第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度においては、世界経済は、欧州では厳しい雇用情勢が続く一方で景気は持ち直しの動きが見られ、米国では個人消費や住宅市況の改善を背景に景気回復が進みました。また、中国では緩やかな経済成長が続きました。国内経済は、個人消費や住宅、雇用の改善などを背景に、回復基調で推移しました。

このような中、当社グループ(当社及び連結子会社)においては、販売面では、電子・情報用ガラスは、主力の液晶ディスプレイ(LCD)用基板ガラスが価格下落や第2四半期連結会計期間(平成25年7月1日~平成25年9月30日)後半以降の需要減速の影響を受け、販売が低調に推移しました。また、プラズマディスプレイ(PDP)用基板ガラスなどPDP関連製品は、主要顧客の撤退に伴い販売が減少しました。スマートフォン・タブレット用カバーガラス(化学強化専用ガラス)は、第3四半期連結会計期間(平成25年10月1日~平成25年12月31日)より新製品の本格的な販売を開始しました。イメージセンサ用カバーガラスはデジタルカメラ需要の減速の影響を受けましたが、光関連ガラスは通信インフラ需要の増加を背景に堅調に推移しました。太陽電池用基板ガラスは、需要の増加に伴って順調に販売を伸ばしました。その他用ガラスでは、ガラスファイバは、主力の自動車部品向け高機能樹脂用やセメント強化用が年間を通して好調に推移し、販売が拡大しました。医薬用管ガラスは海外を中心に販売が拡大しました。放射線遮へい用ガラスは需要の増加により堅調に推移し、他の建築用ガラスや耐熱ガラスは景気回復の動きに沿って緩やかに持ち直してきました。これらの結果、当連結会計年度の売上高は、2,525億48百万円(前連結会計年度比12.1%減)となりました。

損益面では、LCD用基板ガラスの販売減速や価格の下落、円安や電気料金値上げによる原燃料コストの上昇、電気硝子(Korea)株式会社に係る減価償却費や立ち上げコストなどが利益を下押ししたため、営業利益は161億70百万円(同35.2%減)、経常利益は143億72百万円(同36.9%減)となりました。一方、製造設備の減損に係る特別修繕引当金の戻入や市場の動向を踏まえた資産の整理・縮小に係る固定資産の売却益を計上したことなどにより、当期純利益は124億31百万円(同17.2%増)となりました。

 

なお、当社グループのセグメントは、ガラス事業単一です。

 

(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕

税金等調整前当期純利益や減価償却費のほか、売上債権の減少などがあった一方で、仕入債務の減少などがあったため、営業活動によって得られた資金は466億99百万円(前連結会計年度比84億11百万円の収入減)となりました。

 

〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕

主として、電気硝子(Korea)株式会社に係る固定資産の取得による支出があった一方で、資産の整理・縮小に係る固定資産の売却による収入があったため、投資活動に使用した資金は338億42百万円(同127億2百万円の支出減)となりました。

 

〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕

長期借入れによる収入の一方で、長短借入金の返済及び配当金の支払などがあったため、財務活動により支出した資金は111億89百万円(前連結会計年度は76億66百万円の収入)となりました。

 

上記に、現金及び現金同等物に係る換算差額4億79百万円を合わせ、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比べ21億47百万円増加し、1,238億87百万円となりました。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 当連結会計年度(自 平成25年4月1日 至 平成26年3月31日)における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

ガラス事業

255,302

89.0

合計

255,302

89.0

 (注)1.生産金額は、平均販売価額により算出したものです。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

基本的に見込み生産を行っています。なお、当連結会計年度において特記すべき事項はありません。

 

(3) 販売実績

 当連結会計年度(自 平成25年4月1日 至 平成26年3月31日)における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

