第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、2007年に下記の「古河電工グループ理念」を制定し、これを基本方針として、グローバルに成長して企業価値を高めるよう努力してまいります。

 

基本理念

世紀を超えて培ってきた素材力を核として、絶え間ない技術革新により、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献します。

 

経営理念

私たち古河電工グループは、人と地球の未来を見据えながら、

・ 公正と誠実を基本に、常に社会の期待と信頼に応え続けます。

・ お客様の満足のためにグループの知恵を結集し、お客様とともに成長します。

・ 世界をリードする技術革新と、あらゆる企業活動における変革に絶えず挑戦します。

・ 多様な人材を活かし、創造的で活力あふれる企業グループを目指します。

 

行動指針

・ 常に高い倫理観を持ち、公正、誠実に行動します。

・ あらゆる業務において革新、改革、改善に挑戦し続けます。

・ 現場・現物・現実を直視し、ものごとの本質を捉えます。

・ 主体的に考え、互いに協力して迅速に行動し、粘り強くやり遂げます。

・ 組織を超えて対話を重ね、高い目標に向けて相互研鑽に努めます。

 

グループビジョン

このようなグループ理念をベースとして、素材力を基礎とした商品開発力でグローバル企業を目指すため、当社グループビジョンとして「技術革新を志向し、創造的で世界に存在感のある高収益な企業グループへ」を掲げております。

 

(2) 目標とする経営指標

2016年5月に中期経営計画「Furukawa G Plan 2020 - Group Global Growth - 」を策定し、公表しております。当社グループ経営理念及びビジョンの実現に向けて、本中期経営計画を着実に推進してまいります。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

前述しました中期経営計画「Furukawa G Plan 2020 - Group Global Growth - 」では、"ゆるぎない成長の実現"というスローガンを掲げ、以下の3つのテーマに取り組んでまいります。

 

Furukawa G Plan 2020 - Group Global Growth -

Ⅰ. 事業の強化と変革

Ⅱ. グローバル市場での拡販推進

Ⅲ. 新事業での開拓加速

 

 

 (4) 経営環境

情報通信分野は、5GやIoTなど、クラウドをベースとしたサービスが様々な分野で成長しており、データセンター及びデータセンター間を結ぶ光ネットワークの建設が続いています。昨年度、北米での光ケーブル需要の一時的な低下、中国での光部品の在庫調整等がありましたが、中長期では継続的な市場成長が見込まれます。
 エネルギー分野は、国内に関してはオリンピック需要ピーク後の需要減や人手不足による工期遅れが懸念される一方、新エネルギーや電力会社のリプレース需要が見込まれ、海外に関しては欧米、新興国での旺盛な需要が継続する見通しです。
 自動車分野は、CASE(Connected, Autonomous, Shared, Electric)というキーワードに代表されるように100年に1度の大変革期を迎えており、今後も当該分野は継続的に成長する見通しです。

 

 (5) 会社の対処すべき課題

1) 中期経営計画「Furukawa G Plan 2020」の推進

2016年策定の中期経営計画「Furukawa G Plan 2020」において重点領域と位置づけているインフラ(情報通信、エネルギー)/自動車分野の強化に引き続き取り組んでいきます。
 情報通信分野では、今後も世界的な需要増大が見込まれる光ファイバ・ケーブルの生産能力増強を着実に進めるとともに、デジタルコヒーレント通信の主要部品である波長可変半導体レーザ(ITLA)の次世代製品開発を推進するなど高速・大容量通信に対応する製品を提供し、収益力の強化を図っていきます。
 エネルギー分野では、太陽光発電や風力発電をはじめとする新エネルギー用海底線やアジア地域を主な対象とした超高圧線・海底線の納入実績を積み重ねつつ、採算管理の強化や国内電力会社の設備更新需要の獲得に継続して取り組み、電力事業を安定した収益構造へ転換していきます。
 自動車分野では、当社グループが優位性を持つアルミワイヤハーネスやアルミ防食端子等により、電動化・自動運転化の進展による軽量化需要を積極的に取り込むとともに、先進運転支援システムで必須となる周辺監視レーダなど新製品の開発、販売拡大を加速し、事業の更なる成長を目指していきます。
 さらには、インフラ/自動車分野とその融合分野において、マルチコア光ファイバや直流海底電力ケーブル、カーボンナノチューブ電線、自動車の情報端末化に向けた無線通信関連製品など、次世代製品・技術の開発に引き続き注力していくほか、試作品の設計・作成及び提案を行う顧客対応機能などを活用することで、新事業創出に取り組んでいきます。
 また、中期経営計画達成の基盤となる人材育成の一層の強化に向け、海外子会社を含めた将来の経営人材候補の計画的な育成に取り組むことにより、グループ横断的な人材開発を行い、当社グループがグローバルに成長し続ける体制を築いていきます。
 
