第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

当社は前連結会計年度から決算期(事業年度の末日)を3月31日から12月31日に変更しています。当連結会計年度(平成27年1月1日~同年12月31日)は、決算期変更の経過期間であった前連結会計年度(平成26年4月1日~同年12月31日)と連結対象期間が異なるため、前連結会計年度との比較増減を記載しておりません。

 

(1) 業績

当連結会計年度においては、世界経済については、欧州や米国の景気は堅調な個人消費や雇用情勢の改善などを背景に回復基調で推移しました。一方、中国では輸出や固定資産投資の減少などを背景に、景気の減速感が強まってきました。国内経済は、個人消費が底堅く推移する中、企業収益や雇用情勢の改善が見られるなど、緩やかな回復が続きました。

このような中、当社グループ(当社及び連結子会社)においては、電子・情報用ガラスの販売は、主力である液晶ディスプレイ(LCD)用基板ガラスの販売価格の下落幅が縮小し、安定した出荷が続きましたが、第4四半期連結会計期間(平成27年10月1日~同年12月31日)に入り液晶パネルの需要鈍化の影響を受け、販売が減速しました。モバイル端末用カバーガラス(化学強化専用ガラス)は、採用機種の拡大に伴い販売が回復してきました。光関連ガラスは、通信インフラ需要の拡大を背景に好調な販売が続きました。電子デバイス用ガラスでは、イメージセンサ用カバーガラスの販売が季節変動の影響を受けつつも底堅く推移しました。太陽電池用基板ガラスは概ね堅調でした。その他用ガラスの販売については、ガラスファイバが自動車部品向け高機能樹脂用途のアジアでの需要減速の影響を受けましたが、その他地域は概ね堅調に推移し販売が増加しました。建築用ガラスは第2四半期連結会計期間(平成27年4月1日~同年6月30日)以降、低調な販売が続いたものの、第4四半期連結会計期間において回復に転じました。耐熱・医療用の事業では、海外向けを中心に堅調に推移しました。これらの結果、当連結会計年度の売上高は2,511億77百万円となりました。

損益面では、生産性改善や費用削減、エネルギーコストの低下などがLCD用基板ガラスの価格下落を補い、期を通して安定した営業利益を確保することができ、営業利益は220億34百万円となりました。一方で、主に海外子会社の外貨建て借り入れにおいて為替変動による評価損などが経常利益を押し下げ、経常利益は142億72百万円となりました。また、当期純利益については、平成27年度税制改正(法人税率等の引き下げ)に伴う繰延税金資産の取り崩し及び藤沢事業場閉鎖に伴う設備・建物撤去費用などの押し下げ要因があったものの、一部のガラス溶解炉の修理予定がなくなったことに伴う特別修繕引当金の取り崩しによる戻入益や、保有株式の見直しによる投資有価証券売却益などが下支えとなりました。これらの結果、当期純利益は96億36百万円となりました。

 

なお、当社グループのセグメントは、ガラス事業単一です。

 

(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕

税金等調整前当期純利益が増加したほか、近年の設備投資により減価償却費が高水準でした。一方、たな卸資産が増加しました。これらにより、営業活動によって得られた資金は467億97百万円となりました。

 

〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕

主にマレーシア子会社のガラスファイバ生産設備増強や電気硝子(厦門)有限公司における設備投資により支出が増加したため、投資活動に使用した資金は326億38百万円となりました。

 

〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕

株主及び少数株主へ配当金を支払ったことなどにより、財務活動に使用した資金は78億92百万円となりました。

 

上記に、現金及び現金同等物に係る換算差額△22億34百万円を合わせ、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比べ40億32百万円増加し、1,338億56百万円となりました。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 当連結会計年度(自 平成27年1月1日 至 平成27年12月31日)における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

ガラス事業

261,159

合計

261,159

 (注)1.当社は前連結会計年度から決算期を3月31日から12月31日に変更しています。決算期変更の経過期間となる前連結会計年度の連結対象期間は当連結会計年度と異なるため、前連結会計年度との比較増減は記載しておりません。

    2.生産金額は、平均販売価額により算出したものです。

3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

基本的に見込み生産を行っています。なお、当連結会計年度において特記すべき事項はありません。

 

