当連結会計年度より、当社及び3月決算であった連結対象会社は、決算日を3月31日から12月31日に変更しました。この変更に伴い、当社とすべての連結対象会社の決算日が統一され、当連結会計年度においては、当社及び3月決算であった連結対象会社は4月1日から12月31日までの9カ月間、12月決算である連結対象会社は1月1日から12月31日までの12カ月間を連結対象期間としています。
以下では比較を容易にするため、前連結会計年度の実績を当連結会計年度と同一の期間に組み替えて、「前期同一期間」として表示しています。
| (参考) | 百分比 | 当連結会計年度 | 百分比 | 調整後 | 調整後 |
| 調整後 |
売上高 | 677,457 | 100.0% | 763,058 | 100.0% | 85,601 | 12.6% |
| 7.8% |
国内売上高 | 265,863 | 39.2% | 296,903 | 38.9% | 31,039 | 11.7% |
| 11.5% |
海外売上高 | 411,593 | 60.8% | 466,155 | 61.1% | 54,561 | 13.3% |
| 5.4% |
営業利益 | 21,234 | 3.1% | 37,660 | 4.9% | 16,425 | 77.4% |
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経常利益 | 22,814 | 3.4% | 37,588 | 4.9% | 14,773 | 64.8% |
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親会社株主に帰属する当期純利益 | 27,523 | 4.1% | 23,210 | 3.0% | △4,313 | △15.7% |
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(注) 1 主要為替レートは、121.05円/米ドル、134.32円/ユーロ、19.22円/中国人民元です。
2 「調整後増減」及び「調整後増減率」は、前連結会計年度の実績を当連結会計年度と同一の期間に組み替えた「前期同一期間」との比較です。
当連結会計年度の国内経済は、政府の経済政策が下支えとなって緩やかな回復基調が続き、個人消費も総じて底堅い動きとなりました。国内化粧品市場も同様に回復基調が継続したことに加え、訪日外国人によるインバウンド需要の貢献もあり、堅調に推移しました。一方、海外の化粧品市場は各地域の経済動向にほぼ連動しており、国によりばらつきがみられる欧州は緩やかな成長にとどまったものの、中国、アジア及び米州では堅調な成長を持続しました。
当連結会計年度の連結売上高は、前期同一期間比12.6%増の763,058百万円となりました。国内売上は中高価格帯を中心とするブランド改革の成果に加えインバウンド需要を着実に取り込んだことにより前期同一期間比11.7%増の296,903百万円、海外売上は中国、アジア、米州及び欧州のすべての地域において前期同一期間を上回ったことにより現地通貨ベースで前期同一期間比5.4%増、円換算後では為替レートが円安傾向で推移したことにより前期同一期間比13.3%増の466,155百万円となりました。営業利益は、売上増に伴う差益増に加え、積極的にマーケティング投資をすると同時に費用を効率的に運用してきたことなどから、前期同一期間比77.4%増の37,660百万円となり、経常利益は前期同一期間比64.8%増の37,588百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度にデクレオール及びカリタブランドの譲渡に伴う特別利益を計上するとともに、当該譲渡益に係る税率が低かったことに加え、当連結会計年度は変則決算に伴う未実現利益消去に係る税効果の影響で税金費用が増加したことなどにより、前期同一期間比15.7%減の23,210百万円となりました。この結果、当連結会計年度の連結売上高営業利益率は4.9%、連結ROE(自己資本当期純利益率)は6.0%となりました。
報告セグメントごとの業績は次のとおりです。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分方法及び報告セグメントの利益又は損失の測定方法を変更しており、当連結会計年度の比較・分析は変更後の区分方法及び測定方法に基づいています。
| (参考) | 構成比 | 当連結会計年度 | 構成比 | 調整後 | 調整後 |
| 調整後 |
日本事業 | 240,523 | 35.5% | 266,773 | 35.0% | 26,249 | 10.9% |
| 10.9% |
グローバル事業 | 424,250 | 62.6% | 478,803 | 62.7% | 54,552 | 12.9% |
| 5.1% |
その他 | 12,682 | 1.9% | 17,481 | 2.3% | 4,799 | 37.8% |
| 37.8% |
合計 | 677,457 | 100.0% | 763,058 | 100.0% | 85,601 | 12.6% |
| 7.8% |
セグメント利益(営業利益)
| (参考) | 売上比 | 当連結会計年度 | 売上比 | 調整後 | 調整後 |
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日本事業 | 20,080 | 8.1% | 30,534 | 11.1% | 10,454 | 52.1% |
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グローバル事業 | △1,897 | △0.4% | 2,112 | 0.4% | 4,010 | ― |
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その他 | 3,113 | 13.5% | 4,921 | 17.5% | 1,807 | 58.0% |
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消去又は全社 | △62 | ― | 91 | ― | 153 | ― |
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合計 | 21,234 | 3.1% | 37,660 | 4.9% | 16,425 | 77.4% |
|
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(注) 1 売上比は、売上高(セグメント間の内部売上高又は振替高を含む。)に占める営業利益の比率を記載しています。
2 「調整後増減」及び「調整後増減率」は、前連結会計年度の実績を当連結会計年度と同一の期間に組み替えた「前期同一期間」との比較です。
3 当社グループ内の組織改革に伴い、当連結会計年度から報告セグメントの区分方法を一部見直し、「国内化粧品事業」「グローバル事業」から、「日本事業」「グローバル事業」に変更しました。これに伴い、従来「国内化粧品事業」に含まれていた一部子会社等は「グローバル事業」「その他」に組替えを行っています。また、各セグメントの経営成績の実態をより的確に把握することを目的に、一部の費用の配分方法を変更しています。なお、前期同一期間実績も変更後の報告セグメントの区分方法及び費用の配分方法により作成しています。
(売上高)
