第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国の経済は、春季に消費税増税、夏季には天候不順といった経済活動に係る一時的な減退要因が発生したものの、円安の進行と株価上昇という基調は継続し、基本的な経済動静は改善傾向を維持しました。

年初1バレル107ドル台で始まったドバイ原油価格は、6月下旬に111ドル台まで緩やかに上昇した以降、米国でのシェールオイル増産に起因する供給過剰感が台頭したことに加え、OPECによる減産見送りや、世界経済停滞への懸念から石油需要予測が度重なり下方修正されたことにより、年末に向けてほぼ一貫して下落し、当連結会計年度末における価格は6月のピーク時の半値以下となる52ドル台まで急落しました。

外国為替相場は、年初1ドル104円台で始まり、9月初旬までは101円から104円台の水準で推移しました。その後は米国政府によるドル高容認発言や日本銀行による追加金融緩和の実施決定を経て円安はさらに進行し、12月には1ドル120円台に到達しました。

        (原油価格、為替レートの状況)

 

ドバイ原油
(ドル/バレル)

為替レート
(円/ドル)

為替レート
(円/ユーロ)

平成25年12月期 連結会計年度

105.5

 97.7

129.8

平成26年12月期 連結会計年度

 96.7

105.8

140.3

増 減

△8.8

 +8.1

+10.5

 

         ※各数値は該当期間の平均値によります。

 

このような経営環境のもと、当社グループの売上高は2兆9,979億円(前連結会計年度比1.5%の増収)となりました。

損益面につきましては、営業損失は180億円(前連結会計年度比934億円の減益)、経常損失は167億円(前連結会計年度比929億円の減益)となりました。これは、石油事業における原油価格急落に伴いたな卸資産評価損が発生したこと、およびたな卸資産評価の影響を除いた会計原価と燃料油卸売価格が決定されるベースとなるコストとのタイムラグの影響により、国内燃料油マージンが圧縮されたことに起因するものです。なお、たな卸資産評価の影響等を除いた場合の経常利益相当額は345億円(前連結会計年度比73億円の減益)となりました。

特別損益につきましては、固定資産売却益や補助金収入等の特別利益が、固定資産処分損や減損損失等の特別損失を上回った結果、13億円の純利益となり、税金等調整前当期純損失は153億円(前連結会計年度比921億円の減益)となりました。この結果、法人税・住民税及び事業税、法人税等調整額ならびに少数株主利益を差し引いた連結当期純損失は97億円(前連結会計年度比699億円の減益)となりました。

各セグメント別の経営成績は次の通りです。

 

 

①石油事業

原油調達に関しましては、サウジ・アラムコ社からの原油供給を中心に、その他の中東産油国およびシェルグループとも連携し、当社グループ製油所にとって最適となるよう、マーケットの動きに応じた機動的な調達を行いました。
 製造・供給面におきましては、安全かつ安定的な操業を確保しつつ、国内外の需要などマーケット変化に機敏に対応し、収益最大化に向けた最適生産に努めました。2月には、当社グループ最大の製油所である昭和四日市石油株式会社四日市製油所の原油処理能力を、追加投資を伴わない形で45千バレル日量を増強し、合計で255千バレル日量といたしました。この能力増強は、堅調な燃料油輸出マーケットを追加的な収益機会として取り込むことを目的としており、当連結会計年度を通じてシェルグループのネットワークを活用し、比較的収益性の高い軽油・ジェット燃料等の中間留分を中心に経済性に応じた製品輸出を行いました。また、東燃ゼネラル石油株式会社との精製・供給・流通部門における協業を拡大し、さらなる効率的な供給体制の構築を図りました。

