第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当社グループは、当連結会計年度(平成28年4月1日から平成29年3月31日まで)よりスタートさせました中期事業計画 Take a New Step 2016 の重点テーマと中長期重点課題に取り組み、研究開発の強化、重点事業への経営資源の最適配分、海外事業の拡大に加え、収益体質の強化を目指し、一層のコストダウンを推進しました。

 

この結果、当連結会計年度の連結売上高は、セイフティシステムズ事業が前連結会計年度を上回ったものの、機能化学品事業と医薬事業が下回ったことにより、1,591億1千7百万円と前連結会計年度に比べ38億4百万円(2.3%)減少しました。

連結営業利益は、機能化学品事業、セイフティシステムズ事業が前連結会計年度を上回ったものの、医薬事業が下回ったことにより、196億4千6百万円と前連結会計年度に比べ20億6千7百万円(9.5%)減少しました。

連結経常利益は、199億4千7百万円と前連結会計年度に比べ10億6千9百万円(5.1%)減少しました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、156億3千5百万円と前連結会計年度に比べ16億5千6百万円(9.6%)減少しました。

当社の業績と比べると、当連結会計年度の連結売上高は当社の1.60倍、親会社株主に帰属する当期純利益は当社の1.45倍となりました。

 

 セグメントの業績は次のとおりであります。

  ①機能化学品事業

売上高は640億2千9百万円と前連結会計年度に比べ47億5千9百万円(6.9%)減少しました。

機能性材料事業は、半導体封止材用エポキシ樹脂が前連結会計年度を上回り、米国マイクロケム社も前連結会計年度を上回りました。機能性材料事業全体では前連結会計年度を上回りました。

色素材料事業は、感熱紙用材料の感熱顕色剤は前連結会計年度を上回り、インクジェットプリンタ用色素、繊維用染料、紙用染料、機能性色素は前連結会計年度を下回りました。色素材料事業全体では前連結会計年度を下回りました。

触媒事業は、前連結会計年度を下回りました。

ポラテクノグループは、主に染料系偏光フィルム及び無機偏光板ProFluxの販売が低迷し、前連結会計年度を下回りました。

セグメント利益は67億8千6百万円となり、前連結会計年度に比べ4億7千2百万円(7.5%)増加しました。

②医薬事業

売上高は476億4千8百万円と前連結会計年度に比べ25億5千1百万円(5.1%)減少しました。

国内向け製剤は、バイオシミラーの「インフリキシマブBS点滴静注用」(抗体薬)、高度管理医療機器の「エンボスフィア」(血管内塞栓材)が伸長しました。一方、「パクリタキセル注」、「カルボプラチン点滴静注液」などの注射剤抗がん薬や「アナストロゾール錠」、「ビカルタミド錠」などの経口抗がん薬は薬価改定などの影響を受け、前連結会計年度を下回りました。国内向け製剤全体では、「オキサリプラチン点滴静注液」(抗がん薬)及び「ドセタキセル点滴静注」(抗がん薬)などの新製品が寄与したものの、前連結会計年度を下回りました。

輸出は、ブレオ類(抗がん薬)が前連結会計年度を下回ったものの、エトポシド類(抗がん薬)、高薬理活性原薬が伸長し、輸出全体では前連結会計年度を上回りました。

国内向け原薬及び診断薬は、前連結会計年度を下回りました。

セグメント利益は48億1千4百万円となり、前連結会計年度に比べ29億7千5百万円(38.2%)減少しました。

③セイフティシステムズ事業

売上高は387億8千2百万円と前連結会計年度に比べ34億3千9百万円(9.7%)増加しました。

国内事業は堅調に推移し、エアバッグ用インフレータは前連結会計年度を上回り、シートベルトプリテンショナー用マイクロガスジェネレータは前連結会計年度を下回りました。国内事業全体では前連結会計年度を上回りました。

海外事業は北米・欧州・中国市場が堅調だったことに加え、新興国での自動車安全部品への需要拡大などによりエアバッグ用インフレータ、シートベルトプリテンショナー用マイクロガスジェネレータ及びスクイブはそれぞれ前連結会計年度を上回りました。

