第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当期の世界経済は、米国においては、家計支出が堅調であったことを背景に景気が拡大基調で推移し、欧州においても、ユーロ安による輸出増や個人消費の伸張により、景気は緩やかに回復しました。一方、新興国では、中国経済の減速が顕著になり、その影響を受けて東南アジア経済が伸び悩んだほか、ブラジルやロシアなどにおいても、資源価格の下落等により、厳しい経済状況が続きました。

わが国の経済は、企業収益の改善を起点とした設備投資の増加や雇用環境の改善により、内需を中心に景気は引き続き緩やかに回復してきましたが、中国をはじめとする新興国における景気減速や年明け以降の円高進行が輸出・生産面でマイナスに作用するなど、先行き不透明感が増しています。

このような環境の下、当社グループでは、中期経営計画『Furukawa G Plan 2015』に掲げた「インフラ/自動車市場への注力」という方針に基づき、インフラ市場関連では、情報通信部門において、モロッコやミャンマーに新たな事業拠点を設立したほか、エネルギー・産業機材部門においては、電力事業の再編を目的として、持分法適用の関連会社である㈱ビスキャスより、海外電力事業を譲り受けたことに加え、ベトナムに電力機器事業の子会社を設立するなど、グローバル市場での事業拡大・競争力強化を図ってまいりました。また、自動車市場関連では、電装・エレクトロニクス部門において、自動車用アルミワイヤハーネス接続部品等の新製品開発や需要旺盛なハイブリッド車向け平角巻線の生産能力増強などを推進しました。そのほか、ファナック㈱と産業用レーザ・ダイオード・モジュールの開発・製造を行う合弁会社を設立するなど、新事業分野の開拓にも努めてまいりました。

当期の業績につきましては、エネルギー・産業機材部門や金属部門では、銅地金価格の下落等により売上高が減少しましたが、情報通信部門で、北米における光ファイバ・ケーブルの需要が旺盛であったほか、電装・エレクトロニクス部門で、自動車用電池や放熱用部品などの販売が好調に推移しました。損益面では、自動車部品事業での円安による海外工場製造品の輸入コスト増がありましたが、金属部門において銅箔事業の構造改革を行うとともに、エネルギー・産業機材部門において半導体製造用テープなど安定した利益が見込める製品への注力を進めたことなどにより、総じて営業損益が改善しました。これらの結果、連結売上高は8,749億円(前期比0.8%増)、連結営業利益は271億円(前期比51.7%増)となりました。海外売上高は4,053億円(前期比5.2%増)で、海外売上高比率は46.3%となり、前期比1.9ポイント増となりました。上記に加え、㈱ビスキャスにおける事業再編に伴う損失計上に関連して持分法による投資損失を計上したことなどにより、連結経常利益は187億円(前期比同水準)となりました。また、当社が保有する不動産の売却益等による特別利益219億円、過去のワイヤハーネスカルテルに関連する民事賠償等による特別損失192億円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は100億円(前期比36.1%増)となりました。

なお、単独の業績につきましては、売上高は3,989億円(前期比4.4%減)、営業利益は55億円(前期比67億円改善)、経常利益は122億円(前期比157.0%増)、当期純損失は55億円(前期比98億円悪化)となりました。

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

 

情報通信部門〕

光ファイバ・ケーブルについては、景気後退の影響を受けたブラジルなどを除き、北米を中心とした旺盛な需要を背景に売上高が伸張し、また、ネットワーク関連事業も堅調に推移しました。これらの結果、当部門の連結売上高は1,592億円(前期比2.6%増)、連結営業利益は78億円(前期比37.4%増)となりました。また単独売上高は545億円(前期比8.4%増)となりました。

当部門では、昨年9月に、モロッコにおいて光ファイバ・ケーブルの製造子会社を設立したほか、昨年12月には、ミャンマーにおいて情報通信ネットワークの設計および通信工事コンサルタント業務を行う子会社を設立しました。また、同じく昨年12月には南米におけるLANソリューションシステム事業を拡大することを目的に、ブラジルにある通信用機器製造会社を買収いたしました。

 

エネルギー・産業機材部門〕

銅地金価格の下落に伴う製品価格の低下や中国での販売不振により、電力ケーブルの売上が低迷しましたが、スマートフォン向けなどの半導体需要が増加したことにより、半導体製造用テープの販売が好調に推移したほか、発泡製品の売上が欧州において伸張しました。また、非常用電線に使用される機器用電線の販売も好調で、損益の向上に寄与しました。これらの結果、当部門の連結売上高は2,813億円(前期比4.1%減)、連結営業利益は70億円(前期比64.1%増)となりました。また、単独売上高は1,223億円(前期比10.8%減)となりました。

当社は、㈱ビスキャスから、同社の地中送電線および海底送電線事業のうち海外部門を昨年4月に譲り受けたことに加え、これら事業の国内部門についても本年10月を目処に譲り受ける予定です。また、昨年11月には、ベトナムにおいて、送変電機材や架空配線機材などの送配電部品事業の子会社を、現地企業との合弁により設立するなど、電力インフラへの需要が拡大する海外市場での事業の強化に努めています。

 

