第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

JFEグループは、企業理念である「常に世界最高の技術をもって社会に貢献する」ことを通じて、企業としての持続的な成長を図り、株主の皆様をはじめすべてのステークホルダーにとっての企業価値の向上に努めてまいりました。

 当期のわが国経済は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減の影響があったものの、企業業績の改善や雇用・所得環境の改善傾向が続くなど全体としては緩やかな回復基調となりました。輸出環境については、円安の影響による改善はあるものの、中国をはじめとする新興国経済の減速傾向に加え、一部地域における地政学的リスク等もあり、世界経済は不透明な状況が続きました。

 このような状況のもと、JFEグループでは収益改善への取り組みを一層強化するとともに、土木・建築や造船を中心とした堅調な内需や海外ならびに環境・エネルギー分野等への対応に積極的に注力してまいりました結果、当連結会計年度のグループ業績は、連結経常利益および連結当期純利益ともに、前連結会計年度に比べ増益となりました。

 当連結会計年度のセグメント別の業績は、以下のとおりです。

鉄鋼事業においては、当連結会計年度の連結粗鋼生産量は前連結会計年度並みの3,104万トンとなりました。売上高については、為替レートの影響もあり、連結売上高は2兆8,738億円と前連結会計年度に比べ増収となりました。損益については、原料価格の下落に加え、収益改善に向けた継続した取り組み等により、当連結会計年度の連結経常利益は1,885億円となり、前連結会計年度に比べ増益となりました。

 

エンジニアリング事業においては、環境・エネルギーおよびインフラ構築プロジェクトを対象に、積極的な営業活動を展開いたしました。この結果、当連結会計年度の連結売上高は前連結会計年度に比べ大幅に増加し、3,673億円となり、損益については、連結経常利益180億円となりました。また、今後の売上の基礎となる、連結受注高については過去最高の4,595億円となりました。

 

 商社事業においては、国内では、保有する加工・販売体制を活用した提案型営業活動により造船等製造業向けや建設関連向けの鋼材需要を捕捉してまいりました。また、海外においても、従来の輸出取引に加え米国・タイ等を中心に各地域固有のビジネスを積極的に展開してまいりました。その結果、連結売上高は1兆9,344億円、連結経常利益は246億円となり、前連結会計年度に比べ増収・増益となりました。

 

 以上の結果、当社単体業績等と合わせ、当連結会計年度における連結売上高は3兆8,503億円、連結営業利益は2,225億円、連結経常利益は2,310億円となり、前連結会計年度に比べ増収・増益となりました。また、特別損益は43億円の損失となり、連結での税金等調整前当期純利益は2,266億円、連結当期純利益は1,393億円となりました。

 

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、営業活動によるキャッシュ・フローが2,973億円の収入であったのに対し、投資活動によるキャッシュ・フローは固定資産の取得を中心として2,163億円の支出であったことから、これらを合計したフリー・キャッシュ・フローは810億円の収入となりました
 また、財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済等を中心として782億円の支出となりました。
 この結果、当連結会計年度末の借入金・社債等の残高は前連結会計年度末に比べ323億円減少し、1兆5,017億円となり、現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ212億円増加し、835億円となりました。

2【生産、受注及び販売の状況】

 当社グループにおける生産実績については鉄鋼事業の粗鋼生産量を、また受注状況についてはエンジニアリング事業の受注実績・受注残高を記載しております。

 鉄鋼事業は、特定顧客からの受注については反復循環的に生産しているため、受注状況の記載を省略しております。エンジニアリング事業は、請負工事を中心としているため、生産実績を金額あるいは数量で示すことはしておりません。商社事業は、受注生産形態をとらない製品が多いため、生産実績・受注状況を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績は、以下のとおりであります。

セグメントの名称

粗鋼生産量(千トン)

前期比(%)

鉄鋼事業

(うちJFEスチール㈱)

31,045

(28,441)

△1.7

(△0.8)

 

(2)受注状況

 当連結会計年度における受注状況は、以下のとおりであります。

セグメントの名称

受注実績(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

エンジニアリング事業

459,505

+25.2

514,194

+25.6

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績は、以下のとおりであります。

セグメントの名称

販売実績(百万円)

前期比(%)

鉄鋼事業

2,873,839

+6.8

エンジニアリング事業

367,388

+29.3

商社事業

1,934,470

+8.6

5,175,698

+8.8

調整額

△1,325,343

合計

3,850,355

+5.0

(注)1 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合については、各販売先への当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。

2 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(4)その他

 主要な原材料価格および販売価格の状況については、「1 業績等の概要」および「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しているため省略しております。

3【対処すべき課題】

(1)対処すべき課題

〈事業環境とこれまでの取り組み〉

JFEグループを取り巻く事業環境は、円高の是正や国土強靭化政策に伴う堅調な内需に支えられて国内景気回復の動きが見られるものの、海外市場は欧州や新興国経済の不透明感および世界的な需給ギャップの拡大により厳しい状況が続いております。このような状況のもと、JFEグループは、前中期経営計画(平成24~26年度)において、持続的な成長のため企業体質の強化に取り組み、商社事業の資本再編および造船事業の再編ならびに半導体事業の譲渡といった、事業ポートフォリオの見直しを行ないました。

鉄鋼事業においては、設備更新等の国内製造基盤の整備や、アジアを中心とする海外事業投資を行なってまいりました。エンジニアリング事業においては、復興再生や太陽光発電等国内需要を捕捉するとともに、海外でのM&Aを推進し事業拡大にも取り組みました。商社事業においては、事業買収等による海外拠点の拡大等サプライチェーンの強化を実施しました。

