文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
企業理念:「医療を通じて社会に貢献する」
当社グループは、1921年の創業以来、この企業理念のもと、医療の進歩や安全性の向上を目指し、一貫して医療現場のニーズに応える医療機器、医薬品の開発と普及に取り組んでいます。
5つのステートメント:「開かれた経営」、「新しい価値の創造」、「安全と安心の提供」、「アソシエイトの尊重」、「良き企業市民」
このステートメントは、当社グループが企業活動を行う上で行動や判断の基準とする原則を示したものです。
グローバルビジョン:“Innovating at the Speed of Life”
当社グループが将来に向かって取り組むべきこと、また、進むべき方向性を示しています。患者さんの命を第一に、医療従事者のパートナーであり続けること、そしてイノベーションを起こすことで、患者さんの暮らしや医療をより良くしていくという方針を示しており、2015年1月に策定いたしました。
(2)経営環境、経営戦略及び対処すべき課題
医療機器市場は、高齢者数の増加と、それに伴う慢性疾患の増加等により、今後も市場の拡大が見込まれています。一方で医療費の増加が財政を圧迫する中、価値や効率性を重視した医療へのシフトが進んでいます。また、海外では買収や合併による業界再編が進み、企業規模の巨大化と集中・寡占化が進みつつあります。このような事業環境の変化を踏まえ、当社グループは、2016年12月に発表した次の5年度を対象とする中長期成長戦略を推進しています。中長期ビジョンとして「日本発のグローバル企業」を掲げ、世界の医療現場からトップブランドとして信頼されるメーカーとなること、そしてその信頼を製品・供給・サービスのトータルクオリティーで担保することを目指しています。
中長期成長戦略
①グローバルでは選択と集中
高度医療を支えるために不可欠な製品や独自の技術力を活かして、グローバルでは、カテーテル、脳血管、D&D(ドラッグアンドデバイス、薬と医療機器を組み合わせて付加価値を高める領域)、血液治療等、市場の拡大が見込まれる領域やテルモの競争力を発揮できる分野に注力します。
②日本では総合力の発揮
ホームグラウンドである日本では、幅広い製品構成や医療現場との接点、確立した流通網等を活かして、医療機関や地域のニーズを満たし、患者さんのQOL(生活の質)の向上や医療の効率化に貢献する製品・サービスを提供していきます。
③イノベーションの推進
グローバルに展開する開発拠点やこれまで研究開発活動を通じて培った幅広いコア技術を活かし、自社開発を強化するとともに、社外との連携も推進し、社会全体への影響が大きい医療課題の解決に向けて、価値あるイノベーションの創出を目指します。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、2016年12月に次の5年度を対象とする中長期成長戦略を策定し、成長性、収益性、効率性においてそれぞれ以下の目標を掲げ、達成に向けて取り組んでいきます。
|
方針 |
目標 |
|
成長性 |
市場拡大ペースを上回る成長 |
売上収益 |
:一桁後半の成長 |
収益性 |
売上成長を上回る利益成長 |
調整後営業利益※1 |
:二桁成長 |
調整後EPS※2 |
:270~300円※3 |
||
効率性 |
適切な効率性水準を維持 |
調整後ROE※4 |
:10%以上を維持 |
想定為替レート:USD=105円、EUR=115円
※1 買収に伴い生じた無形資産償却や一時費用等を除いた営業利益
※2 買収に伴い生じた無形資産償却や一時費用等を除いたEPS(基本的一株当たり当期利益)
※3 最終年度2021年度時点
※4 資本に含まれる買収関連資産に係る在外営業活動体の換算差額を除いたROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)
(4)会社の支配に関する基本方針
1.当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は経営支配権の異動を通じた企業活動や経済の活性化を否定するものではありません。また、大規模買付行為が開始された場合において、これを受け入れるかどうかは、原則として、当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えております。しかしながら、当社は、大規模買付行為又はこれに関する提案につきましては、当社株主の皆様が、当該大規模買付者の事業内容、事業計画、さらには過去の投資行動等から、当該大規模買付行為又は提案の企業価値及び株主の皆様共同の利益への影響を慎重に判断する必要があると認識しています。そのためには、大規模買付者及び当社取締役会の双方から、当社株主の皆様に必要かつ十分な情報、意見、提案などの提供と、それらを検討するための必要かつ十分な時間が確保される必要があると考えます。
当社取締役会は、このような基本的な考え方に立ち、大規模買付行為等を行おうとする者に対しては、当社の企業価値及び株主共同の利益を確保するため、大規模買付行為等の是非を株主の皆様が適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を要求するほか、当社において適時適切な情報開示を行う等、金融商品取引法、会社法その他の法令及び定款の許容する範囲内において、適切と判断される措置を講じていきます。
2.基本方針の実現に資する取組み
1)当社の企業価値及び株主の皆様共同の利益向上に向けた取組み
①企業理念と経営の基本姿勢
当社は1921年の創業以来、「医療を通じて社会に貢献する」との企業理念のもと、日本の医療機器業界をリードする企業として、医療の進歩や安全性の向上とともに、企業価値及び株主の皆様共同の利益の向上に誠実に努めることを経営の基本姿勢としており、現在では、世界160カ国以上の国に高品質な医療機器を供給しております。