(3) 販売実績

 当連結会計年度(自 平成27年1月1日 至 平成27年12月31日)における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

ガラス事業

251,177

合計

251,177

 (注)1.当社は前連結会計年度から決算期を3月31日から12月31日に変更しています。決算期変更の経過期間となる前連結会計年度の連結対象期間は当連結会計年度と異なるため、前連結会計年度との比較増減は記載しておりません。

    2.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

(自 平成26年4月1日

至 平成26年12月31日)

当連結会計年度

(自 平成27年1月1日

至 平成27年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

LGディスプレイ㈱

60,895

31.6

63,943

25.5

3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3【対処すべき課題】

(1) 対処すべき課題に対する基本方針

当社グループ(当社及び連結子会社)は平成27年12月、社会や技術の進化に伴う当社事業構造の変化等を踏まえ、従来の企業理念の考え方を継承しつつ、現在の事業環境に応じて企業理念の見直しを行いました。あわせて、目指すべき方向性や従業員が共有すべき価値観を明確化し、これらを企業理念体系としてまとめました。新たな企業理念体系の下、当社グループは、材料設計・溶融・成形・加工といった技術により様々な特性や機能を持つガラス製品を開発・生産し、市場に潤沢に供給することで、社会のニーズに対応してまいります。同時に、時代に即したCSR(企業の社会的責任)の中から重点課題を設定し活動を推進することにより、企業の社会的責務を果たしてまいります。これらの取り組みを通して、社会の発展に貢献するとともに企業アイデンティティの発信にも努め、企業価値の向上と持続的成長を図ってまいります。

 

日本電気硝子 企業理念体系

わたくしたちは、“文明の産物”の創造を通して社会に貢献するという創業の精神を、企業理念の底流をなすものと位置付けています。

 

(企業理念)

「ガラスの持つ無限の可能性を引き出し、モノづくりを通して、豊かな未来を切り拓きます。」

スローガン: GLASS FOR FUTURE

 

(目指すべき企業像)

「世界一の特殊ガラスメーカー」

 

(大切にしている価値観)

・お得意先第一  ・達成への執念  ・自由闊達  ・高い倫理観  ・自然との共生

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題の内容

<当社グループの経営戦略>

当社グループのビジネスモデル

・人材力、技術力を活用し、高付加価値製品、イノベーティブな製品を追求します。

・「モノづくり」(※)を通して、市場の要請に応じ、「板」、「管」、「球」、「繊維」、「粉末」、「成形品」、薄膜・樹脂・金属等との「ハイブリッド製品」といった多種多様な形状と機能を持つガラスを提供してまいります。

・「電子・情報」の事業領域ではディスプレイ用ガラス、光関連・電子デバイス用ガラスなどの、また、「機能材料・その他」の事業領域ではガラスファイバ、医薬用管ガラス、耐熱ガラス、建築用ガラスなどのビジネスを展開し、バランスの取れた事業ポートフォリオを構築します。

これらの活動を行う中で、企業の社会的責務を果たし、社会の発展に貢献するとともに、企業価値の向上と持続的成長を図ってまいります。

 

(※)当社グループが目指す「モノづくり」

社会のニーズに応えるべく、最先端の技術〔材料設計、製造プロセス(溶融・成形・加工)技術、評価技術〕をベースに研究開発を推進し、優れた製品を生み出し、最高水準の品質と高効率の生産により、潤沢に市場に製品を供給します。そして、市場からの声を再び研究開発に活かします。こうした循環が目指すべき「モノづくり」と考えています。

 

○注力する市場分野

・「自動車・輸送」、「情報通信・半導体」、「医療」、「ディスプレイ」の4分野を当社グループの中期的な成長に直結する『拡大・強化分野』と位置付け、この分野への積極的な事業拡大と競争力強化に注力してまいります。

・「照明」、「エネルギー」、「社会インフラ」、「家電・住設」の4分野は社会の発展とともに成長が見込め、かつ、ガラスの機能性が発揮できる分野です。これらを『戦略的育成分野』と位置付け、この分野における新たな事業の創出に向けて研究開発を推進してまいります。

・上記の活動を通じ、各分野の以下のニーズに応えてまいります。

 

