当社及び従来3月決算であった連結子会社は、前連結会計年度より決算日を3月31日から12月31日に変更しました。前連結会計年度は決算日変更の経過期間であったことから、それらの会社は9カ月(2015年4月1日から2015年12月31日まで)、従来から12月決算会社であった連結子会社は12カ月(2015年1月1日から2015年12月31日まで)を連結対象期間とした変則的な決算となっています。このため、当連結会計年度の対前年度増減額及び増減率については、参考情報としての「前年同一期間」との比較で記載しています。(前年同一期間とは、当連結会計年度(2016年1月1日から2016 年12月31日まで)に対応する前年の同一期間(2015年1月1日から2015年12月31日まで)です。)
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売上高
(百万円) |
営業利益
(百万円) |
経常利益
(百万円) |
親会社株主に (百万円) |
1株当たり (円) |
潜在株式調整後1株当たり (円) |
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2016年12月期 |
850,306 |
36,780 |
37,174 |
32,101 |
80.41 |
80.30 |
|
(参考)前年同一期間 |
863,288 |
44,337 |
44,258 |
29,462 |
73.85 |
73.73 |
|
調整後増減率 |
△1.5% |
△17.0% |
△16.0% |
9.0% |
8.9% |
8.9% |
|
調整後外貨増減率 |
5.2% |
― |
― |
― |
― |
― |
|
2015年12月期 |
763,058 |
37,660 |
37,588 |
23,210 |
58.17 |
58.08 |
当連結会計年度の国内における景況感は、一部で弱い動きがみられたものの、雇用環境の改善などから緩やかな回復基調が続きました。国内化粧品市場は、景況感の改善と外国人旅行者の増加に支えられ、引き続き拡大基調を継続しました。海外化粧品市場は、欧州は国によりばらつきがみられるなか、全体では緩やかな成長にとどまりましたが、中国、アジア及び米州では堅調な成長が継続しました。
資生堂グループは2015年度に、100年先も輝き続ける企業となるため中長期戦略VISION 2020をスタートさせました。日本発のグローバルビューティーカンパニーとして競争に勝ち抜くため、すべての活動をお客さま起点とし、資生堂グループはグローバルでのブランド価値向上に取り組んでいます。2015年度からの最初の3カ年を、次期3カ年の飛躍のための事業基盤の再構築期間と位置づけ、積極的な投資を行うとともに、成長加速に向けた基盤の確立を進めています。
当連結会計年度においては、“Think Global, Act Local(グローバルな視点で全社経営、マーケティング、ブランド戦略などを考えながら、各国市場の変化に対応するべく現地・現場に密着した活動を進める)”の考え方に則り、5つのブランドカテゴリーと6つの地域を掛け合わせた「マトリクス型組織体制」をスタートさせました。責任と権限を大幅に現地に委譲し、市場ごとに異なるお客さまのニーズへの対応力を強化しています。また、戦略の根幹となるブランド価値向上に向けて、マーケティングとイノベーションの強化に取り組みました。加えて、それらを支える多様な人材の活用とその能力向上、グローバル組織の構築とその強化などに注力しました。さらに、今後の成長をより加速するために、グローバルプレステージ領域における投資を強化しました。2016年7月に、メーキャップを中心に展開するプレステージブランド「Laura Mercier」及びプレステージスキンケアブランド「RéVive」を取得しました。また10月には、イタリアのラグジュアリーファッションブランドを展開するDolce&Gabbana S.r.l.とのフレグランス、メーキャップ、スキンケア商品の開発、生産及び販売に関するライセンス契約に基づき、販売を開始しました。
この結果、当連結会計年度の現地通貨ベースの売上高は、プレステージ領域を中心に各地域において伸長したことに加え、新規に取得したブランドが上乗せとなったことから前年同一期間比5.2%増となりました。円換算後では円高による為替影響を大きく受け、前年同一期間比 1.5%減の850,306百万円となりました。
営業利益は、売上増に伴う差益増やプレステージブランドの売上伸長によるプロダクトミックスの改善、コスト構造改革による原価低減効果などがあったものの、新たに取得したブランドやライセンス契約に係る一時費用、米国ベアエッセンシャルInc.の構造改革費用に加え、想定以上の円高影響などにより、前年同一期間比17.0%減の36,780百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、「Jean Paul GAULTIER」のフレグランスに関する知的財産権の譲渡益や鎌倉工場跡地の売却益を特別利益に計上したことなどにより、前年同一期間比9.0%増の32,101百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の連結売上高営業利益率は4.3%、連結ROE(自己資本当期純利益率)は、8.2%となりました。
なお、当連結会計年度における財務諸表項目(収益及び費用)の主な為替換算レートは、1米ドル=108.9円、1ユーロ=120.4円、1中国元=16.4円となっています。
報告セグメントごとの業績は次のとおりです。
当連結会計年度より報告セグメントの区分方法及び報告セグメントの利益又は損失の測定方法を変更しており、当連結会計年度の比較・分析は変更後の区分方法及び測定方法に基づいています。
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|
当連結会計年度 |
構成比 |
(参考) |
構成比 |
調整後 |
調整後 |
|
調整後 |
|
日本事業 |
407,628 |
48.0% |
395,951 |
45.9% |
11,677 |
2.9% |
|
2.9% |
|
中国事業 |
120,479 |
14.2% |
125,696 |
14.5% |
△5,216 |
△4.2% |
|
11.4% |
|
アジアパシフィック事業 |
49,633 |
5.8% |
52,739 |
6.1% |
△3,106 |
△5.9% |
|
7.0% |
|
米州事業 |
162,556 |
19.1% |
167,528 |
19.4% |
△4,972 |
△3.0% |
|
8.0% |
|
欧州事業 |
85,215 |
10.0% |
104,178 |
12.1% |
△18,963 |
△18.2% |
|
△8.1% |
|
トラベルリテール事業 |
24,793 |
2.9% |
17,193 |
2.0% |
7,599 |
44.2% |
|
60.4% |
|
合計 |
850,306 |
100.0% |
863,288 |
100.0% |
△12,981 |
△1.5% |
|
5.2% |
(注) 報告セグメントごとの売上高は外部顧客への売上高です。
営業利益
|
|
当連結会計年度 |
売上比 |
(参考) |
売上比 |
調整後 |
調整後 |
|
|
|
日本事業 |
57,417 |
12.6% |
54,973 |
12.6% |
2,444 |
4.4% |
|
|
|
中国事業 |
4,166 |
3.5% |
△476 |
△0.4% |
4,642 |
― |
|
|
|
アジアパシフィック事業 |
1,102 |
2.2% |
405 |
0.8% |
697 |
171.8% |
|
|
|
米州事業 |
△11,813 |
△6.8% |
△5,594 |
△3.1% |
