第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度の経済情勢は、米国では回復が続き、欧州でも緩やかな回復基調で推移し、アジアでは中国において景気に減速感が強まるなど、世界経済は力強さを欠きながらも緩やかな回復が続きました。国内経済は、一部に改善の遅れもみられるものの、緩やかな回復基調をたどりました。

このような状況の下、当社グループは、当連結会計年度を初年度とする3ヵ年の中期経営計画「Change & Challenge 2018」を始動し、「持続的成長を可能にする経営基盤の強化」「資源・エネルギー・地球環境問題への対応と貢献」という基本方針の下、各セグメントの収益力向上を推進するとともに、各事業課題の解決に向け取り組んでおります。当連結会計年度においては、全般に円高の影響を受けるとともに、化学セグメントでは一部製品の原料価格高や国内アンモニア工場の定期修理を実施したことによるコストの増加等、建設資材セグメントではセメントの国内需要減少や輸出環境悪化等の影響もあり、営業利益では減益となりましたが、当連結会計年度は大きな特別損失の計上がなく、親会社株主に帰属する当期純利益は増益となりました。

この結果、当社グループの売上高は前連結会計年度に比べ251億8千7百万円減の6,165億6千3百万円、営業利益は64億4千8百万円減の349億6千万円、経常利益は62億7千2百万円減の333億4千8百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は50億7千4百万円増の241億8千5百万円となりました。

項   目

売 上 高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属

する当期純利益

当連結会計年度

616,563百万円

34,960百万円

33,348百万円

24,185百万円

前連結会計年度

641,750百万円

41,408百万円

39,620百万円

19,111百万円

増 減 率

△3.9%

△15.6%

△15.8%

26.6%

セグメント別の業績は以下のとおりです。

化学

ナイロン樹脂の出荷は食品包装フィルム用途を中心に堅調に推移しましたが、原料価格上昇の影響を受けました。ナイロン原料のカプロラクタムは、中国での供給能力過多の状況は継続していますが、市況は回復傾向で推移し、海外ではアンモニアなど副原料の価格低下も寄与しました。アンモニア製品の出荷は、工場の定期修理を実施したこともあり、低調でした。ポリブタジエン(合成ゴム)はエコタイヤ用途を中心に出荷は概ね堅調でしたが、原料価格上昇の影響を受けました。

リチウムイオン電池材料はセパレータ、電解液ともにエコカーなど車載用途で、出荷は伸長しました。ポリイミドフィルムやファインケミカル製品の出荷は概ね堅調でした。

この結果、当セグメントの売上高は前連結会計年度に比べ83億7千2百万円減の2,583億6千4百万円、営業利益は24億2千6百万円減の96億5千7百万円となりました。

項   目

売 上 高

営業利益

当連結会計年度

258,364百万円

9,657百万円

前連結会計年度

266,736百万円

12,083百万円

増 減 率

△3.1%

△20.1%

 

医薬

自社医薬品の血圧降下剤、抗アレルギー剤、抗血小板剤ともに原体の出荷は伸長しました。受託医薬品の原体・中間体の出荷も概ね堅調に推移しました。

この結果、当セグメントの売上高は前連結会計年度に比べ16億9千5百万円増の109億7千5百万円、営業利益は13億9千1百万円増の24億9千6百万円となりました。

項   目

売 上 高

営業利益

当連結会計年度

10,975百万円

2,496百万円

前連結会計年度

9,280百万円

1,105百万円

増 減 率

18.3%

125.9%

 

建設資材

セメント・生コン製品の国内出荷は、需要減少の影響を受けました。セメント輸出は、出荷は堅調でしたが、市況は軟化傾向に推移しました。カルシア・マグネシア製品の出荷は概ね堅調に推移しました。

この結果、当セグメントの売上高は前連結会計年度に比べ101億7百万円減の2,272億3千6百万円、営業利益は35億7千7百万円減の162億6千4百万円となりました。

項   目

売 上 高

営業利益

当連結会計年度

227,236百万円

16,264百万円

前連結会計年度

237,343百万円

19,841百万円

増 減 率

△4.3%

△18.0%

 