『拡大・強化分野』

自動車・輸送: 軽量化材料、車載照明、表示装置、車載カメラ、各種電子機器

情報通信・半導体: 高速大容量光通信機器、次世代半導体(小型高精細・高機能)

医療: 先進医薬容器、先端医療機器・設備

ディスプレイ: 次世代ディスプレイ(高精細・薄型軽量・フレキシブル)

 

『戦略的育成分野』

照明: 次世代照明(省エネ、高輝度・高出力)

エネルギー: 自然エネルギーシステム、二次電池

社会インフラ: 高機能防火設備、高性能構造材料(安全・耐久・軽量)

家電・住設: 高機能家電・住設材料、多機能壁材

 

○財務方針

・キャッシュ・フロー重視

・資産の効率的活用(金融資産・たな卸資産の圧縮、設備の生産性向上と集約)

・財務基盤の強化(適切な自己資本比率、実質無借金経営)

 

<中期経営計画「EGP2018」>

当社グループは、2016年度から2018年度までの3か年を対象期間とする中期経営計画「EGP2018」(Electric Glass Prospects 2018)を策定いたしました。これを、新たな企業理念の下で定めた目指すべき企業像「世界一の特殊ガラスメーカー」への一里塚と位置付け、目標の達成に向けた以下の施策に取り組んでまいります。

 

― 基本方針と施策 ―

①「ディスプレイ」関連事業の収益力強化

・製造プロセス改善による生産性と品質の向上

・海外への円滑な生産移転

・リスクをコントロールし、収支を重視した経営

②「機能材料、光・電子、医療・耐熱・建築」関連事業の拡大

新たな事業機会と成長シナジー獲得のためのM&A・アライアンス戦略の具体化

・拡販・投資による既存事業の成長

・新規開発品の早期事業化

③研究開発の強化

・ガラスの優位性を活かした「材料・プロセス・製品」の開発推進

・材料設計、製造プロセス技術、評価技術における基礎技術の向上

・新規事業創出や既存事業拡大のための知財力強化、及びライセンスインやクロスライセンス等の活用

④積極投資

通常の設備投資のほかに、戦略的投資(M&Aや他社との協業・提携を含む)として当該3か年で約500億円を設定

 

― 経営目標 ―

・売上高          3,000億円

(内訳)電子・情報    1,700億円(ディスプレイ用ガラス、光関連・電子デバイスほか)

機能材料・その他 1,300億円(ガラスファイバ、医療、耐熱、建築ほか)

・営業利益          300億円

営業利益率           10%

 

なお、当社グループは平成28年度より製品別売上高の開示区分の名称を、「電子・情報用ガラス」から「電子・情報」に、「その他用ガラス」から「機能材料・その他」に変更いたします。

 

4【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重大な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがありますが、これらに限定されるものではありません。なお、文中における将来に関する事項は、提出日現在(平成28年3月31日)において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。

(1) 需要及び市場構造の急変

当社グループの主要事業分野である電子・情報分野においては、技術革新によってデバイスや部品、材料の転換が急速に進む可能性があります。当社は、広範かつ高度な特殊ガラス技術の蓄積を背景に新規のニーズへの対応に努めていますが、新規のデバイス等への転換によって既存製品の需要が急激に縮小に転じ、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
 また、需給バランスの悪化、競合他社との競争の激化等により製品価格又は供給量が大幅に変動した場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 設備投資に関するリスク

当社グループでは、特殊ガラス製品を製造していますが、これらの生産設備の新設には多額の資金と相当の期間を要します。また、既設の設備についても生産性改善等のために継続的な改良が必要です。

当社グループでは、適時かつ適切な生産設備の新設と継続的な改良に努めていますが、需要予測に大きな変化が生じた場合、生産性等所期の設備能力が得られなかった場合、あるいは主要設備部材の価格が市況により急激に変動した場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 一部製品の販売に関するリスク

当社グループでは、一部製品の販売については特定の主要顧客に依存しており、このような製品については、当該顧客の投資・販売計画及び資材調達の方針等が当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 資材等の調達に関するリスク

当社グループの生産活動においては、原燃料の海外依存度が高く、また、一部調達先が限られる特殊な原料、資材等を使用するため、これらについて供給の逼迫や遅延、価格の高騰等が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 電力不足に関するリスク