△6,219 |
― |
|
|
|
欧州事業 |
△7,224 |
△8.1% |
4,597 |
4.2% |
△11,821 |
― |
|
|
|
トラベルリテール事業 |
5,470 |
22.1% |
2,411 |
14.0% |
3,058 |
126.8% |
|
|
|
計 |
49,118 |
5.4% |
56,317 |
6.1% |
△7,198 |
△12.8% |
|
|
|
調整額 |
△12,338 |
― |
△11,979 |
― |
△359 |
― |
|
|
|
合計 |
36,780 |
4.3% |
44,337 |
5.1% |
△7,557 |
△17.0% |
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|
(注) 1 営業利益の調整額は、セグメント間取引消去2,539百万円、各報告セグメントに配分していない全社費用△14,877百万円です。当該全社費用は、主に当社の管理部門に係る費用です。
2 営業利益における売上比はセグメント間の内部売上高を含めた売上に対する比率です。
3 当連結会計年度より、当社グループ内の組織体制変更に伴い、報告セグメントを従来の「日本事業」及び「グローバル事業」から、「日本事業」「中国事業」「アジアパシフィック事業」「米州事業」「欧州事業」及び「トラベルリテール事業」に変更しています。なお、前年同一期間のセグメント情報については、変更後の区分方法により作成したものを記載しています。
4 欧州事業は、中東及びアフリカ地域を含みます。
日本事業は、お客さま起点でのブランドイノベーション、マーケティング投資の選択と集中に加え、訪日外国人に対し空港免税店やデパートを中心にお客さまからの支持を獲得する活動を強化したことによりインバウンド需要を捉え、着実な成長を果たしました。特に、プレステージ領域は、最高級ブランド「クレ・ド・ポー ボーテ」が大きく伸長したほか、肌本来の美しさを引き出す美容液「アルティミューン」が牽引した「SHISEIDO」も売上を大きく伸ばし、シェアを拡大しました。またコスメティクス領域でも中価格帯のスキンケアブランド「エリクシール」、メーキャップブランド「マキアージュ」、日やけ止めブランド「アネッサ」などが引き続き前年を上回りました。一方、パーソナルケア領域を中心とする低価格帯では、新商品の投入や積極的なマーケティング活動を実施しましたが、競争環境の激化もあり、前年を下回りました。
以上のことから、売上高は前年同一期間比2.9%増の407,628百万円となりました。営業利益は、積極的なマーケティング投資を継続した一方、売上増に伴う差益増やプロダクトミックスの改善、さらにはコスト構造改革効果などにより、前年同一期間比4.4%増の57,417百万円となりました。
③ アジアパシフィック事業
アジアパシフィック事業では、シンガポールに統括機能とローカライズマーケティング機能を有するアジア地域本社が本格稼働し、各国においてより地域に根ざした活動が進展しました。タイ、ベトナムを中心に「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「NARS」などのプレステージブランドの売上が大きく伸長したほか、韓国では「NARS」やパーソナルケアブランド「SENKA(専科)」の貢献により二桁成長を果たしました。「SENKA(専科)」については、地域本社とブランドホルダーが一体となって消費者の化粧行動を研究することで、国ごとに異なる消費者の心に響く広告を展開するとともに、取り扱いチャネルや店舗を増加したことにより、その他の国でも売上が好調でした。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年同一期間比7.0%増、円換算後では前年同一期間比5.9%減の49,633百万円となりました。営業利益は、売上増に伴う差益増などにより、前年同一期間比171.8%増の1,102百万円となりました。
④ 米州事業
米州事業では、引き続きプレステージ領域に注力し、マーケティング投資を強化しました。また、アメリカを中心に拡大するメーキャップ市場でのブランドポートフォリオ強化とシェアを拡大するために、2016年7月に「Laura Mercier」を取得しました。加えて、ベアエッセンシャルInc.の本社機能をサンフランシスコからアメリカ地域本社の統括機能とローカライズマーケティング機能があるニューヨークに移転し、組織統合を進めることで、地域内におけるプレステージマーケティングの知見の共有とブランド強化を進めました。さらに、急速に拡大するEコマース市場に対応するため、デジタルマーケティングの強化にも取り組みました。
以上のことから、売上高は、「SHISEIDO」、「NARS」、「クレ・ド・ポー ボーテ」が成長を継続したことに加え、買収したブランドが上乗せになったことにより、現地通貨ベースで前年同一期間比8.0%増、円換算後では前年同一期間比3.0%減の162,556百万円となりました。マーケティング投資を強化したことに加え、ベアエッセンシャルInc.の構造改革費用、ブランド取得に伴う一時費用やのれん償却費用の計上などにより、営業損失は11,813百万円となりました。
⑤ 欧州事業
欧州事業では、「SHISEIDO」、デザイナーズフレグランス「narciso rodriguez」「ISSEY MIYAKE」などのブランド価値向上を図るため、マーケティング強化を進めました。また、欧州地域において最大の市場規模であるフレグランス領域におけるシェア拡大を目的として、イタリアで有数のラグジュアリーファッションブランド「Dolce&Gabbana」に関するライセンス契約を締結しました。さらに、地域本社の統括機能とローカライズマーケティング機能をパリの中心部に移転し、これまで化粧品とフレグランスで重複していた域内各国の組織・機能の統合を行うなど、地域全体で一体となった事業展開による成長性、収益性の向上の基盤づくりも推進しました。
売上高は、「SHISEIDO」、「narciso rodriguez」が着実に拡大したものの、期初にライセンス契約が終了した「Jean Paul GAULTIER」の売上減の影響が大きく、現地通貨ベースで前年同一期間比8.1%減、円換算後では前年同一期間比18.2%減の85,215百万円となりました。営業損益は売上減に伴う差益減に加え、「Dolce&Gabbana」のライセンス契約に伴う一時費用の計上などにより、前年同一期間に対し11,821百万円減の7,224百万円の損失となりました。なお「Jean Paul GAULTIER」のライセンス契約終了影響及び「Dolce&Gabbana」のライセンス取得影響を除く実質売上高は、現地通貨ベースで前年同一期間比9%増となっています。
⑥ トラベルリテール事業
トラベルリテール事業(空港免税店等での化粧品の販売)は、アジアを中心に市場が拡大してきています。成長余地が大きく、収益性が高いこの事業に対し、当社は日本発ブランドの中では強みがある一方で、グローバル競合他社に比べ売上構成比が低いため、最重点事業の一つとして積極的に強化しています。
当連結会計年度は、新カウンターの出店に加え、既存売場における接客体制の充実、トラベルリテール専用商品の導入などの取り組みを進めるとともに、大手リテーラーとの関係強化にも努めました。
この結果、中国、韓国、タイなどアジアの主要な空港免税店を中心に一店舗あたりの売上が拡大し、全体でも市場を大きく上回る成長を記録しました。売上高は現地通貨ベースで前年同一期間比60.4%増、円換算後では前年同一期間比 44.2%増の24,793百万円となりました。営業利益は売上増に伴う差益増などにより、前年同一期間比126.8%増の5,470百万円となりました。
(百万円)
|
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前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
