第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、中国など新興国経済の減速により生産や輸出面に弱さが見られたものの、円安・資源安の恩恵を受けた企業を中心に企業収益が改善し、雇用・所得環境の好転を背景に個人消費も底堅く推移するなど、総じて緩やかな回復基調をたどった。しかしながら、年明け以降に円高・株安が進行し、個人消費にも足踏み傾向が見え始めるなど、先行きは不透明感を強めている。

アルミニウム業界においては、輸送分野においてトラック向け需要が堅調に推移するとともに、乗用車でも高級車を中心に部材へのアルミの採用が進んだが、国内自動車生産台数の減少や、建設関連での出荷減などを受け、アルミニウム製品の総需要は前期を若干下回った。価格面では、期を通じてアルミニウム地金市況が下落基調で推移し、原料価格の低下に寄与した半面、これに連動して販売価格が値下がりした事業分野では収益面に悪影響をもたらした。

このような経営環境のもと、当社グループは、平成25年度を起点とする3ヵ年の中期経営計画(以下「現中計」という。)の集大成として、現中計の基本方針に則り、持株会社体制のもとでのグループ連携強化を通じ、連結収益の最大化と企業価値向上に努めた。

売上高は、国内におけるアルミニウム地金や二次合金の販売量の減少が見られたが、アルミナ・化成品部門、板製品部門、押出製品部門、輸送関連部門、パネルシステム部門などで販売量が増加したことなどにより、全体では前期を上回った。また、損益面では販売量の増加に加え、各部門で販売価格の改定、開発段階からの損益管理を徹底的に実施した効果などにより営業利益が大きく改善したが、為替差損や持分法利益の減少などにより経常利益の増加額は営業利益の増加額を下回った。親会社株主に帰属する当期純利益については、当期は特別利益の計上はなかったが、前期の減損損失を中心とする特別損失が当期は大きく減少したことから、全体としては前期を大幅に上回る結果となった。

また、現中計の最終年度の収益目標値は、売上高4,400億円、営業利益250億円、経常利益220億円、当期純利益140億円であったため、これを達成した。

 各セグメントの概況は、次のとおりである。

 

(アルミナ・化成品、地金)

アルミナ・化成品部門においては、アルミナ関連では、主力製品の水酸化アルミニウムおよびアルミナにおいて、耐火物用、研削材用、ガラス用アルミナなどの国内販売が堅調に推移し、水酸化アルミニウムの輸出も増加した。一方、化学品関連では、有機塩素製品の販売が伸び悩み、カセイソーダおよび無機塩素製品の販売も前期並みとなったが、部門全体では、前期を上回る売上となった。

採算面では、アルミナ関連で実施した製品販売価格改定の効果に加え、前期末に実施したアルミナ関連設備への減損損失の計上により償却費負担が減少したことなどから、前期に比べ大幅に改善した。

地金部門においては、主力の自動車向け二次合金の分野において、国内は出荷減となったが、中国、タイの各拠点で販売が好調に推移し、アメリカでも受注が回復したため、前期を上回る販売量となった。その一方、アルミニウム地金市況を反映した販売価格の下落により、売上高としては前期を若干下回った。採算面では、需給軟調な国内で採算重視の受注を行い利益確保に努めたほか、原燃料価格の低下もあり、前期に比べ増益となった。また、アルミニウム新地金の商社向け販売が減少し、これに係る売上高が大幅に減少した。

以上の結果、当期のアルミナ・化成品、地金セグメントの売上高は前期の1,143億39百万円に比べ44億95百万円(3.9%)減の1,098億44百万円、営業利益は前期の60億69百万円に比べ30億69百万円(50.6%)増の91億38百万円となった。

(板、押出製品)

板製品部門においては、建材関連は低調だったが、鉄道向け厚板や箔地が好調に推移し、平成27年1月に株式会社東陽理化学研究所を子会社化したことなどからパソコン・スマートフォン筐体向けの販売も増加したため、前期を上回る販売量・売上となった。一方、採算面では、アルミニウム地金市況が下落基調で推移した当期は、高値で調達した原料を使用した製品が価格下落後の安値で販売される期間に該当したことに加え、新製品立ち上げ費用の増加、一部の製品向けでの在庫評価損の計上などにより、前期に比べ大幅に悪化した。

押出製品部門においては、建材関連、産業機器関連で需要が停滞し販売減となったが、主力の輸送分野においては、国内自動車向けが不調だったものの、トラック架装向け・鉄道向けが増加するとともに、中国でも自動車向け・鉄道向けが堅調に推移し、また、ソーラーパネル架台等の新製品の販売も順調に伸びたため、前期を上回る売上となった。一方、高付加価値品である原子力関連製品の販売が次年度にずれ込んだことに加え、アルミニウム地金市況に連動して販売価格が下落した製品もあったことなどから、採算面では前期を下回った。

以上の結果、当期の板、押出製品セグメントの売上高は前期の828億23百万円に比べ205億17百万円(24.8%)増の1,033億40百万円、営業利益は前期の42億30百万円に比べ11億72百万円(27.7%)減の30億58百万円となった。

 

(加工製品、関連事業)

輸送関連部門のうち、トラックの架装事業においては、国内の景気回復、原油安に伴う燃料費低下で輸送関連業界の収支が好転したこと等を背景に、当期においても排ガス規制強化時に購入された車種の買替需要が継続したことなどから、販売量は前期並みの高い水準となり、採算面でも材料費の削減効果等により前期を上回った。

カーエアコン用コンデンサは、全体的な国内自動車生産台数の落込みに加え、軽自動車の生産も年度初めの軽自動車税の増税の影響を受けて大幅に減少したため、前期を大きく下回る売上となった。