セグメント利益は72億6千5百万円となり、前連結会計年度に比べ4億6千2百万円(6.8%)増加しました。

④その他

売上高は86億5千7百万円と前連結会計年度に比べ6千6百万円(0.8%)増加しました。

アグロ事業は、国内は前連結会計年度を下回り、輸出は前連結会計年度を上回りました。アグロ事業全体では前連結会計年度を上回りました。

不動産事業他は、前連結会計年度を上回りました。

セグメント利益は15億7千9百万円となり、前連結会計年度に比べ3億4千5百万円(28.0%)増加しました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、313億9千万円の収入(前連結会計年度は196億3百万円の収入)となりました。これは主に法人税等の支払額が62億1千5百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が223億9千7百万円、減価償却費が113億4千3百万円、売上債権の減少額が31億1千2百万円あったことによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、119億1千3百万円の支出(前連結会計年度は50億9千万円の支出)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入が34億8千6百万円あったものの、有形固定資産の取得による支出が133億2千万円、その他投資の増加による支出が10億1千6百万円、無形固定資産の取得による支出が7億9千万円あったことによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、141億3百万円の支出(前連結会計年度は94億3千2百万円の支出)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出が61億3千4百万円、配当金の支払額が52億2千5百万円、自己株式の取得による支出が27億2千7百万円あったことによるものです。

以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ43億2千万円増加し、517億8千5百万円となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

機能化学品事業

47,284

91.9

医薬事業

35,461

98.6

セイフティシステムズ事業

43,185

109.6

その他

5,070

113.0

合計

131,001

99.8

 

(注)1 生産金額は販売価格をもって算出しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2 上記の金額に消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当社グループ(当社及び連結子会社)では、受注生産によらず見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

機能化学品事業

64,029

93.1

医薬事業

47,648

94.9

セイフティシステムズ事業

38,782

109.7

その他

8,657

100.8

合計

159,117

97.7

 

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 上記の金額に消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針・経営環境及び対処すべき課題等は次のとおりです。但し、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針・経営戦略等

当社グループの企業ビジョンは、KAYAKU spirit「最良の製品を不断の進歩と良心の結合により社会に提供し続けること」です。中期的な事業ビジョンとして「生命と健康を守り、豊かなくらしを支える最良の製品・技術・サービスを提供し続ける」を掲げ、KAYAKU spirit のもとすべてのステークホルダーの信頼に応えるため、中期CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)アクションプランを策定しCSR経営に取り組みます。私たちは、中期CSRアクションプランの継続的な取り組みを、当社グループの「価値創造プロセス」と位置づけております。この価値創造プロセスの実践による経営資本の増大を通じて、企業価値の最大化と持続的な成長を図ることにより、事業ビジョンを達成するとともに持続可能な社会・環境に貢献してまいります。

当社グループの経営基本戦略は、「事業ビジョンの達成に向け、自社の得意な要素技術や経営資源を用いてニッチ市場をターゲットにスピーディに戦略を実行すること」であり、重点的に取り組む事業領域として「生命と健康を守り、豊かなくらしを支えるファインケミカル分野」を定めております。当社グループは、コーポレートスローガンとして「世界的すきま発想。」を掲げております。100年の歴史で培った要素技術を進化させながら、安全・環境に配慮し特徴のある製品を提供する「スマート ケミカルズ カンパニー」として社会に必要とされる存在であり続けることを目指しております。効率の良いモノづくりのノウハウや、優秀な人材、堅実な財務力などを複数の事業で共有することが当社グループの価値の源泉となっております。事業間、グループ会社間の融合を促進して一体的に経営することが、当社グループ企業価値の増大につながるものと考えております。

平成28年4月からはじまった3ヵ年中期事業計画をTake a New Step 2016 とし、創立100周年を越えてKAYAKU spiritのもと、時代の変化を先取りして進化し続けてまいります。本中期事業計画では、成長のための重点テーマとして、①CSR経営の遂行、②研究開発の強化、③知的付加価値の創造・提供、④グローバル化、⑤経営資源の効率化、⑥社外との協業による事業強化、の6点を定めました。2年目となる平成29年度においても各事業ともこれらの課題に取り組み、事業ビジョンの達成に向け注力してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

