| 前連結会計年度 | 百分比 | 当連結会計年度 | 百分比 | 増減 | 増減率 |
| 増減率 |
売上高 | 677,727 | 100.0% | 762,047 | 100.0% | 84,319 | 12.4% |
| 1.3% |
国内売上高 | 373,252 | 55.1% | 377,272 | 49.5% | 4,020 | 1.1% |
| 0.9% |
海外売上高 | 304,475 | 44.9% | 384,774 | 50.5% | 80,299 | 26.4% |
| 1.8% |
営業利益 | 26,045 | 3.8% | 49,644 | 6.5% | 23,598 | 90.6% |
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経常利益 | 28,406 | 4.2% | 51,426 | 6.7% | 23,020 | 81.0% |
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当期純利益 | △14,685 | △2.2% | 26,149 | 3.4% | 40,834 | ― |
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(注) 主要為替レートは、97.65円/米ドル、129.69円/ユーロ、15.91円/中国人民元であります。
当連結会計年度の国内経済は政府の経済政策が下支えとなって緩やかに回復し、化粧品市場においても持ち直しの動きが見られました。また平成26年に入ってからは、4月からの消費税率引き上げを前に、需要が一時的に拡大する動きがみられました。一方、海外の化粧品市場は各地域の経済動向にほぼ連動しており、経済成長を持続した米州では化粧品市場も堅調な成長を持続したものの、欧州は債務危機や高い失業率の影響により弱い経済成長となり、化粧品市場は、前年を若干上回る程度の成長にとどまりました。アジアは、政治状況の影響などを受けた国もある中で、地域全体では緩やかな成長となりました。
当社の当連結会計年度の連結売上高は、前連結会計年度比12.4%増収の762,047百万円となりました。国内売上高は前連結会計年度比1.1%増収となり、海外売上高は26.4%の増収となりました。
営業利益は、売上増に伴う差益増や為替影響に加え、全社をあげてのコスト構造改革や費用の効率運用を継続したこと、国内において賞与及び年金費用などの人件費が減少したことなどにより、前連結会計年度比90.6%増益の49,644百万円となりました。
経常利益は、前連結会計年度比81.0%増益の51,426百万円となりました。
当期純利益は、店頭在庫水準の適正化に向けた生産終了品の回収等の特別損失に加えて、移転価格調査に関して発生する可能性が高いと予想される納税額の計上があったものの、営業利益が大幅に増益になったことや、販売子会社の一部社屋等の売却益を計上したこともあり、「ベアエッセンシャルInc.」に係るのれんの減損などの特別損失のために純損失となった前連結会計年度から、26,149百万円の当期純利益となりました。
報告セグメントごとの業績は、次のとおりであります。
| 前連結会計年度 | 構成比 | 当連結会計年度 | 構成比 | 増減 | 増減率 |
| 増減率 |
国内化粧品事業 | 345,882 | 51.0% | 349,718 | 45.9% | 3,835 | 1.1% |
| 1.1% |
グローバル事業 | 322,349 | 47.6% | 402,213 | 52.8% | 79,864 | 24.8% |
| 1.4% |
その他 | 9,494 | 1.4% | 10,114 | 1.3% | 619 | 6.5% |
| 6.5% |
合計 | 677,727 | 100.0% | 762,047 | 100.0% | 84,319 | 12.4% |
| 1.3% |
| 前連結会計年度 | 売上比 | 当連結会計年度 | 売上比 | 増減 | 増減率 |
|
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国内化粧品事業 | 27,508 | 7.9% | 39,460 | 11.2% | 11,952 | 43.5% |
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グローバル事業 | △3,288 | △1.0% | 7,659 | 1.9% | 10,947 | ― |
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その他 | 1,964 | 13.4% | 2,081 | 13.8% | 116 | 5.9% |
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消去又は全社 | △138 | ― | 442 | ― | 581 | ― |
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合計 | 26,045 | 3.8% | 49,644 | 6.5% | 23,598 | 90.6% |
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(注) 売上比は、売上高(セグメント間の内部売上高又は振替高を含む。)に占める営業利益の比率を記載しております。
国内化粧品事業の売上高は349,718百万円(前連結会計年度比1.1%増収)となりました。化粧品事業は店頭売上の拡大に集中した活動に取り組み、特にプレステージ領域を強化いたしました。店頭在庫水準の適正化に向けた在庫の回収を実施いたしましたが、消費税率引き上げ前の駆け込み需要の影響が想定以上に大きく、前連結会計年度を上回る売上となりました。また、ヘルスケア事業も前連結会計年度を上回る実績となりました。
(化粧品事業)
化粧品事業では、店頭売上の拡大をめざし、お客さまから高い支持をいただける商品を厳選して発売するとともに、現行主力品の育成を継続して実施いたしました。その結果、肌と向きあう至福をお届けするスキンケア・ベースメーキャップブランド「エリクシール」やメーキャップ総合ブランド「マキアージュ」といった中価格帯の中核ブランドが好調に推移しました。また、プレステージ領域の強化の一環として、グローバルブランド「SHISEIDO」や最高級ブランド「クレ・ド・ポー ボーテ」のテレビコマーシャルを放映するなど、コミュニケーション活動を強化した結果、デパートチャネルを中心に売上成長を果たしました。
昨年課題を残したシニア世代のお客さまへの対応については、Webと既存の店舗を融合した次世代ビューティーソリューションサービスサイト「watashi+」の中にシニアのお客さま専用サイトを設けたほか、専用フリーダイヤルの設置や専用タブロイド紙「きらめきMs.通信」の発行、自分らしい輝きを発見し、楽しく美容をマスターしていただくためのセミナー「きらめきマスターサロン」の開催など、さまざまな活動を実施いたしました。
