・精密分野からの需要が落ち着く一方、自動車関連や一般機械における需要は緩やかな回復が続きました。国内市場では、円高の修正により企業収益の改善が進み、老朽化設備に対する更新意欲が高まる中、政府の投資促進策の後押しもあり、工作機械市場は好調に推移いたしました。

この様な状況の下、当グループは「グローバル70」の指針を掲げ、グローバル販売戦略、プレミアム・プロダクト戦略、グローバル・コスト戦略を推進し、受注・売上、収益の拡大を図ってまいりました。

グローバル販売戦略におきましては、新興国市場では、「第12回中国国際工作機械・工具展(CIMES 2014)」、「第16回ソウル国際工作機械展覧会(SIMTOS 2014)」を始めとするアジア各国の展示会への出展などを通じて、オークマブランドの浸透を図ってまいりました。また技術者が一貫して顧客をサポートする営業活動により顧客開拓を進めてまいりました。先進国市場では、米国で開催された国際見本市「IMTS2014」、東京で開催された「第27回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2014)」などにおいて、強みとする高付加価値マシン、独自の知能化技術を強力にアピールし、自動車、航空機等、ハイテク産業からの受注拡大を図ってまいりました。

プレミアム・プロダクト戦略におきましては、生産プロセスを効率化する豊富なアプリケーションを備え、また操作性も一段と高めた新型CNC装置OSP suiteや、大型部品の高能率加工と省スペースを両立させた5軸立形制御マシニングセンタMU-8000Vなどを開発し、高精度・高効率生産を実現する製品群を充実させてまいりました。

新型CNC装置OSP suiteは「2014年十大新製品賞 モノづくり賞」(日刊工業新聞社主催)を受賞し、門形マシニングセンタMCR-Cは「第44回機械工業デザイン賞」(日刊工業新聞社主催)を受賞いたしました。また5軸立形制御マシニングセンタMU-6300Vがドイツにおいて「MM Award」(Maschinen Markt社)を受賞いたしました。更に、加工能率と精度の向上をもたらす知能化技術の開発に対し、「平成26年度科学技術分野の文部科学大臣表彰(科学技術賞 開発部門)」を受賞いたしました。

グローバル・コスト戦略におきましては、部品加工・組立作業の負荷シミュレーションに基づく高精度な生産計画と、部品設計から加工まで一貫した独自のデジタルマニュファクチャリングの仕組みにより、本社新工場(ドリームサイト1)における、多品種少量の高効率生産とリードタイム短縮を一段と強化してまいりました。また台湾の生産拠点(大同大隈股份有限公司)では、自動化対応工作機械の技術・生産の強化、生産機種の拡充を図ってまいりました。

このように「グローバル70」の戦略を確実に実行してまいりました結果、当期の連結受注高は1,750億20百万円(前期比17.4%増)、連結売上高は1,662億30百万円(前期比23.7%増)、連結営業利益は145億26百万円(前期比55.5%増)、連結経常利益は136億71百万円(前期比43.7%増)、連結当期純利益は115億35百万円(前期比45.1%増)となりました。

 

次に、セグメント別の業績は、次のとおりであります。

① 日本

国内経済が次第に回復へと向かう中、円高修正による企業収益の改善が進み、老朽化設備に対する更新意欲の高まりが見られました。こうした中、政府の投資促進策の後押しもあり、自動車関連、一般機械向けを中心に、工作機械の需要は好調に推移いたしました。

その結果、売上高は1,363億15百万円(前連結会計年度比21.7%増)となりました。

利益面では、本社新工場(ドリームサイト1)を核として、多品種少量生産における生産効率向上に努め、営業利益は99億56百万円(前連結会計年度比63.2%増)となりました。

 

② 米州

米国経済が堅調に推移する中、自動車及び航空機関連を中心に、幅広い分野で、旺盛な需要が見られました。

その結果、売上高は477億88百万円(前連結会計年度比29.2%増)、営業利益は16億14百万円(前連結会計年度比29.6%増)となりました。

 

③ 欧州

地政学的リスク等の影響を受けながらも、欧州経済は持ち直しの動きが続きました。工作機械需要は、緩やかな回復基調で推移いたしましたが、設備投資に対して慎重な姿勢が見られました。

