第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度の我が国経済は、金融政策や財政政策などの政府の経済対策を背景に、昨年までの円高が是正されたことにより輸出産業が持ち直しに向かい、加えて震災からの復興に伴う需要を含め公共投資が増加するなど、回復基調が継続しました。また、海外においては、米国では緩やかながら景気回復基調が継続しましたが、欧州の景気は低調に推移しました。中国では経済成長を維持しているものの、総じて景気の減速基調が継続しました。

このような経済環境のもと、当社グループにおいては、鋼材の販売数量は、自動車向けの需要が堅調に推移したことや、円高の是正の影響などにより輸出環境に改善がみられる中、着実に海外需要を取り込んだことなどから、前連結会計年度を上回りました。アルミ圧延品の販売数量は、自動車向けの需要が堅調に推移したことなどから、前連結会計年度を上回りました。銅圧延品の販売数量は、自動車用端子向けの需要が堅調に推移したことや、半導体向けの需要も回復基調が継続したことなどから、前連結会計年度を上回りました。油圧ショベルの販売台数は、国内においては、震災からの復興需要に加え、排ガス規制に向けた駆け込み需要などにより増加したことや、海外においては、東南アジアでは需要が低調に推移したものの、中国では景気の底打ち感がみられたことや、北米及び欧州における拡販が順調に進捗していることなどから、前連結会計年度を上回りました。

この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ1,391億円増収の1兆8,246億円となりました。また、総コストの削減が進展したことや、在庫評価影響の好転及び固定資産の減価償却方法を変更した影響もあり、営業利益は、前連結会計年度に比べ1,033億円増益の1,145億円、経常損益は、前連結会計年度に比べ1,031億円増益の850億円の利益となりました。なお、ナブテスコ(株)をはじめとした当社保有株式を売却したことによる投資有価証券売却益などを特別利益として計上した一方、神戸製鉄所の上工程設備を加古川製鉄所に集約する「鋼材事業の構造改革」を決定したことに伴い、神戸製鉄所の休止予定設備の減損損失などを特別損失として計上しました。この結果、当期純損益は、前連結会計年度に比べ971億円増益の701億円の利益となりました。

なお、当社は、平成25年5月に策定したグループ中期経営計画において、「経営基盤の再構築」と「収益の『安定』と事業の『成長』に向けた布石」を打つことを経営課題に掲げております。これらを着実に実現し、当社グループの持続的成長を確かなものにすべく、当連結会計年度において、公募増資を実施し、公募による新株式発行及び自己株式の処分などを合わせ、6億3,250万株を発行、836億円を調達しております。この調達資金については、鉄鋼事業及びアルミ・銅事業における自動車分野での設備投資を含む戦略投資資金や、「鉄鋼事業の収益力強化」と「鋼材事業の構造改革」に係る設備投資資金に充当する予定です。

当連結会計年度のセグメント毎の状況は以下のとおりであります。

 

[鉄鋼事業部門]

鋼材については、自動車向けの需要が国内及び米国を中心とした海外において堅調に推移したことや、円高の是正の影響などにより輸出環境に改善がみられる中、着実に海外需要を取り込んだことなどから、販売数量は、前連結会計年度を上回りました。また、為替の影響などによる主原料価格の上昇を背景に、鋼材価格の改善に努めた結果、販売価格は、前連結会計年度を上回りました。

鋳鍛鋼品の売上高は、造船向けの需要が総じて低調に推移したことや、販売価格が下落した影響などにより、前連結会計年度を下回りました。一方、チタン製品の売上高は、前連結会計年度を上回りました。

この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比8.8%増の8,085億円となり、経常損益は、総コストの削減が進展したことや、在庫評価影響の好転及び固定資産の減価償却方法の変更影響もあり、前連結会計年度に比べ838億円増益の335億円の利益となりました。

 

 [溶接事業部門]

溶接材料の販売数量は、国内における自動車、建築向けの需要は堅調に推移し、当連結会計年度後半からは造船向けの需要も回復基調にあったものの、中国における景気減速が継続した影響などにより、前連結会計年度並となりました。また、溶接システムの売上高については、中国を中心に建機向けの需要が低迷したものの、国内建築向けの需要が増加したことなどから、前連結会計年度を上回りました。

この結果、当連結会計年度の売上高は、円高の是正の影響もあり、前連結会計年度比7.5%増の883億円となり、経常利益は、総コストの削減が進展したことなどから、前連結会計年度に比べ50億円増益の72億円となりました。

 

[アルミ・銅事業部門]

アルミ圧延品の販売数量は、自動車向けの需要が堅調に推移したことなどから、前連結会計年度を上回りました。アルミ鋳鍛造品の売上高についても、自動車向けの需要が米国を中心に堅調に推移したことなどから、前連結会計年度を上回りました。

銅圧延品の販売数量は、銅板条において自動車用端子向けの需要が堅調に推移したことや、半導体向けの需要も回復基調が継続したことに加え、銅管において国内及び海外向けのエアコン需要が堅調に推移したことなどから、前連結会計年度を上回りました。

以上の状況に加え、販売価格に転嫁される地金価格が上昇したことから、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比12.8%増の2,956億円となり、経常利益は、総コストの削減が進展したことに加え、在庫評価影響の好転もあり、前連結会計年度に比べ112億円増益の151億円となりました。

 

[機械事業部門]

海外を中心に石油精製・石油化学業界向けの圧縮機の需要が堅調に推移したことなどから、当連結会計年度の受注高は、前連結会計年度比39.6%増の1,528億円となり、当連結会計年度末の受注残高は、1,222億円となりました。

また、当連結会計年度の売上高は、樹脂機械などの大型案件の売上計上が集中した前連結会計年度と比べると10.4%減の1,498億円となり、経常利益は、前連結会計年度に比べ55億円減益の64億円となりました。

 

[エンジニアリング事業部門]

当連結会計年度の受注高は、北米及びロシア向け大型還元鉄プラントを受注したことなどから、前連結会計年度比48.3%増の498億円となり、当連結会計年度末の受注残高は、833億円となりました。

また、当連結会計年度の売上高は、大型還元鉄プラントの建設工事の進捗度合いの影響などにより、前連結会計年度比15.9%減の391億円となり、経常損失は、前連結会計年度に比べ26億円悪化し、39億円となりました。

 

[神鋼環境ソリューション]

当連結会計年度の受注高は、廃棄物処理関連事業の大型案件を受注したものの、同様の大型案件を受注した前連結会計年度と比べると、2.3%減の718億円となり、当連結会計年度末の受注残高は、472億円となりました。

また、当連結会計年度の売上高は、廃棄物処理関連事業においては既受注大型案件の建設工事が完工したことにより増収となりましたが、水処理関連事業及び化学・食品機械関連事業においては減収となり、前連結会計年度比6.2%減の681億円となりました。経常利益は、案件構成の変化もあり、前連結会計年度に比べ13億円減益の26億円となりました。

 

[コベルコ建機]