さらに、成長の行く手を阻む経営課題の解決に向け、店頭在庫水準の適正化に着手し、店頭売上を基点とした事業マネジメント革新など、二度と在庫を溜めない仕組みの構築を進めるとともに、生産終了品や在庫率の高い商品の回収など、在庫の整理に取り組みました。
(ヘルスケア事業)
ヘルスケア事業では、主力商品の美容食品ブランド「ザ・コラーゲン」に注力した結果、店販市場が縮小を続ける中でも高いシェアを維持しました。さらに、与那国島の契約農園で農薬を使わずに育てたボタンボウフウを原料とした美容食品「長命草」の認知拡大・取扱店拡大に取り組んだほか、キレイをチャージする美容飲料「綺麗のススメ」より「つやつやぷるんゼリー」を発売し、既存チャネルに加えコンビニエンスストアへの配荷を開始するなど、お客さまとの接点拡大に取り組みました。
セグメント利益(営業利益)は、売上増に伴う差益増に加え、コスト構造改革や費用の効率運用などにより、前連結会計年度比43.5%増の39,460百万円となりました。
グローバル事業の売上高は402,213百万円 (前連結会計年度比24.8%増収)、現地通貨ベースでは前連結会計年度比1.4%増収となり、化粧品事業、プロフェッショナル事業ともに、前連結会計年度を上回る実績となりました。
(化粧品事業)
化粧品事業では、プレステージ市場において、グローバルブランド「SHISEIDO」やメーキャップアーティストブランド「NARS」が米州を中心に好調を継続しました。さらに、「narciso rodriguez」などの好調に加え、「Ferragamo」や「BURBERRY」の取り扱い開始による上乗せがあったデザイナーズフレグランスが堅調な成長を果たしました。また、「bareMinerals」などを展開する「ベアエッセンシャルInc.」では、平成25年度から平成26年度を事業基盤再構築の年と位置づけ、平成27年度以降の成長を見据えた準備に取り組みました。
最重点市場である中国では、尖閣諸島問題に端を発した当社製品の買い控えなど、厳しい事業環境からは徐々に回復しつつあるものの、店頭在庫水準の適正化のために出荷を調整したことなどもあり、売上は現地通貨ベースで前連結会計年度をわずかに下回り、円ベースでは為替影響により前連結会計年度を上回る結果となりました。
アジアマステージ市場においては、「Za」などのマステージブランドの強化を進め、これまでに台湾で蓄積したセルフマーケティングのノウハウやタイで実施したプロモーションの成功事例などを、他のアジア諸国に水平展開し、アジア全体のマステージマーケティングを強化した結果、売上成長を確保いたしました。
新興国においては、当連結会計年度に新たに進出した国・地域はありませんが、平成13年の進出以来代理店を通じて展開を進め、前連結会計年度には駐在員事務所を設置して本格進出の準備を進めてきたインドに100%子会社を設立したほか、平成9年から中東地域での取引を続けてきた代理店との間で中東7ヵ国での事業を管轄する合弁会社を設立するなど、新興市場における事業基盤の強化を進めました。平成25年12月末時点でのグローバルブランド「SHISEIDO」の展開地域は世界89の国と地域(日本を含む)となりました。
(プロフェッショナル事業)
プロフェッショナル事業では、平成22年よりアジアの市場開拓に注力し、当期はその中でも中国、韓国の著しい成長が牽引車となり、前年並みの米州、欧州と合わせた海外事業全体で売上を伸ばしました。また国内では、ヘアケア、ヘアカラーに重点的に取り組んだ結果、ヘアケアブランド「ザ・ヘアケア」の新製品「アデノバイタルスカルプエッセンスV」やサロン専用システム商品「サロンソリューション」が好調に推移しました。
なお、当期中に欧州を中心に展開するエステティック・スキンケアブランドの「デクレオール」と「カリタ」を、フランスの化粧品会社「ロレアルS.A.」に売却するための交渉を開始いたしました。その後、平成26年2月に同社との間で合意に至り契約を締結し、平成26年4月に両ブランドの同社への売却を完了いたしました。
セグメント利益(営業利益)は、費用の効率運用や為替影響などにより、赤字だった前連結会計年度から10,947百万円増加し7,659百万円となりました。
その他の売上高は、フロンティアサイエンス事業が堅調に推移したことに加え、レストラン・小売販売ともに好調であった飲食業の伸長により、前連結会計年度を上回る10,114百万円(前連結会計年度比6.5%増収)となりました。
(フロンティアサイエンス事業)
フロンティアサイエンス事業では、医薬品や化粧品の原料として販売するヒアルロン酸に加え、美容皮膚研究から生まれた医科向け化粧品「2e(ドゥーエ)」や「ナビジョン」の売上が引き続き好調に推移したことや、化粧品の開発で培った技術を応用した高速液体クロマトグラフ(精製・分析機器)関連の売上が大きく伸長したことから、前連結会計年度を上回りました。
(その他の事業)
飲食業を展開する子会社の「株式会社資生堂パーラー」が、レストランに加え、デパートや駅・空港等での小売販売も好調に推移しました。さらに、平成25年10月にリニューアルオープンした最高級フレンチレストラン「ロオジエ」の貢献もあり、飲食業の売上が前連結会計年度を大幅に上回りました。
セグメント利益(営業利益)は、売上高の増加に伴う差益増により、前連結会計年度比5.9%増の2,081百万円となりました。
| 前連結会計年度(百万円) | 当連結会計年度(百万円) | 増減(百万円) |
営業活動による | 42,040 | 84,320 | 42,279 |
投資活動による | △25,534 | △16,799 | 8,734 |
財務活動による | △24,745 | △47,462 | △22,717 |
現金及び現金同等物 | 80,253 | 110,163 | 29,910 |
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ29,910百万円増加し、110,163百万円となりました。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益(50,427百万円)に減価償却費(33,618百万円)、のれん償却額(4,571百万円)などの非資金費用があったことに加え、たな卸資産の減少(7,827百万円)、仕入債務の増加(6,260百万円)及び法人税等の支払額(17,605百万円)などにより、84,320百万円と前年同期と比べ収入が42,279百万円の増加となりました。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資(28,313百万円)による支出や定期預金の純預入(4,571百万円)などにより、△16,799百万円と前年同期と比べ支出が8,734百万円の減少となりました。
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入(22,874百万円)があったものの、長期借入金の返済(52,496百万円)や配当金の支払い(13,949百万円)などにより、△47,462百万円と前年同期と比べ支出が22,717百万円の増加となりました。
