第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

2015年3月にランバクシー・ラボラトリーズLtd.がサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.に吸収合併されたことにより、連結除外となりました。当連結会計年度はランバクシーグループを非継続事業と区分し、売上収益、営業利益及び税引前利益の金額はランバクシーグループを除いた継続事業のみの金額を表示しております。なお、前連結会計年度も当連結会計年度と同様に組み替えて表示しております。

 

当社グループの当連結会計年度(自 2014年4月1日 至 2015年3月31日)の売上収益は、202億円増収の9,194億円(前連結会計年度比2.3%増)となりました。日本における薬価改定や消費税率改定、ジェネリック医薬品の処方拡大による影響等があったものの、日本・アジア・中南米における主力品の伸長、及び為替の寄与(約285億円)等により、増収となりました。

営業利益は、385億円減益の744億円(前連結会計年度比34.1%減)となりました。連結子会社プレキシコンInc.の抗悪性腫瘍剤ゼルボラフの営業権を減損処理(350億円)したことによる売上総利益の減少や、国内事業再編に伴う経費(139億円)等により、減益となりました。

税引前利益は、330億円減益の799億円(前連結会計年度比29.2%減)となりました。為替差益がありましたものの、営業利益の減少を受け、減益となりました。

継続事業からの当期利益は、222億円減益の436億円(前連結会計年度比33.8%減)となりました。

親会社の所有者に帰属する当期利益は、2,612億円増益の3,221億円(前連結会計年度比428.6%増)となりました。ランバクシー・ラボラトリーズLtd.がサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.に吸収合併されたことによる税効果考慮後の子会社合併差益2,787億円(繰延税金負債として815億円計上)が発生したため大幅増益となりました。

 

地域別の売上収益は次のとおりであります。

 

① 日本

日本の売上収益は、5,492億円(前連結会計年度比1.0%減)となりました。

国内医薬では、ネキシウム、メマリー、イナビル、ランマーク、テネリア、プラリア、リクシアナ等が伸長したものの、薬価改定や消費税率改定、ジェネリック医薬品の処方拡大による影響等により、売上収益は4,770億円(前連結会計年度比0.9%減)となりました。この売上収益には、ジェネリック事業を主に取り扱う第一三共エスファ㈱の売上収益、並びに北里第一三共ワクチン㈱及びジャパンワクチン㈱等が取り扱うワクチン事業の売上収益が含まれております。当連結会計年度は新製品として、2014年5月にエフィエントを新発売いたしました。また、9月に田辺三菱製薬㈱の創製による2型糖尿病治療剤カナグルの共同販促を開始いたしました。さらに、リクシアナ(一般名エドキサバン)については心房細動領域及び静脈血栓塞栓症の両適応症を追加取得し、適応症追加に合わせて60mg錠を12月に新発売いたしました。

輸出医薬の売上収益は、215億円(前連結会計年度比3.1%減)となりました。

ヘルスケア(第一三共ヘルスケア㈱)の売上収益は、478億円(前連結会計年度比0.5%減)となりました。

 

<日本の主な売上構成>

 (単位:億円)

区分

前連結会計年度

(自 2013年4月1日

至 2014年3月31日)

当連結会計年度

(自 2014年4月1日

至 2015年3月31日)

増減

国内医薬

4,814

4,770

△43

△0.9%

輸出医薬

222

215

△7

△3.1%

ヘルスケア

481

478

△3

△0.5%

 

<国内医薬主力品売上収益>

(単位:億円)

製品名

前連結会計年度

(自 2013年4月1日

至 2014年3月31日)

当連結会計年度

(自 2014年4月1日

至 2015年3月31日)

増減

オルメテック
高血圧症治療剤

791

763

△28

△3.5%

ネキシウム
抗潰瘍剤

542

693

151

27.9%

ロキソニン
消炎鎮痛剤

(うちロキソニンテープ)

593

(352)

495

(311)

△98

△16.5%

メマリー
アルツハイマー型認知症治療剤

333

368

35

10.5%

クラビット
合成抗菌剤

335

278

△57

△16.9%

レザルタス

高血圧症治療剤

185

184

△0

△0.3%

アーチスト

高血圧・狭心症・

慢性心不全症治療剤

224

181

△43

△19.1%

オムニパーク

造影剤

197

172

△25

△12.5%

イナビル

抗インフルエンザウイルス剤

134

166

31

23.4%

メバロチン
高コレステロール血症治療剤

215

162

△53

△24.8%

ユリーフ

排尿障害治療剤

114

115

1

0.7%

ランマーク

癌骨転移治療剤

81

102

21

26.1%

テネリア

2型糖尿病治療剤

15

76

60

390.5%

プラリア

骨粗鬆症治療剤

32

73

42

131.8%

リクシアナ

抗凝固剤

4

36

32

792.8%

エフィエント

抗血小板剤

-

7

7

-%

 

② 北米

北米の売上収益は、2,299億円(前連結会計年度比8.4%増)となりました。現地通貨ベースでは20億9千1百万米ドル(前連結会計年度比1.2%減)となりました。

トライベンゾール、ウェルコール、エフィエント、ヴェノファー、インジェクタファーが増収となりましたが、ベニカー/ベニカーHCT、エイゾールが競合激化の影響を受け、減収となりました。当連結会計年度は新製品として、第一三共Inc.において、2015年2月にサベイサ(一般名エドキサバン)を新発売いたしました。

なお、第一三共Inc.は、主力品のプロモーション活動の一環として行った医師講演施策に関し、米国司法省より調査を受け、同省及びその他政府機関との間で和解に至りました。本和解に基づき、第一三共Inc.は約39百万米ドルの和解金を支払うと共に、保健福祉省監察総監室との間で、法令遵守に関する協定(Corporate Integrity Agreement)を締結いたしました。当社グループは、世界各国において今後とも一層法令遵守の徹底に努めて参ります。

 

<第一三共Inc.主力品売上収益>

(単位:百万米ドル)

製品名

前連結会計年度

(自 2013年4月1日

至 2014年3月31日)

当連結会計年度

(自 2014年4月1日

至 2015年3月31日)