ガラス事業

252,548

87.9

合計

252,548

87.9

 (注)1.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

(自 平成24年4月1日

至 平成25年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成25年4月1日

至 平成26年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

LGディスプレイ㈱

116,626

40.6

95,489

37.8

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3【対処すべき課題】

(1) 対処すべき課題に対する基本方針

激しい国際企業間競争に加えて、求められる品質の厳格化や技術の高度化など当社グループ(当社及び連結子会社)を取り巻く環境は大きく変化しています。こうした変化に迅速・的確に対処しつつ強固な経営体質と経営基盤を構築し将来に亘る事業の存続・発展を期すると同時に、コンプライアンスをはじめ「環境保全」、「障害者雇用の促進」、「地元貢献」を重点テーマに据えて企業の社会的責任の履行を通じて企業価値の向上を図ることを経営の基本方針に置いています。

 

また、当社グループの中長期的な経営戦略として、以下のものを掲げています。

 

コア事業の強化とバランスのとれた事業構造の構築、次代を担う製品の開発と事業の育成

(コア事業の強化)

ディスプレイ用ガラス分野の事業をコア事業と位置づけ、技術力と生産性の向上に努めるとともに、市場動向に応じたグローバルな生産供給体制の再構築を進めます。同時に、従来の事業領域に加え、タッチパネル関連市場など今後成長が期待される分野における新製品・新技術の開発、育成に注力し、市場の変化に柔軟に対応しながらディスプレイ用ガラス分野を強化していきます。

 

(バランスのとれた事業構造の構築)

一つの事業領域に過度に依存することを避け、安定した成長を実現するためにも、ノンディスプレイ用ガラス分野の事業拡大に力を注ぎ、バランスのとれた事業構造の構築を目指します。

当社グループが手掛ける「ガラスファイバ」、「光関連・電子デバイス用ガラス」、「太陽光発電用ガラス」、「医療用ガラス」、「耐熱・建築用ガラス」は、将来に亘って安定的な成長が見込める事業領域です。ガラスの優れた特性を活かした製品を市場に提供していくことによりそれぞれの事業を拡大し、同時に確実に収益が得られる事業として育成していきます。

 

・ガラスファイバ

自動車産業の成長、及び自動車の省エネ化やハイブリッド車等の市場拡大を背景とした自動車部品向け高機能樹脂用ガラスファイバの需要増加にグローバルな生産供給体制で積極的に対応するとともに、市場の様々な技術的要求に対応すべく開発を推進していきます。また、セメント強化用の耐アルカリ性ガラス(ARG)ファイバについては、建物外壁などの従来市場に加え、トンネル補修などの交通インフラ関連需要にも積極的に対応していきます。

 

・光関連・電子デバイス用

家電・IT・自動車等の関連市場の成長に伴い、電子デバイス用ガラスの需要は今後も伸びが期待できます。また、高度情報化社会の進展に伴う通信基地局などのインフラ需要の拡大を背景に、光関連部品も堅調に推移すると見込まれます。これらの需要に技術力と供給力でしっかりと対応し、事業を伸ばしていきます。

 

・太陽光発電用

化合物系太陽電池の市場成長に沿って売上を伸ばしていきます。将来の事業展開を見据え、色素増感太陽電池などの次世代太陽電池用ガラスや、宇宙太陽光発電を含め、太陽光利用に係る幅広い製品の開発を推進します。

 

・医療用

新興国の経済発展に伴う医療ニーズの増大に対応し、高品位の医薬用管ガラスの拡販に取り組みます。放射線遮へい用ガラスは、高度医療施設需要の拡大に積極的に対応していきます。加えて、検体検査用ガラス器具や高度医療に対応した管ガラスなどの新規開発にも注力し、医療用ガラス分野の拡大を目指します。

 

・耐熱・建築用

耐熱衝撃性、透視性を有する防火設備用ガラスにおいて、特殊成膜を施して遮熱性や低反射機能を付加した製品、貼り合わせ技術により強度を高めた製品など、幅広い製品ラインナップにより、拡販に取り組みます。

 