 なお、中期経営計画に掲げた2020年度の各種財務目標値を、以下のとおり上方修正いたします。また、グループを挙げてのマーケティング活動の積極展開により、国内外ともに売上高の増加が見込まれることから、海外売上高に関する指標を売上高比率から売上高実額へと変更し、同計画発表当初の海外売上高比率60%に相当する海外売上高5,500億円の達成を、新たな目標といたします。

 

 

従来目標値

新目標値

連結営業利益

400億円以上

550億円以上

親会社株主に帰属する当期純利益

200億円以上

300億円以上

ROE

8%以上

10%以上

 

 

2) コーポレートガバナンスの強化

当社では、企業価値向上への取組みとしてコーポレートガバナンスの強化に注力しております。
 経営の効率化ならびに健全性の維持・向上のため、当社グループに係る内部統制システムを構築し、その運用状況についての報告を受ける体制を整えています。また、2015年には委員の過半数を社外取締役とする指名・報酬委員会を設置し、代表取締役をはじめとする取締役等の評価・指名に関し同委員会の審議・答申を経るという選任・選定プロセスを構築することで、取締役会の監督機能の強化を図っております。当期においても、指名・報酬委員会の審議を経て2017年4月の代表取締役の異動や経営執行体制の変更を取締役会が決定しています。
 2015年度から毎年実施している取締役会実効性評価の3回目となる当期は、当社グループの持続的な成長や企業価値を向上させるためのコーポレートガバナンスのあり方という観点から、これまでの取締役会での議論を振り返り、さらには今後の取締役会のあり方に対する問題意識をもとに、より実質的な分析・評価に取り組みました。前期の実効性評価を踏まえ、当期は、中期経営計画の達成度の検証や低採算事業改善のための討議を活発に行い、また、取締役会の運営面では議題の整理等により審議の効率化を進めてきました。当期の評価結果を踏まえた今後の取組みとしては、中期経営計画の目標達成に向け、市場動向・競争優位性等の定量的分析や具体的施策に関する議論の充実に継続して取り組むとともに、海外関係会社の運営上の課題に関し、よりグループ全体を俯瞰した観点で対応するための体制整備を進めるなど、引き続き企業価値の向上に努めていきます。
 

当社グループでは、各種施策を着実に実行することで中期経営計画の目標達成を確実なものとするとともに、コーポレートガバナンスの更なる強化に努め、企業価値の向上を図ってまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績は、当社グループが製品販売・サービス提供をしている様々な市場における経済状況の影響を受けます。

当社グループの業績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 (1) 知的財産権、その他第三者の権利侵害

当社グループでは、製品やソフトウェア等の開発、製造、使用及び販売、その他の事業活動によって、第三者の知的財産権、その他の権利を侵害しないよう、あらかじめ調査を行い、必要に応じて実施許諾を受ける等の措置を講じております。しかし、第三者から知的財産権、その他の権利を侵害したとして訴訟を提起された場合、あるいは、第三者から当社グループの知的財産権、その他の権利を侵害された場合には、第三者との間にそれらの権利に関する交渉や係争が生じます。知財係争では、製造・販売等の差し止めや多額の損害賠償金や和解金が発生することがあり、当社グループにそれら差し止めや支払義務が生じた場合には、業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。また、体制を整備しているものの、当社グループの製造技術(ノウハウ)が第三者に漏洩した場合には、企業競争力が低下する可能性があります。