増減

ベニカー/ベニカーHCT
高血圧症治療剤

857

700

△156

△18.2%

エイゾール
高血圧症治療剤

174

166

△8

△4.4%

トライベンゾール
高血圧症治療剤

90

103

13

14.3%

ウェルコール
高コレステロール血症治療剤

・2型糖尿病治療剤

422

431

9

2.2%

エフィエント
抗血小板剤

(共同販促収入)

154

160

6

3.7%

サベイサ

抗凝固剤

-

6

6

-%

 

<ルイトポルド・ファーマシューティカルズInc.主力品売上収益>

(単位:百万米ドル)

製品名

前連結会計年度

(自 2013年4月1日

至 2014年3月31日)

当連結会計年度

(自 2014年4月1日

至 2015年3月31日)

増減

ヴェノファー
貧血治療剤

248

260

12

4.7%

インジェクタファー

貧血治療剤

13

69

56

431.9%

 

③ 欧州

欧州の売上収益は、788億円(前連結会計年度比0.6%減)、現地通貨ベースでは5億6千8百万ユーロ(前連結会計年度比3.8%減)となりました。セビカー、セビカーHCTが増収となりましたが、オルメテック/オルメテックプラスが減収となりました。

 

<第一三共ヨーロッパGmbH主力品売上収益>

(単位:百万ユーロ)

製品名

前連結会計年度

(自 2013年4月1日

至 2014年3月31日)

当連結会計年度

(自 2014年4月1日

至 2015年3月31日)

増減

オルメテック/オルメテックプラス
高血圧症治療剤

331

272

△59

△17.9%

セビカー
高血圧症治療剤

100

127

26

26.1%

セビカーHCT
高血圧症治療剤

57

71

15

25.8%

 

④ その他の地域

その他の地域の売上収益は、615億円(前連結会計年度比16.4%増)となりました。

中国、ブラジル等において、オルメサルタン、クラビット等主力品が伸長いたしました。

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、63億円増加の1,894億円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益799億円、減価償却費及び償却費420億円及び減損損失376億円等の非資金項目のほか、法人所得税の支払等による資金の減少により、1,428億円の収入(前連結会計年度比1,055億円の収入増加)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資及び子会社の取得等により、213億円の支出(前連結会計年度比1,401億円の支出減少)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還、借入金の返済及び配当金の支払等により、1,322億円の支出(前連結会計年度比2,325億円の支出増加)となりました。

 

(3) サン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.によるランバクシー・ラボラトリーズLtd.の吸収合併に

  ついて

当社は、2014年4月、サン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.がランバクシー・ラボラトリーズLtd.を吸収合併し、その対価としてランバクシー・ラボラトリーズLtd.の株式1株に対しサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.の株式0.8株を当社が受領する契約を締結いたしました。

2015年3月24日にすべての合併手続が完了し、当社はサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.の株式を約9%所有することとなりました。

本手続により発生した子会社合併差益2,787億円(税効果考慮後)、合併関連費用並びにランバクシーグループの最終損益は、当社グループの当連結会計年度において非継続事業からの当期利益として計上しております。

なお、当社はこの手続により所有したサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.の株式を、2015年4月、さらなる企業価値向上の観点からすべて売却いたしました。

 

(4) IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項

(のれんの償却)

 日本基準では、のれんは、その効果が発現すると見積もられる期間で償却することとしておりましたが、IFRSでは、IFRS移行日以降、のれんの償却を行っておりません。

(無形資産)

 日本基準では、技術導入契約の一時金等の支出は、費用として認識しておりましたが、IFRSでは、IAS第38号による無形資産の定義を満たすものについては資産化しております。

 

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

医薬事業

502,829

90.7

合計

502,829

90.7

 (注)1.当社グループは、従来「第一三共グループ」「ランバクシーグループ」の2つを報告セグメントとしておりましたが、当連結会計年度末より「医薬事業」(旧「第一三共グループ」)の単一セグメントに変更しております。この変更は、「ランバクシーグループ」に該当するランバクシー・ラボラトリーズLtd.がサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.に吸収合併されたことにより、当連結会計年度末より連結の範囲から除外すると共に、当該事業を非継続事業に分類したためであります。

2.金額は正味販売価格によっております。

3.上記金額には消費税等を含めておりません。

 

(2) 受注状況

 当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画を策定し、これにより生産を行っております。受注生産は一部の連結子会社で行っておりますが、受注残高の金額に重要性はないため、記載を省略しております。

(3) 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

医薬事業

919,372

102.3

合計

919,372

102.3

 (注)1.当社グループは、従来「第一三共グループ」「ランバクシーグループ」の2つを報告セグメントとしておりましたが、当連結会計年度末より「医薬事業」(旧「第一三共グループ」)の単一セグメントに変更しております。この変更は、「ランバクシーグループ」に該当するランバクシー・ラボラトリーズLtd.がサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.に吸収合併されたことにより、当連結会計年度末より連結の範囲から除外すると共に、当該事業を非継続事業に分類したためであります。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

アルフレッサホールディングス

株式会社及びそのグループ会社

172,105

19.1

172,251

18.7

マッケソン社

110,755

12.3

138,514

15.1

3.上記金額には消費税等を含めておりません。

3【対処すべき課題】

現在、当社が対処すべき課題は次のとおりであります。

 

(1) エドキサバンの各国での早期市場導入と大型製品への育成

オルメサルタンに続く主力品として期待しているエドキサバンについては、心房細動領域及び静脈血栓塞栓症の両適応症に関して、当連結会計年度に日米で販売を開始いたしました。米国において使用制限が付いたことによる影響を最小限に止め、これまで培ってきた循環器に強みを持つ当社グループの営業基盤をフル活用して、着実に成長させるべく全力で取り組んでおります。続いて2015年4月に承認勧告を受けた欧州、今後発売が見込まれるアジア、中南米地域においても円滑な市場導入を果たし、グループの総力をあげて主軸製品に育成して参ります。加えて、製品価値最大化に向けたライフサイクルマネジメントを推進いたします。

 