今後の事業環境は、国内では国土強靭化等の取り組みやオリンピック・パラリンピックへの対応など底堅い需要が見込まれ、海外では新興国を中心とした社会インフラ増強や省エネルギー・環境対応ニーズの拡大等が期待されます。一方、国内における少子高齢化の進展、原油等の資源価格や為替の大幅な変動、世界各地の政治・経済情勢の変化等、様々な環境変動も予想され、これらへの的確な状況判断と迅速な対応が求められています。

 

〈第5次中期経営計画におけるグループ共通施策〉

本年、JFEグループは、平成27~29年度の事業運営の方針となる第5次中期経営計画を策定いたしました。第5次中期経営計画では、『お客様に世界最高の技術とサービスを提供するグローバル企業』の実現を目指した取り組みを行なってまいります。様々に変化する事業環境に「技術優位性」・「多様な人材力」・「グループ総合力」を高めることで対応し、国内収益基盤の強化と海外事業の収益拡大を推進し、持続的な成長と企業価値向上を図ってまいります。

具体的には、まず、国内収益基盤の強化を継続してまいります。国土強靭化政策やオリンピック・パラリンピック対応などの国内需要を最大限捕捉するだけでなく、グループ内の連携を一層強化し、お客様・市場のニーズに的確かつ迅速に対応する販売体制を構築し、サービスの向上を図ってまいります。国内製造拠点の収益力強化については、前中期経営計画より取り組む設備の更新・補修による安定製造を目的とした基盤整備に留まらず、コスト削減や高級鋼へのプロダクトミックスシフトを可能とする設備のリノベーションを進め、さらなる競争力強化を図ってまいります。

次に、技術優位性に基づいた企業価値向上に努めます。革新的な技術開発に取り組み、世界をリードする技術を生み続け、競争力を高めてまいります。また市場のニーズに基づく新商品の開発と既存商品の競争力を強化する開発を行ない、迅速に市場に投入してまいります。そして省資源・省エネルギー先進技術のさらなる高度化にチャレンジを続け、需要の拡大が見込まれる環境・エネルギー分野において常に世界最先端・最高水準の技術・商品を提供できるサプライヤーを目指します。

海外事業においては、これまでに投資したアジアを中心とする海外プロジェクトについて、現地の需要を着実に捕捉し、各地域の特性に応じた事業運営を図り、さらなる収益拡大に取り組んでまいります。また、グループの技術力・ネットワークを最大限活用し、将来の成長が期待される重点分野・成長地域への新規事業投資を継続してまいります。

さらに、「JFEグループ人材マネジメント基本方針」を制定し、第5次中期経営計画を推進していくために、多様な人材の採用と育成を着実に実施するとともに、全ての人材がその能力を最大限発揮できる環境を整えてまいります。

また、コーポレート・ガバナンスの強化や環境経営の徹底、国際格付A格に求められる財務体質の実現等、持続的な成長を支える企業体質の強化に引き続き取り組んでまいります。

 

 

〈各事業会社の取り組み〉

JFEスチール㈱においては、「常に新たな価値を創造し、お客様とともに成長するグローバル鉄鋼サプライヤー」として、従来より取り組んできた製造実力向上に一層注力するとともに、国内外での拡販活動を強化してまいります。また、収益力向上に努め、最終年度である平成29年度には売上高経常利益率(ROS)10%を目指します。

まず、国内製造基盤の強化に資する設備投資を今後3年間で6,500億円と積極的に行ない、さらなるコスト削減と安定供給体制を実現するとともに技術開発力の強化に取り組み、世界トップクラスの製造実力の維持と向上に努めてまいります。また、商品開発機能と販売機能の一体化やグループ会社との連携強化を推進し、お客様にとってより魅力ある商品・サービスを継続的に提供してまいります。海外事業展開については、前中期経営計画期間までに進めてきたアジアを中心とするプロジェクト投資事業の収益拡大に取り組み、特に技術優位性に基づいた重点分野における事業展開を進めてまいります。さらに、技術の源泉たる人材の確保および育成に注力することにより、製造現場での大幅な世代交代を見据えた技能伝承および新世代による新たな技能向上に取り組んでまいります。

 

JFEエンジニアリング㈱においては、引き続き、過去最高水準にある受注済プロジェクトを着実に遂行し、業績の一層の向上に努めてまいります。また、さらなる成長を図るため、国内では、公共関連ビジネスにおいて、建設主体の従来スタイルに加え、ソリューション提案から運営まで一貫して関わるビジネスモデルを展開してまいります。また、電力自由化政策によりチャンスが広がる電力創生ビジネスに積極的に取り組み、収益基盤の強化、拡大に努めてまいります。海外においては、これまでに整備した海外拠点を活用し、現地化による海外事業の拡大を強力に推し進めてまいります。これに加え、各商品本部に海外事業部を設置し、海外拠点との連携による商品毎のグローバル展開を加速いたします。これらの施策を実行し、第5次中期経営計画では、連結売上高5,000億円、連結経常利益300億円を目指します。

 

JFE商事㈱においては、グループの中核商社としてマーケットインの視点で機能強化を図り、収益を拡大していくことでJFEグループへの貢献度を高めてまいります。海外においては北中米における拠点の拡充やインド以西への積極的な事業展開に取り組むとともに、地産地消の動きに対応した地域戦略の推進に注力し、マーケットの開拓を進めてまいります。国内では、グループ会社も含めてこれまで培ってきた、在庫・加工・リテール販売等の機能にさらに磨きをかけ、シェア向上に努めてまいります。また、既存の投資案件の収益貢献度を高めていくとともに、国内外を問わず、今後も優良な案件については積極的に投資を行ない、サプライチェーンの強化、拡充を図り、JFE商事グループのプレゼンス向上に取り組んでまいります。これらの施策を展開することで、最終年度である平成29年度には連結経常利益300億円を目指します。