日本事業の売上高は、前期同一期間比10.9%増の266,773百万円となりました。前年に引き続きブランド価値の向上に向けたお客さま起点のマーケティング活動に取り組み、ブランド改革やマーケティング投資の強化を進めました。その結果、ブランド改革2年目を迎えたスキンケアブランド「エリクシール」やメーキャップブランド「マキアージュ」に加え、最高級ブランド「クレ・ド・ポー ボーテ」や肌本来の美しさを引き出す美容液「アルティミューン」がヒットしているブランド「SHISEIDO」も売上を大きく伸ばすなど、主力ブランドが着実に成長しました。
加えて、訪日外国人の増加に伴い拡大しているインバウンド需要に対しても、接客の際に使用するタブレット端末の多言語対応や店頭への通訳派遣など、積極的な対応を実施しました。
また、他社との提携や共同企画による新たな価値の提供にも取り組みました。英国のバーバリーLtd.との提携や、コンビニエンスストアなどを展開する大手流通グループと共同でお客さまのニーズを捉えた専用商品を企画・開発するなど、売場の拡大にもつなげています。
課題である低価格帯化粧品やヘアケアの領域については、厳しい競争環境の中でブランドの価値をより明快にお客さまにお伝えすべく、コミュニケーションの刷新などを行いました。引き続き、お客さまのニーズを捉えた新製品の発売や売場づくりなどの取組みを強化します。
ヘルスケア領域においては、医薬品のリップクリーム「モアリップ」がインバウンド需要もあって好調に推移しました。
(営業利益)
セグメント利益(営業利益)は、マーケティング投資を強化した一方、売上増に伴う差益増に加え、費用の効率的な運用を進めたことなどにより、前期同一期間比52.1%増の30,534百万円となりました。
(営業利益)
セグメント利益(営業利益)は、中国やフレグランスを中心にマーケティング投資を強化した一方、売上増に伴う差益増に加え、費用の効率的な運用を進めたことなどにより、前期同一期間から4,010百万円増益の2,112百万円となりました。
③ その他
(売上高)
その他の売上高は、前期同一期間比37.8%増の17,481百万円となりました。国内空港免税店などで化粧品を販売する㈱ザ・ギンザは、インバウンド需要を取り込んで売上を伸ばしました。飲食業を展開する㈱資生堂パーラーでは、2015年10月に洋菓子シリーズを刷新し、売上が堅調に推移しました。また、フロンティアサイエンス事業では、医薬品や化粧品の原料として販売するヒアルロン酸に加え、美容皮膚研究から生まれた医療機関向け化粧品の「2e(ドゥーエ)」や「ナビジョン」の売上が好調に推移しました。
(営業利益)
セグメント利益(営業利益)は、売上増に伴う差益増などにより、前期同一期間比58.0%増の4,921百万円となりました。
(百万円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 32,134 | 60,529 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | 11,538 | △23,137 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △58,419 | △30,151 |
現金及び現金同等物 期末残高 | 100,807 | 104,926 |
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ4,118百万円増加し、104,926百万円となりました。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益(42,892百万円)に減価償却費(31,761百万円)、のれん償却額(5,172百万円)などの非資金費用や、仕入債務の増加(7,405百万円)があった一方、事業譲渡益(5,772百万円)や法人税等の支払額(24,935百万円)などにより、60,529百万円の収入となりました。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入(6,762百万円)や事業譲渡による収入(4,233百万円)があったものの、設備投資による支出(32,370百万円)などにより、23,137百万円の支出となりました。
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入(35,001百万円)や社債の発行による収入(30,000百万円)があった一方、社債の償還による支出(40,000百万円)、長期借入金の返済による支出(28,599百万円)、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの減少(15,600百万円)や配当金の支払額(7,711百万円)などにより、30,151百万円の支出となりました。
当連結会計年度より報告セグメントの区分方法を変更しており、当連結会計年度の比較は変更後の区分方法に基づいています。
当連結会計年度における生産実績を報告セグメントごとに示すと次のとおりです。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 調整後 |
日本事業 | 58,582 | 6.7 |
グローバル事業 | 94,221 | 2.3 |
その他 | 2,105 | 30.8 |
合計 | 154,909 | 4.3 |
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去していません。
2 金額は製造原価によっています。
3 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
4 「調整後増減率」は、前連結会計年度の実績を当連結会計年度と同一の期間に組み替えた「前期同一期間」との比較です。
当社グループ製品については受注生産を行っていません。また、OEM(相手先ブランドによる生産)等による受注生産を一部実施しているものの金額は僅少です。
当連結会計年度における販売実績を報告セグメントごとに示すと次のとおりです。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 調整後 |
日本事業 | 266,773 | 10.9 |
グローバル事業 | 478,803 | 12.9 |
その他 | 17,481 | 37.8 |
合計 | 763,058 | 12.6 |
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
3 「調整後増減率」は、前連結会計年度の実績を当連結会計年度と同一の期間に組み替えた「前期同一期間」との比較です。
文中の記載内容のうち、歴史的事実でないものは、有価証券報告書提出日(2016年3月25日)現在における当社グループの将来に関する見通し及び計画に基づいた将来予測です。これらの将来予測には、リスクや不確定な要素などの要因が含まれており、実際の成果や業績などは、記載の見通しとは異なる可能性があります。
当社の社名を冠する象徴的なブランド「SHISEIDO」などプレステージ領域を中核に、強いブランドポートフォリオの構築を進め、ブランドの選択と集中を徹底するとともに、2017年度までの3カ年で累計1,000億円超のマーケティング投資を行い、強いブランドを数多く育成します。これらにより日本では、2020年度には主力15ブランドで、売上の90%を占めることをめざしています。なお、ブランドポートフォリオの再構築においては、一定の売上規模と収益性をクリアし続けるブランドを厳選していくとともに、必要な場合にはM&Aやアライアンスによるブランドの拡充も検討していきます。
また、スキンケアは日本、メーキャップやデジタルは米州、フレグランスは欧州というように、各カテゴリーにとってグローバルに影響力を持つ最先端のエリアで情報収集・戦略立案・商品開発などをリードし、それらを全世界のマーケティングに展開し活かしていく“センター・オブ・エクセレンス”構想のもと、世界に通用する強いブランドを育成していきます。また、成長市場であるデジタル・Eコマース領域においては、若年層をはじめとする世界中のお客さまとの新たな出会いを加速すべく、ニューヨークに拠点をつくり、タイムリーかつ双方向のコミュニケーションを展開していきます。