機械

竪型ミルや運搬機等の産業機械は、国内、輸出ともに出荷は低調でした。自動車産業向けを中心とする成形機は、国内の出荷は堅調でしたが、輸出は為替影響もあり低調でした。各製品のサービス事業や製鋼品の出荷は堅調に推移しました。

この結果、当セグメントの売上高は前連結会計年度に比べ17億6千7百万円減の716億6千8百万円、営業利益は9億2千9百万円減の36億7千1百万円となりました。

項   目

売 上 高

営業利益

当連結会計年度

71,668百万円

3,671百万円

前連結会計年度

73,435百万円

4,600百万円

増 減 率

△2.4%

△20.2%

 

エネルギー・環境

石炭事業は、販売数量およびコールセンター(石炭中継基地)での預り炭の取扱い数量が、ともに前連結会計年度を下回りました。電力事業は、自家発電所の定期修理の影響を受けました。

この結果、当セグメントの売上高は前連結会計年度に比べ92億8千4百万円減の597億8千2百万円、営業利益は10億1百万円減の28億5千5百万円となりました。

項   目

売 上 高

営業利益

当連結会計年度

59,782百万円

2,855百万円

前連結会計年度

69,066百万円

3,856百万円

増 減 率

△13.4%

△26.0%

 

その他

その他の売上高は前連結会計年度に比べ42億7千2百万円減の125億2千万円、営業利益は3億8千8百万円減の7億5千4百万円となりました。

項   目

売 上 高

営業利益

当連結会計年度

12,520百万円

754百万円

前連結会計年度

16,792百万円

1,142百万円

増 減 率

△25.4%

△34.0%

 

(2)キャッシュ・フロー

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは税金等調整前当期純利益329億3千3百万円、非資金項目である減価償却費344億9千万円、法人税等の支払額102億2千7百万円などにより、534億1千8百万円のキャッシュ・インとなりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは有形及び無形固定資産の取得による支出418億6千7百万円などにより、408億2千9百万円のキャッシュ・アウトとなりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは長期借入れによる収入205億6千2百万円などがあったものの、長期借入金の返済による支出213億6百万円、社債の償還による支出150億2千万円などにより、176億8千6百万円のキャッシュ・アウトとなりました。

なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ53億8千2百万円減少し358億6百万円となりました。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

化学

269,520

△2.2

医薬

5,321

1.9

建設資材

105,479

△9.0

機械

69,095

△0.2

エネルギー・環境

10,817

△6.1

合計

460,232

△3.6

 (注)1.金額は平均販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去前の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)受注状況

 当連結会計年度における機械及びエネルギー・環境の受注状況を示すと、次のとおりです。

 なお、機械及びエネルギー・環境を除くセグメントの製品については、受注生産は行っておりません。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

機械

56,851

△22.1

58,689

5.2

エネルギー・環境

1,384

△1.9

209

△24.8

合計

58,235

△21.7

58,898

5.1

 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

化学

258,364

△3.1

医薬

10,975

18.3

建設資材

227,236

△4.3

機械

71,668

△2.4

エネルギー・環境

59,782

△13.4

その他

12,520

△25.4

消去

△23,982

合計

616,563

△3.9

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去前の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、「共存同栄」「有限の鉱業から無限の工業へ」を経営理念とし、グループ社員が価値観を共有しグループの進むべき方向を対外的にも明確にするため、グループビジョン「技術の翼と革新の心。世界にはばたく私たちのDNAです。フロンティアスピリットを胸に無限の技術で世界と共生するUBEグループは、モノづくりを通して次代の価値を創造し続けます。」を掲げております。

100年を超える歴史を持つ当社は、発祥の地・宇部で始めた石炭採掘事業以来、時代と産業構造の変化に対応し、常に新たな技術に挑戦し、自己変革を行ってきました。しかしその中で一貫して変わらなかったもの、それをこのグループビジョンでは「技術」と「革新」というキーワードで表わしています。

当社グループは、環境・社会・コーポレートガバナンスに関する情報開示(ESG情報)の充実に努めるとともに、経営理念で謳われた起業家精神=フロンティアスピリットを胸に、株主を始め顧客、取引先、従業員や地域社会等のあらゆるステークホルダー、さらには地球環境との共生を図り、これらに貢献する価値創造企業であり続けます。