 

このような取り組みにより、JFEグループは国内および海外の収益基盤を強化・拡大し、最終年度である平成29年度には自己資本利益率(ROE)10%超えを目指してまいります。また、株主の皆様への利益還元については最重要課題の一つと位置付けており、配当性向を現行の25%から25%~30%程度に高めてまいります。

 

当社はグループの経営課題を着実に実行していくために、株主利益に適うグループ経営および健全なコーポレート・ガバナンスの要として、その機能を充実していくとともに、さらに効率的な運営を図ってまいります。

 

 JFEグループは、社会との信頼関係の基本である、コンプライアンスの徹底、環境課題への取り組み、安全の確立について、グループをあげて真摯な努力を継続し、企業としての持続的成長を図り、株主の皆様をはじめすべてのステークホルダーにとっての企業価値最大化に努めてまいる所存でございます。

(2)会社の支配に関する基本方針

① 基本方針
 当社は、経営支配権の異動は、企業活動・経済の活性化にとって有効な手段の一つであり、当社株式の大規模買付行為が開始された場合において、これを受け入れるかどうかは、原則として、株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えております。

 しかしながら、大規模買付行為またはこれに関する提案につきましては、株主の皆様が、当該大規模買付行為または提案の企業価値および株主共同の利益への影響を的確に判断する必要があると認識しております。そのためには、大規模買付者および当社取締役会の双方から、株主の皆様に迅速に必要かつ十分な情報・意見・提案等の提供と、それらを検討するための必要かつ十分な時間を確保することといたします。

 

② 基本方針の実現に資する特別な取り組み

・企業理念と経営の基本姿勢
 当社グループは、企業理念である「常に世界最高の技術をもって社会に貢献する」ことを通じて、企業価値および株主共同の利益の向上に誠実に努めることを経営の基本姿勢としております。

・当社発足以来の実績

 当社発足後の第1次中期経営計画(平成15~17年度)および第2次中期経営計画(平成18~20年度)においては、その創設の狙いを最大限発揮することにより、収益性の高い企業体質の確立と、将来の成長に向けた基盤作りに着実に取り組み、高い水準の収益をあげることができました。

 第3次中期経営計画(平成21~23年度)では世界金融危機や東日本大震災の発生等、厳しい経営環境の中、強靭な企業体質の構築に取り組み、中長期的な企業価値の向上を図ってまいりました。

 前中期経営計画(平成24~26年度)において、持続的な成長のため企業体質の強化に取り組み、商社事業の資本再編および造船事業の再編ならびに半導体事業の譲渡といった、事業ポートフォリオの見直しを行ないました。鉄鋼事業においては、設備更新等の国内製造基盤の整備や、アジアを中心とする海外事業投資を行なってまいりました。エンジニアリング事業においては、復興再生や太陽光発電等国内需要を捕捉するとともに、海外でのM&Aを推進し事業拡大にも取り組みました。商社事業においては、事業買収等による海外拠点の拡大等サプライチェーンの強化を実施しました。

 

・新たな成長戦略の推進

 本年、JFEグループは、平成27~29年度の事業運営の方針となる第5次中期経営計画を策定いたしました。第5次中期経営計画では、『お客様に世界最高の技術とサービスを提供するグローバル企業』の実現を目指した取り組みを行なってまいります。様々に変化する事業環境に「技術優位性」・「多様な人材力」・「グループ総合力」を高めることで対応し、国内収益基盤の強化と海外事業の収益拡大を推進し、持続的な成長と企業価値向上を図ってまいります。

 具体的には、まず、国内収益基盤の強化を継続してまいります。国土強靭化政策やオリンピック・パラリンピック対応などの国内需要を最大限捕捉するだけでなく、グループ内の連携を一層強化し、お客様・市場のニーズに的確かつ迅速に対応する販売体制を構築し、サービスの向上を図ってまいります。国内製造拠点の収益力強化については、前中期経営計画より取り組む設備の更新・補修による安定製造を目的とした基盤整備に留まらず、コスト削減や高級鋼へのプロダクトミックスシフトを可能とする設備のリノベーションを進め、さらなる競争力強化を図ってまいります。

 次に、技術優位性に基づいた企業価値向上に努めます。革新的な技術開発に取り組み、世界をリードする技術を生み続け、競争力を高めてまいります。また市場のニーズに基づく新商品の開発と既存商品の競争力を強化する開発を行ない、迅速に市場に投入してまいります。そして省資源・省エネルギー先進技術のさらなる高度化にチャレンジを続け、需要の拡大が見込まれる環境・エネルギー分野において常に世界最先端・最高水準の技術・商品を提供できるサプライヤーを目指します。

 海外事業においては、これまでに投資したアジアを中心とする海外プロジェクトについて、現地の需要を着実に捕捉し、各地域の特性に応じた事業運営を図り、さらなる収益拡大に取り組んでまいります。また、グループの技術力・ネットワークを最大限活用し、将来の成長が期待される重点分野・成長地域への新規事業投資を継続してまいります。