当社グループが所在する地域で、電力供給の制限がなされた場合又は電力需給の逼迫等により停電が発生した場合、一部又は全部の操業が中断し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。また、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、結果として、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 法的規制等に関するリスク

当社グループが事業を行っている国及び地域では、投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、独占禁止、製造物責任、環境、労務、特許、租税、為替等の各種関係法令の適用を受けています。当社グループは、こうした法令及び規制を遵守し公正な企業活動に努めていますが、万一法令・規制違反を理由とする訴訟や法的手続きにおいて、当社グループにとって不利な結果が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、過去にブラウン管用ガラスをブラジルに少量輸出したことがあり、現在、同国競争法当局から調査を受けています。調査の結果、当社グループに違法な行為があったと判断された場合、課徴金等が課される可能性があります。

(7) 知的財産権に関するリスク

当社グループでは、現在の事業活動及び将来の事業展開に有用な知的財産権取得に努める一方、他社の知的財産権の調査を行い、問題発生の防止を図っていますが、当社グループが知的財産権に関連する争訟に巻き込まれた場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 環境に関するリスク

当社グループは、資源とエネルギーを大量に使用する環境負荷の高いガラス事業を主に行っています。そのため、環境に配慮した製品のさらなる開発を行うほか、環境への影響を低減するための設備や管理体制の充実を図る一方、生産効率すなわち資源やエネルギーの原単位向上や3R(Reduce、Reuse、Recycle)の推進を行うなど、環境負荷の低減に取り組んでいますが、今後環境に関する規制や社会が求める環境責任が厳しくなることにより、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(9) 為替及び金利等の変動リスク

当社グループでは、日本国内及びアジア地域を中心に世界の市場を対象に事業活動が行われているため、為替予約などにより為替相場の変動に伴うリスクの軽減に努めていますが、当社グループの業績及び財務状況は、為替相場の変動によって影響を受けます。

また、金利情勢や証券市場の変動が当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(10) 海外活動に伴うリスク

当社グループの事業活動は、日本国内及びアジア地域を中心に世界の市場を対象に行われています。これら海外における事業活動には以下に掲げるようなリスクが内在しています。

・予期しない法令又は規制の変更

・移転価格税制等の国際税務リスク

・特有の取引慣行

・政治及び社会情勢の変化

・テロ、戦争、感染症、その他の要因による社会的混乱

(11) 人材の確保

当社グループは、人材戦略を事業活動における重要課題の一つとして捉えており、今後の事業展開には適切な人材の確保・育成が必要と認識しています。適切な人材を十分に確保できなかった場合、当社グループの事業遂行に制約を受け、又は機会損失が生じるなど当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(12) 固定資産の減損会計

当社グループは、固定資産の減損会計を適用しています。事業に係る設備について、今後の事業の収益性や市況等の動向によっては、減損損失が発生し、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、その他一部遊休の固定資産については、順次、整理・売却・転用を進めていますが、今後の地価動向や景気動向などによっては、減損損失が発生する可能性があります。

(13) 情報管理に関するリスク

当社グループは、事業の過程で顧客又はその他団体や個人(従業員を含む)に関する機密的な情報を入手することがあります。これらの情報の管理には細心の注意を払っており、情報管理委員会を設置し、情報の漏洩が生じないように対策を講じていますが、これらの情報が外部に漏洩する可能性は否定できません。

情報が外部に漏洩した場合には、被害を受けた者から損害賠償請求を受ける可能性及び当社グループの企業イメージが損なわれる可能性があります。また、顧客や従業員等の情報と同様、新技術に関する機密情報が、何らかの事情で漏洩した場合も、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(14) 自然災害、事故災害に関するリスク

地震、台風等の自然災害や火災等の事故災害が発生した場合、当社グループの拠点の設備等の損壊や電力、ガス、水の供給困難により、一部又は全部の操業が中断し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。また、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、結果として、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は、「ガラスの持つ無限の可能性を引き出し、モノづくりを通して、豊かな未来を切り拓きます。」という企業理念を実現することを目的に研究開発活動に取り組んでいます。また、研究開発活動においては、製造プロセスと製品開発の統合的な進化を目指し、その成果を当社の中長期の成長のための経営戦略に反映させることを目標としています。