国内における燃料油販売に関しましては、低燃費車の普及、産業用燃料の消費減少等の構造的な要因に加え、消費税増税や天候不順などの一時的要因により石油製品需要が低迷する中においても、当社のガソリンや灯・軽油、重油等は、内需の減退ペースに比して堅実な販売を維持しました。当連結会計年度においては、「製品およびサービスの差別化」を戦略の核とし、4月には当社が発行するクレジットカード「Shell Starlex Card」の利用特典を刷新し、お客様に一層ご活用いただけるサービスを提供しております。また、7月にはシェルグループがフェラーリ社との技術提携やF1で培った技術力を結集させた、差別化製品「Shell V-Power」を発売いたしました。本製品はエンジンが本来持つ性能を十分に引き出す「クリーン&プロテクションテクノロジー」を搭載した高機能ガソリンであり、既に世界66ヶ国で販売されております。低迷する国内プレミアムガソリン市場の中においても、お客様から高い評価をいただき、同製品の販売は特に堅調に推移しています。

 燃料油以外の付加価値製品に関しましては、長寿命や省燃費といったお客様のニーズに合致した自動車用・工業用の潤滑油・グリースや、環境対応型・景観対応型アスファルトの販売活動を精力的に行いました。潤滑油においては、シェルグループ独自の合成油を活用し、昨年市場導入した「シェルコレナ S3RJ」や、新油圧作動油を含む高機能・高付加価値の差別化製品の販売を着実に伸ばしてまいりました。アスファルトにおいては、従来工法より低温での施工を可能にし、CO2削減ならびに施工性改善に貢献する中温化アスファルト「キャリメックスART」、年々増加しているアスファルト舗装のリサイクルに対応した再舗装用アスファルト「リプロファルト300」など、環境性能の高い付加価値製品の販売を堅調に伸ばしてまいりました。

石油化学事業につきましては、当連結会計年度において、中国をはじめ新興国の経済成長が減速する一方で、アジア市場で石油化学工場の新増設が相次いだことにより、製品市況は前連結会計年度比で低迷しました。しかしながら、当社事業としては一定の収益は確保されており、年間を通じて石油化学製品の生産・販売の最大化に努めました。また、アジア市場でキシレンなどの芳香族製品の中長期的な需要成長が見込まれることから、四日市製油所においてキシレンなどを増産する不均化装置への投資決定も行い、将来に向けた事業成長の布石も打ちました。
 LPガス事業に関しましては、8月にコスモ石油株式会社、住友商事株式会社および東燃ゼネラル石油株式会社と、4社グループが行うLPガス元売事業(LPガスの輸入調達、出荷基地の運営、物流、国内卸売)および海外トレーディング事業の統合、ならびに、コスモ石油株式会社および住友商事株式会社と、3社グループが行うLPガスの国内小売販売事業の統合についてそれぞれ統合契約を締結いたしました。現在、平成27年4月の統合会社発足に向けて準備を進めております。

以上の取り組みに加え、平成25年4月より「ダントツプロジェクト」と称して推進しております全社企業変革活動を引き続き展開いたしました。本プロジェクトは、将来のいかなる事業環境下においても事業効率・コスト競争力の両面で優位性を確保することを目的とし、構造的コスト削減やビジネスプロセス改革等を平成27年度までの3年間で実行するものですが、2年目となる当連結会計年度においても着実な進捗を重ねております。

このような取り組みの結果、11月、12月にかけての原油価格急落に伴う石油製品価格の下落や、それによるたな卸資産評価損の発生もあり、石油事業の売上高は2兆8,502億円(前連結会計年度比1.7%の増収)、営業損失は373億円(前連結会計年度比935億円の減益)となりました。たな卸資産評価の影響等を除いた場合の連結営業利益相当額は、第4四半期における原油価格急落に伴う原油コストと製品販売価格との時間差の影響により、高い原油コストに対し低い製品価格による販売をすることとなりましたが、前述の取り組みの結果、138億円(前連結会計年度比79億円の減益)となりました。

 

 