素形材製品は、国内自動車生産台数の減少により国内向け受注が低調となる中、高級車向け、輸出向けの出荷が増加したこと等から、前期を上回る売上となった。

電子材料部門においては、アルミ電解コンデンサ用電極箔は、円安を受け顧客日系コンデンサメーカーの価格競争力・市場シェアが回復し、コンデンサ生産や電極箔調達を国内に戻す動きも進む中で受注獲得に努めた結果、前期を上回る売上となった。

パネルシステム部門においては、業務用冷凍・冷蔵庫は、コンビニエンスストア向けの需要に一服感が出たものの、店舗向け小型物件の需要が底堅く推移し、また、食品加工工場や卸売市場向け、低温流通倉庫向けでも、食の安全意識の高まりや首都圏の道路整備を背景に活発な投資が続き、物件も大型化の傾向を強めるなど、需要が増加した。クリーンルームにおいても、半導体や液晶業界の再編に伴う増改築需要を受けて受注が増加し、医薬・バイオ向けも堅調に推移したことから、部門全体で前期を大幅に上回る売上となった。

炭素製品部門においては、顧客となる鉄鋼・アルミニウム製錬業界の業績悪化により、主力製品の高炉・電炉用カーボンブロック、電極用不定形材料、カソード等の販売が落ち込み、前期を大幅に下回る売上となった。

以上の結果、当期の加工製品、関連事業セグメントの売上高は前期の1,380億88百万円に比べ111億32百万円(8.1%)増の1,492億20百万円、営業利益は前期の77億4百万円に比べ32億54百万円(42.2%)増の109億58百万円となった。

(箔、粉末製品)

箔部門においては、電解コンデンサ用高純度アルミ箔は、粉末積層箔や貫通孔箔など新製品の採用は着実に進展したが、全体としては国内の需要低迷を受けて出荷減となった。一般箔では、全体の需要は食品向けを中心に低調だったものの、食品向け撥水性加工箔、医薬包材向け加工箔などの高付加価値製品の販売が堅調に推移し、産業界における用途拡大を受けリチウムイオン電池外装用プレーン箔の出荷も大きく伸びたことに加え、前期中に実施したロールマージン値上げの効果が当期は全期間に及んだため、部門全体の売上は、前期を上回った。

なお、箔部門においてグループ間で重複した組織・機能を解消し、人員・設備等の経営資源の有効活用を図るため、東洋アルミニウム株式会社は、平成28年4月1日付で、同社子会社の東海アルミ箔株式会社、東洋アルミ千葉株式会社およびトーヤルテクノフロンティア株式会社を吸収合併した。

パウダー・ペースト部門においては、新製品のガラスフレーク、着色アルミペーストの販売が北米市場を中心に好調に推移し、また、インキ向け、家電向けアルミペーストの出荷も堅調だったが、主力の自動車塗向けにおいて、シルバー等のメタリック色以外への嗜好の多様化が進み厳しい需要環境が続いていること等から、部門全体ではほぼ前期並みの売上に留まった。

ソーラー部門においては、太陽光パネルの生産が増加し市場の拡大基調が続く中、太陽電池用バックシートは、一部ユーザーの与信懸念が続いたものの、新規顧客を獲得するなど順調に販売を拡大した。太陽電池用機能性インキは、上半期は顧客獲得競争で苦境に立ったが、下半期に入り新製品の投入等で販売量が回復に向かったため、部門全体で前期を上回る売上となった。

以上の結果、当期の箔、粉末製品セグメントの売上高は前期の962億27百万円に比べ57億74百万円(6.0%)増の1,020億1百万円、営業利益は前期の41億83百万円に比べ26億46百万円(63.3%)増の68億29百万円となった。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当期末における連結ベースの現金および現金同等物については、前期末に比べ70億52百万円(24.0)増加の364億85百万円となった

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当期における営業活動によるキャッシュ・フローは377億70百万円の収入となった。これは税金等調整前当期純利益や減価償却費などの非資金損益項目が、法人税等の支払などによる支出を上回ったことによるものである。なお、営業活動によるキャッシュ・フロー収入は前年同期と比べ259億90百万円増加しているが、これは主にたな卸資産が減少したことによるものである。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当期における投資活動によるキャッシュ・フローは194億19百万円の支出となった。これは、主として有形固定資産の取得による支出によるものである。なお、投資活動によるキャッシュ・フロー支出は前年同期と比べ123億円増加しているが、これは主に有形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものである。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当期における財務活動によるキャッシュ・フローは107億8百万円の支出となった。これは、主として長期借入金の返済による支出があったことによるものである。なお、財務活動によるキャッシュ・フロー支出は前年同期と比べ68億73百万円減少しているが、これは主に長期借入れによる収入が増加したことなどによるものである。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績及び受注状況

 当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様でなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていない。

 このため、生産実績及び受注状況については、「1.業績等の概要」におけるセグメント業績に関連付けて示している。

(2)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

セグメントの名称

金額(百万円)

前連結会計年度比(%)

 

 アルミナ・化成品

32,638

4.3

 

 地金

77,206

△7.0

 

アルミナ・化成品、地金

109,844

3.9

 

 板製品

56,771

46.7

 

 押出製品

46,569

5.5

 

板、押出製品

103,340

24.8

 

 輸送関連製品

72,277

7.0

 

 電子材料

7,215

47.2

 

 その他

69,728

6.2

 

加工製品、関連事業

149,220

8.1

 

箔、粉末製品

102,001

6.0

合計

464,405

7.6

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去している。

2.当連結会計年度において、主要な販売先として記載すべきものはない。

3.上記の金額には、消費税等は含まれていない。

3【対処すべき課題】

今後のわが国経済の見通しについては、雇用・所得環境の改善が続く中、政府・日銀による各種政策効果も相まって、緩やかな回復に向かうことが期待されるが、その半面、海外経済の下振れリスクがわが国の景気回復を下押しする懸念もあり、景気動向は予断を許さない状況下にある。

