第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度の我が国経済は、個人消費などに弱さが見られましたが、企業収益が改善し、景気は緩やかな回復基調が続きました。しかしながら、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクには注意を要する状況が続きました。

このような経済環境の下、当社グループは市場のニーズを的確に捉え、海外展開の充実を図るなど積極的な経営を展開しました。

当社グループの当連結会計年度の連結業績は、売上高は、1,725億44百万円(対前期比95億18百万円増)、営業利益は、89億25百万円(対前期比20億39百万円増)となりました。売上高は、主にロックドリル部門、ユニック部門、金属部門、不動産部門で対前期比増収となりました。営業利益も、主にロックドリル部門、ユニック部門、不動産部門での増収により増益となりました。経常利益は、66億3百万円(対前期比4億52百万円増)となりました。特別利益には、受取補償金(原子力発電所事故による損害賠償金)8億19百万円、事業撤退完了に伴う利益(豪州の連結子会社であるポート・ケンブラ・カパーPty. Ltd.における事業撤退完了に伴う利益)6億44百万円、事業譲渡益(立体駐車装置のアフターサービス事業に係る譲渡益)5億29百万円ほかを計上しました。特別損失には、堆積場安定化工事引当金繰入額(鉱山の採掘残渣等の最終処分施設である堆積場の耐震性強化のための費用)24億8百万円ほかを計上しました。ポート・ケンブラ・カパー Pty. Ltd.事業の撤退完了に伴い、当社および連結子会社が保有していたポート・ケンブラ・カパーPty. Ltd.に対する債権を放棄したことなどにより税金費用が軽減し、法人税等調整額が50億17百万円の利益計上となり、当期純利益は、97億93百万円(対前期比58億16百万円増)となりました。

なお、当連結会計年度から、報告セグメントのうち、「開発機械」を「ロックドリル」に名称変更しています。当該変更は、セグメントの名称変更のみであり、セグメントの区分に変更はありません。

 

  セグメント別の業績は、次のとおりです。

 

〔産業機械〕

官需向けの橋梁は、2か年工期の大口物件があり、増収となりました。また、ポンププラントのほか、環境リサイクル、建設向け等を中心に破砕機等の一般産業機械も売上を伸ばすことができました。震災被災地における高台移転工事については、出来高に対応した売上を計上しました。産業機械部門の売上高は、167億12百万円(対前期比18億15百万円減)、営業利益は、17億11百万円(対前期比1億39百万円減)となりました。

 

〔ロックドリル〕

国内向けは、道路工事を中心とする公共工事の増加により油圧ブレーカが売上増となり、圧砕機についても、首都圏のオリンピック関連や都市再開発に伴う解体工事の増加により出荷は好調でした。油圧クローラドリルの出荷も、東北復興工事、首都圏インフラ整備、防災関連工事による砕石や骨材の増産に伴い好調でした。また、土木トンネル工事市場が非常な活況を呈していることから、トンネルドリルジャンボも出荷を伸ばすことができました。海外向けは、中近東向けに油圧ブレーカの新シリーズ製品の出荷が好調で、北米、アフリカ向けも油圧クローラドリルの出荷を伸ばすことができました。ロックドリル部門の売上高は、309億10百万円(対前期比40億68百万円増)、営業利益は、12億25百万円(対前期比8億84百万円増)となりました。

 

〔ユニック〕

国内普通トラックの登録台数は、堅調な公共投資と復興需要等により対前期比9.6%増となったことから、ユニッククレーンの出荷を伸ばすことができ、また、ユニックキャリアの出荷も好調でした。海外向けも従来の北米、欧州向けに加え、東南アジアへもインフラ整備用に売上を伸ばすことができました。ユニック部門の売上高は、283億67百万円(対前期比26億25百万円増)、営業利益は、36億14百万円(対前期比4億73百万円増)となりました。

 

産業機械、ロックドリルおよびユニックの機械3部門合計の売上高は、759億90百万円(対前期比48億78百万円増)、営業利益は、65億51百万円(対前期比12億17百万円増)となりました。

 

