第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度(平成26年4月1日から平成27年3月31日まで)の世界経済は、米国では景気回復が続き、欧州経済もユーロ圏では景気の持ち直しの動きが見られました。中国および新興国では引き続き緩やかに景気が拡大しました。日本経済は、消費税増税や円安の影響などにより先行きが不透明な状況が続きましたが、個人消費は底堅い動きとなるなど、緩やかな回復基調が続きました。

電気・電子機器、半導体などの産業においては、スマートフォンやタブレット端末関連分野は引き続き堅調に推移しましたが、低価格品の台頭による競争激化、為替変動による原材料価格の上昇など、事業環境は厳しいものとなっています。

医薬品産業においては、薬価改定や薬剤費抑制のためのジェネリック医薬品の使用促進策により、長期収載品の苦戦が鮮明となっております。企業業績の二極化が進むとともに、外資メーカーや国内大手製薬メーカー等によるジェネリック医薬品市場への参入が活発化するなど、競争が激化しております。

自動車産業においては、日本では消費税増税前の需要の反動や国内生産の伸び悩みがありましたが、米国、欧州、中国、アジアなどの新興国では堅調に推移しました。

 

当連結会計年度の連結売上高は、医薬事業が下回りましたが、セイフティシステムズ事業が前連結会計年度を上回ったことにより、1,618億6千1百万円と前連結会計年度に比べ17億8千万円(1.1%)増加しました。

連結営業利益は、機能化学品事業の販売品目構成の変化や、医薬事業における薬価改定の影響により売上総利益率が低下し、223億1百万円と前連結会計年度に比べ17億8千8百万円(7.4%)減少しました。

連結経常利益は、円安による為替差益があったものの、251億6千2百万円と前連結会計年度に比べ13億3千4百万円(5.0%)減少しました。

連結当期純利益は、156億5千3百万円と前連結会計年度に比べ10億6千5百万円(6.4%)減少しました。

当社の業績と比べると、当連結会計年度の連結売上高は当社の1.57倍、連結当期純利益は当社の1.52倍となりました。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

①機能化学品事業

売上高は735億5千8百万円と前連結会計年度に比べ5千2百万円(0.1%)減少しました。

機能性材料事業は、半導体封止材用エポキシ樹脂、液晶シール材が前連結会計年度を下回りましたが、紫外線硬化型樹脂および米国マイクロケム社は前連結会計年度を上回りました。機能性材料事業全体では前連結会計年度を上回りました。

デジタル印刷材料事業は、インクジェットプリンタ用色素が前連結会計年度を下回りましたが、感熱紙用材料の感熱顕色剤は前連結会計年度を上回りました。デジタル印刷材料事業全体では前連結会計年度を上回りました。

色材事業は、紙用染料が前連結会計年度を下回りましたが、繊維用染料は前連結会計年度を上回りました。色材事業全体では前連結会計年度を上回りました。

触媒事業は、顧客の触媒交換時期の谷間であったため、前連結会計年度を下回りました。

ポラテクノグループは、液晶ディスプレイ用部材の染料系偏光フィルムおよび楕円偏光フィルムが伸長したため、前連結会計年度を上回りました。

セグメント利益は86億8千4百万円となり、前連結会計年度に比べ16億5千5百万円(16.0%)減少しました。

②医薬事業

売上高は489億3千2百万円と前連結会計年度に比べ19億6千5百万円(3.9%)減少しました。

国内向け製剤は、「エキセメスタン錠 NK」、「アナストロゾール錠 NK」、「ビカルタミド錠 NK」などの経口抗がん薬および「イムノブラダー膀注用」(抗がん薬)が伸長しました。一方、「パクリタキセル注 NK」(抗がん薬)、「カルボプラチン点滴静注液 NK」(抗がん薬)、「オダイン錠」(抗がん薬)が薬価改定および競合品の影響により、前連結会計年度を下回りました。「フィルグラスチムBS」(がん化学療法支持療法薬)、「エンボスフィア」(血管内塞栓材)、「ヘパスフィア」(血管内塞栓材)などの新製品は伸長しました。国内向け製剤全体では前連結会計年度を下回りました。