その結果、売上高は243億58百万円(前連結会計年度比27.0%増)、営業利益は10億26百万円(前連結会計年度比65.5倍)となりました。

 

④ アジア・パシフィック

中国経済は、景気が緩やかに減速する中、安定成長に向かいました。中国市場では、高水準で推移していた電気・精密分野からの需要が落ち着く一方で、自動車関連や一般機械における需要は緩やかな回復が続きました。一方、アセアン市場の需要は弱い動きが続きました。

その結果、売上高は189億33百万円(前連結会計年度比2.4%減)、営業利益は15億47百万円(前連結会計年度比10.4%減)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前年同期と比較して122億61百万円増加し、397億86百万円となりました。
  営業活動によるキャッシュ・フローは、241億18百万円の収入となりました(前年同期は141億1百万円の収入)。主な資金の増加項目としては、税金等調整前当期純利益142億28百万円、減価償却費60億50百万円、及び仕入債務の増加41億78百万円などによるものです。
 投資活動によるキャッシュ・フローは、38億97百万円の支出となりました(前年同期は75億61百万円の支出)。主な資金の減少項目としては、有形固定資産の取得による支出18億65百万円、及び無形固定資産の取得による支出15億16百万円などによるものです。
 財務活動によるキャッシュ・フローは、88億70百万円の支出となりました(前年同期は73億75百万円の支出)。主な資金の減少項目は、自己株式の取得による支出30億10百万円、長期借入金の返済による支出21億2百万円、配当金の支払額17億99百万円、及び短期借入金の純減額13億84百万円などによるものです。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における当グループの連結生産実績は、1,636億17百万円(前年同期比14.7%増)であります。なお、日本での生産高が90%以上であるため、セグメントごとの記載を省略しております。

 

(2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高
(百万円)

前年同期比
(%)

受注残高
(百万円)

前年同期比
(%)

日本

91,306

22.8

32,349

27.6

米州

49,121

19.7

10,743

16.4

欧州

25,542

7.1

9,637

15.2

アジア・パシフィック

9,050

△7.4

1,336

△42.4

合計

175,020

17.4

54,066

19.4

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高
(百万円)

前年同期比
(%)

日本

84,316

23.6

米州

47,607

29.0

欧州

24,270

27.2

アジア・パシフィック

10,036

△1.4

合計

166,230

23.7

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  主要な販売先については、総販売実績の100分の10以上を占める販売先がありませんでしたので、記載を

  省略しております。 

3  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

(1) 当グループの現状認識について

今後の世界経済の見通しにつきましては、緩やかな回復基調で推移すると見込まれます。米国経済は、ドル高による景気の下押し懸念を抱えながらも、底堅く推移するものと見込まれ、また欧州経済は、為替のユーロ安や金融緩和の効果が顕在化し、緩やかな回復が進むものと見込まれます。中国経済は安定した成長を維持し、その他のアジアの新興国においては、国ごとに強弱はあるものの、先進国経済の回復に伴い、アジア全体では経済は持ち直しに向かうものと期待されます。

わが国経済の見通しにつきましては、金融緩和や経済政策の効果に加え、原油価格の下落などにより、景気は緩やかな回復が続くものと見込まれます。

このような経済情勢の下、工作機械の市況は、海外の需要は米国を中心として底堅く推移し、国内では為替の安定による企業収益の改善や投資促進政策等により老朽化設備の更新需要が幅広く喚起され、堅調な設備投資が続くものと予想されます。

 

(2) 当グループの具体的な対応方針について

このような状況の下、当グループは「グローバル70」を指針に、「総合ものづくりサービス」の提供による顧客価値の創造で、当グループの成長を図る事業戦略を進めてまいります。

販売戦略におきましては、お客様の課題に対し最適な加工技術と製品で応え、お客様の競争力を最大化する提案型の営業展開を強化してまいります。また当社の先進技術を展示会で積極的にアピールするなど、アジア市場におけるオークマブランドの一層の浸透を図り、顧客基盤の拡大に努めてまいります。