油圧ショベルの販売台数は、国内においては、震災からの復興需要に加え、排ガス規制に向けた駆け込み需要などにより増加したことや、海外においては、東南アジアでは需要が低調に推移したものの、中国では景気の底打ち感がみられたことや、北米及び欧州における拡販が順調に進捗していることなどから、前連結会計年度を上回りました。

この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比18.8%増の3,182億円となり、経常利益は、前連結会計年度に比べ82億円増益の151億円となりました。

 

[コベルコクレーン]

クローラクレーンの販売台数は、国内においては政府の経済対策による公共投資の増加や、震災からの復興需要などを背景に増加したことに加え、海外においても、東南アジア向けが増加したことなどから、前連結会計年度を上回りました。

この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比24.5%増の566億円となり、経常損益は、円高の是正により輸出採算が改善したこともあり、前連結会計年度に比べ54億円増益の32億円の利益となりました。

 

[その他]

神鋼不動産(株)においては、分譲事業において、引渡戸数が減少しました。(株)コベルコ科研においては、試験研究事業における需要は堅調に推移したものの、液晶配線膜用ターゲット材の分野において、需要が低迷しました。

以上の状況から、その他の事業全体の当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比2.8%減の712億円となり、経常利益は、前連結会計年度に比べ7億円減益の68億円となりました。

 

(注) 売上高・受注高には消費税等を含んでおりません。(以下「生産、受注及び販売の状況」において同じ。)

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローに係る収入が1,942億円、投資活動によるキャッシュ・フローに係る支出が△621億円、財務活動によるキャッシュ・フローに係る支出が△1,385億円となりました

以上の結果、換算差額を含めた当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ88億円増加の1,709億円となりました

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前当期純損失が純利益に転じたことに加え仕入債務等の運転資金収支がプラスになったことなどから、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて1,488億円増加し、1,942億円となりました

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資有価証券の売却による収入が増加したことに加え、有形固定資産の取得による支出、投資有価証券の取得による支出が減少したことなどから、当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて614億円支出が減少し、△621億円となりました

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

公募による新株式発行及び自己株式の処分があったものの、借入金の返済が進んだことなどから、当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて2,661億円支出が増加し、△1,385億円となりました

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 当連結会計年度における鉄鋼事業部門、アルミ・銅事業部門の生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

区分

当連結会計年度(25.4~26.3)

生産数量 (千トン)

前期比 (%)

鉄鋼事業部門

粗鋼

7,686

+8.4

アルミ・銅事業部門

アルミ圧延品

284

+3.6

銅圧延品

133

+8.7

 

(2) 受注状況

 当連結会計年度における機械事業部門、エンジニアリング事業部門、神鋼環境ソリューションの受注状況は、次のとおりであります。

セグメントの名称

区分

当連結会計年度(25.4~26.3)

受注高

(百万円)

前期比

(%)

受注残高

(百万円)

前期比

(%)

機械事業部門

国内

58,034

+7.0

43,703

+1.0

海外

94,792

+71.6

78,523

+7.0

合計

152,826

+39.6

122,226

+4.8

エンジニアリング

事業部門

国内

14,528

△48.3

44,152

△5.7

海外

35,286

+541.7

39,208

+131.9

合計

49,814

+48.3

83,361

+30.8

神鋼環境ソリューション

国内

70,447

+1.0

45,238

+13.5

海外

1,408

△62.7

1,994

△46.1

合計

71,855

△2.3

47,233

+8.5

  (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

 当連結会計年度におけるセグメント毎の販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度(25.4~26.3)

金額 (百万円)

前期比 (%)

鉄鋼事業部門

808,544

+8.8

溶接事業部門

88,345

+7.5

アルミ・銅事業部門

295,685

+12.8

機械事業部門

149,806

△10.4

エンジニアリング事業部門

39,113

△15.9

神鋼環境ソリューション

68,160

△6.2

コベルコ建機

318,217

+18.8

コベルコクレーン

56,639

+24.5

その他

71,220

△2.8

調整額

△71,034

合計

1,824,698

+8.3

 (注) 1.主な相手先別の販売実績及びそれぞれの総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度(24.4~25.3)

当連結会計年度(25.4~26.3)

金額 (百万円)

割合 (%)

金額 (百万円)

割合 (%)

神鋼商事(株)

229,015

13.6

248,619

13.6

(株)メタルワン

173,367

10.3

184,333

10.1

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(4) その他

当連結会計年度における鉄鋼事業部門の主要な原材料価格は、前連結会計年度に比べて著しく下落しております。なお、その状況については、「1.業績等の概要」において、為替影響も踏まえて記載しております。

 

 

3【対処すべき課題】

 当社グループを取り巻く事業環境は、政府の経済対策による円高の是正や公共投資の増加などを背景に、国内産業の生産水準が増加するなど、外部環境は好転しているものの、中国経済の減速や米国の量的緩和縮小による新興国経済の悪化が懸念されるなど、依然として、先行きへの不透明感は拭えません。

 当社グループは、平成22年4月より、「中長期経営ビジョン『KOBELCO VISION“G”』~新しい価値の創造とグローバルな成長を目指して~」の実現に向けて取り組んでおります。しかしながら、事業環境がめまぐるしく変化する中、中長期経営ビジョンの実現に向けては、「経営基盤の再構築」と「収益の『安定』と事業の『成長』に向けた布石」を打つことが必要との認識のもと、平成25年5月にグループ中期経営計画を策定し、以下のような取組みを進めております。

 

「経営基盤の再構築」

「収益の『安定』と事業の『成長』

に向けた布石」

・鉄鋼事業の収益力強化

・成長分野・地域での販売量の確保

・体質強化活動

・財務体質の改善

・鋼材事業の構造改革

・機械系事業の戦略的な拡大

・電力供給事業の拡大

 

 こうした取組みにより、「素材系事業と機械系事業の2本柱に加え、電力供給事業を安定収益基盤とした独自の複合経営」をより強化し、中長期経営ビジョンの実現を目指してまいります。

 

<中長期経営ビジョン>

中長期経営ビジョン『KOBELCO VISION“G”』とは、多様な素材系、機械系のビジネスで培った神戸製鋼グループならではの知識・技術をさらに融合することにより、

・ グローバル市場において存在感のある企業グループ

・ 安定収益体質と強固な財務基盤を備え持つ企業グループ

・ 株主・取引先・従業員・社会と共栄する企業グループ

の3つを5年~10年後の神戸製鋼グループ像として目指すものです。当社グループは、安全・コンプライアンスへの取組みを徹底した上で、以下の基本方針の下、様々な事業を展開しております。

 『KOBELCO VISION“G”』の基本方針

 (ⅰ)オンリーワンの徹底的な追求

 (ⅱ)「ものづくり力」の更なる強化

 (ⅲ)成長市場への進出深化

 (ⅳ)グループ総合力の発揮

 (ⅴ)社会への貢献

 

 「経営基盤の再構築」と「収益の『安定』と事業の『成長』に向けた布石」についての取組み内容は以下のとおりです。

 