(2) オルメサルタンの収益最大化

2016年秋以降の日米欧における特許期間の満了に備えて、現在の当社グループにおける最主力品であるオルメサルタンの収益最大化に全社で取り組むとともに、特許期間の満了後の影響を最小限に止める戦略を策定・実行して参ります。

 

(3) プラスグレルの日本における拡大と各国での維持成長

当連結会計年度に日本において販売開始した抗血小板剤プラスグレルについては、医療関係者との強い信頼関係を通じて、発売後1年経過し得られた有効性・安全性に関する評価をより浸透させ急速拡大させて参ります。また、欧米、アジア、中南米においても継続成長を図って参ります。

 

(4) 日本市場No.1に向けたシェア拡大

国内主力品(オルメテック・レザルタス、メマリー、ネキシウム、エフィエント、リクシアナ、テネリア・カナグル、ランマーク・プラリア)へプロモーションを集中することにより、日本市場シェアNo.1の獲得に向けて、一丸となって取り組んで参ります。

また、北里第一三共ワクチン㈱及びジャパンワクチン㈱との連携によるワクチン事業の拡充、第一三共エスファ㈱によるジェネリック事業の拡充、並びに第一三共ヘルスケア㈱によるヘルスケア事業の収益力向上に努めて参ります。

 

(5) 米国市場における維持拡大と新興国市場への取り組み

第一三共Inc.では、主力品オルメサルタン、エドキサバン、プラスグレルへの注力に加え、外部資源の導入を進めており、当連結会計年度にCL-108、キザルチニブ、モバンティック等の販売権、共同販促権を獲得し、オルメサルタンのパテントクリフを見据え収益の維持拡大に努めております。

ルイトポルド・ファーマシューティカルズInc.では、前連結会計年度に発売した貧血治療剤インジェクタファーの販促活動領域拡大による売上急伸を梃子として、大幅増収を実現いたします。

また、新興国では、中国におけるオルメサルタンをはじめとする主力品の伸長を成長牽引力とするASCA(アジアや中南米)事業の一層の拡大を目指して参ります。

 

(6) 研究開発力の強化

研究開発における重点領域を循環代謝領域・癌領域・フロンティア領域と定め、さらに医療ニーズの高い疼痛への取り組みも強化しております。

個別化医療へのアプローチ、バイオマーカー開発の強化、前連結会計年度に設立したベンチャーサイエンスラボラトリーからの成果獲得等、新薬候補の継続的創出に向けた研究開発の加速と生産性の向上を図って参ります。

また、戦略的な開発投資を推進し、エドキサバンに続く新たな自社グローバルパイプラインの確立を進めて参ります。ミロガバリン、キザルチニブ、CL-108等のフェーズ3試験を確実に推進して参ります。

さらに、自社の製薬技術の高度化により、新薬開発スピードの加速、高付加価値製剤の創出に繋げて参ります。

 

(7) ワクチン事業における課題

北里第一三共ワクチン㈱は、2011年に厚生労働省より新型インフルエンザワクチンの「細胞培養法ワクチン実生産施設整備等推進事業」の事業者に採択されましたが、ワクチン抗原の精製過程における収率低下等の要因により、国からの要請後6ヶ月以内に4,000万人分のワクチンを供給することが保証できない状況にありました。生産工程の見直しによる収率向上を果たし、2016年6月までには安定供給できるよう生産体制を整備して参ります。

他の製品についても、安定的に供給できる生産基盤の確立と原価低減による収益の改善を目指して参ります。

(8) 収益力向上への取り組み

継続的な投資原資を確保するため、日米欧において構造改革を行い、組織のスリム化、要員の適正化を図って参りました。

今後も、製造原価についてはエドキサバンの製法改良等による原価低減を推進し、研究開発費については選択と集中による効果的な資源投入を行い、販売管理費については国内外の事業運営体制の継続的な見直しによるさらなる効率化を図る等、グループ全体にわたるコスト削減による収益力向上への取り組みを進めて参ります。

また、資産の効率化によるキャッシュ・フローの改善にも取り組んで参ります。

 

(9) 株式の大量取得を目的とする買付けに対する基本的な考え方

当社は、株式の大量取得を目的とする買付けが行われる場合、それに応じるか否かは、株主の皆様の判断に委ねられるものと考えており、経営権の異動を通じた企業活動の活性化等の意義を否定するものではありません。したがって、当社は買収防衛策を予め定めておりません。

しかし、一般に高値売抜け等の不当な目的による企業買収の提案があり、それが当社の企業価値・株主共同の利益の向上に資さない場合には、当社としてその提案に対抗することは当然の責務と認識しております。そのため、当社は株式取引や株主の異動状況等を常に注視しており、実際に当社株式の大量取得を目的とした買付者が出現した場合には、社外の専門家を交えて買収提案の評価を行い、当社の企業価値・株主共同の利益への影響を慎重に判断し、これに資さない場合には、個別の案件に応じた適切な対抗措置を講じて参ります。

 

(10) 新たな中期経営計画の策定

当社グループは、オルメサルタンのパテントクリフ(特許期間満了による影響)を中期的な最大の経営リスクとして捉え、その克服のため「持続的成長の実現と収益性の改善」、「第一三共/ランバクシーを軸とするグループビジネスの深化と成果創出」を目指して参りました。

2014年4月に、サン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.がランバクシー・ラボラトリーズLtd.を吸収合併し、当社がその対価としてサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.の株式を受領することを合意し、その後インド国内外で必要手続を全て終え、2015年3月に合併を完了いたしました。

同時に、今後のあるべき経営方針を検討して参りました結果、経営の方向性を

 ① イノベーティブ医薬品をコアとした事業戦略に回帰する。

 ② 日米市場を中心に事業基盤を強化し、新興国への投資は中国を優先する。

 ③ 研究開発力の強化を図る。
と定めました。

この経営の方向性を基に、2016年3月を目処に、新たな中期経営計画(2016年度~2020年度)を策定して参ります。

 

 

4【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結会社)が判断したものであり、既知もしくは未知のリスク、不確実性又はその他の要因により、実際の結果とは乖離する可能性があります。

 