当連結会計年度における生産実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 増減率(%) |
国内化粧品事業 | 68,529 | △7.8 |
グローバル事業 | 84,573 | 14.8 |
その他 | 2,001 | △1.9 |
合計 | 155,104 | 3.4 |
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しておりません。
2 金額は製造原価ベースで記載しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループ製品については受注生産を行っておりません。また、OEM(相手先ブランドによる生産)等による受注生産を一部実施しているものの金額は僅少であります。
当連結会計年度における販売実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 増減率(%) |
国内化粧品事業 | 349,718 | 1.1 |
グローバル事業 | 402,213 | 24.8 |
その他 | 10,114 | 6.5 |
合計 | 762,047 | 12.4 |
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
文中の記載内容のうち、歴史的事実でないものは、有価証券報告書提出日(平成26年6月25日)現在における当社グループの将来に関する見通し及び計画に基づいた将来予測であります。これらの将来予測には、リスクや不確定な要素などの要因が含まれており、実際の成果や業績などは、記載の見通しとは異なる可能性があります。
(1)中・長期的課題
当社グループは、資生堂グループの企業使命である「Our Mission」の具現化に取り組み、世界中のお客さまを美しくすることで社会に貢献し、持続的に企業価値を向上させることに取り組んでおり、東京オリンピック・パラリンピックの開催年である平成32年(2020年)を一つの節目とし、売上成長や営業利益率のほか、連結ROEなど資本効率も視野に入れた経営を通じ、マーケティングとイノベーションの実行力に優れ、強いブランドを有する“最強のグローバルマーケティングカンパニー”となることを目指してまいります。
資生堂グループのビジネスの根幹は、魅力あるブランドを創り出し、そのブランドの価値をお客さまにお伝えする“ブランドビジネス”にあります。ブランドは、資生堂にとって最も重要な資産であり、資生堂グループの成長性を確保するためには、ブランド価値を創造し続けていくことが重要であります。そして、持続的なブランド価値の創造のためには、株主資本などの“財務資本”、製造施設などの“製造資本”、知識やノウハウ、知的財産権、文化などの“知的資本”、人材などの“人的資本”、各ステークホルダーとの強い信頼関係やネットワークなどの“社会資本”、エネルギーや原料などの“自然資本”という有形・無形の資本を最大限に活かし、お客さまに支持される商品やサービスを生み出し続けることが必要であります。この実現のために、“マーケティングは、企業経営そのものである”という考え方を軸に、グループの総力を挙げて統合的なマーケティングを実践してまいります。
そして平成26年度は、マーケティングのプロフェッショナルとして外部から招聘した魚谷社長が率いる新たな経営体制で次なる成長に向けた準備に集中する年と位置づけ、“お客さま起点のマーケティング実行力とブランド力の強化”、“組織と企業風土の革新”、“経営基盤の強化”という大きな課題に取り組むとともに、持続的な力強い成長に向けて新たな中期経営計画を構築してまいります。併せて、すでに実行に移している構造改革も滞りなく進め、平成27年度からの新中期経営計画の実行につなげてまいります。
(お客さま起点のマーケティング実行力とブランド力の強化)
マーケティング実行力の強化という点では、ブランドの管理を担うマーケティング部門、営業部門、店頭応対を
担うビューティーコンサルタントなど、お客さまと接点を持つ全ての組織機能の向上を図るために、クリエーション力の強化、おもてなしの心の徹底、デジタルマーケティングやeコマースの推進体制の抜本的な強化に取り組んでまいります。ブランド力の強化という点では、グローバルの地域別に育成するブランドと投資の優先順位を明確化し、ブランドポートフォリオを確立してまいります。
(組織と企業風土の革新)
真のグローバル企業となるために、ブランド戦略やグローバル地域戦略に応じて組織構造や人材配置を見直し、フラットで簡潔な業務執行のルールやプロセスを持つ組織へと進化させていきます。ビジネスの運営方法に更なるグローバルな視点を取り入れるために、グローバルリーダーシップコミッティーを新設し、経営戦略の意思決定に世界各地の責任者を巻き込んでいきます。そして、これらの取り組みを通じて組織の縦割りの弊害を排除し、風通しが良く、お客さまを中心に考えてチームとして仕事をする組織に生まれ変わります。
また、男女共同参画の観点では、政府が掲げた目標(平成32年)よりも早く、平成28年度中に資生堂グループにおける国内の女性リーダー比率30%を達成することを目指してまいります。ただし、数値目標の達成を目的化するのではなく、能力のある人材をリーダーに任用することを前提に、男女の隔たりなく人材を育成することを重視し、引き続き女性リーダーが恒常的に生まれる社内風土の醸成を目指してまいります。
(経営基盤の強化)
経営基盤の一層の強化に向け、これまで進めてきたコスト構造改革と事業構造改革を継続推進するとともに、財務基盤を強化します。市場で勝つための投資を確保しながら、持続的な成長を実現できるよう、資産の有効活用や資本効率の向上、キャッシュ・フローの改善など、財務基盤の強化を進めます。また、海外売上高比率が50%を超え、グローバルな視点での機動的な経営判断がますます必要となってきたことから、平成27年に現在の3月期決算から12月期決算への移行を実施し、すべてのグループ会社の決算期を統一いたします。具体的には平成27年度は移行期として4月から12月までの9カ月決算を行い、平成28年度(2016年1月から12月)より新たなサイクルでの経営を開始いたします。これにより必要に応じた速やかな投資配分の組み替えなど、経営のスピードアップを実現するほか、経営情報の適時・適切な開示による経営の透明性と質の向上を図ってまいります。
(持続的成長のためのイノベーション)
ブランド価値の構築のためには、連続的イノベーションと非連続的イノベーションという二つのイノベーションがともに創出されることが必要であります。連続的イノベーションとは、お客さまの声をもとにソリューションを開発し、マーケティング、R&D、営業が一体となったイノベーション方式であります。一方、非連続的イノベーションとは、オープンイノベーションなどを活用し、常識にとらわれず全く新しい概念からイノベーションを生み出す方式であります。これまでの資生堂グループのイノベーションは、連続的イノベーションに偏りがちでしたが、持続的な成長に向け、非連続的イノベーションの創出を活性化し、商品開発、研究、生産、営業、店頭の各部門が一体となって2つのイノベーションの創出に取り組んでまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあり、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成26年6月25日)現在において当社グループが判断したものでありますが、ここに掲げられている項目に限定されるものではありません。
