第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国の経済は、極端な円高水準の是正により輸出環境が好転したことや、政府の経済政策効果などで設備投資が上向き、回復基調にありました。世界経済は、米国については住宅投資や自動車販売が堅調に推移し、雇用改善など景気回復の動きが継続しました。景気停滞が長期化している欧州についても、債務問題が徐々に落ち着く中で、プラス成長に転じるなど持ち直しの動きが見られました。一方、中国やインドなどの新興国については、引き続き経済成長は続けているものの、成長率は鈍化しました。

当社グループの事業環境については、需要面では、自動車向け製品が上期から比較的堅調に推移しました。また、多機能携帯端末や新エネルギー向けの需要が着実に伸長しました。相場環境は、貴金属の価格が上期に下落するなど、金属価格は総じて弱含みで推移しました。為替は円安基調が継続しました。

当社グループは、このような状況の中、中期計画Ⅴに沿って、市場・ユーザーの状況や変化に対応し、生産性向上・受注拡大に向けた施策を実行していきました。

これらの結果、当期の連結売上高は前期比6%増の443,985百万円となり、連結営業利益は同29%増の31,794百万円、連結経常利益は、同29%増の35,055百万円、連結当期純利益は同53%増の23,310百万円となりました。

なお、当社は、株主の皆様への配当を経営における最重要課題の一つと位置付けており、企業体質強化と将来の事業展開に備えた内部留保の充実を勘案のうえ、業績に応じて配当を行う方針としています。
 当期の配当金については、当期の業績、今後の事業展開、財務体質の強化などを総合的に勘案し、前期比3円増配の1株当たり15円としています。

 

主要セグメントの状況は、次のとおりです。

 

環境・リサイクル部門

廃棄物処理は、国内の産業廃棄物発生量が横這いの中、集荷ネットワークを活かした受注増や処理拠点の操業度の向上により、処理量を増やしました。土壌浄化は、不動産市況が緩やかに回復する中で、受注の拡大を図りました。リサイクルでは、国内スクラップ市場の縮小に伴い国内の原料集荷は減少しましたが、電子部品スクラップの海外集荷を拡大し、増集荷を図りました。海外事業においては、インドネシアをはじめ東南アジアにおける廃棄物処理事業を拡大しました。
 これらの結果、当部門の売上高は貴金属などの地金価格が下落した影響で前期比2%減の101,429百万円となりましたが、営業利益は同47%増の9,493百万円となりました。

 

製錬部門

金属価格については、総じて弱含みでしたが、特に貴金属の価格が上期に下落し、その後も価格低迷が継続しました。為替については、前年度末からの円安基調が継続しました。このような中、各製錬所の稼動は順調に推移し、重点施策であるスズ・アンチモンなど新金属の回収強化を進めました。販売面では銅・亜鉛製品とも自動車向けが好調に推移し、建設向けについても堅調でした。コスト面では電力代値上げの影響を受けましたが、電力原単位や物品費の削減に努めました。
 これらの結果、当部門の売上高は前期比6%増の217,614百万円、営業利益は同51%増の7,058百万円となりました。

 

電子材料部門

多機能携帯端末などIT関連製品について市場ニーズに応える製品開発に加えて、新製品の拡販や新規顧客の獲得に努めました。半導体材料製品は、パソコンやTV向けなどの販売は低迷しましたが、多機能携帯端末向けの需要が伸び、販売を伸ばしました。導電材料製品は、銀粉の販売が大きく伸びました。機能材料製品は、自動車用途での市場拡大や新規拡販で販売を伸ばした反面、情報通信用途では、在庫調整等の影響を大きく受けました。
 これらの結果、当部門の売上高は前期比17%増の83,246百万円、営業利益は同16%増の6,715百万円となりました。

 

 

金属加工部門

自動車向けなどの端子やコネクタに使われる伸銅品やめっき品は、国内外の自動車生産が比較的堅調に推移する中で、特にハイブリッド車向けなどを中心に販売を伸ばしました。民生用途の伸銅品は、パソコン関連の需要減が続いていますが、多機能携帯端末関連の需要獲得に注力しました。回路基板は、電鉄向けの拡販に取り組み、また、産業機械向けについても、設備投資の回復などにより販売を増やしました。
 これらの結果、当部門の売上高は前期比11%増の82,204百万円、営業利益は同10%増の5,392百万円となりました。