 (2) 製品の欠陥

当社グループは、国内外の各種規格・基準及び永年の経験に培われた品質管理基準に従って各種製品の製造、サービスの提供を行っております。しかし、その全てについて欠陥が無く、将来に予期せぬ損失補償が発生しないという保証はありません。とりわけ、電力ケーブル、通信ケーブル、自動車用部品等に関連する製品については、欠陥の内容によっては多額の追加コストが発生する可能性があります。大規模な損失補償や製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの業績と財務状況に影響が及ぶ可能性があります。

なお、当社連結子会社が製造した自動車用部品に関連し、当該部品を組み込んだ自動車について市場回収措置(リコール)が行われており、当社及び当社連結子会社が部品の販売先である株式会社東海理化電機製作所から費用の一部の分担に関して協力を要請され、交渉を行ってまいりました。

しかし、合意には至らず、米国において、同社の子会社から当社の連結子会社に対して損害賠償請求訴訟が提起されております。当該部品は同国以外へも納入されているため、その他の国においても順次法的手続きが取られる可能性があります。

当社としては、裁判等において、当社グループの見解の正当性を明らかにする所存であり、また、合理的に見積りが可能な費用負担見込み額についてはすでに引当処理を行っておりますが、裁判等の結果によっては、当社グループの業績と財務状況に影響が及ぶ可能性があります。

また、上記とは別に、当社連結子会社が製造した自動車用部品に関連し、当該部品を組み込んだ自動車について市場回収措置(リコール)が行われており、当社及び当社連結子会社が部品の販売先から費用の負担を求められております。

 (3) 原料及び燃料価格の変動

当社グループの主要原料である銅・アルミ等の非鉄金属、ポリエチレン等合成樹脂及び燃料である重油やLPG、LNGは、世界情勢や市場の動向で予想外の価格変動を起こす可能性があり、この場合には一部の製品の売値への転嫁が遅れあるいは滞ることが想定され、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 (4) 為替変動

当社グループは、調達及び販売活動を様々な通貨で行っており、為替相場の変動による影響を最小限に抑えるよう努めておりますが、急激な為替変動が生じた場合には、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 (5) 金利の上昇リスク

金利が上昇した場合は、支払利息が増加し、当社グループの業績が悪化する可能性があります。

 (6) 格付け低下

当社グループの今後の業績によっては、格付機関から付与されている当社の長期債務格付け及びコマーシャル・ペーパー等の格付けが低下し、資金の調達条件が悪くなり、支払利息が増加する可能性があります。

 

 (7) 資産の減損

市況や事業環境の悪化によって、当社グループが保有する資産の市場価格が著しく低下する場合や、資産の収益性が低下する場合には、当該資産について減損損失が発生する可能性があります。

 (8) 税務に関わるリスク

当社グループは、国内外で事業展開する上で、各国の国内及び国際間取引に係る租税制度の変更や税務当局との見解の相違等により税金コストが変動するリスクを有しており、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 (9) 事業用地の土壌汚染

当社グループが所有する土地について、「土壌汚染対策法」により、有害物質による土壌汚染の状況の調査・報告や、汚染の除去等の措置を命ぜられることがあります。これら措置に要する費用の発生のほか、当社グループにおける土地の使用・処分等に制限が生じるリスクがあります。

 (10) 海外での活動

当社グループの生産及び販売活動は、米国やヨーロッパ、ならびにアジアや南米の発展途上市場や新興市場等の日本国外でも行われております。これらの海外市場では予期しない法律または規制の変更や労働争議発生及び突発的な伝染病の流行などの各種リスクが内在しており、それらは当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

特に、中国においては、当社は広州・上海及び北京・天津地区を中心に多数の進出拠点を有しております。中国国内での投資や為替、金融、輸出入に関わる法制や諸規定の変更、電力供給の停止、疫病の流行等の回避不能な事象の発生により事業運営に支障をきたす可能性があります。例えば、人民元のレート調整などが発生した場合、当初の事業計画から大きく逸脱する可能性があります。また、中国企業向けの売掛金回収期間は比較的長く、現地子会社のキャッシュ・フローに影響を与える可能性もあります。