当社グループでは、国内外の事業活動においてブランド「SHISEIDO」を共有し、ブランド価値の向上に努めておりますが、不測の事態によるブランド価値の低下が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、お客さまとの関係を重視しております。企業理念「Our Mission, Values and Way」の「Our Way」でも、お客さまの満足と信頼が得られるように行動する旨を明示し、周知徹底を図っております。しかしながら、お客さまの満足や信頼を損なうこととなる不測の事態が生じた場合には、当社グループのブランド価値が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、中国を含むアジア等の戦略市場への投資、M&A及び新規事業・新規市場への事業拡大等の戦略的投資活動の推進に際して、意思決定のために必要かつ十分な情報収集をした上で検討を実施し、合理的意思決定を行っております。しかしながら、予期し得ない種々の環境変化等により、当初意図した成果が得られない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの属する化粧品業界は、グローバル規模で競争が激しくなっております。成熟した国内市場での同業他社との競争激化をはじめ、グローバルコンペティターのプレステージ市場での影響力拡大、さらには他業界からの新規参入など競争環境はますます厳しくなってきております。また、海外市場でも当社グループが成長戦略の柱として位置付ける中国を含むアジア市場等において、グローバルコンペティターが積極的なM&Aやマーケティング活動を展開し、消費者の認知度を高め市場シェアの拡大を図るなど、競争環境が一層厳しくなってきております。
したがって、当社グループがこの競争環境に的確に対処できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは平成26年3月末時点で海外89の国と地域(日本を含む)での事業活動を行っており、連結売上高に占める海外売上高比率は年々伸長し、当連結会計年度では50.5%に至っております。海外での事業活動において、予期し得ない経済的・政治的・社会的な突発事態の発生、テロ・戦争・内乱の勃発、新型インフルエンザ等伝染病の流行による社会的・経済的混乱、異常気象や天候不順等が、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、海外売上に関する詳細は、「第5 経理の状況の 1 連結財務諸表等 注記事項 (セグメント情報等)」として開示しております。
当社グループ製品の原材料は、国際市況の影響を受け、地政学的リスク、新興国の需要増加や投機資金の流入に伴う需給バランス、天候不順、為替レートの変動等に伴い市況価格が変動いたします。当社グループでは、原材料価格の上昇に対する継続的な原価低減活動などにより、その影響を軽減する努力を続けております。しかしながら、予想を超える市況価格の変動が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、輸出入取引等を行うことに伴う外貨建て決済について、為替レートの変動リスクを負っております。当社グループでは、販売地域に対応する生産体制を築き、輸出入取引のボリュームを抑えること等で為替変動に対するヘッジを行っておりますが、リスクが完全に回避されるわけではありません。また、在外連結子会社及び持分法適用関連会社の現地通貨建ての報告数値は、連結財務諸表作成時に円換算することから、収益が費用を上回っている状況では、外貨に対して円高が進むと経営成績にマイナス影響を与えます。さらに、当社の海外連結子会社及び持分法適用関連会社への投資は、円高が進行すると為替換算調整勘定を通じて自己資本を減少させます。このように不測の為替変動が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、当連結会計年度末時点で時価のある株式を保有しており、株価の変動リスクを負っております。株価の動向次第では評価損益の増減及び減損のリスクがあります。また、当社の企業年金では、年金資産の一部を時価のある株式で運用しており、株価の下落は年金資産の目減りを通じて年金費用を増加させ経営成績にマイナス影響を与えます。このように不測の事態が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、有価証券に関する詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (有価証券関係)」に開示しております。
新製品・新ブランドの開発・育成及びマーケティング活動が市場ニーズに適合しているかどうかが当社グループの売上及び利益に大きな影響をもたらします。当社グループでは、市場ニーズに応えるため、魅力的な新製品・新ブランドの開発、マーケティング活動による新製品・新ブランド及び現行主力品・既存ブランドの強化・育成、市場ニーズに応えられなくなった既存品・既存ブランドの撤退を継続的に行っております。しかしながら、当該活動はその性質上、さまざまな要因による不確実性が伴うため、当初意図した成果が得られない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、研究開発活動に関する詳細は、「第2 事業の状況 6 研究開発活動」に開示しております。
当社グループの主要事業である国内化粧品事業においては、小売・流通チャネルにおいて大きな変化が生じており、この変化に対する当社グループの対応が的確ではなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、薬事法をはじめとする法規制や、品質に関する基準、環境に関する基準、会計基準や税法等、事業展開している国内外のさまざまな法規制等の適用を受けております。当社グループはコンプライアンス(法令遵守)とCSRに基づく倫理的行動に万全を期しておりますが、今後、これらの法規制等が変更された場合、また予測できない法規制等が新たに設けられた場合には、当社グループの事業活動が制限され、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度において、当社グループに重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されておりませんが、将来、重要な訴訟等が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが保有する顧客情報や機密情報等の情報資産の保護については、さまざまな対策を講じております。具体的には、「個人情報保護規程」「機密情報管理規程」及び「情報システム管理規程」を定め、これらの遵守を徹底し、お客さまの個人情報を慎重に取り扱い、各種情報資産の保護を行っております。また、個人情報保護を適切に行っている企業の証である「プライバシーマーク(JIS規格)」の認証を取得しており、2年ごとに更新審査を受けております。しかしながら、予期し得ない不正アクセスによる情報漏洩等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、大規模な地震の発生など災害・事故発生時の生産・物流及び販売の中断による損失を最小化するため、生産拠点、物流拠点、情報システム及び本社を事業継続の重要拠点と位置付け、事業継続計画(BCP)の構築を行っております。しかしながら、想定を超える災害・事故等の発生により、製造・物流及び販売の中断が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(重要な事業の譲渡及び重要な子会社等の株式の売却)