「経営基盤の再構築」

<鉄鋼事業の収益力強化>

 鉄鋼事業部門を安定収益体質にすることは、当社グループにとって最大かつ喫緊の課題です。生産現場レベルでのコスト削減、安価品調達などによる原料コスト削減、固定費削減などあらゆるコスト削減策を実現し、競争力の強化を図ってまいります。加えて、平成26年4月に稼動を開始した加古川製鉄所における新溶銑予備処理設備や、平成26年度中に稼動を開始する予定の高効率ガス火力自家発電設備、厚板加速冷却設備の改造などの投資効果を着実に取り込むとともに、品種構成改善や拡販により安定的な収益体質の構築を進めてまいります。

 

<成長分野・地域での販売量の確保>

 中長期経営ビジョンの策定以降、自動車ハイテン鋼板の設備新設(北米)、自動車高級弁ばね用鋼線の製造・販売拠点設立(中国)、アルミ鍛造部品の製造・販売拠点設立及び増強(中国、北米)、非汎用圧縮機メーカーへの資本参加(中国)など、海外拠点の拡充を進めてまいりました。

 当期においては、自動車軽量化ニーズの取込みのグローバル展開の一環として、自動車向け需要の拡大が見込まれる中国で、鞍鋼股份有限公司と自動車ハイテン鋼板の製造・販売に関する合弁事業契約を締結した他、自動車パネル用アルミ板材の製造・販売を行なう新会社を設立しました。

 今後も更なる需要の捕捉のための取組みを継続するとともに、各拠点を最大限に活用し、自動車、資源・環境、エネルギー、社会インフラといった成長分野と、これらの分野で成長が期待できる地域において、鉄鋼・溶接・アルミといった素材系、産業機械・エンジニアリング・建設機械といった機械系のそれぞれのオンリーワン製品・技術・サービスを中心として、最大販売量の確保に取り組んでまいります。

 

<体質強化活動>

 平成24年10月に設置した「体質強化委員会」において、「人事/労務」、「固定費」、「調達コスト」、「工場/ものづくり」の4つのテーマでコスト削減を目指した活動に取り組んでおります。これらの活動を通じて全社的な固定費や調達コスト、製造工程・技術の徹底した検証による不良率の低減などの品質失敗コストの削減を進め、中長期的な体質強化を図ってまいります。

 

<財務体質の改善>

 鉄鋼事業部門の収益安定化やその他事業部門の収益改善とは別に、在庫圧縮や債権流動化・資産売却などによるキャッシュの創出に加え、投融資案件の厳選を進めてまいりました。当期においては、保有株式の売却なども加えて、1,000億円を上回るキャッシュを創出いたしました。引き続き資産売却や投融資案件の厳選に取り組み、継続的に財務体質の改善を図ってまいります。

 

 これらの重点課題以外にも、中長期経営ビジョンの基本方針である「ものづくり力」の強化や、人材育成、技術開発の強化を引き続き推進し、経営基盤の強化を図ってまいります。

 

「収益の『安定』と事業の『成長』に向けた布石」

<鋼材事業の構造改革>

 鋼材事業の中長期の事業環境は、自動車を中心とした製造業の海外移転などにより、鋼材内需が漸減する可能性が高く、東アジアで新製鉄所の稼動が予定されていることから、今後さらに競争が激化するなど、厳しい事業環境が継続することが予想されます。

 このような状況の下、鋼材事業においてはもう一段の競争力強化が必要であり、平成29年度を目処に神戸製鉄所の高炉をはじめとした上工程設備を休止し、加古川製鉄所に集約する「鋼材事業の構造改革」を着実に進めてまいります。

 この集約による加古川製鉄所の稼働率の向上と固定費の削減により、大幅なコスト低減を図ります。また、加古川製鉄所において、最新鋭のブルーム連続鋳造設備と溶鋼処理設備を新設、分塊圧延機を能力増強し、主力品種である特殊鋼線材・棒鋼の競争力を強化してまいります。

 

<機械系事業の戦略的な拡大>

 伸長が期待される海外需要を確実に捕捉していく取組みは既に進めておりますが、引き続き圧縮機事業や建設機械事業などにおいて、国内外の拠点を整備し、グローバルな成長戦略を強化してまいります。また、多様な技術を有する当社グループの強みを活かし、グループ横断のプロジェクトによる技術融合を行ない、水素ステーション向け製品の開発やバイナリー発電など、新たな製品や事業の拡大を進めてまいります。

 

<電力供給事業の拡大>

 神戸製鉄所の石炭火力発電所や加古川製鉄所の高効率ガス火力自家発電設備などの建設と操業で培ったノウハウを活かし、将来を見通した安定収益基盤として、電力供給事業の拡大を、様々な選択肢を視野に入れながら進めてまいります。

その一つとして、栃木県真岡市において、ガス火力発電所の建設に向けて環境アセスメントの手続きを開始しており、当期においては、発電した電力全量を東京瓦斯(株)に販売することで同社と基本合意に達しました。平成31年の稼動を目標に、着実に事業を推進してまいります。また、神戸製鉄所において、「鋼材事業の構造改革」によって生じる高炉跡地での電力供給事業の検討を進めてまいります。

なお、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(「会社支配に関する基本方針」)は以下のとおりであります。

 

1. 基本方針の内容

当社は上場会社として、株式の自由な取引のなかで、当社の企業価値、ひいては株主共同の利益の確保・向上に資する形であれば、支配権の移動を伴う大規模な株式買付行為であっても、当然是認されるべきであると考えております。

しかしながら、一方、昨今のわが国の資本市場においては、株主・投資家などに十分な情報開示が行なわれることなく、突如として株式等の大規模買付けが行なわれる事例が少なからず見受けられます。こうした大規模な株式買付行為および提案の中には、当社に回復し難い損害をもたらすおそれのあるものを内容として含むものや、株主の皆様に大規模買付行為を受け入れるか否かを検討するのに必要な情報と時間を提供しないものも想定されます。このような行為は、いずれも当社の企業価値、ひいては株主共同の利益を著しく損なうおそれのあるものです。

特に、当社は素材関連や機械関連など様々な事業を行なっており、事業の裾野が広い分、多様なステークホルダーや、様々な事業により生み出されるシナジーが存在しますが、これら全てが当社独自の企業価値の源泉であると考えております。そして、これらのステークホルダーとの関係および事業間のシナジーについて十分な理解のない大規模買付者が当社の財務および事業の方針の決定を支配した場合には、当社の企業価値、ひいては株主共同の利益が毀損される可能性もあります。したがって、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値、ひいては株主共同の利益を向上させる上で必要不可欠な、当社の経営理念、企業価値を生み出す源泉、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係などを十分に理解し、その結果として当社の企業価値、ひいては株主共同の利益を確保、向上させる者でなければならないと考えております。これに反して、上述のような大規模な株式買付行為および提案を行なう者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。

当社をとりまく事業環境をみると、国際的な競争激化の中、企業買収は依然として活発な状況にあり、当社の経営方針に影響を与えるような当社株式の大規模な買付行為が将来行なわれる可能性は否定できません。

