当連結会計年度(平成27年4月1日から平成28年3月31日まで)の世界経済は、米国では緩やかな回復が続いており、欧州では地政学的リスクなど懸念はあるものの全体として緩やかな回復が見られました。中国では成長のペースが鈍化しました。日本経済は、個人消費に底堅い動きが見られるなど緩やかな回復基調が続いているものの、円高など先行きが不透明な状況も見られました。
機能化学品産業は、中国経済成長鈍化の影響を受け、電気・電子機器、半導体向け材料やアクリル酸製造用触媒などの分野で苦戦を強いられました。また低価格品の台頭による競争が続いており、事業環境は更に厳しいものとなっています。
医薬品産業においては、医療費抑制のためのジェネリック医薬品の使用促進施策により、後発医薬品市場は大きく成長しています。しかしながらジェネリック専業メーカーが規模を拡大し、外資メーカーや国内大手製薬メーカー等の参入もあり競争が激化しております。また医療費抑制に大きく寄与することが期待されるバイオ後続品が注目されています。
自動車産業においては、日本やアジアなどの新興国では伸び悩みがありましたが、米国・欧州は堅調に推移しました。また中国では伸び率は下がったものの販売台数は伸長しました。
当連結会計年度の連結売上高は、機能化学品が前期を下回りましたが、医薬事業、セイフティシステムズ事業が上回ったことにより、1,629億2千2百万円と前期に比べ10億6千万円(0.7%)増加しました。
連結営業利益は、医薬事業、セイフティシステムズ事業が前期を上回りましたが、機能化学品事業が下回ったことにより、217億1千3百万円と前期に比べ5億8千8百万円(2.6%)減少しました。
連結経常利益は、為替差損などにより210億1千6百万円となり、前期に比べ41億4千6百万円(16.5%)減少しました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産売却益、環境対策引当金繰入により172億9千1百万円となり、前期に比べ16億3千8百万円(10.5%)増加しました。
当社の業績と比べると、当連結会計年度の連結売上高は当社の1.59倍、親会社株主に帰属する当期純利益は当社の1.36倍となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
売上高は687億8千8百万円と前連結会計年度に比べ47億6千9百万円(6.5%)減少しました。
機能性材料事業は、半導体封止材用エポキシ樹脂、液晶シール材が前連結会計年度を下回りましたが、米国マイクロケム社は前連結会計年度を上回りました。機能性材料事業全体では前連結会計年度を下回りました。
色素材料事業は、インクジェットプリンタ用色素、繊維用染料、感熱紙用材料の感熱顕色剤は前連結会計年度を下回りましたが、機能性色素は前連結会計年度を上回りました。色素材料事業全体では前連結会計年度を下回りました。
触媒事業は、中国経済減速の影響を受け、前連結会計年度を下回りました。
ポラテクノグループは、液晶ディスプレイ用部材の温度追従型楕円偏光フィルムの販売が低迷し、前連結会計年度を下回りました。
セグメント利益は63億1千3百万円となり、前連結会計年度に比べ23億7千万円(27.3%)減少しました。
売上高は502億円と前連結会計年度に比べ12億6千7百万円(2.6%)増加しました。
国内向け製剤は、「カルボプラチン点滴静注液NK」、「パクリタキセル注NK」、「カルセド注射用」などの注射剤抗がん薬が伸長しました。また、「アナストロゾール錠NK」、「ビカルタミド錠NK」などの経口抗がん薬も伸長しました。一方、「オダイン錠」、「フェアストン錠」、「ランダ注」(いずれも抗がん薬)などの長期収載品はジェネリック医薬品への切り替えの影響により、前連結会計年度を下回りました。国内向け製剤全体では、バイオ後続品の「インフリキシマブBS点滴静注用」(抗体薬)、「フィルグラスチムBS注」(がん化学療法支持療法薬)、「オキサリプラチン点滴静注液NK」(抗がん薬)および「ドセタキセル点滴静注」(抗がん薬)などの新製品が寄与し、前連結会計年度を上回りました。
輸出は、ブレオ類(抗がん薬)、高薬理活性原薬が伸長しましたが、エトポシド類(抗がん薬)が前連結会計年度を下回り、輸出全体では前連結会計年度を下回りました。
国内向け原薬は、医薬品原料が前連結会計年度を上回り、全体でも前連結会計年度を上回りました。
診断薬は、腫瘍マーカー測定試薬が前連結会計年度を上回りましたが、糖尿病診断薬が前連結会計年度を下回り、全体では前連結会計年度を維持しました。
セグメント利益は77億8千9百万円となり、前連結会計年度に比べ9億3千3百万円(13.6%)増加しました。
売上高は353億4千2百万円と前連結会計年度に比べ48億5千6百万円(15.9%)増加しました。
国内事業は国内自動車生産が伸び悩んだものの輸出が好調なため前連結会計年度を上回りました。
海外事業は北米・欧州市場が堅調だったことに加え、新興国での自動車安全部品への需要拡大などによりエアバッグ用インフレータ、シートベルトプリテンショナー用マイクロガスジェネレータおよびスクイブはそれぞれ前連結会計年度を上回りました。
セグメント利益は68億3百万円となり、前連結会計年度に比べ9億9百万円(15.4%)増加しました。
