平成25年度の日本経済は、金融緩和策や経済政策を背景に、輸出企業を中心に企業業績の改善や設備投資に持ち直しの動きがみられるなど、緩やかな回復基調の中で推移しました。一方、世界経済は、米国が緩やかな回復基調を継続し、欧州も漸く底入れの兆しが見え始めたものの、中国をはじめ新興国の景気減速懸念が強まるなど、先行き不透明感が拭い切れない状況が続きました。
平成25年(暦年)の「日本の広告費」(当社調べ)は、5兆9,762億円(前年比1.4%増)と、2年連続で前年実績を上回りました。「アベノミクス」効果による持続的な景気の回復傾向と消費税増税前の駆け込み需要の影響が出始めた年後半は好調に推移しました。また、当社グループのCaratが平成26年3月に取りまとめた平成25年の世界の広告費成長率は前年比3.3%増、地域別では、ラテンアメリカ同9.9%増、アジアパシフィック同5.0%増、中央および東ヨーロッパ同4.8%増、北米同3.5%増、西ヨーロッパ同1.7%減となっております。
こうした環境下、当社グループは、英国の大手広告会社Aegis Group plc(以下「イージス社」という。)を買収し、本格的なグローバル企業として、新たな一歩を踏み出しました。買収後の統合作業は順調に進んでおり、既にいくつかの新規アカウントを獲得するといった成果に結びついています。日本国内では、顧客ニーズの高まりを受け、ビッグデータを活用するなど統合的なソリューションの提供に努めました。こうした取り組みが消費税増税前の駆け込み需要の取り込みにもつながるなど、期初の想定を上回る業績をあげることができました。特に当社単体の経常利益および当期純利益は、過去最高益を更新しました。
この結果、当連結会計年度の売上高は2兆3,093億59百万円(前連結会計年度比19.0%増)、売上総利益5,940億72百万円(同71.7%増)、のれん等償却前営業利益1,141億86百万円(同81.7%増)、営業利益714億90百万円(同22.3%増)、経常利益825億38百万円(同39.8%増)、当期純利益388億円(同6.8%増)となりました。
のれん等償却前営業利益は、会計上の営業利益に、買収(イージス社の買収を含む)により生じたのれん償却額270億29百万円およびその他無形固定資産償却額156億66百万円を足し戻したものです。
なお、イージス社買収に伴い、第1四半期連結会計期間からDentsu Aegis Network Ltd.(平成25年3月26日付でイージス社から商号変更。以下「電通イージス・ネットワーク社」という。)の業績を連結損益計算書に反映しております。
当社グループは、平成25年度を初年度とし、新たな中期経営計画「Dentsu 2017 and Beyond」を策定しました。新中期経営計画で設定した平成29年度の数値目標と、その当連結会計年度の実績は以下のとおりです。
・ 売上総利益のオーガニック成長率 目標値:3~5%(年平均成長率)
当連結会計年度の実績:7.7%
・ 売上総利益に占める海外事業構成比 目標値:55%以上
当連結会計年度の実績:48%
・ 売上総利益に占めるデジタル領域構成比 目標値:35%以上
当連結会計年度の実績:28%
・ のれん等償却前オペレーティング・マージン※ 目標値:20%以上
当連結会計年度の実績:19.2%
※のれん等償却前オペレーティング・マージン=のれん等償却前営業利益÷売上総利益
当連結会計年度における報告セグメントの業績は、次のとおりです。
広告業では、売上高2兆2,465億5百万円(前連結会計年度比19.6%増)、売上総利益5,713億15百万円(同76.6%増)、セグメント利益657億88百万円(同24.5%増)となりました。
情報サービス業では、売上高748億65百万円(前連結会計年度比5.3%増)、売上総利益228億55百万円(同4.0%増)、セグメント利益40億17百万円(同31.5%増)となりました。㈱電通国際情報サービスのグループ各社が当セグメントの対象会社となります。
その他の事業では、売上高158億62百万円(前連結会計年度比4.1%減)、売上総利益35億12百万円(同5.4%減)、セグメント利益7億92百万円(同14.3%減)となりました。
なお、当連結会計年度から、売上総利益を当社グループの経営管理指標の一つとして設定したことにより、各セグメントの売上総利益を開示しております。
連結業績には、当社単体の業績が大きく影響しております。当連結会計年度における当社単体の業績は、売上高が1兆5,150億62百万円(前連結会計年度比7.3%増)、売上総利益は2,193億93百万円(同10.9%増)、営業利益は505億79百万円(同41.4%増)、経常利益は696億67百万円(同78.2%増)、当期純利益は469億53百万円(同66.6%増)となりました。当連結会計年度における当社単体の業種別売上高および業務区分別売上高の概況は、以下のとおりです。
当社売上高に占める割合の大きい上位15業種では、「自動車・関連品」(前連結会計年度比25.8%増)、「金融・保険」(同20.3%増)、「趣味・スポーツ用品」(同17.4%増)、「外食・各種サービス」(同13.6%増)など12業種で売上高が増加し、売上高が減少したのは、「化粧品・トイレタリー」(同2.2%減)、「ファッション・アクセサリー」(同3.3%減)など3業種にとどまりました。
業 務 区 分 | 売上高 | 構成比 | 前連結会計年度比 | |
|
| 百万円 | % | % |
| 新 聞 | 116,870 | 7.7 | 5.7 |
| 雑 誌 | 34,669 | 2.3 | △3.4 |
| ラ ジ オ | 15,055 | 1.0 | △6.1 |
| テ レ ビ | 700,039 | 46.2 | 5.0 |
| (テレビタイム) | (304,266) | (20.1) | (0.7) |
| (テレビスポット) | (395,773) | (26.1) | (8.6) |
| インタラクティブメディア | 67,865 | 4.5 | 23.8 |
| OOHメディア | 54,597 | 3.6 | 9.7 |
| クリエーティブ | 203,845 | 13.5 | 8.5 |
| マーケティング | 190,668 | 12.6 | 14.8 |