このような環境の中、当社グループは「アルミとアルミ関連素材の用途開発を永遠に続けることによって、人々の暮らしの向上と地球環境の保護に貢献していく」という日軽金グループの使命(経営理念)のもと、持続的成長と中長期的な企業価値向上を図るべく、本年4月を起点とする新たな中期経営計画(平成28年度~平成30年度)を策定した。

この新たな中期経営計画では、平成25年4月を起点とする3ヵ年の中期経営計画(以下「前中計」という。)で定めていた目標値を達成する原動力となったアルミニウム素材に関する深い洞察力、経験に裏打ちされた加工開発、サービス力等を当社グループの最大の強みと認識し、さらにチーム日軽金として、こうした強みを一段と強化することにより、他社の追随を許さない「異次元の素材メーカー」としての地位を確固たるものにすべく、以下の基本方針を掲げている。

① グループ連携による新商品・新ビジネスモデルの創出

当社グループは、アルミニウムに関する広範な事業領域を有しており、グループ連携による横断的・複眼的視点で顧客のニーズを汲み上げ、付加価値を生むための知恵を結集させることによって、ものづくりだけに止まらず、設計、施工、サービス、メンテナンスからビジネスコンセプトに至るまでの総合力で競争優位性を持った新商品・新ビジネスを創り上げ、グループの成長を目指していく。

当社グループは、グループ連携の強みを徹底的に探究することで、複合的で差別性のある利益率の高い新商品・新ビジネスモデルを創出し、専業化・大規模化の潮流とは一線を画した、付加価値の高度化によって、比類なき価値創造力・競争力を有する企業集団としての姿をさらに追求していく。

② 地域別×分野別戦略による事業展開

経営資源を投入する分野を地域と市場分野の組合せから選別し、投資の収益性を最大化させることに加え、海外展開では、これまでの中国・東南アジアを中心とした事業展開から、その他アジア地域・北米地域まで視野に入れた展開を積極的に推進し、真にグローバル企業と呼ばれるに値する企業体への変革を図る。

また、地域と市場分野の多種多様な組合せに機動的・効率的に対応できるよう、グループ各社・各部門の垣根を取り払い、ビジネスに即して自由自在に集合・離散できる柔軟で俊敏な組織設計を行い、これを運用していく。

③ 企業体質強化(事業基盤強化)

上記基本方針の実現に不可欠な「グループ連携の視点でビジネス創生できる人財」を育むための教育制度を拡充するとともに、国内・海外、グループ会社・各部門間の人財の流動性を高め、人財の国際化・多様化を推進していく。

また、グループ間の協業等を通じ、高付加価値品の開発、海外への販路開拓、成長市場への販売強化等を推し進め、化成品事業、板事業等の収益向上を図るとともに、新規に海外進出した拠点の収益安定化にも努めていく。
当社グループは、以上の基本方針に基づくアクションプランに果敢に取り組み、今後もグループ一丸となり総力を挙げて、企業価値ひいては株主共同の利益の向上に邁進する所存である。

なお、企業の持続的発展に不可欠なCSR(企業の社会的責任)について、当社グループでは、アルミニウムの特性を活かした環境配慮型製品の開発・供給、アルミスクラップの回収・再生を通じた環境負荷低減等の環境経営に加え、当社グループ従業員・事業所周辺の安全、進出国・地域の文化の多様性等への配慮を重視した経営を行っていく。

また、内部統制、コンプライアンスの強化にも努めていくが、このような取組みの中で、平成28年2月に、当社子会社である日本軽金属株式会社が、新潟地区の地方公共団体が発注するポリ塩化アルミニウムについて、供給すべき者を決定するなど独占禁止法に違反する行為があったとして公正取引委員会から排除措置命令及び課徴金納付命令を受けたことは誠に遺憾であり、申し訳なく存じます。

当社グループでは、今般の事態を厳粛かつ深刻に受け止め、独占禁止法遵守を徹底するための体制構築及び活動をこれまで以上に推進する。具体的には、再発防止の施策として、同業会社との接触制限や社内の価格決定に関するルールの明確化などの社内規程の改定に加え、研修・教育機会の充実により全従業員へのコンプライアンス意識の浸透を図るとともに、内部通報制度の利用促進等を通じた不正行為の早期発見・早期対応の態勢づくりに順次着手しており、これらの施策の確実な実行により公正な事業活動の実践に真摯に取り組み違法行為を根絶し、企業としての信頼回復に全力を注いでいく。

 

当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

1.基本方針の内容

当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方としては、当社を支える様々なステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させる者でなければならないと考える。

したがって、当社は、特定の者又はグループ(特定の者又はグループを以下「買付者」という。)による、当社の財務及び事業の方針の決定を支配することを目的とする当社株式の大規模な買付行為や買付提案であっても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではない。また、株式上場会社として当社株式の自由な売買が認められている以上、買付者の大規模な買付行為に応じて当社株式を売却するか否かは、最終的には株主の判断に委ねられるべきものである。

しかしながら、株式の大規模な買付行為や買付提案の中には、その目的等から見て企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を強要するおそれのあるもの、対象会社の取締役会や株主が買付行為や買付提案の内容等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するために合理的に必要十分な時間や情報を提供しないもの、買付条件等が対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に照らして著しく不十分又は不適当であるもの、対象会社の企業価値の維持・増大に必要不可欠なステークホルダーとの関係を破壊する意図のあるものなど、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なくない。

上記の例を含め、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を損なうおそれが認められる場合には、当該買付者を当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては適切でないと判断すべきであると考える。

 

2.基本方針の実現に資する特別な取組み

当社グループは、「アルミとアルミ関連素材の用途開発を永遠に続けることによって、人々の暮らしの向上と地球環境の保護に貢献していく」という日軽金グループの使命(経営理念)のもと、「アルミニウム」というユニークで優れた特性を有する素材の可能性を開拓することによって、企業価値の持続的向上に努めてきた。

