第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度の我が国経済は、政府・日銀の財政・金融政策等によりデフレから脱却の兆しが見え、景気は緩やかに回復に向かいましたが、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクを抱えながら推移しました。

このような経済環境の下、当社グループは産業機械、開発機械およびユニックの機械3部門を中心として、海外展開を充実させ、国内景気回復の機会を果敢に捉えるとともに、コスト削減、業務効率化などの経営施策を積極的に実行しました。

当社グループの当期の連結業績は、売上高は1,630億26百万円(対前期比25億13百万円減)、営業利益は68億86百万円(対前期比35億23百万円増)となりました。売上高は平成24年10月に燃料部門から、平成25年3月に塗料部門から撤退したことにより減収となりましたが、産業機械、開発機械およびユニック部門で増収となりました。なお、撤退した両部門の前期の売上高は、燃料部門が37億70百万円、塗料部門が150億78百万円、計188億49百万円でした。営業利益は産業機械、開発機械およびユニック部門の増収を主因として対前期増益となり、経常利益は61億50百万円(対前期比33億86百万円増)となりました。特別利益には受取補償金10億94百万円ほか、特別損失には固定資産除売却損1億1百万円、減損損失1億86百万円ほかを計上した結果、当期純利益は39億76百万円(対前期比10億円増)となりました。

 

  セグメント別の業績は、次のとおりであります。

 

〔産業機械〕

前年度に受注した震災被災地における高台移転工事関連の大型破砕設備や長距離ベルトコンベアにつきましては出来高に対応する売上を計上したほか、粉砕機等の一般産業機械も好調で出荷を伸ばすことができました。産業機械部門の売上高は185億27百万円(対前期比56億33百万円増)、営業利益は18億51百万円(対前期比10億72百万円増)となりました。

 

〔開発機械〕

国内向けは旺盛な建設需要を背景に油圧ブレーカ、油圧圧砕機が出荷増となり、砕石や石灰石需要の増加へ対応して油圧クローラドリルの出荷も好調で、トンネルドリルジャンボも売上を伸ばすことができました。海外向けは、円安効果を主因として欧州、米国向けは増収となりましたが、世界的な資源市場の低迷などにより厳しい状況が続きました。開発機械部門の売上高は268億42百万円(対前期比35億36百万円増)、営業利益は3億41百万円(前期は67百万円の損失)となりました。

 

〔ユニック〕

国内普通トラックの登録台数は、景気回復や震災復興等を背景に対前期比116.6%となり、クレーン架装率も高い状況が続きユニッククレーンの国内販売は大幅増収となりました。また、ユニックキャリアの出荷も順調に伸ばすことができました。海外向けはミニ・クローラクレーンの出荷増と円安により増収となりました。ユニック部門の売上高は257億41百万円(対前期比50億89百万円増)、営業利益は31億41百万円(対前期比9億28百万円増)となりました。

 

産業機械、開発機械およびユニックの機械3部門の合計売上高は711億11百万円(対前期比142億59百万円増)、営業利益は53億33百万円(対前期比24億10百万円増)となりました。

 

〔金 属〕

電気銅の海外相場は、4月に7,434.5米ドル/トンでスタートした後、世界的な景況感の悪化から7,000米ドル/トンを割り込む局面もありましたが、その後は米国経済の状況を受け、7,000~7,400米ドル/トン台を上下し、期末にかけてはウクライナ情勢の緊迫化などもあって6,636米ドル/トンで3月の取引を終えました。国内電気銅建値は4月に76万円/トンでスタートし期末時点では72万円/トンとなりました。市況につきましては、自動車向けやエアコン等家電向けに伸銅需要が堅調に推移し、電線需要も首都圏再開発や耐震補強工事、メガソーラー建設などの需要により好調を維持しました。当期の電気銅販売量は94,966トン(対前期比1,823トン減)となりました。金属部門の売上高は円安の進行を主因として増収となり786億84百万円(対前期比7億40百万円増)、営業利益は15億3百万円(対前期比12億20百万円増)となりました。