 

熱処理部門

熱処理加工では、インドネシア拠点の立ち上げや海外の各拠点の設備増強を進め、拡大する海外の自動車市場での受注増に取り組みました。国内についても、自動車生産が比較的堅調に推移する中で、拡販と生産性改善による収益力強化に取り組みました。工業炉は、海外の市場拡大に合わせて新炉の拡販を進めるとともに、メンテナンス拠点の拡充により受注獲得に努めました。
 これらの結果、当部門の売上高は前期並みの24,635百万円、営業利益は同45%増の2,262百万円となりました。

 

その他部門

その他部門では、売上高は前期比2%増の10,042百万円、営業利益は同14%減の195百万円となりました。

 

(注) 当該項目に記載の売上高には消費税等を含めていません。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 

前連結会計年度

 

当連結会計年度

 

比較増減

 

百万円

 

百万円

 

百万円

営業活動によるキャッシュ・フロー

34,970

 

30,189

 

△4,780

投資活動によるキャッシュ・フロー

△19,354

 

△18,689

 

664

財務活動によるキャッシュ・フロー

△14,982

 

△12,341

 

2,641

換算差額

261

 

433

 

171

増減

894

 

△408

 

△1,302

現金及び現金同等物の期首残高

4,788

 

6,129

 

1,341

新規連結による現金及び現金同等物の増加

446

 

102

 

△344

現金及び現金同等物の期末残高

6,129

 

5,823

 

△306

 

 

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より306百万円減少し、5,823百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は30,189百万円(前年度比4,780百万円減)となりました。これは、税金等調整前当期純利益32,989百万円(前年度比9,139百万円増)や非資金的費用である減価償却費の計上16,205百万円があった一方で、仕入債務の減少8,729百万円や法人税等の支払い9,133百万円などがあったことによります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金は18,689百万円の支出(前年度比664百万円支出減)となりました。これは、環境・リサイクル事業を中心とした設備投資16,330百万円、事業拡大のための株式取得2,367百万円があったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金は12,341百万円の支出(前年度比2,641百万円支出減)となりました。これは、有利子負債の返済8,264百万円や、配当金の支払い3,754百万円によるものです。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度におけるセグメントごとの生産実績は、次のとおりです。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

製錬部門

218,217

6.2

電子材料部門

83,131

16.4

金属加工部門

82,577

11.6

合計

383,926

9.4

 

(注) 1 金額は、販売価格によっています。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

3 環境・リサイクル部門は、廃棄物処理、金属リサイクル、土壌浄化処理受託及び運輸事業を行っており、売上高が処理高であるため、記載を省略しています。

4 熱処理部門は、金属熱処理加工、表面処理加工、熱処理加工設備・その付属設備の受託生産事業を行っており、売上高が生産高であるため記載を省略しています。

5 その他の部門は、工事の請負、不動産の賃貸及び見込生産を行っているため、記載を省略しています。

 

(2) 受注状況

当連結会計年度におけるセグメントごとの受注状況は、次のとおりです。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

熱処理部門(熱処理炉)

6,905

62.2

3,851

83.7

その他部門(工事の請負)

1,595

17.1

36

△39.6

合計

8,501

51.3

3,888

80.2

 

(注) 1 その他主要な製品に関しては、受注生産を行っていません。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

3 受注高及び受注残高の前年同期比増減の理由については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載しています。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は、次のとおりです。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

環境・リサイクル部門

64,484

△3.4

製錬部門

188,648

3.5

電子材料部門

81,400

17.2

金属加工部門

82,191

11.1

熱処理部門

24,635

0.2

その他部門

2,625

15.8

合計

443,985

5.9

 

(注) 1 金額は販売価格によっています。

2 セグメント間の取引については相殺消去しています。

3 最近2連結会計年度の主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

田中貴金属工業㈱

62,190

14.8

60,678

13.7

 

 

