第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度においては、世界経済は、欧州では景気は緩やかな回復が続きました。米国においても堅調な雇用情勢や個人消費を背景に回復基調で推移しました。中国では緩やかな景気減速が続いたものの、各種政策効果もあり持ち直しの動きが見られました。国内経済は、個人消費が底堅く推移する中、雇用情勢の改善等を背景に緩やかな回復が続きました。

このような中、当社グループ(当社及び連結子会社)においては、電子・情報の分野では、主力の液晶ディスプレイ(LCD)用基板ガラスは、LCDパネルの需要回復とともに出荷が緩やかに増加する一方、価格は緩やかな下落が続きました。モバイル端末用カバーガラス(化学強化専用ガラス)は、スマートフォンの需要の伸び悩みにより低調でした。電子デバイス用ガラスは、新製品が販売の増加に寄与しましたが、光関連ガラスは、一部の通信インフラ市場の減速により販売が減少しました。太陽電池用基板ガラスは堅調に推移しました。機能材料・その他の分野では、ガラスファイバは、自動車部品向け高機能樹脂用途において、円高による売上高の目減りなどがありましたが、通期としては市場は堅調に推移し、出荷が伸長したことや、平成28年10月に取得したPPG社の欧州ガラス繊維事業も販売面で寄与したことから、売上高は前連結会計年度(平成27年1月1日~同年12月31日)を上回りました。建築用ガラスや医薬用管ガラス、耐熱ガラスは、製品により景況の濃淡はあったものの、全体として想定を下回る結果となりました。これらにより、当連結会計年度の売上高は2,394億11百万円(前連結会計年度比4.7%減)となりました。

損益面では、生産性の改善や原燃料費の低減、費用削減の取り組みの一方で、売上高の減少、円高による売上高の目減りや為替差損などにより営業利益は195億71百万円(同11.2%減)、経常利益は139億67百万円(同2.1%減)となりました。特別損益においては、今後の使用が見込まれない製造設備等の減損損失があった一方で、一部のガラス溶解炉において将来の修理予定がなくなったこと及び特別修繕引当金の会計上の見積りを変更したことによる特別修繕引当金の取り崩しに伴う戻入益がありました。また、当連結会計年度の個別業績などを踏まえ、繰延税金資産の回収可能性について検討した結果、繰延税金資産の一部を取り崩すこととし、法人税等調整額に計上しました。これらにより、親会社株主に帰属する当期純利益は49億68百万円(同48.4%減)となりました。

 

なお、当社グループのセグメントは、ガラス事業単一です。

 

(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕

税金等調整前当期純利益が減少しました。減価償却費は高水準ですが前連結会計年度比で減少しました。製造設備等の減損損失が増加しました。たな卸資産が減少しました。一方で、前述のとおり、特別修繕引当金の取り崩しがありました。これらにより、営業活動によって得られた資金は482億61百万円(前連結会計年度比14億63百万円の収入増)となりました。

 

〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕

電気硝子(厦門)有限公司に係る固定資産の取得や、PPG社の欧州ガラス繊維事業の取得などによる支出があり、投資活動に使用した資金は361億38百万円(同35億0百万円の支出増)となりました。

 

〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕

長期借入金の満期返済に伴い借り換えを行いました。また、社債を償還し、株主への配当金及び子会社における非支配株主への配当金を支払いました。これらにより、財務活動に使用した資金は176億24百万円(同97億31百万円の支出増)となりました。

 

上記に、現金及び現金同等物に係る換算差額△21億87百万円を合わせ、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比べ76億88百万円減少し、1,261億67百万円となりました。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 当連結会計年度(自 平成28年1月1日 至 平成28年12月31日)における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

ガラス事業

235,996

90.4

合計

235,996

90.4

 (注)1.生産金額は、平均販売価額により算出したものです。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

基本的に見込み生産を行っています。なお、当連結会計年度において特記すべき事項はありません。

 

(3) 販売実績

 当連結会計年度(自 平成28年1月1日 至 平成28年12月31日)における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

