第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度(平成28年4月1日から平成29年3月31日まで)の我が国経済は、景気は緩やかな回復が続きましたが、一部に改善の遅れもみられました。企業収益は、回復に向かいつつありますが、海外経済の動向などに注意を要する状況でした。

このような経済環境の下、当社グループは、『マーケティング経営』による古河ブランドの価値向上を目指し、顧客の立場に立って、市場で価値を認められる製品やサービスの提供に努めました。

当社グループの当期の連結業績は、売上高は、1,498億29百万円(対前期比119億69百万円減)、営業利益は、65億45百万円(対前期比14億43百万円減)となりました。売上高は、主として産業機械、ロックドリル、ユニックの機械3部門と金属部門で減収となり、営業利益は、産業機械部門、ロックドリル部門の減収により減益となりました。経常利益は、ヌサ・テンガラ・マイニング株式会社からの受取配当金17億56百万円を営業外収益に計上し、72億2百万円(対前期比9億74百万円増)となりました。特別損失に固定資産除売却損1億24百万円、減損損失1億1百万円、堆積場安定化工事引当金繰入額(鉱山の採掘残渣等の最終処分施設である堆積場の耐震性強化のための費用)2億76百万円ほかを計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、42億54百万円(対前期比8億2百万円減)となりました。

 

  セグメント別の業績は、次のとおりです。

 

〔産業機械〕

東京外環自動車道(外環道)工事向けベルトコンベヤについては、出来高に対応した売上を計上しましたが、陸前高田市向け高台移転工事での土砂の搬送は、平成27年9月中旬に完了しました。減収に加え、電気集じん装置の不具合対策等もあって、営業利益は減益となりました。産業機械部門の売上高は、140億41百万円(対前期比8億84百万円減)、営業利益は、1億4百万円(対前期比9億33百万円減)となりました。

 

〔ロックドリル〕

国内向けは、建設投資が堅調さを取り戻したこともあって、売上高は前期並みとなりました。海外向けは、ドリルジャンボの売上が伸びたものの、原油価格の低迷や景気の先行きに対する不透明感などを背景に、資源国を中心として建設需要は大幅に減退し、油圧ブレーカ、油圧クローラドリルの出荷は低調でした。ロックドリル部門の売上高は、269億79百万円(対前期比30億97百万円減)、営業利益は、8億97百万円(対前期比13億20百万円減)となりました。

 

〔ユニック〕

トラック搭載型クレーンの搭載対象となる平ボディー車の登録台数が伸び悩み、大手レンタルの需要減もあって、ユニッククレーンの出荷は減少しました。ユニック部門の売上高は、257億82百万円(対前期比14億46百万円減)、営業利益は、25億78百万円(対前期比48百万円減)となりました。

 

産業機械、ロックドリルおよびユニックの機械3部門合計の売上高は、668億3百万円(対前期比54億28百万円減)、営業利益は、35億80百万円(対前期比23億1百万円減)となりました。

 

〔金 属〕

電気銅の海外相場は、4月に4,880米ドル/トンでスタートし、6月には英国のEU離脱表明による急落、11月には米国大統領選挙の結果を受けた上昇があり、1月以降は、一時6,000米ドル/トン台に達しましたが、期末には5,849米ドル/トンとなりました。国内電気銅建値は、4月に59万円/トンで始まり、期末には69万円/トンとなりました。伸銅需要は、自動車、半導体向けが堅調に推移しましたが、電線需要は主力の建設向けが低迷気味でした。電気銅は、販売数量が91,294トン(対前期比3,033トン減)となり、円高の影響もあって減収となりました。金属部門の売上高は、678億53百万円(対前期比63億38百万円減)、営業利益は、17億38百万円(対前期比5億83百万円増)となりました。

 

〔電 子〕

主力の高純度金属ヒ素は、原発事故風評被害の影響で、いまだ苦戦が続いていますが、結晶製品、光学部品で増収となったほか、コイル製品の採算が改善しました。電子部門の売上高は、58億16百万円(対前期比3億38百万円増)、営業利益は、17百万円(前期は3億68百万円の損失)となりました。