60,529 |
59,129 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△23,137 |
△70,640 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△30,151 |
22,378 |
|
現金及び現金同等物 期末残高 |
104,926 |
113,122 |
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ8,196百万円増加し、113,122百万円となりました。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益(49,866百万円)に減価償却費(34,480百万円)、のれん償却額(4,916百万円)などの非資金費用や、仕入債務の増加(19,058百万円)があった一方、売上債権の増加(10,578百万円)、たな卸資産の増加(9,500百万円)のほか、事業譲渡益(8,952百万円)や法人税等の支払額(16,415百万円)などにより、59,129百万円の収入となりました。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、事業譲渡による収入(10,938百万円)があった一方、有形固定資産取得による支出(31,366百万円)、無形固定資産取得による支出(32,340百万円)、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出(24,426百万円)などにより、70,640百万円の支出となりました。
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入(30,000百万円)や社債の発行による収入(10,000百万円)があった一方、長期借入金の返済による支出(5,738百万円)、配当金の支払額(8,214百万円)などにより、22,378百万円の収入となりました。
当連結会計年度より報告セグメントの区分方法を変更しており、当連結会計年度の比較は変更後の区分方法に基づいています。
当連結会計年度における生産実績を報告セグメントごとに示すと次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
調整後 |
|
日本事業 |
109,144 |
13.2 |
|
中国事業 |
12,047 |
△10.5 |
|
アジアパシフィック事業 |
3,570 |
△4.3 |
|
米州事業 |
23,144 |
△25.4 |
|
欧州事業 |
19,547 |
△14.8 |
|
トラベルリテール事業 |
― |
― |
|
合計 |
167,453 |
△0.1 |
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去していません。
2 金額は製造原価によっています。
3 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
4 「調整後増減率」は、前連結会計年度の実績を当連結会計年度と同一の期間に組み替えた「前年同一期間」との比較です。
当社グループ製品については受注生産を行っていません。また、OEM(相手先ブランドによる生産)等による受注生産を一部実施しているものの金額は僅少です。
当連結会計年度における販売実績を報告セグメントごとに示すと次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
調整後 |
|
日本事業 |
407,628 |
2.9 |
|
中国事業 |
120,479 |
△4.2 |
|
アジアパシフィック事業 |
49,633 |
△5.9 |
|
米州事業 |
162,556 |
△3.0 |
|
欧州事業 |
85,215 |
△18.2 |
|
トラベルリテール事業 |
24,793 |
44.2 |
|
合計 |
850,306 |
△1.5 |
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
3 「調整後増減率」は、前連結会計年度の実績を当連結会計年度と同一の期間に組み替えた「前年同一期間」との比較です。
文中の記載内容のうち、歴史的事実でないものは、有価証券報告書提出日(2017年3月28日)現在における当社グループの将来に関する見通し及び計画に基づいた将来予測です。これらの将来予測には、リスクや不確定な要素などの要因が含まれており、実際の成果や業績などは、記載の見通しとは異なる可能性があります。
当社は強いブランドづくりをめざし、プレステージ領域を中心に重点ブランドのイノベーションを行うとともに、絞り込んだブランドへの集中的なマーケティング投資を実施しています。2015年度から2017年度の3カ年では累計1,000億円超のマーケティング投資強化を計画しています。
また、“世界で勝てるグローバルビューティーカンパニー”をめざし、必要な場合にはM&Aやアライアンスなどによるブランドポートフォリオの強化を実施します。
研究開発力の最大化に向け、5カ国計9カ所の研究開発拠点の規模を拡大し、お客さまインサイトに基づく研究開発を世界各地で行う体制を引き続き整備し、今まで以上に現地ニーズを捉えた製品開発の実現や現地でのマーケティングとの連携も強化していきます。
将来の成長を支えるための基礎基盤研究においては、ライフサイエンス研究、マテリアルサイエンス研究、お客さま研究、美容機器、毛髪再生医療、ICT(インフォメーション&コミュニケーションテクノロジー)技術の6つの領域を強化し、新たな価値の創出に取り組んでいきます。
2014年度の連結売上高に占める研究開発費の比率は1.8%でしたが、2020年度には、これを2.5%へと拡大します。現在進めている各研究開発拠点の強化に加え、2018年末に、「グローバルイノベーションセンター」を稼働させ、全世界の研究所の人員を1,500名にまで増員します。
また、当社は、自社以外の技術やアイデアを組み合わせることによって、“美”に関する革新的な商品・サービスを創造し、新たな価値や市場を生み出すオープンイノベーションを推進しています。その目的は、グローバルな競争での優位性を保ち、業界をリードする存在であり続けることにあります。先進的な事業を展開しているベンチャー企業の当社にない発想や技術をM&Aや出資により取り込んでいきます。
2014年度から着手した構造改革をより強力に世界全地域で推進していきます。原価、マーケティングコスト、在庫・サプライチェーンマネジメント、バックオフィスコスト、人件費・生産性の各項目の合計で2017年度までに3カ年累計で600億円超の投資原資を捻出します。この構造改革で得られた投資原資は、店頭の整備や化粧品サンプル、広告宣伝など、お客さまに直接届くマーケティング投資や研究開発投資などに振り向け、売上成長の加速につなげていきます。
経済活動が地球規模で拡大し、豊かな生活水準が実現されるようになった一方で、環境問題や貧困、保健衛生など地球規模で解決すべき社会課題が年々増大し、人類社会の持続可能性(サステナビリティ)が懸念されるようになっています。当社は、事業活動における強みを生かして、環境・社会課題に対して当社事業の成長に結びつけながら積極的に取り組むことが、極めて重要であると考えています。
私たちのサステナビリティの活動領域としては、当社のミッションである“美しい生活文化の創造”に関わるバリューチェーンと、社会からの期待という観点から、“Person(お客さま)”“Community(地域社会)”“Planet(地球環境)”を設定しました。特にお客さま一人ひとりに健康で幸福な生活を提供すること、多様性を認め合う社会の実現、持続可能な商品設計と生産を重点項目として活動を進めていきます。
