(1)業績
当連結会計年度(平成27年4月1日から平成28年3月31日まで)の我が国経済は、政府・日銀による財政・金融政策を背景に、企業収益に改善がみられるなど、景気は緩やかな回復基調が続いていましたが、当連結会計年度の後半から一部に弱さがみられるようになり、また、中国をはじめとするアジア新興国や資源国等の景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクには注意を要する状況でした。
このような経済環境の下、当社グループは市場ニーズに合致した、積極的、効率的な経営を展開しました。
当社グループの当連結会計年度の連結業績は、売上高は、1,617億99百万円(対前期比107億44百万円減)、営業利益は、79億88百万円(対前期比9億36百万円減)となりました。売上高は、主として金属部門、産業機械部門、ユニック部門で減収となり、営業利益は、ロックドリル部門、不動産部門では増益となりましたが、主としてユニック部門、産業機械部門、電子部門で減益となりました。経常利益は、62億27百万円(対前期比3億75百万円減)となりました。特別利益に、固定資産売却益3億9百万円、受取補償金3億91百万円ほか、特別損失に減損損失2億6百万円ほかを計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、50億56百万円(対前期比47億37百万円減)となりました。なお、前期には、連結子会社に対する債権放棄に伴う税金費用の軽減がありました。
セグメント別の業績は、次のとおりです。
〔産業機械〕
ポンプ製品は好調でしたが、一般産業機械、官需向け橋梁、東日本大震災の被災地における高台移転工事(土砂の搬送は、平成27年9月中旬で完了しました。)については、減収となりました。産業機械部門の売上高は、149億26百万円(対前期比17億86百万円減)、営業利益は、10億37百万円(対前期比6億73百万円減)となりました。
〔ロックドリル〕
国内向けは、建設機械需要の急激な減速や解体工事の減少により、油圧ブレーカ、圧砕機は売上を伸ばすことができませんでしたが、東北復興工事がピークを迎えていることにより、トンネルドリルジャンボ関連の売上は順調に推移しました。海外向けは、油圧ブレーカについては、北米、欧州で、油圧クローラドリルについては、中近東、アフリカ、東南アジアを中心に好調でした。ロックドリル部門の売上高は、300億76百万円(対前期比8億33百万円減)と減収となりましたが、海外向けの採算が向上し、営業利益は、22億17百万円(対前期比9億91百万円増)となりました。
〔ユニック〕
ミニ・クローラクレーンや船舶架装用クレーンについては、出荷を伸ばすことができました。一方、主要製品であるユニッククレーンについては、搭載する普通トラックの登録台数は順調に推移しましたが、クレーンの需要は軟調となり、出荷台数が伸び悩みました。ユニック部門の売上高は、272億29百万円(対前期比11億37百万円減)、営業利益は、26億27百万円(対前期比9億87百万円減)となりました。
産業機械、ロックドリルおよびユニックの機械3部門合計の売上高は、722億32百万円(対前期比37億58百万円減)、営業利益は、58億82百万円(対前期比6億69百万円減)となりました。
〔金 属〕
電気銅の海外相場は、4月に6,019.5米ドル/トンでスタートした後、ギリシャ債務問題の協議決裂や世界的な株価低迷を背景に下落し、5,000米ドル/トン台で推移しました。年末にかけて中国経済減速が鮮明となり、1月には、平成21年5月以来の安値となる4,300米ドル/トン台まで下落し、期末には4,885.5米ドル/トンとなりました。国内電気銅建値は、4月に77万円/トンで始まり、期末には61万円/トンとなりました。伸銅需要は、自動車、住宅、家電向けが軟調に推移し、電線需要も総じて低調で、また、海外相場の下落もあって、電気銅の売上高は大きく減少しました。金属部門の売上高は、741億92百万円(対前期比73億20百万円減)、営業利益は、11億54百万円(対前期比2億94百万円減)となりました。
〔電 子〕
主力の高純度金属ヒ素は、原発事故風評被害の影響で、未だ苦戦が続き、結晶製品の売上も低迷しました。コイル製品については、増収となりましたが、採算は大幅に悪化しました。電子部門の売上高は、54億77百万円(対前期比2億65百万円減)、営業損失は、3億68百万円(前期は52百万円の利益)となりました。
〔化成品〕
亜酸化銅については、主要用途である船底塗料の国内需要が好調で、出荷を伸ばすことができましたが、酸化チタンの出荷は低調でした。化成品部門の売上高は、59億73百万円(対前期比40百万円減)、営業利益は、1億97百万円(対前期比70百万円減)となりました。
〔不動産〕
平成26年2月に竣工した室町古河三井ビルディング(商業施設名:COREDO室町2)の賃貸事業が本格稼働となりました。不動産部門の売上高は、30億45百万円(対前期比5億10百万円増)、営業利益は、12億76百万円(対前期比5億円増)となりました。
〔その他〕
運輸業等を行っています。売上高は、8億76百万円(対前期比1億29百万円増)、営業損失は、72百万円(対前期比57百万円の損失減)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、主として税金等調整前当期純利益の計上や仕入債務の増加等により76億52百万円の純収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主として有形固定資産の取得による支出により28億55百万円の純支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出等により81億66百万円の純支出となりました。この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、対前期末比35億52百万円減の121億63百万円となりました。