②具体的な取組み
先進国における市場成長の鈍化と医療費抑制の動き、新興国における価格圧力など、世界の医療機器産業を取り巻く市場環境は転換期を迎えていますが、当社の参入領域は、今後も成長が期待できる領域であると考えております。例えば、カテーテルを用いた血管内治療は、治療の低侵襲化という流れに即して、心臓の血管だけではなく、脳や下肢など全身の血管に広がっています。また血液の分野においては輸血療法に加え、免疫疾患などアフェレシス治療の需要も高まっています。さらに、ホスピタル分野では、医療事故や感染を防止するセーフティ化、痛みの少ない注射針のニーズが現場でますます高まっています。このような新たな市場ニーズを成長の機会として捉え、企業理念である医療を通じた社会への貢献を実現するべく、持続的かつ収益性のある成長を続けると同時に、医療現場のニーズに合致した製品開発でイノベーションを起こし、「世界で存在感のある企業」を目指してまいります。
2)当社の社会的使命
当社は医療機器のリーディングカンパニーとして、長年にわたって医療現場と信頼関係を築き、医療を通じて社会に貢献してまいりました。優れた製品やサービス・システムを高い品質で安定的に供給すること、そして、患者さんや医療従事者の視点に立ち、医療を取り巻く様々な社会的課題の解決に向けて積極的に挑戦することが、最も重要な当社の社会的責任であると考えています。このような考え方のもと、当社は引き続き、製品の供給や品質の確保において世界の医療供給体制の中で重要な役割を担い、医療現場に安全と安心を提供してまいります。
不適切な買収行為により、当社製品の供給や品質に問題が生じた場合、社会の人々の生命や健康に深刻な影響を及ぼす可能性も否定できません。そのような事態を招くことなく、社会と医療現場からの長年の信頼を維持向上させる安定的経営は、当社の企業価値・株主の皆様共同の利益にもかなうこととなります。
3)コーポレート・ガバナンスの強化
コーポレート・ガバナンスに関する取組みにつきましては、「第4 提出会社の状況 6.コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの状況」に記載のとおりです。
3.具体的取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
上記2に記載した、当社の目標の実現に向けた成長戦略の着実な実行は、当社の企業価値及び株主の皆様共同の利益を確保・向上させるものであり、当社の基本方針に沿うものです。
当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
・医療行政の方針変更
当社の属する業界は、国内外で、医療費抑制や、医療の質の向上を目的とした医療制度改革が継続的に行われております。今後予測できない大規模な医療行政の方針変更が行われ、急激な環境変化が生じた場合には、当社の経営成績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・販売価格の変動
当社の属する業界は、日本では医療費抑制策の一環として、2年に1度、診療報酬、薬価及び特定保険医療材料の公定償還価格の改定が行われます。また、国内外ともに、市場における企業間競争の激化や技術革新により、大幅な価格下落が発生する可能性があり、これらの販売価格の変動は、当社の経営成績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・原材料価格の変動
当社の製品を製造するための原材料は、プラスチックなどの石油を原料とするものが多いため、世界的な資源価格の高騰により、原材料購入費用が増加し、当社の経営成績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・為替レートの変動
当社は、日本に本社を置き事業運営を行っているため、各地域における現地通貨建て財務諸表を連結財務諸表作成等のために円換算しています。従って為替レートに変動があると、換算に適用するレートが変動し、円換算後の損益に影響を受けることとなります。
当社は海外工場への生産移管、海外からの原材料調達等の構造的対応を図るとともに、保有する債権の当該リスクに対し、機動的な為替予約により対処しています。
しかしながら、予想外の変動が生じた場合には、当社の経営成績と財務状況に影響を与えることがあります。
・海外活動に係るリスクについて
当社は世界各国に製品を供給していますが、当社が事業活動している様々な市場における景気後退や、それに伴う需要の縮小、あるいは海外各国における予期せぬ政情の変化や法規制等の変更があった場合、当社の経営成績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・品質問題について
当社は、医薬品及び医療機器のGMP基準や、品質マネジメントシステムである国際規格ISOの基準等に基づいて、厳格な品質管理のもとで製品の製造をしています。しかしながら、医療事故等の発生に際して、当社製品に関わる品質上の問題が疑われる場合もあります。また、医療事故等の発生に当社製品が直接関与していないことが明らかであっても、将来的に当社製品にリスクが波及する可能性がある場合、予防的な対策、措置を講じることがあります。そのような場合には、売上の低下、またはコスト増などにより、当社の経営成績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・重要な訴訟等について
当社は、国内外の事業に関連して、訴訟、紛争、その他の法的手続きの対象となるリスクがあります。これらの法的なリスクについて、法務・コンプライアンス室、知的財産部等の管轄部署による調査や社内チェック体制の整備をしており、必要に応じて取締役会及び監査等委員会に報告する管理体制となっています。しかしながら、万一第三者より、将来、損害賠償請求や使用差し止め等の重要な訴訟が提起された場合は、当社の経営成績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・企業合併及び買収等について