 

当社の研究開発活動は、「基礎的研究開発」と「事業部門開発」から成っています。

「基礎的研究開発」は、基盤技術開発と戦略的開発で構成されます。基盤技術開発は、主としてスタッフ機能部門(技術統括部、製造技術統括本部)が担当しています。科学的なアプローチに基づき、新材料・新技術、製品化技術、分析評価技術、製造プロセス技術の研究開発をライン部門(各事業部)と密接に連携をとりながら行っています。また、戦略的開発については、スタッフ機能部門とライン部門が、事業戦略に基づいて中期的開発課題について密接に連携して取り組んでいます。そのための情報解析や企画立案については、事業戦略部が支援しています。一方、「事業部門開発」は、主としてライン部門が担当し、各事業領域の発展につながる製品及び製造プロセス技術の研究開発を、スタッフ機能部門と密接に連携をとりながら行っています。

 

当連結会計年度における当社グループの研究開発費は61億83百万円となりました。

 

なお、当社グループのセグメントは、ガラス事業単一です。

 

「基礎的研究開発」

基盤技術開発では、材料設計、製造プロセス技術、評価技術といったコア技術の開発・改良、コア技術をベースにガラスの特徴を最大限に活かしより高い機能を引き出す製品設計、中長期に亘り社会や産業界のニーズに応える次世代のガラスの創出を主たる目的とし、以下のような取り組みを行っています。

 

○コア技術の開発・改良:ガラスの基礎物性や新プロセスの研究に基づく材料設計、シミュレーション研究や溶融清澄研究による製造プロセス技術、高度な分析・測定・解析技術を用いた評価技術の研究開発。

 

○コア技術を活かした製品設計:求められる製品の特性や用途に合わせ、材料設計や製造プロセス技術、評価技術を駆使し、ディスプレイ用ガラスやモバイル端末用カバーガラス(化学強化専用ガラス)、光関連ガラスや電子デバイス用ガラス、医薬用管ガラスなどの研究開発。

 

○次世代のガラスの創出:二次電池などのエネルギー分野に用いられる材料や次世代照明用材料として車載用などハイパワー化するLEDやLD光源の発展に貢献できる蛍光体ガラス、有機EL照明の輝度向上に貢献するガラス、先端医療に対応する医療用ガラスなどの研究開発。

 

上記に加え、新技術の導入やコア技術の更なる進化など基盤技術開発の活性化を目的に、国内外の大学や研究機関との共同研究やネットワーク構築に積極的に取り組んでいます。

 

戦略的開発では、現事業領域を超える次世代の技術・製品の開発や、ガラス溶融における消費エネルギーの削減・環境負荷低減に寄与する製造プロセス技術の開発などに取り組んでいます。

 

これらの結果、基礎的研究開発費は20億14百万円となりました。

「事業部門開発」

事業部門開発では、製造プロセス技術の研究開発、その技術を活かしたガラスの高機能化、更なる機能性の向上を主たる目的に、以下のような取り組みを行っています。

 

○製造プロセス技術の研究開発:超高精細ディスプレイ用ガラスや高強度なモバイル端末用カバーガラス(化学強化専用ガラス)、極限まで薄いガラス、高機能化する電子デバイスに使用される精密ガラスの製造を可能にする溶融・成形・加工・検査技術などの高度化。

 

ガラスの高機能化:「見えないガラス」に応用された超低反射機能のほか、防眩や反射防止、汚れ防止など様々な機能を持たせた膜をガラスに付与する成膜技術や各種高性能ミラーなどの研究開発。ガラスを金属、セラミックス、樹脂などの有機材料と組み合わせる複合化技術の研究開発。

 

○機能性の向上(他社との共同開発):超薄板ガラスを使用したフレキシブル有機EL照明製造プロセス開発や、高機能樹脂の強化及び形状安定に寄与できるガラス製フィラーの開発。

 

これらの結果、事業部門開発における研究開発費は41億68百万円となりました。

具体的な状況は次のとおりです。

 

(電子・情報用ガラス)