ガラス事業

239,411

95.3

合計

239,411

95.3

 (注)1.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

(自 平成27年1月1日

至 平成27年12月31日)

当連結会計年度

(自 平成28年1月1日

至 平成28年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

LGディスプレイ㈱

63,943

25.5

54,195

22.6

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3【対処すべき課題】

(1) 対処すべき課題に対する基本方針

当社グループ(当社及び連結子会社)は、「日本電気硝子 企業理念体系」の下、「世界一の特殊ガラスメーカー」を目指し、材料設計・溶融・成形・加工といった技術により様々な特性や機能を持つガラス製品を開発・生産し、市場に潤沢に供給することで、社会のニーズに対応していくことを経営の基本においています。同時に、時代に即したCSR(企業の社会的責任)の中から重点課題を設定し活動を推進することにより、企業の社会的責務を果たしてまいりたいと考えています。これらの取り組みを通して、社会の発展に貢献するとともに企業アイデンティティの発信にも努め、企業価値の向上と持続的成長を図ってまいります。

 

日本電気硝子 企業理念体系

わたくしたちは、“文明の産物”の創造を通して社会に貢献するという創業の精神を、企業理念の底流をなすものと位置付けています。

 

(企業理念)

「ガラスの持つ無限の可能性を引き出し、モノづくりを通して、豊かな未来を切り拓きます。」

スローガン: GLASS FOR FUTURE

 

(目指すべき企業像)

「世界一の特殊ガラスメーカー」

 

(大切にしている価値観)

・お得意先第一  ・達成への執念  ・自由闊達  ・高い倫理観  ・自然との共生

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題の内容

<当社グループの経営戦略>

当社グループのビジネスモデル

・人材力、技術力を活用し、高付加価値製品、イノベーティブな製品を追求します。

・「モノづくり」(※)を通して、市場の要請に応じ、「板」、「管」、「球」、「繊維」、「粉末」、「成形品」、薄膜・樹脂・金属等との「ハイブリッド製品」といった多種多様な形状と機能を持つガラスを提供してまいります。

「電子・情報」の分野ではディスプレイ用ガラス、光関連・電子デバイス用ガラスなどの、また、「機能材料・その他」の分野ではガラスファイバ、医薬用管ガラス、耐熱ガラス、建築用ガラスなどのビジネスを展開し、バランスの取れた事業ポートフォリオを構築してまいります。

これらの活動を行う中で、企業の社会的責務を果たし、社会の発展に貢献するとともに、企業価値の向上と持続的成長を図ってまいります。

 

(※)当社グループが目指す「モノづくり」

社会のニーズに応えるべく、最先端の技術〔材料設計、製造プロセス(溶融・成形・加工)技術、評価技術〕をベースに研究開発を推進し、優れた製品を生み出し、最高水準の品質と高効率の生産により、潤沢に市場に製品を供給します。そして、市場からの声を再び研究開発に活かします。こうした循環が目指すべき「モノづくり」と考えています。

 

○注力する市場分野

・「自動車・輸送」、「情報通信・半導体」、「医療」、「ディスプレイ」の4分野を当社グループの中期的な成長に直結する『拡大・強化分野』と位置付け、この分野への積極的な事業拡大と競争力強化に注力してまいります。

・「照明」、「エネルギー」、「社会インフラ」、「家電・住設」の4分野は社会の発展とともに成長が見込め、かつ、ガラスの機能性が発揮できる分野です。これらを『戦略的育成分野』と位置付け、この分野における新たな事業の創出に向けて研究開発を推進してまいります。

・上記の活動を通じ、各分野の以下のニーズに応えてまいります。

 

『拡大・強化分野』

自動車・輸送: 軽量化材料、車載照明、表示装置、車載カメラ、各種電子機器

情報通信・半導体: 高速大容量光通信機器、次世代半導体(小型高精細・高機能)

医療: 先進医薬容器、先端医療機器・設備

ディスプレイ: 次世代ディスプレイ(高精細・薄型軽量・フレキシブル)

 