〔金 属〕

電気銅の海外相場は、4月に6,632米ドル/トンでスタートした後、米国の景気回復や中国の景気刺激策への期待感から7,000米ドル/トン前後で推移しましたが、9月に入り米ドル高の進行を受けて軟調となり、年末以降は原油価格下落、米ドル高、欧州債務危機懸念などで急落、1月下旬には本年度最安値の5,390.5米ドル/トンを付け、期末には6,050.5米ドル/トンとなりました。国内電気銅建値は、4月に73万円/トンで始まり、期末には78万円/トンとなりました。伸銅需要は、自動車、半導体向けともに好調に推移し、電線需要も、首都圏再開発や復興関連、メガソーラー向け等が引き続き堅調に推移しました。電気銅の販売量は、96,675トン(対前期比1,708トン増)となりました。電気銅海外相場は下落しましたが、数量増、円安を主因として増収となりました。金属部門の売上高は、815億13百万円(対前期比28億28百万円増)、営業利益は、14億49百万円(対前期比53百万円減)となりました。

 

〔電 子〕

主力の高純度金属ヒ素については、原発事故風評被害により未だ苦戦が続いていますが、コイルは車載向けに売上を伸ばすことができました。電子部門の売上高は、57億43百万円(対前期比3億62百万円増)、営業利益は、52百万円(前期は1億23百万円の損失)となりました。

 

化成品

ポリ硫酸第二鉄溶液等の売上は伸びましたが、酸化チタンの出荷は低調でした。化成品部門の売上高は、60億13百万円(対前期比82百万円減)、営業利益は、2億67百万円(対前期比48百万円減)となりました。

 

〔不動産〕

平成26年2月に竣工した室町古河三井ビルディング(商業施設名:COREDO室町2)の賃貸収入により収益を伸ばすことができました。不動産部門の売上高は、25億35百万円(対前期比15億22百万円増)、営業利益は、7億76百万円(前期は43百万円の損失)となりました。

 

〔その他〕

運輸業等を行っています。売上高は、7億47百万円(対前期比8百万円増)、営業損失は、1億30百万円(対前期比69百万円の損失増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、主として税金等調整前当期純利益の計上により102億41百万円の純収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主として有形固定資産の取得による支出により108億92百万円の純支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入による収入等により33億18百万円の純収入となりました。この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、対前期末比29億81百万円増の157億16百万円となりました。

 

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

産業機械

15,993

△5.4

ロックドリル

28,797

18.6

ユニック

28,842

10.4

金属

75,133

5.5

電子

5,846

13.8

化成品

4,347

6.0

その他

387

△4.9

合計

159,346

7.5

 (注)1.生産金額の算出方法は販売価格及び製造原価によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.産業機械、ロックドリル及びユニックの一部については外注生産を、また、金属は委託製錬を行っております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

 産業機械、ロックドリル及びユニックの一部については受注生産を行っており、当連結会計年度における受注状況を示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前期比

 (%)

受注残高

(百万円)

前期比

(%)

産業機械

9,090

△13.9

3,866

△38.5

ロックドリル

294

△45.3

△100.0

ユニック

2,665

△5.7

691

△10.4

合計

12,050

△13.5

4,557

△36.0

 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

産業機械

16,712

△9.8

ロックドリル

30,910

15.2

ユニック

28,367

10.2

金属

81,513

3.6

電子

5,743

6.7

化成品

6,013

△1.4

不動産

2,535

150.3

その他

747

1.1

合計

172,544

5.8

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

    2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

古河電気工業(株)

28,867

17.7

28,835

16.7

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3【対処すべき課題】

[事業戦略]

当社グループは、①機械事業の技術力強化と更なる海外展開の推進、②新製品の事業化に向けた開発の促進を事業戦略の基本方針とし、収益体質強化の仕組みづくりに継続して取り組んでまいります。

機械3部門につきましては、復興工事、整備新幹線、リニア中央新幹線、国土強靭化計画、更には東京オリンピックと続く国内需要が堅調に推移するうちに、大きな市場がある海外を中心に「資源」、「インフラ整備」をキーワードとして、将来に向かっての基盤を築いていきます。

産業機械部門では、当社グループが保有する長距離ベルトコンベアや大型破砕設備等に用いられている運搬技術、破砕技術が被災地における高台移転工事で高い評価を受けました。今後も、防災・インフラ更新などの旺盛な需要の取り込みに注力するとともに、将来にわたって事業を支える製品を早期に確立して、国内市場でのシェア向上と海外進出を目指します。ロックドリル部門では、国内外で新型油圧ブレーカの拡販に努めるとともに、海外では北米、欧州の先進国のほか、新興国ではアジア、中近東、中南米、南アフリカを中心にインフラ整備、鉱山開発向けに営業を展開していきます。鉱山関係では資源価格の低迷により苦境が続いていますが、営業を集中的に行い、売上の確保に努めます。また、国内では、整備新幹線、リニア中央新幹線のトンネル工事向けのトンネルドリルジャンボの受注に全力を注ぎます。ユニック部門では、ユニッククレーンのほかミニ・クローラクレーンや船舶用クレーン、林業用クレーンの拡販を目指します。また、日本、中国、タイの三極生産体制の下、世界各地域の需要に対応した機種を最適なコストと品質で生産する方針を推進し、特に生産設備を増強したタイの工場については、世界戦略製品の生産拠点としての役割を大いに発揮することにより、海外市場での拡販を図ります。ロックドリル部門およびユニック部門では、世界販売・サービス体制を更に強化し、価格、品質、納期で満足できる製品を供給することによりシェアの拡大を図ります。