これらに加えて、当社グループの事業活動に関連する国、地域における国際関係の緊張の高まり、紛争・政情不安、金融システム不安等により、治安・安全面のみならず、生産・販売活動等への影響を通じ、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 (11) 法令違反等

当社グループは、国内外で事業展開する上で、規制当局から様々な法規制を受けております。法規制の強化や法令解釈の厳格化があった場合には、事業の制限や費用の増加等の可能性があります。また、法令違反等の事象が生じた場合には、各規制当局からの処分・制裁、取引先等関係者からの損害賠償請求、社会的評価の悪化等により、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社は、自動車用部品カルテルに関し、ブラジル競争法当局の調査を受けております。また、電力ケーブルカルテルに関し、当社の持分法適用の関連会社である㈱ビスキャスに対しブラジル当局による調査が行われております。

加えて、米国での一連の自動車用部品カルテルによる損害の賠償を求める複数の集団訴訟や、自動車用部品カルテルに関して米国の一部の州の司法当局から提起された州法違反に基づく訴訟などにおいて、当社や当社子会社がその被告となっております。このほか、自動車用部品カルテルを含む過去の競争法違反行為に関して、自動車メーカーなどの顧客から現在請求されているものも含め、当社または当社関係会社が民事賠償金を支払う可能性があります。

なお、上記集団訴訟について、当社及び当社連結子会社は、2017年12月に、同訴訟の原告の一部である直接購入者原告との間で、和解金を支払うことで合意いたしました。

 (12) 自然災害等の影響

当社グループは、国内外に、調達、製造、物流、販売、研究開発拠点等を有しております。大規模な地震や津波、火災、台風、洪水等の災害(気候変動によって発生するものも含む)や新型インフルエンザ等の感染症の発生、戦争、テロ行為、サイバー攻撃等が起こった場合、直接的損害のほか、サプライチェーンを通じた間接的な損害により、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
 

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

(1) 業績

当期の世界経済は、米国や欧州の好況に加え、新興国においても輸出の増加や景気刺激策の効果が現れ、全体として緩やかな成長が続きました。わが国の経済は、海外経済の好況を背景とした輸出の増加などにより企業収益が好調に推移する中で、設備投資が増加基調を維持し、加えて雇用・所得が着実に改善するなど、景気拡大が続きました。

このような環境の下、当社グループでは、中期経営計画「Furukawa G Plan 2020」に基づき、重点領域であるインフラ(情報通信、エネルギー)/自動車分野の強化に取り組んでまいりました。インフラ関連では、情報通信分野において、世界的に旺盛な光ファイバ需要に対応するための設備投資を決定するなど、グローバルでの生産・供給体制の強化に取り組んだほか、エネルギー分野においては、新エネルギー案件の受注活動を積極的に行うとともに、電力工事のエンジニアリング力強化に向けた人材の増強やケーブル製造設備への投資など、安定した収益構造の確立に向けた供給体制の整備を進めております。自動車分野では、環境、安全、自動運転の分野において当社グループが優位性を持つ製品の、グローバルでの商圏拡大に努めてまいりました。

当期の業績につきましては、情報通信ソリューション事業での中国市場におけるデジタルコヒーレント関連製品の在庫調整のほか、電力事業においてケーブルの品種構成が悪化した影響などがあったものの、情報通信ソリューション事業における光ファイバ・ケーブルやネットワークシステムの需要が旺盛であったことに加え、自動車部品事業でのワイヤハーネスの売上拡大や、銅箔事業における生産性の向上、品種構成の見直しによる利益率の改善などが寄与し、業績は好調を維持しました。

これらの結果、連結売上高は9,673億円前期比14.7%増)、連結営業利益は448億円前期比16.0%増)となりました。また、連結経常利益は469億円前期比30.2%増)となりました。さらに、固定資産処分益など98億円を特別利益に、製品補償引当金繰入額や減損損失など162億円を特別損失として計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は285億円前期比62.5%増)となりました。なお、海外売上高は4,567億円(前期比17.1%増)で、海外売上高比率は47.2%(前期比1.0%増)となりました。

単独の業績につきましては、売上高は4,577億円前期比14.8%増)、営業利益は57億円前期比8.3%減)、経常利益は212億円前期比0.3%増)、当期純利益は185億円前期比70.0%増)となりました。