 さらに、「JFEグループ人材マネジメント基本方針」を制定し、第5次中期経営計画を推進していくために、多様な人材の採用と育成を着実に実施するとともに、全ての人材がその能力を最大限発揮できる環境を整えてまいります。

 また、コーポレート・ガバナンスの強化や環境経営の徹底、国際格付A格に求められる財務体質の実現等、持続的な成長を支える企業体質の強化に引き続き取り組んでまいります。

 

・コーポレート・ガバナンス強化

 当社では、経営の透明性および公平性を徹底することにより、企業価値および株主共同の利益の向上を目指し、コーポレート・ガバナンスに関する各種制度・仕組を整備・構築してまいりました。

 複数の特性の異なる事業から構成されている当社グループにおいては、各事業の執行を当社グループに属する事業会社に委ねる体制を採る一方、純粋持株会社である当社は、グループ経営の統括により経営の実効性を改善するとともに、社外監査役を含む監査役監査、社外取締役の登用、取締役任期の短縮によりコーポレート・ガバナンス強化を図ってまいりました。

 今後の事業運営に際しましても、公正・公平・透明なコーポレート・ガバナンスを徹底し、企業価値および株主共同の利益を向上させてまいります。

 

・すべてのステークホルダーの皆様とともに

 当社グループでは、製鉄所見学会等を開催して当社株主の皆様とコミュニケーションを深めるほか、お客様との技術的連携を通じたわが国製造業の競争力向上への貢献、地球環境保全に役立つ技術開発や、定期的な中途採用を含む雇用の促進、健全な労使関係、安全な労働環境、地域社会との共存等に努めるなど、すべてのステークホルダーの皆様からご支持とご協力がいただけるよう努力してまいります。

 

③基本方針に照らして不適切な者によって会社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み

 

 当社は、平成19年3月1日開催の取締役会において、「当社株式の大規模な買付行為に関する対応方針」(以下「本対応方針」という。)の導入を決定し、同年およびその後の本対応方針の有効期限である2年ごとの定時株主総会において株主の皆様のご承認をいただいたうえで、本対応方針を継続しております。

 本対応方針により、具体的には、議決権割合20%以上の当社株式を取得しようとする大規模買付者に対し、大規模買付行為完了後の経営方針および事業計画等の提示を事前に求めます。その後一定期間、当社取締役会は、大規模買付者が本対応方針に基づくルールを遵守したか否か、あるいは、当該提案内容が当社に回復しがたい損害をもたらすことがないか、企業価値、株主共同の利益を著しく損なうことがないか、という観点から評価、検討を行い、取締役会としての意見を開示するとともに、大規模買付者と交渉したり、取締役会として株主の皆様へ代替案を提示したりすることがあります。また、社外取締役および社外監査役計3名から構成される特別委員会を設置し、特別委員会が大規模買付行為を抑止するための措置の発動を勧告した場合には、それを最大限尊重した上で、外部専門家の意見も参考にしつつ、当社取締役会は、企業価値および株主共同の利益の保護を目的として、新株予約権の発行等、会社法その他の法律および当社定款が取締役会の権限として認める対抗措置の発動を行うことがあります。

 

④上記の取り組みが、上記基本方針に沿うものであり、株主共同の利益を損なうものでなく、かつ、会社役員の地位の維持を目的とするものではないことおよびその理由

 

本対応方針は、当社株式の大規模買付行為が開始された場合において、株主の皆様に迅速に必要かつ十分な情報・意見・提案等の提供と、それらを検討するための必要かつ十分な時間を確保することにより、株主の皆様が、当該大規模買付行為の企業価値および株主共同の利益への影響を的確に判断することを担保するためのものです。従って、上記基本方針に沿った内容であり、株主共同の利益を損なうものではありません。

 また、当該大規模買付行為に関する当社取締役会の判断における透明性、客観性、公正性および合理性を担保するため、取締役会から独立した組織として、社外取締役および社外監査役計3名から構成される特別委員会を設置することに加え、本対応方針の継続については本年の定時株主総会でご承認をいただいており、会社役員の地位の維持を目的とするものでもありません。

 

4【事業等のリスク】

 本報告書に記載した当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

(1)当社グループの事業

①経済状況と鋼材販売市場環境

 当社グループの国内鋼材販売は、建築・土木、自動車、産業機械、電気機械等各需要分野に広がっており、販売形態も多岐にわたっております。また、これら国内向けに加え、鋼材販売の5割程度(JFEスチール㈱、単独・金額ベース)を海外に輸出しております。主な輸出先としましては、韓国、中国、アセアン向けが中心となっております。従いまして、国内の経済状況を背景とした鋼材需要動向とともに、アジアを初めとする世界経済の状況を背景とした世界的な鋼材需要の動向が、当社グループの販売量および価格に影響を及ぼします。

 また、当社グループは、各製品市場と地域市場において、競合他社との競争に直面しております。

②鉄鋼原料の需給状況

 当社グループは、鋼材の原材料として鉄鉱石、原料炭、合金鉄、非鉄金属、スクラップ等を調達しております。従いまして、これらの世界的な需給の状況が、業績に影響を及ぼします。

③また、収益の変動要因には、下記のような要因が含まれます。

・新製品・研究開発の状況

・設備投資効果の実現状況

・コスト削減の状況

・製造設備・システムの安定操業状況

・需要家への製品供給に関する状況(品質を含む)

(2)受注後の変動リスク

 受注時には予見できなかった、技術条件や資機材価格等の変動リスクが顕在化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)為替レートの変動