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
産業機械 |
14,016 |
△12.4 |
ロックドリル |
27,641 |
△4.0 |
ユニック |
27,451 |
△4.8 |
金属 |
68,321 |
△9.1 |
電子 |
5,281 |
△9.6 |
化成品 |
4,725 |
8.7 |
その他 |
461 |
19.3 |
合計 |
147,899 |
△7.2 |
(注)1.生産金額の算出方法は販売価格及び製造原価によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.産業機械、ロックドリル及びユニックの一部については外注生産を、また、金属は委託製錬を行っております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 受注状況
産業機械及びユニックの一部については受注生産を行っており、当連結会計年度における受注状況を示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前期比 (%) |
産業機械 |
11,718 |
28.9 |
6,372 |
64.8 |
ユニック |
2,645 |
△0.8 |
700 |
1.3 |
合計 |
14,363 |
19.2 |
7,072 |
55.2 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
産業機械 |
14,926 |
△10.7 |
ロックドリル |
30,076 |
△2.7 |
ユニック |
27,229 |
△4.0 |
金属 |
74,192 |
△9.0 |
電子 |
5,477 |
△4.6 |
化成品 |
5,973 |
△0.7 |
不動産 |
3,045 |
20.1 |
その他 |
876 |
17.4 |
合計 |
161,799 |
△6.2 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
古河電気工業(株) |
28,835 |
16.7 |
23,321 |
14.4 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
[事業戦略]
当社グループは、『マーケティング経営』による古河ブランドの価値向上等により、『カテゴリートップ・オンリーワンを基軸として成長する企業グループの実現』を目指し、収益体質強化の仕組みづくりに継続して取り組んでまいります。
機械3部門では、整備新幹線、リニア中央新幹線、国土強靭化計画、地方創生、更には東京オリンピックと続く国内需要が堅調に推移するうちに、インフラ整備・資源開発等を中心に拡大する海外市場における収益基盤の強化を図ります。
産業機械部門では、東日本大震災の被災地における高台移転工事で高い評価を受けた、当社グループの保有する長距離ベルトコンベアによる搬送技術や大型破砕設備等による破砕技術を最大限に活用し、営業展開を強化してまいります。また、今後の防災、老朽化した橋梁をはじめとするインフラ更新など、様々な建設プロジェクト需要の取り込みに注力する一方、国内市場でのシェア向上とアジアへの海外進出を目指し、将来にわたって収益基盤となる事業を確立してまいります。
ロックドリル部門では、国内外で新型油圧ブレーカの機能性向上や製品ラインアップの拡充による販売強化と市場シェアの向上、ストックビジネスの拡充・強化に努めます。海外では、北米、欧州の先進国のほか、新興国ではアジア、中近東、中南米、南アフリカを中心にインフラ整備、資源開発向けに営業を展開するとともに、海外子会社等の連携・協働を進め、売上の確保を図ります。国内では、製品力、サービス力の充実により、整備新幹線、リニア中央新幹線のトンネル工事向けのトンネルドリルジャンボの受注に万全を期します。
ユニック部門では、ユニッククレーンについては、ジョイスティックラジコン等のユニックオンリー製品をユーザーにアピールすることで拡販を図るほか、ミニ・クローラクレーンや船舶用クレーン、林業用クレーンの拡販を目指します。また、日本、中国、タイの三極生産体制による最適生産の方針に基づき、世界各地域の需要に対応した機種の最適なコストと品質による生産を推進します。特に、昨年初、生産設備を増強したタイの工場については、世界戦略製品の生産拠点として、一層のコストダウンに努めます。また、佐倉工場についても、マザー工場としての役割を果たしていくため積極的な設備投資を行います。
金属部門では、海外鉱山について採算性を重視しながら投資案件を選別し、製錬事業を補完する体制の構築を目指します。
電子部門では、コイル製品について生産拠点の見直しを行い、コストダウンと品質向上により黒字転換を図ります。
化成品部門では、工場の安定操業に努め、銅関連製品の拡充・育成を図ってまいります。
不動産部門では、室町古河三井ビルディングの安定収益を確保しつつ、当社グループが保有する他の不動産の有効活用を図ってまいります。
開発部門では、機械、素材の分野を超えた柔軟な発想で開発効率、開発スピードを高めるとともに、新製品開発を活性化させてまいります。