 

(2)経営戦略等

当社グループでは、10年後のありたい姿「顧客に価値を創出し続ける企業」の実現に向けた3ヵ年の行動計画と位置付ける中期経営計画「Change & Challenge 2018」において、下記の基本方針を掲げております。

①持続的成長を可能にする経営基盤の強化

◆各事業セグメントにおいて利益率を強く意識し、徹底したコストダウンにより既存商品の収益力向上を図る。

◆連結キャッシュ・フロー重視の経営方針の下、成長のための設備投資・投融資を実施するとともに、投資案件の成果を確実に刈り取る。

◆海外拠点の拡充や国内外グループ会社の連携深化により、グローバルな事業環境の変化へのスピーディな対応力を高める。

◆化学セグメントの復活と更なる成長に向けて、本計画期間中に化学セグメントの業績を営業利益200億円レベルまで回復させ、次の成長ステージの出発点への到達を目指す。

②資源・エネルギー・地球環境問題への対応と貢献

◆持続可能な社会の実現に向け、経済性に配慮しサプライチェーン全体でエネルギー使用量削減・廃棄物利用拡大による温室効果ガス削減や、環境負荷低減などに貢献する技術・製品の創出・拡大を推進する。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、当連結会計年度を初年度とする中期経営計画「Change & Challenge 2018」において、下記の数値目標を掲げています。

<主要項目>

 

2018年度目標

営業利益

500億円

経常利益

490億円

<経営指標>

 

2018年度目標

売上高営業利益率(ROS)

6.5%以上

自己資本当期純利益率(ROE)

9.0%以上

 

(4)経営環境

今後の経済情勢につきましては、国内景気は緩やかな回復基調が続くことが期待されるものの、為替や原燃料価格の先行き、米国・欧州における政治・経済・金融政策の動向など、不透明感の強い状況が続くことが見込まれます。

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

中期経営計画の基本方針のもと、徹底したコストダウンや国内外グループ会社の連携深化により、顧客に提供する価値の増大とともに当社グループ各セグメントの収益力向上を推進し、中でも事業環境が厳しさを増す建設資材セグメントでの対策強化と化学セグメントにおける更なる業績回復に注力してまいります。化学セグメントにおいては、平成29年4月、ビジネスユニットと研究開発機能を事業部として統合する組織改訂を実施し、事業毎の機能連携の一層の強化と研究開発のスピードアップにも取り組んでまいります。

さらに、当社グループは、公正な企業活動や社会的責任を果たすための活動を推進し、経営理念である「共存同栄」の精神のもと、社会との共生を目指し、株主や資本市場をはじめ、顧客、取引先、従業員、地域社会等、すべてのステークホルダーからの信認を深めてまいります。

 

4【事業等のリスク】

当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を下記のとおり記載いたします。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避・分散及び発生した場合の対応、リスクの移転、危機管理対策等に最大限努力する方針です。

下記事項には、将来に関するものが含まれますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、また、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

(1)原燃料の市況動向

当社グループ化学事業における主要製品の主原料購入価格は、国際市況や原油・ナフサ価格の動向等に影響され変動いたします。これら主原料購入価格の変動が、製品の需給状況等により、タイムリーに製品価格に転嫁されない場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。また、当社グループはセメント焼成用及び自家発電用として石炭を海外から購入していますが、石炭の調達価格が上昇に転じた場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

(2)化学事業の収益

化学事業の収益は、主要製品の主な市場である日本、アジア、欧州における需要動向、需給環境に大きく依存いたします。このため、これら地域において、経済の変調等により需要が大幅に減少する場合、また、他社の生産能力増強や他地域からの製品流入などによる供給増等により需給環境が悪化し、製品市況の低迷やスプレッド(製品と原料の値差)の大幅な縮小等が生じる場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

また、情報技術やデジタル家電関連分野等を主な市場とし、主として、世代交代の早い製品向けに供給している製品は、顧客の要求に合致した材料をタイムリーに開発することが必要となりますが、開発の遅延等により、これに応ずることができない場合、また情報技術関連製品特有の激しい需要変動の中で減少局面が現実化する場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