技術戦略におきましては、5軸制御マシニングセンタ、複合加工機を中心に、高精度、高品質、高速加工を追求したプレミアム・プロダクトの開発に注力し、また機械、電気、情報、知能化の技術が融合した独自の先進技術の開発を推進してまいります。そしてこれらの製品と技術をプレミアム・ソリューションとして提供し、生産性向上に対するお客様のニーズに応えてまいります。

コスト戦略におきましては、生産システムの更なる高度化を進め、引合からワークセンタごとの稼動状況に至るまで、生産関連情報を蓄積し、分析、可視化することにより、生産計画の変動の抑制と生産負荷の平準化を図り、多品種少量、変種変量の高効率生産を一層強化してまいります。

このように戦略を推し進め、受注・売上、収益を拡大し、当グループの更なる成長を目指してまいります。

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、平成27年3月末日現在で当グループが判断したものであります。

 

(1) 工作機械の主要消費地域の経済状況について

 工作機械の需要は、主要消費地域(日本、米州、欧州、中国を含むアジア)の経済状況と同地域における設備投資需要の変動に左右されます。特に、当グループの連結売上高に占める海外売上高の割合は、当連結会計年度において63.3%、前連結会計年度においても62.6%といずれも60%を超える高い比率となっており、海外消費地域の経済状況の悪化により需要が低下した場合は、当グループの業績への影響が懸念されます。

 

(2) カントリーリスクについて

 当グループは、中国及び台湾の子会社にて工作機械を製造しており、米州、欧州及びアジア・パシフィック地域の子会社を通じて製品の販売及びアフターサービスの提供をしておりますが、これらの国または地域において、政情の悪化、予期せぬ法律・規制の変更等があった場合は、当グループの業績への影響が懸念されます。

 また、グループ会社間の取引価格に関しては、適用される日本及び相手国の移転価格税制を順守するよう細心の注意を払っておりますが、税務当局から取引価格が不適切であるなどの指摘を受ける可能性があります。更に政府間協議が不調となるなどの場合、結果として二重課税や追加課税を受ける可能性があります。これらの事態が発生した場合は、当グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(3) 為替、金利及び株価の変動リスクについて

 当グループはグローバルに販売及び生産活動を展開しているため、外貨建て商取引及び投資活動等は為替変動の影響を受けます。また、有利子負債の削減を軸に財務体質の強化に努めておりますが、金利上昇は支払利息の増加を招き、当グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当グループは、為替変動及び金利の変動リスクを回避すべく、輸出地域の分散、社内管理規定に従ったヘッジ取引等を実施しておりますが、その影響を完全に回避できるとは限りません。また、当社は、取引先企業や金融機関等の株式を保有しており、株価が大幅に下落した場合は投資有価証券評価損が発生し、当グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(4) 財務制限条項について

 当社が複数の金融機関との間で締結している借入れに係る契約には、財務制限条項が定められており、条項に抵触した場合は、借入金利の上昇等により、当グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(5) 固定資産の減損について

 当グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しており、事業環境の大幅な変動が生じた場合や土地等の固定資産価格が下落した場合には減損損失が発生し、当グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(6) 原材料費の大幅な変動について

 工作機械の主要原材料として使われる鋳物・鋼材などは、原油価格の動向、国際的な需給の状況などにより価格が変動し、コストアップ要因となる場合があります。このコストアップに対しては、コストダウン推進や製品価格への転嫁によってカバーする方針ですが、さらなる価格の高騰が続けば、当グループの業績への影響が懸念されます。

 

(7) 自然災害及びテロ等のリスクについて

 当グループは製造、販売及びサービス拠点をグローバルに展開しているため、予測不可能な自然災害、コンピュータウィルス、テロといった多くの事象によって引きおこされる災害に影響を受ける可能性があります。

  特に、当グループの本社機能及び主要な製造拠点があります愛知・岐阜両県は、東海大地震の防災強化地域であり、ひとたび大きな地震が発生した場合には、大きな損害が発生し、当グループの業績への甚大な影響が懸念されます。当グループといたしましては、建物等の耐震工事、防災訓練の実施及び従業員への啓蒙などの地震対策を逐次実施しており、リスクの極小化に努めております。