当社は、企業の合併・買収や資本・業務提携を事業基盤の強化を図るための重要な戦略の一つと位置付けておりますが、今後、かかる企業合併・買収や資本・業務提携の成否によっては、当社の経営成績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・その他
取引慣行の変化、テロ・戦争・疫病や新型インフルエンザなどの世界的な感染症拡大・災害等が発生した場合には、当社の経営成績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
《おことわり》
当社の開示資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が当連結会計年度末現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、当社としてその実現を約束する趣旨のものではありません。様々な要因により、実際の業績等が変動する可能性があることをご承知おきください。実際の業績に影響を与えうる重要な要素には、当社の事業領域を取り巻く経済情勢、為替レートの変動、競争状況などがあります。
【業績等の概要】
(1)業績
当社グループの連結業績は、当連結会計年度より従来の日本基準に替えて国際会計基準(以下「IFRS」という。)を適用しております。また、前連結会計年度の数値についても、IFRSに組み替えて比較分析を行っております。
なお、財務数値に係るIFRSと日本基準との差異については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 36.初度適用」をご覧ください。
≪連結業績≫
|
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減額 (百万円) |
増減率 (%) |
売上収益 |
514,164 |
587,775 |
73,610 |
14.3 |
(日本) |
187,000 |
188,856 |
1,855 |
1.0 |
(海外) |
327,163 |
398,919 |
71,755 |
21.9 |
調整後営業利益 |
104,643 |
124,929 |
20,285 |
19.4 |
営業利益 |
87,777 |
108,552 |
20,775 |
23.7 |
税引前利益 |
74,881 |
106,630 |
31,749 |
42.4 |
当期利益 |
54,891 |
91,201 |
36,309 |
66.1 |
親会社の所有者に帰属する当期利益 |
55,003 |
91,295 |
36,291 |
66.0 |
当社グループでは、2016年12月に次の5年度を対象とする中長期成長戦略を策定しました。中長期ビジョンとし
て「日本発のグローバル企業」を掲げ、世界の医療現場からトップブランドとして信頼されるメーカーとなるこ
と、そしてその信頼を製品・供給・サービスのトータルクオリティーで担保することを目指して経営を推進してお
ります。初年度となる当期の業績は、売上収益・各利益ともに過去最高値を更新しました。
当連結会計年度の売上収益は、前期比14.3%増の5,878億円となり、営業利益は前期比23.7%増の1,086億円となりました。
セグメントの業績は以下のとおりであります。
セグメントの名称 |
|
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減額 (百万円) |
心臓血管カンパニー |
売上収益 |
261,529 |
324,001 |
62,471 |
調整後営業利益 |
67,334 |
83,643 |
16,309 |
|
ホスピタルカンパニー |
売上収益 |
157,946 |
158,848 |
901 |
調整後営業利益 |
24,444 |
26,760 |
2,316 |
|
血液システムカンパニー |
売上収益 |
94,483 |
104,697 |
10,214 |
調整後営業利益 |
15,173 |
15,072 |
△100 |
(注) 調整後営業利益は、営業利益から買収に伴い取得した無形資産の償却費及び一時的な損益を調整した利益であります。
<心臓血管カンパニー>
日本では、TIS事業で、アクセスデバイスや超音波画像診断装置「VISICUBE」、血管内超音波カテーテル「AltaView」等の販売が好調に推移し、増収となりました。
海外では、TIS事業でアクセスデバイスの販売が好調に推移しました。米国自治連邦区プエルトリコの生産子会社では、ハリケーンの影響を受けて、9月20日以降、止血デバイス「アンジオシール」の生産活動を停止していましたが、11月より再開し、2018年1月に出荷を開始しました。ニューロバスキュラー事業では、ハイドロゲルを使用した脳動脈瘤治療用コイルや吸引カテーテルの販売が好調に推移しました。
その結果、海外全体で二桁増収となり、心臓血管カンパニーの売上収益は前期比23.9%増の3,240億円となりました。
<ホスピタルカンパニー>
日本では、治療の安全性向上や業務効率化への貢献が期待される輸液システムや、痛みの緩和を目的とした鎮痛剤、手術後の癒着軽減のために用いられるスプレー式癒着防止材の販売が堅調に推移しましたが、シリンジなどの汎用品や輸液剤の競争激化により減収となりました。
一方、海外では、欧州、米州で収益性の低いビジネスの見直しを継続して行いましたが、収益性の高い製薬企業向けビジネスとアジアでの輸液システムの販売が好調に推移し、増収となりました。
その結果、ホスピタルカンパニーの売上収益は前期比0.6%増の1,588億円となりました。
<血液システムカンパニー>