4 上記の金額には消費税等は含まれていません。

 

3 【対処すべき課題】

(1) 対処すべき課題の内容及び具体的取組状況

世界経済は、新興国の一部では減速が続いているものの、米国など先進国を中心に全体としては回復基調にあります。わが国においても緩やかな物価上昇や円安による輸出環境の改善など、景気回復に向けた動きが継続しています。一方では、消費税増税による需要の反動減の懸念など、不透明な状況も存在しています。平成26年度は、3年間の中期計画「中期計画V」の最終年度にあたります。市場動向を見極めながら、引き続き海外事業の拡大や成長分野への積極展開、事業競争力の強化に向けた諸施策を進めていきます。

なお、具体的には、各事業部門で次のような取り組みを行います。

 

環境・リサイクル部門

廃棄物処理事業では、低濃度PCB処理事業を着実に推進するとともに、営業体制の強化に継続して取り組みます。土壌浄化事業では、活発化する公共投資を背景に発生増加が見込まれる場外処理案件の獲得を図ります。リサイクル事業では、米国やアジアを中心としてグローバルにリサイクル原料の集荷を拡大し、金属リサイクルを強化します。また、中国では家電リサイクル事業の収益力向上に取り組み、東南アジアにおいては、廃棄物処理事業での更なる事業拡大に加えて、土壌浄化及びリサイクル事業の新規展開を進めていきます。

 

製錬部門

貴金属銅事業では、小坂製錬㈱における不純物対応力向上により生産性を高めるとともに、リサイクル原料等の積極処理を進め収益力を強化します。レアメタル事業では、海外を中心に原料の集荷拡大を進め、合わせて処理効率の向上等により増処理を図ります。亜鉛事業では、秋田製錬㈱における生産の拡大やコスト競争力の向上に取り組み、タイにおいては亜鉛加工工場の操業体制確立と東南アジア市場への拡販を進めます。また、パルマー亜鉛・銅プロジェクト(アメリカ・アラスカ州)の推進等、引き続き自山鉱比率の向上に取り組み、製錬所向け原料のより一層の安定確保を図ります。

 

電子材料部門

半導体事業では、人体検知用や医療用などのセンサー向けLEDの需要増加に合わせた生産体制の増強を図るとともに、窒化物半導体(HEMT)では量産体制の確立と新規ユーザー認定の取得を進め、販売量の拡大を図ります。電子材料事業では、電極材料向け銀粉の生産能力増強と、新規製品開発によるラインナップ拡充を進めていきます。機能材料事業では、データテープ用次世代材料の開発や、複写機向けキャリア粉の特性改善と拡販に取り組みます。また、将来の成長に向けて、燃料電池向け電極材料や導電性合金粉など今後市場拡大が見込まれる分野の新規製品開発を進め、早期事業化を図ります。

 

金属加工部門

金属加工事業では、車載向け高特性銅合金の開発や、多機能携帯端末向けコネクタ材の拡販を進めシェア拡大を図るとともに、品質改善や工程効率化、コストダウンによる競争力の強化を進めます。めっき事業では、タイ拠点の製造ラインを増強し、車載向けを中心に、拡大するアジア市場での受注拡大を図ります。回路基板事業では、中国や欧州の電鉄向けへの拡販に加え、太陽光発電や風力発電向けに付加価値の高い新製品の開発・投入を進め、また、生産性向上とコストダウンにより収益力強化を図ります。

 

熱処理部門

工業炉事業では、新興国の需要拡大を捉えた増販や海外メンテナンス拠点の拡充を進め、国内においては製造拠点の統合を進めます。熱処理事業では、インドネシア拠点の設備増強を進め、北米やインド、タイにおいても拡大する現地需要の取り込みを図り、海外事業の収益拡大を進めます。また、国内においては、顧客や市場の動向に対応した生産体制の再編とコストダウンに取り組み、競争力強化を図ります。

 

以上のような方針のもと、今後も「選択と集中」に取り組み、当社グループの基盤を強化し、成長と発展を目指します。

 

(2) 株式会社の支配に関する基本方針

当社は、上記方針を定めておりませんが、基本的な考え方として、次のとおり「情報と時間ルール」を定めております。

 