④その他
売上高は85億9千万円と前連結会計年度に比べ2億9千3百万円(3.3%)減少しました。
アグロ事業は、国内は前連結会計年度を下回りましたが、輸出は前連結会計年度を上回りました。アグロ事業全体では前連結会計年度を下回りました。
不動産事業他は、前連結会計年度を下回りました。
セグメント利益は12億3千3百万円となり、前連結会計年度に比べ1億6千万円(11.5%)減少しました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、196億3百万円の収入(前連結会計年度は202億6千3百万円の収入)となりました。これは主にたな卸資産の増加額が94億6千6百万円、法人税等の支払額が53億8千4百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が251億4千8百万円、減価償却費が112億3千8百万円あったことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、50億9千万円の支出(前連結会計年度は158億7百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の売却による収入が98億9千万円あったものの、有形固定資産の取得による支出が141億3千1百万円、無形固定資産の取得による支出が3億7千5百万円あったことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、94億3千2百万円の支出(前連結会計年度は124億9千8百万円の支出)となりました。これは主に長期借入れによる収入が101億3千2百万円あったものの、自己株式の取得による支出が68億3千4百万円、長期借入金の返済による支出が53億9千9百万円、配当金の支払額が45億1千9百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出が16億4千7百万円あったことによるものです。
以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ40億9千万円増加し、474億6千4百万円となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
機能化学品事業 | 51,475 | 89.4 |
医薬事業 | 35,951 | 87.0 |
セイフティシステムズ事業 | 39,403 | 125.3 |
その他 | 4,485 | 100.5 |
合計 | 131,316 | 97.4 |
(注)1 生産金額は販売価格をもって算出しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2 上記の金額に消費税等は含まれておりません。
当社グループ(当社及び連結子会社)では、受注生産によらず見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
機能化学品事業 | 68,788 | 93.5 |
医薬事業 | 50,200 | 102.6 |
セイフティシステムズ事業 | 35,342 | 115.9 |
その他 | 8,590 | 96.7 |
合計 | 162,922 | 100.7 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額に消費税等は含まれておりません。
当社グループは、すべてのステークホルダーの信頼に応えるため中期CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)アクションプランを策定し、「生命と健康を守り、豊かなくらしを支える最良の製品・技術・サービスを提供し続ける」企業として持続可能な社会・環境に貢献してまいります。事業全般にわたり、安全操業・コンプライアンスの徹底・環境への配慮を重視し、高い倫理観を持ってCSR経営に取り組んでまいります。
当社グループの経営基本戦略は、「自社の得意な技術や経営資源を用いて、ニッチ市場をターゲットに技術融合を武器としてスピーディーに事業戦略を実行すること」であり、重点的に取り組む成長領域として「環境・省エネルギー」「医療」「安全」を定めております。当社グループは、コーポレートスローガンとして「世界的すきま発想。」を掲げております。100年の歴史で培った先端の化学技術を用い、安全・環境に配慮しながら特長のある製品を提供する「スマート ケミカルズ カンパニー」として社会に必要とされる存在であり続けることを目指しております。効率の良いモノづくりのノウハウや、優秀な人材、堅実な財務力などを複数の事業で共有することが当社グループの価値の源泉となっております。事業間、グループ会社間の融合を促進して一体的に経営することが、今後の当社グループ企業価値の増大につながるものと考えております。
平成28年4月からはじまった3ヵ年中期事業計画をTake a New Step 2016 とし、創立100周年を迎え、社員全員で新たな一歩を着実に踏み出すことといたします。本中期事業計画では、成長のための重点テーマとして、①CSR経営の遂行、②研究開発の強化、③知的付加価値の創造・提供、④グローバル化、⑤経営資源の効率化、⑥社外との協業による事業強化、の6点を定めました。各事業ともこれらの課題に取り組み、事業ビジョンの達成に向け注力してまいります。