当社は化粧品の商品開発においても環境負荷低減に向けた取り組みを行っています。例えば、「クレ・ド・ポー ボーテ」のクリームである「ラ・クレームn」のリニューアルにおいて、誰もが簡単に交換作業ができるように新しいレフィル機構を開発し採用しました。
レフィルの発売により本体容器が再活用できるため、従来に比べプラスチック使用量を約73%削減したこと、また本体容器に内面蒸着と多面体との相乗効果で内面から輝く肌を表現したことなどが評価され2016年8月、「2016日本パッケージングコンテスト(※1)」において、「アクセシブルデザイン包装賞(※2)」を受賞しました。
※1 「日本パッケージングコンテスト(主催:公益社団法人 日本包装技術協会) 」は、優れたパッケージデザインや包装技術を表彰する国内最大のコンテストで、「ジャパンスター賞(計12賞)」「包装技術賞(計6賞)」「包装部門賞(計13賞)」の3つの部門があります。今回受賞した「アクセシブルデザイン包装賞」は、「包装技術賞」の一つで、「ジャパンスター賞」に次いで2番目に高い賞になります。
※2 高齢者・障がい者向けのユニバーサルデザインからさらに健常者の利便性も確保することを目的としてパッケージがデザインされている事を評価する賞。
(ダイバーシティのさらなる推進と女性活躍支援)
消費者の価値観の多様化が進展するなか、単一的文化の企業では競争には勝ち残れません。当社は、国籍、性別、年齢などの多様性(ダイバーシティ)を推進し、多様な考え方や価値観を持った従業員が混じりあうことで、新たな価値を創造し、持続的成長につなげていきたいと考えています。
なかでも、女性の社会的地位の向上や活躍支援について主導的な役割を果たしていくことが重要な使命の一つと捉えており、女性活躍を推進するための様々な施策に取り組んできました。その結果、2017年1月には、日本国内における目標であった女性管理職比率30%を達成しました。今後も引き続き、女性の活躍支援を一段と進め、2020年までに、この比率を40%に高めることをめざします。
また、子育て支援については、自社において事業所内保育所を運営してきましたが、2016年11月には、総合的な保育サービスを展開している株式会社JPホールディングスとの間で合弁会社設立について基本合意し、2017年2月に、事業所内保育所の運営受託などを事業の柱とした合弁会社「KODOMOLOGY(コドモロジー)株式会社」を設立しました。当社掛川工場の敷地内に事業所内保育所を新設するとともに、事業所内保育所に関心を寄せる企業にも子育て支援事業の知見を活かしたサービスを提供し、日本の大きな社会問題の一つである保育所不足に対して向き合っていきます。
(文化・スポーツ支援活動への貢献)
当社は、創業から現在に至るあゆみを、“企業文化”という知的かつ感性的な資産と捉え、次世代の新たな価値創造に活かし続けています。1937年創刊の企業文化誌「花椿」は、時を経ても色あせない本質的なモノやコトを見つけることに主眼をおき、本当に良いものを見つけ出し、読者に紹介していくことをめざしています。若い世代へのアプローチのため、2016年6月には先行してウェブ版をリニューアルし、11月より、紙版の季刊誌を新たにスタートしました。
また、世界共通言語であり、人々に感動と共感を与えるスポーツへの様々なサポートを通じて、世界中の人々のアクティブで美しい生き方を応援しています。1979年より女子陸上部「資生堂ランニングクラブ」を運営し、同年国際陸上競技連盟が世界で初めて公認した女子マラソン「東京国際女子マラソン」の協賛を行うなど、長年走ることに対するサポートを行ってきました。加えてランニングフォームやトレーニング方法を研究するとともに、屋外スポーツ時も美しい肌を守るための日やけ止めや美白商品及び関連美容情報を開発してきました。こうしたさまざまな知見を、ランナーのための当社情報サイト「RUN、RUN、BEAUTY」において紹介し、多くのランナーに活用いただき、より楽しくより美しいランニングライフをバックアップしています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあり、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えています。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2017年3月28日)現在において当社グループが判断したものですが、ここに掲げられている項目に限定されるものではありません。
当社グループでは、当社の社名を冠する象徴的なブランド「SHISEIDO」などを保有し、ブランド価値の向上に努めていますが、不測の事態によるブランド価値の低下が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、お客さまとの関係を重視しています。企業理念「Our Mission, Values and Way」の「Our Way」及び「資生堂グループ倫理行動基準」で、お客さまの満足と信頼が得られるように行動する旨を明示し、周知徹底を図っています。しかしながら、お客さまの満足や信頼を損なうこととなる不測の事態が生じた場合には、当社グループのブランド価値が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、戦略市場への投資、M&A及び新規事業・新規市場への事業拡大等の戦略的投資活動の推進に際して、意思決定のために必要かつ十分な情報収集をした上で検討を実施し、合理的な意思決定を行っています。しかしながら、予期し得ない種々の環境変化等により、当初意図した成果が得られない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの属する化粧品業界は、グローバル規模で競争が激しくなっています。成熟した国内市場での同業他社との競争激化をはじめ、グローバルコンペティターのプレステージ市場での影響力拡大、さらには他業界からの新規参入など競争環境はますます厳しくなってきています。また、海外市場でも当社グループが成長戦略の柱として位置付ける中国を含むアジア市場等において、グローバルコンペティターが積極的なM&Aやマーケティング活動を展開し、消費者の認知度を高め市場シェアの拡大を図るなど、競争環境が一層厳しくなってきています。したがって、当社グループがこの競争環境に的確に対処できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの連結売上高に占める海外売上高比率は年々伸長しており、2016年12月末時点で「SHISEIDO」においては世界88の国と地域(日本を含む)で販売されています。海外での事業活動において、予期し得ない経済的・政治的・社会的な突発事態の発生、テロ・戦争・内乱の勃発、伝染病の流行などによる社会的・経済的混乱、自然災害、異常気象や天候不順等が、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、海外売上に関する詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (セグメント情報等)」として開示しています。