(3)医薬品原体・中間体事業の収益

医薬品原体・中間体事業は、原体や中間体を製薬会社から受託し製造する受託事業と自社単独または製薬会社との共同により新規医薬品の研究開発を行う創薬事業を内容としています。

受託事業については、研究開発支出は限定的ではありますが、規格を満たす一定規模の製造設備設置等の先行的支出が必要となります。受託対象となる医薬品が新薬である場合、製薬会社が製造承認を当局から得るためには長期間を要し上市できない場合もあることや、受託済みであっても副作用等により承認が取り消されたり本格的上市が遅延することもあり得ます。また、受託生産中の当該原体・中間体から生産される医薬品が競合激化、特許期限切れに伴う後発品の上市等により販売不振に陥る可能性があります。

創薬事業については、自社単独研究と製薬会社との共同研究の2種に大別されます。最終的な事業形態として、何れのタイプの研究においても、ライセンスアウトを基軸とした戦略を採ることにより、臨床試験の膨大な出費や成功率の問題に関するリスクを軽減しているものの、ライセンスアウトまでに研究開発費用が必要であるため、研究や事業化の成否に係るリスクが存在します。また、製薬会社の新薬開発と同様、当局の承認後であっても承認取消や上市遅延の可能性があります。

受託事業・創薬事業に係るこのようなリスクが顕在化する場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

(4)セメントの輸出価格

建設資材事業の主要製品であるセメントの国内需要は、東京オリンピック・パラリンピック関連工事が本格化することもあり一定の需要が見込まれるものの、輸出については中国の内需減・東南アジア諸国の生産能力過多等による輸出増により需給バランスは悪化しており、輸出価格の下落が収益の下押し要因となります。このため当社グループではセメント製造工程での廃棄物(有償での受入)処理拡大、コスト削減等を実施していますが、輸出価格が更に下落した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

(5)機械事業の収益

機械事業では、製品とサービスの連携強化・拡充により、成長の続く新興国を中心としたグローバル市場での収益拡大に取組んでおります。しかしながら、競争激化による販売価格の低下、原材料・工事価格の高騰等のリスクが顕在化する場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

(6)外国為替の変動

当社グループは、外貨建の輸出入等に係る通貨変動に対するリスクを、債権・債務の均衡化、為替予約等のヘッジ取引により一定限度まで低減していますが、短期及び中長期の予測を超えた為替変動が当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

当社グループ海外会社は現地通貨で財務諸表を作成しているため、換算時の為替レートにより円換算額が影響を受けます。また、当社グループのタイ国の事業会社はUSドル建有利子負債を保有していますが、同負債に係る返済、利払い、決算時の現地通貨への換算時に、為替レートにより差損益が発生する可能性があります。

(7)金融市場の動向

当社グループは、資金調達時の金融市場の動向により当社グループの業績及び財務状況に影響を受けます。金利変動に対するリスクは金利スワップ等のヘッジ取引により一定限度まで低減していますが、短期及び中長期の予測を超えた金利変動が、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

(8)海外での事業活動

当社グループはアジア、北中南米、欧州等にて生産及び販売活動を行っていますが、海外での事業活動には、通常、予期しない法律や規制の変更、産業基盤の脆弱性、人材の確保・技術の習熟、労働組合等の経済的なリスク、テロ・戦争・その他の要因による社会的又は政治的混乱等のリスクが内在します。こうしたリスクが顕在化することによって、海外での事業活動に支障が生じ、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

(9)知的財産・製造物責任(PL)

当社グループでは知的財産の重要性を認識し、その保護・活用に努めていますが、適切に保護・活用できず、違法に侵害された場合、あるいは、第三者の知的財産権を侵害したとして係争が生じた場合、また、当社グループの製品の欠陥に起因して製品回収や損害賠償につながるリスクが現実化し、これを保険により補填できない事態が生じた場合には、事業活動に支障が生じ、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