(次代を担う製品の開発と事業の育成)

ガラスは、そのユニークな特性や機能に加え、結晶化や精密加工、薄膜・樹脂・金属との複合化などにより新たな機能を付加することができる優れた素材です。当社グループは、広範な基盤技術(材料設計・製品設計・プロセス技術・評価技術)をベースに、ガラス本来の特性と複合化等による高機能化を徹底的に追求した研究開発で、これまでにないユニークな製品を生み出していきます。これにより、「次世代ディスプレイ」、「エネルギー」、「新照明」、「医療」、「モビリティ」など、社会の発展とともに大きく成長が期待される分野で積極的に事業の育成に取り組みます。

 

②経営・財務体質の強化

経営全般の一層の効率化を追求するとともにキャッシュ・フロー重視の経営により、事業環境の変化に耐え得る強固な経営・財務体質を目指します。

 

(2) 対処すべき課題の内容

業績反転に向けた取り組み

売上と利益の低下傾向を反転させ、再び成長軌道を取り戻すため、以下の取り組みを実行します。

 

(ディスプレイ用ガラス)

・海外生産の強化と収益性の改善

液晶ディスプレイ(LCD)用基板ガラスについては、電気硝子(Korea)株式会社の第二期投資による製造設備を平成26年半ばに稼働させる予定です。これにより、最大市場である韓国において得意先との更なる関係強化に努めます。生産面では、設備あたりの生産量を増やし、海外においては現地生産のメリットも活かしつつコストを低減し、収益性の改善を図ります。また、需要が拡大している中国においては、電気硝子(上海)有限公司と今春に稼働を開始した電気硝子(広州)有限公司の二つの加工拠点を軸に拡販を進め、並行して、LCD用では中国で初の溶融・成形拠点となる電気硝子(厦門)有限公司の稼働に向けた準備を急ぎます。来る平成27年の年末には溶融・成形から加工に至る一貫生産供給体制を確立し、中国の市場成長を確実に取り込んでいく所存です。

 

・化学強化専用ガラスの拡販

スマートフォン・タブレット用カバーガラス(化学強化専用ガラス)については、昨年後半より新製品の出荷が増加する中、認知度向上を目的とした新ブランド「Dinorex」を立ち上げました。当該ブランドをエンドユーザーやタッチパネル市場に浸透させ、更なる拡販に努めます。

 

・高精細化への対応

ディスプレイ市場における高精細化の動きに対応するため、超平滑・低たわみ・低熱収縮の特性を持つ新たな製品の開発を推進します。

 

(ノンディスプレイ用ガラス)

ディスプレイ用ガラス分野への過度の依存を避け、バランスの取れた事業構造を構築するためにも、ノン

ディスプレイ用ガラスの拡大は重要です。

ガラスファイバ事業は、LCD用基板ガラスに次いで規模が大きく、今後も安定的かつ持続的な成長が期待できます。自動車部品向け高機能樹脂用や建築・土木用の需要拡大に対し、生産性を上げ供給面で積極的に対応していくとともに、将来に亘る市場の拡大と当該事業の成長を見据え、製造設備の増強などを計画していく予定です。光関連・電子デバイス用、太陽光発電用、医療用、耐熱・建築用などについても、需要の拡大を販売増につなげていきます。また、蛍光体ガラス「ルミファス」や超低反射膜付ガラス「見えないガラス」、ガラス‐樹脂積層体「Lamion」、ゼロ膨張ガラス「ZERO」など、新製品・新規事業の育成にも力を入れ、ノン

ディスプレイ用ガラス全体で事業領域の裾野を広げていきます。

 

研究開発の強化

持続的成長を期するためにも、既存の事業領域はもとより、中長期的な観点から新たな成長事業を見出し、研究開発を進めていくことが重要です。開発拠点である「P&P技術センター大津」と「P&P技術センター高月」を十分に活用し、超高精細ディスプレイ、タッチパネル、IT関連機器、太陽電池、新照明、先端医療部材など、今日成長軌道にある製品分野において高機能なガラス製品を開発し、市場に提供していきます。