金属部門では、海外鉱山について採算性を重視しながら投資案件を選別し、製錬事業を補完する体制の構築を目指します。

また、平成26年12月に研究開発体制を刷新し、機械、素材の分野を超えた柔軟な発想で開発効率、開発スピードを高めるとともに、新製品開発を活性化させてまいります。

当社グループは、メーカーとしてのこだわりを深め、「本格的なモノづくり、仕組みづくり」を追求し、収益力の向上と企業価値の増大を図ってまいります。

 

[コーポレート・ガバナンス]

当社グループは、経営の透明性を高めること、企業構造の変革を継続して効率的な経営体制を構築すること、安定した利益を創出して企業価値を高めることおよび株主様をはじめとする利害関係者に貢献することをコーポレート・ガバナンスの基本方針としております。

この基本方針の下、コーポレート・ガバナンス体制の一層の整備を進めるとともに、東京証券取引所が定める「コーポレートガバナンス・コード」における各原則に対しても、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のため自律的に対応してまいります。

 

4【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 

(1)為替及び非鉄金属市況の変動について

当社グループは、製品の輸出、銅鉱石を中心とする原材料の輸入及び製錬加工料収入について為替変動の影響を受けます。また、国際市況商品である非鉄金属たな卸資産については市況変動の影響を受けます。このため、為替予約取引及び商品先渡取引を利用してリスクの軽減を図ってはおりますが、為替及び非鉄金属市況の変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2)投資有価証券及び土地について

当社グループは、過去の歴史上の経緯から、その他有価証券で時価のあるもの及び土地を比較的多く保有しており、当期末の貸借対照表計上額は、その他有価証券で時価のあるものが283億76百万円、土地が553億円となっております。従って、株価や地価の変動によっては減損損失、評価損または売却損が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(3)退職給付債務について

当社グループは、従業員の退職給付に備えるため、確定給付企業年金制度及び退職一時金制度を設けており、年度末における退職給付債務及び年金資産に基づき退職給付に係る負債を計上しております。従って、退職給付債務等の計算の基礎として採用した割引率、期待運用収益率等の前提条件と実際の結果に差異が生じた場合、または前提条件が変更された場合に、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4)地震等自然災害について

地震等の自然災害によって製造拠点が損害を受ける可能性があり、操業中断、生産及び出荷遅延となった場合に、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5)環境保全について

当社グループは、国内外の各事業所において、関連法令に基づき、環境保全及び環境安全対策並びに公害防止に努め、また、国内休鉱山において、坑廃水による水質汚濁防止や堆積場の保安等の鉱害防止に努めておりますが、法令の改正等によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります

 

(6)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社は、今後の機動的な海外投資等投資資金の確保を目的として、平成22年12月20日開催の取締役会において、みずほ証券株式会社を割当予定先とする第三者割当による新株予約権の発行を行うことを決議し、平成23年1月5日に当該新株予約権を発行致しました。当該新株予約権が行使された場合、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 

なお、上記中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成27年6月26日)現在において当社グループが判断したものです。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、多岐にわたる市場ニーズに適った新素材、高付加価値製品の研究開発を積極的に推進しております。
 当連結会計年度における研究開発は、産業機械、ロックドリル、ユニック、電子、化成品部門を中心に行っております。

 当連結会計年度の研究開発費は、22億27百万円です。

 なお、当社は平成26年12月に研究開発体制を刷新し、機械と素材領域に分散していた体制から、より中核事業会社に密着し成果を上げられる体制に移行しました。具体的には、従来の技術研究所、素材総合研究所、半導体装置事業室を統合した「つくば総合開発センター」を新設し、分野を超えた柔軟な発想で開発効率、開発スピードを高めるとともに、新製品開発を活性化させていく方針です。

 