[コーポレート・ガバナンス]
当社グループは、経営の透明性を高めること、企業構造の変革を継続して効率的な経営体制を構築すること、安定した利益を創出して企業価値を高めることおよび株主様をはじめとする利害関係者に貢献することをコーポレート・ガバナンスの基本方針としております。
この基本方針の下、コーポレート・ガバナンス体制の一層の整備を進めるとともに、東京証券取引所が定める「コーポレートガバナンス・コード」における各原則に対しても、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のため自律的に対応してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
(1)為替の変動について
当社グループは国内外において生産活動及び販売活動を行っており、製品の輸出、銅鉱石を中心とする原材料の輸入及び製錬加工料収入について為替変動の影響を受けます。このため、為替予約取引等を利用してリスクの軽減を図ってはおりますが、為替の変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(2)非鉄金属市況の変動について
当社グループの主製品の一つである電気銅等非鉄金属の価格は、国際市況を反映したLME(London Metal Exchange:ロンドン金属取引所)で決定されたUSドル建ての国際価格であり、国際的な需給バランス、投機的取引、国際政治経済情勢などにより変動します。当社グループは、先物取引を利用したヘッジ等によりLME価格の変動による影響を最小限とすることを図っておりますが、LME価格の変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは銅精鉱調達のため海外鉱山に出資を行っておりますが、LME価格の変動は出資先の銅鉱山の経営成績及び財政状態に影響を与え、その影響が当社グループにも及ぶ可能性があります。
(3)金利について
当連結会計年度末における当社グループの借入金の連結貸借対照表計上額は762億41百万円と、総資産の39.0%を占めております。金利の変動による負債コストの増加は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4)投資有価証券及び土地について
当社グループは、過去の歴史上の経緯から、その他有価証券で時価のあるもの及び土地を比較的多く保有しており、その当連結会計年度末の連結貸借対照表計上額は、その他有価証券で時価のあるものが216億20百万円、土地が551億29百万円となっております。従って、株価や地価の変動によっては減損損失、評価損または売却損が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5)退職給付債務について
当社グループは、従業員の退職給付に備えるため、確定給付企業年金制度及び退職一時金制度を設けており、年度末における退職給付債務及び年金資産に基づき退職給付に係る負債を計上しております。従って、退職給付債務等の計算の基礎として採用した割引率、期待運用収益率等の前提条件と実際の結果に差異が生じた場合、または前提条件が変更された場合に、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(6)地震等自然災害について
地震等の自然災害や大規模火災等の事故により当社グループの生産拠点や調達先が重大な被害を被り、生産設備が損壊し、または物流網に障害が発生する等の事態が生じた場合、製品の安定的な供給ができなくなり、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
(7)環境保全について
当社グループは、国内外の各事業所において、関連法令に基づき環境保全及び環境安全対策並びに公害防止に努め、また、国内休鉱山において坑廃水による水質汚濁防止や堆積場の保安等の鉱害防止に努めておりますが、法令の改正等によっては当社グループの経営成績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
(8)公的規制について
当社グループは、国内外において事業を展開していることから、許認可、租税、環境、労務、独占禁止、安全保障等に関する各国の法規制を受けております。当社グループはこれらの公的規制の遵守に努めておりますが、コストの増加や事業の継続に影響を及ぼすような公的規制の制定や改廃等が行われた場合、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
(9)カントリーリスクについて
当社グループは、販売網の拡大やコスト競争力の強化、為替リスク低減等のために、グローバルに生産、調達及び販売活動を行っております。現地における政情不安、急激な経済の減速、貿易制裁、文化や法制度の相違、特殊な労使関係、テロ等の要因により問題が生じた場合、事業の円滑な遂行に支障が生じ、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
なお、上記中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月29日)現在において当社グループが判断したものです。
該当事項はありません。
当社グループは、多岐にわたる市場ニーズに適った新素材、高付加価値製品の研究開発を積極的に推進しております。
