第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国の経済は、これまでの円安進行が輸出産業の業績改善や海外からのインバウンド需要拡大に貢献する一方、輸入品の値上げを招くなど内需を抑制する影響をもたらしました。また、中国経済成長の伸び率低下などの様々な要因が混在し、経済情勢としては足踏み傾向が見られました。

世界の原油市場においては、イラン核問題を巡る6カ国協議の合意、米国でのシェールオイルの高生産量の維持、中国を含む新興国における経済不振による石油の需要成長の停滞などが需給環境を悪化させました。その結果、年初1バレル54ドル台で始まったドバイ原油価格は、中東情勢や米国原油在庫の減少を受け5月中旬には一旦67ドルまで回復したものの、米国原油在庫の上昇に伴い再び下落基調に転じ、当連結会計年度末には平成15年以来の水準となる32ドルまで低下しました。

外国為替相場は、年初1ドル120円台で始まり、8月上旬には125円に到達したものの、年間を通じて比較的安定的に推移し、1ドル120円台での年越しとなりました。

        (原油価格、為替レートの状況)

 

ドバイ原油
(ドル/バレル)

為替レート
(円/ドル)

平成26年12月期 連結会計年度

 96.7

105.8

平成27年12月期 連結会計年度

 50.8

121.1

増 減

△45.9

 15.3

 

         ※各数値は該当期間の平均値によります。

 

このような経営環境のもと、当社グループの売上高は2兆1,776億円(前連結会計年度比27.4%の減収)となりました。

損益面につきましては、営業損失は122億円(前連結会計年度比58億円の増益)、経常損失は132億円(前連結会計年度比34億円の増益)となりました。これは、前連結会計年度から引き続いて大幅に下落した原油価格により、石油事業においてたな卸資産評価損が発生したこと、及びたな卸資産評価の影響を除いた会計原価と燃料油卸売価格が決定されるベースとなるコストとのタイムラグの影響により、国内燃料油マージンが圧縮されたことに起因するものです。なお、たな卸資産評価の影響等を除いた場合の経常利益相当額は415億円(前連結会計年度比70億円の増益)となりました。

特別損益につきましては、補助金収入や持分変動利益等の特別利益を、固定資産処分損や京浜川崎シーバースで生じた海底配管損傷に係る費用等の特別損失が上回った結果、80億円の純損失となり、税金等調整前当期純損失は212億円(前連結会計年度比59億円の減益)となりました。この結果、法人税・住民税及び事業税、法人税等調整額ならびに少数株主利益を差し引いた連結当期純損失は274億円(前連結会計年度比177億円の減益)となりました。

各セグメント別の経営成績は次の通りです。

 

 

①石油事業

原油調達に関しましては、サウジ・アラムコ社を中心とする中東産油国及びシェルグループと連携するとともに、ロシア・南米をはじめとする原油調達先の多様化を図り、当社グループ製油所にとって最適となるようマーケットの動きに応じた機動的な調達を行いました。

製造・供給面におきましては、安全かつ安定的な操業を確保しつつ、国内外の需要などマーケット変化に機敏に対応し、収益最大化に向けたグループ製油所全体の最適生産に努めました。また、国内向けの製品供給は十分に確保した上で、さらに海外市場にも収益機会を求めるべく、シェルグループのネットワークを活用し、当連結会計年度を通じて比較的収益性の高いガソリン・軽油・ジェット燃料等の輸出を積極的に行いました。

国内における燃料油販売に関しましては、低燃費車の普及、産業用燃料の消費減少等の構造的な要因が引き続き作用する一方、原油価格の下落に伴う製品価格の低下が需要を喚起する効果も見られ、石油製品の需要減退ペースは過去に比べて鈍化する傾向にありました。当社においては、ガソリンや灯・軽油、重油等の燃料油販売量は、内需の減退ペースに比して堅実な販売を維持しました。当連結会計年度においては、引き続き「製品及びサービスの差別化」を戦略の核とし、4月には異業種間共通ポイントサービスで国内最大級の会員規模を誇る「Ponta」のクレジットカードを導入しました。この「シェル-Pontaクレジットカード」は、共通ポイントカードにおいて最高水準のポイント還元率を誇るとともに、クレジット決済機能による利便性も備え、導入以来、多くのお客様にご支持いただいております。また、プレミアムガソリンの中でも高機能を誇る「Shell V-Power」(平成26年7月発売)についても、当初40都道府県でスタートした販売地域を、6月には沖縄県を除く全ての都道府県にまで拡大させるなど、継続した販売強化活動を行いました。国内プレミアムガソリン市場が低迷する中においても、お客様から高い評価をいただき、発売から1年が経過してもなお、同製品の販売は堅調に推移しています。