当社グループ製品の原材料は、国際市況の影響を受け、地政学的リスク、新興国の需要増加や投機資金の流入に伴う需給バランス、天候不順、為替レートの変動等に伴い市況価格が変動します。当社グループでは、原材料価格の上昇に対する継続的な原価低減活動などにより、その影響を軽減する努力を続けています。しかしながら、予想を超える市況価格の変動が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、輸出入取引等を行うことに伴う外貨建て決済について、為替レートの変動リスクを負っています。当社グループでは、原則販売地域に対応する生産体制を築くことなどで為替変動に対するヘッジを行っていますが、リスクが完全に回避されるわけではありません。また、海外連結子会社及び持分法適用関連会社の現地通貨建ての報告数値は、連結財務諸表作成時に円換算することから、収益が費用を上回っている状況では、円高が進むと経営成績にマイナス影響を与えます。さらに、当社の海外連結子会社及び持分法適用関連会社への投資は、円高が進行すると為替換算調整勘定を通じて自己資本を減少させます。不測の為替変動が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、当連結会計年度末時点で時価のある株式を保有しており、株価の変動リスクを負っています。株価の動向次第では評価損益の増減及び減損のリスクがあります。また、当社の企業年金では、年金資産の一部を時価のある株式で運用しており、株価の下落は年金資産の目減りを通じて年金費用を増加させ経営成績にマイナス影響を与えます。不測の事態が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、有価証券に関する詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (有価証券関係)」に開示しています。
新製品・新ブランドの開発・育成及びマーケティング活動が市場ニーズに適合しているかどうかが当社グループの売上及び利益に大きな影響をもたらします。当社グループでは、市場ニーズに応えるため、魅力的な新製品・新ブランドの開発、マーケティング活動による新製品・新ブランド及び現行主力品・既存ブランドの強化・育成、市場ニーズに応えられなくなった既存品・既存ブランドの撤退を継続的に行っています。しかしながら、当該活動はその性質上、さまざまな要因による不確実性が伴うため、当初意図した成果が得られない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、研究開発活動に関する詳細は、「第2 事業の状況 6 研究開発活動」に開示しています。
小売・流通チャネルにおける変化に対する当社グループの対応が的確ではなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律をはじめとする法規制や、品質に関する基準、環境に関する基準、会計基準や税法等、事業展開している国内外のさまざまな法規制等の適用を受けています。当社グループはコンプライアンス(法令遵守)とCSRに基づく倫理的行動に万全を期していますが、今後、これらの法規制等が変更された場合、また予測できない法規制等が新たに設けられた場合には、当社グループの事業活動が制限され、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度において、当社グループに重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されていませんが、将来、重要な訴訟等が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが保有する顧客情報や機密情報等の情報資産の保護については、さまざまな対策を講じています。具体的には、日本国内においては「個人情報保護規程」「個人番号及び特定個人情報取扱規程」「機密情報管理規程」及び「情報システム管理規程」を定め、これらの遵守を徹底し、お客さまの個人情報を慎重に取り扱い、各種情報資産の保護を行っており、海外においても当該国の法令に基づいた規程等を定めています。しかしながら、予期し得ない不正アクセスによる情報漏洩等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、大規模な地震の発生など災害・事故発生時の生産・物流及び販売の中断による損失を最小化するため、生産拠点、物流拠点、情報システム及び本社を事業継続の重要拠点と位置付け、事業継続計画(BCP)の構築を行っています。しかしながら、想定を超える災害・事故等の発生により、製造・物流及び販売の中断が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(取得による企業結合)
2016年6月2日、当社の子会社であるShiseido Americas Corporation は、プレステージ市場においてメーキャップ及びスキンケアブランドをグローバルで展開するGurwitch Products, LLC. の全持分を取得することについて、同社の親会社であるAlticor Inc. と契約を締結し、同年7月12日に当該株式を取得しました。
なお、当該取引の詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」に記載しています。
(重要なライセンス契約の締結)
2016 年6月30日、当社の子会社であるBeauté Prestige International S.A. は、イタリアのラグジュアリーファッションブランドを展開するDolce&Gabbana S.r.l. とフレグランス、メーキャップ、スキンケア商品の開発、生産及び販売に関する独占グローバルライセンス契約を締結し、本ライセンス契約に基づく事業活動を同年10月1日に開始しました。
当社グループは、さまざまな技術の融合により世界中のお客さまの「美と健康」を実現する画期的な製品、サービスの実現をめざしています。横浜市のリサーチセンター(グローバルイノベーションセンター)をはじめ、米国、フランス、中国、シンガポールの各拠点において、研究開発活動を推進しています。当社の研究所は2016年に、その前身となる試験室開設から100周年を迎え、これまでに最新の皮膚科学と処方開発技術をもとに高品質な製品の開発を実現してきました。その研究開発力は外部から高い評価を受け、2016年も化粧品科学領域で最も権威のある研究発表会である「IFSCC(国際化粧品技術者会連盟)Congress」において最優秀賞を受賞しました。また、グローバルレベルでのお客さま起点の研究開発を強化するため、5月に「アメリカイノベーションセンター」、11月に「中国イノベーションセンター」をそれぞれ拡張・機能強化しました。今後、今まで以上に現地ニーズを捉えた製品開発の実現や現地でのマーケティングとの連携を図っていきます。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は18,264百万円(売上高比2.1%)であり、商品カテゴリー別の研究成果は、以下のとおりです。なお、研究開発活動については、特定のセグメントに関連付けられないため、セグメント別の記載は行っていません。
加齢に伴う肌のたるみの原因を明らかにするため、当社が培ってきた皮膚解析技術を応用し、皮膚の内部の微細な三次元構造を世界で初めて明らかにしました。加齢に伴い肌の深部が空洞化し、肌の弾力が失われ肌がたるむこと、肌の真皮が空洞化している部位では「汗腺」が加齢に伴い著しく委縮していることを発見しました。本知見に基づき、脂肪幹細胞に着目した抗たるみソリューションを「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「AUPRES」に応用しました。また、30~40代の女性が「シミ」とは違う「年齢とともに肌が暗くなる」状態を実感していることに着目し、肌の明るさにはコラーゲンの色だけでなくコラーゲン密度も影響することを発見しました。これまでの角層透明度、メラニン美白に加え、肌内部を白いコラーゲンで満たすソリューションを「エリクシールホワイト」へ採用し、従来のメラニン中心の肌色ケアから「コラーゲン×美白」へ深化を遂げ、大人の肌をうるおいとハリで満たし明るさに満ちた顔印象を実現しました。