 

(8) 資材の調達リスクについて

 自然災害等によって調達先の生産が滞ることにより、工作機械の構成部品やユニットの調達難が生じ、安定した生産が阻害される可能性があります。調達部品の確保のために、調達難の要因となる事象の監視と対応、代替手段の確保等により、リスクの極小化に努めております。

 

(9) 電力不足のリスクについて

 原子力発電所の停止等により電力供給不足に陥った場合、節電対応により、安定した生産が阻害される可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当グループでは、基礎及び応用研究からこれらの研究をベースとした新製品の開発まで一連の研究開発活動を、当社の技術本部及びFAシステム本部を中心として行っております。当連結会計年度は研究開発費として36億57百万円を支出いたしました。

研究開発活動の概要は、次のとおりであります。

 

(1) 新機種開発

世界経済が総じて緩やかな回復基調で推移するなか、工作機械業界をとりまく環境は月を追うごとに回復基調が強まりました。2014年の日本の業界受注額は1兆5,094億円と前年の1兆1,170億円を大幅に上回り、2007年に記録した史上最高の1兆5,900億円に次ぐ史上2番目の高水準となりました。新興国の台頭や世界の人口増加によりエネルギー産業、インフラ整備に向けた需要は堅調に推移しており、拡大する航空機業界のほか、先進国・新興国ともに自動車産業の需要も広がっています。

このような市場において、製品競争力を一層高めていくためには、生産性向上に貢献する機械・高付加価値加工・高精度加工が安定して実現でき、環境・エネルギーに配慮したスマートファクトリーに対応できる機械が必要となります。当グループは、このような市場要求に対して業界唯一の、機・電・情・知(機械・電気・情報・知識創造)の融合技術を持つ強みを活かし、「高精度生産性」の追求と「省エネルギー」に貢献するオンリーワン技術・商品の開発を展開しております。お客様の最大能率加工を支援する「加工ナビ」、誰にでも安定して高精度加工が実現できる「サーモフレンドリーコンセプト」、衝突を気にせず誰にでも熟練の操作を実現する「ぶつからない機械(アンチクラッシュシステム)」、5軸制御加工機の幾何誤差を自動計測・補正する「ファイブチューニング」等の知能化技術をこれまでに開発し、市場で高い評価をいただいています。

更に2014年には、拡大する航空機業界で課題となっている、チタン・インコネル材の様な難削材の高能率加工を実現する「シンクロドライビング」を開発し、当グループの技術力を示すものとして市場で高い評価を頂いております。

インフラ産業、航空機、エネルギー分野では、大型部品においても複数部品の一体化が加速し、複雑形状化が進んでおります。そのため加工の工程集約のニーズが一層高まり、1回の段取りであらゆる加工ができる5軸制御マシニングセンタや複合加工機の需要がグローバルに増加しております。これらの需要に対応すべく、サーモフレンドリーコンセプトによる抜群の加工精度安定性とファイブチューニングによる高精度な加工を実現する5軸制御マシニングセンタ「MU-8000V」を開発しました。「MU-8000V」は、昨年までに開発した「MU-5000V」「MU-6300V」と同様にワークへのアプローチを作業者側と、ワークを自動交換する装置(APC(自動パレット交換)、ロボット)を区別することで、機械仕様に関わらず、作業者の機械への寄付きの良さを確保しております。これにより、さらに大きな5軸制御マシニングセンタ「MU-10000H」まで幅広くラインナップでき、市場ニーズに的確に応えることができるようになりました。

また、複合加工機では、よりマシニングセンタに近い加工を実現し、機械の最大工具長の工具を使用しても加工制限が発生しない理想的な動作範囲を持つ「MULTUS U3000」「MULTUS U4000」シリーズを2013年に開発いたしましたが、お客様の加工部品の大きさに最適な加工機を選択頂ける様、1000・1500・2000mmの長手展開と共に、工程集約や、加工時間短縮といった様々なご要望に、自在に対応可能とする下刃物台・対向主軸仕様の展開を行い、全17機種の展開を完了しました。