| コンテンツサービス | 90,480 | 6.0 | 1.3 |
| そ の 他 | 40,970 | 2.7 | 15.1 |
| 計 | 1,515,062 | 100.0 | 7.3 |
(注) 1 主要な業務区分の内容は、下記のとおりです。
新聞:新聞広告枠の取引業務
雑誌:雑誌広告枠の取引業務
ラジオ:ラジオ広告枠の取引業務
テレビ:テレビ広告枠の取引業務
テレビタイム:テレビタイム広告枠(番組提供による番組内)の取引業務
テレビスポット:テレビスポット広告枠(主に番組間)の取引業務
インタラクティブメディア:インターネット、モバイルに関する広告枠の取引業務
OOHメディア:アウト・オブ・ホーム・メディア(交通、屋外、折込)広告枠の取引業務
クリエーティブ:広告表現立案業務、広告制作業務および関連業務
マーケティング/プロモーション:クライアントのマーケティング、コミュニケーション、ブランド、経営等の戦略立案、コンサルティング業務、および課題解決のためのSP、イベント、PR、デジタル・プロモーション、ダイレクトマーケティング、CRM等のソリューションの企画・実施作業
コンテンツサービス:スポーツ領域、エンタテインメント領域での権利販売業務、企画立案・制作実施業務およびその他のコンテンツサービス
その他:衛星メディア、メディアプランニングなど
2 各業務区分の構成比は、小数第1位未満を四捨五入しています。
マス四媒体の売上高は、8,666億34百万円(前連結会計年度比4.5%増)となりました。また、マス四媒体以外の売上高は6,484億27百万円(同11.1%増)となり、売上高構成比は42.8%と前連結会計年度から1.5ポイント増加しました。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、2,271億28百万円(前連結会計年度末2,075億78百万円)となりました。営業活動および財務活動による収入が、投資活動による支出を上回ったため、前連結会計年度末に比べ195億49百万円の増加となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、975億40百万円(前連結会計年度は832億95百万円)の収入となりました。主に税金等調整前当期純利益、減価償却費およびのれん償却額の増加などにより、営業活動によるキャッシュ・フロー合計は前連結会計年度より142億44百万円増加しました。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果支出した資金は、3,180億87百万円(前連結会計年度は512億36百万円)となりました。主に連結子会社株式の取得による支出が増加したことにより、前連結会計年度より支出が2,668億51百万円増加しました。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果により得た資金は、2,265億26百万円(前連結会計年度は53億49百万円の支出)となりました。主に長期借入による収入、自己株式の処分による収入および株式の発行による収入により、前連結会計年度より収入が2,318億76百万円増加しました。
当連結会計年度におけるセグメントの販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前連結会計年度比(%) |
広告業 | 2,246,107 | 119.6 |
情報サービス業 | 57,221 | 101.6 |
その他の事業 | 6,030 | 94.7 |
計 | 2,309,359 | 119.0 |
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 上記金額に消費税等は含まれておりません。
世界経済は、今なお安定的に成長を続ける米国や、相対的に高い成長を続けるアジアや新興諸国、そして重要な経済規模を形成し成熟期にある日本や欧州など、それぞれの特性を持つ地域が相互に関係しつつ、刻々と変化を続けています。当社グループは、平成25年3月に完了したイージス社買収により、本格的なグローバル・ネットワークへと変貌を遂げており、世界の各地域の事業環境に応じた戦略の遂行が極めて重要となっています。また、マーケティング・コンバージェンスが進展していく社会においては、顧客のビジネスにおける成功要因の中で、デジタル領域のイノベーションの重要性が一層高まっていくことが見込まれます。
そうした経営環境の中、当社グループは、これまでの広告ビジネスの枠組みを超えて顧客のビジネスの成功、ひいてはその企業価値最大化にグローバル規模で貢献し続ける、エージェンシー・ネットワークになることを目指してまいります。
こうした基本方針のもと、平成25年度を初年度とする中期経営計画「Dentsu 2017 and Beyond」を策定いたしました。
新中期経営計画では、平成29年度の数値目標を以下のとおり設定しています。
・ 売上総利益のオーガニック成長率 3~5%(年平均成長率)
・ 売上総利益に占める海外事業構成比 55%以上
・ 売上総利益に占めるデジタル領域構成比 35%以上
・ のれん等償却前オペレーティング・マージン 20%以上
当社とイージス社がこれまでに築いてきた顧客基盤を足がかりに、デジタル領域やスポーツ・コンテンツビジネスでの強みをグローバル展開すると同時に、M&Aの活用によって全世界に競争力を持ったグローバル・ネットワークを拡大していきます。
主要地域別では、安定成長下の北米市場においては、成長力の高い既存のネットワークの連携を強化し、サービスラインナップの拡充を進めることで、グローバルクライアントの新規獲得と、扱い高の拡大を図ります。また、成長著しい新興国市場においてはM&Aと事業投資を積極的に活用して各市場においてトップクラスのソリューションを提供できる基盤を整えます。そして既に確固とした事業基盤を持つ日本および西欧市場においては、スケールメリットの追求と、従来型の広告ビジネスにとどまらない新たな価値の創造と提供を目指してまいります。