当社グループの事業を大きな川にたとえると、アルミナ・化成品の製造が最も上流の工程となり、次いでアルミ合金地金の製造が続く。さらにアルミを素材として、アルミ板、アルミ押出製品から、箔・粉末製品、輸送関連製品などの各種加工製品に至るまで、広範な領域において事業展開している。

当社グループでは、グループ全体として持続的に発展し、企業価値の向上を図るためには、経営と執行の分離をより徹底させた連結経営体制への変革が必要と判断し、平成24年10月1日付で純粋持株会社としてグループ全体を統括する当社を設立するとともに、前中計では、その基本方針である「地域別×分野別戦略による事業展開」「新商品・新ビジネスによる成長ドライバー創出」「企業体質強化」に基づき連結収益の最大化に向けた数々の施策を実行し、その結果、当初設定した前中計の経営目標を概ね達成した。

そして、平成28年4月には平成28年度から平成30年度までの3ヵ年の新たな中期経営計画がスタートした。この新たな中期経営計画では、前中計で定めていた目標値を達成する原動力となったアルミニウム素材に関する深い洞察力、経験に裏打ちされた加工開発、サービス力等を当社グループの最大の強みと認識し、さらにチーム日軽金として、こうした強みを一段と強化することにより、他社の追随を許さない「異次元の素材メーカー」としての地位を確固たるものにすべく、以下の基本方針を掲げている。

① グループ連携による新商品・新ビジネスモデルの創出

当社グループは、アルミニウムに関する広範な事業領域を有しており、グループ連携による横断的・複眼的視点で顧客のニーズを汲み上げ、付加価値を生むための知恵を結集させることによって、ものづくりだけに止まらず、設計、施工、サービス、メンテナンスからビジネスコンセプトに至るまでの総合力で競争優位性を持った新商品・新ビジネスを創り上げ、グループの成長を目指していく。

当社グループは、グループ連携の強みを徹底的に探究することで、複合的で差別性のある利益率の高い新商品・新ビジネスモデルを創出し、専業化・大規模化の潮流とは一線を画した、付加価値の高度化によって、比類なき価値創造力・競争力を有する企業集団としての姿をさらに追求していく。

② 地域別×分野別戦略による事業展開

経営資源を投入する分野を地域と市場分野の組合せから選別し、投資の収益性を最大化させることに加え、海外展開では、これまでの中国・東南アジアを中心とした事業展開から、その他アジア地域・北米地域まで視野に入れた展開を積極的に推進し、真にグローバル企業と呼ばれるに値する企業体への変革を図る。

また、地域と市場分野の多種多様な組合せに機動的・効率的に対応できるよう、グループ各社・各部門の垣根を取り払い、ビジネスに即して自由自在に集合・離散できる柔軟で俊敏な組織設計を行い、これを運用していく。

③ 企業体質強化(事業基盤強化)
上記基本方針の実現に不可欠な「グループ連携の視点でビジネス創生できる人財」を育むための教育制度を拡充するとともに、国内・海外、グループ会社・各部門間の人財の流動性を高め、人財の国際化・多様化を推進していく。

また、グループ間の協業等を通じ、高付加価値品の開発、海外への販路開拓、成長市場への販売強化等を推し進め、化成品事業、板事業等の収益向上を図るとともに、新規に海外進出した拠点の収益安定化にも努めていく。
当社グループは、以上の基本方針に基づくアクションプランに果敢に取り組み、今後もグループ一丸となり総力を挙げて、企業価値ひいては株主共同の利益の向上に邁進する所存である。

 

3.不適切な者による支配の防止に関する取組み

当社では、上記1.に述べた基本方針に照らして、不適切な者により当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みとして、平成28年5月13日開催の当社取締役会において「当社株式の大規模買付行為への対応策(買収防衛策)」(以下「本プラン」という。)への更新につき株主に承認を求めることを決議し、平成28年6月24日開催の当社第4回定時株主総会において、株主の承認を得た。また、当社は本プランへの更新に伴い、特別委員会を設置し、特別委員会の委員として、林良一、早野利人及び安井洸治の3氏が選任され、就任している。

本プランの概要は以下のとおりである。

 

① 本プランの対象となる当社株式の買付

本プランの対象となる当社株式の買付とは、特定株主グループ(当社株券等の保有者及びその共同保有者、又は買付等を行う者及びその特別関係者)の議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、又は結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為(いずれについても事前に当社取締役会が同意し、かつ公表したものを除き、また市場取引、公開買付等の具体的な買付方法の如何を問わない。以下、かかる買付行為を「大規模買付行為」といい、かかる買付行為を行う者を「大規模買付者」という。)とする。

 

② 特別委員会の設置

本プランにおいて当社が設定した大規模買付行為を行う際の情報提供等に関するルール(以下「大規模買付ルール」という。)が遵守されたか否か、あるいは大規模買付ルールが遵守された場合でも、当該大規模買付行為が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうものであることを理由として対抗措置をとるか否かについては、後記3.④に定義する株主意思確認総会の決議等がある場合にはそれに従うことを条件として当社取締役会が最終的な判断を行うが、本プランを適正に運用し、当社取締役会によって恣意的な判断がなされることを防止し、その判断の合理性・公正性を担保するため、特別委員会規程を定めるとともに、特別委員会を設置する。特別委員会の委員は3名以上とし、公正で中立的な判断を可能とするため、当社の業務執行を行う経営陣から独立している社外取締役、社外監査役又は社外有識者のいずれかに該当する者の中から当社取締役会が選任する。当社取締役会は、対抗措置を発動するか否かを判断するに先立ち、特別委員会に対し対抗措置の発動の是非について必ず諮問することとし、特別委員会は当社の企業価値ひいては株主共同の利益の向上の観点から大規模買付行為について慎重に評価・検討のうえで、当社取締役会に対し対抗措置を発動することができる状態にあるか否かについての勧告を行うものとする。当社取締役会は、特別委員会の勧告を最大限尊重したうえで対抗措置の発動について決定することとする。特別委員会の勧告内容については、その概要を適宜公表することとする。