電装・エレクトロニクス部門〕

放熱用部品であるヒートシンクの需要が旺盛であったこと、子会社の古河電池㈱においてハイブリッド車およびアイドリングストップ車向け鉛蓄電池の販売が好調であったことなどから、売上を伸ばしました。一方、自動車用ワイヤハーネスは、円安による海外工場製造品の輸入費用増加や、海外拠点での新規車種向け製品の製造立ち上げ時の混乱などにより、コストが増加しました。これらの結果、当部門の連結売上高は3,311億円(前期比7.4%増)、連結営業利益は129億円(前期比同水準)となりました。また、単独売上高は1,586億円(前期比3.3%減)となりました。

なお、昨年4月に、当社持分法適用の関連会社である㈱UACJとの合弁で、ハードディスク用アルミ基板材の販売・技術サービスを行う子会社を設立しました。

 

金属部門〕

一昨年2月の日光事業所における大雪被害による、銅条製品製造工程の一部停止が完全復旧し、同製品の販売については数量面では概ね所期の計画を達成しましたが、銅地金価格の下落による製品価格の低下や銅箔の需要伸び悩み等により、当部門全体の売上高は減少しました。損益面につきましては、銅箔事業において電力コスト等の面で競争力が低下した国内製造能力を縮小し、台湾子会社への製造移管を促進するなどの損益改善策を実施したことなどにより、赤字幅が縮小しました。これらの結果、当部門の連結売上高は1,224億円(前期比8.4%減)、連結営業損失は11億円(前期比38億円改善)となりました。また、単独売上高は601億円(前期比4.2%減)となりました。

また、昨年10月1日付で、当社の銅条・高機能材事業部門における貴金属めっき事業について、当社完全子会社の古河精密金属工業㈱を承継会社とする吸収分割(簡易分割)を行いました。

 

〔サービス・開発等部門〕

物流、情報処理・ソフトウェア開発、各種業務受託等による当社グループ各事業のサポート、不動産の賃貸、水力発電、新製品研究開発等を行なっております。

当部門の連結売上高は542億円(前期比1.2%増)、連結営業利益は5億円(前期比6億円改善)となりました。また、単独売上高は34億円(前期比同水準)となりました。

当部門では、昨年7月に、ファナック㈱との合弁で、金属の切断、溶接等に使用される産業用光ファイバ・レーザの基幹部品である高出力レーザ・ダイオード・モジュールを製造する関連会社FFレーザ㈱を設立しました。新会社では、急速に普及が進んでいる産業用光ファイバ・レーザ分野において、事業の拡大を進めていきます。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、517億円(前連結会計年度比222億円の増加)となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益+214億円、減価償却費+232億円等により
+416億円(前連結会計年度比+1億円)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出△256億円、固定資産の売却による収入+226億円等により+19億円(前連結会計年度比+255億円)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の削減等により△209億円(前連結会計年度比△54億円)となりました。

 

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当社グループの生産・販売品目は、広範かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額または、数量で示すことはしておりません。このため、生産、受注及び販売の状況については、「1[業績等の概要]」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。

 

 

 

 

 

 

3 【対処すべき課題】

(1)当面の対処すべき課題

1)中期経営計画「Furukawa G Plan 2020」

当社は、本年4月からの5年間を対象とする中期経営計画「Furukawa G Plan 2020」(以下、新中期経営計画)を策定いたしました。新中期経営計画では、「ゆるぎない成長の実現」というスローガンを掲げ、次の3つの施策を実行してまいります。

 

 ① 事業の強化と変革

今後も成長が見込まれるインフラ/自動車市場への注力を、更に加速していきます。情報通信分野では、世界的な通信トラフィック増大を背景とした需要の増加に応えるため、光ファイバ・ケーブルや次世代通信における主要部品となる小型波長可変半導体レーザ(μITLA)などの増産体制を整えてまいります。自動車分野では、自動車の軽量化に貢献するアルミワイヤハーネスやその接続部品、大容量かつ高耐久性能の鉛バッテリーやバッテリー状態検知センサ等で構成される電源マネジメント関連製品など、高機能新製品を中心に販売拡大を目指します。エネルギー分野においては、当社グループのエンジニアリング能力を強化し、国内外のプロジェクト受注を拡大することで、採算性が低迷している電力事業の立て直しを図ります。加えて、自然エネルギーの効率的な利用を可能とする蓄電システムや、配電効率・省エネ性に優れた配電自動化システムなどに不可欠な製品を供給し、実用化が進むスマートインフラの更なる普及に貢献していきます。

なお、平成28年度より、現在のセグメントを再編成し、「インフラ」、「電装エレクトロニクス」、「機能製品」、「サービス・開発等」の4部門といたします。

 

 ② グローバル市場での拡販促進

グローバル市場での販売拡大を加速させるため、海外に統括拠点を設け、現地における情報収集力の強化を図り、地域毎の特徴に合わせたマーケティング・販売戦略を迅速かつ適切に実行する体制を構築します。また、情報通信分野においては、光ファイバ・ケーブルに加えLANケーブルやFTTH(Fiber-To-The-Home)/FTTx製品などの多様な製品群を背景にしたパッケージでのプロジェクト提案を行うソリューション・ビジネスモデルが中南米で成功しており、これらを東南アジアなどでも展開し、そのノウハウを各地域で積極的に活用します。さらに、東南アジアや南アジアを中心に自動車部品事業の製造拠点を拡充し、成長市場への製品供給能力を増強して、海外での事業拡大を目指していきます。