 

③有利子負債削減とキャッシュ・フロー重視の事業運営

当社グループは、財務体質強化のための施策として、有利子負債(長短借入金、社債及びコマーシャルペーパー)について、対連結売上高比率20%を目標に掲げ継続的にその削減に取り組んできました。当連結会計年度末においては、有利子負債金額は前連結会計年度末と比べ31億11百万円減少したものの、連結売上高も減少したため、連結有利子負債の対連結売上高比率は39.4%となり、前連結会計年度末と比べ3.7ポイント上昇しました。当社グループとしては、今後も有利子負債の管理・削減に努めると同時に、資金の効率的運用を徹底し、キャッシュ・フロー重視の事業運営を推進していきます。

4【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重大な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがありますが、これらに限定されるものではありません。なお、文中における将来に関する事項は、提出日現在(平成26年6月30日)において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。

(1) 需要及び市場構造の急変

当社グループの主要事業分野である電子・情報用ガラスにおいては、技術革新によってデバイスや部品、材料の転換が急速に進む可能性があります。当社は、広範かつ高度な特殊ガラス技術の蓄積を背景に新規のニーズへの対応に努めていますが、新規のデバイス等への転換によって既存製品の需要が急激に縮小に転じ、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
 また、需給バランスの悪化、競合他社との競争の激化等により製品価格又は供給量が大幅に変動した場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 設備投資に関するリスク

当社グループでは、ディスプレイ用を中心に特殊ガラス製品を製造していますが、これらの生産設備の新設には多額の資金と相当の期間を要します。また、既設の設備についても生産性改善等のために継続的な改良が必要です。

当社グループでは、適時かつ適切な生産設備の新設と継続的な改良に努めていますが、需要予測に大きな変化が生じた場合、生産性等所期の設備能力が得られなかった場合、あるいは主要設備部材の価格が市況により急激に変動した場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 一部製品の販売に関するリスク

当社グループでは、一部製品の販売については特定の主要顧客に依存しており、このような製品については、当該顧客の投資・販売計画及び資材調達の方針等が当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 資材等の調達に関するリスク

当社グループの生産活動においては、原燃料の海外依存度が高く、また、一部調達先が限られる特殊な原料、資材等を使用するため、これらについて供給の逼迫や遅延、価格の高騰等が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 電力不足に関するリスク

当社グループが所在する地域で、電力供給の制限がなされた場合又は電力需給の逼迫等により停電が発生した場合、一部又は全部の操業が中断し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。また、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、結果として、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 法的規制等に関するリスク

当社グループが事業を行っている国及び地域では、投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、独占禁止、製造物責任、環境、労務、特許、租税、為替等の各種関係法令の適用を受けています。当社グループは、こうした法令及び規制を遵守し公正な企業活動に努めていますが、万一法令・規制違反を理由とする訴訟や法的手続きにおいて、当社グループにとって不利な結果が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、過去にブラウン管用ガラスをブラジルに少量輸出したことがあり、現在、同国競争法当局から調査を受けています。調査の結果、当社グループに違法な行為があったと判断された場合、課徴金等が課される可能性があります。

(7) 知的財産権に関するリスク

当社グループでは、現在の事業活動及び将来の事業展開に有用な知的財産権取得に努める一方、他社の知的財産権の調査を行い、問題発生の防止を図っていますが、当社グループが知的財産権に関連する争訟に巻き込まれた場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 環境に関するリスク

当社グループは、資源とエネルギーを大量に使用する環境負荷の高いガラス事業を主に行っています。そのため、環境に配慮した製品のさらなる開発を行うほか、環境への影響を低減するための設備や管理体制の充実を図る一方、生産効率すなわち資源やエネルギーの原単位向上や3R(Reduce、Reuse、Recycle)の推進を行うなど、環境負荷の低減に取り組んでいますが、今後環境に関する規制や社会が求める環境責任が厳しくなることにより、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(9) 為替及び金利等の変動リスク

