(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、為替の円高是正が定着する中、金融緩和や経済対策の効果、輸出環境の改善等から底堅さが増し、緩やかな回復傾向が続きました。海外では、新興国の一部で成長鈍化が見られたものの、米国経済は回復基調が続きました。
このような状況のもと、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)におきましては、セラミックス事業で米国・中国市場の堅調な自動車販売や中国のトラック向け新規排ガス規制適用等により、自動車関連製品の需要が堅調に推移しました。エレクトロニクス事業でも、モバイル製品の増加による半導体市況の回復により半導体製造装置用セラミックス製品の需要が増加しました。電力関連事業においては、がいしが国内需要の低迷により低調であった一方、電力貯蔵用NAS®電池(ナトリウム/硫黄電池)では海外向けを中心に出荷が再開しました。これらの結果、当連結会計年度における売上高合計は、前期比22.1%増の3,086億71百万円となりました。
利益面では、自動車関連製品や半導体製造装置用セラミックス製品の売上高増加や円安影響等により営業利益は前期比113.8%増の442億52百万円、経常利益は同108.0%増の458億19百万円となりました。当期純利益については、がいし事業の再構築を進めており、固定資産減損損失や中国がいし製造子会社の清算損を特別損失として計上しましたが、営業利益の改善が寄与し、前期比136.8%増の270億45百万円となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
〔電力関連事業〕
当事業の売上高は、590億4百万円と前期に比して2.1%増加いたしました。
がいしは一部海外案件の遅れに加え、中国・国内市場の需要低迷が継続したことなどから前期比で減収となりました。NAS®電池は平成23年9月に発生した火災事故の安全対策の実施を経て、海外の大口案件を中心に出荷を再開したことから前期比で増収となりました。
営業損益では、NAS®電池の出荷再開に伴い営業損失が縮小し、部門合計では前期57億29百万円の営業損失から39億円の営業損失となりました。
〔セラミックス事業〕
当事業の売上高は、1,909億77百万円と前期に比して32.5%増加いたしました。
自動車関連製品は堅調な米国・中国市場の乗用車販売に加え、新規排ガス規制の適用により主に中国のトラック向けの需要が拡大し、欧州でも高級乗用車向けの需要が堅調であったため、触媒用セラミックス担体(ハニセラム・大型ハニセラム)やSiC製ディーゼル・パティキュレート・フィルターを中心に増収となりました。産業機器関連製品は、電子・鉄鋼・化学分野等における国内の設備投資低迷が影響し減収となりました。
営業利益は自動車関連製品の大幅な増収等により、前期比73.2%増の449億98百万円となりました。
〔エレクトロニクス事業〕
当事業の売上高は、589億26百万円と前期に比して15.3%増加いたしました。
半導体製造装置用セラミックス製品は、モバイル製品の拡大を背景に需要が増加し前期比で増収となったほか、ベリリウム銅製品も中国・新興国での需要拡大により増収となりました。電子部品はインクジェットプリンター用圧電マイクロアクチュエーターの需要が前期に続き減少し減収となりました。また連結子会社の双信電機(株)グループにおきましては、産業機器向けの需要が堅調で増収となりました。
営業利益は半導体製造装置用セラミックス製品の増収が寄与したことなどから、前期比7.0倍の31億4百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動による326億47百万円の収入、投資活動による211億85百万円の支出、及び財務活動による20億26百万円の収入などにより前期末に比し169億35百万円増加し、当期末残高は1,197億81百万円となりました。
〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕
営業活動に伴う資金は、NAS電池安全対策引当金の減少や売上債権の増加などによる支出の一方、税金等調整前当期純利益379億5百万円や減価償却費などにより326億47百万円の収入となりました。前期との比較では、売上債権の増加による支出増の一方で、税金等調整前当期純利益が増加したほか、NAS電池安全対策引当金の取崩しが減少したことなどから、収入が289億66百万円増加しました。
〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕
投資活動に伴う資金は、投資有価証券の売却及び償還による収入があった一方、有価証券の取得、定期預金の増加、自動車関連製品を中心とした設備投資などから211億85百万円の支出となりました。前期との比較では、有価証券の取得による支出の増加等により支出が206億2百万円増加しました。
〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕
財務活動に伴う資金は、配当金の支払による支出があった一方で、長期借入れによる収入により20億26百万円の収入となりました。前期との比較では、新規の長期借入れ額が減少したことから、収入が104億21百万円減少しました。