また、5軸制御マシニングセンタの幾何誤差を自動計測・補正するために開発いたしました「ファイブチューニング」の機能を当社の複合加工機「MULTUS U」シリーズ及び「VTM-YB」シリーズにも適用し、複雑形状部品加工における精度を向上させることができるようになりました。

自動車産業向けでは、エンジンのダウンサイズとターボの組合せが加速しており、ターボの生産量が拡大しております。これらをはじめ小型高精度部品の需要の高まりに応えるために小型の円筒研削盤「GA-15W」を開発しました。コンパクトな設計でライン長の短縮を実現し、大径砥石が搭載できるため長時間の連続稼働が可能となりました。また、新開発の研削盤用新CNC「OSP-P300G」を投入し、作業者の意思に沿った容易な操作性と、1画面で簡単に砥石ドレスが実現できました。さらに、小型ワークで発生しやすい研削びびりを抑制する機能も搭載することで、量産加工において重要視される連続稼働での面積生産性の向上に大きく貢献します。

 

これらの継続的な機械及び技術の開発の結果、2014年には、市場で高い加工能力が評価されている門形マシニングセンタ「MCR-C」が、「第44回機械工業デザイン賞」(日刊工業新聞社主催)を、5軸立形制御マシニングセンタ「MU-6300V」がドイツにおいて「MM Award」(Maschinen Markt社)をそれぞれ受賞いたしました。また、制御装置では、日常のメンテナンスからプログラム作成、稼動管理、そして作業者が使いたいアプリケーションといった「ものづくり」の各段階で必要なサポートを制御装置に一揃にした、ものづくりコントローラ「OSP Suite」を開発し、「第57回十大新製品賞」(日刊工業新聞社主催)を受賞いたしました。

当グループは今後とも、お客様の利益の最大化に向けて「高精度生産性」を追求し、また、お客様が求める「ソリューション(課題解決や付加価値向上のための提案)」を機械に組込むことにより、新しい差別化・成長製品の創出を目指していきます。機械技術、加工技術、制御・ITの技術基盤をベースに、トータルレスポンシビリティの強みをさらに拡げて「最高のものづくりサービス」を提供してまいります

この戦略は、当グループならではの強みであり、他社が容易に真似できない差別化戦略であります。オンリーワン技術・商品を間断なく開発し、その業界、対象ワークでグローバルに競争力をもつ生産手段を提供し、お客様の利益を創出し続けることにより、世界の工作機械のエクセレントカンパニーを目指します。

 

(2) NC装置とIT製品の開発

当グループは、工作機械メーカとしての長い歴史と実績に基づく確かな技術を土台として、1963年(昭和38年)、自社製NCの開発に成功しました。「OSP」は、機械技術と電気技術の融合を目指し、電源を切っても現在位置を失わない「絶対位置検出」、変化するお客様のニーズに柔軟に対応する「ソフトウェア可変」、機械とNC装置を一体でサポートする「トータルレスポンシビリティー」を基本理念としており、この3つの理念は、「OSP」の誕生以来、半世紀を経た現在に至るまで、当グループにおける「OSP」開発の基本理念として受け継いでおります。

現在も、お客様の価値創造を支えるために、機・電・情・知(機械・電気・情報・知識創造)の更なる融合によって、生産現場が真に求める、ユニークな差別化技術と先進機能の開発を続けております。

当グループにおける、当連結会計年度における研究開発活動としては、1)OSP suiteの開発、2)加工技術の強化開発、3)高精密サーボの強化開発を推進いたしました。

 

1)「IoT」時代にフィットした新世代知能化CNC「OSP suite」の開発

ビジネスのグローバル化および製品サイクルの短縮化に伴い、モノづくりのリードタイム短縮とコスト低減が一層重要となっています。そこで、製品開発から生産までのプロセスを最適化し、課題を解決するデジタル・マニュファクチャリングが注目されています。生産現場には情報が溢れており、図面や加工指示情報と高度化が進む工作機械が発信する情報をデジタル化し、お客様がそれらデジタル情報を活用し、機械の性能・機能を最大限引き出して、最高の生産性向上を図るソリューションを提供する事が重要となっています。OSPは、高速&高精度な加工を実現するための数々の機能、「サーモフレンドリーコンセプト」、「アンチクラッシュシステム」、「加工ナビ」、「ファイブチューニング」などの知能化技術でお客様の生産性向上を支援してきています。