一方、こうした大規模買付行為の際に利用される公開買付制度については、少なくとも現在の制度に基づく限り、株主が大規模買付行為の是非を判断するための情報と検討期間が十分に確保できない場合もありえるといわざるをえません。

すなわち、国内外で行なわれている大型のM&A案件を見ると、友好的に行なわれる場合であっても、合意に至るまでに半年を超えて交渉を行なう事例も少なくありません。企業価値、ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するためには、経営陣との事前の合意無く行なわれる大規模買付行為においても、友好的に行なわれるのと同等の情報開示と評価検討期間が確保されることが必要であり、これを確保するための手続きが、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者を株主が選ぶにあたって必要であると当社は考えます。

以上を考慮した結果、当社といたしましては、大規模買付行為に関する必要かつ十分な情報を当社取締役会に事前に提供することを大規模買付者に求め、株主の皆様および当社取締役会のための一定の検討評価期間が経過した後にのみ当該大規模買付行為を開始するというルールを設定する必要があると考えております。

 

2. 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の会社支配に関する基本方針の実現に資する特別な取組み

(1) 「中長期経営ビジョン」による企業価値向上への取組み

当社グループは、平成22年4月に神戸製鋼グループ「中長期経営ビジョン『KOBELCO VISION“G”』」を策定し、現在、この実現に向け取り組んでおります。

「中長期経営ビジョン『KOBELCO VISION“G”』」とは、多様な素材系、機械系のビジネスで培った神戸製鋼グループならではの知識・技術をさらに融合することにより、

・グローバル市場において存在感のある企業グループ

・安定収益体質と強固な財務基盤を備え持つ企業グループ

・株主・取引先・従業員・社会と共栄する企業グループ

の3つを5年~10年後の神戸製鋼グループ像として目指すものです。当社グループは、安全・コンプライアンスへの取組みを徹底した上で、以下の基本方針の下、様々な事業を展開しております。

『KOBELCO VISION“G”』の基本方針

(ⅰ)オンリーワンの徹底的な追及

(ⅱ)「ものづくり力」の更なる強化

(ⅲ)成長市場への進出深化

(ⅳ)グループ総合力の発揮

(ⅴ)社会への貢献

 

※「中長期経営ビジョン『KOBELCO VISION“G”』」の内容の詳細は、当社ホームページ(http://www.kobelco.co.jp)プレスリリース欄 平成22年4月14日付「神戸製鋼グループ『中長期経営ビジョン』」をご覧ください。

 

(2) コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化による企業価値向上への取組み

当社は、内部統制システムに基づき、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の充実と、万全なコンプライアンス体制の確立に全力を挙げ、企業価値の向上に取り組んでおります(具体的な内容につきましては、「第4 提出会社の状況 6.コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております)。

3. 会社支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

平成25年6月26日開催の定時株主総会において、不適切な者によって当社の財務および事業の方針が決定されることを防止するための取組みとして、次のプラン(以下、「本プラン」といいます。)のご承認をいただきました。

 

<本プランの概要>

本プランは当社株券等に対する大規模買付行為が行なわれる場合に、以下の手順を定めております。

(1) 本プランの趣旨

当社株券等の持株割合が15パーセント以上となる当社株券等に対する大規模買付行為が行なわれる場合に、株主の皆様がこのような買付行為を受け入れるか否かを検討するために必要かつ十分な情報を事前に提供することを大規模買付者に求めるとともに、提供された情報に基づき、当社取締役会が当該大規模買付行為について検討評価を行なうための期間を設け、かかる期間が経過するまで大規模買付行為が開始されないようにすることを定めたものです。

(2) 独立委員会の設置

当社取締役会の恣意的な判断を防止し、本プランに則った手続きの客観性、公正性、合理性を担保するため、独立委員会を設置しております。独立委員会の委員は、3名以上とし、社外の弁護士、公認会計士、税理士、学識経験者等及び社外の経営者と社外取締役によって構成いたします。

(3) 必要情報の提供

大規模買付者の提案が企業価値ひいては株主共同の利益を高めるものか否かについて判断するため、大規模買付者に対し、株式取得の目的、買付対価の算定根拠、買付資金の裏付け、株式取得後の経営方針等について、情報提供を求めます。

ただし、提供される情報は、株主並びに当社取締役会および独立委員会が大規模買付行為の是非を適切に判断するために必要かつ十分な範囲に限定されるものとし、独立委員会は、大規模買付者に延々と情報提供を求めるなどの濫用的な運用は行ないません。

(4) 検討評価

独立委員会が大規模買付行為の是非を判断するのに必要かつ十分な情報提供を受けたと判断した旨を開示した日から、円貨の現金のみとする全部買付けの場合は60日間、これ以外の場合は90日間を当社取締役会および独立委員会の検討評価期間として確保いたします。

独立委員会は、この間、大規模買付行為の妥当性や対抗措置の発動の是非等を判断し、その検討の結果を取締役会に勧告いたします。

独立委員会が当社取締役会に対して対抗措置を発動すべき旨の勧告をする場合には、当社社外取締役を務める委員のうち、少なくとも1名が賛成していることを必要とするものといたします。

※検討評価期間は、独立委員会が必要と判断した場合、最大60日延長可能といたします。

(5) 大規模買付行為がなされたときの対応

独立委員会の勧告を最大限に尊重し、取締役会が以下の基準のもとで判断いたします。

a.大規模買付者が本プランの手続きを遵守しない場合、原則として対抗措置を発動します。

b.大規模買付者が本プランの手続きを遵守した場合、取締役会は、仮に反対であっても、大規模買付行為に対する反対意見の表明や代替案の提示等を行なうにとどめ、原則として対抗措置はとりません。ただし、大規模買付行為が当社に回復し難い損害をもたらすと認められる場合や当社の企業価値を著しく損なうと判断される場合には対抗措置をとることがあります。

(6) 対抗措置の内容

大規模買付者は行使することができないなどの条件を付した新株予約権の無償割当ての方法をとります。ただし、大規模買付者に新株予約権の対価として現金を交付する旨の取得条項を付することはできないものといたします。

(7) 有効期限

平成27年6月に開催予定の当社定時株主総会の終了後最初に開催される取締役会終了のときまでとしております。

※ 本プランの内容の詳細は、当社ホームページ(http://www.kobelco.co.jp) プレスリリース欄 平成25年4月26日付「当社株券等の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の継続について」をご覧ください。

4. 経営者の取組みが会社支配に関する基本方針に沿い、当社の株主共同の利益を損なうものではないこと、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないことについて

当社グループにおける取組みは、会社支配に関する基本方針にいう「当社の企業価値、ひいては株主共同の利益の確保・向上」のための現在の経営者による取組みです。

当社の現在のコーポレート・ガバナンス(企業統治)体制およびその強化のための様々な取組みは、会社法の規律に基づき、取締役の職務執行に対する監督機能を確保し、経営の透明性を高め、もって企業価値、ひいては株主共同の利益の向上に資する点で会社支配に関する基本方針に準拠するものです。