本3ヵ年中期事業計画の数値目標として、売上高1,900億円、営業利益225億円を目指します。また、中長期の数値目標として定めた、売上高2,000億円、ROE10%の早期達成に向けて挑戦してまいります。

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

当連結会計年度の世界経済は、米国では堅調な個人消費の下支えにより回復傾向が続き、欧州では地政学的リスクの高まりがみられるものの緩やかな回復が続きました。中国では設備投資に持ち直しの動きがみられるなど底堅く推移しました。日本経済は、雇用・所得環境の改善にともない引き続き回復基調にあるものの、世界経済の減速懸念や金融資本市場の変動の影響により、先行き不透明な状況が続きました。

機能性材料に関わる化学品産業は、情報通信関連市場において個人電子端末と家電や自動車とのネットワークがますます拡大し、搭載される半導体デバイスの小型化・高性能化、画像表示パネルの高精細化が急速に進みました。また世界的な省エネルギー・省資源の流れの中で新たな高強度・軽量化構造材料や高耐熱材料が求められています。

医薬品産業においては、医療費抑制のためのジェネリック医薬品の使用促進施策により、後発医薬品市場は大きく成長しています。しかしながらジェネリック専業メーカーが規模を拡大し、外資メーカーや国内大手製薬メーカーなどの参入もあり競争が激化しています。また医療費抑制に大きく寄与することが期待されるバイオシミラーが注目されています。

自動車産業においては、日本やASEANなどの新興国では伸び悩みがあったものの、米国・欧州は堅調に推移しました。また中国では販売台数は大きく伸長しました。

 

Take a New Step 2016 では各事業の事業ビジョンを以下の通り定め、解決すべき課題に注力し成長を目指してまいります。

 

<機能化学品事業>

本事業の事業ビジョンは、「樹脂・色素・触媒をコア技術に、情報・通信、省エネルギー・省資源分野へ、特徴のある機能化学品材料を提供し、『超スマート社会』の実現に貢献する」ことです。本中期事業計画においては、独自の熱硬化・紫外線硬化技術や接着技術を活用して、個人電子端末・車載機器の世界的な普及拡大と高性能化に貢献する情報・通信関連製品の開発を目指します。また環境対応型エポキシ樹脂、ユーザーの廃水削減を可能にする産業用インクジェット色素や、更なる収率向上につながるアクリル酸・メタクリル酸製造用触媒の開発などで省エネルギー・省資源の推進に貢献してまいります。

 

<医薬事業>

本事業の事業ビジョンは、「得意技術によるイノベーションの推進、高品質な医薬品の安定供給により、医療の向上と医療費の効率化を通じて社会に貢献する」ことです。本中期事業計画においては、抗がん薬内包高分子ミセルの研究・開発、バイオシミラーの市場におけるポジションの確立とバイオ医薬品の国内製造に向けた事業基盤の整備、ジェネリック医薬品を含め、がん関連領域での製品ラインナップの拡充を3つの重点領域として、市場での優位性の確保に注力することにより社会に貢献してまいります。

 

<セイフティシステムズ事業>

本事業の事業ビジョンは、「火薬安全技術をコアコンピタンスとして、自動車安全部品を中心に、世界中のより多くの人々に安全を提供する」ことです。本中期事業計画においては、エアバッグ用インフレータやシートベルトプリテンショナー用マイクロガスジェネレータ、点火用スクイブなどの新製品の開発に努めてまいります。また、日本・北米・欧州・中国・ASEANの5拠点体制でグローバルビジネスとして事業拡大を図ってまいります。

 

<その他>

アグロ事業の事業ビジョンは、「有効性、安全性、環境適合性に優れた農薬を、使いやすく且つ性能を活かす製剤技術と共に提供する」ことです。本中期事業計画においては、新規殺虫剤を上市予定であり、さらに市場環境や顧客ニーズに適合した農薬を提供し、安定した農業生産に寄与し続けることで事業を拡大してまいります。不動産事業は、顧客との関係を重視しつつ、安定的な収益の獲得を目指します。

 