(1) サン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.とランバクシー・ラボラトリーズLtd.の合併に関するリ

  スク

当社は、サン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.がランバクシー・ラボラトリーズLtd.を吸収合併し、その対価として当社がサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.の株式を受領することについて、2014年4月にサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.との間で契約を締結し、2015年3月24日(クロージング日)に完了いたしました。

当社は、サン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.との間の本合併に関する契約に基づき、ランバクシー・ラボラトリーズLtd.のクロージング日前の品質問題等に関し、米国連邦政府又は州政府に支払う罰金及び損害等が、クロージング日から7年経過するまでの間にサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.等に生じた場合、その63.5%について325百万米ドルを上限として補償する義務の履行を求められる可能性があります。

 

(2) 災害等の発生による事業活動に関するリスク

地震、水害、暴風雨等の自然災害、火災、原子力発電所の事故、長時間の停電等社会インフラの障害、戦争、テロ等の発生により、当社グループの工場、研究所、事業所等の施設の損壊もしくは事業活動の停滞等の損害が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループは、2011年3月に発生した東日本大震災での経験を踏まえ、有事の際に速やかな業務復旧を図り、医療体制維持のため医薬品の品質確保と安定供給に努めるべく、事業継続計画(BCP)を刷新いたしました。新BCPにおいては、主力品を中心とした事業継続の観点及び緊急性のある薬剤や代替品のない薬剤といった社会的意義のある薬剤供給の速やかな実現という観点から、優先すべき品目の見直しを行いました。

また、サプライチェーンにおいては、東日本大震災時の復旧期間を参考にしつつ、地震の発生確率を加味した復旧期間のリスク評価を行い、予防策、支援策、代替策等を適宜更新しております。

 

(3) 製造・仕入れに関するリスク

製品の一部は当社グループの工場において独自の技術により製造しており、また、商品及び原材料の一部には特定の取引先にその供給を依存している品目があります。このため、何らかの理由により製造活動や仕入れが遅延又は停止した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすことがあります。医薬品は医薬品医療機器法の規制の下で製造しておりますが、品質問題の発生により製品回収等を行うことになった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすことがあります。

 

(4) 金融市況及び為替変動に関するリスク

株式市況の低迷により保有する株式の売却損や評価損が生じ、金利動向により退職給付債務の増加等が生じる可能性があります。また、為替相場の変動により、不利な影響を受ける可能性があります。当社グループはグローバルに事業を展開し、生産・販売・輸出入を行っておりますので、為替相場の変動は経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすことがあります。

 

(5) 研究開発・他社とのアライアンス等に関するリスク

新薬候補品の研究開発には、多額の費用と長い年月が必要でありますが、その間に期待された有用性が確認できず研究開発を中止する可能性があります。また、臨床試験で良好な結果が得られても承認審査基準の変更により承認が得られなくなる可能性があります。さらに、第三者との研究開発に係る提携に関して契約条件の変更・解消等が起こった場合、研究開発の成否に悪影響を及ぼすことがあります。

北里第一三共ワクチン㈱は、2011年に厚生労働省の「新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備事業(第2次事業)」の「細胞培養法ワクチン実生産施設整備等推進事業」の事業者に採択され、2014年3月末までに、6ヶ月以内に4,000万人分のワクチン供給体制を構築する計画でありましたが、ワクチン抗原の精製過程における収率低下等の要因により、本供給体制を確立できない状況にあります。その後の生産工程の見直しによる収率向上及び早期の供給体制確立により、2016年6月までに安定供給できる見込みであります。

 

(6) 副作用発現や他社競合等製品販売に関するリスク

予期していなかった副作用の発現、同領域の他社製品との競合や特許切れによる後発品の参入等は、売上を減少させる要因となり、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすことがあります。販売及び技術導出入契約の満了、契約条件の変更・解消等が起こった場合、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすことがあります。さらに先進諸国における後発品拡大の影響により、仮に製品として発売されても、研究開発投資に見合う売上・利益を確保できない可能性があります。

 

(7) 法規制、医療費抑制策等行政動向に関するリスク

国内医療用医薬品は、薬事行政の下、種々の規制を受けております。薬価基準の改定をはじめとして、医療制度や健康保険に関する行政施策の動向によっては、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすことがあります。また、海外においても同様に、医薬品として各種の規制を受けており、行政施策の動向による悪影響を受けることがあります。

第一三共Inc.は、主力品のプロモーション活動の一環として行った医師講演施策に関し、米国司法省より調査を受け、同省及びその他政府機関との間で和解に至りました。本和解に基づき、第一三共Inc.は約39百万米ドルの和解金を支払うと共に、保健福祉省監察総監室との間で、法令順守に関する協定(Corporate Integrity Agreement)を締結しました。当社グループは、世界各国において今後とも一層厳しく法令順守の徹底に努めて参ります。

 

(8) 知的財産に関するリスク

当社グループの事業活動が他者の特許等知的財産権に抵触する場合、事業の断念や係争の可能性があります。一方、第三者が当社グループの特許等知的財産権を侵害すると考えられる場合は、その保護のため訴訟を提起する場合があり、それらの動向は経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすことがあります。とくに先進諸国での後発品拡大を背景に、訴訟提起を含め、当社グループの知的財産に関するリスクが一層増大する可能性があります。

 

(9) 環境問題に関するリスク

医薬品の研究、製造の過程等で使われる化学物質のなかには、人の健康や生態系に悪影響を与える物質も含まれております。当社では医薬品等の管理には万全を期しておりますが、万一、当社グループが、土壌汚染、大気汚染、水質汚濁等に関し環境に深刻な影響を与えていると判断された場合、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすことがあります。

 

(10) 訴訟に関するリスク

公正取引に関する事案の他、事業活動に関連して、医薬品の副作用、製造物責任、労務問題等に関し、訴訟を提起される可能性があり、その動向によっては経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすことがあります。

 

(11) その他のリスク

上記のほか、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすことがあるリスクとしては、ネットワークウイルス等によるコンピュータシステムの休止、機密情報の漏洩や役職員の不正、株価や金利の変動、資金調達のリスク等が考えられます。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)ランバクシー・ラボラトリーズLtd.の吸収合併