 

 ③ 新事業の開拓加速

新中期経営計画において、注力分野であるインフラ/自動車市場向け製品の開発に充てる年間研究開発費を、今後5年間で平成27年度比約2割増額し、同分野での事業拡大を図るとともに、先進運転支援システムを支える計測技術である周辺監視レーダなどの新技術を事業化していきます。このほか、当社が開発した蛍光シリカナノ粒子技術を用いた病原体検査機器や樹脂成型技術を用いたカテーテル用ガイドワイヤなどにより参入を見込める医療機器分野など、今後市場の成長が期待できる分野を対象に、年間の投資および研究開発費を平成32年度までに平成27年度比で倍増させ、新事業の育成を推進します。

 

2)コーポレートガバナンスの強化

当社では、多様な知識・経験・能力に基づいた経営への貢献を期待して、様々な分野から社外役員を招聘するなど、以前からコーポレートガバナンスを重視してまいりました。

昨年5月には、社外役員の独立性基準を策定するとともに、従来の報酬委員会に代えて、取締役等の選任に関する審議機能や経営陣の報酬に関する決定機能を有し、委員の過半数を社外取締役とする指名・報酬委員会を設置しました。また、より一層のコーポレートガバナンスの充実を図るため、昨年12月に定めた「コーポレートガバナンスに関する基本方針」のもと、取締役会において活発に議論を重ね、各種の取組みを実施しています。

取締役会全体の機能向上を目的に実施した取締役会実効性評価では、取締役会における経営・事業戦略に関する議論を現在よりも充実させるとともに、中期経営計画の達成度、事業・関係会社の課題やその対応施策が、適時適切に取締役会で報告・議論される仕組みを整え、迅速に事業戦略等の見直しを行う体制を強化することが必要との指摘がなされました。これらを受けて、取締役会の付議・報告基準の改正や運営方法の改善などを既に行っておりますが、今後も継続的に評価・改善を積み重ね、取締役会の実効性の向上に努めます。

また、役員報酬体系についても、業績への連動性をより高めるとともに、中長期的な企業価値の向上にも資する体系とするため、指名・報酬委員会の決定に基づき、基本報酬、短期業績連動報酬および中長期業績連動報酬から構成される体系へと改定し、本年7月に支給される役員報酬から適用いたします。このうち新たに設ける中長期業績連動報酬においては、株主と経営陣の利益をより一致させることを目的として、株式報酬制度を取り入れております。

 

当社グループでは、古河電工グループ理念「世紀を超えて培ってきた素材力を核として、絶え間ない技術革新により、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献します」のもと、新中期経営計画を着実に実行するとともに、コーポレートガバナンスの更なる強化に努め、企業価値の向上を図ってまいります。

 

(2)会社の支配に関する基本方針

以下に記載の基本方針および買収防衛策は当事業年度末日のものであり、これらは本年6月27日開催の第194回定時株主総会終結の時をもって、廃止されております 。

 

Ⅰ.当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

当社は、平成19年3月9日開催の取締役会において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を次のとおり定めています。

当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資する者が望ましいと考えております。

もっとも当社は、株式を上場して市場での自由な取引に委ねているため、会社を支配する者の在り方は、最終的には株主の皆様全体の意思に基づき決定されるべきであり、会社の支配権の移転を伴う買付提案に応じるかどうかの判断も、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えます。

しかしながら、当社株式の大規模な買付行為や買付提案の中には、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、株主が買付の条件等について検討したり、当社の取締役会が代替案を提案するための充分な時間や情報を提供しないもの、買付者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買付者との交渉を必要とするもの等、株主共同の利益を毀損するものもありえます。

このような大規模な買付行為や買付提案を行う者は、例外的に当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないと判断します。

 

 
Ⅱ.基本方針の実現に資する取組み

当社グループは、「世紀を超えて培ってきた素材力を核として、絶え間ない技術革新により、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献する」ことを基本理念としております。当社グループの事業領域は、「情報通信」、「エネルギー・産業機材」、「金属」、「電装・エレクトロニクス」など多岐にわたるが、これらの事業は明治17年の創業以来培ってきた素材の加工・応用技術を基盤に、産業の発展に伴い創造してきたものです。その事業創造の過程で、当社グループは、独自の技術、経験および経営ノウハウ等を積み重ねるとともに、顧客、取引先、地域社会、従業員などの様々なステークホルダーとの間の良好な関係の維持、発展に努めてきました。これらは、当社グループの有形・無形の貴重な財産であり、これらを毀損することなく、中長期的な視野で企業価値と株主共同の利益の一層の向上に結びつけるよう努めております。

以上の方針を事業へ展開していくにあたり、当社では、2015年度までの3ヵ年を対象とする中期経営計画「Furukawa G Plan 2015」を策定し、新興国を中心とした電力・通信といったインフラ市場の旺盛な需要への対応、自動車関連分野におけるアジアを中心とした製造・販売体制の構築のほか、持続的成長に向けた基盤の構築や財務体質の改善に取り組んでおります。