本3ヵ年中期事業計画の数値目標として、売上高1,900億円、営業利益225億円といたします。また、中長期の数値目標として、売上高2,000億円、ROE10%の早期達成に向けて挑戦してまいります。
Take a New Step 2016 では各事業の事業ビジョンを以下の通り定め、解決すべき課題に注力し成長を目指してまいります。
<機能化学品事業>
本事業の事業ビジョンは、「樹脂・色素・触媒をコアと定め、環境・省エネルギー分野で、独自の素材・技術を複合化した機能化学品を提供し続ける」ことです。本中期事業計画においては、環境対応型エポキシ樹脂、インクジェットプリンタ用色素、アクリル酸製造用触媒、液晶プロジェクタ用部材等を伸長させるとともに、独自の熱・紫外線硬化技術や接着技術、分散化技術を活用して新たな新製品の開発を目指してまいります。
<医薬事業>
本事業の事業ビジョンは、「得意技術によるイノベーションの推進、高品質な医薬品の安定供給により、医療の向上と医療費の効率化を通じて社会に貢献する」ことです。本中期事業計画においては、抗がん薬内包高分子ミセルの研究・開発、バイオ後続品の市場でのポジションの確立および事業基盤の整備、がん関連領域でのラインナップを3つの重点領域として充実させ、市場での優位性の確保に注力することにより事業を拡大してまいります。
<セイフティシステムズ事業>
本事業の事業ビジョンは、「火薬安全技術をコアコンピタンスとして、自動車安全部品を中心に、世界中のより多くの人々に安全を提供する」ことです。本中期事業計画においては、エアバッグ用インフレータやシートベルトプリテンショナー用マイクロガスジェネレータ、点火用スクイブ等の新製品の開発に努めてまいります。また、日本・北米・欧州・中国および昨年度より生産を開始したASEANを加えた5拠点体制でグローバルビジネスとして事業拡大を図ってまいります。
<その他>
アグロ事業の事業ビジョンは、「有効性、安全性、環境適合性に優れた農薬を、使いやすく且つ性能を活かす製剤技術と共に提供する」ことです。本中期事業計画においては、市場環境や顧客ニーズに適合した農薬を提供し、安定した農業生産に寄与し続けることで事業を拡大してまいります。不動産事業は、顧客との関係を重視しつつ、安定的な収益の獲得を目指します。
「最良の製品を不断の進歩と良心の結合により社会に提供し続けること」、これが当社グループの企業ビジョンKAYAKU spiritです。この企業ビジョンの下、全員がベクトルを一つにし、主体的に事業活動に取り組むことによって、企業価値の最大化を達成してまいります。また、女性の活躍促進を含めた人材の活用・育成とダイバーシティを推進する取り組み、エネルギー低消費型企業を目指した取り組みを進め、社員にとって働きやすく環境にも優れた事業運営を行ってまいります。併せて、コーポレートガバナンス・コードへの対応をはじめ、グループ経営の強化やコンプライアンスの徹底など内部統制の充実に努め、健全で透明性の高い経営を行うことで、企業の経済的責任、社会的責任、環境責任を果たし、全てのステークホルダーの信頼に応えるCSR経営に取り組んでまいります。
当社グループは、事業を運営していく限り伴う様々なリスクの発生防止、分散等によりリスクの軽減を図るよう努めております。
当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与えうるリスクには、以下のようなものがあります。但し、これらは当連結会計年度末現在において当社グループが判断したもので、予想を超える事態が発生する場合もあり、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。
当社グループは、経営基本方針のもと様々な事業を営むことにより安定的な事業運営に努め、事業戦略、開発戦略等を定めて事業環境の変化に応じた経営を行っております。しかし、売上・営業利益の構成比率が高い機能化学品事業は、景気変動の影響を受けやすい事業であります。国内外の景気変動及び需要低迷・競合激化等々の事業環境の変動や事業構成の変動により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
機能化学品事業は、主力となる情報・通信関係の製品は、技術革新のサイクルが速く、新製品をスピーディーに開発し、生産体制を整える必要があります。顧客ニーズを満足させる新製品をタイムリーに提供できないことや他社による画期的な技術革新により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
また、原料調達関連にて中国国内環境規制強化による供給不安や価格高騰リスクがあるため、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
医薬事業は、国内において、医療費抑制策の一環として薬価の引下げなどの薬価制度の改革と後発品の使用促進が行われております。そして、海外においても同様の環境にあります。また、原薬受託事業においては顧客の市場の販売動向及び生産量調整などによる影響を受けます。これら政府の医療費抑制策や顧客の市場環境等により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