研究開発においては、先進の基礎技術を基にした革新的な製品開発を推進し、マーケティングとの連動・融合を図ります。2014年度の連結売上高に占める研究開発費の比率は1.8%でしたが、2020年度にはこれを2.5%へと拡大し、全世界の研究所の人員を現在の約1,000名から1,500名まで増員します。
また、研究開発分野においても現地化を進めます。日本・中国・東南アジア・欧州・米州の各研究所の規模を拡大し、お客さまインサイトに基づく研究開発を世界各地で行う体制を整備します。これにより、今まで以上に現地ニーズを捉えた製品開発を実現し、現地でのマーケティングとの連携も強化していきます。
一方で、将来の成長を支えるための基礎基盤研究の拠点は、引き続き日本に置き、重点的に強化していきます。このための新たな研究拠点として、「グローバルイノベーションセンター(仮称)」を横浜・みなとみらい21地区に設立することを決定しました(2018年度末に稼働開始予定)。多様性に富んだ研究開発人材を集め、世界中の英知を結集することで、イノベーションの創出を加速します。
基礎基盤研究においては、ライフサイエンス研究、マテリアルサイエンス研究、お客さま研究、美容機器、毛髪再生医療、ICT(インフォメーション&コミュニケーションテクノロジー)技術の6つの領域を強化し、新たな価値の創出に取り組んでいきます。
全社的なマーケティング戦略と連動しながら、生産拠点の特長化及び先鋭化をめざして、グローバルな視点でサプライチェーン戦略の構築を進めていきます。 具体的には、さまざまな需要予測・供給計画などのシステムをグローバルに導入することで、市場の動きとサプライチェーンを統合させます。これをバックアップするために、2020年度の稼動をめざし、大阪府茨木市に新大阪工場を建設し、現大阪工場の生産機能を移転します。新工場は、現工場の1.5倍の生産能力を有するスキンケア化粧品のマザー工場の役割を担います。加えて、同敷地内に、国内外向けの物流機能と商品の保管・出荷機能を併せ持つ、新物流旗艦拠点「関西統合センター(仮称)」を新設し、効率的な商品供給体制を実現します。これら新拠点の設立・稼働にあたっては、地球環境への負荷低減や周辺環境への配慮・調和を追求し、地域との共生を図ります。
以上の取組みと“センター・オブ・エクセレンス”構想のもと、日本で開発・生産されるスキンケア化粧品を、高品質な“メイド・イン・ジャパン(made in Japan)”製品の象徴的存在として、日本国内のみならず中国、アジアをはじめとする世界中で積極的に需要を拡大する戦略を推進していきます。
中長期戦略VISION 2020を実現させるために、すべての人事活動を刷新させ、2016年度からは、社員の個々の能力開発を強化していきます。そのためにグローバルレベルでの人事異動を加速させ、その経験により社員だけでなく会社をも成長させ、さらに輝きを放つ人材を輩出していきます。また、トレーニングへの投資を増やしていきます。具体的にはリーダー層に向けたプログラムやMBAプログラムなど、外の世界で研鑽する機会を提供していきます。
お客さまの期待を上回り続けるために“人”の潜在能力を解き放ち、“自分に勝つ、競合に勝つ”チームを生み出すことに集中して取り組んでいきます。
2014年度から着手した構造改革をより強力に世界全地域で推進していきます。原価、マーケティングコスト、在庫/サプライチェーンマネジメント、バックオフィスコスト、人件費・生産性の各項目の合計で2017年度までに3カ年累計で約600億円の投資原資を捻出します。
この構造改革で得られた投資原資は、店頭の整備や化粧品サンプル、広告宣伝など、お客さまに直接届くマーケティング投資や研究開発投資などに振り向け、売上成長の加速につなげていきます。
当社が100年先も輝き続けるためには、お客さまを取り巻く社会や地球環境も輝き続けていることが不可欠であるため、当社は社会課題・環境問題の解決にも積極的に取り組むとともに、それらの視点を事業活動に活かすことで、事業活動の進化やお客さまニーズへの対応にもつなげていきます。
環境面では、環境活動の柱である“商品のライフサイクル全体での環境対応”に向け、レフィル対応商品の積極的な開発・採用、全世界でのCO2排出量の削減、さらには資生堂グループが使用するパーム油及びパーム核油の全量について「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」が認証するもののみとするなど、生物多様性保全のための取組みを継続して推進しています。
社会面では、動物愛護への取組みとして、動物実験代替法に基づく動物実験を一切伴わない化粧品の安全性保証体系を確立し、2013年4月以降に開発に着手する化粧品・医薬部外品における動物実験を廃止しました。さらに、動物実験代替法が各国・地域の法制度において正式な実験方法として公定化されるよう、積極的に公的関係機関に働きかけています。なお当社は、花王株式会社と共同で開発した「h-CLAT」という動物実験代替法の基盤技術について、日本国内での特許権を有しており、「h-CLAT」が、経済協力開発機構(OECD)でのガイドライン化の最終段階に入ったことから、社外での活用を促進していくため、皮膚感作性試験に用いる場合には当社が保有する特許を無償で実施できることとしています。
また、これまで育んできた企業文化の蓄積・発信、芸術文化への支援活動を通じて、心豊かな社会づくりに貢献するとともに、芸術文化が育む新たな価値を当社の価値創造に反映させていきます。加えて、人々に感動と共感を与えるスポーツへのサポートを通じて、世界中の人々のアクティブで美しい生き方を応援していきます。
さらに、当社は国際的ガイドラインである「WEPs(女性のエンパワーメント原則)」への署名企業として、次世代の指導的女性研究者の育成に貢献するため自然科学分野を専攻する女性研究者への研究支援活動を行うなど、女性の社会的地位の向上や活躍支援について主導的な役割を果たしていくことが重要な使命の一つと捉えています。これまで、当社は“美しい生活文化の創造”という使命のもと、美しくありたいと願う数多くの女性と向き合い、その実現に向けたサポートを進めてきました。今後も女性の美しい生き方に寄り添い、一生を共に歩むパートナーとなれるよう努めていきます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあり、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えています。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2016年3月25日)現在において当社グループが判断したものですが、ここに掲げられている項目に限定されるものではありません。