血液センター分野では、欧米等の先進国市場で成分採血システムの販売が、中南米、アジア等の新興国では血液バッグの販売がそれぞれ堅調に推移しました。アフェレシス治療分野では、北米や日本において新製品への買い替え需要を背景に販売が好調に推移しました。
その結果、血液システムカンパニーの売上収益は前期比10.8%増の1,047億円となりました。
(2)キャッシュ・フロー
≪キャッシュ・フロー計算書概要≫
|
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減額 (百万円) |
営業活動によるキャッシュ・フロー |
82,888 |
114,562 |
31,674 |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△183,517 |
△44,105 |
139,411 |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
60,993 |
△4,132 |
△65,126 |
現金及び現金同等物の期末残高 |
105,046 |
167,832 |
62,786 |
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は、1,146億円(前連結会計年度は829億円の取得)となりました。税引前利益は1,066億円、減価償却費及び償却費は420億円となりました。また、法人所得税の支払額は241億円となりました。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、441億円(前連結会計年度は1,835億円の使用)となりました。有形固定資産の取得による支出319億円、無形資産の取得による支出95億円が主な要因であります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は、41億円(前連結会計年度は610億円の取得)となりました。社債の発行による収入199億円、長期借入れによる収入1,196億円がありましたが、配当金の支払158億円、短期借入金の返済による支出1,200億円、長期借入金の返済による支出78億円が主な要因であります。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より628億円増加して1,678億円となりました。
【生産、受注及び販売の実績】
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
報告セグメント |
金額(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
心臓血管カンパニー |
353,063 |
29.4 |
ホスピタルカンパニー |
155,197 |
1.2 |
血液システムカンパニー |
108,207 |
11.9 |
合計 |
616,468 |
17.9 |
(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.報告セグメントに含まれる製品は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.セグメント情報(1)報告セグメントに関する基礎」をご覧ください。
4.当連結会計年度の仕入製品の仕入実績は、当連結会計年度平均販売価格(消費税等含まず。)算出で、23,676百万円となります。
(2)受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
報告セグメント |
売上区分 |
金額(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
心臓血管カンパニー |
TIS(カテーテル) |
223,189 |
23.9 |
ニューロバスキュラー |
35,427 |
23.7 |
|
CV |
45,059 |
13.3 |
|
血管 |
20,325 |
57.6 |
|
ホスピタルカンパニー |
ホスピタルシステム |
143,135 |
△0.2 |
アライアンス |
15,712 |
7.8 |
|
血液システムカンパニー |
血液システム |
104,697 |
10.8 |
調整額 |
228 |
11.4 |
|
合計 |
587,775 |
14.3 |
(注) 1.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.調整額228百万円は、報告セグメントに帰属しない外部向け人材派遣による収入であります。
【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2018年6月25日)現在において当社グループが判断したものであります。将来に関する事項は不確実性を内包しておりますので将来生じる実際の結果と差異が生じる可能性があります。
(1)経営成績
<連結業績について>
|
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減額 (百万円) |
増減率 (%) |
売上収益 |
514,164 |
587,775 |
73,610 |
14.3 |
売上総利益 |
273,835 |
319,333 |
45,497 |
16.6 |
調整後営業利益 |
104,643 |
124,929 |
20,285 |
19.4 |
営業利益 |
87,777 |
108,552 |
20,775 |
23.7 |
税引前利益 |
74,881 |
106,630 |
31,749 |
42.4 |
当期利益 |
54,891 |
91,201 |
36,309 |
66.1 |
親会社の所有者に帰属する 当期利益 |
55,003 |
91,295 |
36,291 |
66.0 |
①売上収益
売上収益は、前期比14.3%増の5,878億円となりました。