KAYAKU spiritのもと、全員がベクトルを合わせ主体的に事業活動に取り組むことによって、企業価値の最大化を達成してまいります。また、女性の活躍促進を含めた人材の活用・育成とダイバーシティを推進する取り組み、エネルギー低消費型企業を目指した取り組みを進め、社員にとって働きやすく環境にも優れた事業運営を行ってまいります。併せて、コーポレートガバナンス・コードへの対応をはじめ、グループ経営の強化やコンプライアンスの徹底など内部統制の充実に努め、健全で透明性の高い経営を行うことで、企業の経済的責任、社会的責任、環境責任を果たし、すべてのステークホルダーの信頼に応えるCSR経営に取り組んでまいります。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループは、事業を運営していく限り伴う様々なリスクの発生防止、分散等によりリスクの軽減を図るよう努めております。

当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与えうるリスクには、以下のようなものがあります。但し、これらは当連結会計年度末現在において当社グループが判断したもので、予想を超える事態が発生する場合もあり、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

 

(1) 事業環境の変動に係るリスク

①事業全般

当社グループは、経営基本方針のもと様々な事業を営むことにより安定的な事業運営に努め、事業戦略、開発戦略等を定めて事業環境の変化に応じた経営を行っております。しかし、売上・営業利益の構成比率が高い機能化学品事業は、景気変動の影響を受けやすい事業であります。国内外の景気変動及び需要低迷・競合激化等々の事業環境の変動や事業構成の変動により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

②機能化学品事業

機能化学品事業は、主力となる情報・通信関係の製品は、技術革新のサイクルが速く、新製品をスピーディーに開発し、生産体制を整える必要があります。顧客ニーズを満足させる新製品をタイムリーに提供できないことや他社による画期的な技術革新により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
 また、原料調達関連にて中国国内環境規制強化による供給不安や価格高騰リスクがあるため、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

③医薬事業

医薬事業は、国内において、医療費抑制策の一環として薬価の引下げなどの薬価制度の改革と後発品の使用促進が行われております。そして、海外においても同様の環境にあります。また、原薬受託事業においては顧客の市場の販売動向及び生産量調整などによる影響を受けます。これら政府の医療費抑制策や顧客の市場環境等により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

④セイフティシステムズ事業

セイフティシステムズ事業では、自動車安全部品を販売しており、当社グループが製品を販売している国または地域における景気変動や経済政策の変更等による自動車需要の変動、また天災、事故等による自動車の生産に必要なサプライチェーンへの障害等により自動車生産台数に大幅な変更が発生すると、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

⑤その他

アグロ事業は、気象等の変動による作物の育成状況や病害虫の発生状況に大きな影響を受けます。また、食品の安全や環境への影響に関する公的規制等が強化されております。気象状況や公的規制等により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(2) 金利に係るリスク

当社グループは、事業運営に必要な資金調達の手段・金額等を、財務状況及び金融環境を考慮して判断しております。将来、金利が上昇した場合に金利コストが増加したり、資金調達にも支障がでることにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(3) 為替レート変動に係るリスク

当社グループは、海外での事業や輸出に関連した取引において、為替レートの急激な変動に対して外貨建の売買取引額のバランスを取る等によりリスクを最小限にすべく努めておりますが、為替差損が発生することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

また、在外連結子会社の財務諸表項目は、連結財務諸表作成のために円換算されているため為替レートの変動により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

 

(4) 退職給付に係るリスク

当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、数理計算された退職給付債務と年金資産の見込に基づき計上されております。退職金・年金制度の変更、数理計算での割引率等の変更、年金資産の時価の変動、運用環境の変動等により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(5) たな卸資産在庫の評価に係るリスク

当社グループは、棚卸資産の評価に関する会計基準を適用しておりますが、たな卸資産の正味売却可能価額が帳簿価額を下回った場合には評価減が発生することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(6) 固定資産の減損に係るリスク

当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しておりますが、今後大幅な事業収益性の悪化や不動産価格の下落等があった場合には減損損失が発生することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(7) 有価証券の評価に係るリスク

当社グループは、主に取引先との関係維持のために株式を保有しておりますが、株式相場の大幅な下落、または株式保有先の財政状態の悪化により株式の評価が著しく下落した場合には株式の評価損が発生することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(8) 法令等の変更に係るリスク