マーケティング・コンバージェンスの進展は、顧客のビジネスプロセスに大きな変化をもたらし、デジタル・ソリューションは、ビジネス成功の重要なファクターとなっています。そうした時代において、当社グループは、顧客のビジネスの成功をより直接的にサポートする先端的なソリューションを提供していきます。同時に、必要とされる投資やグループ内のナレッジの共有、R&D機能の統合などを進めてまいります。
当社グループは、ワールドワイドで積極的な投資や事業展開を行うことにより、持続的な成長を目指しています。そのためには、安定したキャッシュ・フローを生み出す収益基盤が必要であり、継続的な課題として基幹ビジネスの収益性向上に取り組んでいきます。グローバルベースでコスト抑制に取り組み、サービス領域毎に、当社を含めたグループ各社の機能を整理した上で必要な再編を実施し、利益を最大化するバリューチェーンを再構築していきます。また、保有する資産についても、収益性の観点から見直しを行い、資産効率の向上を図ってまいります。
(4)グループ最大の事業構成となる日本市場での事業基盤強化
当社グループは、イージス社買収により、本格的なグローバル・ネットワークを有することとなりましたが、その最大の強みは、日本における強固な事業基盤であることに変わりありません。日本においては、これまで以上に競争力を強化し、収益性の向上に取り組むことで、持続的成長を実現していきます。
また、日本は全ての地域の中で、あらゆる面から顧客のビジネスをサポートできるリソースと、顧客との強いリレーションが最も揃っている地域であることから、サービスドメインの拡張に挑戦し、当社グループにおける次世代ビジネスのロールモデルを目指していきます。
当社グループは、グローバル展開に対応するため、CSRの基本理念となる「電通グループ行動憲章」を制定しました。CSRの国際規格である「ISO26000」をベースに、コーポレート・ガバナンス、人権の尊重、労働環境の整備、環境保全、公正な事業慣行、消費者課題の解決、コミュニティ発展への寄与からなる「7つの重点領域」を本憲章のフレームワークとし、それに基づきCSR活動を展開しています。
まず、東日本大震災からの復興に向けて平成25年度も「東北六魂祭」への協力や「みちのく復興事業パートナーズ」への参加を通じて継続的な支援を行いました。また人権分野においては、「人権スローガン」募集継続など、事業の中核であるコミュニケーション活動に不可欠な人権意識の醸成に努めるほか、平成20年に「エコ・ファースト企業」の認定を受けた環境分野でも、持続可能な社会の実現に向けて多様な環境活動を展開しています。さらに事業分野では、食料自給率向上を目指す継続事業「フード・アクション・ニッポン」などを通じ、日本が抱える課題解決にも取り組んでいます。
今後は、環境活動「30 Days of Green」をはじめ、多彩なCSR活動を世界展開する電通イージス・ネットワーク社とさらなる連携を深めることにより、当社グループはコミュニケーションサービスにおけるグローバル・リーディンググループとして、社会的課題の解決に寄与すべく、国内外問わず積極的にCSR活動へ取り組んでまいります。CSR活動の詳細は「電通CSRレポート」(http://www.dentsu.co.jp/csr)をご覧ください。
当社グループの経営成績、株価および財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
当社グループを含めた広告会社の業績は、市場変化や景気の影響を受けやすい傾向があります。市場変化や景気によって広告支出を増減させる広告主が多いためです。
当社グループは、サービス内容や事業を行う地域の多様化を進めるなど、景気の影響を受けにくい事業構造の形成に努力しております。しかし、国内マクロ経済の動向および広告支出額の大きい国内主要産業部門における事業環境の変化が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、海外景気の減速や為替変動等が、国内景気に悪影響を与える場合もあります。
平成26年4月には消費税率が5%から8%に引き上げられました。また、平成27年10月には10%に引き上げられることが予定されております。かかる消費税引き上げが個人消費を始めとする国内景気に悪影響を与え、当社グループの提供するサービスに対する需要を減少させ、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
平成23年3月に発生した東日本大震災は、サプライチェーンの寸断、電力不足その他の事由により、日本経済に大きな悪影響を与えました。その後、国内の経済および事業環境は改善しましたが、将来において地震その他の大きな自然災害等が再び生じた場合には事業環境に悪影響を与える可能性があります。
また、当社は平成25年3月に、英国の大手広告会社のイージス社を買収しましたが、これにより当社グループの売上総利益における海外比率は平成24年度の約18%から、平成25年度には約48%に大幅に増加しました。この結果、当社グループが事業を行う海外の主要な市場における経済環境や事業環境の悪化が、当社グループ全体の業績にさらに悪影響を与える可能性があります。特に、イージス社の買収により、現在、複数国に影響を及ぼしている債務危機を始めとして景気停滞の状態にある欧州地域に対するエクスポージャーが増加しました。
当社グループの事業は技術革新および新たなメディアによる広告市場の展開による影響を受けています。平成25年日本の広告費(当社発行)によれば、インターネット広告費は平成8年の調査開始以来、伸長を続けており、マス四媒体広告費(新聞、雑誌、ラジオ、テレビの4つのマス媒体に露出される広告費)のうち新聞、雑誌、ラジオの広告費を上回る規模になっております。
当社グループは、インターネット等を活用した広告手法の発達は、マス四媒体広告と、インターネット広告の連携による相乗効果をより高め、将来にわたって広告市場全体の拡大に貢献するものと考えます。既に当社グループはマス四媒体広告のみならずインターネット広告においても主導的な地位を占めており、さらなる事業機会の発掘と拡大に取り組んでおります。
しかしながら、当社グループが急速な技術革新とこれに伴うメディアの構造変化に適切に対応できなければ当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