当社は、サン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.が当社の連結子会社であるランバクシー・ラボラトリーズLtd.を吸収合併し、その対価として当社がサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.の株式を受領する取引(以下「本吸収合併」という。)を行うことを決定し、2014年4月6日付で、サン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.と関連契約を締結いたしました。また、サン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.とランバクシー・ラボラトリーズLtd.の間で、同日付で合併契約が締結されました。

本吸収合併は、ランバクシー・ラボラトリーズLtd.及びサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.の株主並びに規制当局の承認の取得並びにその他の必要な手続を経て、2015年3月24日に完了いたしました。当社は、ランバクシー・ラボラトリーズLtd.の株式の約63.4%を保有しておりましたが、本吸収合併により、サン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.の株式を約9%取得いたしました。

当社がサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.と締結した関連契約に基づく補償義務及び本吸収合併の当社損益に対する影響は次のとおりであります。

① 当社がサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.と締結した関連契約に基づく補償義務

当社は、本吸収合併に関連して、サン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.と締結した契約に基づき、ランバクシー・ラボラトリーズLtd.の合併完了前の品質問題等に関し、米国連邦政府又は州政府に支払う罰金及び損害等が、合併完了日から7年経過するまでの間にサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.等に生じた場合、その63.5%について325百万米ドルを上限として補償する義務を負っております。

② 当社損益に対する影響

本吸収合併により発生した子会社合併差益2,787億円(税効果考慮後)、合併関連費用並びにランバクシーグループの最終損益は、当社グループの当連結会計年度の連結業績において非継続事業からの当期利益として計上しております。

 

(2)第一三共プロファーマ㈱秋田工場の譲渡

当社は、2014年11月28日付で、第一三共プロファーマ㈱秋田工場の譲渡に係る株式譲渡契約をアルフレッサファーマ㈱と締結いたしました。また、当該株式譲渡契約に基づき、当該株式譲渡契約締結日と同日付で、当社及び第一三共プロファーマ㈱は、当社が2014年9月18日付で設立した当社の100%子会社であるアルフレッサファインケミカル㈱と分割契約を締結いたしました。

当該分割契約に基づき、2015年4月1日付で、第一三共プロファーマ㈱秋田工場に係る事業を当社及び第一三共プロファーマ㈱よりアルフレッサファインケミカル㈱に承継したうえで、当社はアルフレッサファインケミカル㈱の全株式をアルフレッサファーマ㈱に譲渡いたしました。

 

(3)国内サプライチェーン機能子会社の再編

当社は、グローバルレベルでの競争力のある生産体制を構築するために、当社及び国内サプライチェーン機能子会社3社(第一三共プロファーマ㈱、第一三共ケミカルファーマ㈱及び第一三共ロジスティクス㈱)間で、2014年11月28日付で分割契約及び合併契約を締結いたしました。

当該分割契約及び合併契約に基づき、当社は、2015年4月1日付で、国内サプライチェーン機能子会社3社を、第一三共ケミカルファーマ㈱を存続会社とする原薬機能会社と第一三共プロファーマ㈱を存続会社とする製剤/物流機能会社の2社に再編いたしました。

 

(4) 技術導入

契約会社名

相手先

国名

技術内容

対価

契約期間

第一三共㈱

(当社)

アムジェン社

アメリカ

抗RANKL抗体「デノスマブ」に関する技術

契約一時金及び

一定料率の実施料

自 2007年7月

至 2027年6月

第一三共㈱

(当社)

イノマブ社

シンガポール

ヒト化抗EGFRモノクロナール抗体抗癌剤「ニモツズマブ」に関する技術

契約一時金

自 2006年7月

至 上市後10年

(以後1年ごとの自動更新)

シマブ社

キューバ

第一三共㈱

(当社)

アーキュール社

アメリカ

抗悪性腫瘍剤「ARQ197」に関する技術

契約一時金及び

一定料率の実施料

自 2008年12月

至 実施料の支払満了日

第一三共㈱

(当社)

アンプリミューン社

アメリカ

自己免疫疾患治療剤「AMP-110」に関する共同研究開発並びにグローバルにおける臨床開発、製造及び販売に関する独占的オプション権

契約一時金及び

研究開発費用負担並びにオプション対価等

自 2012年12月

至 オプション権の行使期限日

第一三共㈱

(当社)

エル・オー・シー・エル・ファーマ社

アメリカ

制吐剤配合麻薬性鎮痛剤「CL-108」に関する技術

契約一時金及び

一定料率の実施料

自 2014年8月

至 開発又は販売の中止日

第一三共Inc.

(連結子会社)

ジェンザイム社

アメリカ

高脂血症治療剤「ウェルコール」に関する技術

契約一時金及び

一定料率の実施料

自 1999年12月

至 対象特許の満了日

ルイトポルド・ファーマシューティカルズInc.

(連結子会社)

バイフォー社

スイス

貧血治療剤「ヴェノファー」に関する技術

契約一時金及び

一定料率の実施料

自 1997年12月

至 2030年12月

 

(5) 技術導出

契約会社名

相手先

国名

技術内容

対価

契約期間

第一三共㈱

(当社)

イーライ・リリー社

アメリカ

虚血性疾患治療剤「エフィエント(プラスグレル)」に関する技術

契約一時金及び

一定料率の実施料

自 2001年6月

至 対象特許の満了日

プレキシコンInc.