輸出は、ブレオ類(抗がん薬)、高薬理活性原薬、口腔用軟膏が前連結会計年度を下回りました。輸出全体では前連結会計年度を下回りました。

国内向け原薬は、醗酵品原料は前連結会計年度を上回りましたが、医薬品原料が前連結会計年度を下回りました。国内向け原薬全体では前連結会計年度を上回りました。

診断薬は、腫瘍マーカー測定試薬が前連結会計年度を下回りました。診断薬全体では前連結会計年度を下回りました。

セグメント利益は68億5千5百万円となり、前連結会計年度に比べ9億1千3百万円(11.8%)減少しました。

③セイフティシステムズ事業

売上高は304億8千5百万円と前連結会計年度に比べ33億9千9百万円(12.6%)増加しました。

消費税増税前の需要の反動や国内自動車生産の伸び悩みがあり、国内のエアバッグ用インフレータは前連結会計年度を下回りました。

北米、欧州、中国での販売拡大などによりシートベルトプリテンショナー用マイクロガスジェネレータ、スクイブは前連結会計年度を上回りました。

セグメント利益は58億9千4百万円となり、前連結会計年度に比べ9億5千万円(19.2%)増加しました。

④その他

売上高は88億8千4百万円と前連結会計年度に比べ3億9千9百万円(4.7%)増加しました。

アグロ事業は、国内は前連結会計年度を上回りましたが、輸出は前連結会計年度を下回りました。アグロ事業全体では前連結会計年度を上回りました。

不動産事業他は、前連結会計年度を下回りました。

セグメント利益は13億9千4百万円となり、前連結会計年度に比べ3億4千8百万円(33.4%)増加しました。

 

なお、当連結会計年度より、セグメント利益の算定にあたり全社費用の配賦方法を見直しております。これは、報告セグメントに直接帰属しない一般管理費を、配賦不能費用として全社費用に含めておりましたが、セグメント別の損益をより明確に表示するために、各セグメントへ配賦する方法に変更しております。この変更に伴い、前連結会計年度のセグメント利益につきましても変更後の算定方法に組替えております。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、202億6千3百万円の収入(前連結会計年度は294億8千万円の収入)となりました。これは主に法人税等の支払額が83億5千7百万円、たな卸資産の増加額が31億7千8百万円、売上債権の増加額が18億6千4百万円、仕入債務の減少額が17億5千6百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が239億7千2百万円、減価償却費が107億4千3百万円あったことによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、158億7百万円の支出(前連結会計年度は201億8千7百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が144億8千3百万円あったことによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、124億9千8百万円の支出(前連結会計年度は5百万円の収入)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出が62億9千7百万円、配当金の支払額が49億7千3百万円あったことによるものです。

以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ72億4千5百万円減少し、433億7千4百万円となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

機能化学品事業

57,566

98.6

医薬事業

41,343

105.3

セイフティシステムズ事業

31,449

115.0

その他

4,464

94.5

合計

134,824

103.9

 

(注)1 生産金額は販売価格をもって算出しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2 上記の金額に消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当社グループ(当社及び連結子会社)では、受注生産によらず見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

機能化学品事業

73,558

99.9

医薬事業

48,932

96.1

セイフティシステムズ事業

30,485

112.6

その他

8,884

104.7

合計

161,861

101.1

 

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 上記の金額に消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

当社グループは、すべてのステークホルダーの信頼に応えるため中期CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)アクションプランを策定し、「生命と健康を守り、豊かなくらしを支える最良の製品・技術・サービスを提供し続ける」企業として社会に貢献してまいります。事業全般にわたり、安全操業・コンプライアンスの徹底・環境への配慮を重視し、高い倫理観を持ってCSR経営に取り組んでまいります。