 

化成品

亜酸化銅は、主要用途である船底塗料の需要が大きく減少したことにより、減収となりました。化成品部門の売上高は、52億98百万円(対前期比6億75百万円減)、営業利益は、1億14百万円(対前期比82百万円減)となりました。

 

〔不動産〕

主力ビルである室町古河三井ビルディング(商業施設名:COREDO室町2)は、順調に稼働しています。不動産部門の売上高は、30億74百万円(対前期比28百万円増)、営業利益は、12億65百万円(対前期比11百万円減)となりました。

 

〔その他〕

運輸業等を行っています。売上高は、9億83百万円(対前期比1億6百万円増)、営業損失は、1億26百万円(対前期比54百万円の損失増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、主として税金等調整前当期純利益の計上や利息および配当金の受取等により98億18百万円の純収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主として有形固定資産の取得による支出により35億85百万円の純支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済による支出等により50億30百万円の純支出となりました。この結果、現金および現金同等物の当期末残高は、対前期末比10億61百万円増の132億24百万円となりました。

 

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

産業機械

12,628

△9.9

ロックドリル

23,652

△14.4

ユニック

25,471

△7.2

金属

63,172

△7.5

電子

5,726

8.4

化成品

4,115

△12.9

その他

525

13.9

合計

135,293

△8.5

 (注)1.生産金額の算出方法は販売価格および製造原価によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.産業機械、ロックドリルおよびユニックの一部については外注生産を、また、金属は委託製錬を行っております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

 産業機械およびユニックの一部については受注生産を行っており、当連結会計年度における受注状況を示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前期比

(%)

受注残高

(百万円)

前期比

(%)

産業機械

11,266

△3.9

9,625

51.0

ユニック

3,137

18.6

1,085

55.0

合計

14,403

0.3

10,710

51.4

 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

産業機械

14,041

△5.9

ロックドリル

26,979

△10.3

ユニック

25,782

△5.3

金属

67,853

△8.5

電子

5,816

6.2

化成品

5,298

△11.3

不動産

3,074

0.9

その他

983

12.1

合計

149,829

△7.4

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

    2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

古河電気工業(株)

23,321

14.4

20,051

13.4

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「古河機械金属グループは、鉱山開発に始まり社会基盤を支えてきた技術を進化させ、常に挑戦する気概をもって社会に必要とされる企業であり続けます。」を経営理念としています。

この経営理念を実現するために、「運・鈍・根」の創業者精神を心に刻み、「変革・創造・共存」を行動指針として実践します。

『変革』… 未来に向けた意識改革により絶えざる自己革新を行う。

『創造』… 市場のニーズに対応し、信頼され、魅力あるモノづくりを目指す。

『共存』… 経営の透明性を高め、環境と調和した社会の発展に貢献する。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、創業150周年を迎える平成37年度(2025年度)に向けた古河機械金属グループの2025年ビジョン「FURUKAWA Power & Passion 150」において掲げた、連結営業利益150億円超の常態化を目指します。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、これまでに培った経験・技術を活かし、「Power」(力強さ・スピード)と「Passion」(熱意・情熱)をもって、下記の2025年ビジョン「FURUKAWA Power & Passion 150」の達成に邁進し、すべてのステークホルダーの皆様の期待に応え一層の信頼を獲得してまいります。

 

 

1. 2025年ビジョン「FURUKAWA Power & Passion 150」

『カテゴリートップ・オンリーワンを基軸として成長する企業グループの実現』

― 創業150周年を迎える2025年度に向けて、連結営業利益150億円超の常態化を目指します ―

 