 

〔電 子〕

原発事故風評被害により主力の高純度金属ヒ素は国内外の価格・販売量で苦戦が続いておりますが、コイル、窒化アルミおよび光学部品は堅調に推移しました。電子部門の売上高は53億81百万円(対前期比3億93百万円増)、営業損失は1億23百万円(対前期比1億39百万円の損失減)となりました。

 

化成品

亜酸化銅の売上は銅価格上昇と需要増加により増収となり、酸化チタンも売上を伸ばすことができました。化成品部門の売上高は、60億96百万円(対前期比10億2百万円増)、営業利益は3億15百万円(対前期比11百万円増)となりました。

 

〔不動産〕

大阪地区の賃貸ビルは空室率が改善せず売上は低迷しました。東京での日本橋室町東地区再開発プロジェクトにつきましては、予定通り、平成26年2月に室町古河三井ビルディングが竣工いたしました。新ビルの開業に伴う一時費用の負担等により営業損失の計上となりました。不動産部門の売上高は10億13百万円(対前期比45百万円減)、営業損失は43百万円(前期は2億19百万円の利益)となりました。

 

 〔その他〕

当社グループの運送業ほかを行っております。売上高は7億39百万円(対前期比14百万円減)、営業損失は60百万円(対前期比2百万円の損失減)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは主として税金等調整前当期純利益の計上により19億82百万円の純収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは主として有形固定資産の取得による支出により31億29百万円の純支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは長短借入金の返済による支出等により45億62百万円の純支出となりました。この結果、現金及び現金同等物の当期末残高は対前期末比52億29百万円減の127億34百万円となりました。

 

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

産業機械

16,903

48.2

開発機械

24,280

3.9

ユニック

26,113

25.4

金属

71,247

△2.6

電子

5,137

16.2

化成品

4,102

△0.1

塗料

-

△100.0

その他

407

△1.0

合計

148,192

△1.2

 (注)1.生産金額の算出方法は販売価格及び製造原価によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.産業機械、開発機械及びユニックの一部については外注生産を、また、金属は委託製錬を行っております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

 産業機械、開発機械及びユニックの一部については受注生産を行っており、当連結会計年度における受注状況を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前期比

 (%)

受注残高

(百万円)

前期比

(%)

産業機械

10,560

△13.4

6,291

△28.4

開発機械

538

20.8

55

109.5

ユニック

2,825

32.9

770

75.0

合計

13,924

△5.7

7,117

△23.1

 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

産業機械

18,527

43.7

開発機械

26,842

15.2

ユニック

25,741

24.6

金属

78,684

0.9

電子

5,381

7.9

化成品

6,096

19.7

塗料

-

△100.0

不動産

1,013

△4.3

燃料

-

△100.0

その他

739

△1.9

合計

163,026

△1.5

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

    2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

古河電気工業(株)

23,859

14.4

28,867

17.7

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

当社グループは、①機械事業の技術力強化と更なる海外展開の推進、②新製品の事業化に向けた開発の促進を基本方針とし、収益体質強化の仕組みづくりに継続して取り組んでまいります。

機械3部門につきましては、足元では震災復興需要に支えられており、整備新幹線、リニア中央新幹線、国土強靭化計画、更には東京オリンピックと続く国内需要が堅調に推移するうちに、大きな市場がある海外を中心に「資源」、「インフラ整備」をキーワードとして、将来に向かっての基盤を築いていきます。

産業機械部門では、復興工事も本格化する中で、引き続き、防災・インフラ更新などの旺盛な需要の取り込みに注力するほか、将来にわたって事業を支える製品を早期に確立して国内市場でのシェア向上と海外進出を目指します。開発機械部門では国内外で新型油圧ブレーカの拡販に努めるとともに、海外では北米、欧州の先進国のほか、新興国ではアジア、中南米、南アフリカを中心にインフラ整備、鉱山開発向けに展開していきます。また、国内では、復興道路や整備新幹線に加えリニア中央新幹線等のトンネル工事向けのトンネルドリルジャンボの受注に注力します。ユニック部門では、普通トラック搭載型クレーンのほかミニ・クローラクレーンや船舶用クレーンの拡販を目指します。また、日本、中国、タイの三極生産体制の下、世界各地域の需要に対応した機種を最適なコストで生産する方針を推進し、海外市場での拡販を図ります。開発機械部門およびユニック部門では強力な世界販売体制を構築し、価格、品質、サービス等、バランスのとれた製品の供給によりシェアの拡大を図り工場の操業度アップと効率化を目指します。