平成25年5月17日発表の当社グループの中期経営計画「Dentsu 2017 and Beyond」において、当社グループは平成29年度までの財務目標等を設定しています。また、その実現に向けて、イージス社の買収により形成された新たなグローバル・ネットワークを強化・拡大することにより、海外事業からの収益割合をさらに増加させていく予定です。しかしながら、これらの計画は、世界の広告費の伸び、外国為替相場および金利ならびに当社グループが事業を行う国々の経済成長率等の様々な前提に基づいて設定されており、かかる前提が実際と異なる場合には、当社グループの設定した財務目標等の実現に至らない可能性があります。また、当社の経営陣が中期経営計画を成功裏に実行できない可能性もあります。
わが国の広告取引においては、広告会社は、広告主の代理人としてではなく、自己の責任でメディア会社等との取引を行うことが慣行となっております。そのため、当社グループは、広告主の倒産等の場合に、広告主から広告料金の支払を受けられないにもかかわらず、メディア会社等に対して支払債務を負担する可能性があります。広告主による未払いが増加した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。広告業界においては、様々な事情により、広告計画や内容に、突然の変更が生じることが少なくありません。当社グループでは、主要取引先と基本契約を締結するなど、取引上のトラブルを未然に回避する努力を行っておりますが、不測の事故または紛争が生じる可能性があります。
海外においては、欧米を中心に、広告会社が同一業種に属する複数の広告主を担当しない「一業種一社制」と呼ばれる慣行があります。しかし、わが国では、このような慣行は一般的でなく、当社グループも、同一業種に属する複数の主要企業を顧客としています。仮にわが国の慣行が変化し、それに対する当社グループの対応が適切さを欠いた場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内外において広告会社間における激しい競合にさらされております。
わが国においては国内広告会社間の事業統合や再編、外国広告会社による日本市場への更なる参入は業界構造を変化させ、競争を激化させる可能性があります。将来、顧客獲得をめぐる競合がさらに激しくなった場合、または、外国広告会社の日本市場への参入に伴う業界構造や取引慣行の変化に当社グループが適応できない場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、海外においては、当社グループは、広い地域において事業を運営し、豊富な財務、人材その他の経営資源を有する巨大な外国広告会社や、1またはいくつかの国または地域に特化した小規模な広告会社との間の競合にさらされています。かかる競合において、当社グループが競争力および主要な顧客を維持できない場合、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループの事業領域が拡大するにつれて、総合商社、コンサルティング会社など隣接業種との競合が生じる機会も増加しております。さらにインターネット関係やソーシャル・ネットワーク・メディア関係の事業等においては新規参入企業も多く、これら企業と当社グループは、新規事業の開発等において競合する関係にあります。今後、これらの事業領域において当社グループがサービス面またはコスト面で顧客の要求に適切に応えることができない場合、または新規企業の参入により広告の取引慣行が急激に変化した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、わが国の主要広告主と取引関係を有しており、これら広告主の大半と長年にわたり安定的な取引関係を維持しております。
また、当社グループは、マスメディア各社の事業運営および営業活動を通じ、社業発展の基礎を作ってまいりました。このような活動により、当社グループは、広告主・メディア会社との間でのニーズ調整と円滑な取引を実現しております。
しかしながら、当社グループが、既存または新規の広告主またはメディア会社に対して、そのニーズに合致したサービスを提供できない場合には、取引関係の終了・解消、受注の減少または取引条件の変更等が生じる可能性があり、その結果、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
近年、広告主は、コスト削減の必要から、発注先の広告会社を1社に集中するなどの方法により、効率的な広告サービス提供の要求を強めています。そのため、マスメディア広告取引における収益性が低下する傾向が継続する場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、広告主による広告およびマーケティング支出の効果を実証的に検証するための情報処理技術や、データベース等の研究開発に取り組んでおり、これらの活動を通じて潜在的な需要を掘り起こすとともに、国内広告市場における当社グループのシェア拡大を目指しております。しかし、これら研究開発活動の成果が商品化・実用化される時期は未定であり、今後広告主ニーズの変化や、技術的な困難等によって、当社グループの研究開発活動が、予定した成果をあげられない可能性があります。
当社グループでは、メディア広告市場における地位を強固にするため、マス四媒体、OOHメディア(交通広告・屋外広告等のアウト・オブ・ホームメディア)および衛星メディア(BS放送およびCS放送)などへの投資、ならびにそれに関連するリサーチや事業開発プロジェクトに対する投資を行ってきております。しかし、メディア広告に対する需要が低迷した場合や競争が激化した場合等には、研究開発や事業化に要した投資に応じた収益や予定した成果をあげられない可能性があります。