また、本プランは、「大規模買付行為に応じるか否かは、最終的には株主の皆様が判断する」という基本精神に基づき作成されております。本プランに定める手続きのいずれも、大規模買付行為に応じるか否かを当社株主の皆様が判断するために必要な情報を提供させるため、あるいは代替案の提示を受ける機会を株主の皆様に保障するための手段として採用されたものです。よって、本プランは、会社支配に関する基本方針の考え方に沿って設計されたものであり、当社株主共同の利益に資するものであると考えます。

さらに、本プランの発効は、株主総会における当社株主の皆様の承認が条件となっております。また、有効期間が明確に規定されていることから、本プランの更新を株主総会の決議により承認しないことが可能です。加えて、本プランは、取締役会決議によりいつでも廃止が可能であることから、当社株主の皆様が本プランの維持により株主共同の利益を損なうこととなると判断する場合、取締役の選解任権を行使することにより、いつでも株主の皆様のご意思によって本プランを廃止することが可能となっております。このような仕組みにより、本プランが当社株主共同の利益を損なうことがないように配慮されております。

本プランに定める当社取締役会による対抗措置の発動は、かかる本プランの規定に従って行なわれます。さらに、当社取締役会が大規模買付行為の是非を検討評価し、対抗措置を発動するか否かを判断するにあたっては、外部専門家などの助言を得るとともに、当社の業務執行を行なう経営陣から独立している委員で構成される独立委員会へ諮問し、同委員会の勧告を最大限尊重するものとされています。このように、本プランには、当社取締役会による適正な運用を担保するための手続きも盛り込まれています。以上から、本プランは当社役員の地位の維持を目的とするものでないと考えております。

4【事業等のリスク】

当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、次のとおりであります。

なお、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、「第2 事業の状況」の他の項目、「第5 経理の状況」の注記事項、その他においても記載しておりますので、併せてご参照ください。

また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.主要市場の経済状況等

当社グループの国内向け販売は、自動車、造船、電気機械、建築・土木、IT、飲料容器、産業機械などを主な需要分野としております。一方、当連結会計年度の海外向け販売は全売上高の35.4%であり、最大の需要国である中国を含むアジア地域が、海外売上高の過半を占めております。

従って、当社グループの業績はこれらの需要分野の動向、需要地域における経済情勢等の影響を受けます。また、海外の各需要地域における政治・社会情勢、各地域における事業の監督や調整の困難さ、労働問題、関税、輸出入規制、通商・租税その他の法的規制の動向が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、各製品市場において、国内外の競合各社との厳しい競争状態にあり、競合各社による当社製品よりも高性能な製品開発や迅速な新製品の導入等、その状況次第では当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

2.鋼材販売数量・価格の変動

当社グループの販売する鋼材の数量・価格は、国内外の需要分野の動向や国際的な鋼材需給・市況により影響を受けます。

国内鋼材販売の形態は、大きくは製品数量・規格等を直接需要家との間で取り決めて出荷する「紐付き」と、需要家が不特定の状態で出荷する「店売り」とに分かれますが、当社の場合ほとんどが「紐付き」であります。鋼材の需給状況が変動した場合、「店売り」価格の方がより敏感に連動するものの、最終的には「紐付き」価格も影響を受けることになります。また、鋼材販売数量の概ね30%を占める輸出鋼材の販売数量・価格についても、各需要地域における鋼材需給等により影響を受けます。

これらの鋼材販売数量・価格の変動が、当社グループの業績に影響を及ぼします。

 

3.原材料等の価格変動等

当社グループが調達している鉄鉱石、石炭、合金鉄・非鉄金属、スクラップ等の鉄鋼原料価格及びそれらの輸送に関わる海上運賃等は、国際的な市況、為替相場、法規制、自然災害、政治情勢等により影響を受けます。特に、鉄鉱石及び石炭については、原産国や供給者が世界的にも限られていることから、需給動向が国際市況に与える影響が大きくなる傾向があります。これらの価格・運賃の変動が、当社グループの業績に影響を及ぼします。

また、アルミ・銅事業におきましては、アルミ・銅の地金価格の変動は基本的にお客様に転嫁する仕組みとなっております。しかしながら、地金価格の市況が短期間に大きく変動した場合には、会計上の在庫評価影響などによって、当社グループの業績に一時的に影響が生じる可能性があります。

さらに、当社グループは、耐火物等の副資材、設備投資関連資材、及び電装品、油圧機器、内燃機器等の資機材を外部調達しており、これら資機材の価格変動が、当社グループの業績に影響を及ぼします。

加えて、上記原材料やこれらの資機材等の調達先との取引関係に重大な変更があった場合にも、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4.環境規制等の影響

鉄鋼、アルミ・銅事業部門を中心に、その生産活動の過程において廃棄物、副産物等が発生します。当社グループでは、国内外の法規制に則った適切な対応に努めておりますが、関連法規制の強化等によって、過去に売却した工場跡地等であっても土壌汚染の浄化のための費用が発生するなど、業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、今後二酸化炭素等の排出に関連して数量規制や税の賦課が導入された場合には、鉄鋼事業部門を中心に当社グループの事業活動が制約を受け、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

5.事故、災害等による操業への影響

当社グループの生産設備の中には、鉄鋼事業部門の高炉、転炉など高温、高圧での操業を行なっている設備があります。また、高熱の生産物、化学薬品等を取り扱っている事業所もあります。対人・対物を問わず、事故の防止対策には万全を期しておりますが、万一重大な事故が発生した場合には、当社グループの生産活動に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、国内外の製造拠点等において、大規模地震や台風等の自然災害、新型インフルエンザ等の感染症、その他当社グループの制御不能な事態により操業に支障が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

6.訴訟等のリスク

当社グループは、国内、海外において多岐にわたる分野で事業活動を行なっており、その遂行にあたっては、法令その他の社会規範を遵守し、公正で健全な企業活動を行なうことを指針としております。しかしながら、当社グループ各社及び従業員が、製造物責任法や知的財産権の問題等で訴訟を提起され若しくはその他のクレームを受ける可能性や、法令違反等を理由として罰金等を課される可能性があり、その結果によっては、当社グループの業績や社会的信用力に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの技術・ノウハウを知的財産権等を通じて法的に保護できない場合にも、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

7.財務リスク

① 為替レートの変動

当社グループの外貨建取引は主として米ドル建で行なわれており、当連結会計年度におけるドル収支は輸入超過であります。当社グループは、短期的な対応として為替予約等を実施しておりますが、変動リスクを完全に排除することは困難であり、為替レートの変動は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 金利率の変動等

当連結会計年度末における当社グループの外部負債残高は7,481億円(IPPプロジェクトファイナンスを含めると7,872億円)であります。これらの負債及び新規の借入金・社債等に関し、金融情勢の変化等による金利率及びその他の条件の変動等が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ たな卸資産の価値下落