②エネルギーソリューション事業

太陽電池事業につきましては、当社100%子会社であるソーラーフロンティア株式会社を中心に、再生可能エネルギー固定価格全量買取制度の追い風を受けて、需要が引き続き安定的に推移する国内市場向けの販売を強化し、住宅用・産業用・大型プロジェクト(メガソーラー)といった幅広い市場チャネル向けに積極的に販売を進めました。特に、住宅向け販売に関しましては、住宅メーカーとの協業にも取り組んでおり、セキスイハイムのゼロエネルギー住宅「スマートパワーステーション」シリーズ、トヨタホームのスマートハウスNEW「SINCE Cada(シンセ・カーダ)」にソーラーフロンティアのCIS薄膜太陽電池(*1)が採用されるなど、同社製品の性能の高さはますます認知されつつあります。また、パネル販売にとどまらず、プロジェクト開発から設計、資金調達、建設、運営、売却までを一貫して手掛けるビジネスモデルも推進し、関西国際空港内に設置するメガソーラープロジェクトを開発し運営開始するなど、より高い付加価値を追求した事業も展開しました。これらの活発な販売活動を支えるべく、主力の国富工場(宮崎県、公称年産能力900MW)は、当連結会計年度を通じてフル生産を続けました。

堅調な国内需要を背景に、当連結会計年度においてはパネル出荷の大部分は国内市場へ向けられました。パネル総出荷数量については、お客様の計画する太陽光発電所の系統連系に対する各電力会社による認可発行手続きの遅れなどから、出荷タイミングが後ろ倒しになる傾向があり、前連結会計年度実績を下回る結果となりました。しかしながら、パネル生産コストを中心に継続したコスト削減が奏功し、前連結会計年度と同水準の営業利益を達成することができました。

研究開発面では、4月にCIS薄膜太陽電池のセル(約0.5平方センチメートル)として世界記録となるエネルギー変換効率20.9%を達成しました。さらに同月、米国ニューヨーク州立大学とソーラーフロンティアはCIS薄膜太陽電池の共同研究開発および現地におけるパネル生産の可能性について共同検討することに合意しました。また、4番目のパネル生産拠点となる東北工場(公称年産能力150MW)については、年初から建設に着手し、工程は順調に進捗しました。新技術の商業化と大幅なコスト低減を実証する工場として、将来の海外展開のモデル工場としての役割を担い、平成27年3月の稼働開始を予定しています。このように、足元の事業展開のみならず、中長期的成長戦略に沿った活動も推進いたしました。

 電力事業につきましては、当連結会計年度においては、当社が出資する高効率大型天然ガス火力発電所「扇島パワーステーション」の1号機および2号機が安定的に効率的な運転を維持したこと、および販売ポートフォリオの最適化を行ったことが寄与し、当社グループ製油所である東亜石油株式会社京浜製油所の定期修理に伴う、石油系火力発電所「GENEX(ジェネックス)」の一時的な稼働停止にもかかわらず、前連結会計年度比増益を達成いたしました。自社発電源の拡充に関しては、ソーラーフロンティアのCIS薄膜太陽電池による旧油槽所などの遊休地を活用した太陽光発電所が順次稼働を開始しました。加えて、扇島パワーステーション3号機の増設工事(40万kW、平成28年2月の運転開始予定)および京浜製油所扇町工場跡地での木質ペレットを主な燃料とするバイオマス発電所の新設工事(4.9万kW、平成27年12月の運転開始予定)は順調に進捗しました。引き続き、社会に対する電力供給に貢献しつつ、環境に優しい電源の開発も進めております。

このような取り組みの結果、エネルギーソリューション事業の売上高は1,386億円(前連結会計年度比1.8%の減収)、営業利益は176億円(前連結会計年度比1億円の増益)となりました。

 

*1 CIS薄膜太陽電池

:銅(Copper)、インジウム(Indium)、セレン(Selenium)を主成分として、当社の独自技術で生産する次世代太陽電池であり、実環境下での発電能力やデザイン性に優れ、カドミウムを含まず環境に優しいことが特徴です。

 