当社グループでは、日本国内及びアジア地域を中心に世界の市場を対象に事業活動が行われているため、為替予約などにより為替相場の変動に伴うリスクの軽減に努めていますが、当社グループの業績及び財務状況は、為替相場の変動によって影響を受けます。

また、金利情勢や証券市場の変動が当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(10) 海外活動に伴うリスク

当社グループの事業活動は、日本国内及びアジア地域を中心に世界の市場を対象に行われています。これら海外における事業活動には以下に掲げるようなリスクが内在しています。

・予期しない法令又は規制の変更

・移転価格税制等の国際税務リスク

・特有の取引慣行

・政治及び社会情勢の変化

・テロ、戦争、感染症、その他の要因による社会的混乱

(11) 人材の確保

当社グループは、人材戦略を事業活動における重要課題の一つとして捉えており、今後の事業展開には適切な人材の確保・育成が必要と認識しています。適切な人材を十分に確保できなかった場合、当社グループの事業遂行に制約を受け、又は機会損失が生じるなど当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(12) 固定資産の減損会計

当社グループでは、既存事業に係る設備について、今後の事業の収益性や市況等の動向によっては、固定資産の減損会計の適用に伴う損失処理が発生し、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、その他一部遊休の固定資産についても、順次、整理・売却・転用を進めていますが、今後の地価動向や景気動向などによっては、固定資産の減損会計の適用に伴う損失処理が発生する可能性があります。

(13) 情報管理に関するリスク

当社グループは、事業の過程で顧客又はその他団体や個人(従業員を含む)に関する機密的な情報を入手することがあります。これらの情報の管理には細心の注意を払っており、情報管理委員会を設置し、情報の漏洩が生じないように対策を講じていますが、これらの情報が外部に漏洩する可能性は否定できません。

情報が外部に漏洩した場合には、被害を受けた者から損害賠償請求を受ける可能性及び当社グループの企業イメージが損なわれる可能性があります。また、顧客や従業員等の情報と同様、新技術に関する機密情報が、何らかの事情で漏洩した場合も、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(14) 自然災害、事故災害に関するリスク

地震、台風等の自然災害や火災等の事故災害が発生した場合、当社グループの拠点の設備等の損壊や電力、ガス、水の供給困難により、一部又は全部の操業が中断し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。また、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、結果として、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は、ハイテクガラスの創造を通して、環境との調和を図りつつ、持続可能な社会の発展に貢献していくことを基本理念とし、基礎的及び応用的な研究開発活動を行っています。ハイテクガラスは、時代のニーズに最適の特性や形状、高い品質を追求したガラスです。

基礎的研究開発については、当社のライン部門(各事業部)と密接に連携をとりながら主としてスタッフ機能部門(技術統括部等)が担当し、応用的研究開発については、スタッフ機能部門と密接に連携をとりながら主としてライン部門が担当しています。

 

当連結会計年度における当社グループの研究開発費は69億20百万円となりました。

 

なお、当社グループのセグメントは、ガラス事業単一です。

 

〔基礎的研究開発〕

材料設計技術、製造プロセス技術(溶融・成形・加工)、評価技術といったコア技術の開発・改良、コア技術をベースにガラスの特徴を最大限に活かしガラスのより高い機能を発現させる製品設計、及び中長期に亘り社会や産業界のガラスへの要望に応える技術の種や新製品の創出を主たる目的としています。

コア技術では、ガラス基礎物性の研究に基づく材料設計、ガラス溶融プロセス研究による溶融技術やシミュレーション技術による成形・加工技術などの製造プロセス技術、高度分析技術を用いた評価技術の研究開発に取り組んでおり、コア技術を活かす製品設計では、超高精細ディスプレイなどの新規ディスプレイ用ガラスや、タブレットやスマートフォンに搭載されるタッチパネル用カバーガラス(化学強化専用ガラス)の研究開発に取り組んでいます。

