第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における世界経済は、米国では堅調な経済が持続し、欧州では景気の持ち直しの動きが見られました。中国などアジアの新興国の景気動向は、全体として力強さを欠く展開となりました。

わが国の経済においては、世界経済の回復の動きに加え、金融・財政政策の効果により景気は回復基調で推移いたしました。

工作機械の需要動向につきましては、米国市場は堅調に推移し、欧州、アジアの両市場は年度後半から回復傾向となりました。国内では円高修正や政府による投資促進策などにより、企業の設備投資は次第に拡大いたしました。年度末にかけては、ものづくり補助金の効果が剥落し、また、消費税率引き上げ前の駆け込み需要が一段落して工作機械の市況に一服感が見られました。

この様な状況の下、当グループは「グローバル70」の指針を掲げ、プレミアム・プロダクト戦略とグローバル・コスト戦略の両輪で、製品競争力の更なる強化を図り、グローバル販売戦略により、活況市場・好調産業からの受注拡大、そして新市場・新顧客の開拓を進めてまいりました。

プレミアム・プロダクト戦略におきましては、新商品開発として、5軸制御立形マシニングセンタ MU-5000V、横形複合加工機 MULTUS Uシリーズなど強みの高付加価値マシンの開発に注力してまいりました。MULTUS Uシリーズは難削材の高精度・高能率加工を実現する機械として「2013年十大新製品賞」(日刊工業新聞社主催)を受賞いたしました。新技術開発としては、機電融合技術を土台にした知能化技術などの開発を進めてまいりました。独自の熱変位低減技術と振動抑制技術が「第23回型技術協会賞技術賞」を受賞し、また、5軸加工機の幾何誤差を補正し、精度を維持する知能化技術ファイブチューニングが、「2013年度日本機械学会賞(技術)」を受賞いたしました。

グローバル・コスト戦略におきましては、台湾の生産拠点を活用しコストダウンを図り、また国内生産の強化として、本社新工場(ドリームサイト1 DS1)が平成25年5月に竣工し、多品種少量生産における高効率生産とリードタイム短縮を進めてまいりました。

グローバル販売戦略におきましては、好調産業、有望市場にフォーカスし、受注・売上の拡大に努めてまいりました。

海外では「中国国際工作機械展覧会(CIMT 2013)」、「上海工作機械展覧会(CCMT2014)」、「欧州国際工作機械見本市(EMO 2013)」などに出展し、国内では愛知県の本社にて「オークママシンフェア2013」を開催するなど、強みとする高付加価値マシン、独自の知能化技術をアピールいたしました。

そして、販売・サービスの更なる強化・充実を図るべく、平成26年1月にベトナムホーチミン市に現地法人(Okuma Vietnam Co., Ltd.)を設立し、同年3月にタイ現地法人(Okuma Techno (Thailand) Ltd.)の拠点をバンコク市内へ移転、拡張いたしました。

このように「グローバル70」の戦略を確実に実行してまいりました結果、当連結会計年度の連結受注高は1,490億60百万円(前期比20.4%増)、連結売上高は1,343億51百万円(前期比0.4%増)、連結営業利益は93億42百万円(前期比13.6%減)、連結経常利益は95億14百万円(前期比6.5%減)、連結当期純利益は79億48百万円(前期比4.7%増)となりました。

 

次に、セグメント別の業績は、次のとおりであります。

① 日本

円高修正、世界経済の持ち直しに加え、国内の投資促進策の後押しもあり、年度後半から持ち直しの動きが確かなものとなりました。その結果、売上高は1,120億52百万円(前連結会計年度比3.7%減)となりました。

損益面では、生産効率向上、海外調達・海外生産の拡大などコストダウンの施策を進め、営業利益は60億99百万円(前連結会計年度比23.7%減)となりました。

 

② 米州

堅調な米国経済を背景に、自動車、資源・エネルギー、航空機関連向けなど幅広い産業で需要は堅調に推移いたしました。

その結果、売上高は370億円(前連結会計年度比1.9%増)、営業利益は12億45百万円(前連結会計年度比30.2%減)となりました。

 