③その他

その他事業においては、建設工事や自動車用品の販売、当社所有のオフィスビルの賃貸等を行っており、その売上高は91億円(前連結会計年度比4.2%の減収)、営業利益は16億円(前連結会計年度比1億円の減益)となりました。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ164億円増加し、438億円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次の通りです。

 

ア)営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、727億円の純収入となりました。これは、主に第4四半期に発生した原油価格下落によるたな卸資産の減少(612億円)などの運転資金の改善および非資金取引である減価償却費(413億円)等の増加要因によるものです。

 

イ)投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フローは、281億円の純支出となりました。給油所施設の操業維持や製油所の付加価値向上に関する投資のほか、太陽電池パネル工場および売電用発電施設の新設等に関する投資などが主な内訳であります。

 

ウ)財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の減少と配当金支払等により、281億円の純支出となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りです。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

石油事業

1,324,660

9.5

エネルギーソリューション事業

106,041

8.6

 

(注) 1 上記の金額は、石油事業は製品生産金額、エネルギーソリューション事業は販売金額により記載しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当社グループでは、主要製品について受注生産を行っておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りです。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

石油事業

2,850,218

1.7

エネルギーソリューション事業

138,610

△1.8

その他

9,156

△4.2

合計

2,997,984

1.5

 

(注) 1 「主要な相手先別販売実績」に該当する販売相手先はないため、記載を省略しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3 各事業の販売実績の金額は、外部顧客への売上高を記載しております。

 

 

3 【対処すべき課題】

(1) 対処すべき課題

石油事業におきましては、省エネルギーの推進、燃料消費効率の改善、少子高齢化の進行等による石油製品の国内需要低下が継続する中、将来において国内需給バランスの悪化が予見されます。これを背景に、経済産業省は、エネルギー供給構造高度化法の告示を改正しており(いわゆる第二次高度化法)、石油精製元売り各社においては、平成29年3月末までに製油所の残油処理能力の向上を行う義務が課されました。当社グループは、既に国内でもトップクラスの残油処理能力を誇り、効率的な製造・供給体制を実現しておりますが、本告示への対応を果たすため、他社との連携も含めたあらゆる可能性を模索し、最大限の成果を得るべく検討を進めてまいります。また、国内への石油製品の安定供給を十分に確保しつつ、さらに効率の高い事業運営を確立してまいります。

エネルギーソリューション事業におきましては、一部の電力会社における太陽光発電所の系統連系に対する送電線容量制約の問題が顕在化するとともに、今後の再生可能エネルギー固定買取制度の買取価格引き下げも見込まれるため、国内市場成長率は鈍化する可能性があります。一方で、数年後には住宅用太陽光発電におけるグリッドパリティ(太陽光発電などの再生可能エネルギーの発電コストが、通常の系統電力のコストと同等となること)の達成、およびそれに伴う一定の需要発生が見込まれております。そのような中で、将来に向けた販売戦略の再構築を主眼に、国内市場においては、住宅向け販売の強化や比較的小型の産業向け需要の取り込みを行うことで、さらに安定した顧客基盤を構築します。加えて、継続した需要成長が見込まれるグローバル市場へ本格的に事業展開する準備として、平成27年3月に稼働予定である東北工場を計画通り立ち上げ、独自のCIS薄膜太陽電池の技術開発の進展によって、コスト競争力の向上に尽力するとともに、海外販売体制の強化にも取り組んでまいります。なお、国内でのコスト競争力をより一層高めることを視野に入れ、東北工場において導入予定の新技術を日本最大かつ世界最大級の生産能力を持つ宮崎第3工場(国富工場)に展開することも検討しております。

また、電力事業を取り巻く環境は、今後のエネルギー政策の動向に伴い、大きな変化が想定されます。特に、平成28年に予定されている電力小売りの全面自由化は、当社にとっても更なる事業拡充に向けたビジネスチャンスになると捉えており、既存発電所の安定的かつ効率的な運営を基盤としながら、建設中の扇島パワーステーション第3号機やバイオマス発電所を計画通り立ち上げるとともに、販売ポートフォリオの最適化を継続して進めてまいります。