当社では、多数の株主および投資家による当社への長期的な投資を促進するため、企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取組みとして、以上のような施策を実施しており、これらの取組みは、上記Ⅰの基本方針の実現にも資するものと考えております。

 
Ⅲ.基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

当社は、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的として、平成19年6月26日開催の第185回定時株主総会決議により、買収防衛策として「当社株式の大規模買付行為への対応策」を導入し、以降、一部内容を変更するとともに、買収防衛策を更新してまいりました。現在の買収防衛策は平成25年6月25日開催の第191回定時株主総会決議により、更新されたものであります。(以下、現在の買収防衛策を「本プラン」といいます。)

本プランは、当社株式の大規模買付が行われる場合の手続きを明確にし、株主が適切な判断をするために必要な情報や時間を確保したり、買付者との交渉等が一定の合理的ルールにしたがって行われることを確保することにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させることを目的としており、その概要は次のとおりであります。

 

当社の発行済株式総数の20%以上となる株式の買付または公開買付を実施しようとする買付者には、必要な情報を当社に提出していただき、当該大規模買付行為は取締役会による評価期間(大規模買付行為の方法により、買付者からの必要情報の提供後60日または90日とする。)経過後にのみ開始されるものとし、買付者が本プランの手続きを遵守しない場合や当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なう買付であると取締役会が判断した場合、例外的に対抗措置(大規模買付者等による権利行使は認められないとの行使条件を付した新株予約権の無償割当等)を発動する場合がある。ただし、取締役会は、当社の業務執行を行う経営陣から独立している社外監査役および社外有識者からなる第三者委員会を設置し、第三者委員会は外部専門家の助言を得たうえで、買付内容の検討等を行う。取締役会は対抗措置の発動に先立ち、第三者委員会に対し対抗措置の発動の是非について諮問し、第三者委員会は十分検討した上で対抗措置の発動の是非について勧告を行う。取締役会は、判断に際して第三者委員会の勧告を最大限尊重するものとする。

本プランの詳細は、当社ホームページ(http://www.furukawa.co.jp/)に掲載しております。
 
Ⅳ.基本方針の具体的取組みおよび本プランが基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないことについて 

当社は、前述のとおり、厳しい経営環境の下、持続的成長に向けた基盤の構築や財務体質の改善等に努めています。これらは当社の業績、経営指標を向上させ、企業価値の増大、株主共同の利益の向上につなげようとする取組みです。また、本プランは、次の理由から、基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致しており、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

1)買収防衛策に関する指針の要件を充足していること

本プランは、経済産業省および法務省が平成17年5月27日に発表した企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針の定める三原則を充足しております。

2)株主意思を重視するものであること

本プランは、平成25年6月25日開催の第191回定時株主総会決議により導入したもので、株主の意思が反映されたものとなっております。

3)合理的な客観的要件の設定

本プランにおける対抗措置は、合理的な客観的要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しているものといえます。

4)独立性の高い社外者の判断の重視

本プランにおける対抗措置の発動等の運用に際しての実質的な判断は、独立性の高い社外者のみから構成される第三者委員会により行われることとされております。また、その判断の概要については株主に情報開示をすることとされており、当社の企業価値・株主共同の利益に適うように本プランの透明な運営が行われる仕組みが確保されております。

5)デッドハンド型やスローハンド型の買収防衛策ではないこと

株主総会で選任された取締役で構成される取締役会により本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されるものとしていることから、取締役の選任議案に関する議決権の行使を通じて、本プランに対する株主の意思を反映させることが可能となっております。したがって、本プランは、いわゆる「デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交代させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)」ではありません。また、当社は、取締役の任期を1年とし、期差任期制を採用しておらず、経営陣の株主に対する責任をより明確なものとしております。したがって、本プランは、いわゆる「スローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)」でもありません。

 

 

4 【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績は、当社グループが製品販売・サービス提供をしている様々な市場における経済状況の影響を受けます。

 当社グループの業績、株価および財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

1)知的財産権、その他第三者の権利侵害

 当社グループでは、製品やソフトウェア等の開発、製造、使用および販売、その他の事業活動によって、第三者の知的財産権、その他の権利を侵害しないよう、あらかじめ調査を行い、必要に応じて実施許諾を受ける等の措置を講じております。しかし、第三者から知的財産権、その他の権利を侵害したとして訴訟を提起された場合、あるいは、第三者から当社グループの知的財産権、その他の権利を侵害された場合には、第三者との間にそれらの権利に関する交渉や係争が生じます。知財係争では、製造・販売等の差し止めや多額の損害賠償金や和解金が発生することがあり、当社グループにそれら差し止めや支払義務が生じた場合には、業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。また、体制を整備しているものの、当社グループの製造技術(ノウハウ)が第三者に漏洩した場合には、企業競争力が低下する可能性があります。