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 | 前年同期比(%) |
電力関連事業(百万円) | 65,747 | 114.0 |
セラミックス事業(百万円) | 187,097 | 119.2 |
エレクトロニクス事業(百万円) | 60,732 | 113.9 |
合計(百万円) | 313,577 | 117.0 |
(注) 1.購入品仕入実績については区分して記載することが困難なため、生産実績に含めて記載しております。
2.上記は、販売価格をもって表示しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4.セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高 | 前年同期比(%) | 受注残高 | 前年同期比(%) |
電力関連事業 | 66,552 | 1,301.5 | 36,661 | 130.9 |
セラミックス事業 | 189,751 | 135.3 | 10,124 | 91.7 |
エレクトロニクス事業 | 60,921 | 117.1 | 13,232 | 125.7 |
合計 | 317,225 | 160.7 | 60,018 | 121.1 |
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間取引については、相殺消去しております。
3.電力関連事業における受注高は、前連結会計年度において、平成21年にアラブ首長国連邦のアブダビ水利電力庁から受注したNAS®電池システムについて、出力30万キロワットを6万キロワットに契約改定することに合意したことによる受注の一部取消しを反映しております。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 | 前年同期比(%) |
電力関連事業(百万円) | 58,985 | 102.2 |
セラミックス事業(百万円) | 190,761 | 132.5 |
エレクトロニクス事業(百万円) | 58,924 | 115.3 |
合計(百万円) | 308,671 | 122.1 |
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間取引については、相殺消去しております。
経済の先行きについては、先進国を中心に緩やかな回復基調が続くと見られるものの、新興国経済の動向や消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減等が懸念され、楽観できない状況です。
中長期的には、市場の成長と共に製造拠点としても存在感が増していく新興国の企業との競争が強まっていくと予想されます。
このような状況のもと、当社グループは、従前より掲げる「技術の先進性」、「スピード重視」、「現場重視」、「人材育成」、「全員参加のCSR」の5つを業務の基本方針に、「強い事業をより強く-中長期的な視点での競争力強化」、「新製品・新規事業の創出-2017 Challenge 30」の2点に注力して取り組んでまいります。
① 強い事業をより強く-中長期的な視点での競争力強化
既存事業の収益性を強化するために、自動車関連製品においては、需要拡大に対応したグローバルに効率的な生産体制を着実に構築してまいります。半導体製造装置用セラミックス製品においては、製品の高性能化と革新的な製法の確立により製品競争力の強化を進めます。
一方、苦戦の続くがいしや産業機器関連製品などの事業では、国内外生産拠点の役割を見直し、事業再構築によるスリム化とコストダウンにより持続的に収益を生み出せる体質への転換を図ります。NAS®電池については、安全性を最優先し、継続的な受注獲得と設計・製造コストダウンの推進により収益性の確保に努めます。
当社グループは、引き続き「ものづくり構造革新」を推進し、中長期的視点でグローバルな競争を勝ち抜けるコスト競争力と技術先進性の構築を目指してまいります。
② 新製品・新規事業の創出-2017 Challenge 30
当社グループは、売上高に占める新製品の比率を平成29年度(2017年度)に30%まで引き上げる「2017 Challenge 30」を全社目標に掲げ、新製品・新事業の創出に取り組んでおります。事業化を決定した複合ウエハーの立上げを着実に進めるほか、コア技術を活かせる分野の中で、窒化ガリウム(GaN)ウエハーやハイセラムウエハーなどのウエハー製品群、サブナノセラミック膜、固体酸化物形燃料電池等の新製品の早期市場投入を進めてまいります。また、事業部門・研究開発部門が一丸となって開発テーマの探索活動を強化してまいります。
その他の取り組みとして、BCP(事業継続計画)を全社的に推進するための組織としてBCP対策本部を設置しております。よりよい社会環境に資する商品を安定供給する責任を全うすべく、災害発生時における事業継続のための各種対策の実効性を高めるよう努めてまいります。また、当社グループは競争状況に関する国際的な調査の対象となっており、全面的に協力しております。公正な対応を図るため社外取締役、社外監査役を中心とする独立委員会を設置しております。当社グループはCSRを企業経営の根幹と位置づけ、「全員参加のCSR」を目指し、コンプライアンス体制の一層の強化を図るとともに、従業員が高い倫理観を持ち、日々の行動に確実に反映していけるよう環境整備を進めてまいります。