燃料油以外の付加価値製品に関しましては、長寿命や省燃費といったお客様のニーズに合致した自動車用・工業用の潤滑油・グリースや、環境対応型・景観対応型アスファルトの販売活動を引き続き精力的に行いました。潤滑油においては、シェルグループ独自の合成油を活用し、新油圧作動油「シェル テラスS3 VE」などの高機能・高付加価値の差別化製品の販売を着実に伸ばしてまいりました。アスファルトにおいては、国内唯一の総合アスファルトメーカーとしての強みも活かし、汎用アスファルトの販売も拡大するとともに、従来工法より低温での施工を可能にし、CO2削減ならびに施工性改善に貢献する中温化アスファルト「キャリメックスART」、年々増加しているアスファルト舗装のリサイクルに対応した再舗装用アスファルト「リプロファルト300」など、環境性能の高い付加価値製品の販売も堅調に伸ばしてまいりました。

石油化学事業につきましては、中国をはじめ新興国の経済成長の鈍化が顕著になる一方で、アジア市場における石油化学工場の新増設もあり、ベンゼン及びプロピレンの市況は前連結会計年度比で低迷しました。しかしながら、当社主力製品であるミックスキシレン市況については、堅調なガソリン市況による下支え影響も受け、底堅く推移しました。このような中、当社としては引き続き一定の収益を確保しつつ、年間を通じて石油化学製品の生産・販売の最大化に努めました。また、アジア市場の堅調なポリエステル繊維需要等を背景にキシレンなどの芳香族製品の中長期的な成長が見込まれることから、四日市製油所においてキシレンなどを増産する不均化装置の建設にも着手し(平成28年第2四半期稼働予定)、将来に向けた事業成長戦略を推進しました。

LPガス事業に関しましては、コスモ石油株式会社、住友商事株式会社及び東燃ゼネラル石油株式会社と、4社グループが行うLPガス元売事業(LPガスの輸入調達、出荷基地の運営、物流、国内卸売)及び海外トレーディング事業を統合した新会社「ジクシス株式会社」が4月から発足しました。この新会社はLPガス元売会社として国内最大規模となり、規模拡大による効率性向上に加え、収益機会の拡大を目指し、事業活動を進めております。

以上の取り組みに加え、5月には当社グループの昭和四日市石油株式会社四日市製油所とコスモ石油株式会社の四日市製油所との間で事業提携することを合意し、安定供給を確保しながら設備を最適化し、双方の競争力を強化する取り組みにも着手しました。この取り組みの実現により、当社はエネルギー供給構造高度化法二次告示(いわゆる第二次高度化法)への対応を平成29年3月末までに完了する見込みです。

このような取り組みの結果、年間を通じた原油価格下落に伴う石油製品価格の低下や、それによるたな卸資産評価損の発生もあり、石油事業の売上高は2兆499億円(前連結会計年度比28.1%の減収)、営業損失は38億円(前連結会計年度比335億円の増益)となりました。たな卸資産評価の影響等を除いた場合の連結営業利益相当額は、前述の取り組みの結果510億円となり、前連結会計年度比371億円の大幅増益となりました。

 

 

②エネルギーソリューション事業

太陽電池事業につきましては、当社100%子会社であるソーラーフロンティア株式会社を中心に事業展開を行っておりますが、4月から再生可能エネルギー固定価格買取制度の買取価格が大幅に引き下げられたことに加え、一部電力会社における出力抑制ル-ル導入により、産業用・住宅用ともに新規案件への投資が急激に冷え込み、結果として国内パネル販売価格も下落しました。