(連結子会社)

ロシュ社

スイス

転移性悪性黒色腫治療薬「ゼルボラフ(ベムラフェニブ)」に関する技術

契約一時金及び

一定料率の実施料

自 2006年9月

至 対象特許の満了日又は上市後12年のうち何れか遅く到来する日

 

(6) 販売契約等(導入)

契約会社名

相手方の名称

国名

契約の内容

契約期間

第一三共㈱

(当社)

田辺三菱製薬㈱

日本

同社の血糖降下剤「テネリア」の日本国内における共同販売、及び同社の血糖降下剤「カナグル」の日本国内における共同販促

自 2012年3月

至 上市後10年

(以後1年ごとの自動更新)

第一三共㈱

(当社)

メルツ・ファーマシューティカルズ社

ドイツ

同社のアルツハイマー型認知症治療剤「メマリー」の日本国内における独占販売

自 1997年12月

至 上市後10年

第一三共㈱

(当社)

アストラゼネカ社

スウェーデン

同社のプロトンポンプ阻害剤「ネキシウム」の日本国内における独占販売及び共同販促

自 2010年10月

至 上市後10年

(以後は何れかが12ヶ月前通知により解約する日)

第一三共㈱

(当社)

ジーイー・ヘルスケア社

ノルウェー

同社の非イオン性造影剤「オムニパーク」の日本国内における独占販売

自 1987年3月

至 販売終了の日

第一三共㈱

(当社)

ユーシービー・バイオファーマ社

ベルギー

同社のてんかん治療薬「ラコサミド」の日本国内における独占販売及び共同販促

自 2014年11月

至 上市後10月

第一三共㈱

(当社)

ゼリア新薬工業㈱

日本

α型ヒト心房性ナトリウム利尿ポリペプチド製剤「ハンプ」の日本国内における独占販売

自 2003年4月

至 2015年7月

第一三共㈱

(当社)

キッセイ薬品工業㈱

日本

同社の排尿障害治療剤「ユリーフ」の日本国内における共同販売

自 2004年6月

至 販売中止日

第一三共㈱

(当社)

エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社

スイス

同社の高血圧症治療剤「アーチスト」の日本国内における独占販売

自 1989年7月

至 商標使用の終了日

第一三共㈱

(当社)

サノフィ㈱

日本

同社のインフルエンザ菌b型による感染症予防小児用ワクチン「アクトヒブ」の日本国内における販売

自 2008年11月

至 2018年12月

(協議更新)

第一三共Inc.

(連結子会社)

アストラゼネカ社

イギリス

オピオイド(麻薬性鎮痛薬)誘発性便秘薬「モバンティック」の米国内における共同販促

自 2015年3月

至 年間販売額が一定基準を下回ったとき

 

(7) 販売契約等(導出)

契約会社名

相手方の名称

国名

契約の内容

契約期間

第一三共ヨーロッパGmbH

(連結子会社)

メナリーニ社

イタリア

血圧降下剤「オルメテック(オルメサルタン)」の欧州における共同販売

自 2001年6月

至 対象特許の満了日

ルイトポルド・ファーマシューティカルズInc.

(連結子会社)

フレゼニウス・ユーエスエイ・マニュファクチャリング社

アメリカ

貧血治療剤「ヴェノファー」の米国内における販売

自 2008年11月

至 2018年10月

 (注)第一三共Inc.とフォレスト・ラボラトリーズ社の血圧降下剤「ベニカー(オルメサルタン)」の米国内における共同販促に関する契約は、2014年4月に終了しております。

 

(8) 業務委託契約

契約会社名

相手方の名称

国名

契約の内容

契約期間

第一三共㈱

(当社)

㈱日立製作所

日本

IT業務の同社への委託

自 2014年4月

至 2017年3月

 

6【研究開発活動】

当社グループは、革新的医薬品の迅速かつ継続的な創出に向けた取り組みを推進しており、重点領域を循環代謝領域・癌領域・フロンティア領域と定め、ベストインクラス・ファーストインクラス品目の創出に注力しております。

また、子会社のアスビオファーマ㈱、U3ファーマGmbH、プレキシコンInc.に加え、2013年4月に当社内にベンチャーサイエンスラボラトリーを新設し、ベンチャースピリットの強化を進めております。

さらに、他社との提携やオープンイノベーションの拡充、バイオ医薬品事業への本格参入に向けた研究開発の強化やワクチンの研究開発も推進しております。

 

(1) 主な研究開発プロジェクト

① プラスグレル

 日本では、2014年5月より経皮的冠動脈形成術を伴う虚血性心疾患の適応で製品名エフィエントとして販売しております。さらに、虚血性脳血管障害患者を対象としたフェーズ3試験を推進しております。

 また、米国において小児鎌状赤血球症患者を対象としたフェーズ3試験を推進しております。

② エドキサバン

 日本では、2011年より下肢整形外科手術後の静脈血栓塞栓症発症抑制の適応症で製品名リクシアナとして販売しておりますが、2014年9月に非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、並びに静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制の両効能を追加取得いたしました。

 米国では、2015年1月に非弁膜症性心房細動患者における脳卒中及び全身性塞栓症のリスク低減、並びに静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺塞栓症)の治療の両適応症で承認を取得し、2015年2月に製品名サベイサとして販売開始いたしました。なお、非弁膜症性心房細動患者に関しては、腎機能の指標であるクレアチニンクリアランスの数値が95mL/minを超える患者は投与対象としないという承認内容になっております。

 欧州では、2014年1月に承認申請を行っており、薬事当局の審査が続いておりますが、欧州医薬品委員会より2015年4月に承認勧告を得ております。また、欧州医薬品庁非加盟のスイスにおいて、2015年4月スイス医薬品庁より承認を取得しております。

③ デノスマブ

 デノスマブは、骨代謝に関わる抗体医薬品であり、米国アムジェン社から日本における開発・販売権を取得しております。2012年4月にランマークの製品名で多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変の適応症で発売し、2014年5月に骨巨細胞腫に関する承認事項一部変更承認を取得いたしました。

 また、2013年6月にはプラリアの製品名で骨粗鬆症治療剤として発売しております。

 さらに、乳癌術後補助療法を対象としたグローバルフェーズ3試験、関節リウマチ患者を対象とした国内フェーズ3試験を推進しております。

④ ミロガバリン

 ミロガバリンは、米欧で線維筋痛症患者を対象としたフェーズ3試験を推進しております。

 日本・アジアでは、糖尿病性末梢神経障害性疼痛患者及び帯状疱疹後神経痛患者を対象としたフェーズ3試験を2015年1月より開始しております。

⑤ ワクチン

 2014年7月に、北里第一三共が、百日せき、ジフテリア、破傷風及び急性灰白髄炎(ポリオ)を予防する4種混合ワクチンであるスクエアキッズ皮下注シリンジについて、国内製造販売承認を取得いたしました。また、2015年4月には、当社、北里第一三共、当社関連会社のジャパンワクチンとテルモ㈱の4社が共同開発した、皮内投与型季節性インフルエンザワクチンについて、ジャパンワクチンが国内製造販売承認申請を行いました。さらに、医療ニーズの高い複数のワクチンの研究開発を推進しております。