リップメークに関する意識調査により「女性の友達と会うときは、最もメークを意識するがあえて気合いを入れず、自然なつや仕上がりにする」傾向にあることが分かりました。また、自然なつやは「おしゃれ」な印象を与え、今後挑戦したい仕上がりとして高く評価されることが分かりました。この結果をもとに、「マキアージュ」では、自然なつや仕上がりとブランドコンセプトの「品のあるしなやかな色っぽさ」を実現するために、当社独自の2相分離技術と乳化技術、そして水溶性の色成分の融合による“ウオーターベース3相分離技術”を採用しました。水溶性の色成分で唇を染め内側からにじみ出る血色感のある彩りを与え、薄く均一な油膜による自然なつやのある新しい仕上がりを実現しました。ファンデーションでは、お客さま一人ひとりの肌本来の美しい肌印象を引き出すことをめざし、塗付することで崩れて軽く滑らかな使い心地を創出する「エアークッション処方」と肌にフィットしながらリキッドからパウダーに変化する当社独自の技術を「SHISEIDO」へ採用しました。世界中のお客さまにお届けした肌本来のいきいきとした肌色、ツヤ、明るさを引き出しながら肌との一体感が持続するこのリキッドファンデーションは、世界に数ある化粧品賞の中で最も権威ある、フランスのファッション・美容誌「マリ・クレール」が主催する2016年の最優秀化粧品賞「プリ・デクセランス」を受賞しました。
10周年を迎えた「ツバキ」では、美容成分を髪の芯までいきわたらせ、髪内部に保つことで深いうるおいをもたらす「インナーモイストアップ処方」を採用し、ブランド史上最高の「艶」を実現しました。日本の大人の女性の魅力である、しっとり艶やかな髪から自然な「色気」をさらに引き出します。また、身だしなみに気を遣う男性が求める清潔感のあるナチュラルなヘアスタイルへのニーズに対し、伸縮可能で強靭な「アレンジポリマー成分」と固定力が高い「セットポリマー成分」の2タイプのポリマー同士の結合により、キープ力を上げ、狙ったヘアスタイルを思い通りにつくることができる、ジェルとワックスを組み合わせた新感触のスタイリング剤を開発し、「ウーノ」に採用しました。
蒟蒻芋に含まれる「蒟蒻由来グルコシルセラミド」に全身の肌のうるおいを守るバリア機能を改善する美容効果があることを12年にわたる研究により解明しました。本研究成果は、顔やからだの肌乾燥に悩むお客さまに向けて、飲むだけで顔もからだも水分を逃がしにくくする、当社初の機能性表示食品「飲む肌ケア」に採用しました。
(5) フロンティアサイエンス
敏感な肌に適用する医科向け化粧品「ドゥーエ」、先進の美容皮膚医療用化粧品「ナビジョン」をはじめ、医療用医薬品、化粧品・医薬品原料、クロマトグラフィー分析装置など、化粧品開発技術を応用した商品開発を進めています。九州大学と共同設置した「キラルアミノ酸ソリューションセンター」は、2016年8月より本格稼働を開始しグローバルな知が集積する拠点として、健康分野へ貢献する新しい研究開発領域・ビジネスモデルの創生をめざしています。
(6) プロフェッショナル
毛髪内の水分の蒸発がパサつきの原因となることに着目し、資生堂独自の「毛髪内水分定着テクノロジー」をサロン専用製品の「ザ・ヘアケア アクアインテンシブ」に採用し、髪をうるおいで満たし、軽やかでさらさらした質感が持続するうるおい層とオイル層の2層式ヘアオイルを開発しました。
その他の活動としては、毛髪再生医療の事業化に向け、共同研究先の東京医科大学において専門の評価委員会の審議を経て、厚生労働省への臨床研究計画が受理され、2016年6月に臨床研究を開始しました(当社は細胞培養加工などを担当)。また、当社は、動物実験代替法について20年以上にわたり研究開発に取り組んでいます。当社と花王株式会社が共同で開発した安全性試験代替法である「h-CLAT」が、2016年7月に世界的に認められる公的試験法である「OECDテストガイドライン」として採択されました。この結果、化粧品原料など化学物質の皮膚感作性について、動物を用いずに評価することが可能になると期待されます。今後も社会全体が代替法を活用できるよう取り組みます。
当連結会計年度における財政状態及び経営成績の分析は次のとおりです。
なお、文中の記載内容のうち、歴史的事実でないものは、有価証券報告書提出日(2017年3月28日)現在における当社グループの将来に関する見通し及び計画に基づいた将来予測です。これらの将来予測には、リスクや不確定な要素などの要因が含まれており、実際の成果や業績などは、記載の見通しとは異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としています。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。
当社グループでは、有形固定資産の簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す兆候がある場合には、減損の有無を判定しています。この判定は、事業用資産についてはグルーピングした各事業単位の将来キャッシュ・フローの見積りに基づいて、遊休資産については個別に比較可能な市場価格に基づいて行っています。経営者は将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額の見積りは合理的であると考えていますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、将来キャッシュ・フローや回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。
当社グループでは、のれん、商標権及びその他の無形固定資産について、減損の判定を行っています。のれん、商標権及びその他の無形固定資産の公正価値の見積りや減損判定に当たっては、外部専門家などによる評価を活用しています。公正価値の見積りは、主に割引キャッシュ・フロー方式により行いますが、この方式では、将来キャッシュ・フロー、割引率など、多くの見積り・前提を使用しています。これらの見積り・前提は、減損判定や認識される減損損失計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。経営者は、当該判定における公正価値の見積りは合理的であると判断していますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、公正価値が下落し、減損損失が発生する可能性があります。
当社グループでは、その他有価証券のうち、取得原価に比べ時価又は実質価額が著しく下落したものについては、回復可能性があると判断される場合を除き、減損処理を行っています。時価のあるものについては、決算日現在の時価が取得原価に比べて50%以上下落した場合には回復可能性はないものと判断し、30%以上50%未満下落した場合には当該有価証券の発行会社の財政状態及び経営成績を勘案し、回復可能性を判断しています。時価のないものについては、発行会社の財政状態の悪化により、実質価額が取得原価に比べて50%以上下落した場合には、回復可能性があると判断できる場合を除き、減損処理を行っています。経営者は、回復可能性の判断が適切なものであると判断していますが、回復可能性ありと判断している有価証券についても、将来、時価の下落又は投資先の財政状態及び経営成績の悪化により、減損損失が発生する可能性があります。
当社グループでは、回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対して評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産の回収可能性は各社、各納税主体で十分な課税所得を計上するか否かによって判断されるため、その評価には、実績情報とともに将来に関する情報が考慮されています。経営者は、当該計上額が適切なものであると判断していますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化に伴う各社、各納税主体の経営悪化により、繰延税金資産に対する評価性引当額を追加で設定する可能性があります。