当連結会計年度における研究開発は、産業機械、ロックドリル、ユニック、電子、化成品部門を中心に行っております。
当連結会計年度の研究開発費は、26億80百万円です。
(1)産業機械部門
産業機械部門では、高揚程スラリーポンプの開発を行っております。
産業機械部門の当連結会計年度の研究開発費は77百万円です。
(2)ロックドリル部門
ロックドリル部門では、超大型油圧ブレーカの開発のほか、各国排ガス規制の対応、油圧クローラドリルやトンネルドリルジャンボに搭載する高出力油圧ドリフタの開発等を行っております。
ロックドリル部門の当連結会計年度の研究開発費は8億11百万円です。
(3)ユニック部門
ユニック部門では、ユニッククレーンの開発及びミニ・クローラクレーンの機能拡充と排ガス規制の対応を行っております。
ユニック部門の当連結会計年度の研究開発費は3億50百万円です。
(4)電子部門
電子部門では、窒化ガリウム(GaN)基板の開発を継続して行っております。また、シンチレータ結晶の応用展開として、PEM装置(PET方式による乳がん診断装置)や放射線測定器の開発等を行っております。
電子部門の当連結会計年度の研究開発費は12億68百万円です。
(5)化成品部門
化成品部門では、導電ペースト用銅粉末や抗菌用銅酸化物の開発のほか、鉄系素材の開発を行っております。
化成品部門の当連結会計年度の研究開発費は1億72百万円です。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、会計上の判断・見積りの度合いが高いものとして以下のものがあります。
①貸倒引当金
国内子会社は、一般債権については、営業債権と営業外債権に区分し、過去3年の平均貸倒実績率により、また、貸倒懸念債権等特定の債権については、財務内容評価法により個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。海外子会社は各社毎に回収不能見込額を計上しております。
②退職給付に係る負債
退職給付債務及び退職給付費用を計算するにあたっては、割引率、期待運用収益率等の前提条件を使用しておりますが、これらは当社グループの状況からみて適切なものであると考えております。
③たな卸資産の評価
期末における正味売却価額が取得原価より下落している場合には、当該正味売却価額で評価しております。また、不良品、長期滞留品、陳腐化品等は正味売却価額で評価しております。
④時価が著しく下落した有価証券の減損処理
時価のある有価証券について、時価が取得原価を50%以上下回った場合、ないしは時価が取得原価を30%以上50%未満の範囲で下回っており、かつ過去の時価の趨勢から回復可能性がないものと判断される場合に、時価が著しく下落したものとして取り扱っております。
⑤繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産については、将来の課税所得の十分性やタックスプランニングについて十分に検討のうえ、将来の税金負担を軽減させる効果を有する将来減算一時差異等についてのみ、繰延税金資産を計上しております。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
①売上高
当連結会計年度の売上高は、対前期比107億44百万円(6.2%)減少し、1,617億99百万円となりました。減収の要因は、主に以下のとおりです。金属部門では、電気銅海外相場の下落を主因に73億20百万円(9.0%)の減収となりました。産業機械部門では、一般産業機械、官需向け橋梁が振るわず、東日本大震災の被災地における高台移転工事については、土砂の搬送が平成27年9月中旬で完了したため、17億86百万円(10.7%)の減収となりました。ユニック部門では、主要製品であるユニッククレーンの出荷が、軟調な需要を背景に伸び悩み、11億37百万円(4.0%)の減収となりました。
②売上原価、販売費及び一般管理費
当連結会計年度の売上原価は、対前期比102億10百万円減少し、1,364億47百万円となりました。売上原価率は0.7ポイント低下し、84.3%となりました。販売費及び一般管理費は、4億1百万円増加し、173億63百万円となりました。
③営業利益
当連結会計年度の営業利益は、対前期比9億36百万円減少し、79億88百万円となりました。ロックドリル部門では、海外向けの採算が向上し22億17百万円の利益(対前期9億91百万円増)、不動産部門では、室町古河三井ビルディングの賃貸事業が本格稼働となり、12億76百万円の利益(対前期5億円増)を計上しました。しかしながら、電子部門では、コイル製品の採算悪化を主因として3億68百万円の損失(前期は52百万円の利益)計上となったほか、ユニック部門では、26億27百万円の利益(対前期比9億87百万円減)、産業機械部門では、10億37百万円の利益(対前期比6億73百万円減)と、減収を主因として対前期比減益となったため、連結営業利益が減益となりました。
④営業外収益・営業外費用
当連結会計年度の営業外収益は、対前期比2億円減少し10億77百万円、営業外費用は、対前期比7億61百万円減少し28億38百万円となりました。
⑤特別利益・特別損失
当連結会計年度の特別利益には、固定資産売却益3億9百万円、受取補償金3億91百万円ほかを計上し、特別損失には、減損損失2億6百万円ほかを計上しました。