ディスプレイ用ガラスについては、超高精細ディスプレイの需要に対応するため、得意先の製造工程での寸法変化を極力小さくする材料及び技術開発に取り組んでいます。モバイル端末用や車載ディスプレイ用など新用途のカバーガラス(化学強化専用ガラス:「Dinorex」)についても、高い耐傷性を持つ高強度なガラスを短時間で均一に化学強化する技術の開発に取り組んでいます。

また、ガラスの機能そのままに極限まで薄いフィルムのような柔軟性を持つ超薄板ガラス「G-Leaf」のロール巻き量産技術や、その切断・成膜といった応用的な研究開発に取り組み、フレキシブルディスプレイやフレキシブル照明などの次世代製品の創出に注力しています。Fraunhofer FEP(ドイツ)との共同開発においては基板側とカバー側の両面に「G-Leaf」を使用した有機EL照明デバイスの試作に成功しました。

さらに、超薄板ガラスと樹脂を組み合わせる“超薄板ガラス-樹脂 積層体”「Lamion」は、ガラスと樹脂双方の優れた特徴を有する材料として様々な分野への応用が期待され、デジタルサイネージ保護パネルやフレキシブル電子デバイスへの適用を目指した技術開発に取り組んでいます。

光関連ガラス・電子デバイス用ガラスについては、高度な溶融・成形・加工・検査技術を用いて、蛍光体ガラス「ルミファス」や有機EL照明用基板などの照明や家電、情報通信分野における新製品の研究開発に取り組んでいます。例えば、高効率な吸収特性を持たせた世界最薄の赤外線吸収フィルター、次世代半導体パッケージ技術として期待されるFOWLP(Fan Out Wafer Level Package)に求められる様々な熱膨張係数に対応した半導体用サポートガラス、高い抗菌性能を有する粉末状の抗菌ガラスなどの様々な新製品の研究開発を進めています。

 

(その他用ガラス)

ガラスファイバについては、複合化技術を用いて、自動車の省エネ化やハイブリッド車等の市場拡大に対応した自動車部品向け高機能樹脂用や、建築・土木分野でのセメント強化用として最適な機能性ガラスの研究開発に取り組んでいます。加えて、自動車や電気・情報関連機器に使用される高機能樹脂の強度向上、形状安定化に寄与するガラス製フィラーについては、日本板硝子㈱と共同開発を進めていきます。

建築用及び耐熱ガラスについては、透明で耐衝撃安全性にも優れた防火設備用ガラスや、熱膨張係数が極めて小さく熱衝撃に強い超耐熱結晶化ガラスを用いて、洗練されたデザインや形状の調理器用トッププレートやストーブ窓の研究開発に取り組んでいます。

医療分野においては、医療の高度化に伴って反応性の高い新薬が開発され、医薬容器内面でのアルカリ成分の溶出や、内壁が薄片状に剥離するデラミネーションと呼ばれる事象による薬液の汚染が懸念されており、これらを抑制、低減できる2種類の医薬用管ガラスの新材料を開発しました。また、医療従事者を放射線から保護しメンテナンス性にも配慮した放射線遮へい用ガラス「LXプレミアム」や放射線だけでなく電磁波も遮へいする「MR-LITE」、PET検査室に最適なガンマ線遮へい用ガラス「Pro-GR」など先端医療に対応する医療用各種ガラスの研究開発に取り組んでいます。

 

(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。

(1) 財政状態

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比較して42億47百万円減少し、7,269億37百万円となりました。

流動資産は34億28百万円増加しました。商品及び製品が増加した一方、海外子会社での固定資産の取得や、配当金の支払いなどにより現金及び預金が減少しました。

固定資産は76億75百万円減少しました。前述の資産取得があったものの、一部の通貨において円高に振れたことによる外貨建て資産の目減りや、減価償却などにより有形固定資産が減少しました。また、税制改正に伴う繰延税金資産の取り崩しなどがあったものの、株式市況の回復により投資有価証券が増加したことから、投資その他の資産が増加しました。

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比較して14億71百万円減少し、2,071億36百万円となりました。

流動負債は226億99百万円増加しました。藤沢事業場閉鎖に伴う損失引当金を計上したことに加え、1年内返済予定の長期借入金と1年内償還予定の社債をそれぞれ固定負債から振り替えました。