「OSP suite」は、さらに、モノづくりに必要な加工情報、段取り情報、メンテナンス情報まで範囲を広げ、モノづくり全体を支援するものです。進化を続ける当社の「知能化技術」と「IoT」時代にフィットしたデジタル・マニュファクチャリングを切り拓く、知能化アプリ・情報アプリ「suiteアプリ」を最適融合し、人に優しい新操作感覚「suiteタッチ」で楽しく使用できる操作環境を提供する新世代知能化CNCです。

また、知能化技術と融合した新世代省エネルギー技術「ECO suite」では、加工精度や使い勝手を損なわない工作機械のアイドリングストップを実現した「ECOアイドルストップ」、間欠運転など稼働中の省エネルギー設定が可能な「ECOオペレーション」、サーボ制御技術を応用し高効率を極限まで追求した省エネ油圧ユニット「ECOユアツ」で電力量を50%削減しました。(当社 立形マシニングセンタ比)

本製品は、2015年4月から「MULTUS U3000」等の複合加工機、及び「MU-6300V」等の5軸制御マシニングセンタに適用を開始いたしました。

 

2)加工技術の強化開発

航空機・エネルギー・医療などの分野では、チタン、インコネルなどの難削材の使用率が高まり、それらの加工の安定化や加工コスト低減が求められています。難削材加工の工具寿命を向上させる技術として「シンクロドライビング」機能を開発、JIMTOF2014に出展し、制御装置を自社で開発できるオークマならではの機能と高い評価をいただきました。インサート工具を使用する場合に問題となる「工具チッピング」や「びびり」対策として、工具各刃における1刃送り量や加工入り部の切削速度を制御する事で、振動や切削熱を低下させ、工具寿命を向上させます。

3)高精密サーボの強化開発

加工するワーク重量に応じて最適な加減速制御を行い、加工時間を最短化するサーボナビAI(Automatic Identification)を2012年から適用し、次に経年変化による摺動抵抗の変化に伴う送り軸反転時の追従誤差や機械振動の増加を自動的に抑制するサーボナビSF(Surface Fine tuning)を2013年から、マシニングセンタの直線軸に適用しました。これらの機能は高速・高精度加工を求められる金型加工のお客様に好評を頂いております。

当連結会計年度は、このサーボナビのさらなる機能強化を行い、5軸制御マシニングセンタの回転テーブル軸や、旋盤系複合加工機の主軸にサーボナビAIを開発いたしました。広い加工エリアを持つ最新の5軸制御マシニングセンタや複合加工機においては、加工可能なワーク重量が大きく、その重量変化がサーボ制御に与える影響が大きいため、常に機械の最大性能を引き出すサーボナビにより、加工時間短縮の大きな効果を得ることができます。

当グループでは、半世紀に渡る自社製NC開発の基本理念を今後も継承するとともに、オークマの強みである機電情知融合のコンセプトを基盤として、先進のサーボ技術、先進の情報技術、オンリーワンの知能化技術の開発と強化を進め、自社製NCとIT製品のさらなる進化を促進し、「総合一貫した“ものづくりサービス”」を通じて世界中のお客様の価値創造に貢献できるように推進してまいります。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、平成27年3月末日現在で当グループが判断したものであります。

 

(1) 当連結会計年度における重要な会計方針及び見積り

当グループの連結財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。

連結財務諸表の作成においては、連結会計年度末日における資産・負債の金額及び偶発債務の開示、ならびに連結会計年度における収益・費用の適正な計上を行うため、見積りや前提が必要となります。当グループは、過去の実績、または各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しております。

以下、当グループの財政状態や経営成績にとって重要であり、かつ相当程度の経営判断や見積りを必要とする重要な会計方針についてご説明いたします。

 

① 貸倒引当金

当グループは、貸倒れによる損失に備えるため、連結会社間の債権債務を相殺消去した期末の金銭債権に対し、一般債権につきましては貸倒実績率により、また貸倒れが懸念される債権につきましては、回収可能性を勘案して貸倒見積り額を計上しております。取引先の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。