日本では、心臓血管カンパニーのTIS(カテーテル)事業で、アクセスデバイスや超音波画像診断装置「VISICUBE」、血管内超音波カテーテル「AltaView」等の販売が好調に推移し、増収となりました。
海外では、心臓血管カンパニーのTIS事業でアクセスデバイスの販売が好調に推移しました。米国自治連邦区プエルトリコの生産子会社では、ハリケーンの影響を受けて、9月20日以降、止血デバイス「アンジオシール」の生産活動を停止していましたが、11月より再開し、2018年1月に出荷を開始しました。ニューロバスキュラー(脳血管)事業も脳動脈瘤治療用コイル等の販売が好調に推移しました。血液システムカンパニーでも、血液センター向け及びアフェレシス治療分野の売上収益が伸長しました。その結果、海外全体で増収となりました。
②売上総利益
売上総利益は、主に収益性の高い心臓血管カンパニーの売上収益拡大やホスピタルカンパニーでの原価低減等により、前期比16.6%増の3,193億円となりました。
③調整後営業利益
調整後営業利益は、営業利益から買収に伴い取得した無形資産の償却費及び一時的な損益を調整した利益であります。また、調整後営業利益は、セグメント利益と一致しており、当社グループの業績管理指標として用いているため、開示しております。調整後営業利益は、買収費用や無形資産の償却費等を除く販売費及び一般管理費の増加を売上総利益の増加により吸収し、前期比19.4%増の1,249億円となりました。
当社グループは、当社グループが適用する会計基準であるIFRSにおいて定義されていない指標である調整後営業利益を追加的に開示しております。調整後営業利益は、当社グループが中長期的に持続的な成長を目指す上で、各事業運営の業績を把握するために経営管理にも利用している指標であり、財務諸表の利用者が当社グループの業績を評価する上でも、有用な情報であると考えております。
④営業利益
営業利益は、販売費及び一般管理費の増加を売上総利益の増加により吸収し、前期比23.7%増の1,086億円となりました。
⑤税引前利益
税引前利益は、営業利益の増加に加えて、為替差損の減少等による金融費用の減少も寄与し、42.4%増の1,066億円となりました。
⑥親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は、税引前利益の増加に加えて、米国税制改革による繰延税金資産及び繰延税金負債の再評価等の結果、法人所得税費用に一過性の減少が生じたことから、前期比66.0%増の913億円となりました。
セグメントごとの業績、売上収益、調整後営業利益の概況については、「業績等の概要 (1)業績」に記載しております。
(2)財政状態の分析
<主要財務指標>
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
親会社所有者帰属持分当期利益率 |
11.1 |
% |
17.5 |
% |
資産合計当期利益率 |
5.8 |
% |
8.7 |
% |
親会社所有者帰属持分比率 |
48.1 |
% |
51.0 |
% |
1株当たり親会社所有者帰属持分 |
1,396.17 |
円 |
1,555.88 |
円 |
フリー・キャッシュ・フロー |
△100,628 |
百万円 |
70,457 |
百万円 |
① 流動資産
当連結会計年度末における流動資産合計は、前連結会計年度末に比べ800億円増の4,109億円となりました。
現金及び現金同等物が628億円増加したこと、営業債権及びその他の債権が103億円増加したことが主な要因です。
② 非流動資産
当連結会計年度末における非流動資産合計は、前連結会計年度末に比べ233億円減の6,681億円となりました。
有形固定資産が66億円増加したものの、のれんを除く無形資産の償却により、のれん及び無形資産が290億円減少したことが主な要因です。
③ 流動負債
当連結会計年度末における流動負債合計は、前連結会計年度末に比べ711億円減の1,790億円となりました。
営業債務及びその他の債務が64億円増加、未払法人所得税等が49億円増加したものの、社債及び借入金が804億円減少したことが主な要因です。
④ 非流動負債
当連結会計年度末における非流動負債合計は、前連結会計年度末に比べ689億円増の3,495億円となりました。
米国税制改革の影響等により、繰延税金負債が160億円減少したものの、社債及び借入金が784億円増加したことが主な要因です。
⑤ 資本
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ589億円増の5,504億円となりました。
利益剰余金が754億円増加したことが主な要因です。
なお、キャッシュ・フローの状況については、「業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載しております。
(3)次期の見通し
医療機器市場は、高齢者数の増加と、それに伴う慢性疾患の増加等により、今後も市場の拡大が見込まれています。一方で医療費の増加が財政を圧迫する中、価値や効率性を重視した医療へのシフトが加速しています。また、海外では買収等による業界再編が進み、企業規模の巨大化と集中・寡占化が進みつつあります。
このような事業環境を踏まえ、当社グループは中長期成長戦略を推進しています。初年度である2017年度(2018年3月期)は、目標として掲げた「市場成長を上回る売上成長」(1桁後半の成長率)と「売上成長を上回る利益成長」(2桁の成長率)の達成に向けて順調な滑り出しとなりました。2年目となる2018年度(2019年3月期)は、薬価及び特定保険医療材料価格の改定に伴うマイナスの影響や、成長に向けた設備投資及びIT投資の増加による償却費の増加等が見込まれます。その影響を吸収し、持続的な成長を実現するべく、生産体制をはじめとする「グローバルオペレーションの強化」やイノベーションの創出力を強化する「戦略的開発の推進」、事業や地域の枠を超えた人材活用の促進等による「グループ総合力の発揮」等に取り組んでいきます。