情報と時間ルール

 

当社取締役会は、議決権割合が20%以上となる当社株式の買付行為(以下、大規模買付といいます)を受け入れるかどうかは、最終的には、株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると認識しております。その判断にあたっては、当社の事業規模や事業領域に照らして、大規模買付を行おうとする者(以下、大規模買付者といいます)と当社取締役会の双方からの「適切な情報提供」と「十分な検討期間の確保」が必要であると考えます。

このような基本的な考え方に基づき、当社取締役会は、大規模買付を認識したときは、大規模買付者に対し、次の情報(以下、大規模買付情報といいます)を他の株主及び取締役会に提供することを求めます。

① 大規模買付の目的及び内容

② 買付価格の算定根拠及び買付資金の裏付け

③ 大規模買付完了後に意図する当社経営方針及び事業計画

④ その他株主価値に影響する重要な事項に関する情報

当社取締役会は、大規模買付情報を検討したうえで、当該大規模買付に対する評価意見を公表します。その際には、取締役会から独立した第三者により構成される委員会の意見を求めます。

また、当社取締役会は、当社株式の取引や異動状況を常に注視し、大規模買付がなされた場合に迅速かつ適切な対応をとり得る社内体制を整備いたします。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

①経済情勢

日本、北米、アジア、欧州など当社グループの主要市場における景気後退、及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

②地金相場、為替相場

当社グループが取扱う製品には、金、銀、銅、亜鉛など国際的な相場により価格が決定されるものがあります。また、これら主要地金の原料鉱石は海外から調達しており、国際的市況の変動、為替相場の変動によるリスクを負っています。これに対し、当社グループは非鉄金属先渡取引や為替予約などを通じてヘッジするなど、リスクの軽減に取り組んでいます。

 

③公的規制

当社グループは、国内においては環境・リサイクル関連法、独占禁止法等の法的規制の適用を受けているとともに、海外においても各国の法的規制、たとえば関税・輸出入規制や外国為替管理法の規制を受けています。このような中、当社グループとしては、法的手続きによる権利の保全にも万全を期しています。しかしながら、将来において、現在予測し得ない法的規制が設けられる可能性があり、これらの法的規制に係る指摘を受けた場合、当社グループの事業活動が制限される可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④株価の変動

当社グループは、当連結会計年度末時点で取引先を中心に約264億円の市場性のある株式を保有しており、これらの株価変動リスクを負っています。

 

⑤金利の変動

当社グループの当連結会計年度末の有利子負債残高は996億円で、総資産の28%を外部調達しており、急激な金利上昇によって業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥災害や停電

当社グループは、製造ラインの中断による潜在的なマイナス影響を最小化するために、全ての設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行っています。しかし、生産施設で発生する災害、停電又はその他の中断が発生した場合、当社グループの生産能力が著しく低下する可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

各セグメントでは、常に現行商品の改良・改善に努めていますが、これに加え、お客様のご要望を先取りした次期商品の開発、及び事業の基盤となる製造プロセス技術、設備技術の改善・改良を進めました。また、グループ全体として有望な新規商品については、社内インキュベーションセンターによって、開発、事業化を加速させました。更に、近未来を見据えた新しいコンセプトの商品や革新的新技術に関する基礎研究については、大学等との接触機会を増やし、独自の技術系ファンドである「DOWAテクノファンド」による共同研究をより積極的に実施することによって、社外の最先端技術導入を図りました。これらの研究開発活動により、現在から近未来に渡る広範囲のフェイズにおける「技術立社」を推進しています。

当連結会計年度における研究開発費の総額は4,078百万円です。

なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ② 連結損益計算書」の当連結会計年度における「開発研究費」は4,651百万円ですが、これには研究開発費のほか、新鉱床探鉱費等573百万円が含まれています。

各セグメントの研究開発活動、主な成果及び研究開発費は次のとおりです。

 

環境・リサイクル部門

環境リサイクル事業の競争力強化に向けて、環境技術研究所が関連事業所と連携して「リサイクル技術の開発」「廃棄物処理技術の開発」「土壌・地下水汚染の浄化技術開発」等に取り組みました。具体的活動と主な成果とし ては、次のようなものが挙げられます。