当社グループが求めるコンプライアンスとは、単なる法令遵守にとどまらず、社会が求める価値観や倫理観に基づき「誠実」「公正」かつ「他を思いやること」を念頭に行動することであり、社会的責任を果たし持続的成長を実現するため、グループ全体で統一的基準に則り「ぶれないコンプライアンス活動」を継続することが重要であると考えております。今後も引き続き、当社が定める「行動原則」と「健康、安全、危機管理および環境保全(HSSE)に関する基本方針」をグループ全体で共有し、その周知徹底を図ってまいります。

 

(2) 中期経営アクションプランについて

当社は、中期経営アクションプランにおいて「石油事業の収益力強化」「太陽電池事業の競争力強化」「電力事業の展開」「成長の芽の育成」を戦略の柱として掲げ、平成25年度以降これらの戦略を継続的に実行し、着実な成果につなげております。
 このアクションプランは、石油事業においては国内最高の収益性を確立すること、太陽電池事業においてはグローバル市場においても十分に競争力を有する事業体制を構築すること、電力事業においては発電源の多様化により自社電源を確保しつつスピードをもって発電能力を拡大していくことを企図するものです。
 またこのプランの一環として、ビジネスプロセス改革や抜本的コスト構造改革も並行して推進しており、事業環境の変化が激しい中においても相対的競争優位性が確保できる強靭な収益体制を有する総合エネルギー企業となることを目指してまいります。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループでは、事業等のリスクのチェック・管理体制を整備し、リスクの低減に努めておりますが、当社グループの事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項には、下記各項のものがあります。
 なお、下記リスクは当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、リスクのすべてではありません。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。

 

(1) エネルギー需要及び製品市況の影響に関するリスク

国内における石油製品に対する需要は、わが国の経済情勢、国内エネルギー需給等の影響を受けて変動します。また、国内の石油製品市場は、需要動向、業界他社との価格競争、海外の石油製品価格、他のエネルギーとの相対的価格競争力の変化等の影響を受けます。太陽電池市況も需給バランスの状態、業界他社との価格競争に影響されます。
 これらの変動要因は、輸出を含め当社グループが販売する製品の数量及び価格にも影響を与え、損益変動の要因となります。

 

(2) 原油、原材料価格及び為替相場の変動に関するリスク

① 販売マージン及び運転資金への影響

当社グループの国内石油製品の売上原価は、原油価格及び外国為替相場の変動の影響を受けるため、これらの影響を国内における製品その他の販売価格に反映させることを基本としております。また、太陽電池製品の売上原価も、原材料価格及び外国為替相場の変動の影響を受けるため、これらの影響を国内外における製品の販売価格に反映させることを基本としております。しかしながら、国内外の市場環境等により売上原価の変動を販売価格に反映することが困難な場合には、損益変動の要因となります。

また、原油、原材料の価格の上昇あるいは為替の急激な変動により必要運転資金が増大する可能性があります。

 

② たな卸資産評価の影響

当社グループでは、たな卸資産の評価を主として総平均法で行っており、原油・原材料・製品価格が下落した場合は、期初の相対的に高価なたな卸資産の影響により売上原価が押し上げられ、損益に対するマイナス要因となります。一方、原油・原材料・製品価格が上昇した場合は、期初の相対的に安価なたな卸資産の影響により売上原価が押し下げられ、損益に対するプラス要因となる等、原油・原材料・製品価格の変動が財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 原油、原材料の調達元に関するリスク

当社グループは、原油の大半を海外とりわけ中東から調達しております。産油国ならびに国際的な政治情勢の変動等の事由により原油調達に支障が生じ、適切な代替供給源を確保することが出来ない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、太陽電池は原材料に希少金属を使用しており、供給地の予期せぬ事情等で原材料調達に支障が生じる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 他社との競合、あるいは技術革新に関するリスク