セイフティシステムズ事業では、自動車安全部品を販売しており、当社グループが製品を販売している国または地域における景気変動や経済政策の変更等による自動車需要の変動、また天災、事故等による自動車の生産に必要なサプライチェーンへの障害等により自動車生産台数に大幅な変更が発生すると、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
アグロ事業は、気象等の変動による作物の育成状況や病害虫の発生状況に大きな影響を受けます。また、食品の安全や環境への影響に関する公的規制等が強化されております。気象状況や公的規制等により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、事業運営に必要な資金調達の手段・金額等を、財務状況及び金融環境を考慮して判断しております。将来、金利が上昇した場合に金利コストが増加したり、資金調達にも支障がでることにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、海外での事業や輸出に関連した取引において、為替レートの急激な変動に対して外貨建の売買取引額のバランスを取る等によりリスクを最小限にすべく努めておりますが、為替差損が発生することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
また、在外連結子会社の財務諸表項目は、連結財務諸表作成のために円換算されているため為替レートの変動により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、数理計算された退職給付債務と年金資産の見込に基づき計上されております。退職金・年金制度の変更、数理計算での割引率等の変更、年金資産の時価の変動、運用環境の変動等により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、棚卸資産の評価に関する会計基準を適用しておりますが、たな卸資産の正味売却可能価額が帳簿価額を下回った場合には評価減が発生することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しておりますが、今後大幅な事業収益性の悪化や不動産価格の下落等があった場合には減損損失が発生することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、主に取引先との関係維持のために株式を保有しておりますが、株式相場の大幅な下落、または株式保有先の財政状態の悪化により株式の評価が著しく下落した場合には株式の評価損が発生することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、事業を営む各国の法令等に従って、事業活動を行っております。将来における法令・規制、政策等の変更による当社グループの事業活動の制限やコストの増加により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、海外での事業活動の比率を拡大していく方向にありますが、各国での予期しない法令・規制や政策等の変更、テロ・戦争・その他の要因による社会的混乱等により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、様々な事業活動を行っているなかで、訴訟、係争、その他の法律的手続きの対象となる可能性があります。重要な訴訟等が提起されることにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、特許等知的財産を厳重に管理しておりますが、第三者からの侵害を完全には防止できない可能性があるほか、当社グループの製品・技術の一部が、他社の知的財産権を侵害しているとされる可能性があります。これら知的財産権の侵害により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、研究開発を事業成長の原動力と捉え積極的な研究開発活動を行っております。医薬・アグロ事業においては、その有効性や安全性を確認するために研究開発期間が長期間にわたるため、一つの新製品開発には多額の費用を要します。従って、開発後期において開発を断念することになった場合には、多額な研究開発費用を回収できないこととなります。また、機能化学品事業やセイフティシステムズ事業においては、技術革新及び顧客ニーズの変化が極めて速く、新製品をタイムリーに開発・提供できない可能性があります。