当社グループでは、当社の社名を冠する象徴的なブランド「SHISEIDO」などを保有し、ブランド価値の向上に努めていますが、不測の事態によるブランド価値の低下が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、お客さまとの関係を重視しています。企業理念「Our Mission, Values and Way」の「Our Way」及び「資生堂グループ倫理行動基準」で、お客さまの満足と信頼が得られるように行動する旨を明示し、周知徹底を図っています。しかしながら、お客さまの満足や信頼を損なうこととなる不測の事態が生じた場合には、当社グループのブランド価値が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、戦略市場への投資、M&A及び新規事業・新規市場への事業拡大等の戦略的投資活動の推進に際して、意思決定のために必要かつ十分な情報収集をした上で検討を実施し、合理的な意思決定を行っています。しかしながら、予期し得ない種々の環境変化等により、当初意図した成果が得られない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの属する化粧品業界は、グローバル規模で競争が激しくなっています。成熟した国内市場での同業他社との競争激化をはじめ、グローバルコンペティターのプレステージ市場での影響力拡大、さらには他業界からの新規参入など競争環境はますます厳しくなってきています。また、海外市場でも当社グループが成長戦略の柱として位置付ける中国を含むアジア市場等において、グローバルコンペティターが積極的なM&Aやマーケティング活動を展開し、消費者の認知度を高め市場シェアの拡大を図るなど、競争環境が一層厳しくなってきています。したがって、当社グループがこの競争環境に的確に対処できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの連結売上高に占める海外売上高比率は年々伸長しており、2015年12月末時点でブランド「SHISEIDO」においては世界88の国と地域(日本を含む)で販売されています。海外での事業活動において、予期し得ない経済的・政治的・社会的な突発事態の発生、テロ・戦争・内乱の勃発、新型インフルエンザ等伝染病の流行による社会的・経済的混乱、自然災害、異常気象や天候不順等が、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、海外売上に関する詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (セグメント情報等)」として開示しています。
当社グループ製品の原材料は、国際市況の影響を受け、地政学的リスク、新興国の需要増加や投機資金の流入に伴う需給バランス、天候不順、為替レートの変動等に伴い市況価格が変動します。当社グループでは、原材料価格の上昇に対する継続的な原価低減活動などにより、その影響を軽減する努力を続けています。しかしながら、予想を超える市況価格の変動が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、輸出入取引等を行うことに伴う外貨建て決済について、為替レートの変動リスクを負っています。当社グループでは、販売地域に対応する生産体制を築き、輸出入取引のボリュームを抑えること等で為替変動に対するヘッジを行っていますが、リスクが完全に回避されるわけではありません。また、海外連結子会社及び持分法適用関連会社の現地通貨建ての報告数値は、連結財務諸表作成時に円換算することから、収益が費用を上回っている状況では、円高が進むと経営成績にマイナス影響を与えます。さらに、当社の海外連結子会社及び持分法適用関連会社への投資は、円高が進行すると為替換算調整勘定を通じて自己資本を減少させます。不測の為替変動が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、当連結会計年度末時点で時価のある株式を保有しており、株価の変動リスクを負っています。株価の動向次第では評価損益の増減及び減損のリスクがあります。また、当社の企業年金では、年金資産の一部を時価のある株式で運用しており、株価の下落は年金資産の目減りを通じて年金費用を増加させ経営成績にマイナス影響を与えます。不測の事態が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、有価証券に関する詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (有価証券関係)」に開示しています。
新製品・新ブランドの開発・育成及びマーケティング活動が市場ニーズに適合しているかどうかが当社グループの売上及び利益に大きな影響をもたらします。当社グループでは、市場ニーズに応えるため、魅力的な新製品・新ブランドの開発、マーケティング活動による新製品・新ブランド及び現行主力品・既存ブランドの強化・育成、市場ニーズに応えられなくなった既存品・既存ブランドの撤退を継続的に行っています。しかしながら、当該活動はその性質上、さまざまな要因による不確実性が伴うため、当初意図した成果が得られない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、研究開発活動に関する詳細は、「第2 事業の状況 6 研究開発活動」に開示しています。
小売・流通チャネルにおける変化に対する当社グループの対応が的確ではなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(旧 薬事法)をはじめとする法規制や、品質に関する基準、環境に関する基準、会計基準や税法等、事業展開している国内外のさまざまな法規制等の適用を受けています。当社グループはコンプライアンス(法令遵守)とCSRに基づく倫理的行動に万全を期していますが、今後、これらの法規制等が変更された場合、また予測できない法規制等が新たに設けられた場合には、当社グループの事業活動が制限され、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度において、当社グループに重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されていませんが、将来、重要な訴訟等が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが保有する顧客情報や機密情報等の情報資産の保護については、さまざまな対策を講じています。具体的には、日本国内においては「個人情報保護規程」「個人番号及び特定個人情報取扱規程」「機密情報管理規程」及び「情報システム管理規程」を定め、これらの遵守を徹底し、お客さまの個人情報を慎重に取り扱い、各種情報資産の保護を行っており、海外においても当該国の法令に基づいた規程等を定めています。しかしながら、予期し得ない不正アクセスによる情報漏洩等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、大規模な地震の発生など災害・事故発生時の生産・物流及び販売の中断による損失を最小化するため、生産拠点、物流拠点、情報システム及び本社を事業継続の重要拠点と位置付け、事業継続計画(BCP)の構築を行っています。しかしながら、想定を超える災害・事故等の発生により、製造・物流及び販売の中断が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(重要な資産の譲渡)
当社の子会社であるBEAUTÉ PRESTIGE INTERNATIONAL S.A.(ボーテ プレステージ インターナショナル。以下、BPI社)は、PUIG, S.L.(プーチ)との間で、BPI社がライセンスを受けて展開してきたJean Paul GAULTIER(ジャン ポール ゴルチエ)のフレグランスに関する知的財産権の譲渡に関する契約を2015年4月9日に締結しました。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。
(重要な会社分割)
当社は、2015年6月30日開催の取締役会において、2015年10月1日を効力発生日として、会社分割(簡易吸収分割)により当社の日本国内における化粧品事業の一部(以下、対象事業)を当社の完全子会社である資生堂販売㈱(以下、販売会社)に承継させることを決議しました。