当社グループは、国内において石油事業を中心に従来からの精製設備や給油所数の過剰状態に加え、国内石油製品需要の減退により他社との激しい競争にさらされております。太陽電池事業においては技術革新が急速に進行しており、これに伴い技術標準やコスト競争力の優位性が変化し、国内外の他社との競合状況も影響を受けます。これに対応すべく当社グループは、戦略的提携・協業を含め、今後とも競争力の維持・向上に努めますが、当社グループがこのような競争環境下において効率的な事業運営が出来ない、あるいは戦略的提携・協業から十分な成果が得られない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

 

(5) 事業活動にかかる環境規制及び税の賦課等に関するリスク

将来、我が国において二酸化炭素の排出量や化石燃料の消費に対する数量規制及びその他の新たな環境規制が導入された場合には、追加の設備投資や費用負担が増加し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
 太陽電池事業においては、各国政府の補助金政策の変更が、国内外の太陽電池の需要動向に影響を与え、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(6) 災害、事故等に起因する事業活動の停止、制約等に関するリスク

当社グループでは、HSSE管理規程により健康(Health)、安全(Safety)、危機管理(Security)及び環境保全(Environment)に関する基本事項を定めて、安全操業の徹底を図り、さらに損害保険の付保、危機管理計画書や事業継続計画書の作成並びにその訓練等により自然災害発生時や新型インフルエンザ等の感染症の流行時のリスクの極小化に努めておりますが、製油所や太陽電池工場をはじめとする当社グループの各拠点が、想定を超えた災害等の事態に見舞われた場合には操業に支障が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、重大な労働災害、設備事故等が発生した場合や情報システムに障害が発生した場合にも、事業活動の停止、制約等により、同様の影響を与える可能性があります。

 

(7) 内部統制システム構築に関するリスク

当社グループでは、従来から行動原則担当役員の任命、独占禁止法遵守規程の履行、リスク管理体制の構築・運営、内部監査等の実施により、コンプライアンスの強化に努めております。

しかし、当社グループが構築した内部統制システムが有効に機能せず、コンプライアンス上のリスクが完全に回避できない事態が生じた場合には、ステークホールダーの信頼を失い、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(8) 知的財産権に関するリスク

技術開発の競争に加え、知的財産権戦略がますます重要となる中、専門部署を設けノウハウを含む知的財産権の管理体制や防御対策強化に努めておりますが、対応に不十分な分野が生じた場合には、知的財産権の侵害等の紛争やノウハウの流出が生じる可能性があり、これらは当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(9) 製造物責任に関するリスク

当社グループは厳正な品質管理基準に基づき製品を製造しておりますが、万が一製品に欠陥が発生した場合に備えて保険に加入しています。しかしながら予期せぬ事情で大規模なリコールや訴訟が発生した場合には、法的責任を負う可能性がある他、ブランドイメージの低下を招き、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(10) 個人情報の管理に関するリスク

当社グループは、製品販売等の事業に関連して顧客情報をはじめとする個人情報を取得して利用しており、その取り扱いについては社内管理体制を構築し、細心の注意を払っておりますが、これらが何らかの理由により流出したり悪用されたりした場合には、法的責任を負う可能性がある他、ブランドイメージの低下を招き、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(11) 退職給付に関するリスク

当社グループの退職給付債務及び費用は、数理評価計算によって算出され、割引率等の基礎率や年金資産の長期期待運用収益率がその前提条件として設定されております。基礎率等に関する実際の数値が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累計され、将来にわたって規則的に認識されることになるため、退職給付債務の金額及び将来期間において認識される費用に影響を与えることになります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

 

契約会社名

相手方の名称

国名

契約の種類

契約内容

契約期間

昭和シェル石油株式会社(当社)

シェル・ブランズ・インターナショナル・アー・ゲー 

スイス 

商標等
使用契約

1 商標の使用許諾

2 石油関連技術の提供、共同研究開発及び成果の扱い

3 業務全般にわたる一般的情報の提供

効力発生日:
 平成20年1月1日
契約終了確定日:
 平成39年12月31日

同上

シェル・グローバル・ソリューションズ・インターナショナル・ビー・ブイ

オランダ

技術役務契約

1 石油精製及び石油製品の製造事業に関する一般的技術役務の提供

2 上記事業に関する技術的助言・役務の提供

 