⑥法人税等、非支配株主に帰属する当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合計した税金費用は14億66百万円となり、非支配株主に帰属する当期純利益1億8百万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は50億56百万円(対前期比47億37百万円減)となりました。なお、前期には、連結子会社に対する債権放棄に伴う税金費用の軽減がありました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
産業機械製品は、主に民間設備投資と公共投資の動向に影響を受けます。ロックドリル製品は、国内では民間設備投資と公共投資の動向、海外では出荷先各国の景気動向の影響を受けます。ユニッククレーンは、トラックの国内需要動向の影響を受けます。
銅をはじめとする金属部門は、原料銅鉱石、地金製品ともに国際市況動向の影響を受け、製錬採算は、鉱石買鉱条件の影響を受けます。電子部門は、半導体市場の動向に影響を受けます。
なお、事業等のリスクについては「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」を参照願います。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①財政状態
当連結会計年度末の総資産は、対前期末比116億67百万円減の1,956億50百万円となりました。これは主として、上場株式の株価下落等による投資有価証券の減少によるものです。有利子負債(借入金)が、対前期末比58億12百万円減の762億41百万円となったことや、未払金の減少等により、負債合計は対前期末比93億48百万円減の1,273億87百万円となりました。純資産は、対前期末比23億19百万円減の682億62百万円となり、自己資本比率は、対前期末比0.8ポイント上昇し34.0%となりました。
②キャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、主として税金等調整前当期純利益の計上や仕入債務の増加等により76億52百万円の純収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主として有形固定資産の取得による支出により28億55百万円の純支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出等により81億66百万円の純支出となりました。この結果、現金及び現金同等物の当期連結会計年度末残高は、対前期末比35億52百万円減の121億63百万円となりました。
(5)戦略的現状と見通し及び今後の方針について
当社グループは、『マーケティング経営』による古河ブランドの価値向上等により、『カテゴリートップ・オンリーワンを基軸として成長する企業グループの実現』を目指し、収益体質強化の仕組みづくりに継続して取り組んでまいります。
機械3部門では、整備新幹線、リニア中央新幹線、国土強靭化計画、地方創生、更には東京オリンピックと続く国内需要が堅調に推移するうちに、インフラ整備・資源開発等を中心に拡大する海外市場における収益基盤の強化を図ります。
産業機械部門では、東日本大震災の被災地における高台移転工事で高い評価を受けた、当社グループの保有する長距離ベルトコンベアによる搬送技術や大型破砕設備等による破砕技術を最大限に活用し、営業展開を強化してまいります。また、今後の防災、老朽化した橋梁をはじめとするインフラ更新など、様々な建設プロジェクト需要の取り込みに注力する一方、国内市場でのシェア向上とアジアへの海外進出を目指し、将来にわたって収益基盤となる事業を確立してまいります。
ロックドリル部門では、国内外で新型油圧ブレーカの機能性向上や製品ラインアップの拡充による販売強化と市場シェアの向上、ストックビジネスの拡充・強化に努めます。海外では、北米、欧州の先進国のほか、新興国ではアジア、中近東、中南米、南アフリカを中心にインフラ整備、資源開発向けに営業を展開するとともに、海外子会社等の連携・協働を進め、売上の確保を図ります。国内では、製品力、サービス力の充実により、整備新幹線、リニア中央新幹線のトンネル工事向けのトンネルドリルジャンボの受注に万全を期します。
ユニック部門では、ユニッククレーンについては、ジョイスティックラジコン等のユニックオンリー製品をユーザーにアピールすることで拡販を図るほか、ミニ・クローラクレーンや船舶用クレーン、林業用クレーンの拡販を目指します。また、日本、中国、タイの三極生産体制による最適生産の方針に基づき、世界各地域の需要に対応した機種の最適なコストと品質による生産を推進します。特に、昨年初、生産設備を増強したタイの工場については、世界戦略製品の生産拠点として、一層のコストダウンに努めます。また、佐倉工場についても、マザー工場としての役割を果たしていくため積極的な設備投資を行います。
金属部門では、海外鉱山について採算性を重視しながら投資案件を選別し、製錬事業を補完する体制の構築を目指します。
電子部門では、コイル製品について生産拠点の見直しを行い、コストダウンと品質向上により黒字転換を図ります。
化成品部門では、工場の安定操業に努め、銅関連製品の拡充・育成を図ってまいります。
不動産部門では、室町古河三井ビルディングの安定収益を確保しつつ、当社グループが保有する他の不動産の有効活用を図ってまいります。
開発部門では、機械、素材の分野を超えた柔軟な発想で開発効率、開発スピードを高めるとともに、新製品開発を活性化させてまいります。
なお、上記中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月29日)現在において当社グループが判断したものです。