2)製品の欠陥

 当社グループは、国内外の各種規格・基準及び永年の経験に培われた品質管理基準に従って各種製品の製造、サービスの提供を行っています。しかし、その全てについて欠陥が無く、将来に予期せぬ損失補償が発生しないという保証はありません。とりわけ、電力ケーブル、通信ケーブル、自動車用部品等に関連する製品については、欠陥の内容によっては多額の追加コストが発生する可能性があります。大規模な損失補償や製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 なお、当社連結子会社が製造した自動車用部品に関連し、当該部品を組み込んだ自動車について市場回収措置(リコール)が行われており、当社および当社連結子会社が部品の販売先から費用の一部の分担に関して協力を要請され、交渉を行っております。

3)原料及び燃料価格の変動

 当社グループの主要原料である銅・アルミ等の非鉄金属、ポリエチレン等合成樹脂及び燃料である重油やLPG、LNGは、世界情勢や市場の動向で予想外の価格変動を起こす可能性があり、この場合には一部の製品の売値への転嫁が遅れ或いは滞ることが想定され、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

4)為替変動

 当社グループは、調達および販売活動を様々な通貨で行なっており、為替相場の変動による影響を最小限に抑えるよう努めておりますが、急激な為替変動が生じた場合には、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

5)金利の上昇リスク

 金利が上昇した場合は、支払利息が増加し、当社グループの業績が悪化する可能性があります。

6)格付け低下

 当社グループの今後の業績によっては、格付機関から付与されている当社の長期債務格付け及びコマーシャル・ペーパー等の格付けが低下し、資金の調達条件が悪くなり、支払利息が増加する可能性があります。

7)資産の減損

 市況や事業環境の悪化によって、当社グループが保有する資産の市場価格が著しく低下する場合や、資産の収益性が低下する場合には、当該資産について減損損失が発生する可能性があります。

8)税務に関わるリスク

 当社グループは、国内外で事業展開する上で、各国の国内および国際間取引に係る租税制度の変更や税務当局との見解の相違等により税金コストが変動するリスクを有しており、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

9)事業用地の土壌汚染

 当社グループが所有する土地について、「土壌汚染対策法」により、有害物質による土壌汚染の状況の調査・報告や、汚染の除去等の措置を命ぜられることがあります。これら措置に要する費用の発生のほか、当社グループにおける土地の使用・処分等に制限が生じるリスクがあります。

10)海外での活動

 当社グループの生産および販売活動は、米国やヨーロッパ、ならびにアジアや南米の発展途上市場や新興市場等の日本国外でも行われております。これらの海外市場では予期しない法律または規制の変更や労働争議発生及び突発的な伝染病の流行などの各種リスクが内在しており、それらは当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 特に、中国においては、当社は広州・上海及び北京・天津地区を中心に多数の進出拠点を有しております。中国国内での投資や為替、金融、輸出入に関わる法制や諸規定の変更、電力供給の停止、疫病の流行等の回避不能な事象の発生により事業運営に支障をきたす可能性があります。例えば、人民元のレート調整などが発生した場合、当初の事業計画から大きく逸脱する可能性があります。また、中国企業向けの売掛金回収期間は比較的長く、現地子会社のキャッシュ・フローに影響を与える可能性もあります。

 これらに加えて、当社グループの事業活動に関連する国、地域における国際関係の緊張の高まり、紛争・政情不安、金融システム不安等により、治安・安全面のみならず、生産・販売活動等への影響を通じ、当社グループの業績および財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

11)法令違反等

 当社グループは、国内外で事業展開する上で、規制当局から様々な法規制を受けております。法規制の強化や法令解釈の厳格化があった場合には、事業の制限や費用の増加等の可能性があります。また、法令違反等の事象が生じた場合には、各規制当局からの処分・制裁、取引先等関係者からの損害賠償請求、社会的評価の悪化等により、当社グループの業績および財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社は、自動車用部品カルテルに関し、ブラジル競争法当局の調査を受けております。また、米国およびカナダでの一連の自動車部品カルテルによる損害の賠償を求める複数の集団訴訟や、自動車用部品カルテルに関して米国の一部の州の司法当局から提起された州法違反に基づく訴訟などにおいて、当社や当社子会社がその被告となっております。

 また、上記の自動車用部品カルテルを含む過去の競争法違反行為に関して、自動車メーカーを含む一部の顧客などから、損害の賠償を求められております。

 上記のほか、電力ケーブルカルテルに関し、当社の持分法適用の関連会社である㈱ビスキャスに対しブラジル当局による調査が行なわれております。

12)自然災害等の影響

 当社グループは、国内外に、調達、製造、物流、販売、研究開発拠点等を有しております。大規模な地震や津波、火災、台風、洪水等の災害(気候変動によって発生するものも含む)や新型インフルエンザ等の感染症の発生、戦争、テロ行為、コンピューターウイルスによる攻撃等が起こった場合、直接的損害のほか、サプライチェーンを通じた間接的な損害により、当社グループの業績および財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1)当社は、平成28年2月26日、神奈川県横浜市との間で、当社を譲渡人、同市を譲受人とする固定資産譲渡契約を締結いたしました。