このような状況下、国内においては、比較的高い収益を確保し得る住宅用に軸足を置いた販売に取り組みました。代理店販売チャネルを通したエンドユーザーへのアプローチ強化に加え、グリッドパリティ(太陽光発電などの再生可能エネルギーの発電コストが、通常の系統電力のコストと同等となること)を視野に入れた優位性のある販売価格を提示するなど、需要の取り込みを図りました。さらには、専売店「ソーラーフロンティア プロショップ」の立ち上げや大手ハウスメーカーへの提案営業などの販売活動も強化してまいりました。非住宅用については、再生可能エネルギー固定価格全量買取制度の設備認定を受けているものの、建設・稼働に至っていなかった産業用発電案件に対し、ソーラーフロンティアのパネルへの置換を提案する等の取り組みを行いました。

また、パネル販売のみにとどまらず、プロジェクト開発から設計、資金調達、建設、運営、売却までを一貫して手掛けるビジネスモデル(BOT:Build(建設)、Own(所有)、Transfer(売却)の略称)も継続して推進し、宮崎県東諸県郡国富町に自社で開発した「国富太陽光発電所」を三菱UFJ信託銀行株式会社へ国内第1号案件として売却するなど、付加価値型のビジネス展開においても一定の成果を収めました。

海外向けの販売では、米国BOT事業の着実な推進、欧州でのソリューション販売、トルコやタイといった新興国での市場開拓に努めるなど、グローバル市場における強固な競争力構築の布石となる活動を展開しました。米国でのBOT事業では、3月にグローバルに太陽光発電所ビジネスを展開するゲスタンプ・ソーラー社(米国)から280MW規模の発電所開発案件を買収し、その内1つの開発案件(15MW)を10月に売却完了するなど大きな成果がありました。その他、トルコを含む中東地域やインドを含むアジアにおいて、それぞれの市場の特性に合ったマーケティング活動を展開しました。

研究開発面では、CIS薄膜太陽電池(*1)の特性を活かした超軽量かつ薄型で曲面設置も可能な「べンダブル・モジュール」の試作品をシンガポールの物流ターミナルビルに試験的に設置する一方、12月にはCIS薄膜太陽電池のセル(約0.5平方センチメートル)で、薄膜太陽電池として世界記録となるエネルギー変換効率22.3%を達成しました。また、新技術の商業化と大幅なコスト低減を実証する役割を担い4番目のパネル生産拠点となる東北工場(公称年産能力150MW)については、4月から稼働を開始し、商業生産移行に向けた立ち上げを進めました。

これらの取り組みにより、当連結会計年度におけるパネル出荷数量は前年比で増加したものの、国内パネル市況が低下したこと、また、中期経営アクションプランに基づき、将来の収益基盤強化への種まきとして海外市場における販売強化に取り組んだことから、結果として相対的に販売価格の低い海外市場向けの出荷割合が高まり、パネルの平均販売単価は前年比で下落しました。主力の国富工場(宮崎県、公称年産能力900MW)は、当連結会計年度を通じて概ねフル生産を続けると同時に、パネル生産コストを中心に継続したコスト削減活動に取り組みましたが、円安進行による海外部材調達コストの上昇などにより効果は限定的となり、その結果、前連結会計年度と比較して大幅な営業減益となりました。

電力事業につきましては、当連結会計年度においては、当社が出資する高効率大型天然ガス火力発電所「扇島パワーステーション」の1号機及び2号機が安定的かつ効率的な運転を維持したこと、旧京浜製油所扇町工場跡地での木質ペレットとパームヤシの種殻を主な燃料とする「京浜バイオマス発電所」(4.9万kW)を計画より1カ月以上前倒しし、11月初旬には商業運転を開始したこと、及び販売ポートフォリオの最適化を行ったことなどが寄与し、営業利益は安定的に推移しました。自社発電源の拡充に関しては、引き続き扇島パワーステーション3号機の増設工事(40万kW、平成28年2月稼働)を計画通り進めました。また、平成28年4月から電力小売りが完全自由化されることを踏まえ、家庭向け低圧電力小売り事業を開始する準備も並行して進めました。

このような取り組みの結果、エネルギーソリューション事業の売上高は1,194億円(前連結会計年度比13.8%の減収)、営業損失は101億円(前連結会計年度比278億円の減益)となりました。