2. 2025年ビジョン達成のための方針

(1)『マーケティング経営』による古河ブランドの価値向上

 ① 市場ニーズに合致した製品・技術の開発

 ② 顧客ニーズを捉えた技術営業力(提案型・ソリューション型)の強化

 ③ 強みを活かせるニッチ製品への集中と差別化戦略によるカテゴリートップ化の推進

 ④ 新たな市場・カテゴリーの開拓・創造と新たなビジネスモデルの構築

※ 『マーケティング経営』とは、マーケティングを経営の根幹に据え、激変する市場の中で価値を認められる製品やサービスを提供し、顧客との絆を深めることにより、持続的に成長し企業価値を高めたいとの思いを込めた造語です。

 

(2)機械事業の持続的拡大

 ① インフラ関連・資源開発等を中心に拡大する海外市場における収益基盤の強化

 ② ストックビジネスの拡充・強化

 ③ グループ総合力の発揮、エンジニアリング力の強化によるビジネスチャンスの拡大

 

(3)人材基盤の拡充・強化

 ① 新しい古河の活力あふれる人づくり・風土づくり

 ② 国内外の多様な人材の確保・活用・育成

 ③ 営業・サービス人材の重点強化

 

(4)企業価値向上に資する投資等の積極的推進

 ① 成長に必要な設備投資の積極的実施

 ② 戦略的なM&A、アライアンスによる事業拡大

 

(5)経営基盤の整備

 ① 二桁台のROEを意識した収益性・資本効率の改善による企業価値の向上

 ② 堅固な財務基盤の確立

 ③ 成長投資と株主還元へのバランスのとれた配分

 

 

(4)中期的な会社の経営戦略

当社グループは、2025年ビジョンを具現化していくための第1フェーズとして、平成29年度(2017年度)から平成31年度(2019年度)の3年間を対象とした『中期経営計画2019』を策定いたしました。

『中期経営計画2019』は、「新たな成長の礎を構築」する位置づけです。最終年度である平成31年度(2019年度)に、マイルストーンとして連結営業利益85億円程度、ROE6%~7%程度とする経営指標を設定しており、以下の経営方針により達成に向け邁進していきます。

 

古河ブランドの価値向上を目指して、当社グループ内において『マーケティング経営』を浸透させていきます。更に、機械事業をコア事業と位置づけ、「機械事業の持続的拡大」に取り組むとともに、「人材基盤の拡充・強化」、「企業価値向上に資する投資等の積極的推進」、「経営基盤の整備」を行っていきます。

また、『中期経営計画2019』の推進を図るべく、執行体制・責任体制を確立するとともに、「業務改革推進室」を新設し、業務の標準化・効率化、生産性向上、業務プロセスの再構築等に取り組みます。更に、コア事業と位置づける機械事業の海外戦略、ストックビジネス、M&Aについては、専任チーム等にて推進していきます。

 

(5) 会社の対処すべき課題

当社グループは、『マーケティング経営』による古河ブランドの価値向上等により、『カテゴリートップ・オンリーワンを基軸として成長する企業グループの実現』を目指し、収益体質強化の仕組みづくりに継続して取り組みます。

機械3部門では、整備新幹線、リニア中央新幹線、国土強靭化計画、地方創生、更には東京オリンピックと続く国内需要が堅調に推移する期間を好機と捉え、インフラ整備・資源開発等を中心に拡大する海外市場における収益基盤の強化を図ります。

産業機械部門では、ポンプや産業機器については、ストックビジネスの拡充と攻めの提案営業によりサービス事業の強化を図り、鋼構造物については、鋼製セグメントと東北復興道路案件に係る橋梁の受注獲得に努めます。また、受注済みの大型案件に関し、安全確保と原価管理を徹底し、収益確保を図ります。

ロックドリル部門では、国内については、防災対応や大都市圏を中心とした再開発など堅調な建設需要に対し油圧ブレーカ、油圧圧砕機の製品ラインアップを強化するとともに、オフロード法による2014年排出ガス規制に対応した油圧クローラドリルを本格的に市場投入し、拡販を図ります。また、進捗する整備新幹線、リニア中央新幹線工事には、サービス体制を強化し、トンネルドリルジャンボの確実な受注を目指します。海外については、中近東や欧州などでの景気の先行きに対する不透明感が払拭されないなか、インフラ需要が旺盛な東南アジア、インド、更には、老朽化インフラへの投資が期待される米国向けを中心に油圧クローラドリル、油圧ブレーカを積極的に販売します。また、引き続きトンネル用および鉱山用ドリルジャンボの販売展開を促進していきます。