また、インターネット広告の領域においては、当社グループはクロスメディア型キャンペーン提案(複数のメディアや広告表現を消費者の行動に合わせて効果的に掛け合わせたキャンペーン提案)の積極化はもちろんのこと、運用型広告(膨大なデータを処理するプラットフォームにより、広告の最適化を自動的もしくは即時的に支援する広告手法)等多様な広告手法や広告主の裾野の広がりに対応すべく、大手専門エージェンシーとのアライアンスや、その他専門会社や技術への積極的な投資を行っています。しかしながら、インターネット広告分野の技術やサービスの急速な進化に対し、当社グループの対応が適切でなかった場合は予定した成果があげられない可能性があります。
広告主にとってプロモーション施策の重要性が高まっており、市場も拡大しています。当社グループはこの機会を捉え、店頭マーケティング専門会社、チラシ制作専門会社、ダイレクトビジネス専門会社、顧客アクセス専門会社などを設立し、プロモーション領域における事業拡大を図っています。しかしながら、広告主の需要が拡大しない場合、あるいは当社グループが競合会社に対する競争力を維持できない場合には、計画どおりの事業拡大ができない可能性があります。
当社グループでは、映画、テレビ番組、スポーツイベントおよび音楽等に関する権利の獲得、制作への投資を活発に行っており、映画やその他のコンテンツの製作・配給・販売、ライセンシングおよびスポンサーシップ権や放送権の販売、ならびに映画、その他のコンテンツに関する広告の販売から収入を得ています。しかし、これらの中には、事業計画が多年度にわたる場合、または多額の取得コストや財務的コミットメントを必要とする場合があります。また、昨今ではコンテンツを供給するメディアも多様化しております。しかも、コンテンツ事業の成否を左右する生活者の反応を確実に予測することは、困難であります。これら事業が計画どおりに進捗しない場合、また、予定した投資効果が得られなかった場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、平成25年3月26日に、約3,164百万ポンドの対価により、イージス社の買収を完了しました。欧州市場でリーディングポジションを有し、他の海外市場でも強固なポジションを有するイージス社の買収は、海外市場での成長を目指す当社グループの戦略の不可欠な一部ですが、同社との事業の統合を通じて、この投資を回収できるという保証はありません。特に、イージス社の買収により期待した効果およびシナジーが得られるか否は、とりわけ以下の事由に左右されます。
・ イージス社とのインフラ・マネジメント・情報システムの統合に関する課題
・ 当社グループの経営陣が統合に注力することによる他の経営目標達成への悪影響
・ 社内基準、管理、手続、会計その他のポリシーや事業環境および報酬体系等の統合に関する課題
・ イージス社の主要な顧客の流出
・ イージス社の主要な人材の流出
・ 欧州、米国および新興国市場におけるイージス社のネットワークを活用した当社グループの
シェア拡大の失敗
当社グループは、成長戦略の一部として、引き続きグローバルに選択的な事業買収を目指してまいりますが、これらの買収から期待した効果が得られない場合、減損を認識する必要が生じ、投資を回収できなくなる可能性があり、これにより当社グループの財政状態または業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
また、イージス社の買収のために実施した借入れにより、当社グループ連結の有利子負債総額は大幅に増加しました。当社グループの負債の増加は、当社グループの他の戦略を推進する新規取引のための資金調達を制限する可能性があります。
イージス社の買収により、当社グループは、現在海外100カ国以上において事業を行っておりますが、海外での事業遂行に関しては、とりわけ以下の追加的なリスクを伴います。
・ 多数かつ広範な国・地域での事業を管理し、調整することの困難さ
・ グローバル経済の変動から受ける影響
・ 資本規制・外国為替規制を含む、外国の法令、規制、政策等に関するリスク
・ 当社グループが事業を行う様々な国・地域における税制の差異・矛盾
・ 当社グループの海外子会社による送金その他の支払いに課される源泉徴収税等の賦課・増税を
含む税制の変更
・ 外国為替相場の変動
・ 契約や知的財産権の執行不可能性または労務管理上の制約を含む、法律・規制・ビジネス文化に
おける様々な基準・実務慣行
・ 貿易規制および関税制度の変更
・ 政情不安に関するリスクおよび事業環境の不確実性
・ 当社グループが事業を行う国・地域と日本との間の政治・経済的関係の変化
・ テロ行為、戦争、疫病その他の社会不安要因
・ 現地の労務管理および提携先の不適切行為を防止することの困難さ
上記のいずれかの事由により、当社グループの費用が増加し、売上が減少し、または業務に支障を来し、これにより当社グループの事業、財政状態または業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、イージス社の買収に伴い、多額ののれんおよびその他無形固定資産を計上しました。今後当該資産の価値が回復不能な程度に損なわれたと判断された場合には、減損を認識しなければならない可能性があり、当社グループの事業、財政状態または業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの成長力および競争力は、優秀な人材の確保とその育成に大きく依存します。人材の確保に関しては、新卒者の安定的採用や専門的知識・経験を持ち即戦力となる中途採用により確保を図っております。それとともに、本人の職務や能力に応じた教育研修等により、人材の育成を図っています。しかしながら、何らかの理由により人材の確保が困難になる可能性および優秀な人材が流出する可能性もあります。このような事態が生じた場合、当社グループの成長力と競争力に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、文化的・地理的に多様な背景を有する多数の従業員を有し、かかる人材の管理に関する課題に対処しています。特に、イージス社の買収によって新たに加わった多数の海外従業員との融合が課題となります。当社グループが有能な人材を確保し、十分に活用できず、これらの課題に適切に対処できない場合、当社グループの財政状態、業績または競争上の地位に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、取引の執行、業績の報告および広告主のマーケティングまたは広告に関する情報の管理を含む当社グループの事業の管理のために、情報システムおよび情報インフラに依存しています。