 当社グループは、為替レートの変動の影響を受けます。外貨建て取引による外貨の受け取り(製品輸出等)と外貨の支払い(原材料輸入等)で相殺されない部分がある場合、為替レートの変動は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、為替予約等を利用したヘッジ取引を適宜実施しております。

(4)金利の変動

 当社グループは、有利子負債残高が多額であること等により、金利変動の影響を受けます。なお、一部の借入金等について、金利スワップ等を利用したヘッジ取引を実施しております。

(5)法令・公的規制

 当社グループは、日本国内および事業展開する各国において、環境、労働・安全衛生、通商・貿易・為替、知的財産、租税、独占禁止法等の経済法規、建設業法等の事業関連法規、その他関連する様々な法令・公的規制の適用を受けております。当社グループは、内部統制体制の充実を図りこれら法令・公的規制の遵守に努めておりますが、万が一、遵守できなかった場合、課徴金や行政処分を課されるなどにより業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、これら法令・公的規制が改正もしくは変更される場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(6)退職給付債務

 当社グループの従業員退職給付費用および債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(7)保有株式等の価値変動

 当社グループが保有している株式等の投資有価証券の価値が変動した場合は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。なお、当連結会計年度末に当社グループが保有する株式等の連結貸借対照表計上額は9,702億円であり、そのうち時価のある株式等は5,047億円(取得原価2,159億円)であります。

(8)固定資産の価値下落

 当社グループが保有している固定資産について、時価下落・収益性の低下等に伴い資産価値が低下した場合は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(9)環境規制等の影響

 当社グループは、地球温暖化防止対策の一環として、日本鉄鋼連盟の低炭素社会実行計画に基づき、CO排出量の削減に積極的に取り組んでおりますが、今後わが国においてCOの総量などに関する規制が導入された場合には、鉄鋼事業を中心に当社グループの事業活動が制約を受け、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(10)カントリーリスク

 国際的な取引を行っていく場合、カントリーリスクがあります。このため、外部格付けをもとにカントリーリスクの高い国を指定し、リスクの把握・管理を行っておりますが、外貨事情などにより相手国政府が対外送金を停止した場合などにおいては、代金回収リスクを負うことになります。

(11)製造物責任リスク

 製造物の欠陥による消費者保護の目的から製造物責任法が定められております。当社グループの取扱商品のうち、必要と判断した商品に関しては、生産物賠償責任保険を付保しておりますが、当該保険の免責事項などによりてん補されない不測の事態が発生した場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(12)信用リスク

 当社グループが保有する売上債権について、徹底した与信管理を行っておりますが、取引先の倒産により貸倒損失が発生した場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(13)災害、事故等に起因する事業活動への影響

 大規模な自然災害、新型インフルエンザ等感染症の急速な感染、戦争、内乱、暴動、テロ活動等により、当社グループの事業活動に支障をきたし、業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、事故の防止対策には万全を尽くしておりますが、万が一生産設備等の重大事故や重大な労働災害が発生した場合には、事業活動が制約を受け、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、現時点では予期できない上記以外の事象の発生により、当社グループの事業活動および業績等が影響を受ける可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

(1)経営上の重要な契約等(技術に関わる契約を除く)

会社名

相手方の名称

契約内容

契約締結日/契約期間

当社

 

㈱IHI

日立造船㈱


造船事業に関する株主間協定書

 

平成24年8月27日

(平成24年11月20日改訂)

JFEスチール㈱(連結子会社)

日本アイ・ビー・エム㈱

 

JFEスチール㈱、日本アイ・ビー・エム㈱の包括的提携と、㈱エクサの事業運営に関する合弁協定ならびにJFEスチール㈱から日本アイ・ビー・エム㈱への業務委託契約

平成23年4月1日から

平成28年3月31日まで

※1

倉敷市、中国電力㈱ 他

岡山県倉敷市における資源循環型廃棄物処理施設整備運営事業(PFI事業)

平成14年3月15日から

平成37年3月31日まで

ヴァーレ(ブラジル)

米国における鉄鋼事業会社カリフォルニア・スチール・インダストリーズ・インクに関する合弁協定

平成7年6月27日

伊藤忠丸紅鉄鋼㈱、サハビリヤ・スチール・インダストリーズ・パブリック・リミテッド(タイ)他

タイにおける電気亜鉛鍍金鋼板の製造販売会社タイ・コーテッド・スチール・シート・カンパニー・リミテッドに関する合弁協定

平成13年6月11日

伊藤忠丸紅鉄鋼㈱、サハビリヤ・スチール・インダストリーズ・パブリック・リミテッド(タイ)他

タイにおける冷延鋼板の製造販売会社タイ・コールド・ロールド・スチール・シート・パブリック・カンパニー・リミテッドに関する合弁協定

平成13年7月12日
(平成25年2月1日改訂)

伊藤忠丸紅鉄鋼㈱、サハビリヤ・スチール・インダストリーズ・パブリック・リミテッド(タイ)

タイにおける協力関係の強化に関する提携合意書

平成24年10月31日

広州薄板有限公司

(中国)

中国における冷延鋼板および溶融亜鉛鍍金鋼板の製造販売会社広州JFE鋼板有限公司に関する合弁協定

平成15年10月29日

(平成24年4月11日改訂)

東国製鋼(韓国)

東国製鋼㈱への追加出資並びに厚鋼板に係る業務協力に関する基本合意

平成18年9月25日

伊藤忠商事㈱、㈱神戸製鋼所、日新製鋼㈱

ブラジルの鉄鉱石生産・販売会社NAMISA社への投資に係わる会社(日伯鉄鉱石㈱)に関する合弁協定

平成20年10月21日

(平成23年6月30日改訂)