当社は、L'Oréal S.A.(フランス、クリシー。以下、ロレアル社)との間で、スキンケア、ボディケア及びヘアケアを中心に展開しているCarita(カリタ)ブランド及びDECLÉOR(デクレオール)ブランドの関係会社株式及び関連資産の譲渡に関する契約を平成26年2月19日に締結し、平成26年4月30日に両ブランドのロレアル社への売却を完了いたしました。
詳細については、「第5経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。
当社グループは、世界中のお客さまの「美と健康」を実現する画期的な商品、サービスの提供をさまざまな技術の融合による実現をめざしております。平成25年10月には、横浜市に位置していた2拠点のリサーチセンターを統合いたしました。この横浜市のリサーチセンターをはじめ、東京都品川区のビューティークリエーション研究センター、米州(米国)、欧州(フランス)、アジア(中国、タイ)の各拠点とともに、研究開発活動を推進しております。その内容は高く評価されており、化粧品科学技術の最も権威ある研究発表会 IFSCC(国際化粧品技術者会連盟)では、平成24年10月に開催された「IFSCC Congress 2012」に引き続き、平成25年10月ブラジル リオデジャネイロにて開催の「IFSCC Conference 2013」におきまして、通算22回目の賞を受けました。これは世界の化粧品メーカーの中で最多受賞回数となります。このように世界中のお客さまに向けた安心・安全、高品質な商品の創出に向けた技術の積み重ねは、世界の化粧品業界をリードしております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は13,540百万円(売上高比1.8%)であり、各事業別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、以下のとおりであります。なお、基礎研究などの各事業に直接配賦できない費用4,832百万円が含まれております。
<国内化粧品事業>
お客さまに、より美しい肌と美しい生活を実現していただくことを願い、基礎的な皮膚科学・界面科学の研究から化粧品原料素材の開発、製品の開発・評価、美容法の開発、さらにはお客さまが言葉に表しにくいような感覚や気持ちの領域など、幅広い研究開発を行っております。
当連結会計年度は、スキンケアでは、30代以降のお客さまに芽生える「実際の年齢よりも若く見られたい」という意識のもと、エイジングケアへの研究を進めました。30年の長きにわたり培ってきたコラーゲン研究により導き出した新成分に加え、みずみずしい液状にもかかわらず、肌になじませるとリッチで濃密な感触に変わる新感覚処方を「エリクシールシュペリエル エンリッチドセラム」に採用いたしました。
紫外線による肌への悪影響をお客さまが認知し、紫外線ケアの意識は益々高まっております。日常生活での紫外線とレジャーで受ける紫外線の種類は異なりますが、同時にこれらの紫外線から肌を守る処方技術や、製剤の光による劣化を防ぐスタミナ処方技術を組み合わせ、「アネッサ」に応用いたしました。肌にのせると水のようになり、肌を満たすような使用性も合わせて実現いたしました。
メーキャップでは、現代女性のライフスタイルを徹底的に研究し、疲れて帰った時にすぐに入浴しながらお湯でメークが落とせたらよい、という今までの化粧行為の枠をとびこえたお客さまの声の実現を目指してまいりました。重ねたメークであってもお湯で落ちる、暑い時期でも汗では落ちないような化粧もち、化粧下地として化粧のりの良さを実現するという、今までにない視点での研究に取り組み、新しい生活習慣をお客さまへ提供いたしました。また、環境負荷低減も同時に実現し、1回の化粧行為で1.6リットルの水を節約することも可能としました。この技術を「フルメークウオッシャブルベース」に応用いたしました。
ヘアスタイリング剤では、「固めず、まとまる」「再整髪できる」というベネフィットにもとづき、「霧状」の新スタイリング剤「ウーノ フォグバー」に新たな技術を採用いたしました。髪を一本ずつコートし、髪同士がすいつくようにまとまる整髪成分を新たに導入し、自然な毛流れを生かしたヘアスタイルのトレンドを作り出しました。
ヘルスケア事業では、美と健康をつなぐ食品を中心とした研究開発を進めており、「綺麗のススメ」、「ザ・コラーゲン」、「長命草」などに応用いたしました。
当事業に関わる研究開発費は5,822百万円であります。
<グローバル事業>
「ハイ・クオリティ」を追求する海外化粧品に対応するために、当社独自の高度なサイエンスと最先端テクノロジーに立脚した製品の開発を推進しております。
肌のキメは、若い女性の肌状態の良し悪しを明確に表すといわれています。お客さまは、一見美しく見える肌やお手入れの行き届いた肌であっても、空気が乾燥すると肌状態が悪化することを経験的に知っています。キメと深いかかわりのある角層細胞との関係に着目した研究を進め、その関係を解き明かすとともに、キメが整った美しい肌をはぐくむことを可能としました。この技術を世界中のさまざまな環境下にいるお客さまにお届けするため、「SHISEIDO IBUKI」に採用いたしました。
アミノ酸は、古くから知られている生体中のたんぱく質を構成する成分で、100年も前から化粧品にも多く使用されております。その多くにはD-体とL-体の2種類あります。当社ではこのアミノ酸の中でも、今まで謎の多かったD-体に改めて着目し、生体への研究を進めてまいりました。その中のひとつ、D-アラニンには、肌をケアし美肌効果のあることを見出しました。これは、当社が得意とする皮膚科学研究と最新の分析技術との融合により成しえました。この技術を中国専用ブランドである「ウララ」に採用しております。
グローバルのお客さまに向けた口紅では、平成23年IFSCC最優秀賞「2層分離技術」をさらに進化させ、漆のようななめらかな仕上がりと深みのあるつや、鮮やかな色合いを実現した「SHISEIDO Lacquer rouge」を次々と世界のお客さまにお届けしました。さらには、すき漆のように透明感のある仕上がりと豊かなつや、シアー感を唇に与える「SHISEIDO Lacquer gross」に応用いたしました。