当社グループの経営基本戦略は、「自社の得意な技術や経営資源を用いて、ニッチ市場をターゲットに技術融合を武器としてスピーディーに事業戦略を実行すること」であり、重点的に取り組む成長領域として「環境・省エネルギー」「医療」「安全」を定めております。当社グループは、コーポレートスローガンとして「世界的すきま発想。」を掲げておりますが、90数年の歴史で培った先端の化学技術を用い、安全・環境にも配慮しながらユニークで特長のある製品を提供する「スマート ケミカルズ カンパニー」として、社会に必要とされる存在であり続けることを目指しております。効率の良いモノづくりのノウハウや、優秀な人材、堅実な財務力などを複数の事業で共有することが当社グループの価値の源泉となっております。事業間、グループ会社間の融合を促進して一体的に経営することが、今後の当社グループ企業価値の増大につながるものと考えております。

平成25年4月からはじまった3ヵ年中期事業計画を、平成28年の創立100周年に向け

Challenge 100A ! (Challenge toward our 100th Anniversary)といたしました。本中期事業計画では、成長シナリオとして、①開発中の新製品を早期に上市・拡大すること、②既存事業の用途を拡大し新規顧客を獲得すること、③ビジネスをグローバルに拡大すること、の3点を定めました。各事業ともこれら成長シナリオの達成に向け注力してまいります。

業績の数値目標として、売上高2,000億円、営業利益300億円、ROE 10%以上に挑戦してまいります。

Challenge 100A ! では各事業のグランドデザインを以下の通り定め、解決すべき課題に注力し成長を目指してまいります。

 

<機能化学品事業>

本事業のグランドデザインは、「樹脂・色素・触媒・加工をコアに環境・省エネルギー分野で『熱と光を化学』して持続的に成長する」ことです。本中期事業計画においては、環境対応型エポキシ樹脂、インクジェットプリンタ用色素、アクリル酸製造用触媒、液晶プロジェクタ用部材等を伸長させるとともに、液晶シール材、新規触媒、高性能熱伝導接着シート等の付加価値の高い新製品の開発を目指してまいります。

 

<医薬事業>

本事業のグランドデザインは、「がん関連領域で医療従事者のパートナーとして患者様のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上に貢献する」ことです。本中期事業計画においては、抗体医薬品バイオシミラーおよび抗がん薬内包高分子ミセルの開発に注力します。また、日本で最多の抗がん薬ラインナップをさらに充実するとともに、抗体医薬品バイオシミラーやIVR(画像下治療)領域で新製品の普及を図り、事業を拡大してまいります。

 

<セイフティシステムズ事業>

本事業のグランドデザインは、「パイロ(火薬技術を応用した)自動車安全部品でグローバルNo.1を目指す」ことです。本中期事業計画においては、エアバッグ用インフレータやシートベルトプリテンショナー用マイクロガスジェネレータ、点火用スクイブ等の新製品の開発に努めてまいります。また、日本・欧州・中国・北米に今夏の生産開始に向け準備を進めているASEANを加えた5拠点体制を確立し、グローバルビジネスとして事業拡大を図ってまいります。

 

<その他>

アグロ事業のグランドデザインは、「世界的な食糧需要増大に貢献できる安全で効果のある農薬を提供する」ことです。本中期事業計画においては、新規殺虫剤の開発と同時に、アジアをはじめとするグローバル市場へ展開することにより、事業の拡大を目指します。不動産事業は、顧客との関係を重視しつつ、安定的な収益の獲得を目指します。

 

 