 

③ 大規模買付ルールの概要

大規模買付者が大規模買付行為を行おうとする場合には、事前に大規模買付ルールに従う旨の法的拘束力を有する誓約文言など、一定の事項を記載した意向表明書を提出するものとする。当社取締役会は、意向表明書を受領した日の翌日から起算して10営業日以内に、大規模買付者に対して、大規模買付行為に関する情報として当社取締役会への提出を求める事項(以下「評価必要情報」という。)について記載した書面(以下「評価必要情報リスト」という。)を交付し、大規模買付者には、評価必要情報リストの記載に従った評価必要情報の提出を求める。大規模買付行為は、大規模買付者が当社取締役会に対し評価必要情報の提供を完了した後、対価を現金(円貨)のみとする公開買付による当社全株式の買付の場合は最長60日間又はその他の大規模買付行為の場合は最長90日間の取締役会評価期間経過後のみに開始されるものとする。取締役会評価期間中、当社取締役会は、必要に応じて独立した第三者である外部専門家等の助言を受けながら、提供された評価必要情報を十分に評価・検討するとともに、特別委員会への諮問を必ず行いその勧告を最大限尊重したうえで、当社取締役会としての意見を慎重にとりまとめ、公表する。また、必要に応じ、大規模買付者との間で大規模買付行為に関する条件改善について交渉することや、当社取締役会として株主へ代替案を提示することもある。

 

④ 大規模買付行為がなされた場合の対応方針

大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しなかった場合には、具体的な買付方法の如何にかかわらず、当社取締役会は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を守ることを目的として、新株予約権の無償割当等、会社法その他の法律及び当社定款が認める対抗措置をとることにより大規模買付行為に対抗する場合がある。なお、大規模買付ルールを遵守したか否かを判断するにあたっては、大規模買付者側の事情をも合理的な範囲で十分勘案し、少なくとも評価必要情報の一部が提出されないことのみをもって大規模買付ルールを遵守しないと認定することはしないものとする。

大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合には、当社取締役会は、仮に当該大規模買付行為に反対であったとしても、当該買付提案についての反対意見を表明したり、代替案を提示することにより、株主を説得するに留め、原則として当該大規模買付行為に対する対抗措置はとらない。大規模買付者の買付提案に応じるか否かは、株主において、当該買付提案及び当社が提示する当該買付提案に対する意見、代替案等を考慮のうえ、判断することになる。

ただし、大規模買付ルールが遵守されている場合であっても、当該大規模買付行為が、当社に回復し難い損害をもたらすなど、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうと当社取締役会が判断し、かつ対抗措置を発動することが相当であると認められる場合には、例外的に当社取締役会は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を守ることを目的として必要かつ相当な範囲で、新株予約権の無償割当等の対抗措置の発動を決定することができるものとする。

当社取締役会は、対抗措置の発動の是非について判断を行う場合は特別委員会への諮問を必ず行うとともにその勧告を最大限尊重し、対抗措置の必要性、相当性等を十分検討したうえで対抗措置発動又は不発動等に関する会社法上の機関としての決議を行うものとする。

なお、当社取締役会は、特別委員会が対抗措置の発動について勧告を行い、発動の決議について株主の意思を確認するための株主総会(以下「株主意思確認総会」という。)の開催を要請する場合には、株主が本プランによる対抗措置を発動することの可否を十分に検討するための期間(以下「株主検討期間」という。)として最長60日間の期間を設定し、当該株主検討期間中に当社株主意思確認総会を開催することがある。ただし、当社取締役会は、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合においては、大規模買付行為が以下の(ⅰ)から(ⅴ)のいずれかに該当するとして特別委員会から対抗措置を発動すべき旨の勧告を受けた場合を除き、対抗措置を発動する場合には、株主検討期間を設定し、株主意思確認総会を必ず開催するものとする。

(ⅰ)真に当社グループの経営に参加する意思がないにもかかわらず、ただ株価をつり上げて高値で当社の関係者に引き取らせる目的で当社株式の買収を行っていると判断される場合(いわゆるグリーンメーラーである場合)

(ⅱ)当社グループの経営を一時的に支配して当社グループの事業経営上必要な知的財産権、ノウハウ、企業秘密情報、主要取引先や顧客等を大規模買付者やそのグループ会社等に移譲させるなど、いわゆる焦土化経営を行う目的で当社株式の買収を行っていると判断される場合

(ⅲ)当社グループの経営を支配した後に、当社グループの資産を大規模買付者やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する予定で当社株式の買収を行っていると判断される場合

(ⅳ)当社グループの経営を一時的に支配して当社グループの事業に当面関係していない不動産、有価証券など高額資産等を売却等処分させ、その処分利益をもって一時的な高配当をさせるかあるいは一時的高配当による株価の急上昇の機会を狙って当社株式の高値売り抜けをする目的で当社株式の買収を行っていると判断される場合

(ⅴ)大規模買付者の提案する当社株式の買付方法が、いわゆる強圧的二段階買収(最初の買付で当社株式の全部の買付を勧誘することなく、二段階目の買収条件を不利に設定し、あるいは明確にしないで、公開買付等による株式の買付を行うことをいう。)等の、株主の判断の機会または自由を制約し、事実上、株主に当社株式の売却を強要するおそれがあると判断される場合

株主意思確認総会において対抗措置の発動又は不発動について決議等がなされた場合、当社取締役会は、当該株主意思確認総会の決議等に従うものとする。したがって、当該株主意思確認総会が対抗措置を発動することを否決する決議等がなされた場合には、当社取締役会は対抗措置を発動しない。

 

⑤ 本プランの有効期限

本プランの有効期限は、平成31年6月30日までに開催される当社第7回定時株主総会の終結の時までとする。

 

4.本プランが基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を

  目的とするものではないこと

 