プロフェッショナル事業では、いきいきと弾むような毛髪は快適な頭皮から生まれることに着目した研究を進めました。スキンケア技術を応用した頭皮バリアケアテクノロジーに基づく研究成果を、アジアのお客さまに向けた「ザ ヘアケア フェンテ フォルテ」に応用いたしました。
当事業に関わる研究開発費は2,715百万円であります。
<その他>
フロンティアサイエンス事業では、医療用医薬品、化粧品・医薬品原料、クロマトグラフィー、美容皮膚医療などの研究開発を進めております。
当事業に関わる研究開発費は169百万円であります。
その他のトピックスとしては、新たに、日本を含むアジア全域を対象とした脱毛症や薄毛に悩むお客さまに向け、安全で有効な毛髪再生を提供することを目指した研究開発を進めております。この取り組みは、政府が進める成長戦略を受け、高い成長性が見込める先進医療分野への参入を目指したものであります。
また、新たなイノベーションの実現に向け、皮膚科学と数理モデル・コンピューターシミュレーションを融合した国家プロジェクト研究に参画しております。皮膚科学において、バリア機能低下を伴う「アトピー性皮膚炎、老人性乾皮症などのかゆみ」、「敏感肌」、「表皮の老化」などの発症や、「バリア機能回復過程」などのメカニズムには不明な点が多く、根本的な治療法も確立されておりません。特にアトピー性皮膚炎に対する「バリア機能回復」視点からの新しい病態改善法を提案できれば、社会的にも大きな貢献につながるものとして研究を進めております。
当連結会計年度における財政状態及び経営成績の分析は、次のとおりであります。
なお、文中の記載内容のうち、歴史的事実でないものは、有価証券報告書提出日(平成26年6月25日)現在における当社グループの将来に関する見通し及び計画に基づいた将来予測であります。これらの将来予測には、リスクや不確定な要素などの要因が含まれており、実際の成果や業績などは、記載の見通しとは異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積もりを必要としております。経営者は、これらの見積もりについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積もり特有の不確実性があるため、これらの見積もりと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積もりの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
当社グループでは、有形固定資産の簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す兆候がある場合には、減損の有無を判定しております。この判定は、事業用資産についてはグルーピングした各事業単位の将来キャッシュ・フローの見積もりに基づいて、遊休資産については個別に比較可能な市場価格に基づいて行っております。経営者は将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額の見積もりは合理的であると考えておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積もりが変更されることにより、将来キャッシュ・フローや回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。
当社グループでは、のれん、商標権及びその他の無形固定資産について、減損の判定を行っております。のれん、商標権及びその他の無形固定資産の公正価値の見積もりや減損判定に当たっては、外部専門家などによる評価を活用しております。公正価値の見積もりは、主に割引キャッシュ・フロー方式により行いますが、この方式では、将来キャッシュ・フロー、割引率など、多くの見積もり・前提を使用しております。これらの見積もり・前提は、減損判定や認識される減損損失計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。経営者は、当該判定における公正価値の見積もりは合理的であると判断しておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積もりが変更されることにより、公正価値が下落し、減損損失が発生する可能性があります。
当社グループでは、その他有価証券のうち、取得原価に比べ時価または実質価額が著しく下落したものについては、回復可能性があると判断される場合を除き、減損処理を行っております。時価のあるものについては、決算日現在の時価が取得原価に比べて50%以上下落した場合には回復可能性はないものと判断し、30%以上50%未満下落した場合には当該有価証券の発行会社の財政状態及び経営成績を勘案し、回復可能性を判断しております。時価のないものについては、発行会社の財政状態の悪化により、実質価額が取得原価に比べて50%以上低下した場合には、回復可能性があると判断できる場合を除き、減損処理を行っております。経営者は、回復可能性の判断が適切なものであると判断しておりますが、回復可能性ありと判断している有価証券についても、将来、時価の下落または投資先の財政状態及び経営成績の悪化により、減損損失が発生する可能性があります。
当社グループでは、回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対して評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は各社、各納税主体で十分な課税所得を計上するか否かによって判断されるため、その評価には、実績情報とともに将来に関する情報が考慮されております。経営者は、当該計上額が適切なものであると判断しておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化に伴う各社、各納税主体の経営悪化により、繰延税金資産に対する評価性引当額を追加で設定する可能性があります。
当社グループの主要な退職給付制度は、日本における企業年金制度及び退職一時金制度であります。従業員の退職給付費用及び債務は、割引率、退職率、死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等を含む前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件は年に一度見直しております。割引率と長期期待運用収益率は、退職給付費用及び債務を決定する上で、重要な前提条件であります。割引率は一定の格付けを有し、安全性の高い長期社債の期末における市場利回りを基礎として決定しております。長期期待運用収益率は年金資産の種類毎に期待される収益率の加重平均に基づいて決定しております。経営者は、これらの前提条件は適切であると考えておりますが、実際の結果との差異や前提条件の変更が将来の退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、平成23年度より“成長軌道に乗る”をテーマとした3カ年計画を推進してまいりました。長引く欧州の金融危機や尖閣諸島問題に端を発した中国での事業環境の悪化などを受け、前連結会計年度中に、“市場と同程度の売上成長でも着実に利益を拡大できる高収益構造”をめざす方向に軌道修正を行いました。その中迎えた3カ年の最終年度である当連結会計年度は、“成長の行く手を阻む経営課題の一掃に向けて徹底した選択と集中を進め、持続的な成長への道筋をつける年”と位置づけ、コスト構造改革と事業構造改革の継続や店頭在庫水準の適正化に向けた取り組みへの着手、不採算・低収益事業の健全化などに取り組むとともに、国内外において強く・大きく・収益性の高い領域に資源を集中して投入し、特に日本、中国及び「ベアエッセンシャルInc.」の3つの領域を重点強化いたしました。