当社グループが保有しているたな卸資産について、収益性の低下等に伴い資産価値が低下した場合は、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。

 

④ 投資有価証券の価値変動等

当社グループが保有する投資有価証券の当連結会計年度末の連結貸借対照表計上額は1,796億円であります。上場株式の株価変動などに伴う投資有価証券の価値変動は、当社グループの業績に影響を及ぼします。

加えて、年金資産を構成する上場株式の株価変動により、退職給付会計における数理計算上の差異が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 繰延税金資産の計上

当社グループでは繰延税金資産について、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断して計上しております。しかしながら、今後将来の課税所得の見積り等に大きな変動が生じた場合には、繰延税金資産の取崩しが発生し、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。

 

⑥ 固定資産の価値下落

当社グループが保有している固定資産について、時価の下落・収益性の低下等に伴い資産価値が低下した場合は、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。

 

8.中期経営計画の実現

当社グループは平成25年5月に中期経営計画を発表しておりますが、成長分野・地域として掲げた分野・地域の市況や為替レートの状況等、中期経営計画の前提条件が想定と異なる場合や当該差異により予定どおり中期経営計画を遂行できない場合、当社グループは、鉄鋼事業の収益力強化、機械系事業の戦略的な拡大や電力供給事業の拡大といった中期経営計画の取組みが実現できない可能性があります。また、当社グループは、海外企業との業務提携やジョイントベンチャーを進めていますが、製品開発・サービス提供が困難を伴うことや、当初予定していたシナジー効果が実現されないこと等、これらの業務提携等が上手くいかない又は想定していた将来の事業機会を得ることができない可能性があります。

 

なお、当連結会計年度末現在では予測できない上記以外の事象の発生により、当社グループの財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1) 技術供与契約

 

契約会社

相手会社

契約内容

契約期間

(株)神戸製鋼所

(当社)

メサビ ナゲット デラウェア,L. L. C.

(アメリカ)

新還元溶解製鉄法

(ITmk3プロセス)

平成14年3月22日から

無期限

 

 

(2) その他の経営上の重要な契約

1)ユナイテッド ステイツ スチール CORP.との契約

平成2年3月に、当社はUSX CORP.(現 ユナイテッド ステイツ スチール CORP.)と米国において溶融亜鉛めっき鋼板の製造・販売に関する合弁事業を行なうことについて合意し、「プロテック コーティング CO.」を設立いたしましたが、平成22年12月22日付けで同契約を改定し、「プロテック コーティング CO.」において、既存事業に加え、高張力冷延鋼板の製造・販売に関する合弁事業も行なうことといたしました。

2)鞍鋼股份有限公司との契約

平成25年10月に、当社は鞍鋼股份有限公司と中国において自動車用冷延ハイテンの製造・販売に関する合弁会社を設立することに合意し、合弁事業契約を締結いたしました。

 

3)電力卸供給事業(IPP事業)に関する契約

当社の連結子会社である神鋼神戸発電(株)は、電力卸供給事業を行なっておりますが、これに係る契約は以下のとおりであります。

 

契約会社

相手会社

契約内容

契約期間

神鋼神戸発電(株)

(連結子会社)

関西電力(株)

電力卸供給に関する契約

(石炭火力発電70万キロワット(1号機))

平成9年1月20日から

平成29年3月31日まで

(受給開始の日から15年間)

神鋼神戸発電(株)

(連結子会社)

関西電力(株)

電力卸供給に関する契約

(石炭火力発電70万キロワット(2号機))

平成10年1月13日から

平成31年3月31日まで

(受給開始の日から15年間)

神鋼神戸発電(株)

(連結子会社)

金融機関等14社

電力卸供給事業の事業資金に関する限度貸付契約

(平成26年3月31日現在の借入残高391億円)

平成13年9月26日から

平成29年3月26日まで

(借入金返済期限)

 

4)新日鐵住金(株)との契約

当社は、事業競争力の強化を目的に新日鐵住金(株)と提携関係にありますが、これに係る契約は以下のとおりであります。

 

契約会社

相手会社

契約内容

契約期間

(株)神戸製鋼所

(当社)

新日鐵住金(株)

スラブ取引に関する合意書

平成17年6月17日から

平成45年5月14日まで

(株)神戸製鋼所

(当社)

新日鐵住金(株)

提携施策の検討継続及び買収提案を受けた場合の対応に関する覚書

平成25年3月29日から

平成29年11月14日まで

但し、5年毎の自動更新条項あり

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループ(当社及び連結子会社)は、幅広い技術分野での豊富な技術力を原動力として、「オンリーワン製品」の創出・拡販と、それに必要な「ものづくり力」の強化を中心に取り組み、多くの成果をあげております。

 当社技術開発本部では、各事業の競争力強化に向けた研究開発に加え、将来に向けた新製品・新技術の先導研究を行なっており、自動車分野、資源分野、エネルギー分野などでの新たなメニュー創出への取組み、及びそれらを支えるものづくり力を強化していきます。

また、当社各部門及び連結子会社の技術開発部門では、事業の競争力強化に直結する製品及び生産技術の開発を行なっております。今後とも、グループ全体にわたる研究開発への経営資源の投入を効果的に行なってまいります。

 当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、284億円であります。なお、本費用には、当社技術開発本部で行なっている事業部門横断的又は基礎的研究開発などで、各事業区分に配分できない費用として計上する費用38億円が含まれております。

 主な事業の種類別セグメント毎の研究開発活動の状況は、以下のとおりであります。

 

[鉄鋼事業部門]

鉄鋼事業部門では、厚板分野では、原油タンカーのタンクに対する防食新ルールに対応した当社開発の高耐食鋼が、当連結会計年度において一般財団法人日本海事協会より新ルールに基づく承認を得ました。また、(株)新来島どっくグループにて建造の新ルール適用のタンカーの底板に、この高耐食鋼である「KPAC-1」が採用されました。新ルール適用船への耐食鋼の採用は業界で初めてのことになります。本開発鋼は、従来鋼と比較して4倍の耐食性能を有し、タンカー底部で想定される強酸性環境下においても優れた耐食性能を保有しつつ、船体構造用として求められる母材特性や溶接施工性、溶接継手特性も通常鋼材と同等以上の優れた性能を有しています。今後新ルール適用のタンカー建造が増大していくため、本開発鋼の採用拡大を図ってまいります。

鋳鍛鋼分野では、船舶用ディーゼルエンジン用組立型クランクシャフトの製造において、「型入れ鍛造法」による製造技術を開発しました。これは当社が製鋼からの一貫鍛鋼メーカーという特長を活かし、「鋼の清浄化」と「型入れ鍛造法」によって実現したもので、従来の「折り曲げ鍛造法」に比べて、疲労強度を約20%向上できます。また、検査評価制度向上を図るために、「自動超音波探傷技術」を新たに開発し、品質信頼性の向上に努めてまいります。