吸収分割の概要は、以下のとおりです。
(1) 吸収分割の目的
当社は、2014年12月に発表した中長期戦略「VISION 2020」の実現に向け、さまざまな改革を推進しています。その一環として、強いブランドの育成と世界の各地域に適したマーケティングの実行を可能とするために、ブランド軸と地域軸からなるマトリクス組織体制への移行を開始しています。ブランド軸ではお客さまの接点タイプ別にプレステージ、コスメティクス、パーソナルケアなどに区分し、地域軸では、全世界の地域・市場を日本、中国、アジア、米州、欧州、トラベルリテールに区分した上で、それぞれの掛け合わせで最適な組織体制を構築しています。
新たな組織体制への移行にあたっては、「現地・現場主義」「フラット」「スピード」「アカウンタビリティ」を重視しています。各地域に、その地域での事業活動のすべてについて責任と権限を持つ「地域本社」を発足し、現場のニーズとノウハウを最大限に活用し、実行力に優れた体制を築き上げていきます。
その一環として、最重要市場のひとつである日本においても開発から販売まで一体となった組織の中で、お客さまや市場の動きをより迅速・的確にとらえる体制を構築すべく、対象事業を販売会社に承継させ、販売会社を母体とした日本地域本社を発足させるために、当該吸収分割を実施しました。
なお、日本地域において中核的役割を果たすという位置づけを明確化するために、同日付で販売会社の商号を「資生堂ジャパン㈱」に変更しました。
(2) 吸収分割の方法
当社を吸収分割会社とし、販売会社を吸収分割承継会社とする吸収分割です。
(3) 吸収分割の期日
2015年10月1日(効力発生日)
(4) 分割に際して発行する株式及び割当
当該吸収分割は、完全親子会社間において行われるため、当該吸収分割に際して株式の割当て、その他対価の交付は行いません。
(5) 割当株式数の算定根拠
該当事項はありません。
(6) 分割した資産・負債の状況
資産 | 金額(百万円) | 負債 | 金額(百万円) |
流動資産 | 1,837 | 流動負債 | 1,476 |
固定資産 | 7,746 | 固定負債 | 3,642 |
合計 | 9,583 | 合計 | 5,118 |
(7) 吸収分割承継会社の概要
商号 | 資生堂ジャパン㈱ |
本店の所在地 | 東京都中央区銀座七丁目5番5号 |
代表者の氏名 | 代表取締役 執行役員社長 坂井 透 |
資本金の額 | 100百万円 |
事業の内容 | 日本国内における化粧品事業 |
(重要な会社分割)
当社は、2015年9月30日開催の取締役会において、2016年1月1日を効力発生日として、会社分割(簡易吸収分割)により当社の日本向けのコーポレート機能の一部及びヘルスケア事業を当社の完全子会社である資生堂販売㈱(以下、販売会社)に承継させることを決議しました。
吸収分割の概要は、以下のとおりです。
(1) 吸収分割の目的
当社は、2014年12月に発表した中長期戦略「VISION 2020」の実現に向けた改革の一環として、強いブランドの育成と世界の各地域に適したマーケティングの実行を可能とするために、ブランド軸と地域軸からなるマトリクス組織体制への移行を開始しています。各地域に、その地域での事業活動について責任と権限を持つ「地域本社」を発足させ、現場のニーズとノウハウを最大限に活用し、実行力に優れた体制を築き上げていきます。
日本における新組織体制として、2015年10月1日を効力発生日として吸収分割により当社の日本国内における化粧品事業の一部を販売会社に承継させ、同日付で販売会社の商号を「資生堂ジャパン株式会社」に変更し日本地域本社としての活動を開始しました。今回の吸収分割によって、日本向けのコーポレート機能の一部及びヘルスケア事業を販売会社に承継させることにより、2016年1月1日から日本における事業活動について責任と権限を有する日本地域本社が稼働します。ブランドを軸にした統合マーケティングを実行する体制を整備し、お客さま起点の活動を一層深化させます。
(2) 吸収分割の方法
当社を吸収分割会社とし、販売会社を吸収分割承継会社とする吸収分割です。
(3) 吸収分割の期日
2016年1月1日(効力発生日)
(4) 分割に際して発行する株式及び割当
当該吸収分割は、完全親子会社間において行われるため、当該吸収分割に際して株式の割当て、その他対価の交付は行いません。
(5) 割当株式数の算定根拠
該当事項はありません。
(6) 分割した資産・負債の状況
資産 | 金額(百万円) | 負債 | 金額(百万円) |
流動資産 | 2,177 | 流動負債 | 306 |
固定資産 | 510 | 固定負債 | 1,048 |
合計 | 2,688 | 合計 | 1,355 |
(7) 吸収分割承継会社の概要
商号 | 資生堂ジャパン㈱ |
本店の所在地 | 東京都中央区銀座七丁目5番5号 |
代表者の氏名 | 代表取締役 執行役員社長 坂井 透 |
資本金の額 | 100百万円 |
事業の内容 | 日本国内における化粧品事業 |
当社グループは、さまざまな技術の融合により、世界中のお客さまの「美と健康」を実現する画期的な商品、サー
ビスの実現をめざしています。横浜市のリサーチセンターをはじめ、東京都港区のビューティークリエーション研究センター、米州(米国)、欧州(フランス)、中国、東南アジア(タイ)の各拠点において、研究開発活動を推進しています。各研究所において、より地域に密着した研究体制の確立と規模の拡大を図り、国・地域別にお客さまのインサイトを捉えた商品開発やマーケティングとの連携を強化しています。先端のシミ予防研究から新知見を見出し独自の美白有効成分や新技術開発により進化し続けている「HAKU」は、商品ラインナップとマーケティングの強化、積極的な売場づくりや情報発信と連動し、10年連続で美白美容液市場No.1を達成しています。世界中のお客さまに向けた安心・安全、高品質な商品の創出に向けた技術の積み重ねにより、世界の化粧品業界をリードしていきます。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は11,299百万円(売上高比1.5%)であり、各事業別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、以下のとおりです。なお、基礎研究などの各事業に直接配賦できない費用4,205百万円が含まれます。
お客さまにより美しい肌と美しい生活を実現していただくために、お客さまを中心に据え、お客さまが言葉に表しにくいような感覚や気持ちにまで踏み込んだ美容法の開発、製品の開発・評価に取り組んでいます。また、基礎的な皮膚科学・界面科学の研究など幅広い研究を行っています。
スキンケアでは、うるおいはコラーゲンによる弾力を維持するためにも重要であるため、肌のうるおい成分である「ヒアルロン酸」に着目し研究を進め、ヒアルロン酸を生み出す表皮幹細胞技術を開発しました。お客さまに肌のハリ・弾力をより実感いただけるよう、これまでのコラーゲン研究と併せて、世界で初めて実証した「表皮と真皮のダブルの幹細胞アプローチ」を「エリクシール」に採用しました。また、デリケートな肌のお客さまはお手入れ自体にストレスを感じていることを究明し、腹式呼吸とハンドプレスを活用したストレス軽減のお手入れ方法を開発し、「d プログラム」に活用しました。
メーキャップでは、約13,000回の肌色・肌質感の印象評価テストを実施し、20~30代女性の化粧肌の色と印象の関係を捉え、最新の感性科学、脳科学を駆使し、「直感でわかる、人を惹きつける魅力」と「心地よい感触」を解析・検証しました。10秒間、マッサージをするようになじませることで、カラー成分が溶け出し、疲れた印象にみせる「くすみ」や「毛穴」をカバーし、美人印象を高める肌色、肌質感に変える新発想の化粧下地を開発し「マキアージュ」に採用しました。