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

 

〔インフラ〕

情報通信ソリューション事業では、中国市場での在庫調整が続きデジタルコヒーレント関連製品の売上数量が落ち込んだものの、世界的に光ファイバ・ケーブル需要が旺盛であったことに加え、国内でのネットワークシステム関連の工事、機器の販売が好調に推移しました。エネルギーインフラ事業では、国内電力工事の大型案件などがあったものの、地中送電線の輸出案件における低採算品の構成比増等が利益を圧迫しました。

これらの結果、当セグメントの連結売上高は2,918億円前期比10.6%増)、連結営業利益は128億円前期比11.1%減)となりました。また、単独売上高は860億円(前期比13.9%増)となりました。

情報通信ソリューション事業では、昨年9月に光ファイバの製造能力を2019年度までに2016年度比約2倍に増強するための増産投資を決定しました。世界的な需要増に対応できる生産・供給体制を構築し、グローバル市場での販売拡大を推進していきます。

エネルギーインフラ事業では、人材の確保を含めた工事施工能力の増強と、技術開発及び設備投資による製造力強化を行うことで、国内を含めたアジア市場での超高圧線・海底線の案件受注を積み重ねてまいります。
 

 

〔電装エレクトロニクス〕

自動車部品事業においては、2016年4月の熊本地震などの影響による国内需要低迷から回復したことに加え、新車種向けワイヤハーネスの売上が増加しました。銅条・高機能材事業において、品種構成の見直しによる利益率の改善や、生産性の改善による増産で旺盛な需要を取り込んだこと、巻線事業における自動車やスマートフォン用製品の販売増加などから、業績が好調に推移しました。

これらの結果、当セグメントの連結売上高は5,338億円前期比17.2%増)、連結営業利益は182億円前期比42.3%増)となりました。また、単独売上高は3,054億円(前期比17.0%増)となりました。

自動車部品事業では、東南アジアの生産拠点を活用するなど最適地生産化を進めコスト競争力の向上を図るとともに、軽量化ニーズに応えるアルミワイヤハーネスの生産体制を強化していきます。

巻線事業では、従来から行っているSuperior Essex Inc.(米国)グループとの協業をさらに推進し、高機能巻線市場において欧州をはじめとする自動車電動化需要を着実に取り込んでまいります。

 

〔機能製品〕

銅箔事業において、生産性の向上により旺盛な需要を取り込んだことに加え、品種構成見直しにより利益率が改善しました。サーマル・電子部品事業においては、データセンター向け放熱製品の販売が堅調に推移しました。

これらの結果、当セグメントの連結売上高は1,531億円前期比16.4%増)、連結営業利益は140億円前期比19.8%増)となりました。また、単独売上高は636億円(前期比6.2%増)となりました。

銅箔事業においては、日本・台湾の製造・販売拠点の一体運営を進め、最適な機能分担を行うとともに、高機能箔へ経営資源を配分することで、安定的に収益を確保できる体制を構築してまいります。また、AT・機能樹脂事業では、地中埋設用ケーブル保護管など、電柱・電線の地中埋設化に貢献する製品の販売を拡大していきます。

 

〔サービス・開発等〕

主に物流、各種業務受託等による当社グループの各事業のサポート、不動産の賃貸、水力発電、新製品研究開発の推進等を行っております。

当セグメントの連結売上高は529億円前期比6.6%増)、連結営業損失は2億円(前期比1億円悪化)となりました。また、単独売上高は27億円(前期比17.3%増)となりました。

なお、昨年10月1日付で、当社グループ内の情報システム構築・運用保守を担う子会社である古河インフォメーション・テクノロジー㈱(現 FITEC㈱)について、持分の一部を富士通㈱へ譲渡し持分法適用の関連会社としております。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、498億円(前連結会計年度比36億円の増加)となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、売上の増加や銅価上昇の影響により運転資本が悪化したものの、税金等調整前当期純利益+405億円、減価償却費+251億円等により+384億円(前連結会計年度比△20億円)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、主に中期経営計画の重点領域であるインフラ分野への投資を拡大したことに伴い、有形固定資産の取得による支出が△343億円と増加したことから、△343億円(前連結会計年度比+20億円)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費を上回る設備投資等で借入金が増加したものの、配当金の支払い等により△19億円(前連結会計年度比+84億円)となりました。