「最良の製品を不断の進歩と良心の結合により社会に提供し続けること」、これが当社グループの企業ビジョンKAYAKU spiritです。この企業ビジョンの下、全員がベクトルを一つにし、主体的に事業活動に取り組むことによって、企業価値の最大化を達成してまいります。また、大規模自然災害などの緊急事態に対応し、事業を復旧・継続するための全社BCP(事業継続計画)をはじめとする危機管理体制を定着させ、有事の際にも速やかに対応できる企業へと変革してまいります。併せて、エネルギー低消費型企業を目指した取り組みを進め、環境にも経済的にも優れた事業運営を行ってまいります。今後とも、コーポレート・ガバナンスの強化やコンプライアンスの徹底など内部統制の充実に努め、健全で透明性の高い経営を行うことで、企業の社会的責任を果たし、全てのステークホルダーの信頼に応えるCSR経営に取り組んでまいります。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループは、事業を運営していく限り伴う様々なリスクの発生防止、分散等によりリスクの軽減を図るよう努めております。

当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与えうるリスクには、以下のようなものがあります。但し、これらは当連結会計年度末現在において当社グループが判断したもので、予想を超える事態が発生する場合もあり、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

 

(1) 事業環境の変動に係るリスク

①事業全般

当社グループは、経営基本方針のもと様々な事業を営むことにより安定的な事業運営に努め、事業戦略、開発戦略等を定めて事業環境の変化に応じた経営を行っております。しかし、売上・営業利益の構成比率が高い機能化学品事業は、景気変動の影響を受けやすい事業であります。国内外の景気変動及び需要低迷・競合激化等々の事業環境の変動や事業構成の変動により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

②機能化学品事業

機能化学品事業は、主力となる情報・通信関係の製品は、技術革新のサイクルが速く、新製品をスピーディーに開発し、生産体制を整える必要があります。顧客ニーズを満足させる新製品をタイムリーに提供できないことや他社による画期的な技術革新により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
 また、原料調達関連にて中国国内環境規制強化による供給不安や価格高騰リスクがあるため、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

③医薬事業

医薬事業は、国内において、医療費抑制策の一環として薬価の引下げなどの薬価制度の改革と後発品の使用促進が行われております。そして、海外においても同様の環境にあります。また、原薬受託事業においては顧客の市場の販売動向及び生産量調整などによる影響を受けます。これら政府の医療費抑制策や顧客の市場環境等により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

④セイフティシステムズ事業

セイフティシステムズ事業では、自動車安全部品を販売しており、当社グループが製品を販売している国または地域における景気変動や経済政策の変更等による自動車需要の変動、また天災、事故等による自動車の生産に必要なサプライチェーンへの障害等により自動車生産台数に大幅な変更が発生すると、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

⑤その他

アグロ事業は、気象等の変動による作物の育成状況や病害虫の発生状況に大きな影響を受けます。また、食品の安全や環境への影響に関する公的規制等が強化されております。気象状況や公的規制等により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(2) 金利に係るリスク

当社グループは、事業運営に必要な資金調達の手段・金額等を、財務状況及び金融環境を考慮して判断しております。将来、金利が上昇した場合に金利コストが増加したり、資金調達にも支障がでることにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(3) 為替レート変動に係るリスク

当社グループは、海外での事業や輸出に関連した取引において、為替レートの急激な変動に対して外貨建の売買取引額のバランスを取る等によりリスクを最小限にすべく努めておりますが、為替差損が発生することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

また、在外連結子会社の財務諸表項目は、連結財務諸表作成のために円換算されているため為替レートの変動により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

 

(4) 退職給付に係るリスク

当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、数理計算された退職給付債務と年金資産の見込に基づき計上されております。退職金・年金制度の変更、数理計算での割引率等の変更、年金資産の時価の変動、運用環境の変動等により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(5) たな卸資産在庫の評価に係るリスク

当社グループは、棚卸資産の評価に関する会計基準を適用しておりますが、たな卸資産の正味売却可能価額が帳簿価額を下回った場合には評価減が発生することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(6) 固定資産の減損に係るリスク

当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しておりますが、今後大幅な事業収益性の悪化や不動産価格の下落等があった場合には減損損失が発生することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(7) 有価証券の評価に係るリスク