このように研究開発活動が成果に結びつかないことにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、原材料の複数調達先の確保等で安定的な原材料の調達を行うよう努めておりますが、調達先からの原材料の供給停止などで生産活動に支障をきたす可能性があり、また原材料価格が高騰して大幅なコスト増となることにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、「ISO9001」等の品質保証の国際規格による管理基準を定め、それに従った各種製品を製造しておりますが、すべての製品について欠陥が無く、問題が発生しないという保証はなく、大規模なリコールや、製造物責任が発生する可能性があります。製造物責任賠償に関しては、保険に入る等で万一に備えておりますが、賠償額を充分にカバーできる保証はありません。また、医薬・アグロ事業においては、これまで未知であった有害事象等が上市後明らかになることなどにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、製造設備・物流で発生する事故、自然災害等による損害を防止するため、法令及び社内で定めた基準に従い定期的な点検、安全装置・消火設備の充実、各種安全活動・安全審査・環境安全診断を行う等の安全保持対策を実施すると共に、BCP(事業継続計画)を策定し有事に際してより適切な復旧活動に努めますが、事故・災害による影響を完全に防止・軽減できる保証はありません。事故等により、工場及びその周辺に物的・人的被害を及ぼした場合や顧客の生産に支障をきたし補償を請求された場合、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与えたり、また災害等で、得意先等がサプライチェーンの混乱等を起こし、得意先等への納入が出来ないことにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、原子力発電所稼働停止に伴う電力供給不安への対策として、節電や自家発電設備の導入などにより対応しておりますが、予想を超える電力不足が発生した場合、生産活動等に影響が発生することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、土壌汚染の防止のために、法令及び社内で定めた基準に従い、有害物質保管設備の定期的な点検、安全装置、各種安全活動(安全審査、環境安全診断)等を行うなど、漏洩防止に努めておりますが、事故・災害による影響を完全に防止・軽減できる保証はありません。また、現時点で、所有している土地全てについて調査を完了していませんので、自然由来によるものや当社が合併等により承継した企業の事業活動による汚染など、当社グループの事業活動以前に土中に有害物質が混入していたものが、後日、確認される可能性も否定できません。土壌汚染が確認された場合、当社グループの評価に重大な影響を与えたり、更に土壌汚染対策を実施した場合、多大なコストが発生することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、基幹システムの機器を社外のデータセンターにハウジングして、システムの安全・安定運用の確保に努めております。また、ネットワークに関しても重要な拠点については回線の冗長化を図っておりますが、予期せぬ障害や大規模な災害によりシステムが停止する可能性は否定できません。システムが停止した場合、調達や生産、製品の出荷などの指示が不能または遅延し、得意先等への納入が出来ないことにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
(契約会社名:日本化薬株式会社(当社))
契約品名 | 契約年月日 | 契約先 | 契約内容 |
パクリタキセル含有高分子ミセル抗がん剤 | 平成14年6月12日 | ナノキャリア㈱ | パクリタキセル含有高分子ミセル抗がん剤に関する特許実施権、ノウハウ実施権の導入。 (対価)マイルストーンと製品正味販売高につき一定期間一定料率のロイヤリティを支払う。 (契約期間)平成14年3月31日から実施期間中。 |
黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)拮抗抗がん剤 | 平成18年7月26日 | エテルナゼンタリス社 | 黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)拮抗抗がん剤に関する特許実施権、ノウハウ実施権の導入。 (対価)マイルストーンと製品正味販売高につき一定期間一定料率のロイヤリティを支払う。 (契約期間)平成18年7月26日から許諾特許の有効期間満了日又は許諾製品の発売後一定年数経過日の遅い日まで。 |
(契約会社名:日本化薬株式会社(当社))
契約品名 | 契約年月日 | 契約先 | 契約内容 |
インフレータ、マイクロガスジェネレータ、ガス発生剤、スクイブ及びエンハンサ | 平成24年11月14日 | インデット セイフティ システムズ社 | インフレータ、マイクロガスジェネレータ、ガス発生剤、スクイブ及びエンハンサに関するチェコでの製造及び全世界での販売に関する権利の許諾及び技術供与。 (対価)一時金と売上高につき一定期間一定料率のロイヤリティを支払う。 (契約期間)平成25年1月1日から平成29年12月31日まで。 |
インフレータ、マイクロガスジェネレータ、ガス発生剤、スクイブ及びエンハンサ | 平成24年11月19日 | カヤク セイフティシステムズ デ メキシコ社 | インフレータ、マイクロガスジェネレータ、ガス発生剤、スクイブ及びエンハンサに関するメキシコでの製造及び全世界での販売に関する権利の許諾及び技術供与。 (対価)一時金と売上高につき一定期間一定料率のロイヤリティを支払う。 (契約期間)平成25年1月1日から平成29年12月31日まで。 |