① 買収防衛策に関する指針の要件を充足していること

本プランは、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を充足している。

また、経済産業省に設置された企業価値研究会が平成20年6月30日に発表した報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」及び東京証券取引所が平成27年6月1日に公表した「コーポレートガバナンス・コード」の「原則1-5いわゆる買収防衛策」の内容も踏まえたものとなっている。

 

② 株主共同の利益の確保・向上の目的をもって継続されていること

本プランは、当社株式に対する大規模買付行為がなされた際に、当該大規模買付行為に応じるべきか否かを株主が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提案するために必要な情報や時間を確保したり、株主のために買付者と交渉を行うこと等を可能とすることで、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって継続したものである。

本プランは、株主の承認を得て発効したものであり、株主が望めば本プランの廃止も可能であることは、本プランが株主共同の利益を損なわないことを担保していると考えられる。

また、当社取締役は当社の定款において、その任期は1年と定められている。したがって、毎年の当社定時株主総会における取締役の選任議案に関する議決権の行使を通じても、本プランに関する株主の意向を反映することが可能となっている。

 

③ 当社取締役会の恣意的判断の排除

大規模買付行為に関して当社取締役会が評価・検討、取締役会としての意見の取りまとめ、代替案の提示、もしくは大規模買付者との交渉を行い、又は対抗措置を発動する際には、独立した第三者である外部専門家の助言を得るとともに、当社の業務執行を行う経営陣から独立している委員で構成される特別委員会へ諮問を必ず行い、同委員会の勧告を最大限尊重するものとされている。

また、その勧告内容の概要については株主に公表することとされており、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に適うように本プランの透明な運用を担保するための手続きも確保されている。

さらに、当社取締役会が対抗措置の発動を決議する場合には、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しなかった場合、または大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合において大規模買付行為が上記3④の(ⅰ)から(ⅴ)のいずれかに該当するとして特別委員会から対抗措置を発動すべき旨の勧告を受けた場合を除き、株主意思確認総会を必ず開催し、株主意思確認総会において対抗措置の発動または不発動について決議等がなされた場合、当社取締役会は、当該株主意思確認総会の決議等に従うものとされており、対抗措置の発動に際して当社取締役会の恣意的判断を排除するための手続きが確保されている。

 

④ デッドハンド型やスロー・ハンド型の買収防衛策ではないこと

本プランは、当社の株主総会で選任された取締役で構成される取締役会によりいつでも廃止することができるものとされており、当社の株式を大量に買い付けようとする者が、自己の指名する取締役を当社株主総会で選任し、かかる取締役で構成される取締役会により、本プランを廃止することが可能である。

従って、本プランは、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではない。

また、当社の取締役任期は1年のため、本プランは、スロー・ハンド型買収防衛策(取締役の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間がかかる買収防衛策)でもない。

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあると考えている。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月24日)現在において当社グループが判断したものである。

(1)経済情勢及び景気動向等

 当社グループは、コモディティビジネスから脱却して経済情勢及び景気動向に左右されにくい強固で安定した経営基盤の構築を目指して事業運営をしているが、当社グループの製品需要は販売している国・地域の経済情勢及び景気動向の影響を免れるものではなく、特に日本国内の景気後退による需要の縮小、あるいは顧客ニーズの大幅な変化は、販売減少等により当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性がある。

(2)為替相場の変動

 当社グループの外貨建ての売上、費用、資産、負債等の項目は、連結財務諸表作成のために邦貨換算しており、換算時の為替相場により現地通貨ベースの価値に変動がなくても邦貨換算後の価値に影響を及ぼす可能性がある。また、当社グループは、為替変動が財政状態及び経営成績等に及ぼす影響を軽減するために、外貨建ての資産・負債の一部について先物為替予約によりヘッジを実施しているが、為替変動が当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性がある。

(3)金利動向

 当社グループの金融機関等からの借り入れには変動金利によるものが含まれており、これに係る支払利息は金利変動により影響を受ける。当社グループは、金利変動が財政状態及び経営成績等に及ぼす影響を軽減するために、変動金利の借り入れの一部について金利スワップ契約によりヘッジを実施しているが、金利変動が当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性がある。

(4)商品市況変動等

 当社グループは、主要原材料であるアルミニウム地金等を海外(国内外商社経由を含む)から調達している。アルミニウム地金等の価格変動に対しては長期契約や先渡取引によりヘッジを実施しており、基本的に価格変動部分は製品価格に転嫁している。また、重油等の燃料価格や補助原材料の価格、原材料等を輸入する際の船賃等の仕入に係る価格変動についても、価格上昇を当社グループの製品価格に転嫁することを基本としている。しかしながら、価格上昇の製品コストへの影響を完全に排除できるわけではなく、特に最終ユーザーに近い加工製品等については、アルミニウム地金等の価格上昇分等を直接製品価格に転嫁することが困難となる場合がある。当社グループは商品市況変動等が財政状態及び経営成績等に及ぼす影響を軽減するため、コスト削減及びより高付加価値の製品への転換等により対処を図っているが、商品市況変動等が当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性がある。

(5)事故・自然災害

 火災、地震、水災、停電等の災害を想定して、近隣まで含めた災害発生時の対処、復旧計画、各種損害保険加入による対策、データのバックアップ体制等について、製造設備関連のみならず情報システム関連についても訓練・点検等を実施し、定期的に内容の見直しを行っているが、災害発生により損害を被る可能性がある。

 かねてより大地震発生の可能性が言及されてきた、東海、東南海、南海トラフの連動巨大地震に対して、当社グループとしても、保険による財務的リスクの移転、製造現場での防災対策等、重点的に対処しているが、これらの対策によって、大地震発生による損害を充分にカバーできるという保証はない。

(6)公的規制

 当社グループは、日本国内のみならず事業展開する各国において、事業の許認可、国家安全保障、独占禁止、通商、為替、租税、特許、環境等、様々な公的規制を受けている。当社グループは、これらの公的規制の遵守に努めているが、将来、コストの増加につながるような公的規制や、当社グループの営む各事業の継続に影響を及ぼすような公的規制が課せられる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性がある。