なお、売上高、営業利益のセグメントの分析については、「1 業績等の概要 (1)業績」に記載しております。
売上高は、前連結会計年度に比べ12.4%増収(現地通貨ベースでは1.3%増収)の762,047百万円となりました。国内売上高は前連結会計年度比1.1%増収となり、海外売上高は26.4%の増収(現地通貨ベースでは1.8%増収)となりました。
売上原価は、前連結会計年度に比べ13.7%増加の189,559百万円となりました。売上高に対する比率は前連結会計年度より0.3ポイント上昇し24.9%となりました。これは主に原価率が高い海外売上高の構成比が増加したことによるものであります。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ7.8%増加の522,843百万円となりました。売上高に対する比率は、3.0ポイント減少し68.6%となりました。その内訳は次のとおりであります。
(a) マーケティングコスト
マーケティングコスト(広告費及び売出費)の売上高に対する比率は22.2%と前連結会計年度に比1.3ポイント減少しました。国内はコスト構造改革による費用減、海外では費用の効率運用により減少いたしました。
(b) 人件費
人件費の売上高に対する比率は、0.8ポイント減少し23.9%となりました。国内において賞与及び年金費用が減少したことが主な要因であります。
(c) 経費
経費(その他の費用)の売上高に対する比率は、0.7ポイント減少し21.3%となりました。国内、海外ともにコスト構造改革や費用の効率運用を推進したことが、主な要因で有ります。
(d) M&A関連償却費
M&A関連償却費の売上高に対する比率は、0.2ポイント減少し1.2%となりました。
販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費は前連結会計年度に比べ0.9%減少の13,540百万円となり、売上高に対する比率は1.8%となりました。なお、研究開発活動についての詳細は、「6 研究開発活動」として開示しております。
営業利益は、売上増に伴う差益増や為替影響に加え、全社をあげてコスト構造改革や費用の効率運用を継続したこと、国内において賞与及び年金費用などの人件費が減少したことなどかあら、前連結会計年度比90.6%増益の49,644百万円となりました。売上高営業利益率は2.7ポイント好転の6.5%となりました。
営業外損益は、主に為替差益が減少したことや、その他営業外費用が増加した影響により、前連結会計年度に比べ24.5%減少の1,782百万円の収益となりました。
経常利益は、営業利益が増加したことから、前連結会計年度に比べ81.0%増益の51,426百万円となりました。
特別損益は、前連結会計年度の34,848百万円の損失から999百万円の損失となりました。前連結会計年度は、平成22年3月に買収を完了し当社の子会社とした米国の化粧品会社「ベアエッセンシャルInc.」に係るのれんの減損損失や生産・研究開発拠点の再編に伴う構造改革費用を計上しましたが、当連結会計年度は、構造改革費用やのれんの減損が減少したことに加え、販売子会社の一部社屋等の売却により固定資産売却益が増加したことが主な要因であります。
税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度の6,442百万円の損失に対し、50,427百万円の利益となりました。
法人税等は、当連結会計年度において、課税所得が前連結会計年度より増加したことや、移転価格調査に関して発生する可能性が高いと予想される納税額を計上したことにより、前連結会計年度に比べ246.0%増加の21,690百万円となりました。
少数株主利益は、前連結会計年度に比べ31.1%増加の2,587百万円となりました。
当期純利益は、前連結会計年度の14,685百万円の当期純損失に対し、26,149百万円の当期純利益となりました。
1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の36.90円の損失に対し、65.65円の利益となりました。
なお、ROE(自己資本利益率)については、前連結会計年度の△5.1%に対し8.4%となりました。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「4 事業等のリスク」として開示しております。
経営戦略の現状と見通しについては、「1 業績等の概要」及び「3 対処すべき課題」として開示しております。
当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状態を常にめざし、安定的な営業キャッシュ・フローの創出、幅広い資金調達手段の確保に努めております。成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資・投融資資金は、主に手元のキャッシュと営業活動からのキャッシュ・フローに加え、借入や社債発行により調達しております。
手元流動性については、連結売上高の1.5ヵ月程度をひとつの目安としております。当連結会計年度末の現金及び預金、有価証券の総額は128,903百万円となり、手元流動性は連結売上高の2.0ヵ月分となりました。
一方、当連結会計年度末現在の有利子負債残高は、主に「ベアエッセンシャルInc.」買収に係る資金調達により155,918百万円となっております。国内普通社債の発行登録枠の未使用枠1,200億円、当社及び欧米子会社2社を発行体とするプログラム型シンジケート・ローンの未使用枠3.0億米ドル、並びに米国子会社のCPプログラムの未使用枠1.0億米ドルなどを有し、資金調達手段は分散化されております。
当連結会計年度末現在において、当社グループの流動性は十分な水準にあり、資金調達手段は分散されていることから、財務の柔軟性は高いと考えております。
当社グループは、流動性及び資本政策に対する財務の柔軟性を確保し、資本市場を通じた十分な資金リソースへのアクセスを保持するため、一定水準の格付けの維持が必要であると考えております。当社グループは、グローバルな資本市場から円滑な資金調達を行うため、ムーディーズ・ジャパン株式会社(以下「ムーディーズ」という。)及びスタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン株式会社(以下「S&P」という。)の2社より格付けを取得しております。