効力発生日:
 平成19年1月1日
契約終了確定日は定
めていない。

同上

シェルグループ(ザ・シェル・ペトロリウム・カンパニー・リミテッド及びザ・アングロ・サクソン・ペトロリウム・カンパニー・リミテッド)

英国
オランダ

提携関係の維持に関する基本合意

出資比率変更後も商標の使用や研究開発、経営ノウハウの共有、人材交流等の提携関係を維持することについての基本合意

効力発生日:
 平成16年8月24日契約終了確定日は定めていない。

同上

サウジ・アラビアン・オイル・カンパニー(サウジ・アラムコ社)

サウジアラビア

原油供給契約

原油供給に関する基本合意

効力発生日:
 平成16年8月31日
契約終了確定日は定めていない。

同上

シェル・ケミカルズ・ジャパン株式会社

日本

事業賃貸借契約

石油製品等国際トレーディング事業の賃貸とオペレーションの一体化に関する基本合意

効力発生日:
 平成19年8月1日
契約終了確定日は定めていない。

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの主な研究開発活動の概要は次の通りであり、試験・研究開発費(含む減価償却費)の総額は46億円です。

 

(1) 石油事業(研究開発費:18億円)

当社グループは、主に中央研究所にて石油製品の研究開発を中心に実施しております。
 燃料油関連では、差別化商品であるShell V-Powerをシェルグループと共同開発し、平成26年7月に市場に導入しました。また、次世代のガソリン及びディーゼルエンジンに及ぼす燃料組成、性状の影響評価をシェルグループと共同で実施しています。加えて、石油製品需要構造の変化への対応を目的とした燃料油製品の品質維持・向上のための研究開発を実施しました。
 付加価値製品関連では、長寿命、省燃費、省エネルギーといったお客様のニーズに合致した自動車用・工業用の潤滑油・グリース、及びアスファルトの商品開発を継続的に行いました。当連結会計年度では、シェルグループ独自の合成油を活用したスクリューコンプレッサー油「シェルコレナS3RJ」を開発、発売しました。また、次世代潤滑油及びグリースの基礎技術開発にも取り組んでおり、その成果として、平成26年5月にはトライボロジー学会技術賞を受賞しました。
 将来の成長の芽を育成する新規分野の研究開発では、エネルギー・環境分野における革新的技術の探索と社会実装を目的とした産学連携活動を複数の大学と実施しています。

 

(2) エネルギーソリューション事業、その他(研究開発費:27億円)

太陽電池事業においては、次世代太陽電池と呼ばれているCIS薄膜太陽電池(銅、インジウム、セレンを使用した薄膜太陽電池)を製造販売しております。研究開発拠点である厚木リサーチセンターでは、エネルギー変換効率の継続的な向上に取り組んでいます。その結果、30㎝角から切り出した0.5㎝角セルベースで、CIS薄膜太陽電池で世界一となる20.9%を記録しました。また、新工場である東北工場に適用される新量産技術の研究開発も行われています。このように生産コストの更なる低減を実現しているほか、CIS薄膜太陽電池の強みである、形状や材質の変化への対応力を生かし新製品やアプリケーションの多様化といった課題にも取り組み、付加価値の向上や需要の創出に繋げています。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績

当社グループの売上高は2兆9,979億円(前連結会計年度比1.5%の増収)となりました。

損益面につきましては、営業損失は180億円(前連結会計年度比934億円の減益)、経常損失は167億円(前連結会計年度比929億円の減益)となりました。これは、石油事業における原油価格急落に伴いたな卸資産評価損が発生したこと、およびたな卸資産評価の影響を除いた会計原価と燃料油卸売価格が決定されるベースとなるコストとのタイムラグの影響により、国内燃料油マージンが圧縮されたことに起因するものです。なお、たな卸資産評価の影響等を除いた場合の経常利益相当額は345億円(前連結会計年度比73億円の減益)となりました。