当社グループは、主に取引先との関係維持のために株式を保有しておりますが、株式相場の大幅な下落、または株式保有先の財政状態の悪化により株式の評価が著しく下落した場合には株式の評価損が発生することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(8) 法令等の変更に係るリスク

当社グループは、事業を営む各国の法令等に従って、事業活動を行っております。将来における法令・規制、政策等の変更による当社グループの事業活動の制限やコストの増加により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(9) 海外事業展開に係るリスク

当社グループは、海外での事業活動の比率を拡大していく方向にありますが、各国での予期しない法令・規制や政策等の変更、テロ・戦争・その他の要因による社会的混乱等により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(10) 訴訟に係るリスク

当社グループは、様々な事業活動を行っているなかで、訴訟、係争、その他の法律的手続きの対象となる可能性があります。将来、重要な訴訟等が提起されることにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(11) 知的財産権の侵害に係るリスク

当社グループは、特許等知的財産を厳重に管理しておりますが、第三者からの侵害を完全には防止できない可能性があるほか、当社グループの製品・技術の一部が、将来的に他社の知的財産権を侵害しているとされる可能性があります。これら知的財産権の侵害により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(12) 研究開発に係るリスク

当社グループは、研究開発を事業成長の原動力と捉え積極的な研究開発活動を行っております。医薬・アグロ事業においては、その有効性や安全性を確認するために研究開発期間が長期間にわたるため、一つの新製品開発には多額の費用を要します。従って、開発後期において開発を断念することになった場合には、多額な研究開発費用を回収できないこととなります。また、機能化学品事業やセイフティシステムズ事業においては、技術革新及び顧客ニーズの変化が極めて速く、新製品をタイムリーに開発・提供できない可能性があります。

このように研究開発活動が成果に結びつかないことにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(13) 原材料の調達に係るリスク

当社グループは、原材料の複数調達先の確保等で安定的な原材料の調達を行うよう努めておりますが、調達先からの原材料の供給停止などで生産活動に支障をきたす可能性があり、また原材料価格が高騰して大幅なコスト増となることにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(14) 製品の品質に係るリスク

当社グループは、「ISO9001」等の品質保証の国際規格による管理基準を定め、それに従った各種製品を製造しておりますが、すべての製品について欠陥が無く、問題が発生しないという保証はなく、大規模なリコールや、製造物責任が発生する可能性があります。製造物責任賠償に関しては、保険に入る等で万一に備えておりますが、賠償額を充分にカバーできる保証はありません。また、医薬・アグロ事業においては、これまで未知であった有害事象等が上市後明らかになることなどにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(15) 事故・災害に係るリスク

当社グループは、製造設備・物流で発生する事故、自然災害等による損害を防止するため、法令及び社内で定めた基準に従い定期的な点検、安全装置・消火設備の充実、各種安全活動・安全審査・環境安全診断を行う等の安全保持対策を実施すると共に、BCP(事業継続計画)を策定し有事に際してより適切な復旧活動に努めますが、事故・災害による影響を完全に防止・軽減できる保証はありません。事故等により、工場及びその周辺に物的・人的被害を及ぼした場合や顧客の生産に支障をきたし補償を請求された場合、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与えたり、また災害等で、得意先等がサプライチェーンの混乱等を起こし、得意先等への納入が出来ないことにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(16)電力供給制限に係るリスク

当社グループは、原子力発電所稼働停止に伴う電力供給制限への対策として、節電や自家発電設備の導入などにより対応しておりますが、予想を超える電力不足が発生した場合、生産活動等に影響が発生することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(17)土壌汚染に係るリスク