(1)産業機械部門

 産業機械部門では、耐食・耐摩耗用スラリーポンプや汚泥ポンプの開発のほか、海外向けの油圧コーンクラッシャ等の開発を行っております。

 産業機械部門の当連結会計年度の研究開発費は1億円です。

 

(2)ロックドリル部門

 ロックドリル部門では、海外向けの超大型油圧ブレーカの開発、国内向けの大型油圧圧砕機のマイナーチェンジを進めております。また、新型油圧ドリフタを搭載した油圧クローラドリルのシリーズ化や、リニア中央新幹線工事向けの新型トンネルドリルジャンボの開発を行っております。

 ロックドリル部門の当連結会計年度の研究開発費は7億73百万円です。

 

(3)ユニック部門

 ユニック部門では、ミニ・クローラクレーンの機能拡充と米国のエンジン排ガス規制への対応等を行っております。

 ユニック部門の当連結会計年度の研究開発費は3億4百万円です。

 

(4)電子部門

 電子部門では、窒化ガリウム(GaN)基板の開発を継続して行っております。また、シンチレータ結晶の応用展開として、PEM装置(PET方式による乳がん診断装置)や放射線測定器の開発のほか、高効率熱電変換素子等の開発を行っております。

 電子部門の当連結会計年度の研究開発費は9億52百万円です。

 

(5)化成品部門

 化成品部門では、LEDの高反射膜形成用ペーストや銅系素材の開発を行っております。

 化成品部門の当連結会計年度の研究開発費は96百万円です。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、会計上の判断・見積りの度合いが高いものとして以下のものがあります。

①貸倒引当金

国内子会社は、一般債権については、営業債権と営業外債権に区分し、過去3年の平均貸倒実績率により、また、貸倒懸念債権等特定の債権については、財務内容評価法により個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。海外子会社は各社毎に回収不能見込額を計上しております。

②退職給付に係る負債

退職給付債務及び退職給付費用を計算するにあたっては、割引率、期待運用収益率等の前提条件を使用しておりますが、これらは当社グループの状況からみて適切なものであると考えております。

③たな卸資産の評価

期末における正味売却価額が取得原価より下落している場合には、当該正味売却価額で評価しております。また、不良品、長期滞留品、陳腐化品等は正味売却価額で評価しております。

④時価が著しく下落した有価証券の減損処理

時価のある有価証券について、時価が取得原価を50%以上下回った場合、ないしは時価が取得原価を30%以上50%未満の範囲で下回っており、かつ過去の時価の趨勢から回復可能性がないものと判断される場合に、時価が著しく下落したものとして取り扱っております。

⑤繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産については、将来の課税所得の十分性やタックスプランニングについて十分に検討のうえ、将来の税金負担を軽減させる効果を有する将来減算一時差異等についてのみ、繰延税金資産を計上しております。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

①売上高

当連結会計年度の売上高は、対前期比95億18百万円(5.8%)増加し、1,725億44百万円となりました。これは、主として以下によるものです。ロックドリル部門では、国内の需要が旺盛で、海外向けも好調であったことから40億68百万円(15.2%)の増収となりました。ユニック部門では、堅調な公共投資と復興需要等による国内普通トラック登録台数の増加等を背景として26億25百万円(10.2%)の増収となりました。金属部門では、電気銅販売数量の増加、円安等を主因として28億28百万円(3.6%)の増収となりました。不動産部門では、平成26年2月に竣工した室町古河三井ビルディングの賃貸収入増により15億22百万円(150.3%)の増収となりました。

②売上原価、販売費及び一般管理費

当連結会計年度の売上原価は対前期比68億80百万円増加し1,466億57百万円となりました。売上原価率は0.7ポイント低下し85.0%となりました。販売費及び一般管理費は5億98百万円増加し169億61百万円となりました。

③営業利益

当連結会計年度の営業利益は対前期比20億39百万円増加し、89億25百万円となりました。これは主として増収等により、ロックドリル部門で12億25百万円の利益(対前期比8億84百万円増)、ユニック部門で36億14百万円の利益(対前期比4億73百万円増)、不動産部門で7億76百万円の利益(前期は43百万円の損失)を計上したことによるものです。

④営業外収益・営業外費用

当連結会計年度の営業外収益は対前期比2億95百万円減少し12億78百万円、営業外費用は対前期比12億90百万円増加し、36億円となりました。

⑤特別利益・特別損失

当連結会計年度の特別利益には受取補償金8億19百万円、事業撤退完了に伴う利益6億44百万円、事業譲渡益5億29百万円ほかを計上し、特別損失には堆積場安定化工事引当金繰入額24億8百万円ほかを計上いたしました。