③ 欧州

欧州経済に景気持ち直しの動きが見られる中、資源・エネルギー、航空機関連を中心に、需要は緩やかな回復基調で推移いたしました。

その結果、売上高は191億77百万円(前連結会計年度比11.9%増)、営業利益は15百万円(前連結会計年度は営業損失2百万円)となりました。

 

④ アジア・パシフィック

中国・アセアン経済が緩やかに回復する中、中国市場の自動車関連を中心に、需要は緩やかな回復基調で推移いたしました。

その結果、売上高は194億5百万円(前連結会計年度比7.9%増)、営業利益は17億26百万円(前連結会計年度比20.2%増)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前年同期と比較して2億64百万円減少し、275億24百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、141億1百万円の収入となりました(前年同期は53億36百万円の収入)。主な資金の増加項目としては、税金等調整前当期純利益97億25百万円、及び減価償却費58億34百万円であります。一方、主な資金の減少項目としては、たな卸資産の増加18億75百万円であります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、75億61百万円の支出となりました(前年同期は71億81百万円の支出)。主な資金の減少項目としては、有形固定資産の取得による支出106億68百万円、及び無形固定資産の取得による支出18億66百万円であります。一方、主な資金の増加項目としては、有形固定資産の売却による収入33億48百万円、及び定期預金の純増減額18億52百万円であります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、73億75百万円の支出となりました(前年同期は78億76百万円の支出)。主な資金の減少項目は、長期借入金の返済による支出47億44百万円、及び配当金の支払額16億39百万円であります。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における当グループの連結生産実績は、1,426億12百万円(前年同期比2.2%増)であります。なお、日本での生産高が90%以上であるため、セグメントごとの記載を省略しております。

 

(2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高
(百万円)

前年同期比
(%)

受注残高
(百万円)

前年同期比
(%)

日本

74,379

13.2

25,359

32.2

米州

41,045

25.8

9,229

81.8

欧州

23,859

53.8

8,364

133.4

アジア・パシフィック

9,776

△2.1

2,322

△14.7

合計

149,060

20.4

45,276

48.1

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高
(百万円)

前年同期比
(%)

日本

68,202

△3.2

米州

36,892

1.8

欧州

19,079

12.4

アジア・パシフィック

10,177

0.4

合計

134,351

0.4

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  主要な販売先については、総販売実績の100分の10以上を占める販売先がありませんでしたので、記載を

  省略しております。 

3  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

(1) 当グループの現状認識について

今後の世界経済の見通しにつきましては、米国では景気は底堅く推移し、欧州では緩やかな回復が見込まれます。中国では安定した成長が継続し、その他のアジアの新興国においても持ち直しに向かうものと見込まれます。

わが国経済の見通しにつきましては、消費税率の引き上げにより景気は一時的な足踏みを見せるものの、海外経済の回復による輸出の増加に加え、政府の経済対策の効果などから、景気は次第に成長軌道に戻るものと見込まれます。

工作機械の市況は、海外における需要は回復基調で推移し、国内では輸出の増加に伴う生産拡大や企業収益の改善などにより、設備投資の動きが強まるものと見込まれます。

 

(2) 当グループの具体的な対応方針について

このような状況の下、当グループは、「グローバル70」の指針の下、プレミアム・プロダクト戦略とグローバル・コスト戦略による製品競争力の強化を加速させ、グローバル販売戦略により、活況市場・好調産業からの受注を拡大し、また新市場・新顧客の開拓を進めてまいります。

プレミアム・プロダクト戦略におきましては、高精度、高剛性、高機能を基軸とした新商品開発を進め、そして機械・電気・情報・知能化技術融合の新技術開発を強化し、高付加価値製品を市場に投入してまいります。
 新商品開発につきましては、当グループが強みとする複合加工機などのハイテク機のラインナップを強化・拡充し、航空機産業、資源・エネルギー関連産業など成長産業、好調業種のニーズに対し、最適な製品を提供してまいります。