JSWスチール・リミテッド(インド)

JFEスチール㈱とJSWスチール・リミテッドの戦略的包括提携に基づく資本参加に関する契約

平成22年7月27日

新日鐵住金㈱、双日㈱、独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構

ブラジルのニオブ生産・販売会社CBMM社への投資に係わる会社(日伯ニオブ㈱)に関する合弁協定

平成23年3月4日

伊藤忠丸紅鉄鋼㈱、

ゼネラル・ホールディング・コーポレーション

PJSC(アラブ首長国連邦)

アラブ首長国連邦における大径鋼管の製造販売事業に関する合弁協定

平成26年9月1日

※2

 

 

 

会社名

相手方の名称

契約内容

契約締結日/契約期間

JFEエンジニアリング㈱

(連結子会社)

エクスパンドB.V(オランダ)、ケー・ジェイ・ケー・ナボ GmbH(ドイツ)他

スタンダードケッセル・パワーシステムズホールディングGmbHに関する持分譲渡契約

平成26年11月4日

JFEケミカル㈱

(連結子会社)

山東傑富意振興化工有限公司(中国)、山東濰焦集団有限公司(中国)

中国タール蒸留事業第2拠点新設に関する合弁協定

平成25年6月13日

JFEスチール・オーストラリア(BY)プロプライタリー・リミテッド

(オーストラリア)

(連結子会社)

Qコール・バイヤウェンホールディングス・プロプライタリー・リミテッド(オーストラリア)

バイヤウェン・コール・プロプライタリー・リミテッド(オーストラリア)

オーストラリアにおけるバイヤウェン炭鉱の権益保有会社バイヤウェン・コール・プロプライタリー・リミテッドに関する合弁協定

平成21年10月8日

JFE商事・トレード・アメリカ・インク

(連結子会社)

シャプコ・インク(アメリカ)

ケリー・パイプ・カンパニー・LLCに関する持分譲渡契約

平成26年12月15日

 

(注)1 ※1 平成27年6月22日付で、JFEスチール㈱と日本アイ・ビー・エム㈱との間の合弁協定および業務委託契約の契約期間を平成33年3月31日まで延長することについて合意しました。

2 ※2 合弁事業の組成に関する基本的な事項については、平成26年9月1日に合意し当該合弁協定を締結しておりましたが、平成27年2月25日に主要な停止条件の成就により合弁事業を実行することを決定したことから重要な契約として開示するものです。

 

(2)技術に関わる契約

① 技術導入契約

会社名

相手方の名称

契約内容

契約期間

JFEスチール㈱

(連結子会社)

東洋製罐㈱

東洋鋼鈑㈱

タルク缶胴用ポリエステルフィルム積層鋼板に関する技術

平成20年1月4日から

平成30年1月3日まで

但し契約更新条項あり

㈱神戸製鋼所

ダストの還元処理方法に関する技術

平成19年9月6日から関連設備の操業が恒久的に停止するまで

JFEエンジニアリング㈱

(連結子会社)

 

マンディーゼル&ターボフランス(フランス)

PC型陸用および舶用ディーゼル機関の製造技術に関する特許の非独占的実施権の許諾およびノウハウの提供

昭和39年7月7日から

解除通知まで

(平成25年1月14日改訂)

フェルント・エコロジィ・システムズ・A/S

(デンマーク)

塵芥焼却プラントの設計・建設技術に関する特許の非独占的実施権の許諾およびノウハウの提供

昭和45年10月2日から

解除通知まで

ソーラーパワーグループGmbH(ドイツ)

太陽熱発電設備技術

平成23年5月18日から

平成33年5月17日まで

但し契約更新条項あり

 

 

 

② 技術供与契約

会社名

相手方の名称

契約内容

契約期間



JFEスチール㈱

(連結子会社)

 

 

広州JFE鋼板有限公司(中国)

連続酸洗圧延設備および連続焼鈍設備を含む冷延工場の建設・操業・保全に関する技術

平成20年6月1日から

終了に合意するまで

JSWスチール・リミテッド(インド)

自動車用鋼板の製造技術

平成22年9月8日から

平成27年9月7日まで

JSWスチール・リミテッド(インド)

ビジャヤナガール製鉄所の操業改善に関する技術

平成22年9月8日から

平成27年9月7日まで

JSWスチール・リミテッド(インド)

自動車用鋼板の製造技術 その2

平成24年7月12日から

平成44年7月11日まで

JSWスチール・リミテッド(インド)

無方向性電磁鋼板の製造技術

平成24年11月22日から

平成44年11月21日まで

福建福欣特殊鋼有限公司(中国)

ステンレス鋼板の製造技術

平成24年11月9日から

平成29年11月8日まで

但し契約更新条項あり

福建福欣特殊鋼有限公司(中国)

ステンレス鋼板の製造技術 その2

平成27年3月19日から

対象特許の満了日まで

水島合金鉄㈱

(連結子会社)

ケートリッジアロイズ(プロプライタリー)リミテッド(南ア共和国)

中低炭素フェロマンガン製造技術

平成10年6月28日から

平成30年1月31日まで

 

 

   ③ その他の技術契約

会社名

相手方の名称

契約内容

契約期間

JFEスチール㈱

(連結子会社)

ティッセン・クルップ・スチール・ヨーロッパ,AG(ドイツ)

自動車用鋼板分野における包括的技術提携

平成14年4月8日から

平成29年4月7日まで

 

 