当社グループは、土壌汚染の防止のために、法令及び社内で定めた基準に従い、有害物質保管設備の定期的な点検、安全装置、各種安全活動(安全審査、環境安全診断)等を行うなど、漏洩防止に努めておりますが、事故・災害による影響を完全に防止・軽減できる保証はありません。また、現時点で、所有している土地全てについて調査を完了していませんので、自然由来によるものや当社が合併等により承継した企業の事業活動による汚染など、当社グループの事業活動以前に土中に有害物質が混入していたものが、後日、確認される可能性も否定できません。土壌汚染が確認された場合、当社グループの評価に重大な影響を与えたり、更に土壌汚染対策を実施した場合、多大なコストが発生することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(18)情報システムに係るリスク

当社グループは、基幹システムの機器を社外のデータセンターにハウジングして、システムの安全・安定運用の確保に努めております。また、ネットワークに関しても重要な拠点については回線の冗長化を図っておりますが、予期せぬ障害や大規模な災害によりシステムが停止する可能性は否定できません。システムが停止した場合、調達や生産、製品の出荷などの指示が不能または遅延し、得意先等への納入が出来ないことにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 技術導入契約

(契約会社名:日本化薬株式会社(当社))

契約品名

契約年月日

契約先

契約内容

パクリタキセル含有高分子ミセル抗がん剤

平成14年6月12日

ナノキャリア㈱
(日本)

パクリタキセル含有高分子ミセル抗がん剤に関する特許実施権、ノウハウ実施権の導入。

(対価)マイルストーンと製品正味販売高につき一定期間一定料率のロイヤリティを支払う。

(契約期間)平成14年3月31日から実施期間中。

黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)拮抗抗がん剤

平成18年7月26日

エテルナゼンタリス社
(ドイツ)

黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)拮抗抗がん剤に関する特許実施権、ノウハウ実施権の導入。

(対価)マイルストーンと製品正味販売高につき一定期間一定料率のロイヤリティを支払う。

(契約期間)平成18年7月26日から許諾特許の有効期間満了日又は許諾製品の発売後一定年数経過日の遅い日まで。

 

(2) 技術導出契約

(契約会社名:日本化薬株式会社(当社))

契約品名

契約年月日

契約先

契約内容

インフレータ、マイクロガスジェネレータ、ガス発生剤、スクイブ及びエンハンサ

平成24年11月14日

インデット セイフティ システムズ社
(チェコ)

インフレータ、マイクロガスジェネレータ、ガス発生剤、スクイブ及びエンハンサに関するチェコでの製造及び全世界での販売に関する権利の許諾及び技術供与。

(対価)一時金と売上高につき一定期間一定料率のロイヤリティを支払う。

(契約期間)平成25年1月1日から平成29年12月31日まで。

インフレータ、マイクロガスジェネレータ、ガス発生剤、スクイブ及びエンハンサ

平成24年11月19日

カヤク セイフティシステムズ  デ メキシコ社
(メキシコ)

インフレータ、マイクロガスジェネレータ、ガス発生剤、スクイブ及びエンハンサに関するメキシコでの製造及び全世界での販売に関する権利の許諾及び技術供与。

(対価)一時金と売上高につき一定期間一定料率のロイヤリティを支払う。

(契約期間)平成25年1月1日から平成29年12月31日まで。

インフレータ、マイクロガスジェネレータ、ガス発生剤、スクイブ及びエンハンサ

平成25年6月21日

カヤク セイフティシステムズ マレーシア社
(マレーシア)

インフレータ、マイクロガスジェネレータ、ガス発生剤、スクイブ及びエンハンサに関するマレーシアでの製造及び全世界での販売に関する権利の許諾及び技術供与。

(対価)一時金と売上高につき一定期間一定料率のロイヤリティを支払う。

(契約期間)平成25年6月21日から平成30年12月31日まで。

 

(3) その他の契約

(契約会社名:日本化薬株式会社(当社))

契約品名

契約年月日

契約先

契約内容

血管塞栓用ビーズ(医療機器)

平成21年4月16日

バイオスフィア メディカル社
(米国)