新技術開発につきましては、熱変位精度安定性を実現する「サーモフレンドリーコンセプト」などの知能化技術を更に高度化し、グローバル市場へ展開してまいります。

グローバル・コスト戦略におきましては、国内生産の強化、海外調達・海外生産の拡大を図り、価格競争力の強化を進めてまいります。

国内生産の強化におきましては、本社新工場(ドリームサイト1)を核にして生産の効率化とリードタイム短縮の取り組みを一段と強化してまいります。

海外調達の拡大に対しては、台湾の生産拠点(大同大隈股份有限公司)を一段と活用し、調達先の拡大を図り、コストダウン効果を高めてまいります。

海外生産の拡大につきましては、台湾の生産拠点において生産能力の増強を図り、またプレミアム・エコシリーズ「GENOS」のラインナップを拡充し、グローバル市場からの需要に対応してまいります。

グローバル販売戦略におきましては、航空機や自動車などの好調産業やアジアの有望市場に対し、ソリューションを提案する付加価値の高い販売活動を展開してまいります。また新興国市場においては、企業情報、製品・技術情報の発信を強化し、また積極的な展示会への出展などによりオークマブランドを広め、そして浸透を図り、顧客基盤の拡大に努めてまいります。

このように、「グローバル70」の戦略を推し進め、受注・売上、収益の拡大を図り、成長戦略を進めてまいります。

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、平成26年3月末日現在で当グループが判断したものであります。

 

(1) 工作機械の主要消費地域の経済状況について

 工作機械の需要は、主要消費地域(日本、米州、欧州、中国を含むアジア)の経済状況と同地域における設備投資需要の変動に左右されます。特に、当グループの連結売上高に占める海外売上高の割合は、当連結会計年度において62.6%、前連結会計年度においても63.5%といずれも60%を超える高い比率となっており、海外消費地域の経済状況の悪化により需要が低下した場合は、当グループの業績への影響が懸念されます。

 

(2) カントリーリスクについて

 当グループは、中国及び台湾の子会社にて工作機械を製造しており、また、米州、欧州及びアジア・パシフィック地域の子会社を通じて製品の販売及びアフターサービスの提供をしておりますが、これらの国または地域において、政情の悪化、予期せぬ法律・規制の変更等があった場合は、当グループの業績への影響が懸念されます。

 

(3) 為替、金利及び株価の変動リスクについて

 当グループはグローバルに販売及び生産活動を展開しているため、外貨建て商取引及び投資活動等は為替変動の影響を受けます。また、有利子負債の削減を軸に財務体質の強化に努めておりますが、金利上昇は支払利息の増加を招き、当グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当グループは、為替変動及び金利の変動リスクを回避すべく、輸出地域の分散、社内管理規定に従ったヘッジ取引等を実施しておりますが、その影響を完全に回避できるとは限りません。また、当社は、取引先企業や金融機関等の株式を保有しており、株価が大幅に下落した場合は投資有価証券評価損が発生し、当グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(4) 財務制限条項について

 当社が複数の金融機関との間で締結している借入れに係る契約には、財務制限条項が定められており、条項に抵触した場合は、借入金利の上昇等により、当グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(5) 固定資産の減損について

 当グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しており、事業環境の大幅な変動が生じた場合や土地等の固定資産価格が下落した場合には減損損失が発生し、当グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(6) 原材料費の大幅な変動について

 工作機械の主要原材料として使われる鋳物・鋼材などは、原油価格の動向、国際的な需給の状況などにより価格が変動し、コストアップ要因となる場合があります。このコストアップに対しては、コストダウン推進や製品価格への転嫁によってカバーする方針ですが、さらなる価格の高騰が続けば、当グループの業績への影響が懸念されます。

 

(7) 自然災害及びテロ等のリスクについて

 当グループは製造、販売及びサービス拠点をグローバルに展開しているため、予測不可能な自然災害、コンピュータウィルス、テロといった多くの事象によって引きおこされる災害に影響を受ける可能性があります。

  特に、当グループの本社機能及び主要な製造拠点があります愛知・岐阜両県は、東海大地震の防災強化地域であり、ひとたび大きな地震が発生した場合には、大きな損害が発生し、当グループの業績への甚大な影響が懸念されます。当グループといたしましては、建物等の耐震工事、防災訓練の実施及び従業員への啓蒙などの地震対策を逐次実施しており、リスクの極小化に努めております。