 

② たな卸資産

当グループは、たな卸資産について、推定される将来需要及び市場状況に基づく時価の見積り額と原価との差額に相当する陳腐化の見積り額について、評価減を計上しております。将来需要または市場状況が当グループの見積りより悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。

 

③ 繰延税金資産

繰延税金資産のうち、将来において回収が見込めない部分については評価性引当額を設定しております。繰延税金資産の評価は将来の課税所得の見積りに依拠します。将来の課税所得が、経済環境の変化や収益性の低下により予想された額よりも低い場合には、繰延税金資産の金額は調整される可能性があります。

 

 

④ 退職給付債務及び費用

従業員の退職給付債務及び費用の計算は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率などが含まれます。当グループは、使用した仮定は妥当なものと考えておりますが、実績との差異または仮定自体の変更により、年金債務と将来の費用に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 投資有価証券の減損

当グループは、その他有価証券のうち、取得価額に比べ実質価額が著しく下落したものにつきましては、回復可能性があると認められる場合を除き、減損処理を行っております。時価のある有価証券につきましては、期末日における時価の簿価に対する下落率が50%以上の場合には、回復可能性はないものと判断し、30%以上50%未満の下落の場合には、当該有価証券の発行会社の財務状況及び将来の展望などを総合的に勘案して回復可能性を判断しております。時価のない有価証券につきましては、その有価証券の発行会社の1株当たり純資産額が、取得価額を50%程度以上下回った場合に回復可能性がないものとして判断し、30%以上50%未満下落の場合には、当該有価証券の発行会社の財務状況及び将来の展望などを総合的に勘案して回復可能性を判断しております。

将来の時価の下落または投資先の業績不振や財政状態の悪化により、評価損の計上が必要となる可能性があります。

 

⑥ 固定資産の減損

減損損失の認識及び回収可能価額の算定に際し、将来キャッシュ・フローについて見積りを行っております。当グループは将来キャッシュ・フローの見積りは合理的であると考えておりますが、予測不能な事業上の仮定の変化による将来キャッシュ・フローの見積りの変化が、固定資産の評価に影響する可能性があります。

 

(2) 当連結会計年度における経営成績の分析

① 売上高

当グループは、経営指針として「グローバル70」を掲げ、グローバル販売・サービス体制の強化、グローバル市場に向けた新商品・新技術の開発等、顧客拡大に向けた諸施策を進め、受注・売上高の拡大を図ってまいりました。

その結果、売上高は1,662億30百万円(前連結会計年度比23.7%増)となりました。

 

② 営業利益

生産効率向上、コストダウン施策に注力し、収益力の強化を進め、営業利益は145億26百万円(前連結会計年度比55.5%増)となりました。売上総利益率は、前連結会計年度に比較して0.9%増加の28.0%となり、販売費及び一般管理費の対売上高比率は、前連結会計年度に比較して0.9%減少の19.2%となりました。

 

③ 経常利益

営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は8億55百万円の損失となりました。そのうち、受取利息及び受取配当金から支払利息を差し引いた金融収支は1億63百万円の利益となりました。また、その他の営業外収益として、受取地代家賃1億56百万円、その他の営業外費用として、借入手数料7億88百万円等を計上し、経常利益は136億71百万円(前連結会計年度比43.7%増)となりました。

 

④ 当期純利益

特別利益には、連結子会社が少数株主より自己株式を取得したことによる負ののれん発生益5億56百万円を計上し、税金等調整前当期純利益は142億28百万円となりました。また、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額、少数株主利益を差し引いた当期純利益は115億35百万円(前連結会計年度比45.1%増)となりました。

 

(3) 当連結会計年度における連結財政状態及び連結キャッシュ・フローの分析

当グル-プの資金状況は、「1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」をご参照願います。

当連結会計年度末の純資産額は、前連結会計年度末に比べて137億38百万円増加し、1,289億39百万円となりました。主な増加要因は、当期純利益の計上115億35百万円によるものであります。また、総資産額は前連結会計年度末に比べて178億77百万円増加し、2,001億96百万円となりました。

その結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、61.9%となりました。