 

*1 CIS薄膜太陽電池

:銅(Copper)、インジウム(Indium)、セレン(Selenium)を主成分として、当社の独自技術で生産する次世代太陽電池であり、実環境下での発電能力やデザイン性に優れ、カドミウムを含まず環境に優しいことが特徴です。

 

③その他

その他事業につきましては、建設工事や自動車用品の販売、当社所有のオフィスビルの賃貸等を行っており、その売上高は82億円(前連結会計年度比10.4%の減収)、営業利益は17億円(前連結会計年度比1億円の増益)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ285億円減少し、153億円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次の通りです。

 

ア)営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、748億円の純収入となりました(前年同期は727億円の純収入)。これは、主に売上債権の減少及びたな卸資産の減少等の増加要因が、仕入債務の減少等の減少要因を上回ったことによるものです。

 

イ)投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フローは、436億円の純支出となりました(前年同期は281億円の純支出)。これは、主に太陽電池パネル工場及び売電用発電施設の新設などを含む有形固定資産の取得、短期貸付金の増加及び関係会社株式の取得等によるものです。

 

ウ)財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の減少と配当金支払等により、561億円の純支出となりました(前年同期は281億円の純支出)。なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は、前連結会計年度末に比して540億円減少し、1,554億円となりました。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りです。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

石油事業

952,929

△28.1%

エネルギーソリューション事業

79,218

△25.3%

 

(注) 1 上記の金額は、石油事業は製品生産金額、エネルギーソリューション事業は販売金額により記載しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当社グループでは、主要製品について受注生産を行っておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りです。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

石油事業

2,049,935

△28.1

エネルギーソリューション事業

119,482

△13.8

その他

8,207

△10.4

合計

2,177,625

△27.4

 

(注) 1 「主要な相手先別販売実績」に該当する販売相手先はないため、記載を省略しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3 各事業の販売実績の金額は、外部顧客への売上高を記載しております。

 

 

3 【対処すべき課題】

(1) 対処すべき課題

石油事業におきましては、省エネルギーの推進、燃料消費効率の改善、少子高齢化の進行等による石油製品の国内需要低下が継続する中、将来において国内需給バランスの悪化が予見されます。これを背景に、第二次高度化法が告示され、石油精製元売り各社は、平成29年3月末までに製油所の残油処理能力の向上を行う義務が課されました。当社グループは、既にコスモ石油株式会社との四日市地域における事業提携により、この義務を満たす方策を決定しております。これにより、国内への石油製品の安定供給を十分に確保しつつ、さらに効率を高め、競争力を強化してまいります。

太陽電池事業におきましては、国内市場における新規需要の鈍化、パネル価格の下落といった課題があります。一方で、システムコストの更なる低減により、住宅用太陽光発電におけるグリッドパリティはほぼ達成されており、今後、電力系統に依存しない分散型電源としての需要創出が期待されています。当社は、ソーラーフロンティアを中心に、競争力のある生産コストに加え、実発電量の高さを活かした高い経済性を訴求して国内シェア拡大を目指す、「WIN IN JAPAN」戦略を進めます。同時に、確実な伸長が見込まれる世界市場においては「GO GLOBAL」を掲げ、BOT 事業の推進やソリューション販売など、より付加価値の高いビジネスを構築します。これらの施策については、変換効率・生産コスト・販管費・国内住宅販売数量・BOT事業によるキャピタルゲインといった項目に具体的な数値目標を掲げて取り組んでまいります。さらには、平成27年4月に稼働を開始した東北工場の可能な限り早期の商業生産への移行を図ります。この新工場で、世界トップクラスの生産コストを実現可能とする新量産技術を確立し、海外での新たな工場の建設や、新技術の国富工場への部分的適用等を検討してまいります。

電力事業におきましては、平成28年4月から始まる電力小売りの全面自由化を受け、当社も東京電力エリア(*1)の一般家庭向け新電気料金プランを展開する等、家庭向け低圧電力小売り事業への参入を進めてまいります。その他、新設の京浜バイオマス発電所を含めた既存発電所の安定的かつ効率的な運営を基盤としながら、扇島パワーステーション3号機を計画通り立ち上げるとともに(平成28年2月稼働)、販売ポートフォリオの最適化を継続して行ってまいります。