 

(生産、受注及び販売の状況)

当社グループの生産・販売品目は、広範かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額または、数量で示すことはしておりません。

 

(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)

(1) 財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ657億円増加して8,158億円となりました。流動資産は、前連結会計年度末比437億円増加4,261億円、固定資産は、前連結会計年度末比220億円増加3,897億円でした。受取手形及び売掛金が255億円、たな卸資産が94億円、有形固定資産が112億円、投資有価証券が70億円それぞれ増加しました。

流動資産から流動負債を差し引いた運転資本は、前連結会計年度末に比べ68億円増加して958億円となりました。

有形・無形固定資産は、資本的支出で385億円の増加、減価償却で251億円の減少のほか、除売却による減少等により変動しております。

負債の部では、長期借入金、短期借入金、社債を合計した有利子負債が2,585億円と前連結会計年度末比で60億円の増加となりました。

純資産の部では、利益剰余金が242億円、その他の包括利益累計額が49億円それぞれ増加しました。その結果、自己資本比率は、前連結会計年度末比1.4ポイント上昇し29.0%となりました。

なお、キャッシュ・フローの概況については、「3[経営者による財政状態・経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](業績等の概要)(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。 

 

(2) 経営成績の分析

当連結会計年度の連結売上高は、前連結会計年度比14.7%増9,673億円、連結営業利益は、前連結会計年度比16.0%増の448億円となりました。情報通信ソリューション事業での中国市場におけるデジタルコヒーレント関連製
品の在庫調整のほか、電力事業においてケーブルの品種構成が悪化した影響などがあったものの、情報通信ソリューション事業における光ファイバ・ケーブルやネットワークシステムの需要が旺盛であったことに加え、自動車部品事業でのワイヤハーネスの売上拡大や、銅箔事業における生産性の向上、品種構成の見直しによる利益率の改善などが寄与し、業績は好調を維持しました。

営業外損益では、持分法による投資損益が42億円増加しました。この結果、連結経常利益は前連結会計年度比30.2%増469億円となりました。

特別損益は、64億円の損失(純額)となりました。固定資産処分益94億円を特別利益に計上した一方、減損損失31億円や、当社子会社製自動車部品を組み込んだ製品における市場回収措置(リコール)及びその他製品の補償に関連した費用として製品補償引当金繰入額72億円、米国での自動車部品カルテルの一部原告との和解に関連した費用として訴訟等損失引当金繰入額21億円等を特別損失に計上しました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比62.5%増285億円となりました。

なお、セグメント別の概況は、「3[経営者による財政状態・経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](業績等の概要)(1)業績」に記載しております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

(1)過去の自動車用ワイヤハーネス及び同関連製品の取引に係る米国競争法違反に関し米国において提訴されていた集団民事訴訟について、当社及び連結子会社のAmerican Furukawa lnc.は、2018年5月に、和解金19百万米ドルを支払うことを内容とする和解契約を、同製品の直接購入者原告と締結いたしました。本件については、2018年3月期において、特別損失として和解金額に相当する額の21億円を計上済みです。

 

(2)技術導入契約の主なものは、次のとおりであります

契約技術

契約の相手方(国籍)

契約期間

対価

MPXコネクタ技術

(特許実施、商標使用)

TYCO ELECTRONICS CORPORATION

(アメリカ)

自 2000年10月17日

至 実施許諾特許の満了日

頭金  定額

実施料 一定料率

 

(注)1.以下の契約は、2018年1月1日をもって契約期間が終了しました。

契約技術:化合物半導体デバイス及び化合物半導体材料に関する技術(特許実施)

契約の相手方(国籍):ALCATEL-LUCENT(アメリカ)

契約期間:自 1993年7月14日 至 実施許諾特許の満了日

対価:実施料 一定料率

なお、原契約はAMERICAN TELEPHONE AND TELEGRAPH COMPANYと締結しましたが、同社の事業分割により、1996年9月23日よりLUCENT TECHNOLOGIES社(現ALCATEL-LUCENT社)が契約の相手方となっておりました。