当社グループの情報システムは、システム障害やネットワークの寸断、システムへの不法な侵入および無差別攻撃に晒される可能性があります。同様に、従業員またはその他の者による許可を受けたうえでのまたは無許可の当社グループのシステムへのアクセスを通じたデータセキュリティの事故および侵害により、機密情報が無権限者または公衆に晒される可能性があります。また、当社グループは、データの保存、通信または処理について第三者を利用しています。当社グループはデータおよび情報システムを保護するために周到な対策を講じていますが、当社グループの取組みが当社グループまたは当社グループが利用する第三者のシステムにおけるシステム障害もしくはネットワークの寸断またはセキュリティ侵害を防止するという保証はなく、これらの事象が生じた場合には当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、下請代金支払遅延等防止法、個人情報保護法等の法令および諸規制の適用を受けておりますが、いずれも現状では当社グループの事業に悪影響を及ぼす懸念はありません。しかしながら、今後、新たに広告主の広告活動、広告の形式および内容等に影響を及ぼす法令や、各種規制が採用もしくは強化された場合、または法令および各種規制の解釈が変化した場合には、広告業界および当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは事業遂行上、広告主の情報や個人情報等を取得することがあります。当社グループでは情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格を取得するなど、情報管理には万全を期しておりますが、万一情報漏えい等の事故が発生した場合には、当社グループの信頼性を著しく損なう可能性があり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、広告の内容および表現等当社グループの事業遂行に関連して提起される、取引先、各種団体、消費者または各種知的財産権の保有者等による訴訟に、直接または間接的に関与する可能性があります。
該当事項はありません。
当連結会計年度における研究開発費の金額は、情報サービス業における10億73百万円です。
㈱電通国際情報サービスを中心とする情報サービス業では、同社グループの中期経営計画の基本方針の一つである「競争優位分野への集中」を推進するため、各種技術研究に加え、独自ソリューションの開発・強化を実施しました。主な研究開発活動の概要は以下のとおりです。
金融ソリューションの研究開発活動の金額は2億20百万円です。
主な活動内容は、「BANK・R」中国版の開発、ならびに「VCF(バリューチェーンファイナンス)」サービスの構築です。
エンタープライズソリューションの研究開発活動の金額は2億88百万円です。
主な活動内容は、製品や生産設備の故障を、高度なデータ解析技術を駆使して予測し、生産・保全計画を改善する知的保全ソリューションの研究、ならびに革新的なものづくり手法MBD(モデルベース開発)の実現を支援するソフトウェアの実装方法の検証、人事管理システム「POSITIVE」の次バージョンの開発です。
コミュニケーションITの研究開発活動の金額は2億40百万円です。
主な活動内容は、当社グループにおける協業ビジネスの基盤となるマーケティングプラットフォーム「iPLAss」、ならびに商業施設等を対象とした020プラットフォーム「+fooop! connect」の開発です。
上記に属さない研究開発活動の金額は3億24百万円です。
主な活動内容は、オープンイノベーション研究所によるソーシャルシティ・プラットフォーム「+fooop!」の開発や、同研究所および技術統括本部が推進する各種開発技術の研究です。
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
また、当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値および偶発債務等オフバランス取引の開示、報告期間における財政状態および経営成績について影響を与える見積りを行わなければなりません。経営陣は、例えば、債権の貸倒、投資、法人税等、財務活動、退職金、偶発事象や訴訟等に関する見通しや判断に対して、継続して評価を行っております。経営陣は、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積りおよび判断を行い、その結果は、資産・負債の簿価、収益・費用の報告数字についての判断の根拠となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
当社は、特に以下の重要な会計方針について、当社グループの財政状態および経営成績に特に影響を与える、あるいは、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りにより、大きな影響を受けると考えております。
当社グループの収益の内訳は、主に各種メディアへの広告出稿によってメディア会社から得られる手数料、およびクリエーティブ・サービスを含む広告制作や各種コンテンツサービス等サービスの提供に対する広告主等からの報酬です。手数料による収益については、メディアに広告出稿がなされた時点で収益に計上し、その他の収益については、サービスの提供が完了し、対価の測定が合理的に可能となり、経済的便益が流入する可能性が高くなった時点で計上しています。
当社グループが広告主へ広告枠を販売したことに対し、メディア会社から受け取る手数料をコミッションといいます。日本では、一般に、広告会社は広告主の依頼に基づきメディア会社から広告枠を購入し、購入額と同額で広告主に販売します。当社グループが受領するコミッションは、通常、広告主に請求する広告出稿料金に対する一定割合の金額であり、その料率は通常、当社グループと当該メディア会社間の交渉により決定されます。ただし実際には、広告業界の慣例として、メディア会社からの購入額と当該コミッションとを相殺し、その残額をメディア会社に支払っています。