チタン分野では、プレート式熱交換器(PHE)向けの高伝熱チタン板(HEETTM)を開発し、沖縄県久米島で行なわれている発電利用実証事業で使用される海洋温度差発電設備の熱交換器用として供給いたしました。また、寺社、仏閣用として適用拡大が期待されるチタン製成形瓦向けに、特殊表面処理が施されたチタン板を開発し、本願寺鹿児島別院(鹿児島市)の屋根に採用されました。今後も航空機やロケット部品向けの合金チタンからゴルフクラブや今回の屋根瓦といった民生用途向けの純チタンまで幅広い発展に寄与してまいります。

 なお、当連結会計年度における研究開発費は、60億円であります。

 

[溶接事業部門]

 溶接事業部門では、溶接施工に係る材料・システム・プロセスの研究開発を通して、国内外に向けて「溶接ソリューション」を提案しています。

材料関連では、中国の造船・海洋構造物市場向けのフラックス入りワイヤ(FCW)として、FAMILIARCTM DW-110EVを商品化し、実用化が始まっています。中国市場特有の溶接作業性(立向上進性)や溶接金属性能などを加味して設計されており、中国のFCW工場である青島神鋼溶接材料有限公司で製造されています。

 システム関連では、低ヒューム・低スパッタ化を実現する溶接プロセス「REGARCTM 」搭載システムのラインナップを拡大しています。新たに「柱大組立2アーク」と「コア連結2アーク」の鉄骨溶接ロボットシステムへの搭載を行ない、優れた溶接性に加え、2台のロボットによる高能率な施工が可能となります。

 プロセス関連では、ソリッドワイヤとFCWとを組み合わせたハイブリッドタンデム溶接プロセスを開発しました。ソリッドワイヤによる深溶け込み性とFCWによる優れた溶接性の両立を特長としており、すみ肉溶接施工が多い造船や橋梁市場での適用が期待されます。

 なお、当連結会計年度における研究開発費は、22億円であります。

 

[アルミ・銅事業部門]

 アルミ・銅事業部門では、短期収益力と中長期事業競争力の強化に向けた「選択と集中」をキーワードにして自動車関連部材等の成長分野への効率的な技術開発に注力するとともにグローバル対応を推進しました。

事業分野別では、アルミ板分野で、新工場建設を意思決定した中国市場向けも含め、欧州車や北米車等、各自動車メーカーの要求仕様に適合した自動車用パネル材を開発し、順調に採用が増加しております。また、EV、HEV等の次世代自動車向けの電池関連部材を開発し、強度などの材料特性においてユーザーに高く評価されております。

押出分野では、電磁成形技術を用いた貫通型バンパーが部品点数削減や高強度化により海外でも高く評価され、北米の衝突アセスメントを満足する目処を得ました。この技術の活用も含め、バンパーでの北米等海外展開の拡大を推進中です。

鋳鍛分野では、自動車サスペンション用鍛造部品の軽量化設計技術と生産性向上技術の開発を進め、北米及び中国市場向けに採用車種が増大しました。航空機エンジン用部品においては、高品質で大型のマグネシウム鋳造品を製造可能とする砂型鋳造技術の開発を進め、拡販に注力しています。

銅板分野では、自動車端子の小型化ニーズに適合した高耐熱性能を有し、加えて低摩擦係数も備えたSnめっき付銅合金を提案し、順調に採用が増加しています。欧米へのライセンス供与を進めグローバル供給体制を整備するとともに、成長するアセアンを重点市場と定め、自動化やシステム化などの生産技術開発を推進して品質安定化を図り、コスト競争力を強化しました。また、電子部品の熱対策に貢献するため、熱伝導性を活かした特徴ある製品を提案し採用が拡大しました。

 なお、当連結会計年度における研究開発費は、23億円であります。

 

[機械事業部門]

機械事業部門では、環境、省エネ(CO2削減)をキーワードに、オンリーワン・ナンバーワン技術/商品を創出することで独自性を徹底追求するとともに、マーケット及び生産の両面から更なるグローバル化を推進し、「ものづくり力」一級化の実現を目指しています。

当連結会計年度ではまず、水素ステーションの小型化に大きく寄与する大容量高圧水素圧縮機(HyAC)とマイクロチャネル熱交換器(DCHE)を、国内数カ所の水素ステーションに納入したのに加え、大幅な価格ダウンとコンパクト化を可能にしたパッケージ型水素ステーションユニット「HyAC mini」を開発しました。なお、水素圧縮機に関しては新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同開発した成果を一部活用しております。

次に、世界で初めて最高85℃の温水と冷水の同時供給について冷熱負荷の変動影響を受けず常に温熱を安定的に供給可能にする、超高効率ヒートバランスヒートポンプ「HEM-3WAY」を、関西電力(株)、東京電力(株)と共同で開発し、平成26年4月から発売を開始しました。

 さらに、以下の製品開発を完了し販売を開始しました。まず、産業用冷凍機「IZN440TUA」は、二段圧縮型インバータ式としては世界最大の冷凍能力を持つものです。マイクロバイナリー「MB-125S」は、工場排熱や地熱等を利用して発電する、高効率・小型バイナリー発電システム「マイクロバイナリー」の新シリーズで、有効活用が進んでいない110℃~130℃の低圧・余剰蒸気に対応したものです。アークイオンプレーティング(AIP)装置「G60R」は、コーティング皮膜の原材料となるターゲットの使用効率の高い新型蒸発源を開発することに成功し、生産性の向上が認められ、1号機を海外自動車部品メーカーに出荷済みです。また、ロールコータ「W60C」は、有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)製品の発光劣化を防ぐために高い水蒸気バリア性を持つSiO2膜を樹脂基板に形成することを実現しています。

 なお、当連結会計年度における研究開発費は、35億円であります。

 

[エンジニアリング事業部門]

 エンジニアリング事業部門では、低品位原料の活用を目指し、ITmk3プロセスや改質褐炭(UBC)製造プロセスの開発を進めるとともに、米国でのシェールガス開発の拡大に伴いニーズ拡大が見込まれる、天然ガスや一般炭を還元剤とした製鉄法の開発を継続しています。

 また、東京大学と共同で、ドア位置が異なる鉄道車両に対応可能な乗降位置可変型ホーム柵(どこでも柵®)の開発を推進しております。平成25年度中に実施した西武鉄道新所沢駅におけるフィールド試験の結果を踏まえ、早期の上市を目指します。

 なお、当連結会計年度における研究開発費は、19億円であります。

 

[神鋼環境ソリューション]

(株)神鋼環境ソリューションでは、技術開発センターを核として、各事業部門との緊密な連携を保ちながら、新製品、新技術並びに全社共通の基盤技術についての研究開発を行なっております。

水処理分野では、筑波大学と共同で、バイオマス生産性が高い微細藻類を発見し、培養に成功しました。また、(独)国立環境研究所から研究委託をうけた福岡大学と共同で、一般廃棄物焼却飛灰から放射性セシウムを除去し、管理型処分場に埋め立て処分可能な8,000Bq/kg以下に除染する一貫システムを開発しました。さらに、生物応答を用いた管理手法(WET手法)による排水試験の実施体制を整備し受託を開始しました。