 

(8) 資材の調達リスクについて

 自然災害等によって調達先の生産が滞ることにより、工作機械の構成部品やユニットの調達難が生じ、安定した生産が阻害される可能性があります。調達部品の確保のために、調達難の要因となる事象の監視と対応、代替手段の確保等により、リスクの極小化に努めております。

 

(9) 電力不足のリスクについて

 原子力発電所の停止等により電力供給不足に陥った場合、節電対応により、安定した生産が阻害される可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当グループでは、基礎及び応用研究からこれらの研究をベースとした新製品の開発まで一連の研究開発活動を、当社の技術本部及びFAシステム本部を中心として行っております。当連結会計年度は研究開発費として30億10百万円を支出いたしました。

研究開発活動の概要は、次のとおりであります。

 

(1) 新機種開発

世界経済の停滞、超円高など非常に厳しい2012年でしたが、世界経済の回復基調と超円高が、適正値に落ち着いてきたことから、2013年の日本の業界受注額は1兆1,170億円と前年の1兆2,124億円に引き続き1兆円を超える水準となりました。エネルギー産業、新興国でのインフラ整備に向けた需要は旺盛であり、また、堅調に需要が増加している航空機業界、新興国での自動車産業も需要が拡大しています。このような市場の状況において、製品競争力を一層高めていくためには、生産性向上に貢献する機械・高付加価値加工・高精度加工を実現する機械が必要となります。当グループは、このような市場ニーズに対して業界唯一の機・電・情・知(機械・電気・情報・知識創造)の融合技術を持つ強みを活かし、「高精度生産性」を追求したオンリーワン技術・商品の開発を展開しております。お客様の最大能率加工を支援する「加工ナビ」、誰にでも安心して高精度・安定加工が実現できる「サーモフレンドリーコンセプト」、機械の衝突を気にせずに誰でも熟練の操作を実現する「ぶつからない機械(アンチクラッシュシステム)」、5軸制御加工機の幾何誤差を自動計測・補正する「ファイブチューニング」をこれまでに開発し、市場で高い評価をいただいています。当グループは、こうした知能化技術、高い付加価値を持つ製品群「プレミアム・プロダクト」を基軸として商品開発を進め、お客様の「ものづくりサービス」に貢献してまいります。なお、当グループの知能化技術は、2014年4月に日本の科学技術の振興発展に顕著な貢献をしたとして文部科学大臣より科学技術賞を受賞いたしました。

インフラ産業、航空機、エネルギー分野向けでは、対象ワークの複雑形状化が加速しており、5軸制御マシニングセンタや、複合加工機への需要がグローバルに増加しています。また、日本国内においても、シンプル形状の量産ワークは、新興国での生産に移行しており、複雑形状の高付加価値部品加工の需要が増加傾向にあります。これらの需要の変化に追従すべく、5軸制御マシニングセンタ「MU-5000V」及び、新複合加工機「MULTUS U3000」「MULTUS U4000」をMULTUS Uシリーズとして開発、立形複合加工機として「VTM-2000YB」を開発しました。「MU-5000V」は前年度に開発した「MU-6300V」のシリーズ展開機種として開発しました。5軸制御マシニングセンタは、高価な部品の加工を行うため、適宜作業者が、加工ワーク・工具を確認する場合があり、「MU-5000V」、「MU-6300V」では、APC仕様(自動パレット交換仕様)を付加した場合でも、作業者の機械への寄り付きの良さを確保した構造としています。また、当社独自の知能化技術である、長時間安定した加工精度を維持する「サーモフレンドリーコンセプト」と、長時間安定した加工精度を維持する「ファイブチューニング」を組合せて使用することで、より高精度な加工を実現することができます。MULTUS Uシリーズは、よりマシニングセンタに近い加工を実現するために、複合加工能力を向上させただけでなく、X・Y軸のマイナス側のストロークを拡大することで、主軸の割出位置決め無しに、X・Y軸動作にて加工物端面の穴あけ加工等を可能としました。また、従来、複合加工機は機械の動作制限から、最大工具長での工具で加工可能なワークサイズに制限がありましたが、MULTUS Uシリーズは、最大工具長の工具を用いても、加工制限が発生しない理想的な動作範囲を有しています。なお、MULTUS Uシリーズは、日刊工業新聞社主催の「2013年十大新製品賞」を受賞いたしました。十大新製品賞はその年に開発、実用化した製品から、ものづくりの発展や日本の国際競争力強化に資する製品として選定されたものです。立形複合加工機では、先に開発しました「VTM-1200YB」のシリーズ展開として「VTM-2000YB」を開発し、大物部品の工程集約加工をより高精度により早く対応可能としました。