(7)係争事件等

 現在、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性のある係争事件等はないが、広範な事業活動の中で、今後そのような係争事件等が発生する可能性は皆無ではない。

(8)債務保証等

 当社グループは、投資先の借入金等に対しての債務保証契約等を金融機関等との間で締結している。当社グループでは、債務保証等の履行を要求される可能性は僅少であると判断しているが、将来、債務保証等の履行を求められる状況が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性がある。

(9)製品の欠陥

 当社グループは、日本国内及び事業展開する各国において認められている品質管理基準に従って製品を製造しているが、将来にわたって全ての製品に欠陥が無く、製造物賠償責任請求及びリコール等に伴う費用が発生しないという保証はない。当社グループは、製造物賠償責任請求については保険に加入しているが、最終的に負担する賠償額を全て賄えるという保証はなく、製品の欠陥が当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性がある。

 なお、現時点では予想できない上記以外の事象により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性がある。

5【経営上の重要な契約等】

 アルミニウム薄板連続鋳造に関する契約

契約会社名

相手方の名称

国名

契約内容

契約期間

日本軽金属㈱

連結子会社

ノベリス・インク

カナダ

包括契約(付属契約を含む)

 アルミニウム薄板連続鋳造に係る設備設置及び技術・商標のライセンス

平成14年4月1日から契約解除等による終了の日まで

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、アルミニウムに関する経営資源をベースに、付加価値の高い機能材料と加工品を事業展開し、収益基盤を拡大することを事業戦略の力点に置いている。特に、アルミ素材関連の基礎技術に磨きをかけ、この技術を活かした新商品・新技術の創造を推し進めるとともに、グループ全体の有機的な連携を強め、高い付加価値商品・サービス群で構成された成長を持続する企業集団としての姿を追求している。

 現在、当社グループは、技術・開発統括室を中心に、従来の組織分野ごとに蓄えられた知的資源・情報・技術を統合し、組織横断的に市場ニーズに対応する「横串活動」へと展開し、市場競争力のある付加価値の高い製品の開発を進めている。

 また、日本軽金属㈱グループ技術センターは、マトリクス組織を導入し、永年培ってきた材料・表面処理・解析設計・接合加工・分析の技術を活かしながら、「横串活動」に積極的に参画している。さらに、生産・販売に直結した技術・製品開発体制を整備し、また、高度化・多様化する市場・顧客ニーズに即応可能な技術サービス力の充実を図ることにより、収益拡大に貢献する新製品・新技術の開発を進めている。

 当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は47億94百万円であり、各セグメントにおける研究目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりである。

(アルミナ・化成品、地金)

 当社グループのアルミナ・化成品の製造部門を中心に、アルミナ、水酸化アルミニウム、各種化学品の高品質・高付加価値化に関する開発及び新用途開発等を行っており、多角的な視野から研究開発を進めている。

 地金に関しては、日本軽金属㈱グループ技術センターを中心に、各ユーザーのニーズの多様化に対応するため、顧客毎の仕様に合わせた合金を開発している。

 当セグメントに係る研究開発費は5億5百万円である。

 

(板、押出製品)

 日本軽金属㈱グループ技術センターを中心に、自動車や鉄道等の軽量化に適合するアルミニウム板、押出材の開発及びその量産技術、需要拡大につながる新規応用製品の開発等を行っている。

 当連結会計年度には、最新のFSW(摩擦攪拌接合)技術によってアルミニウム合金製大型形材をユニット化することで、軽量かつ高強度のアルミニウム床版を開発した。

 当セグメントに係る研究開発費は14億96百万円である。

 

(加工製品、関連事業)

 日本軽金属㈱グループ技術センターを中心に、電子材料、景観関連製品、輸送関連製品、アルミニウム建築構造部材等のアルミニウム加工製品関連の研究開発を行っている。

 当連結会計年度には、オゾン破壊係数がゼロで地球温暖化係数が極めて低いレベルを実現した新たな発泡剤「HFO(ハイドロ フルオロ オレフィン)」を用いたノンフロン断熱不燃パネル「ジェネスタ不燃」の開発に成功し、生産・販売を開始した。

 当セグメントに係る研究開発費は11億3百万円である。

 

(箔、粉末製品)

 東洋アルミニウム㈱を中心に、アルミ箔、アルミペースト、粉末製品等に関する基礎研究、応用研究を行い、新素材や高機能材料等の開発を行っている。

 当連結会計年度には、清水建設㈱と共同で、コンクリートの表層品質を向上させる超撥水型枠「アート型枠」を開発した。

 当セグメントに係る研究開発費は16億90百万円である。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものである。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するに当たり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載している。当社グループでは、以下に記載した会計方針及び会計上の見積りが、連結財務諸表作成に重要な影響を及ぼしていると考えている。

①貸倒引当金

 当社グループは、売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能見込額を見積り、貸倒引当金として計上している。将来、顧客等の財務状況悪化、経営破綻等により、顧客等の支払能力が低下したとの疑義が生じたと判断される場合には、貸倒引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性がある。

②資産の評価

 当社グループは、たな卸資産については主として原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用しているが、製品別・品目別に管理している受払状況から、滞留率・在庫比率等を勘案して、陳腐化等により明らかに市場価値が滅失していると判断された場合には、帳簿価額と正味売却価額との差額を評価損として計上している。実際の市場価格が、当社グループの見積りよりも悪化した場合には、評価損の追加計上が必要となる可能性がある。

 当社グループは、長期的な取引関係の維持・構築のため、一部の顧客及び金融機関等の株式を所有しており、金融商品に係る会計基準に基づいて評価している。将来において市場価格のある株式の時価が著しく下落したとき、回復する見込みがあると認められない場合には、評価損を計上する可能性がある。一方、市場価格のない株式については、将来において投資先の業績不振等により、帳簿価額に反映されていない損失あるいは帳簿価額の回収不能が発生したと判断された場合には、評価損を計上する可能性がある。