 

(2) 主な研究開発提携等

① 他社との提携、企業買収

(ⅰ) 米国チャールストン社からの制吐剤配合麻薬性鎮痛剤CL-108導入

 2014年8月、米国チャールストン社から、制吐剤配合の麻薬性鎮痛剤CL-108を導入いたしました。中等度から重度の急性疼痛並びにオピオイド誘発性悪心・嘔吐の低減を目指し、現在、フェーズ3試験を推進しております。

(ⅱ) 米国アンビット・バイオサイエンシズCorp.の買収

 2014年11月に当社は米国アンビット・バイオサイエンシズCorp.を買収いたしました。現在、同社が保有するFLT3チロシンキナーゼ阻害剤キザルチニブについて、急性骨髄性白血病患者を対象としたフェーズ3試験を推進しております。

(ⅲ) ベルギーUCB社とのてんかん治療剤ラコサミドの日本における共同商業化契約

 2014年11月にベルギーUCB社(以下「UCB」)との間で、UCBが開発するてんかん治療剤ラコサミドを日本において共同で商業化する契約を締結いたしました。2015年に日本においてUCBがラコサミドの承認を申請する予定であり、その製造はUCBが担い、販売・流通は当社が担当することとなります。

(ⅳ) アストラゼネカ社との米国におけるオピオイド誘発性便秘薬モバンティックに関する共同商業化契約

 2015年3月、米国第一三共Inc.とアストラゼネカ社は、オピオイド(麻薬性鎮痛薬)誘発性便秘の治療薬モバンティックについて、米国での共同商業化契約を締結し、4月に新発売いたしました。アストラゼネカ社が同剤の製造を担い売上を計上するとともに、当社は売上に応じた共同販促の対価を受け取ることとなります。

② オープンイノベーション

(ⅰ) UCSFとの神経変性疾患に関する創薬共同研究提携

 2014年3月、当社は、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)神経変性疾患研究所との間で、アルツハイマー病やパーキンソン病等の神経変性疾患に対する治療薬及び診断薬に関する共同研究契約を締結いたしました。2013年4月に新設した当社ベンチャーサイエンスラボラトリーから研究員を派遣し、双方の強みを生かすとともに、本提携を通じて獲得した新たな知見も活用して、複数の化合物スクリーニングを実施しております。

(ⅱ) Sanford-Burnham Medical Research Instituteとの共同研究提携

 2014年5月、当社は、米国 Sanford-Burnham Medical Research Institute(SBMRI)と循環代謝疾患の治療薬に関する包括的共同研究契約を締結いたしました。本提携により、当社はSBMRIとアンメットニーズに合致する新規の循環代謝疾患治療薬に関わる共同研究を行い、治療標的の妥当性検証からリード化合物取得にフォーカスし、ファーストインクラスの創薬を加速いたします。

(ⅲ) 創薬共同研究公募(TaNeDS)

 当社は、オープンイノベーションの一環として、2011年度から創薬共同研究公募(TaNeDS)を日本国内アカデミアの研究者を対象に実施し、2013年からは海外(ドイツ、スイス、オーストリア)においても、大学及び研究機関の研究者を対象に、創薬共同研究の公募(TaNeDS Global Program)を実施しており、2014年度も選考の結果、複数の共同研究を開始しております。

 

 なお、当連結会計年度の研究開発費は、1,907億円(前連結会計年度比5.5%増)となり、売上収益に対する研究開発費の比率は、20.7%となりました。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2015年6月22日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループは、積極的なグローバル事業の展開による企業価値の向上に資するために、基準とすべき会計及び財務報告のあり方を検討した結果、資本市場における財務情報の国際的な比較、グループ内での会計処理の統一、グローバル市場における資金調達手段の多様化等を目的として、2014年3月期よりIFRSを適用しております。

当社グループの連結財務諸表の作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としており、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3 重要な会計方針」に記載しております。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

① 売上収益

売上収益は、前連結会計年度に比べ202億円(+2.3%)増収の9,194億円となりました。日本において薬価改定や消費税率改定及びジェネリック医薬品の処方拡大による影響があったものの、抗潰瘍剤ネキシウム、アルツハイマー型認知症治療剤メマリー等の伸長や、円安の寄与(約285億円)もあり、増収となりました。

② 売上原価

売上原価は、前連結会計年度に比べ402億円(+14.2%)増加の3,231億円となりました。主に連結子会社プレキシコンInc.の抗悪性腫瘍剤ゼルボラフの営業権を減損処理(350億円)したことによる増加であります。当連結会計年度についても、原価低減への取り組みを継続的に実施しております。

③ 販売費及び一般管理費、研究開発費

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ85億円(+2.6%)増加の3,312億円となりました。研究開発費は、前連結会計年度に比べ100億円(+5.5%)増加の1,907億円、対売上収益研究開発費比率は20.7%となりました。当社グループは、今後とも収益動向を踏まえた研究開発活動の効率化を進めると同時に、企業価値の向上と将来にわたる成長力獲得を目指した積極的な研究開発投資を実施して参ります。

④ 営業利益

これらの結果、営業利益は前連結会計年度に比べ385億円(△34.1%)減益の744億円、対売上収益営業利益率は8.1%となりました。

⑤ 税引前利益

税引前利益は、前連結会計年度に比べ330億円(△29.2%)減益の799億円となりました。

⑥ 法人所得税費用

法人所得税費用は、前連結会計年度に比べ108億円(△22.9%)減少の364億円となりました。

⑦ 継続事業からの当期利益

継続事業からの当期利益は、前連結会計年度に比べ222億円(△33.8%)減益の436億円となりました。

⑧ 非継続事業からの当期利益

非継続事業からの当期利益は、ランバクシー・ラボラトリーズLtd.がサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.に吸収合併されたことによる子会社合併差益、ランバクシーグループの損益及び合併に伴う費用等により構成されており、前連結会計年度に比べ2,878億円増加の2,754億円となりました。