一般産業機械部品等大物部品の強力加工機として、5面加工門形マシニングセンタ「MCR-C」を開発しました。ベストセラーマシンの「MCR-BⅢ」に対して、機械剛性・主軸能力を向上させ、20%の加工能力向上を実現しました。主軸ヘッドの豊富なバリエーションとAAC(自動主軸ヘッド交換)のオプション対応、門形サーモフレンドリーコンセプトによる抜群の加工精度安定性をあわせ、生産性の大幅向上を実現します。
 自動車産業向けでは、クランクシャフトなど比較的大径の部品や長尺部品向けに、2サドル同時加工の世界標準機LUシリーズをモデルチェンジした「LU3000 EX」のシリーズ展開として「LU4000 EX」を開発しました。主軸・複合加工能力の強化・早送り速度の向上によりサイクルタイム短縮に貢献します。マシニングセンタでは、自動車産業向けに多く納入している、量産対応型コンパクトマシニングセンタ「MILLAC 44V」、「MILLAC 44H」を加工精度の安定性を向上させてモデルチェンジした、「MILLAC 44VⅡ」、「MILLAC 44HⅡ」を開発しました。

 

当グループは今後とも、お客様の利益の最大化に向けて「高精度生産性」を追求し、また、お客様が求める「ソリューション(課題解決や付加価値向上のための提案)」を機械に組み込むことにより、新しい差別化・成長製品の創出を目指してまいります。機械技術、加工技術、制御・ITの技術基盤をベースに「トータルレスポンシビリティ」の強みを更に拡げて「最高のものづくりサービス」を提供してまいります。

この戦略は、当グループならではの強みであり、他社が容易に真似できない差別化戦略であります。オンリーワン技術・商品を間断なく開発し、その業界、対象ワークでグローバルに競争力をもつ生産手段を提供し、お客様の利益を創出し続けることにより、世界の工作機械のエクセレントカンパニーを目指してまいります。

 

(2) NC装置とIT製品の開発

当グループは、1963年(昭和38年)に自社製NC「OSP」の開発に成功して以来、常にお客様の加工現場から真のものづくりを発想し、機械とNC装置を一体でサポートする「トータルレスポンシビリティ」を基本理念とし、お客様の期待を超えるオンリーワン機能を提供するために、「OSP」を創り続けてきました。現在では、機・電・情・知(機械・電気・情報・知識創造)の融合をコンセプトとして、お客様のものづくりを支援するソリューションを提供すべく、先進的な技術開発と機能開発を行っています。

当連結会計年度に成果を挙げた研究開発活動として、以下の1) 、2)、3)を紹介いたします。

1) 「かんたん操作」を実現するOSP-P300の新機種適用

2011年度後半に市場投入したOSP-P300は、加工のベテランから初心者まで、複雑な5軸制御マシニングセンタ・複合加工機でも汎用NC旋盤、マシニングセンタ並みに機械を自在に操ることができる「かんたん操作」を実現し、お客様から好評を博しています。

当連結会計年度に開発した「インテリジェント複合加工機MULTUS Uシリーズ」「5軸制御立形複合加工機 VTM-2000YB」「5軸制御立形マシニングセンタMU-5000V」にも搭載し、高付加価値機としての加工機能、加工性能に加えて、複雑な機械でありながら、お客様に優しい使いやすさを提供しています。