2.以下の契約は、2018年2月8日をもって契約期間が終了しました。

契約技術:MT-RJコネクタの製造に関する技術(特許実施)

契約の相手方(国籍):THE WHITAKER CORPORATION(アメリカ)

契約期間:自 1998年4月23日 至 実施許諾特許の満了日

対価:頭金 定額

 

 

5 【研究開発活動】

 当社グループは、新商品、新技術開発による新規事業の創出と展開を図るべく、国内の当社4研究所(先端技術研究所、コア技術融合研究所、自動車・エレクトロニクス研究所、情報通信・エネルギー研究所)及び海外のOFS Laboratories, LLC (米国)、Furukawa Electric Institute of Technology Ltd.(ハンガリー)、SuperPower Inc.(米国)を中心とした研究体制を有し、積極的に研究開発へ取り組んでおります。

当連結会計年度における研究開発費は、注力分野の強化を進めていくため、前連結会計年度比11.9%増の19,533百万円とし、各セグメントの主な成果等は次のとおりであります。

 

(1)インフラ

①次世代の400Gbps・1Tbps大容量光デジタルコヒーレント伝送向け制御回路付信号光源について、さらなる高出力化・狭線幅化を実現すべく、構成要素である半導体レーザチップ、パッケージ技術及び制御回路の開発ならびに特性評価を行っております。

②将来の超大容量光通信における空間多重技術の長距離幹線系、加入者アクセス系への適用に向けて、国立研究開発法人情報通信研究機構が実施するプロジェクトからの委託研究である「革新的光通信インフラの研究開発」及び「革新的光ファイバの実用化に向けた研究開発」を活用し、1本の光ファイバに複数のコアを含むマルチコア光ファイバを用いた光ファイバ・ケーブルの製造技術及び実用性の高い従来比5倍のコア密度を有する光ファイバの接続技術の検討を行っております。

③ファイバレーザ発振器について、その光出力が1kWまでのシングルモード及び6kWまでのマルチモードに加え、1.3kWのシングルモードを開発し、製品化しました。これはシングルモード光出力のファイバレーザ発振器を複数台合成して構成されるマルチモード光出力のファイバレーザ発振器の高出力化へ寄与する技術になります。これらのファイバレーザ発振器は出力ビーム形状制御による溶接加工品質向上(特に溶接飛沫の低減)に貢献するもので、顧客から高い評価を受けております。

④国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「電力送電用超電導ケーブルシステムの実用化開発」に参画し、超電導ケーブルの電力系統への適用の際に起こり得る不測の事故(地絡・短絡・外傷等)を防止するためのシミュレーションを行い、安全性・信頼性の確立にむけた検証を行っております。

⑤イットリウム系超電導薄膜を応用した超電導応用機器については、NEDOの委託事業「高磁場マグネットシステムの開発」に参画し、高磁場マグネットで必要とされる永久電流接続の技術開発を進め、実用的な超電導接続を実現しました。

⑥公益財団法人鉄道総合技術研究所、山梨県企業局及び株式会社ミラプロと共同で進めている、次世代フライホイール蓄電システムの開発において高温超電導磁気軸受を開発し、システムの高効率化・長寿命化を達成しました。同蓄電システムについて、山梨県米倉山の太陽光発電システムに設置して実証試験を行い、太陽光発電の出力安定化の実現を確認しました。

⑦経済産業省の委託事業「浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業」に受託コンソーシアムの一員として参画し、浮体式設備の動きや波・潮流に追従し水中で浮遊する浮体式風力発電用ライザーケーブルの開発を担当しております。7MW用風車及び5MW用風車に施工した22kVライザーケーブルの設計検証として、実証データと挙動解析を比較し挙動解析の妥当性を確認しました。引き続き、耐久性の向上に資する設計手法の検討を行っております。

 

  以上、当該事業に係る研究開発費は9,949百万円であります

 

 