血管塞栓用ビーズ2品目について日本における独占的開発、流通販売権の取得。

(対価)一時金の支払とマイルストーン。

(契約期間)平成21年4月16日から一定年数経過日まで。

膀胱がん治療剤

平成21年11月6日

スペクトラム社
(米国)

膀胱がん治療に関する日本およびアジア地域での開発権、製造権、販売権の取得。但し、韓国、北朝鮮での販売権は除く。

(対価)契約締結一時金、開発の進捗および販売額に応じたマイルストーンと、製品正味販売高につき契約期間一定料率のロイヤリティを支払う。

(契約期間)平成21年11月6日から、1)特許期間、2)優先販売期間、3)上市後10年間のいずれか長い方まで。

乳がん治療剤

平成24年6月19日

オリオン社
(フィンランド)

乳がん治療剤に関する特許実施権、ノウハウ実施権、商標使用権の許諾に基づく日本における独占的流通販売権の取得。

(対価)一時金の支払。

(契約期間)平成24年6月30日から平成30年6月29日まで。

 

 

6 【研究開発活動】

研究開発活動につきましては、前連結会計年度よりスタートした中期事業計画Challenge 100A ! に向けて当社グループの保有する種々の技術及び社外技術の融合をベースにして、次世代の新事業の創生・新製品の創出を図り長期的視野に立って研究開発戦略を推進しております。また、東京事業区(東京都北区)を「研究開発及び事業創生エリア」と位置づけ、各事業の研究者・研究機器を集中して技術と人材の「連携と融合」を図っております。

全社的かつ長期的視点に立った研究活動として、「コーポレート研究」制度で色素増感太陽電池や有機半導体の開発をはじめとした複数テーマの研究開発を推進しております。また先端技術分野の基礎的な研究に取り組んでおります。これらの制度のもと産官学との共同研究を積極的に推進することにより次世代基盤技術を構築し、新事業の創生・新製品の創出を図っております。

当連結会計年度における研究開発費は129億円であります。

当連結会計年度におけるセグメントごとの活動状況及び研究開発費は次のとおりであります。

 

(機能化学品事業)

機能化学品事業では、環境対応型エポキシ樹脂、省エネルギー関連材料及び電子・情報関連機能材等の各種機能性材料の開発、インクジェットプリンタ用色素をはじめとする各種色素の開発、並びにアクリル酸・メタクリル酸製造用高性能触媒及び新規用途の触媒の開発を引き続き推進し、逐次市場へ投入しております。また、省エネに貢献することを目的に、放熱・遮熱・光制御をキーワードとして熱や光をマネジメントする材料の開発にも精力的に取組んでおります。

当事業に係る研究開発費は54億円であります。

 

(医薬事業)

医薬事業では、ナノテクノロジー技術を駆使した抗がん薬内包高分子ミセルの臨床試験を精力的に進めております。さらに、薬剤費が非常に高額であるため、安価な製剤の提供が社会的に求められているバイオ後続品を導入し、開発を進めております。一昨年にはそのうちの一つ(フィルグラスチムBS注 NK)の承認を取得し、当連結会計年度には新たな製剤(インフリキシマブBS注 NK)の承認を取得し販売を開始しました。また主要領域と位置づけているがん及びがん周辺領域の製品群を増強するため、社外からの開発品の導入や共同開発、並びに抗がん薬のジェネリック医薬品の開発についても積極的に取り組んでおります。原薬事業では、ジェネリック医薬品原薬製造、高薬理活性物質等の受託製造、研究開発を通じた原薬事業の拡大を目指しております。診断薬事業では、糖尿病診断薬の新規の用途開発を図っております。

当事業に係る研究開発費は51億円であります。

 

(セイフティシステムズ事業)

セイフティシステムズ事業では、自動車安全部品である前突及び側突のエアバッグ用インフレータ、シートベルトプリテンショナー用マイクロガスジェネレータ、歩行者保護用ボンネット跳ね上げ用の駆動装置等の開発を推進しております。