当社グループは、事業を営む各国の法令等に従って、事業活動を行っております。将来における法令・規制、政策等の変更による当社グループの事業活動の制限やコストの増加により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(9) 海外事業展開に係るリスク

当社グループは、海外での事業活動の比率を拡大していく方向にありますが、各国での予期しない法令・規制や政策等の変更、テロ・戦争・その他の要因による社会的混乱等により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(10) 訴訟に係るリスク

当社グループは、様々な事業活動を行っているなかで、訴訟、係争、その他の法律的手続きの対象となる可能性があります。重要な訴訟等が提起されることにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(11) 知的財産権の侵害に係るリスク

当社グループは、特許等知的財産を厳重に管理しておりますが、第三者からの侵害を完全には防止できない可能性があるほか、当社グループの製品・技術の一部が、他社の知的財産権を侵害しているとされる可能性があります。これら知的財産権の侵害により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(12) 研究開発に係るリスク

当社グループは、研究開発を事業成長の原動力と捉え積極的な研究開発活動を行っております。医薬・アグロ事業においては、その有効性や安全性を確認するために研究開発期間が長期間にわたるため、一つの新製品開発には多額の費用を要します。従って、開発後期において開発を断念することになった場合には、多額な研究開発費用を回収できないこととなります。また、機能化学品事業やセイフティシステムズ事業においては、技術革新及び顧客ニーズの変化が極めて速く、新製品をタイムリーに開発・提供できない可能性があります。

このように研究開発活動が成果に結びつかないことにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(13) 原材料の調達に係るリスク

当社グループは、原材料の複数調達先の確保等で安定的な原材料の調達を行うよう努めておりますが、調達先からの原材料の供給停止などで生産活動に支障をきたす可能性があり、また原材料価格が高騰して大幅なコスト増となることにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(14) 製品の品質に係るリスク

当社グループは、「ISO9001」等の品質保証の国際規格による管理基準を定め、それに従った各種製品を製造しておりますが、すべての製品について欠陥が無く、問題が発生しないという保証はなく、大規模なリコールや、製造物責任が発生する可能性があります。製造物責任賠償に関しては、保険に入る等で万一に備えておりますが、賠償額を充分にカバーできる保証はありません。また、医薬・アグロ事業においては、これまで未知であった有害事象等が上市後明らかになることなどにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(15) 事故・災害に係るリスク

当社グループは、製造設備・物流で発生する事故、自然災害等による損害を防止するため、法令及び社内で定めた基準に従い定期的な点検、安全装置・消火設備の充実、各種安全活動・安全審査・環境安全診断を行う等の安全保持対策を実施すると共に、BCP(事業継続計画)を策定し有事に際してより適切な復旧活動に努めますが、事故・災害による影響を完全に防止・軽減できる保証はありません。事故等により、工場及びその周辺に物的・人的被害を及ぼした場合や顧客の生産に支障をきたし補償を請求された場合、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与えたり、また災害等で、得意先等がサプライチェーンの混乱等を起こし、得意先等への納入が出来ないことにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(16)電力供給不安に係るリスク

日本国内は原発の稼働が制限され火力発電への依存度が高まっているため、電力炭酸ガス係数が大きくなっており、企業活動が更に活発化してエネルギー消費量が増加した場合、エネルギー由来炭酸ガス排出量が増加する恐れがあります。将来、地球温暖化ガス排出量について規制化された場合に、炭酸ガス排出権購入などの費用が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

また、電力会社の再生可能エネルギー発電電力の買い取りが増長し、再生可能エネルギー促進賦課金が増加することによる電気料金の増加の恐れがあり、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(17)土壌汚染に係るリスク

当社グループは、土壌汚染の防止のために、法令及び社内で定めた基準に従い、有害物質保管設備の定期的な点検、安全装置、各種安全活動(安全審査、環境安全診断)等を行うなど、漏洩防止に努めておりますが、事故・災害による影響を完全に防止・軽減できる保証はありません。また、現時点で、所有している土地全てについて調査を完了していませんので、自然由来によるものや当社が合併等により承継した企業の事業活動による汚染など、当社グループの事業活動以前に土中に有害物質が混入していたものが、後日、確認される可能性も否定できません。土壌汚染が確認された場合、当社グループの評価に重大な影響を与えたり、更に土壌汚染対策を実施した場合、多大なコストが発生することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(18)情報システムに係るリスク