(2)電装エレクトロニクス

①アルミ電線を使用した自動車用ワイヤハーネスについては、車両軽量化への要請を背景とした更なる適用部位拡大に向け、関連技術の開発を行っております。

②自動車用バッテリ状態検知センサについては、過充電抑制での燃費向上及び過放電によるバッテリ上がり防止などへの貢献が期待されており、拡販及び受注活動とともに、高機能化に向けた開発を行っています。また、今後予測される車載電子機器の増加や自動車の電動化に対して、電源品質を維持する電源マネジメントシステムに関連した製品の開発を行っております。

③パルス方式により複数の対象物を正確に認識可能な車載用の24GHz帯周辺監視レーダについて、量産を開始しておりますが、先進運転支援システムを支える検知技術のさらなる高性能化を目指し開発を行っております。

④HV・EV用モーターの小型化・高出力化に対応した高機能巻線の開発を行っております。Superior Essex Inc.(米国)との合弁会社であるEssex Furukawa Magnet Wire Europe GmbH(ドイツ)は、耐高電圧平角巻線(HVWW®)において、大手自動車部品メーカーであるMagna International Inc.(カナダ)のパワートレイン部門が実施する「2017年Innovation Award」の最優秀賞を化学メーカーであるSolvay S.A.(ベルギー)と共同で受賞しました。

⑤窒化ガリウム(GaN)パワーデバイスは、同製品市場の有力事業者で資本提携先の Transphorm, Inc.(米国)との相互連携を図り、継続して両社のGaNパワーデバイス応用製品群の強化に取り組んでおります。

⑥カーボンナノチューブ(CNT)電線開発技術について、NEDOにおける委託事業では、「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」に先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)の一員として取り組み、ADMATと産業技術総合研究所とともに計算・計測・プロセスの三位一体でCNT電気電導シミュレーション開発を行いました。また、環境省における補助事業の「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」においては、当期の目標である小型・CNTモーターの稼働を確認し、次年度へ継続となりました。引き続き、CNT電線の実用化に向けて開発を行っております。

⑦研究開発の効率化のため、シミュレーション技術等の有効活用を推進しております。ワイヤハーネス開発においては構造シミュレーション、電子機器開発においては振動・熱流体シミュレーション、レーダ開発においては電磁界シミュレーションを活用したほか、車載ソフト用のアルゴリズム構築に際してのモデルベース開発などを行いました。また、CNTなどの新材料に対し、第一原理計算を用いた材料シミュレーションを適用し、試作回数・費用の削減や設計の最適化に取り組んでおります。

電子機器における小型化・大容量化に伴う接続部品(コネクタ、端子等)の多極化・高密度化、発熱の制御、自動

  車の電動化や車載電子機器の増加に伴う電装品(ワイヤハーネス等)の高電圧化・大電流化へ対応できる、高強

  度・高導電な銅合金及び貴金属めっきの開発を行っております。 

 

  以上、当該事業に係る研究開発費は4,995百万円であります。

 

(3)機能製品 

①植物由来のセルロースナノファイバー(CNF)の高剛性・軽量性という特長を活かし、自動車分野など様々な用途活用が期待されるCNF強化樹脂の高効率製造法の開発を行い、その実用化に向けた検証を行っております。

②ヒートパイプ技術を活用した熱マネジメント(均熱・放熱)技術システムについては、ハイブリッド電気自動車など次世代自動車への搭載に向けて、リチウムイオンバッテリやインバータ等による発熱量の増大に対応する製品の開発を行っております。

③通信ネットワークの高速化、高周波数化に対応する高周波プリント基板用銅箔を製品化いたしました。引き続き、次世代高周波回路に適した銅箔の開発を行っております。

 

  以上、当該事業に係る研究開発費は1,998百万円であります。

 

 

(4)サービス・開発等

①研究子会社であるSuperPower Inc.(米国)において、イットリウム系高温超電導線材の研究開発を行い、特に超

  高磁場超電導マグネット開発に貢献しております。

②VOC(Voice Of Customer)により得られた顧客ニーズに対して、顧客に迅速にコンセプトサンプルを提示する活動

  の核となる組織として、コア技術融合研究所内に先行開発センターを設置しました。同センターを中心にVOC活動を

 行うことで顧客とともに新たな価値の創出を実現する新製品または新事業の開発を進めていきます。

 

  以上、当該事業に係る研究開発費は2,589百万円であります