①譲渡の理由 
 神奈川県横浜市が推進する「横浜市立市民病院再整備事業」への協力ならびに当社の経営資源の有効活用および財務体質の強化を図るため。

②譲渡資産の内容 土地
          所在地 横浜市神奈川区三ツ沢西町34番10 地積 11,284.41㎡
              横浜市西区宮ヶ谷25番6         5,634.29㎡
          帳簿価額  3億円
          譲渡金額   74億円(土地代金および移転補償金)
          現況   当社社宅用地として保有

③譲渡先 神奈川県横浜市

④譲渡の日程 契約締結日 平成28年2月26日
        引渡期日  平成29年8月末予定

⑤当社の業績に与える影響 
 当該土地の譲渡に伴い、平成30年3月期決算において、譲渡金額より土地上の建物解体費用等当該譲渡に関する諸費用を控除した譲渡益を特別利益に計上する予定であります。

 

(2)当社は、平成28年3月10日、株式会社テレビ神奈川との間で、当社を譲渡人、同社を譲受人とする固定資産譲渡契約を締結いたしました。

①譲渡の理由 当社の経営資源の有効活用および財務体質の強化を図るため。

②譲渡資産の内容 土地
          所在地 横浜市西区西平沼町19番1 他 地積 72,439.62㎡
          帳簿価額   1億円
          譲渡価額 170億円
          現況 賃貸不動産

③譲渡先 株式会社テレビ神奈川
 ④譲渡の日程 契約締結日 平成28年3月10日
        譲渡日   平成28年3月10日

 

(3)当社は、株式会社フジクラ(以下、「フジクラ」という。)および両社の合弁会社で、当社の持分法適用の関連会社である株式会社ビスキャス(以下、「ビスキャス」という。)との間で、ビスキャスの事業のうち「地中及び海底送電線事業」を当社が、「配電線・架空送電線事業」をフジクラが譲り受けることについて合意し、平成28年4月25日付で基本合意書を締結いたしました。

   上記事業の譲受は平成28年10月1日に実施される予定であり、その主な内容は次のとおりであります。

①当社は、ビスキャスの「地中及び海底送電線事業」に係る営業・製造・工事・技術・研究開発機能のすべてを譲り受ける。

②当社およびフジクラに対する本事業の譲渡完了に伴い、ビスキャスは解散・清算する。

(注)地中及び海底送電線事業:主に地中線(66kV以上)・海底線・それらの部品の製造および販売、以上に関連する工事の請負

   配電線事業:主に地中および架空配電線(66kV未満)の製造および販売

   架空送電線事業:架空送電線・同部品の製造および販売

 

 

(4)過去の自動車用ワイヤハーネスおよび同関連製品の取引に係る米国競争法違反に関し、当社および連結子会社のAmerican Furukawa Inc.(以下、「AFI」という。)は、平成28年5月に、同製品の主要な顧客と和解金2,650万米ドルを支払うことを内容とする和解契約を締結しております。本件については、平成28年3月期において、特別損失として和解金額に相当する額の32億円を計上済みです。

 

(5)技術導入契約の主なものは、次のとおりであります。

契約技術

契約の相手方(国籍)

契約期間

対価

化合物半導体デバイスおよび化合物半導体材料に関する技術(特許実施)(注)1

ALCATEL-LUCENT

(アメリカ)

自 平成5年7月14日

至 実施許諾特許の満了日

実施料 一定料率

MT-RJコネクタの製造に関する技術(特許実施)

THE WHITAKER CORPORATION

(アメリカ)

自 平成10年4月23日

至 実施許諾特許の満了日

頭金  定額

MPXコネクタ技術

(特許実施、商標使用)

TYCO ELECTRONICS CORPORATION

(アメリカ)

自 平成12年10月17日

至 実施許諾特許の満了日

頭金  定額

実施料 一定料率

LC コネクタ技術

(特許実施)(注)2

OFS Fitel, LLC

(アメリカ)

自 平成13年3月2日

至 実施許諾特許の満了日

頭金  定額

実施料 一定料率

 

 (注)1.原契約はAMERICAN TELEPHONE AND TELEGRAPH COMPANYと締結しましたが、同社の事業分割により、平成8年9月23日よりLUCENT TECHNOLOGIES社(現ALCATEL-LUCENT社)が契約の相手方となっております。

    2.原契約はLUCENT TECHNOLOGIES社(現ALCATEL-LUCENT社)と締結しましたが、同社の光ファイバ・ケーブル部門の事業譲渡に伴い、本契約の相手方は平成13年11月16日より当社子会社のFITEL USA CORP.(平成15年12月19日FURUKAWA ELECTRIC NORTH AMERICA, INC.に商号変更したのち、平成20年12月31日に解散)となり、さらに平成20年12月31日から同契約の相手方はOFS Fitel, LLCとなっております。

    3.以下の契約は、平成27年9月22日をもって契約期間が終了しました。

      契約技術:ポリプロピレン発泡シャーシ製技術(特許実施)

      契約の相手方(国籍):DMT GmbH, Feinwerktechnische Komplettlösungen(ドイツ)