以上のような諸課題に全力で取り組むとともに、出光興産との経営統合を実現し、「屈指の競争力を有する業界のリーディングカンパニー」および「日本発の新しいエネルギー企業」として最大限の飛躍を遂げるべく、万全なる準備をしてまいります。

 

*1 東京電力エリア

:東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、富士川以東の静岡県(離島は除く)を指します。

 

このような企業活動を進める根底として、当社グループが求めるコンプライアンスとは、単なる法令遵守にとどまらず、社会が求める価値観や倫理観に基づき「誠実」「公正」かつ「他を思いやること」を念頭に行動することであり、社会的責任を果たし持続的成長を実現するため、グループ全体で統一的基準に則り「ぶれないコンプライアンス活動」を継続することが重要であると考えております。今後も引き続き、当社が定める「行動原則」と「健康、安全、危機管理および環境保全(HSSE)に関する基本方針」をグループ全体で共有し、その周知徹底を図ってまいります。

 

 

(2) 中期経営アクションプランについて

当社は、中期経営アクションプランにおいて「石油事業の収益力強化」「太陽電池事業の競争力強化」「電力事業の展開」「成長の芽の育成」を戦略の柱として掲げ、平成25年度から平成29年度までを実施期間とし、これらの戦略を継続的に実行し、これまで着実な成果につなげております。

このアクションプランは、石油事業においては国内最高の収益性を確立すること、太陽電池事業においてはグローバル市場においても十分に競争力を有する事業体制を構築すること、電力事業においては発電源の多様化により自社電源を確保しつつスピードをもって発電能力を拡大していくことを企図するものです。

また、このプランの一環として、ビジネスプロセス改革や抜本的コスト構造改革も並行して推進しており、事業環境の変化が激しい中においても相対的競争優位性が確保できる強靭な収益体制を有する総合エネルギー企業となることを目指してまいります。

なお、当社は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載のとおり、現在、出光興産との間で経営統合の実現に向けた協議を進めております。経営統合後の中長期的な経営戦略につきましては、別途改めて策定いたします。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループでは、事業等のリスクのチェック・管理体制を整備し、リスクの低減に努めておりますが、当社グループの事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項には、下記各項のものがあります。
 なお、下記リスクは当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、リスクのすべてではありません。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。

 

(1) エネルギー需要及び製品市況の影響に関するリスク

国内における石油製品に対する需要は、わが国の経済情勢、国内エネルギー需給等の影響を受けて変動します。また、国内の石油製品市場は、需要動向、業界他社との価格競争、海外の石油製品価格、他のエネルギーとの相対的価格競争力の変化等の影響を受けます。太陽電池市況も需給バランスの状態、業界他社との価格競争に影響されます。
 これらの変動要因は、輸出を含め当社グループが販売する製品の数量及び価格にも影響を与え、損益変動の要因となります。

 

(2) 原油、原材料価格及び為替相場の変動に関するリスク

① 販売マージン及び運転資金への影響

当社グループの国内石油製品の売上原価は、原油価格及び外国為替相場の変動の影響を受けるため、これらの影響を国内における製品その他の販売価格に反映させることを基本としております。また、太陽電池製品の売上原価も、原材料価格及び外国為替相場の変動の影響を受けるため、これらの影響を国内外における製品の販売価格に反映させることを基本としております。しかしながら、国内外の市場環境等により売上原価の変動を販売価格に反映することが困難な場合には、損益変動の要因となります。

また、原油、原材料の価格の上昇あるいは為替の急激な変動により必要運転資金が増大する可能性があります。

 

② たな卸資産評価の影響

当社グループでは、たな卸資産の評価を主として総平均法で行っており、原油・原材料・製品価格が下落した場合は、期初の相対的に高価なたな卸資産の影響により売上原価が押し上げられ、損益に対するマイナス要因となります。一方、原油・原材料・製品価格が上昇した場合は、期初の相対的に安価なたな卸資産の影響により売上原価が押し下げられ、損益に対するプラス要因となる等、原油・原材料・製品価格の変動が財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 原油、原材料の調達元に関するリスク