金属部門では、海外鉱山への展開を拡大し製錬事業を補完する体制の構築を目指します。また、研究開発への取り組み方を見直し、新製品の早期事業化を図ってまいります。

当社グループはメーカーとしてのこだわりを深め、「成長への挑戦」をスローガンに「本格的なモノづくり、仕組みづくり」の追求を柱に収益力の向上と企業価値の増大を図ってまいります。

 

 

4【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 

(1)為替及び非鉄金属市況の変動について

当社グループは、製品の輸出、銅鉱石を中心とする原材料の輸入及び製錬加工料収入について為替変動の影響を受けます。また、国際市況商品である非鉄金属たな卸資産については市況変動の影響を受けます。このため、為替予約取引及び商品先渡取引を利用してリスクの軽減を図ってはおりますが、為替及び非鉄金属市況の変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2)投資有価証券及び土地について

当社グループは、過去の歴史上の経緯から、その他有価証券で時価のあるもの及び土地を比較的多く保有しており、当期末の貸借対照表計上額は、その他有価証券で時価のあるものが227億13百万円、土地が554億円となっております。従って、株価や地価の変動によっては減損損失、評価損または売却損が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(3)退職給付債務について

当社グループは、従業員の退職給付に備えるため、確定給付企業年金制度及び退職一時金制度を設けており、年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき退職給付に係る負債を計上しております。従って、退職給付債務等の計算の基礎として採用した割引率、期待運用収益率等の前提条件と実際の結果に差異が生じた場合、または前提条件が変更された場合に、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4)地震等自然災害について

地震等の自然災害によって製造拠点が損害を受ける可能性があり、操業中断、生産及び出荷遅延となった場合に、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5)環境保全について

当社グループは、国内外の各事業所において、関連法令に基づき、環境保全及び環境安全対策並びに公害防止に努め、また、国内休鉱山において、坑廃水による水質汚濁防止や堆積場の保安等の鉱害防止に努めておりますが、法令の改正等によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります

 

(6)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社は、今後の機動的な海外投資等投資資金の確保を目的として、平成22年12月20日開催の取締役会において、みずほ証券株式会社を割当予定先とする第三者割当による新株予約権の発行を行うことを決議し、平成23年1月5日に当該新株予約権を発行致しました。当該新株予約権が行使された場合、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 

なお、上記中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成26年6月27日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、多岐にわたる市場ニーズに適った新素材、高付加価値製品の研究開発を積極的に推進しております。
 当連結会計年度における研究開発は、産業機械、開発機械、ユニック、電子、化成品部門を中心に行っており、その成果は次のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費は、25億38百万円であります。

 

(1)産業機械部門

 産業機械部門では、重スラリー耐摩耗用ライナ形ポンプの開発や、食品市場向け一軸ねじポンプのシリーズ化を進めております。その他、製錬・化学業界向けの縦型湿式電気集じん装置や、鉱山廃水中の重金属回収技術の開発も行っております。

 産業機械部門の当連結会計年度の研究開発費は1億11百万円であります。

 

(2)開発機械部門

 開発機械部門では、新型油圧ブレーカのシリーズ化や、新型油圧クローラドリル向けに高出力油圧ドリフタの開発を進めております。また、リニア中央新幹線工事向けに新型トンネルドリルジャンボの開発を行っております。

 開発機械部門の当連結会計年度の研究開発費は6億89百万円であります。

 