インフレータ、マイクロガスジェネレータ、ガス発生剤、スクイブ及びエンハンサ | 平成25年6月21日 | カヤク セイフティシステムズ マレーシア社 | インフレータ、マイクロガスジェネレータ、ガス発生剤、スクイブ及びエンハンサに関するマレーシアでの製造及び全世界での販売に関する権利の許諾及び技術供与。 (対価)一時金と売上高につき一定期間一定料率のロイヤリティを支払う。 (契約期間)平成25年6月21日から平成30年12月31日まで。 |
(契約会社名:日本化薬株式会社(当社))
契約品名 | 契約年月日 | 契約先 | 契約内容 |
血管塞栓用ビーズ(医療機器) | 平成21年4月16日 | バイオスフィア メディカル社 | 血管塞栓用ビーズ2品目について日本における独占的開発、流通販売権の取得。 (対価)一時金の支払とマイルストーン。 (契約期間)平成21年4月16日から一定年数経過日まで。 |
膀胱がん治療剤 | 平成21年11月6日 | スペクトラム社 | 膀胱がん治療に関する日本およびアジア地域での開発権、製造権、販売権の取得。但し、韓国、北朝鮮での販売権は除く。 (対価)契約締結一時金、開発の進捗および販売額に応じたマイルストーンと、製品正味販売高につき契約期間一定料率のロイヤリティを支払う。 (契約期間)平成21年11月6日から、1)特許期間、2)優先販売期間、3)上市後10年間のいずれか長い方まで。 |
乳がん治療剤 | 平成24年6月19日 | オリオン社 | 乳がん治療剤に関する特許実施権、ノウハウ実施権、商標使用権の許諾に基づく日本における独占的流通販売権の取得。 (対価)一時金の支払。 (契約期間)平成24年6月30日から平成30年6月29日まで。 |
当社グループの保有する知的財産および技術の融合や社外とのオープンイノベーションの推進により、新製品・新事業の創生を図り、中長期的視野に立って研究開発戦略を推進しております。また、東京事業区(東京都北区)を「研究開発および新事業創生エリア」と位置付け、各事業分野の研究者・研究設備などのリソースを集中して技術と人材の連携と融合を図っております。
全社的かつ中長期的視点に立ったコーポレート研究を推進する組織として、「イノベーション創出研究センター」を当期に新設し、有機半導体材料の開発をはじめとした複数のテーマの研究開発に取り組んでおります。
当連結会計年度における研究開発費は130億円であります。
当連結会計年度におけるセグメントごとの活動状況及び研究開発費は次のとおりであります。
(機能化学品事業)
機能化学品事業では、コア技術を活かして独自の素材開発とその複合化に注力しています。高耐熱性や難燃性を有する環境対応型エポキシ樹脂、特徴のあるモノマー・オリゴマーなどの素材を開発し、電気・電子分野向けに提供すると同時に、これら素材を複合化してディスプレイ分野や電子デバイス分野向けの各種機能性材料を開発しています。また、歴史ある染料技術に基づき、インクジェットプリンタ用色素や特殊な機能性色素材料の開発にも注力しています。加えてアクリル酸などの基礎化学品製造用の高性能触媒の開発を引き続き推進し、逐次市場へ投入しております。また新たに、光制御をキーワードとして特定波長の光を反射・吸収する独自技術を開発し、車載用ディスプレイ分野やアイウェア分野へ提供できる高機能な特殊フィルムの開発にも精力的に取り組んでおります。
当事業に係る研究開発費は57億円であります。
(医薬事業)
医薬事業では、ナノテクノロジー技術を駆使した抗がん薬内包高分子ミセルの臨床試験を精力的に進めております。さらに、薬剤費が非常に高額であるため、安価な製剤の提供が社会的に求められているバイオ後続品を導入し、開発を進めております。一昨年には国内初の抗体バイオ後続品(インフリキシマブBS点滴静注用)を販売開始し、認知度向上・普及に取り組んでおります。また、主要領域と位置づけているがん領域の製品群を増強するため、社外からの開発品の導入や共同開発、ならびに抗がん薬のジェネリック医薬品の研究開発に積極的に取り組んでおります。原薬事業では、ジェネリック医薬品原薬製造、高薬理活性物質等の受託製造など、研究開発を通じた事業の拡大を目指しております。診断薬事業では、糖尿病診断薬に続く新規の診断薬開発に取り組んでおります。
当事業に係る研究開発費は48億円であります。
(セイフティシステムズ事業)
セイフティシステムズ事業では、当社の火薬技術を生かしたディスク型インフレータ(運転席、助手席エアバッグ用)、シリンダ型インフレータ(サイド、カーテン、シートクッション、ニーエアバッグ用)、シートベルトプリテンショナー用マイクロガスジェネレータ、歩行者保護用ボンネット跳ね上げ駆動装置等の開発を推進しております。
当事業に係る研究開発費は13億円であります。
(その他)
アグロ事業では、農業生産者にとってより安全で使いやすい農薬の創製を目指し、製剤の改良、現製品の適用拡大を継続的に実施し、社外との共同研究、導入も推進しており、現在登録申請中の新剤の上市に向けた取り組みを重点的に行っております。
当事業に係る研究開発費は11億円であります。