広告制作やその他の広告サービスによる収益は、これらサービスに対する報酬として広告主およびその他のクライアントが当社グループに支払う金額です。同サービスに関する料金については、通常、外注先および子会社から請求された費用に利益を加えた金額をベースとして交渉を行いますが、定額の報酬またはその他の報酬体系をとる場合もあります。
当社グループは、広告主等の顧客からの回収不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しております。広告主等の顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
当社グループは、将来における継続的な成長のために、新規事業および海外事業ならびに取引先等への投資を行っております。これらの投資には、価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の算定が困難である非公開会社の株式が含まれます。当社グループは、投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、投資の減損を計上しております。将来の市況悪化または投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または投資の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
当社グループは、将来の課税所得および慎重かつ実現可能性の高い継続的なタックス・プランニングの検討にもとづいて繰延税金資産を計上しておりますが、繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に費用として計上する可能性があります。
退職給付費用および債務は、年金数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率および年金資産の長期期待運用収益率などが含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、認識される費用および計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの売上高は、2兆3,093億円(前連結会計年度比19.0%増)となりました。
そのうち、広告業セグメントは、2兆2,465億円(同19.6%増)となりました。この主な要因は、前連結会計年度に買収したイージス社に係る収益を、当連結会計年度から取込んだことによります。
情報サービス業セグメントの売上高は748億円(同5.3%増)となりました。情報サービス業セグメントは㈱電通国際情報サービスを中心として、情報システム構築などのITソリューションを主要な事業内容としております。当連結会計年度においては、エンタープライズソリューション、コミュニケーションITが若干の減収となったものの、金融ソリューションの売上高が拡大したことにより、前連結会計年度を上回りました。
また、その他の事業セグメントは、158億円(同4.1%減)となりました。人材派遣業撤退等により、前連結会計年度を下回りました。
当連結会計年度の売上総利益も、売上高と同様に前連結会計年度を上回り5,940億円(同71.7%増)となりました。
当連結会計年度における当社グループの販売費及び一般管理費は、5,225億円(前連結会計年度比81.8%増)となりました。
前連結会計年度に比べ、イージス社の取込みに加え、のれん等償却額の増加により全体で増加しました。なお、売上総利益に占める給料及び手当の割合は、46.0%(同0.1ポイント増)となっております。
売上総利益の増加が販売費及び一般管理費の増加を上回った結果、営業利益は714億円(前連結会計年度比22.3%増)となりました。
また、営業外収益は仕入割引、収益分配金、持分法投資利益等の増加により225億円(同125.6%増)、営業外費用は支払利息等の増加により115億円(同22.1%増)となったため、営業外収支は110億円(同1,870.6%増)となり、経常利益は825億円(同39.8%増)となりました。
当連結会計年度は、投資有価証券売却益等の計上により特別利益は77億円となり、投資有価証券評価損および減損損失等の計上により特別損失は91億円となったため、税金等調整前当期純利益は811億円(前連結会計年度比28.2%増)となりました。
以上に法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額ならびに少数株主利益を加減した当期純利益は、388億円(同6.8%増)となりました。
当社グループの収益は、主にマス四媒体やインタラクティブメディア、OOHメディアなどの広告に係るサービスおよびそれに関連するクリエーティブ・サービスによるものであり、広告枠の販売に係るメディア会社からのコミッションが大半を占めます。特にマス四媒体の広告枠の販売に係るコミッションが当社グループにとって重要な収益となっています。
マス四媒体の広告に関連して、収益に影響を及ぼす主な要因は次のとおりです。
ア 広告費(景況全般、技術革新、規制緩和および競争激化等、産業に影響を与える情勢により変動)
イ 広告業界における当社グループの競争力
ウ 広告枠に対してメディア会社に支払う料金
エ 広告主の媒体ニーズの変化
近年、インターネットの普及が進み、すでに家庭内のメディア接触時間では、インターネットがテレビに次ぐメディアとなっています。こうしたメディア環境の変化に伴い、広告主においても、マス四媒体とインターネットやモバイルなどのインタラクティブ・メディアを組み合わせた効果的かつ効率的なメディア・プランニングの提供、広告効果の検証など、ニーズの高度化が進んでいます。当社グループでは、こうしたクライアント・ニーズに的確に応えるため、付加価値の高いクロスメディア・キャンペーンの提供に努めています。
最近の傾向として、このような幅広い領域にわたる一貫したサービス、コスト効率や広告効果の検証ツール等に対するニーズの高まりから、広告主が大手広告会社との取引を増やす傾向にあると思われます。