【並行開示情報】
連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表及び要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更は、以下のとおりであります。
なお、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
また、当要約連結財務諸表は、百万円未満を切り捨てて記載しております。
① 要約連結貸借対照表(日本基準)
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度 (2017年3月31日) |
当連結会計年度 (2018年3月31日) |
資産の部 |
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流動資産 |
349,459 |
424,549 |
固定資産 |
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有形固定資産 |
183,055 |
189,223 |
無形固定資産 |
453,982 |
411,078 |
投資その他の資産 |
30,212 |
30,181 |
固定資産合計 |
667,250 |
630,483 |
繰延資産 |
4,169 |
3,057 |
資産合計 |
1,020,879 |
1,058,089 |
負債の部 |
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流動負債 |
248,645 |
176,915 |
固定負債 |
282,679 |
345,250 |
負債合計 |
531,324 |
522,165 |
純資産の部 |
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株主資本 |
440,680 |
507,059 |
その他の包括利益累計額 |
48,464 |
28,071 |
新株予約権 |
307 |
664 |
非支配株主持分 |
101 |
128 |
純資産合計 |
489,554 |
535,923 |
負債純資産合計 |
1,020,879 |
1,058,089 |
(注)当社グループは、2017年3月31日に米国ボルトンメディカル, Inc.他2社の株式取得(子会社化)及び関連する事業の取得の企業結合を行い、前連結会計年度において暫定的な会計処理を行っておりました。当連結会計年度において、暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度の諸数値について、暫定的な会計処理の確定の内容を反映させております。
この暫定的な会計処理の確定に伴い、当連結会計年度の連結財務諸表に含まれる比較情報である前連結会計年度において、取得原価の当初配分の重要な見直しが反映されており、暫定的に算定されたのれんの金額が当初14,371百万円から10,157百万円減少し、4,214百万円となりました。
また、前連結会計年度の流動資産の商品及び製品が246百万円増加、その他が28百万円増加、有形固定資産のその他が66百万円減少、無形固定資産の顧客関連資産が897百万円増加、技術資産が10,658百万円増加、その他が2,132百万円減少、流動負債のその他が256百万円増加、固定負債の繰延税金負債が782百万円減少しております。なお、この暫定的な会計処理の確定の影響に関しては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 36.初度適用」の資本の調整表に反映しております。
② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書(日本基準)
要約連結損益計算書
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度 (自 2016年4月1日 至 2017年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) |
売上高 |
514,164 |
587,775 |
売上原価 |
236,164 |
260,549 |
売上総利益 |
278,000 |
327,226 |
販売費及び一般管理費 |
201,421 |
234,994 |
営業利益 |
76,578 |
92,232 |
営業外収益 |
2,057 |
2,235 |
営業外費用 |
10,083 |
6,000 |
経常利益 |
68,552 |
88,467 |
特別利益 |
16,442 |
1,731 |
特別損失 |
10,012 |
880 |
税金等調整前当期純利益 |
74,981 |
89,317 |
法人税等 |
20,867 |
13,821 |
当期純利益 |
54,114 |
75,496 |
非支配株主に帰属する当期純損失(△) |
△111 |
△94 |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
54,225 |
75,590 |
要約連結包括利益計算書
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度 (自 2016年4月1日 至 2017年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) |
当期純利益 |
54,114 |
75,496 |
その他の包括利益合計 |
△17,615 |
△20,406 |
包括利益 |
36,498 |
55,090 |
(内訳) |
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親会社株主に係る包括利益 |