当社グループは、こうした取り組みを通じて、持続的な成長と企業価値の向上を実現し、資本効率重視、株主重視の経営を継続してまいります。
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成26年6月27日現在)において当社グループが判断したものであります。
(事業拠点について)
当社グループは、主要な生産拠点を、国内においては愛知県及び石川県に、海外においては米州、欧州、アジア等に有しております。自動車用排ガス浄化用触媒担体等の主力製品においては、需要地生産や最適生産分担の観点からグローバルな生産体制を展開しており、生産拠点としてのリスクの分散化は図られております。しかし、国内海外にかかわらず、地震や火災等の事故などで主要生産拠点の生産設備に重要な被害が発生した場合には、相当期間、生産活動が停止し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、特に海外展開においては、①当該国の法律、規制、税法等、②為替変動を含む経済変化、③人材の確保と教育の難しさ、④インフラの未整備、⑤テロ、戦争などの社会的混乱、等のリスクが潜在しています。これらの予期せぬ事象が発生した場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(為替、金利、素材価格の変動について)
当社グループの事業には、全世界における製品の生産と販売が含まれております。当社グループは米ドル、ユーロ及び円を含む主要通貨間の為替レートの短期的な変動に対しては、先物為替予約等によりリスクヘッジしておりますが、円高は売上高・利益の減少要因となり当社グループの業績に悪影響をもたらします。
当社グループは事業拡大や生産性改善のための必要な設備投資を今後とも実施してまいりますが、設備投資や社債償還などの資金ニーズに対して金利上昇局面で将来資金調達を行う場合はコストの増加が予想され、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
素材価格の上昇は当社グループ事業の製造コストの増加となりますが、これを軽減すべく客先への売価への反映、コストダウン、生産性の向上、経費圧縮などに取り組んでおります。当社グループは仕入価格の上昇を吸収すべく努力していきますが、過度の素材価格の上昇は、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(新製品について)
当社グループは、新製品の創出による成長力の確保を目指しており、今後の成長の柱となるべき新製品に対しては集中的に資本投下を行っております。需要拡大が予測される製品については、設備投資を段階的に行っております。これらの設備の立ち上げがスケジュール通り進まない場合等で、当社グループの中期的な成長力に悪影響を及ぼす可能性があります。
(景気変動について)
当社グループが製造・販売する製品の需要は多分に国内外における景気変動の影響を受けます。日本及び海外における景気変動は、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(製品の品質について)
当社グループは、全社品質方針に基づき、品質に関する活動に取り組むことにより、高い品質水準の確保に努めております。しかし、当社グループが製造・販売するすべての製品において、予想し得ない品質問題が発生する可能性は皆無ではなく、その場合には、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(競争状況に関する国際的な調査について)
当社グループは、競争状況に関する国際的な調査の対象となっており全面的に協力しておりますが、競争当局の調査の結果等によって、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
特に記載すべき事項はありません。
当社グループは、研究開発を重要な経営課題のひとつとし、ファインセラミックスを中心とした材料技術とシステム技術とをベースに、高付加価値、高機能な新製品の提供を目指し、研究開発に積極的に資源投入しております。推進体制としては、基礎から応用まで手掛ける親会社の研究開発部門での研究開発と、事業本部及び子会社での商品化に近い研究開発の二本立てで進めております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は 120億60百万円であり、この中にはグループ外部からの受託研究にかかわる費用8億22百万円が含まれております。各事業別の主要な研究開発テーマ、成果及び研究開発費は次のとおりであります。
〔電力関連事業〕
電力関連事業部門では、電力貯蔵用NAS®電池(ナトリウム/硫黄電池)の市場ニーズに応えるため、コストダウン研究を推進しております。配電機器事業においては、連結子会社のエナジーサポート㈱にて、配電用機器の新製品開発や、各製品の低コスト化に関する研究開発に取り組んでおります。