⑥法人税等、少数株主利益、当期純利益

当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合計した税金費用は37億54百万円の減算となり、少数株主利益1億21百万円を計上し、当期純利益は97億93百万円(対前期比58億16百万円増)となりました。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

産業機械製品は、主に民間設備投資と公共投資の動向に影響を受けます。ロックドリル製品は、国内では民間設備投資と公共投資の動向、海外では出荷先各国の景気動向の影響を受けます。ユニッククレーンは、トラックの国内需要動向の影響を受けます。

銅をはじめとする金属部門は、原料銅鉱石、地金製品ともに国際市況動向の影響を受け、製錬採算は、鉱石買鉱条件の影響を受けます。電子部門は、半導体市場の動向に影響を受けます。

なお、事業等のリスクについては「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」を参照願います。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

①キャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、主として税金等調整前当期純利益の計上により102億41百万円の純収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主として有形固定資産の取得による支出により108億92百万円の純支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入による収入等により33億18百万円の純収入となりました。この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、対前期末比29億81百万円増の157億16百万円となりました。

②財政状態

当連結会計年度末の総資産は、対前期末比79億8百万円増の2,073億17百万円となりました。これは主として、商品及び製品、仕掛品の増加、上場株式の株価上昇等による投資有価証券の増加によるものです。負債は、法定実効税率の低下に伴う繰延税金負債の減少等により対前期末比63億59百万円減の1,367億35百万円となりました。有利子負債(借入金)は、対前期末比48億33百万円増の820億53百万円となりました。純資産は、対前期末比142億67百万円増の705億81百万円となり、自己資本比率は、対前期末比5.8ポイント上昇し33.2%となりました。

 

   (5)戦略的現状と見通し及び今後の方針について

当社グループは、①機械事業の技術力強化と更なる海外展開の推進、②新製品の事業化に向けた開発の促進を基本方針とし、収益体質強化の仕組みづくりに継続して取り組んでまいります。

機械3部門につきましては、復興工事、整備新幹線、リニア中央新幹線、国土強靭化計画、更には東京オリンピックと続く国内需要が堅調に推移するうちに、大きな市場がある海外を中心に「資源」、「インフラ整備」をキーワードとして、将来に向かっての基盤を築いていきます。

産業機械部門では、当社グループが保有する長距離ベルトコンベアや大型破砕設備等に用いられている運搬技術、破砕技術が被災地における高台移転工事で高い評価を受けました。今後も、防災・インフラ更新などの旺盛な需要の取り込みに注力するとともに、将来にわたって事業を支える製品を早期に確立して、国内市場でのシェア向上と海外進出を目指します。ロックドリル部門では、国内外で新型油圧ブレーカの拡販に努めるとともに、海外では北米、欧州の先進国のほか、新興国ではアジア、中近東、中南米、南アフリカを中心にインフラ整備、鉱山開発向けに営業を展開していきます。鉱山関係では資源価格の低迷により苦境が続いていますが、営業を集中的に行い、売上の確保に努めます。また、国内では、整備新幹線、リニア中央新幹線のトンネル工事向けのトンネルドリルジャンボの受注に全力を注ぎます。ユニック部門では、ユニッククレーンのほかミニ・クローラクレーンや船舶用クレーン、林業用クレーンの拡販を目指します。また、日本、中国、タイの三極生産体制の下、世界各地域の需要に対応した機種を最適なコストと品質で生産する方針を推進し、特に生産設備を増強したタイの工場については、世界戦略製品の生産拠点としての役割を大いに発揮することにより、海外市場での拡販を図ります。ロックドリル部門およびユニック部門では、世界販売・サービス体制を更に強化し、価格、品質、納期で満足できる製品を供給することによりシェアの拡大を図ります。

金属部門では、海外鉱山について採算性を重視しながら投資案件を選別し、製錬事業を補完する体制の構築を目指します。

また、平成26年12月に研究開発体制を刷新し、機械、素材の分野を超えた柔軟な発想で開発効率、開発スピードを高めるとともに、新製品開発を活性化させてまいります。

当社グループは、メーカーとしてのこだわりを深め、「本格的なモノづくり、仕組みづくり」を追求し、収益力の向上と企業価値の増大を図ってまいります。

 

なお、上記中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成27年6月26日)現在において当社グループが判断したものです。