      契約期間:自 平成13年2月1日 至 実施許諾特許の満了日

      対価:頭金 定額、実施料 一定料率

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、新商品、新技術開発による新規事業の創出と展開を図るべく、国内の当社4研究所(コア技術融合研究所、先端技術研究所、自動車・エレクトロニクス研究所、情報通信・エネルギー研究所)とおよび海外のOFS Laboratories, LLC (米国)、Furukawa Electric Institute of Technology Ltd.(ハンガリー)、SuperPower Inc.(米国)を中心とした研究体制を有し、積極的に研究開発を進めております。
 当連結会計年度における研究開発費は16,845百万円であり、主な成果等は次のとおりであります。

 

(1)情報通信部門

①次世代CDC-ROADMシステムの主要部品であるマルチキャストスイッチ(MCS)について、小型化、低消費電力化を実現すべく、比屈折率差5%以上となる高Δ石英導波路技術を適用したMCSチップの開発を進め、試作品の特性評価を実施しております。

②次世代の400G・1Tbps大容量光デジタルコヒーレント伝送向け制御回路付信号光源について、更なる高出力化、狭線幅化を実現すべく、構成要素である半導体レーザチップ、パッケージ技術、制御回路の開発および特性評価を進めております。

③信号ルート切替え装置の主要部品である波長選択スイッチ(WSS)について、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)プロジェクトからの委託研究「エラスティック光アグリゲーションネットワークの研究開発」にて最大1x93chの多ポート低損失の帯域可変WSSの開発に成功いたしました。WSSはサービス毎に性質の異なる通信トラフィックを効率よく集約し、用途に合わせデータ容量を伸縮するエラスティック光アグリゲーションネットワークに不可欠の部品であり、帯域可変特性やスイッチング特性の評価および実証試験を進めております。

④将来の超大容量光通信における空間多重技術として、NICTプロジェクトからの委託研究「革新的光通信インフラの研究開発」および「革新的光ファイバの実用化に向けた研究開発」も活用しつつ、1本の光ファイバに複数(7個あるいは19個)のコアを含むマルチコアファイバ、およびその周辺技術としてマルチコア光増幅、マルチコア光接続技術の開発に取り組み、長距離幹線系、加入者アクセス系、光インターコネクションへの適用に向けた技術検討を進めております。

⑤データセンターの低消費電力化や高速化を実現する光インターコネクション分野では、アクティブオプティカルケーブル(AOC)搭載用に開発した小型低消費電力光エンジンについて、次期規格である伝送速度28Gbpsでの製品化に向けた評価を引き続き行っております。また、機器内ボードを接続する高密度光配線用接続部材の開発を進め、ユーザーにおいてサンプル評価を継続して実施しております。

⑥開発したピーク光出力6kWのファイバレーザ発振機を用いて、加工試験実施による製品技術検討とアプリケーション開発を行うと共に、ユーザーにおける加工評価を進めております。

 

 以上、当該事業に係る研究開発費は7,344百万円であります

 

(2)エネルギー・産業機材部門

①内閣府が推進する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の課題の一つである革新的構造材料推進委員会に参画し、セルロースナノファイバー(CNF)強化樹脂の高効率製造法の開発を継続して進めております。

②イットリウム系(Y系)高温超電導電力ケーブルについては、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託プロジェクト「次世代送電システムの安全性・信頼性に係る実証研究」に参画し、ケーブルを破壊した時の周囲の環境影響について、評価と検討を行っております。

③Y系超電導薄膜を応用した超電導応用機器については、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の委託プロジェクト「未来医療を実現する医療機器・システム研究開発事業」に参画しており、高磁場特性に優れたY系超電導線材を活用し、超電導MRI装置などに用いられる高安定磁場コイルシステム基盤技術の研究開発を進めております。

④NEDOの助成プロジェクト「安全・低コスト大規模蓄電システム技術開発」にて公益財団法人鉄道総合技術研究所と共同で開発したフライホイール用高温超電導軸受を、回転運動と電力の相互変換により電力の貯蔵を可能とするフライホイール蓄電システムに組み込んだうえで、大規模太陽光発電所と電力系統に連係させる実証試験を開始しております。

⑤経済産業省の委託事業「浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業」に受託コンソーシアムの一員として参画し、浮体式設備の動きや波・潮流に追従して水中で浮遊する浮体式風力発電用ライザーケーブルの開発を担当しております。平成27年に、7MW用風車の2期工事に向けて、22kVの大容量ライザーケーブルの施工を完了いたしました。

 

 以上、当該事業に係る研究開発費は1,617百万円であります。

 

(3)電装・エレクトロニクス部門

①アルミ電線を使用したワイヤハーネスについては、車両軽量化の要請を背景とした更なる適用部位拡大に向け、高強度アルミ電線の開発や防食端子などの関連技術開発を継続して進めております。

②自動車用バッテリーセンサーについては、バッテリー電力を管理することにより自動車のエネルギー利用効率化への貢献が期待されており、拡販および受注活動とともに、高機能化に向けた開発を進めております。また、今後予測される車載電子機器の増加・電動化に対して、電源品質を維持する電源マネージメントシステムに関連した製品の開発を継続して実施しております。

③先進運転支援システム(ADAS)を支える計測技術として、パルス方式により人・複数物標などの対象物を正確に認識可能な24GHz帯周辺監視レーダを開発しております。国内唯一のメーカーとなるべく、プロジェクトチームを発足させ、開発を加速しております。