(10)産業事故および災害等

当社グループの危険物や高圧ガスを取扱う工場において、万一大きな産業事故あるいは地震・風水害等の災害による生産設備の大きな損壊等が発生した場合には、補償等を含む産業事故災害への対策費用、生産活動の停止による機会損失及び顧客に対する補償、更に社会的信用の失墜等によって、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

また、当社グループが供給を受けている主要な原材料等のサプライヤーにおける事故・災害等により、当社グループの事業活動に支障が生じ、業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

(11)公的規制

当社グループは、事業展開する各国、地域の法令・規則等の各種規制に従って事業を行っていますが、これらの環境規制を含む様々な規制についての変更、強化や新たな規制の適用が生じた場合には、当社グループの業務活動の制限、規則遵守のためのコスト増大、規制に従う会計・税務上の対応などにより当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

(12)石綿

当社グループでは、過去に石綿含有製品の製造・販売を行っており、また工場施設に石綿含有建材等を使用しています。工場施設の石綿を除去するために全面的又は部分的交換に順次着手しており、交換が完了するまでの期間に亘って一定額の支出が予想されます。また、従業員(退職者を含む)や工場周辺住民の健康被害に関連して、労災認定者の大幅な増加、訴の提起、法規制の更なる強化等がある場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

(13)訴訟

当社グループでは法令遵守に努めていますが、広範な事業活動のなかで訴を提起される可能性もあります。なお、現在係争中の主な訴訟事件は次のとおりです。これらの訴訟の最終的な結果やその時期については、現時点で予測することができません。

平成20年5月以降、建設作業等従事者及びその遺族らが国及びウベボード㈱(当社連結子会社)を含む建材メーカー40社余に対して、建設現場で使用されていた石綿含有建材の石綿粉じんを吸引して石綿関連疾患に罹患したとして、連帯して損害を賠償するように求めて訴えを提起しております。これまでの第一審の判決において、ウベボード㈱に対する請求はいずれも棄却されました。現在、請求棄却後控訴して東京、大阪、札幌の各高等裁判所に係属中の5件のほか、札幌、東京、横浜及び京都の各地方裁判所に訴えが提起されており、現在10件が係属中で、請求額は最大で合計242億円です。

(14)たな卸資産の収益性の低下による簿価切下げ

平成20年4月1日以後開始する事業年度より「棚卸資産の評価に関する会計基準」が適用され、通常の販売目的で保有するたな卸資産は取得原価をもって貸借対照表価額とするが、期末において正味売却価額が取得原価より下落している場合には、収益性が低下していると判断し、当該正味売却価額まで貸借対照表価額を切下げ、取得原価と当該正味売却価額の差額は当期の費用として処理することとなりました。このため、当社グループにおいて、原燃料購入価格の上昇、製造固定費の増加、生産量の減少、製品販売価格の下落などが生じる結果、簿価切下げの単位となっている製品等のたな卸資産について、正味売却価額が取得原価を下回る場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

(15)固定資産の減損

当社グループは平成15年度から「固定資産の減損に係る会計基準」を適用していますが、今後、遊休土地の時価が更に低下したり事業環境が大幅に悪化するなどの場合には、減損損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

(16)有価証券

当社グループは時価のある有価証券を保有し、そのほとんどが上場株式であるため、株式相場の下落により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

(17)退職給付債務

当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される割引率や退職率、昇給率等の前提条件と年金資産の期待運用収益率等に基づき計算されており、年金資産の運用利回り悪化、割引率の低下等が、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

(18)繰延税金資産

当社グループは将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対し、繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産は、将来の課税所得等に関する予測に基づき回収可能性を検討し計上していますが、実際の課税所得が予測と異なり、繰延税金資産の取崩が必要となる場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)技術援助契約

契約会社名

相手先

契約締結年月日

契約内容

有効期間

宇部興産株式会社(当社)

松下電工株式会社(現パナソニック株式会社)