また、機・電・情・知融合のコンセプトの象徴である知能化技術によって、「MULTUS Uシリーズ」や「VTM-2000YB」では、衝突防止機能「アンチクラッシュシステム」を更に強化することによりぶつからない機械の安心感を提供しています。「MU-5000V」では5軸加工機の高精度化を実現する「ファイブチューニング」と「サーモフレンドリーコンセプト」の組み合わせで、環境温度が変化しても高精度な5軸加工の幾何精度を提供しています。

2) OSP-P300の進化

好評を博している「かんたん操作」を実現したOSP-P300ですが、より一層の使いやすさを提供するために、大画面操作パネルを使用した新モデルを市場投入しました。この新モデルを5軸制御マシニングセンタ・複合加工機に搭載することにより、OSP-P200(2005年に市場投入)以来採用しているタッチパネル操作がより使いやすく、複雑な機械を操る上で必要な各種のデータを一覧一望でき、また、加工現場での3Dデータの確認、操作も容易になります。

さらに、加工準備の時間を短くして機械の稼働率を向上させるために、お客様の加工現場からの声を積極的にフィードバックし、加工に使用する工具や治具を準備する作業、切削条件や加工パスを確認・修正する作業をより簡単にするための機能強化も行っています。例えば、知能化技術の1つであり最適な切削条件を探し出す「加工ナビ」と、加工現場で簡単にプログラムが作成できる対話形自動プログラミング機能「らくらく対話アドバンス」とを連携させ、プログラムの作成、切削条件の調整、探索、プログラムへの反映を簡単にできるようにいたしました。

3) 高精密サーボの進化

加工するワーク重量の変化に応じて、最適なサーボ制御を行うことで加工時間を最短化する「サーボナビ(ワーク重量自動設定)」を2012年から市場投入しました。当連結会計年度では、この「サーボナビ」を更に進化させました。具体的には、高度化したデジタルサーボ技術により、CNC工作機械の状態変化をセンシングし、その結果に応じて、自動的にサーボ制御状態を変化させて、常に機械の最大性能を引きだす「反転突起自動調整」、「制振自動調整」の2つの機能を実現し、「サーボナビ」に組み込みました。

 

送り軸の速度反転時には摺動摩擦による追従誤差が発生するため、その追従誤差が最小になるように補償制御しています。しかし、機械の摺動摩擦は経年変化等によって変化するため、その補償は常に最適というわけではなく、場合によっては、曲面加工の象限反転部での追従誤差により筋目状の段差が発生していました。「反転突起自動調整」は、簡単な操作によって、サーボ制御を自動的に最適補償に変化させる機能であり、特に金型等の曲面が多い加工に有効です。

そして、「制振自動調整」は、機械の状態変化によりサーボ制御状態が最適でなくなった場合に発生する振動を抑制するもので、機械を10年、20年と長期に渡って安定して機械を使っていただくという思想で開発したものです。

当グループでは、半世紀に渡る自社製NC開発の基本理念を今後も継承するとともに、オークマの強みである、機・電・情・知融合のコンセプトを基盤として、先進のサーボ技術や情報技術、オンリーワンの知能化技術の開発と強化を進め、自社製NCとIT製品の更なる進化を促進し、「お客様がグローバル競争に勝ち抜くためのプレミアム・サービス、プレミアム・ソリューションを提供するFAシステム事業」を推進してまいります。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、平成26年3月末日現在で当グループが判断したものであります。

 

(1) 当連結会計年度における重要な会計方針及び見積り

当グループの連結財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。

連結財務諸表の作成においては、連結会計年度末日における資産・負債の金額及び偶発債務の開示、ならびに連結会計年度における収益・費用の適正な計上を行うため、見積りや前提が必要となります。当グループは、過去の実績、または各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しております。

以下、当グループの財政状態や経営成績にとって重要であり、かつ相当程度の経営判断や見積りを必要とする重要な会計方針についてご説明いたします。

 

① 貸倒引当金

当グループは、貸倒れによる損失に備えるため、連結会社間の債権債務を相殺消去した期末の金銭債権に対し、一般債権につきましては貸倒実績率により、また貸倒れが懸念される債権につきましては、回収可能性を勘案して貸倒見積り額を計上しております。取引先の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。

 