なお、当事業に係る研究開発費は8億72百万円であります。
〔セラミックス事業〕
セラミックス事業部門では、ガソリン・パティキュレート・フィルター(GPF)の商品開発、ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)の生産技術改善及び性能向上、ディーゼルを含む自動車用排ガス浄化用触媒担体の生産技術改善及び、各種フィルム・ガラス基板の加熱・乾燥システムの開発や、原子力発電所向け廃棄物処理システムの改良等の研究開発に取り組んでおります。
なお、当事業に係る研究開発費は39億71百万円であります。
〔エレクトロニクス事業〕
エレクトロニクス事業部門では、圧電セラミックス技術をコアとした各種応用デバイス、半導体製造装置の高機能化に対応するセラミック部品及びモジュール、自動車・産業用機器・デジタル家電用コネクタ、リレー等の電子部品向けのベリリウム銅製品等の研究に取り組んでおります。
また、透光性アルミナセラミックスを用いたLED用セラミック部品の開発や低コストの生産技術開発に取り組んでおります。
連結子会社の双信電機㈱では、パワーエレクトロニクス分野と情報通信分野を中心に大容量コンデンサや積層誘電体フィルタの研究開発を進めております。
なお、当事業に係る研究開発費は18億32百万円であります。
〔本社部門〕
本社部門には、全社的な研究開発を担当する研究開発本部があります。研究開発本部は、中・長期にわたるセラミックス基礎技術の創出、育成と新商品の種をつくることを主たる任務としており、ウェハープロジェクト、NCMプロジェクト、機能材料プロジェクト、材料技術センター、基盤技術研究所及び次世代技術戦略室より成り立っています。
また、当連結会計年度における研究開発テーマとして、窒化ガリウム(GaN)ウエハーがあります。
なお、本社部門に係る研究開発費は53億83百万円であります。
(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(1) 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比し9.1%増加して、6,142億19百万円となりました。
流動資産は、有価証券や売掛金が増加したことなどから、前期比16.1%増の3,525億89百万円となりました。固定資産は、前期比0.8%増の2,616億29百万円となりました。
流動負債は、NAS電池安全対策引当金が減少したものの、1年内償還予定の社債の増加などにより、前期比17.5%増の1,014億19百万円となりました。固定負債は、長期借入金が増加した一方、社債の償還期限が一年以内になったことに伴い表示区分を固定負債から流動負債に変更したことなどから、前期比3.0%減の1,683億46百万円となりました。
純資産は、当期純利益による利益剰余金の増加に加えて、円安による為替換算調整勘定の増加、その他有価証券評価差額金の増加などにより、前期比13.7%増の3,444億53百万円となりました。
これらの結果、当連結会計年度末における自己資本比率は54.3%(前連結会計年度末52.0%)となり、1株当たり純資産は1,021.32円と、前期を125.06円上回りました。
(2) 経営成績の分析
セラミックス事業で米国・中国市場の堅調な自動車販売や中国のトラック向け新規排ガス規制適用等により、自動車関連製品の需要が堅調に推移しました。エレクトロニクス事業でも、モバイル製品の増加による半導体市況の回復により半導体製造装置用セラミックス製品の需要が増加しました。電力関連事業においては、がいしが国内需要の低迷により低調であった一方、電力貯蔵用NAS®電池(ナトリウム/硫黄電池)では海外向けを中心に出荷が再開しました。これらの結果、当連結会計年度における売上高合計は、前期比22.1%増の3,086億71百万円となりました。
利益面では、自動車関連製品や半導体製造装置用セラミックス製品の売上高増加や円安影響等により営業利益は前期比113.8%増の442億52百万円、経常利益は同108.0%増の458億19百万円となりました。当期純利益については、がいし事業の再構築を進めており、固定資産減損損失や中国がいし製造子会社の清算損を特別損失として計上しましたが、営業利益の改善が寄与し、前期比136.8%増の270億45百万円となりました。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
①キャッシュ・フローの状況
「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
②資金需要について
当社グループは、国内外での事業活動について長期的な視野から資金需要を認識しております。資金調達については、調達コストとリスク分散を勘案し、調達手段の多様化を図ることで、低コストかつ安定的に資金を確保するよう努めております。また、グループ各社における余剰資金の一元管理を図り、資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、国内外でCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しております。