6【研究開発活動】

当社グループ(当社および連結子会社)は、世界最高の技術をもって社会に貢献することを企業理念とし、顧客ニーズを先取りした独自新商品の開発、高品質な商品を効率的に生産する技術の開発、地球環境保全に寄与する商品および製造技術の開発、ならびにグループ全体としてのシナジーを活かした開発により、常に業界をリードし、新たな分野を開拓していくというグループ共通の開発コンセプトの下、各事業会社が創造性にあふれる研究開発を展開しています

グループ全体の研究開発戦略の策定や横断的に取り組むべき重要課題の選定・推進については、当社社長を議長とする「グループ技術開発会議」の場で、各事業会社が一体となって取り組んでいます

今後も、経営環境の変化に柔軟に対応しつつ高い収益力を確保するとともに、市場・社会からの高い信頼を獲得し、将来の経営基盤を育成・発展させるべく、積極的な研究開発に取り組んでいきます。

当連結会計年度における研究開発費は32,488百万円であり、主要事業内訳は鉄鋼事業30,558百万円、エンジニアリング事業1,930百万円であります

また、当連結会計年度における主な事業別の研究の目的、主要課題および研究成果は以下のとおりです

 

 

(1) 鉄鋼事業

鉄鋼事業では、10年先を見据えてお客様や社会のニーズを先取りした新商品・利用技術開発、世界最高水準の地球環境技術や省資源技術の開発を加速するとともに、プロセス革新による画期的新商品の創出と高品質商品製造技術の確立を強力に推進しております。

以下、当連結会計年度の主な研究成果を挙げます。

自動車用薄鋼板分野では、自動車骨格部品用に、伸び特性に加えて伸びフランジ成形性にも優れた590~980MPa級の高伸び-伸びフランジ型高張力合金化溶融亜鉛めっき(ハイテンGA)鋼板の開発に世界で初めて成功しました。新たに開発した鋼板は、金属組織それぞれの硬度や体積などを精緻にコントロールする画期的な組織制御技術により、従来鋼に比べて約2倍もの穴広げ率を有しています。これにより、自動車骨格部品の形状自由度が広がり、深い絞り形状のピラーロアなどの車体骨格部品について、更に強度の高いハイテンGAを積極的に適用することが可能となり、自動車の更なる軽量化(薄肉化)に大きく寄与します。当社が開発した引張強度100kg(980MPa)級の高張力熱延鋼板「JFE-HA980SB」が、三菱ふそうトラック・バス株式会社の大型トラックのフロントアンダーランプロテクションに採用されました。980MPa級の高張力熱延鋼板がトラック車体の量産部品に採用されるのは世界初となります。

プロセス・環境分野では、主要な製銑プロセスである焼結鉱製造工程において、抜本的な生産性改善を可能にする焼結機への酸素・水素系ガス(都市ガス)の複合吹込み技術「Super-SINTER® OXY」を開発し、世界で初めて実用化に成功いたしました。すでに平成25年までに本技術を東日本製鉄所の全焼結機(2基)に導入し、劣質原料の使用下においても、高品質焼結鉱の生産性を飛躍的に改善しています。今後も、更なる技術開発を進め、資源対応力に優れた高効率の製鉄プロセスの確立に努めてまいります。また、製鋼分野でも、確立した革新的転炉型溶銑予備処理プロセスを西日本製鉄所(福山地区)第3製鋼工場3号転炉に導入しました。これにより、脱珪工程で発生する二酸化珪素を一旦排出することによって脱リン時の反応効率低下を抑止し、副原料使用量の大幅削減、エネルギーの削減に寄与しております。

鋼材分野では、耐腐食性に優れた継目無鋼管「JFE-UHP®-17CR-110」を開発し、ブラジル・ペトロブラス社向けケーシングパイプ用油井管として初受注いたしました。高温特性に優れた耐腐食性鋼管である「JFE-UHP®-15CR」よりも更に耐腐食性を高めた鋼材で、コスト面・納期面でのメリットが見込まれます。また、石炭運搬船カーゴホールド(貨物倉)の腐食を抑制する画期的な高耐食性厚鋼板「JFE-SIP®-CC」を世界で初めて開発し、石炭運搬船に初採用されました。さらに、世界最大厚(板厚80mm)の降伏強度460MPa級高アレスト鋼を開発し、一般財団法人日本海事協会より板厚80mmの460MPa級高アレスト鋼として認証を取得しました。

また、新たな需要分野として、直播栽培用水稲種子のコーティング用プレミックス鉄粉「粉美人®」を日本で初めて開発し、製造を開始いたしました。鉄粉でコーティングした稲種子(籾)を水田に直接播き、水田中で発芽、苗立ち、生育させる栽培方法で、育苗作業・苗運搬が不要となるため、現在日本で一般的に行われている水稲移植栽培と比べ大幅な省力化が可能となります。今後も鉄粉の新たな需要分野の開拓、普及を図ると共に、更に高品質、高機能な商品の開発に注力し、お客様の利便性向上に努めてまいります。

また、当社が昨年度から横浜市と行っている、横浜市山下公園前海域での鉄鋼スラグ製品を活用した共同研究に関して、このたび、当海域で自生のアマモ(海草)をはじめとする生物種数の増加を確認しました。鉄鋼スラグ製品が生物付着基盤として有効に機能していることが改めて確認されました。今後も、鉄鋼スラグ事業を通じ、地球環境保全に貢献する技術開発に努めてまいります。