(3)ユニック部門

 ユニック部門では、海外市場向けに価格競争力のあるトラック搭載型クレーンの開発を行い、各市場に適したクレーンのシリーズ化を進めております。

 ユニック部門の当連結会計年度の研究開発費は3億26百万円であります。

 

(4)電子部門

 電子材料関係の新素材、新製品の研究開発を進めております。

 パワーデバイスやLD(レーザーダイオード)向けの窒化ガリウム(GaN)基板の開発を継続して行っております。また、シンチレータ結晶の応用として、PEM装置(PET方式による乳がん診断装置)や放射線測定器の開発を行っております。そのほか、高効率熱電変換素子や、半導体製造装置部品のクリーニング装置などの開発も行っております。

 電子部門の当連結会計年度の研究開発費は13億20百万円であります。

 

(5)化成品部門

 化成品部門では、LEDやタッチパネル関連素材であるハイブリッドペーストの開発のほか、めっき用酸化銅の品質改良などを行っております。

 化成品部門の当連結会計年度の研究開発費は90百万円であります。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、会計上の判断・見積りの度合いが高いものとして以下のものがあります。

①貸倒引当金

国内子会社は、一般債権については、営業債権と営業外債権に区分し、過去3年の平均貸倒実績率により、また、貸倒懸念債権等特定の債権については、財務内容評価法により個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。海外子会社は各社毎に回収不能見込額を計上しております。

②退職給付に係る負債

退職給付債務及び退職給付費用を計算するにあたっては、割引率、期待運用収益率等の前提条件を使用しておりますが、これらは当社グループの状況からみて適切なものであると考えております。

③たな卸資産の評価

期末における正味売却価額が取得原価より下落している場合には、当該正味売却価額で評価しております。また、不良品、長期滞留品、陳腐化品等は正味売却価額で評価しております。

④時価が著しく下落した有価証券の減損処理

時価のある有価証券について、時価が取得原価を50%以上下回った場合、ないしは時価が取得原価を30%以上50%未満の範囲で下回っており、かつ過去の時価の趨勢から回復可能性がないものと判断される場合に、時価が著しく下落したものとして取り扱っております。

⑤繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産については、将来の課税所得の十分性やタックスプランニングについて十分に検討のうえ、将来の税金負担を軽減させる効果を有する将来減算一時差異等についてのみ、繰延税金資産を計上しております。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

①売上高

当連結会計年度の売上高は、対前期比25億13百万円(1.5%)減少し、1,630億26百万円となりました。平成24年10月に燃料部門から、平成25年3月に塗料部門から撤退したことにより減収となりました。(撤退した両部門の前期の売上高は燃料部門が37億70百万円、塗料部門が150億78百万円、計188億49百万円でありました。)しかし、産業機械部門では震災被災地における高台移転工事等により56億33百万円(43.7%)の増収、開発機械部門では国内の旺盛な建設需要と海外での円安を主因として35億36百万円(15.2%)の増収、ユニック部門では景気回復や復興需要等を背景とした普通トラック登録台数の増加等により50億89百万円(24.6%)の増収となりました。

②売上原価、販売費及び一般管理費

当連結会計年度の売上原価は対前期比44億47百万円減少し1,397億77百万円となりました。売上原価率は1.4ポイント低下し85.7%となりました。販売費及び一般管理費は15億89百万円減少し163億62百万円となりました。

③営業利益

当連結会計年度の営業利益は対前期比35億23百万円増加し68億86百万円となりました。これは主として、増収等により、産業機械部門で18億51百万円の利益(対前期比10億72百万円増)、開発機械部門で3億41百万円の利益(前期は67百万円の損失)、ユニック部門で31億41百万円の利益(対前期比9億28百万円増)、金属部門で15億3百万円の利益(対前期比12億20百万円増)を計上したことによるものであります。

④営業外収益・営業外費用

当連結会計年度の営業外収益は対前期比4億25百万円減少し15億74百万円、営業外費用は対前期比2億88百万円減少し、23億10百万円となりました。

⑤特別利益・特別損失

当連結会計年度の特別利益には受取補償金10億94百万円他を計上し、特別損失には固定資産除売却損1億1百万円、減損損失1億86百万円他を計上いたしました。

⑥法人税等、少数株主利益、当期純利益

当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合計した税金費用は29億33百万円となり、少数株主利益1億81百万円を計上し、当期純利益は39億76百万円(対前期比10億増)となりました。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