平成26年5月31日現在の債券格付けの状況(長期/短期)は以下のとおりであります。
| ムーディーズ | S&P |
長期 | A2(見通し:ネガティブ) | A-(見通し:安定的) |
短期 | P-1 | A-2 |
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ12.0%増加の801,346百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ21.0%増加の402,588百万円となりました。
固定資産は、主に為替影響による海外連結子会社における無形固定資産が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ4.1%増加の398,758百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ7.3%増加の442,638百万円となりました。
有利子負債の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 ⑤連結附属明細表」に記載しております。
当連結会計年度末の純資産は、株主資本の増加に加え為替換算調整勘定が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ18.3%増加の358,707百万円となりました。
1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に比べて128.21円増加し849.42円となり、自己資本比率は、前連結会計年度末の40.1%から2.1ポイント上昇し42.2%となりました。
キャッシュ・フローについては、「1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(キャッシュ・フロー指標の推移)
| 平成22年 | 平成23年 | 平成24年 | 平成25年 | 平成26年 |
自己資本比率(%) | 44.9 | 41.6 | 40.3 | 40.1 | 42.2 |
時価ベースの自己資本比率(%) | 104.1 | 77.5 | 78.9 | 73.8 | 90.3 |
債務償還年数(年) | 3.1 | 2.9 | 3.5 | 4.4 | 1.8 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 45.4 | 32.8 | 27.3 | 22.5 | 47.5 |
(注) 1 自己資本比率 : (純資産の部合計-新株予約権-少数株主持分)/総資産
時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産
債務償還年数 : 有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ : 営業活動によるキャッシュ・フロー/利払い
2 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
3 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
4 有利子負債は、連結貸借対照表上に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の「利息の支払額」を使用しております。
5 当社グループの米州子会社における、店頭販売活動に関する見本品・販促物の会計処理は、従来、取得時に資産計上し、顧客へ出荷した時点で費用処理しておりましたが、グループ内の会計処理の統一を図るために、第112期より取得時費用処理に変更しました。当該会計処理の変更は遡及適用され、第111期の連結財務諸表について遡及処理しております。
6 第114期より、「従業員給付」(国際会計基準第19号 平成23年6月16日改訂)を一部の連結子会社において適用し、確定給付負債の純額の変動の認識方法の変更等を行っております。当該会計方針の変更は遡及適用され、第113期の関連する主要な経営指標等については遡及処理後の数値を記載しております。
平成26年度は、マーケティングのプロフェッショナルとして外部から招聘した魚谷社長が率いる新たな経営体制で次なる成長に向けた準備に集中する年と位置づけ、“お客さま起点のマーケティング実行力とブランド力の強化”、“組織と企業風土の革新”、“経営基盤の強化”という大きな課題に取り組むとともに、持続的な力強い成長に向けて新たな中期経営計画を構築してまいります。併せて、すでに実行に移している構造改革も滞りなく進め、平成27年度からの新中期経営計画の実行につなげてまいります。
なお、主な取り組みの内容は以下のとおりであります。
(消費税増税後の反動の見極めと対策)
国内の消費税増税前の駆け込み需要の反動影響があると想定しており、このような市場環境に対応するための対策を実施してまいります。
(ブランド戦略の推進強化)
ブランドポートフォリオ確立に向け、平成26年度より、コーポレートブランドとしての「SHISEIDO」が持つコア価値を明確にし、これを強く訴求していくブランドを絞り込み、積極的な投資により高い成長性を実現させてまいります。日本においては、グローバルブランド「SHISEIDO」、「エリクシール」、「マキアージュ」、専門店専用ブランド「ベネフィーク」、長年のシミ予防研究から生まれた美白のスペシャルブランド「HAKU」、そして平成26年度中に発売予定の新しいシニア向けブランドの計6ブランドを選定いたしました。これら6ブランドのうち、グローバルブランド「SHISEIDO」「エリクシール」「マキアージュ」については、平成25年度に立ち上げたマーケティング改革プロジェクトの中でイノベーションの検討を進めており、それぞれ平成26年度中にブランドの刷新を行います。グローバルでは、グローバルブランド「SHISEIDO」や中国専用ブランド「AUPRES」の刷新や「bareMinerals」からの初のリキッドファンデーションの発売などを通じ、圧倒的なプレゼンスを確立してまいります。
(流通政策の強化と店頭展開の推進)
ブランド刷新に合わせて、新専門店政策や大手組織流通との協働取り組みを促進し、営業・流通政策の強化を進めてまいります。
(全社コストの見直しと効率化の徹底)
これまで取り組んできたコスト構造改革に加え、原材料などを含む原価、マーケティングコスト、人件費等を項目別に精査し、全社的にコストの見直しと効率化を徹底いたします。駆け込み需要の反動減に対応するためのプロジェクトを立ち上げ、収益性を一層高めてまいります。
(ビジネスマネジメントサイクルの構築・運用)
市場や競争環境の変化に迅速に対応すべく、各事業においてビジネスマネジメントレビューや今後の見通し、アクションプランの検討などのビジネスマネジメントサイクルを刷新・強化してまいります。そして、このようなマネジメントの徹底を通じ、ブランド間・事業間の資源シフトを機動的に行ってまいります。