リサイクル技術では、レアアース研磨剤リサイクルの事業化や、レアメタル等の高度選別、小型家電リサイクル技術開発を行っています。

廃棄物処理技術では、有害廃棄物の管理技術向上とともに、低濃度PCB廃棄物処理事業の準備に取り組みました。

土壌・地下水汚染の浄化技術では、原位置浄化技術の高度化をすすめました。関連技術応用技術として放射性セシウム回収技術の開発に成功しています。

また、将来事業の探索として、グリーンビジネスの可能性についての事業面、技術面での検討を行っています。

なお、当部門における研究開発費は378百万円です。

 

 製錬部門

当年度は各工場に分散していた研究要員を製錬技術研究所に統合して、研究開発の効率化及びスピードアップを図りました。特に電力費高騰、レアメタルの安定供給という課題に対しては経済産業省の技術開発事業に応募し、「省エネルギー製錬技術の開発」と「難処理原料からのレアメタル回収技術の開発」に採用されました。

4年間の長期的な委託試験ですが、1年目の活動において充分な成果を挙げられました。

「環境負荷物質の安定化技術の開発」では、添加剤の変更により、大幅にコスト低減できる可能性を見出し、次年度に向けた基礎固めができています。

「亜鉛電解における省電力電極の試験」に関しては実機規模の試験に着手し、効果の確認ができましたが、新たに見えてきた問題点もあり、引き続き工夫を重ねている段階です。

また、第3四半期から「硫酸殿物からのHg/Seの分離」に着手し、技術的な分離の目処がつきました。ユーザーワークを経て実機に導入できるように精力的に取り組んでいる最中です。

なお、当部門における研究開発費は318百万円です。

 

 

 電子材料部門

グローバルな競争、流動的な経済情勢の中で、更に成長・発展し、変化に対応するために技術力強化とトップ商品の拡充を目的として、足元並びに将来の市場動向を見据えた戦略的な研究開発に取り組みました。

具体的には、半導体材料研究所、電子材料研究所、機能材料研究所並びに各事業所の技術開発部門において、化合物半導体、オプトデバイス、導電性材料、磁性材料、各種機能性粉体などで、新たな市場開拓・用途展開を見据えての新製品の開発・現行製品の品質改善・生産性の向上に取り組みました。

民生、医療などの幅広い分野で期待される深紫外LED、再生可能エネルギー関連の電極材料に使用される導電粉は引き続き重点テーマとして取り組んでいます。また、次々世代に向けた超高密度磁気記録テープ用途での新規磁性粉、新たな分野・用途開発として接合ペースト用途での金属ナノ粒子、燃料電池用材料の開発にも重点的に取り組んでいます。
 主な成果として、銀粉代替金属粉は市場への参入に目処が立ち、次世代超高密度磁気記録テープ用途での新規磁性粉も本格的に市場参入を果たしました。銀ナノインクはプリンテッド・エレクトロニクス市場への参入を果たし、更なる販路拡大・用途開発を進めるなど、今後の収益への貢献が期待されます。

 なお、当部門における研究開発費は2,570百万円です。

 

 金属加工部門

車載用標準材であるNB-109、NB-105といった銅合金の板形状改善、1GPaを超える強度と曲げ加工性を両立したYCuT-FXシリーズのプロセス技術向上、車載向け端子用銅合金及びめっき技術の開発、伸銅品の材料製造プロセス技術向上による製品歩留の向上と特性の安定化、エコカー向け貴金属めっきの特性向上及び部分めっきの高精度・高効率化、金属セラミックス接合基板の信頼性・生産性向上、新エネルギー、鉄道やエコカー向けの新構造基板の製造プロセス開発と生産性向上などに取り組んでいます。

なお、当部門における研究開発費は479百万円です。

 

 熱処理部門

顧客ニーズを的確に捉えた新商品開発を目指し、既存技術と要素技術を融合させた新たな次世代商品を顧客と一緒に創出することで、熱処理・工業炉両事業部に貢献するとともに、世界No.1の熱処理メーカーをめざして商品開発に取り組みました。