 当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しており、将来において、資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失の追加計上が必要となる可能性がある。

③繰延税金資産

 当社グループは、合理的で実現可能なタックスプランニングに基づき将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を充分に検討し繰延税金資産を計上している。

 将来、実際の課税所得が減少した場合、あるいは将来の課税所得の見積り額が減少した場合には、当該会計期間において、繰延税金資産を取り崩すことにより税金費用が発生する可能性がある。一方、実際の課税所得が増加した場合、あるいは将来の課税所得の見積り額が増加した場合には、繰延税金資産を認識することにより、当該会計期間の当期純利益を増加させる可能性がある。

④退職給付費用及び債務

 当社グループは、従業員の退職給付費用及び債務を算出するに当たり、数理計算上で設定した基礎率(割引率、昇給率、退職率、死亡率、期待運用収益率等)は、統計数値等により合理的な見積りに基づいて採用している。これらの見積りを含む基礎率が実際の結果と異なる場合、その影響額は数理計算上の差異として累積され、将来期間にわたって償却されるため、将来において計上される退職給付費用及び債務に影響を及ぼす。当社グループは採用している基礎率は適切であると考えているが、実際の結果との差異が将来の当社グループの退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性がある。

(2)当連結会計年度の財政状態の分析

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ50億83百万円減少し、4,521億94百万円となった。これは、主にたな卸資産が減少したことなどによるものである。

 負債合計は、前連結会計年度末に比べ121億17百万円減少し、3,077億75百万円となった。これは、借入金が減少したことなどによるものである。有利子負債残高は、前連結会計年度末の1,889億90百万円から67億83百万円減少し、1,822億7百万円となった。

 純資産合計は、前連結会計年度末に比べ70億34百万円増加し、1,444億19百万円となった。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加などによるものである。この結果、自己資本比率(期末純資産から非支配株主持分を控除したベース)は、前連結会計年度末の26.6%から2.2ポイント上昇し、28.8%となった。

(3)当連結会計年度の経営成績の分析

①概要

 当連結会計年度の売上高は4,644億5百万円(前連結会計年度比 7.6%増、329億28百万円増)、営業利益は268億21百万円(同 38.9%増、75億16百万円増)、経常利益は245億26百万円(同 19.1%増、39億26百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は155億33百万円(同 61.0%増、58億88百万円増)となった。

②営業利益

 当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度と比べ、75億16百万円増の268億21百万円となった。これは、中国など新興国経済の減速により生産や輸出面に弱さがみられたものの、円安・資源安の恩恵を受けた企業を中心に企業収益が改善し、雇用・所得環境の好転を背景に個人消費も底堅く推移したことの影響などによるものである。営業利益のセグメント毎の分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載している。

③営業外収益・費用

 営業外収益は、持分法による投資利益が減少したことなどにより、前連結会計年度と比べ、26億32百万円減少し40億43百万円となった。

 営業外費用は、為替差損が増加したことなどにより、前連結会計年度と比べ、9億58百万円増加し63億38百万円となった。

④特別利益・損失

 特別利益は、前連結会計年度においては、投資有価証券減資払戻差益として18億45百万円、固定資産売却益として13億97百万円、負ののれん発生益として6億4百万円計上した一方、当連結会計年度においては、特別利益を計上していない。

 特別損失は、前連結会計年度においては、減損損失として62億1百万円、製品不具合対策費として9億20百万円、環境対策費として5億73百万円、段階取得に係る差損として5億69百万円計上した。当連結会計年度においては、減損損失として6億78百万円、固定資産撤去費として3億32百万円計上した。

⑤税金費用等

 当連結会計年度の税金費用(法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額)は、課税所得が増加したことなどにより、前連結会計年度と比べ、18億5百万円増加し70億15百万円となった。

 非支配株主に帰属する当期純利益は、主として子会社である日本フルハーフ㈱、日軽エムシーアルミ㈱及び日本電極㈱の非支配株主に帰属する利益であり、前連結会計年度の13億28百万円に比べ、3億60百万円減少し当連結会計年度は9億68百万円となった。

⑥親会社株主に帰属する当期純利益

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の96億45百万円に対して61.0%増の155億33百万円となり、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の17円74銭に対し当連結会計年度は28円56銭となり10円82銭の増加となった。

(4)経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載している。

(5)資本の財源及び資金の流動性に関する分析

①キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ70億52百万円(24.0%)増加し、364億85百万円となった。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ、259億90百万円(220.6%)増加し、377億70百万円の収入となった。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の71億19百万円の支出に対し、当連結会計年度は194億19百万円の支出となった。これは主に有形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものである。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の175億81百万円の支出に対し、107億8百万円の支出となった。これは、主として長期借入れによる収入が増加したことなどによるものである。

 

②資金需要・調達及び流動性について

 当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、充分な流動性の維持に留意している。当社グループの資金需要としては、製品製造のための原料及び操業材料の購入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業活動に係る運転資金需要、製造設備の購入及び事業買収等の投資活動に係る長期資金需要がある。

 当社グループは、資金調達に当たって資金の安定性強化と資金コストの低減に傾注しつつ、社債の発行や、主力銀行をはじめとする幅広い金融機関からの借り入れによる調達を行なっている。

 また、流動性に関して、当社グループは金融情勢の変化等を勘案しながら、現金同等物の残高が適正になるように努めている。

 当社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度117億80百万円、当連結会計年度377億70百万円であり、キャッシュ・フローの水準としては比較的安定していると当社グループは考えているが、将来の当社グループの成長を維持するために必要な運転資金及び長期資金を調達するためには、必ずしも充分ではない可能性があると認識している。将来の成長を維持・加速するために必要な資金は、基本的に新商品・新規事業の創出による売上、収益の拡大を通じて営業キャッシュ・フローの増大により確保していく方針である。