当社グループは、原油の大半を海外とりわけ中東から調達しております。産油国ならびに国際的な政治情勢の変動等の事由により原油調達に支障が生じ、適切な代替供給源を確保することが出来ない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、太陽電池は原材料に希少金属を使用しており、供給地の予期せぬ事情等で原材料調達に支障が生じる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 他社との競合、あるいは技術革新に関するリスク

当社グループは、国内において石油事業を中心に従来からの精製設備や給油所数の過剰状態に加え、国内石油製品需要の減退により他社との激しい競争にさらされております。太陽電池事業においては技術革新が急速に進行しており、これに伴い技術標準やコスト競争力の優位性が変化し、国内外の他社との競合状況も影響を受けます。これに対応すべく当社グループは、戦略的提携・協業を含め、今後とも競争力の維持・向上に努めますが、当社グループがこのような競争環境下において効率的な事業運営が出来ない、あるいは戦略的提携・協業から十分な成果が得られない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

 

(5) 事業活動にかかる環境規制及び税の賦課等に関するリスク

将来、我が国において二酸化炭素の排出量や化石燃料の消費に対する数量規制及びその他の新たな環境規制が導入された場合には、追加の設備投資や費用負担が増加し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
 太陽電池事業においては、各国政府の補助金政策の変更が、国内外の太陽電池の需要動向に影響を与え、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(6) 災害、事故等に起因する事業活動の停止、制約等に関するリスク

当社グループでは、HSSE管理規程により健康(Health)、安全(Safety)、危機管理(Security)及び環境保全(Environment)に関する基本事項を定めて、安全操業の徹底を図り、さらに損害保険の付保、危機管理計画書や事業継続計画書の作成並びにその訓練等により自然災害発生時や新型インフルエンザ等の感染症の流行時のリスクの極小化に努めておりますが、製油所や太陽電池工場をはじめとする当社グループの各拠点が、想定を超えた災害等の事態に見舞われた場合には操業に支障が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、重大な労働災害、設備事故等が発生した場合や情報システムに障害が発生した場合にも、事業活動の停止、制約等により、同様の影響を与える可能性があります。

 

(7) 内部統制システム構築に関するリスク

当社グループでは、従来から行動原則担当役員の任命、独占禁止法遵守規程の履行、リスク管理体制の構築・運営、内部監査等の実施により、コンプライアンスの強化に努めております。

しかし、当社グループが構築した内部統制システムが有効に機能せず、コンプライアンス上のリスクが完全に回避できない事態が生じた場合には、ステークホールダーの信頼を失い、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(8) 知的財産権に関するリスク

技術開発の競争に加え、知的財産権戦略がますます重要となる中、専門部署を設けノウハウを含む知的財産権の管理体制や防御対策強化に努めておりますが、対応に不十分な分野が生じた場合には、知的財産権の侵害等の紛争やノウハウの流出が生じる可能性があり、これらは当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(9) 製造物責任に関するリスク

当社グループは厳正な品質管理基準に基づき製品を製造しておりますが、万が一製品に欠陥が発生した場合に備えて保険に加入しています。しかしながら予期せぬ事情で大規模なリコールや訴訟が発生した場合には、法的責任を負う可能性がある他、ブランドイメージの低下を招き、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(10) 個人情報の管理に関するリスク

当社グループは、製品販売等の事業に関連して顧客情報をはじめとする個人情報を取得して利用しており、その取り扱いについては社内管理体制を構築し、細心の注意を払っておりますが、これらが何らかの理由により流出したり悪用されたりした場合には、法的責任を負う可能性がある他、ブランドイメージの低下を招き、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(11) 退職給付に関するリスク

当社グループの退職給付債務及び費用は、数理評価計算によって算出され、割引率等の基礎率や年金資産の長期期待運用収益率がその前提条件として設定されております。基礎率等に関する実際の数値が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累計され、将来にわたって規則的に認識されることになるため、退職給付債務の金額及び将来期間において認識される費用に影響を与えることになります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

 

契約会社名

相手方の名称

国名

契約の種類

契約内容

契約期間

昭和シェル石油株式会社(当社)