主な成果として、工業炉事業分野においては、顧客の環境変化を的確に捉え、今後益々加速する海外現地化や生産規模が縮小する国内生産に対応し、小規模かつ低コストな新型連続炉の開発を進めました。パイロット設備での実証試験の結果をフィードバックした量産実証炉を製作し、実証試験をおこないます。また、小ロットで汎用性のある真空浸炭や真空焼結向け小規模真空熱処理設備の開発では、パイロット機を平成26年10月までに完成させ、要素技術の開発に着手します。

熱処理事業分野では、自動車部品の高強度化を目的として開発した新窒化工法ハーデルナイト(商標)について、国内熱処理工場及び海外熱処理工場へ新型専用窒化炉を導入し、量産を軌道に乗せることができました。平成26年度は開発テーマアップし新工法のレベルアップを行います。また顧客の海外工場での量産に向けて立上げ支援を行うとともに、自動車以外の他分野も含め新窒化工法(ハーデルナイト)の更なる市場開拓を目指します

また、摺動部品や電子材、生体材など多岐用途への適用を目指しているDLC膜開発では、低温プロセスとSi含有の2つのDLC膜で顧客部品の試作処理をおこない良好な結果を得ました。平成26年度は量産化試験を実施し商品化と適用拡大を進めます。この他、既存設備のQCDES改善技術開発も継続的に行っており、両事業部門の売上拡大に寄与するとともに顧客とのパートナーシップ強化に貢献しました。

なお、当部門における研究開発費は330百万円です。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における財政状態、経営成績に影響を与えるような見積り・予測を必要としています。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り・予測を実施しています。

① 貸倒引当金

当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については過去の一定期間における貸倒実績から算出した貸倒実績率により計上し、貸倒懸念債権については個別に債権の回収可能性を検討し回収不能見込額を計上しています。

② 繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、将来の課税所得及び継続的な税務計画をもって検討し、全部または一部を将来実現できないと判断した場合、当該判断を行った期間に調整額を費用として計上しています。

③ 退職給付に係る負債

従業員の退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率及び年金資産の期待運用収益率などが含まれます。当社グループは、割引率を主に日本国債の金利により決定しているほか、報酬水準の増加率及び従業員の平均勤務期間については当社グループの過去の実績値に基づいて決定しています。

④ 環境対策引当金

「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(平成13年6月22日 法律第65号)の規定により、ポリ塩化ビフェニル廃棄物を保有している事業者は適切な保管と届出が要求され、平成28年7月までに処分することが義務付けられました。

当社グループは、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理に係るコストが、当連結会計年度以前の事象により起因して将来発生するものであること、及び金額を合理的に見積ることが可能であることなどにより、当連結会計年度末における処分費用の見積額を計上しています。

⑤ 固定資産の減損

当社グループは、主として事業グループ単位を資産グループとし、遊休資産は個々の資産グループとしています。

減損の兆候がある資産グループについては、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額がこれらの帳簿価額を下回る場合には、減損損失を特別損失に計上しています。なお、資産グループの回収可能価額は、正味売却価額により測定しており、時価については不動産鑑定評価額等合理的に算定された評価額に基づいて算定しています。

⑥ その他有価証券等の減損

当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客及び金融機関に対する少数持分を所有しています。これらの株式には価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の決定が困難である非公開会社の株式が含まれます。

当社グループは投資価値が著しく下落しかつ回復可能性がないと判断した場合、これら有価証券の減損を実施しています。公開会社の株式は、期末月平均の株価が取得原価の50%を下回った場合、また非公開会社の株式は、原則として当該会社の実質価額が取得原価の50%を下回った場合に、回復する見込が合理的に予測できる場合を除き減損処理を行うこととしています。

 

 

(2) 当連結会計年度の財政状態の分析

① 資産の部

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して8,930百万円増加し358,717百万円となりました。流動資産で2,711百万円の増加、固定資産6,219百万円の増加となります。
 流動資産の増加は、繰延税金資産が1,425百万円増加したことなどによるものです。
 固定資産の増加は、所有している上場株式の時価が上昇したことなどで投資有価証券が5,425百万円増加したことによるものです。