特別損益につきましては、固定資産売却益や補助金収入等の特別利益が、固定資産処分損や減損損失等の特別損失を上回った結果、13億円の純利益となり、税金等調整前当期純損失は153億円(前連結会計年度比921億円の減益)となりました。この結果、法人税・住民税及び事業税、法人税等調整額ならびに少数株主利益を差し引いた連結当期純損失は97億円(前連結会計年度比699億円の減益)となりました。

 

(2) 財政状態

① 連結貸借対照表分析

当連結会計年度末の連結総資産は1兆1,762億円となり、前連結会計年度末に比べ1,195億円減少しました。これは、主に、原油価格が下落したこと等により売掛金やたな卸資産が減少したためです。連結純資産は、前連結会計年度末に比べ290億円減少して2,963億円となりました。これは配当金の支払いや当期純損失を計上したこと等によるものです。

連結負債合計は、前連結会計年度末に比べて905億円減少して8,799億円となりました。これは、主に、原油価格が下落したこと等により買掛金が減少したためです。なお、有利子負債残高は2,094億円となり、前連結会計年度末に比べ114億円減少しております。

以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は23.1%となりました。また、期末発行済株式数に基づく1株当たり純資産は、前連結会計年度末の798.17円から722.33円となりました。

 

② 資金調達

当社グループの短期資金需要は、主に原材料・製品の仕入及びそれに付随する租税等に係るものであり、長期資金需要は、主に製油所や太陽電池製造工場等の設備投資に係るものですが、その必要な資金については、事業活動により稼得するキャッシュ・フローを充当し、不足する部分については、市場環境や金利動向等を総合的に勘案しながら、金融機関からの借入及び社債により調達しております。

 

 

③ 連結キャッシュ・フロー分析

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、727億円の純収入となりました。これは、主に第4四半期に発生した原油価格下落によるたな卸資産の減少(612億円)などの運転資金の改善および非資金取引である減価償却費(413億円)等の増加要因によるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、281億円の純支出となりました。給油所施設の操業維持や製油所の付加価値向上に関する投資のほか、太陽電池パネル工場および売電用発電施設の新設等に関する投資などが主な内訳であります。営業活動と投資活動によるキャッシュ・フローの合計であるフリー・キャッシュ・フローは、445億円の純収入となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の減少と配当金支払等により、281億円の純支出となりました。なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は、前連結会計年度末に比して114億円減少し、2,094億円となりました。

当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは、次の通りです。

 

平成22年12月期

平成23年12月期

平成24年12月期

平成25年12月期

平成26年12月期

自己資本比率(%)

20.1

21.2

20.3

23.2

23.1

時価ベースの

自己資本比率(%)

23.5

16.2

14.9

31.0

38.1

キャッシュ・フロー

対有利子負債比率(倍)

3.4

5.5

6.3

2.3

2.9

インタレスト・カバレッジレシオ(倍)

24.7

12.4

9.7

23.8

20.8

 

(注) 自己資本比率:(純資産-少数株主持分)/総資産
       時価ベースの自己資本比率:株式時価総額 (*1)/総資産
       キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債(*2)/営業キャッシュ・フロー(*3)
    インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い (*3)
       各指標は、いずれも連結の財務数値により計算しています。

*1 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

*2 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

*3 営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業キャッシュ・フロー及び利息の支払額をそれぞれ使用しております。

 

④ 特定融資枠契約

当社は、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行で組成される融資シンジケート団と極度額1,500億円の特定融資枠契約(コミットメントライン契約)及びみずほ銀行と特定融資枠契約(当座勘定貸越契約)100億円を締結しております。
 なお、当連結会計年度末において、特定融資枠契約にかかる借入残高はありません。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因

 「4 事業等のリスク」に記載の通りです。