『戦略的育成分野』

照明: 次世代照明(省エネ、高輝度・高出力)

エネルギー: 自然エネルギーシステム、二次電池

社会インフラ: 高機能防火設備、高性能構造材料(安全・耐久・軽量)

家電・住設: 高機能家電・住設材料、多機能壁材

 

○財務方針

・キャッシュ・フロー重視

・資産の効率的活用(金融資産・たな卸資産の圧縮、設備の生産性向上と集約)

・財務基盤の強化(適切な自己資本比率、実質無借金経営)

 

<中期経営計画「EGP2018」>

当社グループは、現在、2016年度から2018年度までの3か年を対象期間とする中期経営計画「EGP2018」に取り組んでいます。基本方針と施策、経営目標は以下のとおりです。

 

― 基本方針と施策 ―

①「ディスプレイ」関連事業の収益力強化

・製造プロセス改善による生産性と品質の向上

・海外への円滑な生産移転

・リスクをコントロールし、収支を重視した経営

②「機能材料、光・電子、医療・耐熱・建築」関連事業の拡大

新たな事業機会と成長シナジー獲得のためのM&A・アライアンス戦略の具体化

・拡販・投資による既存事業の成長

・新規開発品の早期事業化

③研究開発の強化

・ガラスの優位性を活かした「材料・プロセス・製品」の開発推進

・材料設計、製造プロセス技術、評価技術における基礎技術の向上

・新規事業創出や既存事業拡大のための知財力強化、及びライセンスインやクロスライセンス等の活用

④積極投資

通常の設備投資のほかに、戦略的投資(M&Aや他社との協業・提携を含む)として当該3か年で約500億円を設定

 

― 経営目標 ―

・売上高          3,000億円

(内訳)電子・情報    1,700億円(ディスプレイ用ガラス、光関連・電子デバイスほか)

機能材料・その他 1,300億円(ガラスファイバ、医療、耐熱、建築ほか)

・営業利益          300億円

営業利益率           10%

 

4【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重大な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがありますが、これらに限定されるものではありません。なお、文中における将来に関する事項は、提出日現在(平成29年3月31日)において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。

(1) 需要及び市場構造の急変

当社グループの主要事業分野である電子・情報分野においては、技術革新によってデバイスや部品、材料の転換が急速に進む可能性があります。当社は、広範かつ高度な特殊ガラス技術の蓄積を背景に新規のニーズへの対応に努めていますが、新規のデバイス等への転換によって既存製品の需要が急激に縮小に転じ、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
 また、需給バランスの悪化、競合他社との競争の激化等により製品価格又は供給量が大幅に変動した場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 設備投資に関するリスク

当社グループでは、特殊ガラス製品を製造していますが、これらの生産設備の新設には多額の資金と相当の期間を要します。また、既設の設備についても生産性改善等のために継続的な改良が必要です。

当社グループでは、適時かつ適切な生産設備の新設と継続的な改良に努めていますが、需要予測に大きな変化が生じた場合、生産性等所期の設備能力が得られなかった場合、あるいは主要設備部材の価格が市況により急激に変動した場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 一部製品の販売に関するリスク

当社グループでは、一部製品の販売については特定の主要顧客に依存しており、このような製品については、当該顧客の投資・販売計画及び資材調達の方針等が当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 資材等の調達に関するリスク

当社グループの生産活動においては、原燃料の海外依存度が高く、また、一部調達先が限られる特殊な原料、資材等を使用するため、これらについて供給の逼迫や遅延、価格の高騰等が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 法的規制等に関するリスク

当社グループが事業を行っている国及び地域では、投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、独占禁止、製造物責任、環境、労務、特許、租税、為替等の各種関係法令の適用を受けています。当社グループは、こうした法令及び規制を遵守し公正な企業活動に努めていますが、万一法令・規制違反を理由とする訴訟や法的手続きにおいて、当社グループにとって不利な結果が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 知的財産権に関するリスク