当社グループは、基幹システムの機器を社外のデータセンターにハウジングして、システムの安全・安定運用の確保に努めております。また、ネットワークに関しても重要な拠点については回線の冗長化を図っておりますが、予期せぬ障害や大規模な災害によりシステムが停止する可能性は否定できません。システムが停止した場合、調達や生産、製品の出荷などの指示が不能または遅延し、得意先等への納入が出来ないことにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 技術導入契約

(契約会社名:日本化薬株式会社(当社))

契約品名

契約年月日

契約先

契約内容

パクリタキセル含有高分子ミセル抗がん剤

平成14年6月12日

ナノキャリア㈱
(日本)

パクリタキセル含有高分子ミセル抗がん剤に関する特許実施権、ノウハウ実施権の導入。

(対価)マイルストーンと製品正味販売高につき一定期間一定料率のロイヤリティを支払う。

(契約期間)平成14年3月31日から実施期間中。

黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)拮抗抗がん剤

平成18年7月26日

エテルナゼンタリス社
(ドイツ)

黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)拮抗抗がん剤に関する特許実施権、ノウハウ実施権の導入。

(対価)マイルストーンと製品正味販売高につき一定期間一定料率のロイヤリティを支払う。

(契約期間)平成18年7月26日から許諾特許の有効期間満了日又は許諾製品の発売後一定年数経過日の遅い日まで。

 

 
(2) 技術導出契約

(契約会社名:日本化薬株式会社(当社))

契約品名

契約年月日

契約先

契約内容

インフレータ、マイクロガスジェネレータ、ガス発生剤、スクイブ及びエンハンサ

平成24年11月14日

インデット セイフティ システムズ社
(チェコ)

インフレータ、マイクロガスジェネレータ、ガス発生剤、スクイブ及びエンハンサに関するチェコでの製造及び全世界での販売に関する権利の許諾及び技術供与。

(対価)一時金と売上高につき一定期間一定料率のロイヤリティを支払う。

(契約期間)平成25年1月1日から平成29年12月31日まで。

インフレータ、マイクロガスジェネレータ、ガス発生剤、スクイブ及びエンハンサ

平成24年11月19日

カヤク セイフティシステムズ  デ メキシコ社
(メキシコ)

インフレータ、マイクロガスジェネレータ、ガス発生剤、スクイブ及びエンハンサに関するメキシコでの製造及び全世界での販売に関する権利の許諾及び技術供与。

(対価)一時金と売上高につき一定期間一定料率のロイヤリティを支払う。

(契約期間)平成25年1月1日から平成29年12月31日まで。

インフレータ、マイクロガスジェネレータ、ガス発生剤、スクイブ及びエンハンサ

平成25年6月21日

カヤク セイフティシステムズ マレーシア社
(マレーシア)

インフレータ、マイクロガスジェネレータ、ガス発生剤、スクイブ及びエンハンサに関するマレーシアでの製造及び全世界での販売に関する権利の許諾及び技術供与。

(対価)一時金と売上高につき一定期間一定料率のロイヤリティを支払う。

(契約期間)平成25年6月21日から平成30年12月31日まで。

感熱関連製品、染料・染料助剤、インクジェットインク関連製品

平成28年11月11日
平成28年12月1日

上海化耀国際貿易有限公司
(中国)

感熱関連製品、染料・染料助剤、インクジェットインク関連製品に関する中国での製造及び全世界での販売に関する権利の許諾及び技術供与。

(対価)一時金と売上高につき一定期間一定料率のロイヤリティを支払う。

(契約期間)平成28年12月1日から平成38年11月30日まで。

 

 

 

(3) その他の契約

(契約会社名:日本化薬株式会社(当社))

契約品名

契約年月日

契約先

契約内容

血管塞栓用ビーズ(医療機器)

平成21年4月16日

バイオスフィア メディカル社
(米国)