平成16年4月21日

2層フレキシブル銅張積層板製造技術のライセンス契約

終期の定めなし

エスユーマテリアルス,カンパニー・リミテッド

平成23年9月23日

次世代ディスプレイ基板材料用のポリイミドに関するライセンス契約

終期の定めなし

アドバンスド・エレクトロライト・テクノロジーズ,エルエルシー

平成23年12月7日

リチウムイオン電池用電解液に関するライセンス契約

契約締結から10年間または特許及びノウハウの有効期間満了のいずれか遅い日まで

ハイケム株式会社

平成24年6月22日

DMO(ジメチルオキサレート)及びMEG(モノエチレングリコール)の触媒製造技術に関するライセンス契約

実施料支払期間満了まで

黔希煤化工投資有限公司

平成22年11月10日

DMO(ジメチルオキサレート)及びMEG(モノエチレングリコール)の製造技術に関するライセンス契約

特許及びノウハウの有効期間満了まで

 

錫林郭勒蘇尼特碱業有限公司

平成23年3月4日

新疆天業(集団)有限公司

(1期)

平成23年5月31日

内蒙古开滦化工有限公司

平成24年4月6日

新疆天業(集団)有限公司

(2期)

平成25年5月7日

内蒙古康乃尔化学工业有限公司

平成25年6月28日

陽煤集団寿陽化工有限責任公司

平成25年12月11日

中盐安徽红四方股份有限公司

平成27年4月24日

新疆生产建设兵团天盈石油化工股份有限公司

平成27年5月8日

陕西渭河彬州化工有限公司

平成28年4月4日

 

利華益利津煤化有限公司

平成28年6月17日

中盐安徽红四方股份有限公司

平成27年4月25日

DMC(ジメチルカーボネート)の製造技術に関するライセンス契約

契約発効日から20年間

 

(2)技術導入契約

契約会社名

相手先

契約締結年月日

契約内容

有効期間

宇部興産株式会社(当社)

DSMファーマシューティカル・プロダクツ社(現パセオン社)

平成17年7月1日

キラル技術(Monophos)導入のライセンス契約

対象特許の満了日

Industrial Copolymers, Ltd.(現Incorez Ltd.)

平成19年8月20日

PUD(水系ポリウレタン・ディスパージョン)に関するライセンス契約

終期の定めなし

ウベ・アメリカ,インコーポレーテッド

米国航空宇宙局(NASA)

平成16年5月18日

高耐熱複合材料向けポリイミド樹脂「PETI-330」の製造及び販売に係るライセンス契約

最終特許の満了日

 

(3)株式交換契約

当社は、平成29年5月11日開催の取締役会において、当社の連結子会社である宇部興産海運株式会社及び萩森興産株式会社を当社の完全子会社とする株式交換を行うことを決議し、同日付で株式交換契約を締結いたしました。

詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。

 

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、既存事業の製造技術の高度化及び周辺や延長分野における事業拡大を図るとともに、新分野における新規事業の創出及び長期的な視野に立った基盤技術の強化を志向しております。

研究開発活動は、当社の研究開発本部並びに、化学生産部門及び各事業部門の開発部門で行っているほか、一部には連結子会社独自で行っているものもあります。当社及び連結子会社における研究開発スタッフは848名にのぼりますが、これは総従業員数の約8%に当たります。

当社は平成28年8月、将来の事業拡大のため機能性分野の研究開発拠点として、山口地区、千葉地区に加えて、大阪地区の堺工場内に「大阪研究開発センター」を開設しました。

当連結会計年度における研究開発費の総額は136億2千4百万円あり、セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりです。