また、太陽電池や二次電池などのエネルギー分野に用いられる材料の研究開発のほか、新照明用材料として車載用などハイパワー化するLEDやLD光源の発展に貢献できる蛍光体ガラスの研究開発や有機EL照明用ガラスの研究開発、及び医薬品の進歩に対応する医薬用管ガラスなどの研究開発に取り組んでいます。

加えて、新技術の導入やコア技術の更なる進化など基礎的研究開発の活性化を目的に、国内外の大学や研究機関との共同研究やネットワーク構築に積極的に取り組んでいます。

これらの結果、基礎的研究開発費は21億15百万円となりました。

〔応用的研究開発〕

応用的研究開発として、コア技術である製造プロセス技術(溶融・成形・加工)の開発・改良・社内共有化、また評価技術の活用によりガラスの品質向上、成膜技術・精密加工・複合化などによるガラスの高機能化を徹底的に追求した研究開発に取り組んでいます。

具体的には、超高精細ディスプレイ用ガラスやタッチパネル用カバーガラス(化学強化専用ガラス)の進化に対応した溶融・成形・加工等の製造プロセス技術の研究開発や、環境負荷を少なくして高品位のガラスを高効率で溶融するための技術、超薄板ガラスの高度成形・加工技術、電子部品などに使用される微小で寸法精度の高いガラス製品のための精密溶融・精密成形・精密加工等の研究開発を行っています。

また、ガラス表面に様々な機能性膜を付与する成膜技術により、光の反射や透過を制御したり、ガラスの透過率をできるだけ維持したまま高い導電性を与えたりするための研究開発に取り組んでいます。美術館や宝飾店等における展示ケース用途としてガラス表面の反射を極限まで低下させた「見えないガラス」をはじめ、成膜技術の応用展開としてタッチパネルやモニター表面に反射防止や汚れ防止などの機能性を付与する研究開発を行っています。太陽光発電用の透明導電膜など創エネルギーに寄与する研究開発にも取り組んでいます。

さらに、ガラスを金属・セラミックス・有機材料などの材料と組み合わせることでガラスの枠組みを超える複合化技術の研究開発を行っています。

これらの結果、応用的研究開発費は48億4百万円となりました。

より具体的な状況は次のとおりです。

 

(電子・情報用ガラス)

ディスプレイ用ガラスについては、薄型・大型サイズへの変化に柔軟に対応するとともに、超高精細ディスプレイの需要に対応するため、得意先のパネル製造工程での熱処理で基板ガラスの寸法変化を極力小さくする材料及び技術開発に取り組んでいます。

タッチパネル用カバーガラス(化学強化専用ガラス)についても、市場のニーズに応え、高い耐傷性を持つ高強度なガラスを短時間で均一に化学強化する技術や、化学強化後に個片切断が可能となる生産性の高いタッチセンサ 一体型のカバーガラスの研究開発に取り組んでいます。

また、ガラスを極限まで薄くすることでガラスの機能そのままに、フィルムのような柔軟性を持つ超薄板ガラスの量産技術開発及び切断や成膜などの応用技術開発に取り組んでいます。さらに超薄板ガラスをロールで巻き取る「超薄板ガラスロール」の量産技術とその応用研究開発に取り組み、成長期待分野であるフレキシブルディスプレイやフレキシブル照明などの次世代製品への展開に積極的に取り組んでいます。また、薄板ガラスと樹脂を組み合わせる「薄板ガラス‐樹脂積層体」は、ガラスと樹脂双方の優れた特徴を有する材料として様々な分野への応用が期待され、一部の分野で既に実用化されています。