ごみ処理分野では、廃棄物処理ライフサイクルコスト低減に向け、廃棄物発電の高効率化等の開発を推進しております。

化学・食品機械関連分野では、グラスライニング製機器の高機能化やコストダウン、無摺動攪拌装置「スイングスター」の性能向上等に向けた技術開発に取り組み、商品競争力を強化しました。

なお、当連結会計年度における研究開発費は、14億円であります。

 

[コベルコ建機]

 コベルコ建機(株)では、技術開発部門において、主力製品である油圧ショベルなどの安全性向上、省エネ性向上、排ガス対応・騒音低減などの環境対応に加え、建設リサイクル機械・金属リサイクル機械の開発に取り組んでいます。

 同社では、最新排ガス規制に対応し、燃費をさらに向上させた8トンクラスの油圧ショベルACERA GEOSPEC「SK80UR」を開発し、平成25年7月より販売開始しました。同じく、20トンクラスの油圧ショベルACERA GEOSPEC「SK200」「SK225SR」「SK235SR」を開発し、平成25年11月より販売開始しました。また、100トンクラス「SK1000DLC」及び200トンクラス「SK2200D」の超大型建物解体専用機2機種を開発し、平成25年11月より、新たに販売開始しました。さらに、独自の低騒音技術である「iNDR」を搭載し、燃費をさらに向上させた5トンクラスの油圧ショベル「SK55SR」を開発し、平成25年12月より販売開始しました。

 なお、当連結会計年度における研究開発費は、49億円であります。

 

[コベルコクレーン]

 コベルコクレーン(株)では、平成25年5月より国内及び海外向けに全油圧クローラクレーン「SL6000J」(最大つり上げ能力500トン)及び「SL4500J」(最大つり上げ能力350トン)を開発し、販売を開始しました。これらの機械はそれぞれ同クラスの既存機のモデルチェンジ機であり、平成23年排出ガス規制適合エンジンの搭載で環境に配慮しています。さらに平成25年6月より国内向けにホイールクレーンRK250-7型のモデルチェンジ機であるシティコンシャスクレーン「PANTHER-X250(型式RK250-8)」(最大つり上げ能力25トン)を開発し、販売を開始しました。前機種同様にコンパクトなボディとつり上げ能力を両立し、平成23年排出ガス規制適合エンジンを搭載しています。本機は平成25年10月に[超低騒音型ラフテレーンクレーン「RK250-8」]として国土交通省の新技術情報提供システムNETISに登録されました。ラフテレーンクレーンとしてのNETIS登録は本機が初であり、同社製品のNETIS登録は[省エネシステム『Gモード』搭載クローラクレーン]に続き2件目となります。今後も騒音低減や燃費向上といった環境負荷低減技術の開発に注力し、「環境にやさしいクレーン」の提供を通じての社会貢献に努めてまいります。

なお、当連結会計年度における研究開発費は、11億円であります。

 

[その他]

 (株)コベルコ科研では、エネルギー、自動車、エレクトロニクス、土木・建築、環境など広範囲にわたる分析・試験技術を蓄積するとともに、新たな評価・解析技術の開発を進めています。さらに、液晶テレビなどのフラットパネルディスプレイ(FPD)用の配線に用いられる薄膜用のターゲット材料や半導体等の検査装置の開発に取り組んでいます。

 当連結会計年度では、次世代2次電池の試作や劣化解析などの評価技術の開発に取り組みました。また、ターゲット材料では高精細(高移動度)を実現できる新型酸化物半導体材料を開発し、上市に向けた評価を開始しています。さらに、検査装置ではFPD向け酸化物半導体評価用差動マイクロPCD装置を開発し、販売を開始しました。

 なお、当連結会計年度における研究開発費は、10億円であります。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績についての分析

当連結会計年度の経営成績につきましては「第2 事業の状況 1.業績等の概要」に記載しましたとおり、鋼材の販売数量は、自動車向けの需要が堅調に推移したことや、円高の是正の影響などにより輸出環境に改善がみられる中、着実に海外需要を取り込んだことなどから、前連結会計年度を上回りました。アルミ圧延品の販売数量は、自動車向けの需要が堅調に推移したことなどから、前連結会計年度を上回りました。銅圧延品の販売数量は、自動車用端子向けの需要が堅調に推移したことや、半導体向けの需要も回復基調が継続したことなどから、前連結会計年度を上回りました。油圧ショベルの販売台数は、国内においては、震災からの復興需要に加え、排ガス規制に向けた駆け込み需要などにより増加したことや、海外においては、東南アジアでは需要が低調に推移したものの、中国では景気の底打ち感がみられたことや、北米及び欧州における拡販が順調に進捗していることなどから、前連結会計年度を上回りました。

この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ1,391億円増収の1兆8,246億円となりました。また、総コストの削減が進展したことや、在庫評価影響の好転及び固定資産の減価償却方法を変更した影響もあり、営業利益は、前連結会計年度に比べ1,033億円増益の1,145億円となりました。営業外損益につきましては、支払利息などが減少した一方、持分法投資損益が悪化したことなどから、前連結会計年度並の295億円の損失となり、経常損益は、1,031億円増益の850億円の利益となりました。また、特別損益につきましては、ナブテスコ(株)をはじめとした当社保有株式を売却したことによる投資有価証券売却益などを特別利益として計上した一方、神戸製鉄所の上工程設備を加古川製鉄所に集約する「鋼材事業の構造改革」を決定したことに伴い、神戸製鉄所の休止予定設備の減損損失などを特別損失として計上した結果、31億円の利益となりました。

以上の結果、税金等調整前当期純損益は、前連結会計年度に比べ1,134億円増益の882億円の利益となり、税引き後当期純損益は、971億円増益の701億円の利益となりました。

 

(注) 売上高には消費税等を含んでおりません。

 

(2) キャッシュ・フローの状況についての分析

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益882億円、減価償却費829億円の計上などにより1,942億円となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得による支出△954億円、投資有価証券の売却による収入320億円などにより△621億円となりました

この結果、フリーキャッシュ・フローは1,321億円となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、公募による新株式発行及び自己株式の処分があったものの、借入金の返済が進んだことなどにより△1,385億円となりました。以上により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,709億円となりました

 

(3) 財政状態についての分析

投資有価証券が売却に伴い減少したものの、現金及び預金や受取手形及び売掛金が増加したことなどから、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ616億円増加し2兆2,886億円となりました。また、純資産については、当期純利益の計上に伴い利益剰余金が増加したことや、公募による新株式発行及び自己株式の処分により、資本金及び資本剰余金が増加し自己株式が減少したことなどから、前連結会計年度末に比べ1,647億円増加し7,346億円となりました。これらの結果、当連結会計年度末の自己資本比率は29.2%となり、前連結会計年度末に比べ6.2ポイント上昇しました。

なお、当連結会計年度末のIPPプロジェクトファイナンスを含む外部負債残高は、前連結会計年度末に比べ1,719億円減少し7,872億円となりました。