当社グループでは、現在の事業活動及び将来の事業展開に有用な知的財産権取得に努める一方、他社の知的財産権の調査を行い、問題発生の防止を図っていますが、当社グループが知的財産権に関連する争訟に巻き込まれた場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(7) 環境に関するリスク

当社グループは、資源とエネルギーを大量に使用する環境負荷の高いガラス事業を主に行っています。そのため、環境に配慮した製品のさらなる開発を行うほか、環境への影響を低減するための設備や管理体制の充実を図る一方、生産効率すなわち資源やエネルギーの原単位向上や3R(Reduce、Reuse、Recycle)の推進を行うなど、環境負荷の低減に取り組んでいますが、今後環境に関する規制や社会が求める環境責任が厳しくなることにより、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 為替及び金利等の変動リスク

当社グループでは、世界の市場を対象に事業活動が行われているため、為替予約などにより為替相場の変動に伴うリスクの軽減に努めていますが、当社グループの業績及び財務状況は、為替相場の変動によって影響を受けます。

また、金利情勢や証券市場の変動が当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(9) 海外活動に伴うリスク

当社グループの事業活動は、世界の市場を対象に行われています。これら海外における事業活動には以下に掲げるようなリスクが内在しています。

・予期しない法令又は規制の変更

・移転価格税制等の国際税務リスク

・特有の取引慣行

・政治及び社会情勢の変化

・テロ、戦争、感染症、その他の要因による社会的混乱

(10) 人材の確保

当社グループは、人材戦略を事業活動における重要課題の一つとして捉えており、今後の事業展開には適切な人材の確保・育成が必要と認識しています。適切な人材を十分に確保できなかった場合、当社グループの事業遂行に制約を受け、又は機会損失が生じるなど当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(11) 固定資産の減損会計

当社グループは、固定資産の減損会計を適用しています。事業に係る設備について、今後の事業の収益性や市況等の動向によっては、減損損失が発生し、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、その他一部遊休の固定資産については、順次、整理・売却・転用を進めていますが、今後の地価動向や景気動向などによっては、減損損失が発生する可能性があります。

(12) 情報管理に関するリスク

当社グループは、事業の過程で顧客又はその他団体や個人(従業員を含む)に関する機密的な情報を入手することがあります。これらの情報の管理には細心の注意を払っており、情報管理委員会等を設置し、情報の漏洩が生じないようにセキュリティシステムの活用を推進する等の対策を講じていますが、これらの情報が外部に漏洩する可能性は否定できません。

情報が外部に漏洩した場合には、被害を受けた者から損害賠償請求を受ける可能性及び当社グループの企業イメージが損なわれる可能性があります。また、顧客や従業員等の情報と同様、新技術に関する機密情報が、何らかの事情で漏洩した場合も、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(13) 自然災害、事故災害に関するリスク

地震、台風等の自然災害や火災等の事故災害が発生した場合、当社グループの拠点の設備等の損壊や電力、ガス、水の供給困難により、一部又は全部の操業が中断し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。また、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、結果として、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は、「ガラスの持つ無限の可能性を引き出し、モノづくりを通して、豊かな未来を切り拓きます。」という企業理念を実現することを目的に研究開発活動に取り組んでいます。また、製造プロセスと製品開発の統合的な進化を目指し、その成果を当社の中長期の成長のための経営戦略に反映させていきます。

 

当社の研究開発活動は、「基礎的研究開発」と「事業部門開発」から成っています。

「基礎的研究開発」は、基盤技術開発と戦略的開発で構成されます。基盤技術開発は、主としてスタッフ機能部門(技術本部、製造技術統括本部)が担当しています。科学的なアプローチに基づき、新材料・新技術、製品化技術、分析評価技術、製造プロセス技術の研究開発をライン部門(各事業部)と密接に連携をとりながら行っています。また、戦略的開発については、スタッフ機能部門とライン部門が、事業戦略に基づく中期的開発課題について密接に連携し取り組んでいます。そのための情報解析や企画立案は、事業戦略部が支援しています。一方、「事業部門開発」は、主としてライン部門が担当し、各事業分野の発展につながる製品及び製造プロセス技術の研究開発を、スタッフ機能部門と密接に連携をとりながら行っています。