シェル・ブランズ・インターナショナル・アー・ゲー 

スイス 

商標等
使用契約

1 商標の使用許諾

2 石油関連技術の提供、共同研究開発及び成果の扱い

3 業務全般にわたる一般的情報の提供

効力発生日:
 平成20年1月1日
契約終了確定日:
 平成39年12月31日

同上

シェル・グローバル・ソリューションズ・インターナショナル・ビー・ブイ

オランダ

技術役務契約

1 石油精製及び石油製品の製造事業に関する一般的技術役務の提供

2 上記事業に関する技術的助言・役務の提供

効力発生日:
 平成19年1月1日
契約終了確定日は定
めていない。

同上

シェルグループ(ザ・シェル・ペトロリウム・カンパニー・リミテッド及びザ・アングロ・サクソン・ペトロリウム・カンパニー・リミテッド)

英国
オランダ

提携関係の維持に関する基本合意

出資比率変更後も商標の使用や研究開発、経営ノウハウの共有、人材交流等の提携関係を維持することについての基本合意

効力発生日:
 平成16年8月24日契約終了確定日は定めていない。

同上

サウジ・アラビアン・オイル・カンパニー(サウジ・アラムコ社)

サウジアラビア

原油供給契約

原油供給に関する基本合意

効力発生日:
 平成16年8月31日
契約終了確定日は定めていない。

同上

シェル・ケミカルズ・ジャパン株式会社

日本

事業賃貸借契約

石油製品等国際トレーディング事業の賃貸とオペレーションの一体化に関する基本合意

効力発生日:
 平成19年8月1日
契約終了確定日は定めていない。

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの主な研究開発活動の概要は次の通りであり、試験・研究開発費(含む減価償却費)の総額は56億円です。

 

(1) 石油事業(研究開発費:12億円)

当社グループは、主に中央研究所にて石油製品の研究開発を中心に実施しております。

燃料油関連では、次世代のガソリン及びディーゼルエンジンに及ぼす燃料組成、性状の影響評価をシェルグループと共同で実施しています。加えて、石油製品需要構造の変化への対応を目的とした燃料油製品の品質維持・向上のための研究開発を実施しました。

付加価値製品関連では、長寿命、省燃費、省エネルギーといったお客様のニーズに合致した自動車用・工業用の潤滑油・グリース、及びアスファルトの商品開発を継続的に行いました。また、次世代潤滑油及びグリースの基礎技術開発にも取り組んでおり、その成果として、平成27年5月には日本トライボロジー学会奨励賞、および同年9月に行われた国際トライボロジー会議では最優秀ポスター賞を受賞しました。

将来の成長の芽を育成する新規分野の研究開発では、現在のバイオ燃料より二酸化炭素の排出量削減効果の高いセルロースからのバイオ燃料製造、二酸化炭素を原料とする人工光合成などエネルギー・環境分野における革新的技術の探索と社会実装を目的とした産学連携活動を複数の大学と実施しています。

 

(2) エネルギーソリューション事業、その他(研究開発費:43億円)

太陽電池事業においては、次世代太陽電池と呼ばれているCIS薄膜太陽電池(銅、インジウム、セレンを使用した薄膜太陽電池)を製造販売しております。平成27年4月には新量産技術を実現する東北工場が稼働を開始しました。同工場は商業生産に向けた立ち上げプロセスの最終段階にあり、商業生産開始が急がれています。研究開発の特記事項としては、厚木リサーチセンターで12月にセル(30センチメートル角から切り出した約0.5平方センチメートル)において、エネルギー変換効率22.3%となる薄膜太陽電池の世界記録を達成し、対外発表を行ないました。また、次世代モジュールとして開発がすすめられシンガポールに試験設置された、超軽量で曲がる「ベンダブル・モジュール」は、新たな市場開拓とシステムコスト低減につながることが期待されています。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績