血管塞栓用ビーズ2品目について日本における独占的開発、流通販売権の取得。

(対価)一時金の支払とマイルストーン。

(契約期間)平成21年4月16日から一定年数経過日まで。

膀胱がん治療剤

平成21年11月6日

スペクトラム社
(米国)

膀胱がん治療に関する日本及びアジア地域での開発権、製造権、販売権の取得。但し、韓国、北朝鮮での販売権は除く。

(対価)契約締結一時金、開発の進捗及び販売額に応じたマイルストーンと、製品正味販売高につき契約期間一定料率のロイヤリティを支払う。

(契約期間)平成21年11月6日から、1)特許期間、2)優先販売期間、3)上市後10年間のいずれか長い方まで。

乳がん治療剤

平成24年6月19日

オリオン社
(フィンランド)

乳がん治療剤に関する特許実施権、ノウハウ実施権、商標使用権の許諾に基づく日本における独占的流通販売権の取得。

(対価)一時金の支払。

(契約期間)平成24年6月30日から平成30年6月29日まで。

抗体医薬品

平成28年12月28日

カルティベクス社

抗体医薬品について、製造工程の研究開発に係る業務の委託。

(対価)一時金の支払とマイルストーン。

(契約期間)平成28年10月26日から平成30年8月31日まで。

 

 

6 【研究開発活動】

市場ニーズを的確に捉え新製品の創出・上市を目指し、出口を見据えた研究開発を行うため各研究所を各事業部門の直轄とし、研究開発、営業、製造、本社事業部門を一体化するとともに、全社的な研究開発に関する連携などは引き続き研究開発本部が行う研究開発体制に変更しました。

当連結会計年度における研究開発費は139億円であります。

当連結会計年度におけるセグメントごとの活動状況及び研究開発費は次のとおりであります。

 

(機能化学品事業)

機能化学品事業では、コア技術を活かして独自の素材開発とその複合化に注力しています。高耐熱性や難燃性を有する環境対応型エポキシ樹脂、高反応性モノマー・オリゴマーなどの特徴ある素材を電気・電子分野、構造材料分野向けに開発すると同時に、これら素材を複合化してディスプレイ分野や電子デバイス分野向けの各種機能性材料を開発しています。また、歴史ある染料技術に基づき、インクジェットプリンタ用色素や特殊な機能性色素材料の開発にも注力しています。加えてアクリル酸などの基礎化学品製造用の高性能触媒の開発を引き続き推進し、逐次市場へ投入しております。また新規市場向けに、光制御技術を活かして特定波長の光を反射・吸収する独自技術を開発し、車載用ディスプレイ分野やアイウェア分野へ提供できる高機能な特殊フィルムの開発にも精力的に取り組んでおります。

当事業に係る研究開発費は54億円であります。

 

(医薬事業)

医薬事業では、ナノテクノロジー技術を駆使した抗がん薬内包高分子ミセルの研究開発を精力的に進めております。さらに、薬剤費が非常に高額であるバイオ医薬品に対し、安価な製剤の提供が社会的に求められているため、バイオシミラーを導入し、開発を進めております。当期はバイオ医薬品の製造拠点となる株式会社カルティベクスを三菱ガス化学株式会社と合弁で設立し、自社製造を目指した取り組みをスタートしました。また、主要領域と位置づけているがん領域の製品群を増強するため、社外からの開発品の導入や共同開発ならびに抗がん薬のジェネリック医薬品の開発についても積極的に取り組んでおります。原薬事業では、ジェネリック医薬品原薬製造、高薬理活性物質などの受託製造など、研究開発を通じた原薬事業の拡大を目指しております。

当事業に係る研究開発費は57億円であります。

 

(セイフティシステムズ事業)

セイフティシステムズ事業では、当社の火薬技術を生かしたディスク型インフレータ(運転席、助手席エアバッグ用)、シリンダ型インフレータ(サイド、カーテン、シートクッション、ニーエアバッグ用)、シートベルトプリテンショナー用マイクロガスジェネレータ、歩行者保護ボンネット跳ね上げ駆動装置用マイクロガスジェネレータなどの開発を推進しております。

当事業に係る研究開発費は14億円であります。

 

(その他)