ヘアケアでは、お客さまの「髪と地肌のやわらかさ」を求める意識に寄り添い、「髪と地肌をWケアする」というコンセプトを更に体感していただけるよう、ダメージ補修効果の高いオイルを極小化し、高い補修機能と持続機能をかなえる技術を「TSUBAKI」のアウトバストリートメントに採用しました。
ヘルスケア事業では、美と健康をつなぐ食品や一般用医薬品の研究開発を進めています。
当事業に関わる研究開発費は4,300百万円です。
「ハイ・クオリティ」を追求する海外のお客さまに向け、当社独自の高度なサイエンスと最先端テクノロジーに立脚した製品の開発を推進しています。
スキンケアでは、栄養や酸素を供給する毛細血管と水分や老廃物を回収するのに欠かせないリンパ管が健やかな肌を維持するうえで重要な役割を担っていることから、毛細血管とリンパ管の研究に注力して研究を進めました。その結果、皮膚のリンパ管の機能が低下すると皮下脂肪が蓄積し「たるみ」の原因となることを解明し、「SHISEIDO」に応用しました。また、加齢と共に大きく変化する顔の形は多くの女性の悩みとなっていますが、その形状を支える肌構造を世界に先駆けて明らかにした研究成果(IFSCC Congress 2014にて最優秀賞受賞)をプレステージブランドの「クレ・ド・ポー ボーテ」、中国市場向けブランドの「オプレ」「ウララ」に応用し、世界中のお客さまにお届けしました。
プロフェッショナル事業では、大人の女性が抱える「うねり」「ハリ・コシのなさ」「艶の低下」といった髪の悩みに対応した技術を新ヘア&スカルプケアライン「ザ・ヘアケア フューチャーサブライム」に採用しました。
当事業に関わる研究開発費は2,733百万円です。
フロンティアサイエンス事業では、敏感な肌に適用する医科向け化粧品「ドゥーエ」、先進の美容皮膚医療用化粧品「ナビジョン」をはじめ、医療用医薬品、化粧品・医薬品原料、クロマトグラフィー分析装置など、化粧品開発技術を応用した商品開発を進めています。また、国内外の大学、研究機関と連携して、キラルアミノ酸を指標とする新たな医療分野への貢献を目指しています。
当事業に関わる研究開発費は59百万円です。
その他の活動としては、時代の変化と共に多様な価値観・ライフスタイルが生まれ、これまで以上に主体的に行動する生活へとシフトしているお客さまの変化に対応した、新たなイノベーションに向けた取組みを進めています。新たに毛髪再生医療の事業化に向けた研究開発に取り組むために、2014年に神戸市に開設した資生堂細胞加工培養センター「SPEC®」は、2015年に厚生労働省より施設許可を取得しました。また、1989年から共同研究を続けてきた米国・ボストンのマサチューセッツ総合病院/ハーバード医科大学付属皮膚科学研究所「CBRC」と新たな提携に関する契約を締結しました。皮膚科学の共同研究を拡大するとともに、健康な肌を保つための啓発活動にも取り組んでいきます。また、2018年末に多様な人々との交流や融合によって新しい価値を生み出す新研究所「グローバルイノベーションセンター(仮称)」を横浜・みなとみらい21地区に設立します。新研究所設立へ向けた新しい研究開発のかたちの第一歩として、研究員が教育機関、企業など30を超える異業種と共同で作品を制作し、サイエンスの知見とデザインが出会う(LINKする)ことで、感触を視覚化することに挑戦した展覧会「LINK OF LIFE さわる。ふれる。美の大実験室 展」を開催しました。今後も多様な知の融合によって「これからの美」を生み出していきます。
当連結会計年度における財政状態及び経営成績の分析は次のとおりです。
なお、文中の記載内容のうち、歴史的事実でないものは、有価証券報告書提出日(2016年3月25日)現在における当社グループの将来に関する見通し及び計画に基づいた将来予測です。これらの将来予測には、リスクや不確定な要素などの要因が含まれており、実際の成果や業績などは、記載の見通しとは異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としています。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。
当社グループでは、有形固定資産の簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す兆候がある場合には、減損の有無を判定しています。この判定は、事業用資産についてはグルーピングした各事業単位の将来キャッシュ・フローの見積りに基づいて、遊休資産については個別に比較可能な市場価格に基づいて行っています。経営者は将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額の見積りは合理的であると考えていますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、将来キャッシュ・フローや回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。
当社グループでは、のれん、商標権及びその他の無形固定資産について、減損の判定を行っています。のれん、商標権及びその他の無形固定資産の公正価値の見積りや減損判定に当たっては、外部専門家などによる評価を活用しています。公正価値の見積りは、主に割引キャッシュ・フロー方式により行いますが、この方式では、将来キャッシュ・フロー、割引率など、多くの見積り・前提を使用しています。これらの見積り・前提は、減損判定や認識される減損損失計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。経営者は、当該判定における公正価値の見積りは合理的であると判断していますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、公正価値が下落し、減損損失が発生する可能性があります。
当社グループでは、その他有価証券のうち、取得原価に比べ時価又は実質価額が著しく下落したものについては、回復可能性があると判断される場合を除き、減損処理を行っています。時価のあるものについては、決算日現在の時価が取得原価に比べて50%以上下落した場合には回復可能性はないものと判断し、30%以上50%未満下落した場合には当該有価証券の発行会社の財政状態及び経営成績を勘案し、回復可能性を判断しています。時価のないものについては、発行会社の財政状態の悪化により、実質価額が取得原価に比べて50%以上下落した場合には、回復可能性があると判断できる場合を除き、減損処理を行っています。経営者は、回復可能性の判断が適切なものであると判断していますが、回復可能性ありと判断している有価証券についても、将来、時価の下落又は投資先の財政状態及び経営成績の悪化により、減損損失が発生する可能性があります。
当社グループでは、回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対して評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産の回収可能性は各社、各納税主体で十分な課税所得を計上するか否かによって判断されるため、その評価には、実績情報とともに将来に関する情報が考慮されています。経営者は、当該計上額が適切なものであると判断していますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化に伴う各社、各納税主体の経営悪化により、繰延税金資産に対する評価性引当額を追加で設定する可能性があります。