鉄鋼材料・鉄鋼製造プロセスの評価・分析分野では、鉄鋼材料に含まれる炭素の含有量を世界最高精度の0.01%レベルまで定量的に分析できる装置「FE-EPMA」を開発しました。従来の分析方法に比べ10倍の精度での測定を可能といたしました。

当社が開発してまいりました商品、技術は社外からも高く評価されております。例えば、「革新的熱加工制御技術を駆使した高性能厚鋼板の開発育成」の成果が認められ、平成26年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(開発部門)を受賞いたしました。また、更に、世界で初めて実用化に成功した、焼結鉱製造工程でのCO排出削減を可能にする炭化水素ガス使用焼結技術「Super-SINTER®」が、公益財団法人大河内記念会から第61回「大河内記念技術賞」を受賞いたしました。大河内賞は6年連続での受賞になります。「Super-SINTER®」は、「平成26年度全国発明表彰 経済産業大臣発明賞」も受賞しております。

また、省資源型高耐熱ステンレス鋼「JFE-TF1」が、米国の技術情報誌である「R&D Magazine」が主催する「2014 R&D 100 Awards」を受賞し、世界的にも当社独自の高機能商品が高く評価されました。同賞は2年連続の受賞となります。そのほか、当社が世界で初めて開発・実用化した厚鋼板の新冷却設備「Super-CR(Super-Controlled Rolling)が、一般財団法人機械振興協会から第12回「新機械振興賞」の“経済産業大臣賞”を受賞いたしました。当社の新機械振興賞受賞は昨年の“会長賞”に続き、2年連続4回目となります。当社が世界で初めて開発・実用化した高級ハイテン製造設備であり、品質、数量、納期等の面で、これまでの常識を打ち破る高度なエンジニアリング技術が高く評価されたものです。

 

 

(2) エンジニアリング事業

エンジニアリング事業では、「新商品創出と既存商品競争力強化」という方針に基づき、研究開発を推進しています。当連結会計年度は、主力事業である環境、エネルギー分野に加え、将来の成長が期待されている農業、医療分野に重点的な投資を実施しました。具体的には、環境プラントの発電量最大化に関する技術、天然ガス需要の拡大に合わせたLNG受入基地関連技術、がん検査用PETシステムの適用領域拡大、等に取り組んでおります。

当連結会計年度の主な成果としては、環境プラント分野における、遠隔操業支援システム「JFEハイパーリモート」の運用開始、エネルギー分野における、天然ガスの新型熱量調整装置「AtoMS」の「日本ガス協会技術賞」受賞が挙げられます。また、製油所等の防爆エリアでの使用が可能な防爆仕様のタブレット端末「LANEX-Tabletシリーズ」を国内で初めて開発し、市場投入いたしました。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)重要な会計上の見積り

 当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、一部の収益計上、各種引当金の計上、固定資産の減損に係る会計基準における回収可能価額の算定、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や当連結会計年度末での状況等に基づき、一定の合理的な方法により見積りを行っております。見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性がありますが、重大な影響はないものと考えております。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

 セグメント別の当連結会計年度の経営成績は以下のとおりです。

 鉄鋼事業においては、売上高は2兆8,738億円となり、前連結会計年度に比べ1,822億円(6.8%)の増収となりました。経常利益は1,885億円となり、前連結会計年度に比べ623億円(49.4%)の増益となりました。これは、原料価格の下落に加え、収益改善に向けた継続した取り組み等によるものであります

 エンジニアリング事業においては、売上高は3,673億円となり、前連結会計年度に比べ832億円(29.3%)の増収となり、経常利益は前連結会計年度並みの180億円となりました。これは、環境・エネルギーおよびインフラ構築プロジェクトを対象に、積極的な営業活動を展開したことによるものであります。また、今後の売上の基礎となる、受注高につきましては過去最高の4,595億円となりました。

 商社事業においては、売上高は1兆9,344億円となり、前連結会計年度に比べ1,531億円(8.6%)の増収となりました。経常利益は246億円となり、前連結会計年度に比べ31億円(14.4%)の増益となりました。これは、国内においては、保有する加工・販売体制を活用した提案型営業活動により造船等製造業向けや建設関連向けの鋼材需要を捕捉し、海外においても、従来の輸出取引に加え米国・タイ等を中心に各地域固有のビジネスを積極的に展開したことによるものであります。

 

 以上より、グループ全体の売上高は3兆8,503億円となり、前連結会計年度に比べ1,835億円(5.0%)の増収となりました。また、営業利益は2,225億円、経常利益は2,310億円となり、前連結会計年度に比べそれぞれ692億円(45.2%)、574億円(33.0%)の増益となりました。

 なお、営業外損益については、84億円の利益となり、前連結会計年度に比べ119億円の減益となりました。これは、固定資産除却損の増加等によるものであります。

 特別損益については、43億円の損失となり、前連結会計年度に比べ88億円改善いたしました。

 この結果、当期純利益は1,393億円となり、前連結会計年度に比べ370億円の増益となりました。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、営業活動によるキャッシュ・フローは2,973億円の収入となり、売上債権の増加による減収がある一方で税金等調整前当期純利益の増加等により前連結会計年度に比べ425億円の増収となりました。また、投資活動によるキャッシュ・フローは2,163億円の支出となり、固定資産の取得による支出の増加等の影響により前連結会計年度に比べ523億円支出が増加いたしました。これらを合計した当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フローは810億円の収入となり、前連結会計年度に比べ97億円の減収となりました。

 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済等を中心として782億円の支出となりました。

 なお、当連結会計年度末の借入金・社債等の残高は、前連結会計年度末に比べ323億円減少し、1兆5,017億円となりました。