当社グループの売上高は2兆1,776億円(前連結会計年度比27.4%の減収)となりました。

損益面につきましては、営業損失は122億円(前連結会計年度比58億円の増益)、経常損失は132億円(前連結会計年度比34億円の増益)となりました。これは、前連結会計年度から引き続いて大幅に下落した原油価格により、石油事業においてたな卸資産評価損が発生したこと、及びたな卸資産評価の影響を除いた会計原価と燃料油卸売価格が決定されるベースとなるコストとのタイムラグの影響により、国内燃料油マージンが圧縮されたことに起因するものです。なお、たな卸資産評価の影響等を除いた場合の経常利益相当額は415億円(前連結会計年度比70億円の増益)となりました。

特別損益につきましては、補助金収入や持分変動利益等の特別利益を、固定資産処分損や京浜川崎シーバースで生じた海底配管損傷に係る費用等の特別損失が上回った結果、80億円の純損失となり、税金等調整前当期純損失は212億円(前連結会計年度比59億円の減益)となりました。この結果、法人税・住民税及び事業税、法人税等調整額ならびに少数株主利益を差し引いた連結当期純損失は274億円(前連結会計年度比177億円の減益)となりました。

 

(2) 財政状態

① 連結貸借対照表分析

当連結会計年度末の連結総資産は9,576億円となり、前連結会計年度末に比べ2,186億円減少しました。これは、主に、原油価格が下落したこと等により売掛金やたな卸資産が減少したためです。連結純資産は、前連結会計年度末に比べ529億円減少して2,433億円となりました。これは配当金の支払いや当期純損失を計上したこと等によるものです。

連結負債合計は、前連結会計年度末に比べて1,656億円減少して7,143億円となりました。これは、主に、原油価格が下落したこと等により買掛金が減少したためです。なお、有利子負債残高は1,554億円となり、前連結会計年度末に比べ540億円減少しております。

以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は23.2%となりました。また、期末発行済株式数に基づく1株当たり純資産は、前連結会計年度末の722.33円から591.10円となりました。

 

② 資金調達

当社グループの短期資金需要は、主に原材料・製品の仕入及びそれに付随する租税等に係るものであり、長期資金需要は、主に製油所や太陽電池製造工場等の設備投資に係るものですが、その必要な資金については、事業活動により稼得するキャッシュ・フローを充当し、不足する部分については、市場環境や金利動向等を総合的に勘案しながら、金融機関からの借入及び社債により調達しております。

 

 

③ 連結キャッシュ・フロー分析

営業活動によるキャッシュ・フローは、748億円の純収入となりました(前年同期は727億円の純収入)。これは、主に売上債権の減少及びたな卸資産の減少等の増加要因が、仕入債務の減少等の減少要因を上回ったことによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、436億円の純支出となりました(前年同期は281億円の純支出)。これは、主に太陽電池パネル工場及び売電用発電施設の新設などを含む有形固定資産の取得、短期貸付金の増加及び関係会社株式の取得等によるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の減少と配当金支払等により、561億円の純支出となりました(前年同期は281億円の純支出)。なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は、前連結会計年度末に比して540億円減少し、1,554億円となりました。

当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは、次の通りです。

 

平成23年12月期

平成24年12月期

平成25年12月期

平成26年12月期

平成27年12月期

自己資本比率(%)

21.2

20.3

23.2

23.1

23.2

時価ベースの

自己資本比率(%)

16.2

14.9

31.0

38.1

38.9

キャッシュ・フロー

対有利子負債比率(倍)

5.5

6.3

2.3

2.9

2.1

インタレスト・カバレッジレシオ(倍)

12.4

9.7

23.8

20.8

28.7

 

(注) 自己資本比率:(純資産-少数株主持分)/総資産
       時価ベースの自己資本比率:株式時価総額 (*1)/総資産
       キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債(*2)/営業キャッシュ・フロー(*3)
    インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い (*3)
       各指標は、いずれも連結の財務数値により計算しています。

*1 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

*2 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

*3 営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業キャッシュ・フロー及び利息の支払額をそれぞれ使用しております。

 

④ 特定融資枠契約

当社は、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行で組成される融資シンジケート団と極度額1,500億円の特定融資枠契約(コミットメントライン契約)、及びみずほ銀行と特定融資枠契約(当座勘定貸越契約)100億円を締結しております。

なお、当連結会計年度末において、特定融資枠契約にかかる借入残高はありません。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因

 「4 事業等のリスク」に記載の通りです。