ユニック部門では、ユニッククレーンについては、モデルチェンジ機の拡販や、ミニ・クローラクレーン、船舶用クレーン、林業用クレーンの拡販を目指します。海外向けについては、欧米、東南アジアを中心に売上台数の確保を目指します。また、日本、中国、タイの三極生産体制による最適生産の方針に基づき、マザー工場である佐倉工場では、引き続き積極的な設備投資を行い、世界各地域の需要に対応した機種の最適なコストと高い品質による生産を推進します。

金属部門では、採算を重視した最適生産・販売体制を確立し、収益体質の向上を図ります。

電子部門では、コイル製品の生産拠点を見直し、安定した生産と品質向上を図るとともに、窒化アルミや光学部品の商品力を強化して収益構造の改善を目指します。

化成品部門では、工場の安定操業に努め、銅関連製品の拡充・育成を図ります。

不動産部門では、室町古河三井ビルディング(商業施設名:COREDO室町2)の安定収益を確保しつつ、当社グループが保有する他の不動産の有効活用を図ります。

開発体制については、機械、素材の分野を超えた柔軟な発想で開発効率、開発スピードを高めるとともに、新製品開発の活性化を目指して、各事業部門と開発本部が一体となり推進していきます。

 

(注)文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 

4【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 

(1)為替の変動について

当社グループは国内外において生産活動および販売活動を行っており、製品の輸出、銅鉱石を中心とする原材料の輸入および製錬加工料収入について為替変動の影響を受けます。このため、為替予約取引等を利用してリスクの軽減を図ってはおりますが、為替の変動が当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2)非鉄金属市況の変動について

当社グループの主製品の一つである電気銅等非鉄金属の価格は、国際市況を反映したLME(London Metal Exchange:ロンドン金属取引所)で決定されたUSドル建ての国際価格であり、国際的な需給バランス、投機的取引、国際政治経済情勢などにより変動します。当社グループは、先物取引を利用したヘッジ等によりLME価格の変動による影響を最小限とすることを図っておりますが、LME価格の変動が当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

また、当社グループは銅精鉱調達のため海外鉱山に出資を行っておりますが、LME価格の変動は出資先の銅鉱山の経営成績および財政状態に影響を与え、その影響が当社グループにも及ぶ可能性があります。

 

(3)金利について

当連結会計年度末における当社グループの借入金の連結貸借対照表計上額は735億7百万円と、総資産の35.3%を占めております。金利の変動による負債コストの増加は、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4)投資有価証券および土地について

当社グループは、過去の歴史上の経緯から、その他有価証券で時価のあるものおよび土地を比較的多く保有しており、その当連結会計年度末の連結貸借対照表計上額は、その他有価証券で時価のあるものが305億87百万円、土地が549億87百万円となっております。従って、株価や地価の変動によっては減損損失、評価損または売却損が発生し、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5)退職給付債務について

当社グループは、従業員の退職給付に備えるため、確定給付企業年金制度および退職一時金制度を設けており、年度末における退職給付債務および年金資産に基づき退職給付に係る負債を計上しております。従って、退職給付債務等の計算の基礎として採用した割引率、期待運用収益率等の前提条件と実際の結果に差異が生じた場合、または前提条件が変更された場合に、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(6)地震等自然災害について

地震等の自然災害や大規模火災等の事故により当社グループの生産拠点や調達先が重大な被害を被り、生産設備が損壊し、または物流網に障害が発生する等の事態が生じた場合、製品の安定的な供給ができなくなり、当社グループの経営成績および財政状況に影響を与える可能性があります。

 

(7)環境保全について

当社グループは、国内外の各事業所において、関連法令に基づき環境保全および環境安全対策ならびに公害防止に努め、また、国内休鉱山において坑廃水による水質汚濁防止や堆積場の保安等の鉱害防止に努めておりますが、法令の改正等によっては当社グループの経営成績および財政状況に影響を与える可能性があります。