当社グループの主要な退職給付制度は、日本における企業年金制度及び退職一時金制度です。従業員の退職給付費用及び債務は、割引率、退職率、死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等を含む前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件は年に一度見直しています。割引率と長期期待運用収益率は、退職給付費用及び債務を決定する上で、重要な前提条件です。割引率は一定の格付けを有し、安全性の高い長期社債の期末における市場利回りを基礎として決定しています。長期期待運用収益率は年金資産の種類ごとに期待される収益率の加重平均に基づいて決定しています。経営者は、これらの前提条件は適切であると考えていますが、実際の結果との差異や前提条件の変更が将来の退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、2015年度より、100年先も輝き続ける企業となるための中長期戦略 VISION 2020 をスタートさせ、実現に向け大きく動き出しました。2015年度からの最初の3カ年を事業基盤の再構築の期間と位置づけ、戦略の根幹となるブランド価値向上のため、すべての活動をお客さま起点とし、マーケティングとイノベーションの強化、それらを支える多様な人材の活用とグローバル組織の構築などに取り組みました。
なお、売上高及び営業利益のセグメントの分析については、「1 業績等の概要 (1)業績」に記載しています。
当連結会計年度の連結売上高は、プレステージ領域を中心に各地域において伸長したことに加え、新規に取得したブランドの売上が上乗せとなったことから、現地通貨ベースで前年同一期間比 5.2%増となりました。円換算後では円高による為替影響を大きく受け、前年同一期間比 1.5%減の 850,306百万円となりました。
売上原価は、前年同一期間比4.0%減の207,553百万円となりました。売上高に対する比率は前年同一期間より0.7ポイント改善され、24.4%となりました。これは、主に原価率の低い日本の売上構成比の増加や、プレステージブランドの売上伸長によるプロダクトミックスの改善、コスト構造改革の効果によるものです。
販売費及び一般管理費は、前年同一期間比0.5%増の605,972百万円となりました。その内訳は次のとおりです。
(イ) マーケティングコスト
マーケティングコストの売上高に対する比率は、事業基盤の再構築に向けた成長投資や新ブランドの投資強 化等により、36.3%と前年同一期間比0.1ポイント増加しました。
(ロ) ブランド開発費・研究開発費
ブランド開発費・研究開発費の売上高に対する比率は、前年同一期間比0.4ポイント増の4.6%となりました。
(ハ) 人件費
人件費の売上高に対する比率は、日本の退職給付費用の計上等により、前年同一期間比0.1ポイント増の13.2%となりました。
(二) 経費
経費(その他の費用)の売上高に対する比率は、前年同一期間比0.9ポイント増の17.2%となりました。これは、主に新ブランド取得及びライセンス契約に関わる費用の計上によるものです。
販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費は18,264百万円となり、売上高に対する比率は2.1%となりました。なお、研究開発活動についての詳細は、「6 研究開発活動」に記載しています。
営業利益は、売上増に伴う差益増やプレステージブランドの売上伸長によるプロダクトミックスの改善、コスト構造改革の効果などがあったものの、新たに取得したブランドやライセンス契約に係る一時費用、米国ベアエッセンシャルInc.の構造改革費用に加え、想定以上の円高の影響もあり、前年同一期間比17.0%減の36,780百万円となりました。
営業外損益は、前年同一期間に対し474百万円増の394百万円の利益となりました。
経常利益は、営業利益が減少したことから、前年同一期間比16.0%減の37,174百万円となりました。
特別損益は、「Jean Paul GAULTIER」のフレグランスに関する知的財産権の譲渡益や鎌倉工場跡地の売却益の計上により、12,692百万円の利益となりました。
税金等調整前当期純利益は、前年同一期間比6.1%減の49,866百万円となりました。
法人税等は、前年同一期間比24.9%減の15,941百万円となりました。
非支配株主に帰属する当期純利益は、前年同一期間比24.2%減の1,823百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同一期間比9.0%増の32,101百万円となりました。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「4 事業等のリスク」に記載しています。
経営戦略の現状と見通しについては、「1 業績等の概要」及び「3 対処すべき課題」に記載しています。
当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状態を常にめざし、安定的な営業キャッシュ・フローの創出、幅広い資金調達手段の確保に努めています。成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資・投融資資金は、主に手元のキャッシュと営業活動からのキャッシュ・フローに加え、借入や社債発行により調達しています。資金調達に関しては、有利な条件で調達が可能な財務体質を維持すべく、ベンチマークとなる有利子負債比率は25%を目安としており、大型投資案件による資金調達が必要となった場合には、経営動向や財務状況及び市場環境などを勘案して、最適な方法でタイムリーに実施します。
手元流動性については、連結売上高の1.5カ月程度を一つの目安としています。当連結会計年度末の現金及び預金、有価証券の総額は128,032百万円となり、手元流動性は連結売上高(2016年1月1日から2016年12月31日までの期間)の1.8カ月分となりました。
一方、当連結会計年度末現在の有利子負債残高は175,832百万円となっています。国内普通社債の発行登録枠の未使用枠1,400億円、当社及び欧米子会社2社を発行体とするプログラム型シンジケート・ローンの未使用枠3.0億米ドル、並びに米国子会社のCPプログラムの未使用枠55百万米ドルなどを有し、資金調達手段は分散化されています。
当連結会計年度末現在において、当社グループの流動性は十分な水準にあり、資金調達手段は分散されていることから、財務の柔軟性は高いと考えています。
当社グループは、流動性及び資本政策に対する財務の柔軟性を確保し、資本市場を通じた十分な資金リソースへのアクセスを保持するため、一定水準の格付けの維持が必要であると考えています。当社グループは、グローバルな資本市場から円滑な資金調達を行うため、ムーディーズ・ジャパン株式会社(以下「ムーディーズ」)及びスタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン株式会社(以下「S&P」)の2社より格付けを取得しています。
2017年2月28日現在の債券格付けの状況(長期/短期)は以下のとおりです。
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ムーディーズ |
S&P |
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長期 |
A2(見通し:安定的) |
A-(見通し:安定的) |
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短期 |
P-1 |
A-2 |