産業機械製品は、主に民間設備投資と公共投資の動向に影響を受けます。ロックドリル製品は、国内では民間設備投資と公共投資の動向、海外では出荷先各国の景気動向の影響を受けます。ユニッククレーンは、トラックの国内需要動向の影響を受けます。

銅をはじめとする金属部門は、原料銅鉱石、地金製品ともに国際市況動向の影響を受け、製錬採算は、鉱石買鉱条件の影響を受けます。電子部門は、半導体市場の動向に影響を受けます。

なお、事業等のリスクについては「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」を参照願います。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

①キャッシュ・フロー

連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは主として税金等調整前当期純利益の計上により19億82百万円の純収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは主として有形固定資産の取得による支出により31億29百万円の純支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは長短借入金の返済による支出等により45億62百万円の純支出となりました。この結果、現金及び現金同等物の当期末残高は対前期末比52億29百万円減の127億34百万円となりました。

②財政状態

当連結会計年度末の総資産は対前期末比133億31百万円増の1,994億8百万円となりました。これは主として室町古河三井ビルディングの完成による有形固定資産の増加と上場株式の株価上昇による投資有価証券の増加によるものであります。負債は退職給付に係る負債の増加等により対前期末比85億25百万円増の1,430億95百万円となりました。なお、有利子負債(借入金)は対前期末比34億14百万円減の772億19百万円となりました。純資産は対前期末比48億6百万円増の563億13百万円となり、自己資本比率は対前期末比0.5ポイント上昇し27.4%となりました。

 

   (5)戦略的現状と見通し及び今後の方針について

当社グループは、①機械事業の技術力強化と更なる海外展開の推進、②新製品の事業化に向けた開発の促進を基本方針とし、収益体質強化の仕組みづくりに継続して取り組んでまいります。

機械3部門につきましては、足元では震災復興需要に支えられており、整備新幹線、リニア中央新幹線、国土強靭化計画、更には東京オリンピックと続く国内需要が堅調に推移するうちに、大きな市場がある海外を中心に「資源」、「インフラ整備」をキーワードとして、将来に向かっての基盤を築いていきます。

産業機械部門では、復興工事も本格化する中で、引き続き、防災・インフラ更新などの旺盛な需要の取り込みに注力するほか、将来にわたって事業を支える製品を早期に確立して国内市場でのシェア向上と海外進出を目指します。開発機械部門では国内外で新型油圧ブレーカの拡販に努めるとともに、海外では北米、欧州の先進国のほか、新興国ではアジア、中南米、南アフリカを中心にインフラ整備、鉱山開発向けに展開していきます。また、国内では、復興道路や整備新幹線に加えリニア中央新幹線等のトンネル工事向けのトンネルドリルジャンボの受注に注力します。ユニック部門では、普通トラック搭載型クレーンのほかミニ・クローラクレーンや船舶用クレーンの拡販を目指します。また、日本、中国、タイの三極生産体制の下、世界各地域の需要に対応した機種を最適なコストで生産する方針を推進し、海外市場での拡販を図ります。開発機械部門およびユニック部門では強力な世界販売体制を構築し、価格、品質、サービス等、バランスのとれた製品の供給によりシェアの拡大を図り工場の操業度アップと効率化を目指します。

金属部門では、海外鉱山への展開を拡大し製錬事業を補完する体制の構築を目指します。また、研究開発への取り組み方を見直し、新製品の早期事業化を図ってまいります。

当社グループはメーカーとしてのこだわりを深め、「成長への挑戦」をスローガンに「本格的なモノづくり、仕組みづくり」の追求を柱に収益力の向上と企業価値の増大を図ってまいります。

 

なお、上記中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成26年6月27日)現在において当社グループが判断したものであります。