 

当連結会計年度における当社グループの研究開発費は66億57百万円となりました。

 

なお、当社グループのセグメントは、ガラス事業単一です。

 

「基礎的研究開発」

基盤技術開発では、材料設計、製造プロセス技術、評価技術といったコア技術の開発・改良、コア技術をベースにガラスの特徴を最大限に活かし、より高い機能を引き出す製品設計、中長期に亘り社会や産業界のニーズに応える次世代のガラスの創出を主たる目的とし、以下のような取り組みを行っています。

 

○コア技術の開発・改良:ガラスの基礎物性や新プロセスの研究に基づく材料設計、シミュレーション研究や溶融清澄研究による製造プロセス技術、高度な分析・測定・解析技術を用いた評価技術の研究開発。

 

○コア技術を活かした製品設計:求められる製品の特性や用途に合わせ、材料設計や製造プロセス技術、評価技術を駆使し、ディスプレイ用ガラスやモバイル端末用カバーガラス(化学強化専用ガラス)、光関連ガラスや電子デバイス用ガラス、ガラスファイバ、医薬用管ガラスなどの研究開発。

 

○次世代のガラスの創出:二次電池などのエネルギー分野に用いられる材料や次世代照明用材料として車載用などハイパワー化するLEDやLD光源の発展に貢献できる蛍光体ガラス、有機EL照明の輝度向上に貢献するガラス、先端医療に対応する医療用ガラスなどの研究開発。また、超高屈折率ガラスや磁石にくっつく透明ガラスなど従来にはない特性を有するガラスの研究開発。

 

上記に加え、新技術の導入やコア技術の更なる進化など基盤技術開発の活性化を目的に、国内外の大学や研究機関とのネットワーク構築や共同研究に積極的に取り組んでいます。

 

戦略的開発では、現事業分野を超える次世代の技術・製品の開発や、ガラス溶融における消費エネルギーの削減・環境負荷低減に寄与する製造プロセス技術の開発などに取り組んでいます。

 

これらの結果、基礎的研究開発費は25億79百万円となりました。

 

「事業部門開発」

事業部門開発では、製造プロセス技術の研究開発、その技術を活かしたガラスの高機能化を主たる目的に、以下のような取り組みを行っています。

 

○製造プロセス技術の研究開発:超高精細ディスプレイ用ガラスや高強度な化学強化専用ガラス、極限まで薄いガラス、高機能化する電子デバイス用ガラス、ガラスファイバ、医薬用管ガラスなどの製造を可能にする溶融・成形・加工・検査技術などの高度化。

 

○ガラスの高機能化:防眩や反射防止、汚れ防止など様々な機能を持たせた膜をガラスに付与する成膜技術や各種高性能ミラーなどの研究開発。ガラスを金属、セラミックス、樹脂などの有機材料と組み合わせる複合化技術の研究開発。他社との協業や提携を行うことにより、当社のガラスの機能をさらに高める研究開発や新規分野の開拓に繋がる研究開発。

 

これらの結果、事業部門開発における研究開発費は40億78百万円となりました。

具体的な状況は次のとおりです。

 

(電子・情報)

ディスプレイ用ガラスについては、超高精細ディスプレイの需要に対応するため、得意先の製造工程での寸法変化を極力小さくする材料及び技術開発に取り組んでおり、化学強化専用ガラスについては、モバイル端末や車載ディスプレイ用の防眩、反射防止、防汚膜を施したカバーガラスや、薄膜技術を駆使したハーフミラーを用いた自動車のスマートルームミラーの技術開発に取り組んでいます。

また、薄いフィルムのような柔軟性を持つ超薄板ガラス「G-Leaf」のロール巻き量産技術や、その切断・成膜といった製造プロセス開発に取り組み、フレキシブルディスプレイやフレキシブル有機EL照明などの次世代製品の創出に注力しています。直近では、「G-Leaf」に微細な黒色銅配線パターンを形成した静電容量型タッチパネル用センサシート「G-Leaf Touch」を世界で初めて開発しました。