 

(8)公的規制について

当社グループは、国内外において事業を展開していることから、許認可、租税、環境、労務、独占禁止、安全保障等に関する各国の法規制を受けております。当社グループはこれらの公的規制の遵守に努めておりますが、コストの増加や事業の継続に影響を及ぼすような公的規制の制定や改廃等が行われた場合、当社グループの経営成績および財政状況に影響を与える可能性があります。

 

(9)カントリーリスクについて

当社グループは、販売網の拡大やコスト競争力の強化、為替リスク低減等のために、グローバルに生産、調達および販売活動を行っております。現地における政情不安、急激な経済の減速、貿易制裁、文化や法制度の相違、特殊な労使関係、テロ等の要因により問題が生じた場合、事業の円滑な遂行に支障が生じ、当社グループの経営成績および財政状況に影響を与える可能性があります。

 

なお、上記中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成29年6月29日)現在において当社グループが判断したものです。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、多岐にわたる市場ニーズに適った新素材、高付加価値製品の研究開発を積極的に推進しております。
 当連結会計年度における研究開発は、産業機械、ロックドリル、ユニック、電子、化成品部門を中心に行っております。

 当連結会計年度の研究開発費は、24億64百万円です。

 

(1)産業機械部門

 産業機械部門では、大深度工事向けベルトコンベヤ等の開発を行っております。

 産業機械部門の当連結会計年度の研究開発費は2億50百万円です。

 

(2)ロックドリル部門

 ロックドリル部門では、油圧ブレーカのモデルチェンジのほか、油圧圧砕機の開発を行っております。また、新型高出力油圧ドリフタを搭載した油圧クローラドリルやトンネルドリルジャンボ等の開発も行っております。

 ロックドリル部門の当連結会計年度の研究開発費は8億81百万円です。

 

(3)ユニック部門

 ユニック部門では、ユニッククレーンおよびミニ・クローラクレーンの開発を行っております。

 ユニック部門の当連結会計年度の研究開発費は3億95百万円です。

 

(4)電子部門

 電子部門では、窒化ガリウム(GaN)基板の開発を継続して行っております。また、レーザー加工用光学部品等の開発を行っております。

 電子部門の当連結会計年度の研究開発費は7億40百万円です。

 

(5)化成品部門

 化成品部門では、導電性ペースト用銅粉末や抗菌用銅酸化物等の開発を行っております。

 化成品部門の当連結会計年度の研究開発費は1億94百万円です。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、会計上の判断・見積りの度合いが高いものとして以下のものがあります。

①貸倒引当金

国内子会社は、一般債権については、営業債権と営業外債権に区分し、過去3年の平均貸倒実績率により、また、貸倒懸念債権等特定の債権については、財務内容評価法により個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。海外子会社は各社毎に回収不能見込額を計上しております。

②退職給付に係る負債

退職給付債務および退職給付費用を計算するにあたっては、割引率、期待運用収益率等の前提条件を使用しておりますが、これらは当社グループの状況からみて適切なものであると考えております。

③たな卸資産の評価

期末における正味売却価額が取得原価より下落している場合には、当該正味売却価額で評価しております。また、不良品、長期滞留品、陳腐化品等は正味売却価額で評価しております。

④時価が著しく下落した有価証券の減損処理

時価のある有価証券について、時価が取得原価を50%以上下回った場合、ないしは時価が取得原価を30%以上50%未満の範囲で下回っており、かつ過去の時価の趨勢から回復可能性がないものと判断される場合に、時価が著しく下落したものとして取り扱っております。

⑤繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産については、将来の課税所得の十分性やタックスプランニングについて十分に検討のうえ、将来の税金負担を軽減させる効果を有する将来減算一時差異等についてのみ、繰延税金資産を計上しております。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