当社グループの主要な退職給付制度は、日本における企業年金制度及び退職一時金制度です。従業員の退職給付費用及び債務は、割引率、退職率、死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等を含む前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件は年に一度見直しています。割引率と長期期待運用収益率は、退職給付費用及び債務を決定する上で、重要な前提条件です。割引率は一定の格付けを有し、安全性の高い長期社債の期末における市場利回りを基礎として決定しています。長期期待運用収益率は年金資産の種類毎に期待される収益率の加重平均に基づいて決定しています。経営者は、これらの前提条件は適切であると考えていますが、実際の結果との差異や前提条件の変更が将来の退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、2015年度より、100年先も輝き続ける企業となるための中長期戦略 VISION 2020 をスタートさせ、実現に向け大きく動き出しました。2015年度からの最初の3カ年を事業基盤の再構築の期間と位置づけ、戦略の根幹となるブランド価値向上のため、すべての活動をお客さま起点とし、マーケティングとイノベーションの強化、それらを支える多様な人材の活用とグローバル組織の構築などに取り組みました。
なお、売上高、営業利益のセグメントの分析については、「1 業績等の概要 (1)業績」に記載しています。
当連結会計年度の連結売上高は、前期同一期間比12.6%増の763,058百万円となりました。国内売上は中高価格帯を中心とするブランド改革の成果に加えインバウンド需要を着実に取り込んだことにより前期同一期間比11.7%増の296,903百万円、海外売上は中国、アジア、米州及び欧州のすべての地域において前期同一期間を上回ったことにより現地通貨ベースで前期同一期間比5.4%増、円換算後では為替レートが円安傾向で推移したことにより前期同一期間比13.3%増の466,155百万円となりました。
売上原価は、前期同一期間に比べ11.3%増加の196,009百万円となりました。売上高に対する比率は前期同一期間より0.3ポイント改善され25.7%となりました。これは主にプロダクトミックスの好転、コスト構造改革の効果によるものです。
販売費及び一般管理費は、前期同一期間に比べ10.3%増加の529,388百万円となりました。売上高に対する比率は、売上が伸長したことで1.5ポイント改善され69.4%となりました。その内訳は次のとおりです。
(イ) マーケティングコスト
マーケティングコストの売上高に対する比率は25.2%と前期同一期間に比べ0.5ポイント増加しました。積極的にTVCMなどの広告費を増加させたことに加え、企業広告を強化したことが主な要因です。
(ロ) 人件費
人件費の売上高に対する比率は、前期同一期間より1.6ポイント改善され25.7%となりました。構造改革による生産性向上の効果もあり、売上が伸長したことで売上比率が大きく改善しました。
(ハ) 経費
経費(その他の費用)の売上高に対する比率は、前期同一期間より0.3ポイント改善され17.2%となりました。研究開発費を増加させた一方、構造改革の着実な進捗により前年度より低下しました。
(ニ) M&A関連償却費
M&A関連償却費の売上高に対する比率は、前期同一期間より0.1ポイント減少し、1.3%となりました。
販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費は11,299百万円となり、売上高に対する比率は1.5%となりました。なお、研究開発活動についての詳細は、「6 研究開発活動」として開示しています。
営業利益は、売上増に伴う差益増に加え、積極的にマーケティング投資をすると同時に費用を効率的に運用してきたことなどから、前期同一期間比77.4%増の37,660百万円となりました。売上高営業利益率は1.8ポイント改善され4.9%となりました。
営業外損益は、前期同一期間に比べ1,652百万円減少し、72百万円の損失となりました。
経常利益は、営業利益が増加したことから、前期同一期間比64.8%増の37,588百万円となりました。
特別損益は、ジャン ポール ゴルチエ フレグランスに関する知的財産権の譲渡に関連して生じたライセンス契約の早期終了補償金及び特別ボーナス等のほか、アユーラブランド及びトルコ子会社の譲渡による事業譲渡益を計上したことなどにより、5,304百万円の利益となりました。
税金等調整前当期純利益は、前期同一期間に比べ9.8%増益の42,892百万円となりました。
当連結会計年度は変則決算に伴う未実現利益消去に係る税効果の影響で法人税等調整額が増加したことなどにより、前期同一期間比94.0%増加の17,292百万円となりました。
非支配株主に帰属する当期純利益は、前期同一期間に比べ9.3%減少の2,389百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前期同一期間に比べ15.7%減益の23,210百万円となりました。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「4 事業等のリスク」として開示しています。
経営戦略の現状と見通しについては、「1 業績等の概要」及び「3 対処すべき課題」として開示しています。
当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状態を常にめざし、安定的な営業キャッシュ・フローの創出、幅広い資金調達手段の確保に努めています。成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資・投融資資金は、主に手元のキャッシュと営業活動からのキャッシュ・フローに加え、借入や社債発行により調達しています。資金調達に関しては、有利な条件で調達が可能な財務体質を維持すべく、ベンチマークとなる有利子負債比率は25%を目安としており、大型投資案件による資金調達が必要となった場合には、経営動向や財務状況及び市場環境などを勘案して、最適な方法でタイムリーに実施します。
手元流動性については、連結売上高の1.5カ月程度をひとつの目安としています。当連結会計年度末の現金及び預金、有価証券の総額は124,457百万円となり、手元流動性は連結売上高(2015年1月1日から2015年12月31日までの期間)の1.7カ月分となりました。
一方、当連結会計年度末現在の有利子負債残高は86,613百万円となっています。国内普通社債の発行登録枠の未使用枠900億円、当社及び欧米子会社2社を発行体とするプログラム型シンジケート・ローンの未使用枠3.0億米ドル、並びに米国子会社のCPプログラムの未使用枠65百万米ドルなどを有し、資金調達手段は分散化されています。
当連結会計年度末現在において、当社グループの流動性は十分な水準にあり、資金調達手段は分散されていることから、財務の柔軟性は高いと考えています。
当社グループは、流動性及び資本政策に対する財務の柔軟性を確保し、資本市場を通じた十分な資金リソースへのアクセスを保持するため、一定水準の格付けの維持が必要であると考えています。当社グループは、グローバルな資本市場から円滑な資金調達を行うため、ムーディーズ・ジャパン株式会社(以下「ムーディーズ」)及びスタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン株式会社(以下「S&P」)の2社より格付けを取得しています。
2016年2月29日現在の債券格付けの状況(長期/短期)は以下のとおりです。
| ムーディーズ | S&P |
長期 | A2(見通し:安定的) | A-(見通し:安定的) |
短期 | P-1 | A-2 |