② 負債の部

負債については、前連結会計年度末と比較して15,655百万円減少しました。これは、支払手形及び買掛金が7,901百万円減少したことや、有利子負債を7,474百万円削減したことによるものです。

③ 純資産の部

純資産については、当期純利益が23,310百万円となった一方で、配当金の支払いなどにより株主資本が19,619百万円増加しました。また、その他の包括利益累計額が期末の投資有価証券の時価評価や為替換算調整勘定の増加などにより5,040百万円増加し、純資産合計では前連結会計年度末に比較し24,586百万円増加しました。この結果、自己資本比率は44.1%となりました。

 

(3) 当連結会計年度の経営成績の分析

① 売上高

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比較し、為替が円安水準で推移したことや導電材料製品の販売が伸びたことなどから、製錬部門や電子材料部門で増収となりました。この結果、前連結会計年度の419,390百万円に対し5.9%増加し443,985百万円となりました。

② 売上原価、販売費及び一般管理費

当連結会計年度の売上原価は、売上高の増加に伴い前連結会計年度の365,963百万円に対し4.4%増加し382,079百万円となりました。
これらの結果、売上高に対する売上原価率は前連結会計年度の87.3%に対し、86.1%となりました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、新規連結会社の増加などにより、前連結会計年度の28,863百万円に対して4.3%増加し、30,111百万円となりました。

③ 営業利益

当連結会計年度の営業利益は前述の要因により、前連結会計年度の24,564百万円に対し29.4%増加し、31,794百万円となりました。

④ 営業外収益(費用)

当連結会計年度は、持分法による投資利益などにより、前連結会計年度の2,713百万円の収益(純額)に対し、3,261百万円の収益(純額)となりました。

⑤ 特別利益(損失)

当連結会計年度は、特別利益で負ののれん発生益など490百万円を計上しましたが、特別損失では、固定資産処分損など2,557百万円の特別損失を計上しました。
これにより、当連結会計年度の特別利益から特別損失を差引いた純額は、前連結会計年度の3,427百万円の損失に対し、2,066百万円の損失となりました。

⑥ 税金等調整前当期純利益

当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度の23,850百万円に対し、38.3%増加し32,989百万円となりました。

⑦ 法人税等

当連結会計年度の法人税等は9,544百万円となりました。税効果を適用した当連結会計年度の税金等調整前当期純利益に対する法人税等の比率は、法定実効税率の37.0%より8.1%低い28.9%となりました。

⑧ 少数株主損益

少数株主損益は、主に㈱日本ピージーエム、DOWA IPクリエイション㈱などの少数株主に帰属する利益からなり、当連結会計年度の少数株主利益は、前連結会計年度の426百万円に対し、68.5%減少し134百万円となりました。

 

⑨ 当期純利益

当期純利益は、前連結会計年度の15,213百万円に対し、53.2%増加し23,310百万円となりました。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループは、コアビジネスである環境・リサイクル部門、製錬部門、電子材料部門、金属加工部門、熱処理部門を中心に事業を行っており、このうち、当連結会計年度の売上高の49.0%を占める製錬部門は、非鉄金属地金相場及び為替相場の変動の影響を受けやすいため、状況に応じて非鉄金属先渡取引及び為替予約取引などによりリスク軽減に努めています。

当社グループでは、今後も収益性の向上及び財務体質の改善に努めていきますが、非鉄金属地金相場及び為替相場の急激な変動、景気動向などの外的要因により業績に影響を受ける可能性があります。

 

(5) 戦略的現状と見通し

当年度の主な施策等は次のとおりです。

 