36,616 |
55,198 |
非支配株主に係る包括利益 |
△118 |
△108 |
③ 要約連結株主資本等変動計算書(日本基準)
前連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)
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(単位:百万円) |
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株主資本 |
その他の包括利益 累計額 |
新株予約権 |
非支配株主持分 |
純資産合計 |
当期首残高 |
445,178 |
66,074 |
183 |
109 |
511,544 |
当期変動額 |
△4,497 |
△17,609 |
124 |
△7 |
△21,990 |
当期末残高 |
440,680 |
48,464 |
307 |
101 |
489,554 |
当連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
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(単位:百万円) |
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株主資本 |
その他の包括利益 累計額 |
新株予約権 |
非支配株主持分 |
純資産合計 |
当期首残高 |
440,680 |
48,464 |
307 |
101 |
489,554 |
当期変動額合計 |
66,378 |
△20,392 |
356 |
27 |
46,369 |
当期末残高 |
507,059 |
28,071 |
664 |
128 |
535,923 |
④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書(日本基準)
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度 (自 2016年4月1日 至 2017年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) |
営業活動によるキャッシュ・フロー |
80,862 |
112,398 |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△181,433 |
△42,215 |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
60,937 |
△3,858 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
△2,246 |
△3,538 |
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) |
△41,880 |
62,786 |
現金及び現金同等物の期首残高 |
146,927 |
105,046 |
現金及び現金同等物の期末残高 |
105,046 |
167,832 |
⑤ 要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更(日本基準)
前連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)
1 連結の範囲に関する事項
当連結会計年度において以下の会社を新規に連結子会社に含めております。
テルモミドルイーストFZE
台灣泰爾茂医療産品股份有限公司
テルモBCTイタリアS.R.L.
シークエントメディカル, Inc.
シークエントメディカルドイツ GmbH
テルモキャピタルマネジメント Pte. Ltd.
テルモプエルトリコLLC.
カリラメディカル, Inc.
テルモポーランドSp.zo.o.
ボルトンメディカル, Inc.
ボルトンメディカルスペインS.L.U.
ボルトンメディカルイタリアS.R.L.
ボルトンメディカルフランスS.A.S.
テルモBCTシンガポールPte. Ltd.
テルモヒューマンクリエイト(株)
なお、当連結会計年度において、持分法適用非連結子会社でありましたテルモヒューマンクリエイト(株)は重要性が増したため、連結の範囲に含めております。
また、前連結会計年度において連結子会社であった、カリディアンBCT メヒコ インポート S.A. de C.V.は、テルモBCT デ メキシコ, S.A. DE C.V.との合併に伴い、当連結会計年度より連結の範囲から除外しております。
2 表示方法の変更
(連結貸借対照表)
前連結会計年度において、「無形固定資産」の「その他」に含めていた「技術資産」は、金額的重要性が増したため、当連結会計年度より独立掲記することとしました。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の連結財務諸表の組替えを行っております。
この結果、前連結会計年度の連結貸借対照表において、「無形固定資産」の「その他」に表示していた56,056百万円は、「技術資産」28,017百万円、「その他」28,038百万円として組替えております。
(連結損益計算書)
従来、一部の生産子会社では、間接部門の人件費等の諸費用を販売費及び一般管理費として表示しておりましたが、当連結会計年度より売上原価として表示する方法に変更いたしました。これは、2017年度からの中長期成長戦略において、グローバル経営をさらに深化させるために、グローバルな生産体制の再構築と各部門の業務内容の見直しを実施した結果、一部の生産子会社で発生している間接部門の諸費用の重要性が高まってきたことから、これらを売上原価に含めて売上高と直接対応させることにより、当社グループの売上総利益及び販売費及び一般管理費をより適正に表示するために行ったものであります。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の連結財務諸表の組替えを行っております。