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1.8%減少の808,547百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ1.1%減少の410,673百万円となりました。
固定資産は、のれん等の償却に加え、本社保有の投資有価証券を売却したことなどにより、前連結会計年度末に比べ2.6%減少の397,873百万円となりました。
当連結会計年度末の負債は、借入の返済などにより、前連結会計年度末に比べ4.6%減少の395,212百万円となりました。
有利子負債の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 ⑤連結附属明細表」に記載しています。
当連結会計年度末の純資産は、株主資本が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ1.0%増加の413,334百万円となりました。
1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に比べて11.37円増加し981.37円となり、自己資本比率は、前連結会計年度末の47.0%から1.4ポイント上昇し48.4%となりました。
キャッシュ・フローについては、「1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
| 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2015年 |
自己資本比率(%) | 41.6 | 40.3 | 40.1 | 42.2 | 47.0 | 48.4 |
時価ベースの自己資本比率(%) | 77.5 | 78.9 | 73.8 | 90.3 | 103.3 | 124.8 |
債務償還年数(年) | 2.9 | 3.5 | 4.4 | 1.8 | 3.3 | 1.4 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 32.8 | 27.3 | 22.5 | 47.5 | 24.2 | 71.7 |
(注) 1 自己資本比率 : (純資産の部合計-新株予約権-非支配株主持分)/総資産
時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産
債務償還年数 : 有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ : 営業活動によるキャッシュ・フロー/利払い
2 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。
3 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。
4 有利子負債は、連結貸借対照表上に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の「利息の支払額」を使用しています。
5 当社グループの米州子会社における、店頭販売活動に関する見本品・販促物の会計処理は、従来、取得時に資産計上し、顧客へ出荷した時点で費用処理していましたが、グループ内の会計処理の統一を図るため、第112期より取得時費用処理に変更しました。当該会計処理の変更は遡及適用され、第111期の連結財務諸表について遡及処理しています。
6 第114期より、「従業員給付」(国際会計基準第19号 2011年6月16日改訂)を一部の連結子会社において適用し、確定給付負債の純額の変動の認識方法の変更等を行っています。当該会計方針の変更は遡及適用され、第113期の関連する主要な経営指標等については遡及処理後の数値を記載しています。
7 第116期より当社及び3月決算であった連結対象会社は、決算日を3月31日から12月31日に変更しました。この変更に伴い、当社とすべての連結対象会社の決算日が統一され、第116期においては、当社及び3月決算であった連結対象会社は4月1日から12月31日までの9カ月間、12月決算である連結対象会社は1月1日から12月31日までの12カ月間を連結対象期間としています。
当社は、資生堂グループの企業使命である“美しい生活文化の創造”のもと、100年先も輝き続ける資生堂の原型をつくるため、2020年度を一つの節目とした中長期戦略VISION 2020 を策定し、2015年度より取組みを始めています。VISION2020では、2020年度までに“成長エネルギーが充満した会社”“若々しさがみなぎる会社”“世界中で話題になる会社”“若者があこがれてやまない会社”そして“多様な文化が混じりあう会社”となることをめざしています。また、世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニーとして確固たる地位を築くべく、すべての活動をお客さま起点に、マーケティングやイノベーションを強化するとともに、それらを支える多様な人材の活用とグローバル組織の構築などに取り組んでいます。
定量的な目標として、2020年度の連結営業利益を1,000億円超、ROEを12%以上と定め、これらの目標を達成するための連結売上高は1兆円超をめざします。
具体的な戦略推進にあたっては、2015年度から2017年度までの3カ年を今後の成長のための事業基盤の再構築の期間と位置づけ、ブランドの選択と集中、ブランド強化に向けたマーケティングや研究開発への投資拡大を進めます。日本の成長性回復、中国事業の再建、欧米の収益力向上に注力するとともに、トラベルリテールやデジタル・Eコマースなど成長領域への投資も拡大し、2017年度には、連結売上高9,000億円超、営業利益500~600億円、ROE9~10%をめざします。また、2018年度から2020年度までの3カ年を成長加速のための新戦略に取り組む期間と位置づけ、新ブランドの開発・M&A、投資継続・リターンの獲得、未進出エリア・新規事業開拓、グローバル経営体制の確立、ビジネスモデルの見直し・刷新に取り組みます。
3カ年計画の2年目である2016年度は、以下の事項に集中してさらに一歩踏み込んだ構造改革・積極投資を継続していきます。これにより徹底的な事業基盤の再構築を実現し中長期的成長を確実なものにしていきます。
日本においては、持続的な成長によるシェアの拡大をめざします。ブランド力の強化に向けては、ブランドの選択と集中及びマーケティング投資の拡大を継続することはもとより、取引先と協働し店頭実現力を強化するトレードマーケティングの強化や、インバウンド需要を獲得するべく訪日外国人に対する店頭サポートの継続強化と訪日前後の情報発信による緊密なアプローチを推進します。課題であった低価格コスメティクスブランド、パーソナルケア事業については、それぞれマーケティング強化やブランドリニューアルにより本格育成を図ります。
海外においては、各地域本社主導による地域密着マーケティングの推進による成長性の拡大と、構造改革を通じた収益性の向上をめざしていきます。また、地域本社の本格稼働を受け、組織・マーケティングの強化を行うとともに、間接部門の共有を図るシェアードサービスを導入し、各地域における現地法人が有する機能をできるだけ集約しコスト削減も進めていきます。中国については、本社と現地法人の総力をあげて事業を再構築し、再成長の礎を築いていきます。売上が伸び悩んだ中価格帯ブランドについては、先行投資としてのマーケティング投資を強化するとともに、リニューアルを実施することで現地ブランドを復活させていきます。「bareMinerals」の売上が伸び悩んだベアエッセンシャルInc.については、マーケティング、チャネル、組織、オペレーションコストなどすべての項目の抜本的見直しに着手し、ブランド強化に取り組みます。
なお、取組みの詳細は「3 対処すべき課題」に記載しています。