“超薄板ガラス-樹脂 積層体”「Lamion」については、デジタルサイネージ保護パネルや駅のホームドアなどの機能向上に加え、新たな分野への適用を目指した技術開発に取り組んでいます。

光関連ガラス・電子デバイス用ガラスについては、蛍光体ガラス「ルミファス」などの照明や家電、情報通信分野における新製品の研究開発に取り組んでいます。例えば、高効率な吸収特性を持たせた世界最薄の赤外線吸収フィルター、次世代半導体パッケージ技術のFOWLP(Fan Out Wafer Level Package)に対応した半導体用サポートガラス、イメージセンサやLEDなどの素子を封止するのに最適なセラミックス封止用レーザーガラスフリットなど様々な新製品の研究開発を進めています。

さらに、NSマテリアルズ㈱に出資し、優れた色再現性とともに高い耐熱性・耐環境性を備えた量子ドット蛍光体の開発と電子部品用光変換デバイスなどへの応用開発にも取り組んでいます。

 

(機能材料・その他)

ガラスファイバについては、自動車の軽量化と燃費改善に役立つ主力の自動車部品向け高機能樹脂用のチョップドストランド、建築・土木分野でのセメント強化用として最適な耐アルカリ性ガラスファイバ、その他の市場開拓を目指した新製品の研究開発に取り組んでいます。また、自動車や電気・情報関連機器に使用される高機能樹脂の強度向上、形状安定化に寄与するガラス製フィラーについては、日本板硝子㈱と共同開発を進めています。

建築用及び耐熱ガラスについては、透明で耐衝撃安全性に優れた防火設備用ガラス「ファイアライト」応用製品の開発や、熱膨張係数が極めて小さく熱衝撃に強い超耐熱結晶化ガラスを用いた調理器用トッププレート「StellaShine」のミラー加工や、きらめきのある光沢感を実現する着色技術の開発などを行っています。

医療分野においては、医療の高度化に伴って反応性の高い新薬が開発され、医薬容器内面でのアルカリ成分の溶出や、内壁が薄片状に剥離するデラミネーションと呼ばれる事象による薬液の汚染が懸念されており、化学的耐久性に優れた高品位の医薬用管ガラスの技術開発を進めています。

 

(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。

(1) 財政状態

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比較して330億19百万円減少し、6,939億17百万円となりました。

流動資産は125億59百万円減少しました。海外子会社に係る設備代金や配当金の支払いがあったほか、PPG社の欧州ガラス繊維事業を取得したことなどにより、現金及び預金が減少しました。

固定資産は204億60百万円減少しました。PPG社の欧州ガラス繊維事業の設備や資産等の取得があったものの、一部の通貨において円高に振れたことによる外貨建て資産の目減りや減価償却、今後の使用が見込まれない製造設備等の減損などにより有形固定資産が減少しました。また、当連結会計年度の個別業績などを踏まえ、繰延税金資産の一部を取り崩しました。

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比較して227億83百万円減少し、1,843億53百万円となりました。

流動負債は193億75百万円減少しました。海外子会社の設備に係る支払いなどによりその他に含まれる未払金が減少したほか、1年以内に返済予定の長期借入金を返済しました。また、償還期限が決算日後1年以内になった社債を固定負債から流動負債に振り替えるとともに、償還期限が到来した社債を償還しました。

固定負債は34億7百万円減少しました。前述の長期借入金の満期返済に伴い借り換えを行ったほか、一部のガラス溶解炉の修理予定がなくなったこと及び特別修繕引当金の会計上の見積りを変更したことによる特別修繕引当金の取り崩しがありました。

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比較して102億36百万円減少し、5,095億64百万円となりました。配当などにより利益剰余金が減少したほか、一部の通貨において円高に振れたことから為替換算調整勘定が減少しました。

これらの結果、当連結会計年度末における自己資本比率は前連結会計年度末の70.6%から2.1ポイント上昇し、72.7%となりました。

 