この結果、前連結会計年度の連結損益計算書において、販売費及び一般管理費に表示していた2,044百万円を売上原価に組替えております。
前連結会計年度において、「営業外費用」の「その他」に含めていた「開業費償却」は、営業外費用の総額の100分の10を超えたため、当連結会計年度より独立掲記することとしました。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の連結財務諸表の組替えを行っております。
この結果、前連結会計年度の連結損益計算書において、「営業外費用」の「その他」に表示していた1,845百万円は、「開業費償却」278百万円、「その他」1,567百万円として組替えております。
(連結キャッシュ・フロー計算書)
前連結会計年度において、「営業活動によるキャッシュ・フロー」の「その他」に含めていた「開業費償却額」は、金額的重要性が増したため、当連結会計年度より独立掲記することとしました。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の連結財務諸表の組替えを行っております。
この結果、前連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書において、「営業活動によるキャッシュ・フロー」の「その他」に表示していた5,583百万円は、「開業費償却額」278百万円、「その他」5,305百万円として組み替えております。
当連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
1 連結の範囲に関する事項
前連結会計年度において連結子会社であったオンセットメディカルCorp.は、当社の連結子会社であるテルモメディカルCorp.を存続会社とする吸収合併により消滅したため、当連結会計年度より連結の範囲から除外しております。
【経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報】
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 36.初度適用」をご参照ください。
当連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
(のれんに対する調整)
日本基準では、のれんはその効果の及ぶ期間で規則的に償却し、のれん償却費13,990百万円を販売費及び一般管理費に計上しておりましたが、IFRSでは償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。
(1)合弁関係
相手先 |
契約期間 |
契約の内容 |
BSNメディカル(ドイツ) |
1998年3月18日から合弁会社の存続する期間 |
日本国内市場向けBSNメディカル社製品の製造、売買及び輸入を目的とする合弁会社テルモ・ビーエスエヌ株式会社を運営 |
当連結会計年度の研究開発費は413億円(売上収益比率7.0%)となりました。
心臓血管カンパニー
心臓血管カンパニーでは、狭心症や心筋梗塞におけるより複雑な治療に対応するため、既存の薬剤溶出型冠動脈ステント「アルチマスター」(Ultimaster)の次世代品の開発を進めました。2018年度の5月に欧州で、下期に日本での販売開始をそれぞれ予定しています。世界でトップレベルのシェアを有する人工肺では、動脈フィルター内蔵型人工肺の新製品開発に注力しました。血液の体外循環による患者さんへの負担を軽減するべく、血液充填量を世界最小に抑えることを目指した製品で、2018年度に日本、米国、欧州などでの販売を予定しています。また新興国のニーズに合わせた人工肺の開発も進めていきます。末梢血管領域の製品では、下肢末梢動脈疾患の治療に使用する薬剤塗布バルーンカテーテルの開発を進めました。既存の製品で課題とされている点の改善を目指し、塗布した薬剤が病変部に到達するまでの間に脱落しづらく、かつバルーンの拡張時には速やかに血管組織に移行することを目指した独自のコーティングを用いています。2018年度に欧州で販売を開始する予定です。
当事業に係る研究開発費は240億円となりました。
ホスピタルカンパニー
ホスピタルカンパニーでは、日本初のスプレー式癒着防止材「アドスプレー」の販売を開始しました。本製品は、外科手術後の損傷部位周辺での癒着を軽減する目的で使用されます。開腹手術や腹腔鏡手術などの手術方法を問わず、手術の対象となる臓器の裏面や深部にも柔軟性をもって塗布できるデザインを採用しています。また、2017年11月に日本初となるパッチ式インスリンポンプ「メディセーフウィズ」の製造販売承認を取得しました。「メディセーフウィズ」は、患者さんの日常的な活動を普段どおりに行っていただけるよう、チューブフリー設計になっています。現在、2018年度に販売を開始すべく、準備を進めています。
当事業に係る研究開発費は36億円となりました。
血液システムカンパニー
血液システムカンパニーでは、日本の血液センター向けでは初となる、血液自動製剤システム「タクシー」(TACSI)の正式採用が決定しました。効率的に、均一で高品質な全血の遠心分離を実現するためのシステムで、2018年度より全国の血液センターに順次導入を進める予定です。米国では、病原体低減化システム「ミラソル」(Mirasol)の臨床治験が開始されました。本治験は米国保健福祉省から生物医学先端研究開発局を通じて、「ミラソル」を用いた血小板製剤の病原体低減化治験に関する助成金を受給し、実施されるものです。
当事業に係る研究開発費は82億円となりました。
なお、当連結会計年度の研究開発費総額には、各事業分野に配分できない基礎研究費用55億円が含まれております。