①売上高

当連結会計年度の売上高は、対前期比119億69百万円(7.4%)減少し、1,498億29百万円となりました。減収の要因は、主に以下のとおりです。金属部門では、円高などにより63億38百万円(8.5%)の減収となりました。ロックドリル部門では、海外向けが、トンネルドリルジャンボの売上が伸びたものの、原油価格の低迷や景気の先行きに対する不透明感などを背景に、資源国を中心として建設需要は大幅に減退し、油圧ブレーカ、油圧クローラドリルの出荷が低調だったことから、30億97百万円(10.3%)の減収となりました。ユニック部門では、トラック搭載型クレーンの搭載対象となる平ボディー車の登録台数が伸び悩み、大手レンタルの需要減もあって、ユニッククレーンの出荷が減少し、14億46百万円(5.3%)の減収となりました。産業機械部門では、東京外環自動車道(外環道)工事向けベルトコンベヤについては、出来高に対応した売上を計上しましたが、陸前高田市向け高台移転工事での土砂の搬送は、平成27年9月中旬に完了したことにより、8億84百万円(5.9%)の減収となりました。

②売上原価、販売費及び一般管理費

当連結会計年度の売上原価は、対前期比102億40百万円減少し、1,262億7百万円となりました。売上原価率は0.1ポイント低下し、84.2%となりました。販売費及び一般管理費は、2億86百万円減少し、170億76百万円となりました。

③営業利益

当連結会計年度の営業利益は、対前期比14億43百万円減少し、65億45百万円となりました。ロックドリル部門では、8億97百万円の利益(対前期比13億20百万円減)、産業機械部門では、1億4百万円の利益(対前期比9億33百万円減)と、減収を主因として対前期減益となったため、連結営業利益が減益となりました。

④営業外収益・営業外費用

当連結会計年度の営業外収益は、ヌサ・テンガラ・マイニング株式会社からの受取配当金17億56百万円を計上したため、対前期比16億68百万円増加し27億46百万円、営業外費用は、対前期比7億48百万円減少し20億89百万円となりました。

⑤特別利益・特別損失

当連結会計年度の特別利益には、固定資産売却益17百万円ほかを計上し、特別損失には、固定資産除売却損1億24百万円、減損損失1億1百万円、堆積場安定化工事引当金繰入額(鉱山の採掘残渣等の最終処分施設である堆積場の耐震性強化のための費用)2億76百万円ほかを計上しました。

⑥法人税等、非支配株主に帰属する当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合計した税金費用は22億97百万円となり、非支配株主に帰属する当期純利益1億59百万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は42億54百万円(対前期比8億2百万円減)となりました。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

産業機械製品は、主に民間設備投資と公共投資の動向に影響を受けます。ロックドリル製品は、国内では民間設備投資と公共投資の動向、海外では出荷先各国の景気動向の影響を受けます。ユニッククレーンは、トラックの国内需要動向の影響を受けます。

銅をはじめとする金属部門は、原料銅鉱石、地金製品ともに国際市況動向の影響を受け、製錬採算は、鉱石買鉱条件の影響を受けます。電子部門は、半導体市場の動向に影響を受けます。

なお、事業等のリスクについては「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」を参照願います。

 

(4)資本の財源および資金の流動性についての分析

①財政状態

当連結会計年度末の総資産は、対前期末比123億84百万円増の2,080億34百万円となりました。これは主として、上場株式の株価上昇等による投資有価証券の増加によるものです。有利子負債(借入金)は、対前期末比27億33百万円減の735億7百万円となり、支払手形及び買掛金等の増加等によって、負債合計は対前期末比10億63百万円増の1,284億50百万円となりました。純資産は、対前期末比113億21百万円増の795億84百万円となり、自己資本比率は、対前期末比3.3ポイント上昇し37.3%となりました。

②キャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、主として税金等調整前当期純利益の計上や利息及び配当金の受取等により98億18百万円の純収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主として有形固定資産の取得による支出により35億85百万円の純支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済による支出等により50億30百万円の純支出となりました。この結果、現金及び現金同等物の当期末残高は、対前期末比10億61百万円増の132億24百万円となりました。