なお、当社においては、特定のセグメントに区分できない研究開発活動に要した研究開発費は各セグメントへ配賦しております。

化学

既存事業の強化、高度化を図るため、カプロラクタムやナイロン等の革新的プロセス開発及び独自技術による新規グレードや新製品の開発を行っています。合成ゴム関係ではメタロセン触媒を用いたポリブタジエンの製造技術開発や市場開発、タイヤ用途で省燃費性、耐久性に優れる新規の合成ゴムを開発中です。ナイロン関係では日本、タイ、スペインに設立した研究所を基点にして、グローバルなニーズに応える研究開発を進め、パラダイムシフトに対応した次世代の材料開発を行っています。また、リチウムイオン二次電池及び次世代蓄電池の材料(電解液、セパレータ、導電性炭素材料など)の開発、ポリイミドフィルム及びワニス等関連製品の開発、窒化珪素セラミックスの開発、LEDを含む半導体分野向け有機金属化合物や高純度薬品の開発、新規高機能ガス分離膜の開発、次世代通信機器向け高周波デバイスの開発、航空宇宙材料(熱制御フィルム、チラノ繊維など)の開発、C1ケミカル及び二価フェノール誘導品の開発、環境型コーティング材料(水系ポリウレタンディスパージョン等)の開発等を行っています。主な成果としては、山形大学有機エレクトロニクス研究センターと共同で開発した、有機溶媒に溶ける新しいN型有機半導体材料に関して、山形大学のベンチャーとライセンス契約を結び、N型有機半導体の有償販売を開始することなどがあげられます。また、大阪地区の堺工場内に開設した「大阪研究開発センター」は、電池材料や電子材料、自動車部品等に関する素材や加工、生産方法について要素技術研究~開発~生産技術までを一貫して、効率的かつスピーディな研究開発を行い、世の中の動きに即応した体制で、将来の新製品を創出する中心拠点としていきます。当セグメントに係る研究開発費は91億4千3百万円です。

医薬

製薬会社などとの共同研究開発や独自に進めている創薬研究開発による新規医薬品の創製、受託医薬品原体の製造プロセスの開発などを行なっております。当セグメントに係る研究開発費は23億2千万円です。

建設資材

セメント・コンクリートおよび建材関連分野では、セメント工場での廃棄物・副産物の継続的な利用拡大に向けた研究開発、生コンや二次製品会社からのニーズに対応した商品の開発や技術サービス、セルフレベリング材・リニューアル・防水材関連商品の開発、環境資材等の新規事業分野の研究開発、そのほかカルシウムおよびマグネシウムの基礎材料を元とした複合系材料の研究開発などに取り組んでいます。主な成果としては、低強度コンクリート造建物対応型デザインUフレーム工法の建築技術性能証明を取得、高性能セメント系セルフレベリング材「タフレベラーGプラス」を開発し、関東地区限定で販売を開始したことがあげられます。当セグメントに係る研究開発費は15億6百万円です。

機械

機械分野の研究開発は連結子会社の宇部興産機械㈱で行っております。

成形機事業では、自動車部品を製造するためのダイカストプロセス開発や新規ハイブリッド鋳造システム(HFC)の商品化開発を、また新たに連結子会社となったU-MHIプラテック㈱と樹脂成形プロセスの開発を行なっています。産機事業では、竪型ミルによるセメントミル技術、エア浮上コンベアーによる乾灰(フライアッシュ)搬送技術の開発を行っています。主な成果としては、中型ダイカストマシンの最新シリーズとしてUB-iS3シリーズを開発し、販売を開始したことがあげられます。当セグメントに係る研究開発費は3億1千万円です。

エネルギー・環境

当社燃料コストと環境コストの持続的低減と、「環境に配慮したエネルギー事業」の実現に貢献することを目指し、低品位燃料の利用拡大、低環境負荷燃料(低CO2負荷燃料)の利用拡大、省エネ・低CO2負荷プロセス構築の3つの視点から、再生可能エネルギーの導入拡大等のエネルギー政策に対応した新規バイオマス燃料の製造及び利用技術や低品位炭利用技術に関わる開発などに取り組んでいます。当セグメントに係る研究開発費は3億4千5百万円です。

全社共通

上記セグメントに属さない研究開発としては、次世代事業の創出を目的に新炭素源・次世代ケミカルズ、環境・エネルギー、ヘルスケア、情報・電子を新規重点分野として定めて研究開発を行いました。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発資産・負債の開示、並びに報告年度における収益・費用の数値に影響を与える将来に関する見積り及び仮定が必要であり、過去の実績やその他の様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

売上高

売上高は前連結会計年度に比べ、251億8千7百万円(△3.9%)減少し、6,165億6千3百万円となりました。この要因は、「第2 事業の状況 1.業績等の概要」に記載のとおりです。