⑨ 親会社の所有者に帰属する当期利益

以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度に比べ2,612億円(+428.6%)増益の3,221億円となりました。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

① 重要な製品の売上動向

当社グループでは、高血圧症治療剤オルメサルタン・フランチャイズ、抗血小板剤プラスグレル及び経口FXa阻害剤エドキサバンをグローバル戦略製品と位置付けております。競合激化、価格への圧力増大といった環境下においても、日本、欧米及び新興国市場での最大化を図って参ります。その売上の動向は当社グループの経営成績に重要な影響を与えるものと考えております。

② 研究開発活動・ライセンス活動の動向

当社グループは、継続的に新製品を発売し成長を続けるために、グローバルに研究開発活動・ライセンス活動を推進しております。

後期開発段階においては、抗血小板剤プラスグレルについて、日本では2014年5月より経皮的冠動脈形成術を伴う虚血性心疾患の適応で製品名エフィエントとして販売しております。さらに、虚血性脳血管障害患者を対象としたフェーズ3試験を推進しております。また、米国において小児鎌状赤血球症患者を対象としたフェーズ3試験を推進しております。

経口FXa阻害剤エドキサバンは、日本では2011年より下肢整形外科手術後の静脈血栓塞栓症発症抑制の適応症で製品名リクシアナとして販売しておりますが、2014年9月に非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、並びに静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制の両効能を追加取得いたしました。米国では、2015年1月に非弁膜症性心房細動患者における脳卒中及び全身性塞栓症のリスク低減、並びに静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺塞栓症)の治療の両適応症で承認を取得し、2015年2月に製品名サベイサとして販売開始いたしました。なお、非弁膜症性心房細動患者に関しては、腎機能の指標であるクレアチニンクリアランスの数値が95mL/minを超える患者は投与対象としないという承認内容になっております。欧州では、2014年1月に承認申請を行っており、薬事当局の審査が続いておりますが、欧州医薬品委員会より2015年4月に承認勧告を得ております。また、欧州医薬品庁非加盟のスイスにおいて、2015年4月にスイス医薬品庁より承認を取得いたしました。

抗RANKL抗体デノスマブは、骨代謝に関わる抗体医薬品であり、米国アムジェン社から日本における開発・販売権を取得しております。2012年4月にランマークの製品名で多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変の適応症で発売し、2014年5月に骨巨細胞腫に関する承認事項一部変更承認を取得いたしました。また、2013年6月にはプラリアの製品名で骨粗鬆症治療剤として発売いたしております。さらに、乳癌術後補助療法を対象としたグローバルフェーズ3試験、関節リウマチ患者を対象とした国内フェーズ3試験を推進しております。

α2δリガンドであるミロガバリンは、米欧で線維筋痛症患者を対象としたフェーズ3試験を推進しております。日本・アジアでは、糖尿病性末梢神経障害性疼痛患者及び帯状疱疹後神経痛患者を対象としたフェーズ3試験を2015年1月より開始しております。

ワクチンに関しては、2014年7月、北里第一三共ワクチン㈱が百日せき、ジフテリア、破傷風及び急性灰白髄炎(ポリオ)を予防する4種混合ワクチンであるスクエアキッズ皮下注シリンジについて、国内製造販売承認を取得いたしました。また、2015年4月には、当社、北里第一三共ワクチン㈱、当社関連会社のジャパンワクチン㈱とテルモ㈱の4社が共同開発した、皮内投与型季節性インフルエンザワクチンについて、ジャパンワクチン㈱が国内製造販売承認申請を行いました。さらに、医療ニーズの高い複数のワクチンの研究開発を推進しております。

これらの開発品について、当局の審査動向によっては、将来の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、製品として発売するに至るまでには、相当額の投資が必要となります。収益動向等を踏まえ効率的な研究開発投資に努めておりますが、想定以上の投資が必要となり経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、臨床試験で新薬の候補品が期待通りの効果を得られなかった場合や、候補品の安全性に疑問が残る結果となった場合、開発期間の延長、開発の中断あるいは中止を行う場合があり、経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

③ 日本及び諸外国の薬価制度の動向

日本、米国及び欧州等の薬価基準及び薬剤の価格は、各国政府の規制、保護を受けておりますが、規制あるいは保護の制度変更等により、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① 財政状態

当連結会計年度末における資本合計は1兆3,070億円(前連結会計年度末比2,995億円増加)、資産合計は1兆9,823億円(前連結会計年度末比1,282億円増加)、親会社所有者帰属持分比率は65.8%(前連結会計年度末52.9%)となりました。資本合計は、当期利益の計上や在外営業活動体の換算差額等により増加いたしました。資産合計は、ランバクシー・ラボラトリーズLtd.がサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.に吸収合併されたことによる子会社合併差益の計上に伴いその他の金融資産が大幅に増加したものの、社債の償還及び借入金の返済等により、資本合計と比較して増加額は小幅にとどまっております。

② キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、期首に比べ63億円増加の1,894億円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、、税引前利益799億円、減価償却費及び償却費420億円及び減損損失376億円等の非資金項目のほか、法人所得税の支払等による資金の減少により、前連結会計年度に比べ1,055億円収入増加の1,428億円の収入となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資及び子会社の取得等により、前連結会計年度に比べ1,401億円支出減少の213億円の支出となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還、借入金の返済及び配当金の支払等により、前連結会計年度に比べ2,325億円支出増加の1,322億円の支出となりました。

③ 資金需要

当社グループでは、今後もグローバル市場での事業展開を加速するため、グローバルにおいて研究開発活動、ライセンス活動を継続するとともに、自社販売体制をより一層拡充して参ります。当社グループは、引き続き財務の健全性を保ち、営業活動によるキャッシュ・フローの創出によって、当社グループの成長に必要な資金調達が可能であると考えております。