当事業に係る研究開発費は12億円であります。

 

(その他)

アグロ事業では、農業生産者にとってより安全で使いやすい農薬の創製を目指し、製剤の改良、現製品の適用拡大を継続的に実施し、殺虫剤の共同研究、導入も推進しており、一昨年新規殺虫剤の登録を申請しております。

当事業に係る研究開発費は10億円であります。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績の分析

①売上高

当連結会計年度の当社グループの売上高は、1,618億6千1百万円で、前連結会計年度に比べ17億8千万円(1.1%)増加しました。売上高については、1.業績等の概要(1)業績に記載したとおりであります。

②売上総利益

売上総利益は、機能化学品事業の販売品目構成の変化や、医薬事業における薬価改定の影響により、671億9千2百万円と、前連結会計年度に比べ22億3千万円(3.2%)減少しました。

③販売費及び一般管理費、営業利益

販売費及び一般管理費は、448億9千万円となりました。

この結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ17億8千8百万円(7.4%)減少し、223億1百万円となりました。営業利益率は、前連結会計年度に比べ1.2ポイント低下し、13.8%となりました。

④営業外損益、経常利益

営業外損益は、円安による為替差益の増加により、前連結会計年度に比べ4億5千4万円増加し、28億6千1百万円の利益となりました。

この結果、経常利益は、251億6千2百万円となりました。

⑤特別損益、税金等調整前当期純利益

特別利益は、前連結会計年度に比べ1億5百万円増加し、2億4百万円となりました。

特別損失は、前連結会計年度に比べ1億8千6百万円増加し、13億9千4百万円となりました。

この結果、税金等調整前当期純利益は、239億7千2百万円となりました。

⑥法人税等(法人税等調整額を含む)、少数株主利益、当期純利益

法人税等は、71億6千6百万円となりました。法人税等の負担率は、前連結会計年度の28.98%から29.90%に増加しました。

少数株主利益は、前連結会計年度に比べ1億5千9百万円減少し、11億5千2百万円となりました。

この結果、当期純利益は、156億5千3百万円となりました。

 

(2) 財政状態の分析
①資産、負債及び純資産の状況

総資産は2,651億2千6百万円となり、前連結会計年度末に比べ175億3千3百万円増加しました。主な増加は投資有価証券86億6千7百万円、現金及び預金69億8千万円、有形固定資産64億1千万円、退職給付に係る資産40億4千9百万円、たな卸資産39億7千万円、受取手形及び売掛金28億4百万円であり、主な減少は有価証券142億3千1百万円であります。

負債は654億4千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ42億1千1百万円減少しました。主な減少は長期借入金41億9千9百万円、短期借入金21億5千4百万円、未払法人税等20億9千7百万円であり、主な増加は繰延税金負債(固定)38億9千2百万円であります。

純資産は1,996億8千万円となり、前連結会計年度末に比べ217億4千5百万円増加しました。主な増加は当期純利益156億5千3百万円、その他有価証券評価差額金62億4千8百万円、為替換算調整勘定16億2千9百万円、少数株主持分15億6百万円、退職給付に係る調整累計額12億3千8百万円であり、主な減少は配当金の支払49億8千3百万円であります。

②キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、202億6千3百万円の収入(前連結会計年度は294億8千万円の収入)となりました。これは主に法人税等の支払額が83億5千7百万円、たな卸資産の増加額が31億7千8百万円、売上債権の増加額が18億6千4百万円、仕入債務の減少額が17億5千6百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が239億7千2百万円、減価償却費が107億4千3百万円あったことによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、158億7百万円の支出(前連結会計年度は201億8千7百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が144億8千3百万円あったことによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、124億9千8百万円の支出(前連結会計年度は5百万円の収入)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出が62億9千7百万円、配当金の支払額が49億7千3百万円あったことによるものです。

以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ72億4千5百万円減少し、433億7千4百万円となりました。