アグロ事業では、提供する農薬をより安全で使いやすい物にするため、工夫製剤の開発、現製品の適用拡大を継続的に実施しており、現在登録申請中の新剤の上市に向けた取り組みを重点的に行っております。

また、新製品・新事業の創出を目指した研究開発のうち、全社的な経営資源を戦略的に配分して、社内外の技術・製品・知的財産などを融合することにより、将来大きな成長分野となることが期待できるコーポレート研究も積極的に推進しております。

アグロ事業及びその他の研究開発費は13億円であります。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績の分析

①売上高

当連結会計年度の当社グループの売上高は、1,591億1千7百万円で、前連結会計年度に比べ38億4百万円(2.3%)減少しました。売上高については、1.業績等の概要(1)業績に記載したとおりであります。

②売上総利益

売上総利益は、機能化学品事業の販売品目構成の変化などの影響により、638億5千9百万円と、前連結会計年度に比べ24億2千4百万円(3.7%)減少しました。

③販売費及び一般管理費、営業利益

販売費及び一般管理費は、442億1千3百万円となりました。

この結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ20億6千7百万円(9.5%)減少し、196億4千6百万円となりました。営業利益率は、前連結会計年度に比べ1.0ポイント低下し、12.3%となりました。

④営業外損益、経常利益

営業外損益は、円高による為替差損などにより、前連結会計年度に比べ9億9千8百万円増加し、3億円の利益となりました。

この結果、経常利益は、199億4千7百万円となりました。

⑤特別損益、税金等調整前当期純利益

特別利益は、固定資産売却益などにより、前連結会計年度に比べ60億4千1百万円減少し、31億6千万円となりました。

特別損失は、環境対策引当金繰入額などにより、前連結会計年度に比べ43億5千8百万円減少し、7億1千万円となりました。

この結果、税金等調整前当期純利益は、223億9千7百万円となりました。

⑥法人税等(法人税等調整額を含む)、非支配株主に帰属する当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益

法人税等は、60億2千万円となりました。法人税等の負担率は、前連結会計年度の27.27%から26.88%に減少しました。

非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ2億5千6百万円減少し、7億4千2百万円となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、156億3千5百万円となりました。

 

(2) 財政状態の分析
①資産、負債及び純資産の状況

総資産は2,727億9千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億1千1百万円増加しました。主な増加は現金及び預金74億6千8百万円、たな卸資産9億9千4百万円、その他投資9億4千5百万円、未収入金6億8千1百万円(流動資産その他に含む)であり、主な減少は受取手形及び売掛金39億7千7百万円、有価証券30億4百万円、投資有価証券28億9千1百万円であります。

負債は669億2千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ52億6千2百万円減少しました。主な減少は長期借入金42億5千8百万円、環境対策引当金20億5千8百万円、未払費用7億2千万円、長期預り金7億1千万円、短期借入金6億7千5百万円であり、主な増加は支払手形及び買掛金14億9千6百万円、未払金14億5千2百万円であります。

純資産は2,058億6千6百万円となり、前連結会計年度末に比べ53億7千3百万円増加しました。主な増加は親会社株主に帰属する当期純利益156億3千5百万円、退職給付に係る調整累計額5億9千8百万円、非支配株主持分2億3千万円であり、主な減少は配当金の支払52億3千8百万円、自己株式の取得26億9千8百万円、為替換算調整勘定22億1千1百万円、その他有価証券評価差額金9億9千4百万円であります。

②キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、313億9千万円の収入(前連結会計年度は196億3百万円の収入)となりました。これは主に法人税等の支払額が62億1千5百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が223億9千7百万円、減価償却費が113億4千3百万円、売上債権の減少額が31億1千2百万円あったことによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、119億1千3百万円の支出(前連結会計年度は50億9千万円の支出)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入が34億8千6百万円あったものの、有形固定資産の取得による支出が133億2千万円、その他投資の増加による支出が10億1千6百万円、無形固定資産の取得による支出が7億9千万円あったことによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、141億3百万円の支出(前連結会計年度は94億3千2百万円の支出)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出が61億3千4百万円、配当金の支払額が52億2千5百万円、自己株式の取得による支出が27億2千7百万円あったことによるものです。

以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ43億2千万円増加し、517億8千5百万円となりました。