①売上高
当連結会計年度の当社グループの売上高は、1,629億2千2百万円で、前連結会計年度に比べ10億6千万円(0.7%)増加しました。売上高については、1.業績等の概要(1)業績に記載したとおりであります。
②売上総利益
売上総利益は、機能化学品事業の販売品目構成の変化などの影響により、662億8千3百万円と、前連結会計年度に比べ9億8百万円(1.4%)減少しました。
③販売費及び一般管理費、営業利益
販売費及び一般管理費は、445億7千万円となりました。
この結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ5億8千8百万円(2.6%)減少し、217億1千3百万円となりました。営業利益率は、前連結会計年度に比べ0.5ポイント低下し、13.3%となりました。
④営業外損益、経常利益
営業外損益は、円高による為替差損などにより、前連結会計年度に比べ35億5千8百万円減少し、6億9千7百万円の損失となりました。
この結果、経常利益は、210億1千6百万円となりました。
⑤特別損益、税金等調整前当期純利益
特別利益は、固定資産売却益などにより、前連結会計年度に比べ89億9千7百万円増加し、92億1百万円となりました。
特別損失は、環境対策引当金繰入額などにより、前連結会計年度に比べ36億7千4百万円増加し、50億6千9百万円となりました。
この結果、税金等調整前当期純利益は、251億4千8百万円となりました。
⑥法人税等(法人税等調整額を含む)、非支配株主に帰属する当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益
法人税等は、68億5千8百万円となりました。法人税等の負担率は、前連結会計年度の29.90%から27.27%に減少しました。
非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ1億5千3百万円減少し、9億9千9百万円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、172億9千1百万円となりました。
総資産は2,726億7千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ75億5千2百万円増加しました。主な増加はたな卸資産87億1千8百万円、有価証券32億2千6百万円、投資有価証券14億6千2百万円、現金及び預金10億2千8百万円であり、主な減少は退職給付に係る資産27億9千5百万円、前渡金(流動資産その他に含む)27億3百万円であります。
負債は721億8千6百万円となり、前連結会計年度末に比べ67億4千万円増加しました。主な増加は環境対策引当金35億9千9百万円、長期借入金29億4千1百万円、短期借入金15億7千1百万円であり、主な減少は支払手形及び買掛金7億7千4百万円であります。
純資産は2,004億9千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億1千1百万円増加しました。主な増加は親会社株主に帰属する当期純利益172億9千1百万円、その他有価証券評価差額金11億8千7百万円であり、主な減少は自己株式の取得68億3千4百万円、配当金の支払45億2千9百万円、為替換算調整勘定26億9千1百万円、退職給付に係る調整累計額24億3千2百万円、非支配株主持分14億4千8百万円であります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、196億3百万円の収入(前連結会計年度は202億6千3百万円の収入)となりました。これは主にたな卸資産の増加額が94億6千6百万円、法人税等の支払額が53億8千4百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が251億4千8百万円、減価償却費が112億3千8百万円あったことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、50億9千万円の支出(前連結会計年度は158億7百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の売却による収入が98億9千万円あったものの、有形固定資産の取得による支出が141億3千1百万円、無形固定資産の取得による支出が3億7千5百万円あったことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、94億3千2百万円の支出(前連結会計年度は124億9千8百万円の支出)となりました。これは主に長期借入れによる収入が101億3千2百万円あったものの、自己株式の取得による支出が68億3千4百万円、長期借入金の返済による支出が53億9千9百万円、配当金の支払額が45億1千9百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出が16億4千7百万円あったことによるものです。
以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ40億9千万円増加し、474億6千4百万円となりました。