(2) 経営成績

中期経営計画<EGP2018>の初年度である当連結会計年度においては、ディスプレイ分野では、中国厦門市における溶融拠点の稼働開始と第二期設備投資(平成30年第1四半期稼働予定)の決定、南京市における加工拠点の稼働開始、東旭光電科技股份有限公司及びその子会社との福清市における加工合弁事業(平成29年第2四半期稼働予定)の合意など、成長市場である中国での事業拡大を進めてまいりました。機能材料などの分野では、PPG社の欧州ガラス繊維事業の取得、マレーシアにおけるガラスファイバ及び医薬用管ガラスの生産能力増強、将来的な量子ドット蛍光体デバイス市場への参入の布石を目的としたNSマテリアルズ㈱への出資等を行いました。また、新製品や開発関連では、半導体用サポートガラス、赤外線吸収フィルター等の事業化、セラミックス封止用レーザーガラスフリットや黒色銅メッシュタッチセンサーシート等の開発が進展しました。

このような中、当連結会計年度の業績については、売上面では、ガラスファイバが、堅調な市場や平成28年10月に取得したPPG社の欧州事業の寄与により販売を伸ばしたものの、液晶ディスプレイ(LCD)用基板ガラスにおいて出荷増加の一方で価格が緩やかに下落したことなどにより、売上高は2,394億11百万円(前連結会計年度比4.7%減)となりました。

損益面では、売上高の減少、円高による売上高の目減りや為替差損があったものの、生産性の改善や原燃料費の低減などが営業利益及び経常利益を下支えしました。

売上総利益は515億8百万円(同2.8%減)となり、営業利益は195億71百万円(同11.2%減)となりました。この結果、売上高営業利益率は8.2%と前連結会計年度と比べ、0.6ポイント低下しました。また、経常利益は139億67百万円(同2.1%減)となりました。

特別利益は、前述の特別修繕引当金の戻入などにより94億49百万円(同56.7%増)となり、特別損失は、減損損失や災害による損失などにより82億15百万円(同134.6%増)となりました。この結果、特別利益から特別損失を差し引いた純額は12億34百万円の利益となり、前連結会計年度と比べ、12億92百万円減少しました。これらによって、税金等調整前当期純利益は152億2百万円(同9.5%減)となりました。

法人税、住民税及び事業税として22億70百万円を計上しました。繰延税金資産の一部を取り崩したことなどにより、法人税等調整額として72億55百万円を計上しました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は49億68百万円(同48.4%減)となりました。なお、1株当たりの当期純利益金額は、9円99銭(前連結会計年度は19円38銭)となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当社グループは、キャッシュ・フロー重視、資産の効率的活用(金融資産・たな卸資産の圧縮・設備の生産性向上と集約)、財務基盤の強化(適切な自己資本比率と実質無借金経営)を財務の基本方針とし、事業環境の変化に耐え得る強固な財務体質を目指しています。

当連結会計年度における当社グループのキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、税金等調整前当期純利益が減少しました。減価償却費は高水準ですが前連結会計年度比で減少しました。製造設備等の減損損失が増加しました。たな卸資産が減少しました。一方で、前述のとおり、特別修繕引当金の取り崩しがありました。これらにより、営業活動によって得られた資金は482億61百万円(前連結会計年度比14億63百万円の収入増)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローでは、電気硝子(厦門)有限公司に係る固定資産の取得や、PPG社の欧州ガラス繊維事業の取得などによる支出があり、投資活動に使用した資金は361億38百万円(同35億0百万円の支出増)となりました。

これらにより、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は121億22百万円(同20億36百万円の収入減)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローでは、長期借入金の満期返済に伴う借り換えや社債の償還、株主への配当金及び子会社における非支配株主への配当金の支払いなどにより、財務活動に使用した資金は176億24百万円(同97億31百万円の支出増)となりました。

上記に、現金及び現金同等物に係る換算差額△21億87百万円を合わせ、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比べ76億88百万円減少し、1,261億67百万円となりました。