環境・リサイクル部門

○ エコシステム山陽㈱において、低濃度PCB廃棄物の処理を着実に進めるとともに、前処理設備を新設し、受入能力の拡充を図りました。
○ エコシステム千葉㈱において、集荷拡大に取り組み、増処理を進めました。また、エコシステム秋田㈱及びエコシステム山陽㈱を含む各工場において、引き続き難処理廃棄物の処理メニュー拡大進め、収益力の強化に取り組みました。
○ 土壌浄化事業では、国内で活性化する不動産市況を背景とした市場回復への対応を進め、受注の拡大を図りました。
○ 金属リサイクル原料の集荷において、北米に加えてアジアでも、グローバル集荷体制の強化に取り組みました。
○ 東南アジアでは、金属リサイクル事業拠点であるシンガポールのDOWA ECO-SYSTEM SINGAPORE PTE.LTD.で周辺国を含めた原料集荷拡大を進め、また、インドネシアのP.T. PRASADHA PAMUNAH LIMBAH INDUSTRI では、石油・天然ガス開発に伴う掘削汚泥処理事業の拡大に取り組みました。

 

製錬部門

○ 小坂製錬㈱において、リサイクル原料や銀精鉱の処理を拡大し、スズや銀の増産など金属回収の強化に取り組みました。
○ 白金族回収事業において、欧州・北米のサンプリング工場等の海外拠点を活用し、使用済み自動車触媒の集荷量拡大に取り組みました。
○ 秋田製錬㈱において、引き続きエネルギーコスト削減と生産性向上に取り組みました。また、タイにおいて、亜鉛加工品の製造・販売を行うDOWA METALS & MINING(THAILAND) CO.,LTD.の操業を開始し、東南アジア市場への事業展開を進めました。
○ 亜鉛及び銅製錬所向け原料のより一層の安定確保を図るため、パルマー亜鉛・銅プロジェクト(アメリカ・アラスカ州)の探鉱活動に着手しました。

 

電子材料部門

○ DOWAセミコンダクター秋田㈱において、需要が拡大するセンサー用LEDの生産能力増強に取り組むとともに、新たな高出力品の量産体制確立を進めました。
○ DOWAハイテック㈱において、電極材料向け銀粉の生産能力増強と次世代品の量産体制確立に取り組み、拡販を進めました。
○ DOWAエレクトロニクス岡山㈱において、データテープ用磁性粉の次世代品量産体制確立に取り組み、拡販を進めました。
○ 燃料電池向け電極材料の特性改善や拡販、また導電性合金粉のサンプルワーク拡大など、新規開発品の早期事業化に取り組みました。

 

金属加工部門

○ 伸銅品事業において、DOWAメタル㈱及びDOWAメタニクス㈱における歩留まり向上や生産性の改善に取り組みました。また、車載向け銅合金の開発・拡販に加え、シンガポールや中国・深圳市の営業拠点を活用してコネクタ材等の拡販を進めました。
○ めっき事業において、国内のめっきラインを増強し、車載向けを中心に拡販に取り組みました。また、タイにおいても能力増強に着手し、拡大する東南アジア市場への事業展開を強化しました。
○ 回路基板事業において、欧州を中心に電鉄向けに拡販を進めるとともに、原価削減や新製品の開発・量産化に取り組みました。

 

熱処理部門

○ インドネシアのPT.DOWA THERMOTECH INDONESIAにおいて熱処理事業を立ち上げました。北米・タイなどの既存拠点についても能力を増強し、海外事業の拡大を進めました。
○ 工業炉事業では、工業炉製造の中国やインド拠点への移管を進めるとともに、海外のメンテナンス拠点についても拡充を図りました。
○ DOWAサーモエンジニアリング㈱において、各熱処理工場の工程集約や生産品目の統合など、国内工場の再編を進め、競争力強化に取り組みました。

 

(6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、「第2 事業の状況  1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

当社は、金融情勢を勘案して保有現預金残高を決定するとともに、短期流動性確保の手段として、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結しているほか、短期社債(電子CP)の発行枠200億円を設けています。長期性資金については、機動的な調達手段として、社債300億円の募集に関する発行登録(発行予定期間:平成25年3月27日~平成27年3月26日)を行っています。

また、当社グループは、グループファイナンスを行うことで、グループ各社の資金の一元管理を行い資金効率の向上を図っています。

 

(7) 経営者の問題認識と今後の方針について

本項目については、「第2 事業の状況 3 対処すべき課題 (1) 対処すべき課題の内容及び具体的取組状況」に記載のとおりです。