光関連ガラス・電子デバイス用ガラスについては、精密溶融・精密成形・精密加工等の技術を用いて、高機能粉末ガラスやゼロ膨張結晶化ガラス、赤外線吸収ガラスの研究開発や、レンズ部品や光通信用ガラスなどの光学部材、高精度ガラス材料を生かした液晶レンズなどの研究開発に取り組んでいます。

 

(その他用ガラス)

ガラスファイバについては、複合化技術を用いて、自動車の省エネ化やハイブリッド車等の市場拡大に対応し、自動車部品向け高機能樹脂用途として最適な機能性ガラスの研究開発に取り組んでいます。

建築用及び耐熱ガラスについては、安全性が高く透明性があり物理的衝撃にも強い防火設備用ガラスや、断熱性に優れ快適な住環境をつくりだすガラスブロックなどの建材製品の研究開発を行っています。また、熱膨張係数が極めて小さく熱衝撃に強い超耐熱結晶化ガラスを用いて、洗練されたデザインや形状の調理器用トッププレートやストーブ窓の研究開発に取り組んでいます。

医療分野においては、医療従事者を放射線から保護しメンテナンス性にも配慮した放射線遮へい用ガラスや高度医療に対応する医薬用管ガラスの研究開発に取り組んでいます。

 

(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。

(1) 財政状態

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比較して96億35百万円増加し、7,070億21百万円となりました。

流動資産は39億25百万円増加しました。販売の減速により受取手形及び売掛金が減少し、商品及び製品が増加しました。また、資産の整理・縮小に係る固定資産の売却などにより現金及び預金が増加しました。

固定資産は、57億9百万円増加しました。主に電気硝子(Korea)株式会社に係る設備の取得があったものの、減価償却や資産の整理・縮小に係る固定資産の売却などにより有形固定資産が減少しました。一方で、株式市況の回復に伴う投資有価証券の増加などにより投資その他の資産が増加しました。

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比較して58億77百万円減少し、1,962億13百万円となりました。

流動負債は、10億68百万円減少しました。固定負債からの振替えにより1年内償還予定の社債が増加しました。一方で、仕入れの減少等により支払手形及び買掛金が減少したほか、新たに長期借入金の借り入れを行い、短期借入金を返済しました。

固定負債は、48億8百万円減少しました。前述のとおり社債が減少する一方で長期借入金が増加しました。

なお、当社グループでは財務体質の強化に向けた経営課題として、有利子負債(長短借入金、社債及びコマーシャルペーパー)について、対連結売上高比率20%を目標に掲げ継続的にその削減に取り組んでいます。当連結会計年度末の有利子負債残高は、有利子負債の返済が進んだため、前連結会計年度末と比べ31億11百万円減少し994億92百万円となりましたが、連結売上高の減少が影響し、連結有利子負債の対連結売上高比率は39.4%と前連結会計年度末と比べ3.7ポイント上昇しました。

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比較して155億13百万円増加し、5,108億7百万円となりました。利益剰余金が増加したほか、株式市況の回復によりその他有価証券評価差額金が、また、主要な通貨において円安に振れたことから為替換算調整勘定がそれぞれ増加しました。

これらの結果、当連結会計年度末における自己資本比率は前連結会計年度末の70.1%から1.1ポイント上昇し、71.2%となりました。

(2) 経営成績

ディスプレイ用ガラス分野では、主力の液晶ディスプレイ(LCD)用基板ガラスの成長が鈍化し、製品価格も下落基調が継続するなど、厳しい事業環境が続いています。このような中、当社グループでは生産性の向上に加え韓国及び中国への生産能力の移転を進めることにより収益性の改善を図るとともに、ディスプレイの進化を見据え、高機能化・高精細化に対応し得る超平滑・低たわみ・低熱収縮の特性を持つ材料の開発に取り組んでいます。また、需要が拡大しているタッチパネル用カバーガラスについては、化学強化専用ガラスの新ブランド「Dinorex」の本格販売が始まり売上規模も拡大してきました。