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比17.0%増の946,007百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末比8.1%増の443,748百万円となりました。
固定資産は、「Laura Mercier」等のブランド取得や「Dolce&Gabbana」のライセンス契約締結に係る無形固定資産の計上などにより、前連結会計年度末比26.2%増の502,258百万円となりました。
当連結会計年度末の負債は、「Dolce&Gabbana」のライセンス契約締結に伴う長期未払金の計上、借入や社債の発行などにより、前連結会計年度末比34.6%増の532,137百万円となりました。
有利子負債の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 ⑤連結附属明細表」に記載しています。
当連結会計年度末の純資産は、為替換算調整勘定の減少があったものの、利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度末比0.1%増の413,870百万円となりました。
1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に対し2.77円増の984.13円となり、自己資本比率は、前連結会計年度末比6.9ポイント減の41.5%となりました。
キャッシュ・フローについては、「1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
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2012年 |
2013年 |
2014年 |
2015年 |
2015年 |
2016年 |
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自己資本比率(%) |
40.3 |
40.1 |
42.2 |
47.0 |
48.4 |
41.5 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
78.9 |
73.8 |
90.3 |
103.3 |
124.8 |
124.9 |
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債務償還年数(年) |
3.5 |
4.4 |
1.8 |
3.3 |
1.4 |
3.0 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
27.3 |
22.5 |
47.5 |
24.2 |
71.7 |
70.5 |
(注) 1 自己資本比率 : (純資産の部合計-新株予約権-非支配株主持分)/総資産
時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産
債務償還年数 : 有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ : 営業活動によるキャッシュ・フロー/利払い
2 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。
3 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。
4 有利子負債は、連結貸借対照表上に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の「利息の支払額」を使用しています。
5 第114期より、「従業員給付」(国際会計基準第19号 2011年6月16日改訂)を一部の連結子会社において適用し、確定給付負債の純額の変動の認識方法の変更等を行っています。当該会計方針の変更は遡及適用され、第113期の関連する主要な経営指標等については遡及処理後の数値を記載しています。
6 第116期より当社及び3月決算であった連結対象会社は、決算日を3月31日から12月31日に変更しました。この変更に伴い、当社とすべての連結対象会社の決算日が統一され、第116期においては、当社及び3月決算であった連結対象会社は4月1日から12月31日までの9カ月間、12月決算である連結対象会社は1月1日から12月31日までの12カ月間を連結対象期間としています。
当社は、資生堂グループの企業使命である“美しい生活文化の創造”のもと、100年先も輝き続ける資生堂の原型をつくるため、2020年度を一つの節目とした中長期戦略VISION 2020を策定し、2020年度までに“成長エネルギーが充満した会社”“若々しさがみなぎる会社”“世界中で話題になる会社”“若者があこがれてやまない会社”そして“多様な文化が混じりあう会社”となることをめざしています。
また、世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニーとして確固たる地位を築くべく、すべての活動をお客さま起点に、マーケティングやイノベーションを強化するとともに、それらを支える多様な人材の活用とグローバル組織の構築などに取り組んでいます。
このVISION 2020の定量的な目標は、2020年度の連結売上高を1兆円超、連結営業利益を1,000億円超、ROEを12%以上と定めています。具体的な戦略推進にあたっては、2020年度までの期間を、2015年度から2017年度までの3カ年と、2018年度から2020年度までの3カ年に分け、最初の3年間を事業基盤の再構築の期間、後半の3年間を成長加速のための新戦略に取り組む期間と位置づけ、以下のロードマップに沿って活動を進めています。
事業基盤の再構築の期間である2015年度から2017年度までの前半3カ年においては、不採算ブランドからの撤退、赤字海外子会社の整理、中国での流通在庫水準の適正化、欧米における組織構造改革といった負の遺産への対応・解決を進めます。一方で、将来の成長加速に向けて、選択と集中によるブランド強化、マーケティングやイノベーションへの積極投資、コスト構造改革、人材育成・組織改革、M&Aやライセンス契約によるブランドポートフォリオ強化、地域本社制導入によるグローバル経営体制の構築なども推進します。
(2017年度計画)
3カ年計画の3年目である2017年度は、事業基盤を再構築する最終年度であり、2018年度からの飛躍的な成長に向け、非常に重要な年となります。具体的には、中長期戦略VISION 2020で掲げる目標達成に向けて、プレステージ、日本発ブランド、デジタル・Eコマースなど、今後の拡大が期待できる領域への投資をさらに強化し、高い成長をめざします。また、イノベーションの創出によるブランド強化に向けて、“センター・オブ・エクセレンス”体制を積極的に活用していきます。2016年度にライセンス契約を締結した「Dolce&Gabbana」、M&Aにより取得した「Laura Mercier」については、成長に向けてマーケティング投資を拡大していきます。これらのブランドは、2017年度には売上が通期で寄与するとともに、「Dolce&Gabbana」は当社グループ工場での生産開始により、原価低減も進み収益性向上を図ります。
苦戦をしている米国発のミネラル化粧品ブランド「bareMinerals」や中国の「AUPRES」については、商品力強化や組織の強化・効率化に加え、積極的なマーケティングを展開し、売上・利益ともに成長をめざします。また、日本事業のパーソナルケア領域を中心とする低価格帯における戦略も見直します。さらに、収益性改善に向けて、事業・ブランドポートフォリオの大幅な組み替え、売上・利益への貢献度の低い商品の大胆な削減、ブランドごとのリターンの管理の徹底などにより生産性の向上も行います。
これらの施策を実行していくため、グローバルレベルで人材の育成・獲得を進めるとともに、従業員一人ひとりが最大限の力を発揮するための仕組みを構築します。
なお、取り組みの詳細は「3 対処すべき課題」に記載しています。