② たな卸資産

当グループは、たな卸資産について、推定される将来需要及び市場状況に基づく時価の見積り額と原価との差額に相当する陳腐化の見積り額について、評価減を計上しております。将来需要または市場状況が当グループの見積りより悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。

 

③ 繰延税金資産

繰延税金資産のうち、将来において回収が見込めない部分については評価性引当額を設定しております。繰延税金資産の評価は将来の課税所得の見積りに依拠します。将来の課税所得が、経済環境の変化や収益性の低下により予想された額よりも低い場合には、繰延税金資産の金額は調整される可能性があります。

 

④ 退職給付債務及び費用

従業員の退職給付債務及び費用の計算は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率などが含まれます。当グループは、使用した仮定は妥当なものと考えておりますが、実績との差異または仮定自体の変更により、年金債務と将来の費用に影響を与える可能性があります。

 

 

⑤ 投資有価証券の減損

当グループは、その他有価証券のうち、取得価額に比べ実質価額が著しく下落したものにつきましては、回復可能性があると認められる場合を除き、減損処理を行っております。時価のある有価証券につきましては、期末日における時価の簿価に対する下落率が50%以上の場合には、回復可能性はないものと判断し、30%以上50%未満の下落の場合には、当該有価証券の発行会社の財務状況及び将来の展望などを総合的に勘案して回復可能性を判断しております。時価のない有価証券につきましては、その有価証券の発行会社の1株当たり純資産額が、取得価額を50%程度以上下回った場合に回復可能性がないものとして判断し、30%以上50%未満下落の場合には、当該有価証券の発行会社の財務状況及び将来の展望などを総合的に勘案して回復可能性を判断しております。

将来の時価の下落または投資先の業績不振や財政状態の悪化により、評価損の計上が必要となる可能性があります。

 

⑥ 固定資産の減損

減損損失の認識及び回収可能価額の算定に際し、将来キャッシュ・フローについて見積りを行っております。当グループは将来キャッシュ・フローの見積りは合理的であると考えておりますが、予測不能な事業上の仮定の変化による将来キャッシュ・フローの見積りの変化が、固定資産の評価に影響する可能性があります。

 

(2) 当連結会計年度における経営成績の分析

① 売上高

当グループは、経営指針として「グローバル70」を掲げ、グローバル販売・サービス体制の強化、グローバル市場に向けた新商品・新技術の開発等、顧客拡大に向けた諸施策を進め、受注・売上高の拡大を図ってまいりました。その結果、売上高は1,343億51百万円(前連結会計年度比0.4%増)となりました。

 

② 営業利益

生産効率向上、コストダウン施策に注力し、収益力の強化を進め、営業利益は93億42百万円(前連結会計年度比13.6%減)となりました。売上総利益率は、前連結会計年度に比較して0.7%減少の27.1%となり、販売費及び一般管理費の対売上高比率は、前連結会計年度に比較して0.4%増加の20.1%となりました。

 

③ 経常利益

営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は1億72百万円の利益となりました。そのうち、受取利息及び受取配当金から支払利息を差し引いた金融収支は49百万円の利益となりました。また、その他の営業外収益として、受取地代家賃1億36百万円、その他の営業外費用として、借入手数料2億96百万円等を計上し、経常利益は95億14百万円(前連結会計年度比6.5%減)となりました。

 

④ 当期純利益

特別利益には、本社新工場建設に伴う補助金収入4億円、投資有価証券売却益2億11百万円を計上しました。特別損失には、本社新工場建設に係る固定資産圧縮損4億円を計上した結果、税金等調整前当期純利益は97億25百万円となりました。また、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額、少数株主利益を差し引いた当期純利益は79億48百万円(前連結会計年度比4.7%増)となりました。

 

(3) 当連結会計年度における連結財政状態及び連結キャッシュ・フローの分析

当グル-プの資金状況は、 「1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」をご参照願います。

当連結会計年度末の純資産額は、前連結会計年度末に比べて81億3百万円増加し、1,152億円となりました。主な増加要因は、当期純利益の計上79億48百万円によるものであります。また、総資産額は前連結会計年度末に比べて169億68百万円増加し、1,823億19百万円となりました。

この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、60.7%となりました。