④ヒートパイプ技術を活用した熱マネジメント(均熱・放熱)技術システムについては、HEV(ハイブリッド電気自動車)など次世代自動車への搭載に向けて、リチウムイオンバッテリーやインバータなどの発熱量の増大に対応するべく開発を継続して進めております。

⑤産業用・車載用モーターに使用される巻線については高効率化を、スマートフォンをはじめとする電子部品分野で使用される高機能巻線については省スペース化を志向した研究開発を行っております。

⑥非接触の電力給電方法として期待される、電界方式のワイヤレス給電システムの開発を継続して進めております。

⑦GaN(窒化ガリウム)パワーデバイスは、出資を行った同製品市場の有力事業者であるTransphorm, Inc.(米国)との相互連携を図り、継続して両社のGaNパワーデバイス応用製品群の強化、育成を進めております。

⑧NEDOの「低炭素社会を実現する炭素材料実用化プロジェクト」助成事業にて採択された、カーボンナノチューブを用いた超軽量電線の開発を進めております。

⑨研究開発の効率化のため、シミュレーション技術等の有効活用を推進しております。ワイヤハーネス開発においては構造シミュレーション、電子機器の開発においては振動・熱流体シミュレーション、レーダ開発においては電磁界シミュレーションを活用したほか、アルゴリズム構築の際にモデルベース開発などを行い、試作回数・費用の削減や設計の最適化を引き続き行っております。

 

 以上、当該事業に係る研究開発費は4,263百万円であります。

 

(4)金属部門

①自動車の次期ワイヤハーネス向けに高強度アルミ電線を開発し、顧客提案および製品化を進めております。

②銅ナノ粒子を用いたエレクトロニクス向け接合・配線材料の開発を引き続き行い、顧客によるサンプル評価を進めております。

③リチウムイオン電池用電解銅箔について、顧客の要求特性を満たすための銅箔設計指針を構築し、これを活用した設計を行っております。

 

 以上、当該事業に係る研究開発費は1,157百万円であります

 

(5)新事業分野に関するもの等(サービス・開発等部門)

主に新事業分野に関するものであります。

米国研究子会社SuperPower Inc.において、Y系高温超電導線材の研究開発を行い、特に超高磁場超電導マグネット開発に貢献しております。同社の超電導線材は、米国フロリダ州タラハシーの国立高磁場研究所(NHMFL)で開発の超電導試験マグネットシステムの世界最高磁場(27T)を達成したほか、当社参加の公益財団法人鉄道総合技術研究所のプロジェクトにおいて世界最大の超電導フライホイール電力貯蔵システム開発に使用されました。

 

 以上、当該事業に係る研究開発費は2,462百万円であります。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態の分析

総資産は、前連結会計年度末に比べ284億円減少して7,057億円となりました。流動資産は、前連結会計年度末比48億円減少3,640億円、固定資産は、前連結会計年度末比236億円減少3,417億円でした。現金及び預金が増加した一方、たな卸資産、投資有価証券が減少しました。

流動資産から流動負債を差し引いた運転資本は、前連結会計年度末に比べ170億円減少して647億円となりました。

有形・無形固定資産は、資本的支出で257億円の増加、減価償却で232億円の減少のほか、除売却による減少等により変動しております。

負債の部では、長期借入金、短期借入金、社債を合計した有利子負債が2,578億円と前連結会計年度末比で167億円の減少となりました。

純資産の部では、利益剰余金が70億円増加した一方、円高・株安等の影響により、その他有価証券評価差額金、為替換算調整勘定等が減少し、その他の包括利益累計額が246億円減少しました。自己資本比率は、前連結会計年度末比1.5ポイント低下して24.5%となりました。

なお、キャッシュ・フローの概況については、「1[業績等の概要]」に記載しております。

 

(2) 経営成績の分析

連結売上高は、前連結会計年度比0.8%増8,749億円、連結結営業利益は、前連結会計年度比51.7%増の271億円となりました。エネルギー・産業機材部門や金属部門では、銅地金価格の下落等により売上高が減少しましたが、情報通信部門で、北米における光ファイバ・ケーブルの需要が旺盛であったほか、電装・エレクトロニクス部門で、自動車用電池や放熱用部品などの販売が好調に推移しました。損益面では、自動車部品事業での円安による海外工場製造品の輸入コスト増がありましたが、金属部門において銅箔事業の構造改革を行うとともに、エネルギー・産業機材部門において半導体製造用テープなど安定した利益が見込める製品への注力を進めたことなどにより、総じて営業損益が改善しました。

営業外損益では、前連結会計年度比で為替差損益が20億円、持分法による投資損益が75億円悪化しました。この結果、連結経常利益は187億円前連結会計年度比同水準)となりました。

当連結会計年度の特別損益は、27億円の利益(純額)となりました。固定資産処分益、投資有価証券売却益等による特別利益を219億円計上した一方、損害賠償金、訴訟等損失引当金繰入額等による特別損失を192億円計上しました。

以上の結果、親会社に帰属する当期純利益は100億円前連結会計年度比36.1%増)となりました。

なお、セグメント別の概況は、「1[業績等の概要]」に記載しております。