固定負債は、241億70百万円減少しました。前述の流動負債への振り替えにより長期借入金及び社債が減少しました。また、一部のガラス溶解炉の修理予定がなくなったことに伴い特別修繕引当金が減少しました。

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比較して27億75百万円減少し、5,198億1百万円となりました。一部の通貨において円高に振れたことから為替換算調整勘定が減少する一方で、株式市況の回復によりその他有価証券評価差額金が増加しました。

これらの結果、当連結会計年度末における自己資本比率は前連結会計年度末の70.2%から0.4ポイント上昇し、70.6%となりました。

(2) 経営成績

当社グループでは、液晶ディスプレイ(LCD)用基板ガラスの収益性改善と成長市場での事業展開のため、韓国及び中国への生産(溶融・成形)能力の移管を進めています。韓国では当初の計画どおり平成26年後半に移管が完了し、今日まで高効率の生産が続いています。中国では、電気硝子(厦門)有限公司の第1期投資に係る生産設備を立上げ中であり、平成28年度第2四半期連結会計期間(平成28年4月1日~同年6月30日)より本格的に販売に寄与する見込みです。一方、バランスの取れた事業ポートフォリオ構築のため、第二の事業の柱であるガラスファイバの拡大に取り組んでいます。当連結会計年度においては、マレーシア子会社の生産能力を増強するとともに既存設備の生産性を改善し、収益性が向上しました。

このような中、当連結会計年度の業績については、売上面では、主力のLCD用基板ガラスの価格下落があったものの、ガラスファイバや光関連ガラスなど複数の事業で販売が増加し、売上高は2,511億77百万円となりました。

損益面では、生産性改善や費用削減、エネルギーコストの低下などがLCD用基板ガラスの価格下落を補い、期を通して安定した営業利益を確保することができました。一方で、主に海外子会社の外貨建て借り入れにおいて為替変動による評価損などが経常利益を押し下げる要因となりました。また、当期純利益については、平成27年度税制改正(法人税率等の引き下げ)に伴う繰延税金資産の取り崩し及び藤沢事業場閉鎖に伴う設備・建物撤去費用などの押し下げ要因があったものの、一部のガラス溶解炉の修理予定がなくなったことに伴う特別修繕引当金の取り崩しによる戻入益や、保有株式の見直しによる投資有価証券売却益などが下支えとなりました。

売上総利益は530億5百万円となり、営業利益は220億34百万円となりました。この結果、売上高営業利益率は8.8%となりました。また、経常利益は142億72百万円となりました。

特別利益は、前述の特別修繕引当金の戻入などにより60億29百万円となり、特別損失は、減損損失や事業場閉鎖損などにより35億2百万円となりました。この結果、特別利益から特別損失を差し引いた純額は25億26百万円となりました。

これらによって、税金等調整前当期純利益は167億99百万円となりました。これに法人税、住民税及び事業税56億72百万円及び法人税等調整額などを計上した結果、当期純利益は96億36百万円となりました。なお、1株当たりの当期純利益金額は、19円38銭となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当社グループは、キャッシュ・フロー重視、資産の効率的活用(金融資産・たな卸資産の圧縮・設備の生産性向上と集約)、財務基盤の強化(適切な自己資本比率と実質無借金経営)を財務の基本方針とし、事業環境の変化に耐え得る強固な財務体質を目指しています。

当連結会計年度における当社グループのキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、税金等調整前当期純利益が増加したほか、近年の設備投資により減価償却費が高水準でした。一方、たな卸資産が増加しました。これらにより、営業活動によって得られた資金は467億97百万円となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローでは、主にマレーシア子会社のガラスファイバ生産設備増強や電気硝子(厦門)有限公司における設備投資により支出が増加したため、投資活動に使用した資金は326億38百万円となりました。

これらにより、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は141億59百万円となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローでは、株主及び少数株主へ配当金を支払ったことなどにより、財務活動に使用した資金は78億92百万円となりました。

上記に、現金及び現金同等物に係る換算差額△22億34百万円を合わせ、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、1,338億56百万円となりました。

 

(注)上記(2) 経営成績及び(3) キャッシュ・フローの状況については、当連結会計年度の連結対象期間が前連結会計年度と異なるため比較増減を記載しておりません。