当社グループでは、プロモーションなどのサービスを、マス四媒体の広告と関連して提供することも多く、例えば、プロモーションの場合、クライアントは消費者による商品およびサービスの購入を促進するため、マス四媒体の広告キャンペーンをPOP(ポイント・オブ・パーチェス)および販促イベント、その他の方法と組み合わせて展開するのが一般的です。これらのサービスに対する需要はマス四媒体の広告への需要とは別に変動することもありますが、マス四媒体の広告の需要に影響を与える要因は同時にマス四媒体の広告以外のサービスの需要にも影響を与えます。
当社グループはまた、エンタテインメントおよびスポーツマーケティングに係るサービスからも収益を得ています。具体的には、映画、スポーツ・イベント、音楽等のメディア・コンテンツについて、制作、マーケティング、協賛社獲得、スポンサーシップ・放映権・その他諸権利の販売・仲介を行っています。これらのサービスによる収益の内訳は、メディア・コンテンツに関する諸権利の純売買益または取扱手数料、メディア・コンテンツに含まれる諸権利および使用権からの収益、そして諸サービスに対する報酬です。収益は、イベントの開催場所や開催時期、当社グループが諸権利を得る条件、メディア・コンテンツに対する消費者の需要や関心度、広告主および放送局等の当該諸権利に対する需要の度合いなどの要因によって異なります。
さらに、当社グループは、CRM(顧客管理サービス)、e-マーケティングサービスおよびシステム構築サービスなどのソリューション事業の提供による収益も得ています。このサービスによる収益は、広告サービスによる収益に影響を与える要因のほか、システム開発にかける設備投資額の市場トレンドにも影響されます。
収益に影響を与える要因は、国ごとの景況、特定産業の発展、広告業界における当社グループ各社のポジション、サービスに対する報酬に関する市場慣習、広告主のメディアごとの需要の変化などによって、当社グループが事業展開する国々における収益トレンドが異なる可能性があります。また、当社グループの報告通貨である円と、当社グループが展開する海外諸国の通貨間の為替レートの変動も、海外における広告サービスによる収益に影響を与えます。
なお、当社は平成25年3月にイージス社の株式を取得、同社は当社の連結子会社となりました。株式のみなし取得日を平成25年1月1日としており、かつ、同社は12月31日を決算日としているため、第1四半期連結会計期間から、同社の業績を連結損益計算書に反映しております。
「3 対処すべき課題」をご参照下さい。
当連結会計年度末は、前連結会計年度末と比べ、受取手形及び売掛金が増加したことから、資産合計で4,327億50百万円の増加となりました。一方、支払手形及び買掛金や長期借入金が増加したことから、負債合計で1,328億92百万円の増加となりました。また、為替換算調整勘定の増加および当期純利益の計上等により、純資産合計は2,998億58百万円の増加となりました。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、2,271億28百万円(前連結会計年度末2,075億78百万円)となりました。営業活動および財務活動による収入が、投資活動による支出を上回ったため、前連結会計年度末に比べ195億49百万円の増加となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、975億40百万円(前連結会計年度は832億95百万円)の収入となりました。主に税金等調整前当期純利益、減価償却費およびのれん償却額の増加などにより、営業活動によるキャッシュ・フロー合計は前連結会計年度より142億44百万円増加しました。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果支出した資金は、3,180億87百万円(前連結会計年度は512億36百万円)となりました。主に連結子会社株式の取得による支出が増加したことにより、前連結会計年度より支出が2,668億51百万円増加しました。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果により得た資金は、2,265億26百万円(前連結会計年度は53億49百万円の支出)となりました。主に長期借入による収入、自己株式の処分による収入および株式の発行による収入により、前連結会計年度より収入が2,318億76百万円増加しました。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、広告作業実施のための媒体料金および制作費の支払等ならびに人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。
また、近年においては既存の広告取引とは異なる事業機会を発掘するため、デジタル領域およびグローバル事業への投資に係る資金需要が生じております。
当社グループは、運転資金につきましては、内部資金、コマーシャル・ペーパーまたは短期借入金により調達することとしております。流動資産から流動負債を控除した運転資本については、当社グループでは以前から流動資産が上回っています。前連結会計年度においては、イージス社買収に伴う未払金が2,954億円計上されていることから、流動負債が1,949億円上回っておりましたが、当連結会計年度においては、流動資産が1,151億円上回っております。
当社は、資金の短期流動性を確保するため、シンジケーション方式による極度額500億円の銀行融資枠を設定しています。また、グループ内の資金効率の向上を図るべく、日本においては、資金余剰状態にある国内子会社から当社が資金を借り入れ、資金需要が発生している国内子会社に貸出を行うキャッシュ・マネジメント・システム(以下CMS)を導入しております。また、電通イージス・ネットワーク社では、海外の資金をロンドンに集約させるグローバルCMSを導入しています。
当社は、格付機関である㈱格付投資情報センター(R&I)から長期格付AA-、短期格付a-1+を取得しております。
「3 対処すべき課題」をご参照下さい。