一方、ノンディスプレイ用ガラス分野においては、自動車市場の成長を背景に自動車部品向け高機能樹脂用ガラスファイバの販売を拡大するとともに、耐熱、建築用及び医療用ガラスにおいても海外市場を中心に拡販の成果を得ることができました。

当連結会計年度においては、世界経済は、欧州では雇用情勢が厳しいながらも景気は持ち直しの動きが見られ、米国では個人消費や住宅市況の改善を背景に景気回復が進みました。中国では緩やかな経済成長が続きました。また、国内経済も、個人消費や住宅、雇用の改善などを背景に回復基調をたどりました。

当連結会計年度の業績については、売上面では、多くの事業で前連結会計年度を上回る実績を上げたものの、主力のLCD用基板ガラス事業において需要の鈍化や製品価格下落の影響を大きく受け、売上高は2,525億48百万円(前連結会計年度比12.1%減)となりました。損益面では、LCD用基板ガラスの販売減速のほか、円安や電気料金値上げによる原燃料コストの上昇、電気硝子(Korea)株式会社の立ち上げに伴うコスト増などが利益を下押しし、営業利益及び経常利益は前連結会計年度を下回りました。一方、当期純利益は製造設備の減損に係る特別修繕引当金の戻入や、市場の動向を踏まえた資産の整理・縮小に係る固定資産の売却益を計上したことなどにより、前連結会計年度を上回りました。

売上総利益は、販売の減少や売上原価率が0.5ポイント上昇したため、前連結会計年度と比べ14.6%減少し、営業利益は161億70百万円(同35.2%減)となりました。この結果、売上高営業利益率は、6.4%と前連結会計年度と比べ、2.3ポイント低下しました。また、円安の進行による為替差益の増加などにより営業外収益が17億8百万円増加した一方で、休止固定資産減価償却費の増加などにより営業外費用が13億6百万円増加したため、経常利益は143億72百万円(同36.9%減)となりました。

特別利益は、前述の特別修繕引当金の戻入や固定資産の売却などにより85億33百万円(同215.9%増)となりました。特別損失は、前連結会計年度に計上した投資有価証券評価損がなくなった一方で減損損失が増加したことなどにより39億37百万円(同52.9%減)となりました。

この結果、特別利益から特別損失を差し引いた純額は45億96百万円の利益となり、前連結会計年度に比べ102億52百万円改善しました。

これらによって、税金等調整前当期純利益は189億68百万円となりました。これに法人税、住民税及び事業税54億35百万円及び法人税等調整額△2億74百万円などを計上した結果、当期純利益は124億31百万円(同17.2%増)となりました。なお、1株当たりの当期純利益金額は、24円99銭(前連結会計年度は21円32銭)となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当社グループにおいては、需要動向に対応した稼働、在庫の適正化、費用の削減などキャッシュ・フロー重視の事業運営により、事業環境の変化に耐え得る強固な経営・財務体質を目指しています。

当連結会計年度における当社グループのキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、税金等調整前当期純利益や減価償却費のほか、売上債権の減少などがあった一方で、仕入債務の減少などがあったため、営業活動によって得られた資金は466億99百万円(前連結会計年度比84億11百万円の収入減)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローでは、主として、電気硝子(Korea)株式会社に係る固定資産の取得による支出があった一方で、資産の整理・縮小に係る固定資産の売却による収入があったため、投資活動に使用した資金は338億42百万円(同127億2百万円の支出減)となりました。

これらにより、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は、128億57百万円(同42億91百万円の収入増)となりました。

財務活動におけるキャッシュ・フローでは、長期借入れによる収入の一方で、長短借入金の返済及び配当金の支払などがあったため、財務活動により使用した資金は111億89百万円(前連結会計年度は76億66百万円の収入)となりました。

上記に、現金及び現金同等物に係る換算差額4億79百万円を合わせ、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比べ21億47百万円増加し、1,238億87百万円となりました。