売上原価

売上原価は前連結会計年度に比べ、193億1千8百万円(△3.7%)減少し、5,006億4千2百万円となりました。これは、主に化学セグメントにおける化学製品販売数量減、建設資材セグメントにおけるセメント・生コン販売数量減、エネルギー・環境セグメントにおける販売炭・預り炭数量減によるものです。

販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ、5億7千9百万円(0.7%)増加し、809億6千1百万円となりました。これは、主に給与手当の増加などによるものです。

営業利益

営業利益は前連結会計年度に比べ、64億4千8百万円(△15.6%)減少し、349億6千万円となりました。これは、化学セグメントにおける一部製品の原料価格高や国内アンモニア工場の定期修理を実施したことによるコストの増加、建設資材セグメントにおけるセメントの国内需要減少や輸出環境悪化などによるものです。

売上高営業利益率は、前連結会計年度に比べ、0.8ポイント下回り、5.7%となりました。

営業外損益

営業外損益は前連結会計年度に比べ、1億7千6百万円改善し、16億1千2百万円の損失となりました。これは、前連結会計年度に比べ、持分法による投資利益が9億2千9百万円減少したものの、支払利息が5億1千3百万円減少、為替差損が8億9千1百万円改善したことなどによるものです。

経常利益

経常利益は前連結会計年度に比べ、62億7千2百万円(△15.8%)減少し、333億4千8百万円となりました。

特別損益

特別損益は前連結会計年度に比べ、115億5千2百万円改善し、4億1千5百万円の損失となりました。これは、前連結会計年度に比べ、減損損失が84億9千4百万円改善したことなどによるものです。

以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ、52億8千万円(19.1%)増加し

329億3千3百万円となり、法人税、住民税及び事業税や法人税等調整額、非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ50億7千4百万円

(26.6%)増加し、241億8千5百万円となりました。

 

(3)当連結会計年度の財政状態の分析

総資産

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ、295億9千6百万円(4.4%)増加し、

7,093億7千9百万円となりました。

流動資産は、現金及び預金が減少しましたが、受取手形及び売掛金、商品及び製品などのたな卸資産が増加したことなどにより181億1千6百万円(6.5%)増加し、2,950億4千1百万円となりました。

固定資産は、有形固定資産が増加したことなどにより114億8千2百万円(2.9%)増加し、

4,142億2千6百万円となりました。

繰延資産は、社債発行費が減少したことにより2百万円減少し、1億1千2百万円となりました。

負債

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ、88億1千7百万円(2.3%)増加し、

3,989億7千8百万円となりました。

流動負債は、支払手形及び買掛金が増加したことなどにより、125億7千2百万円(5.4%)増加し、2,458億2千8百万円となりました。

固定負債は、社債が減少したことなどにより37億5千5百万円(△2.4%)減少し、1,531億5千万円となりました。

純資産

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ、207億7千9百万円(7.2%)増加し、

3,104億1百万円となりました。

株主資本は、剰余金の配当により53億円減少しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が241億8千5百万円増加したことなどにより185億1千5百万円(7.0%)増加し、2,815億4千7百万円となりました。

その他の包括利益累計額は、為替換算調整勘定が減少しましたが、その他有価証券評価差額金が増加、退職給付に係る調整累計額が改善したことなどにより15億2千2百万円(43.1%)増加し、50億5千2百万円となりました。

非支配株主持分は、7億1千6百万円(3.2%)増加し、231億7千9百万円となりました。

この結果、自己資本比率は、前連結会計年度に比べ、1.2ポイント増加し40.4%となりました。

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動により得られた資金は、前連結会計年度に比べ、152億1千万円減の、534億1千8百万円となりました。これは前連結会計年度に比べ、税金等調整前当期純利益が増加したものの、運転資金増減(売上債権、たな卸資産及び仕入債務の増減合計額)による支出が増加、非資金項目である減損損失が減少したことなどによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ、71億3百万円増の408億2千9百万円となりました。これは前連結会計年度に比べ、有形及び無形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ、133億1千4百万円減の176億8千6百万円となりました。これは、当連結会計年度は社債の償還による支出があったものの、長期借入れによる収入、コマーシャル・ペーパーの増減額が支出から収入になったことなどによるものです。

この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、現金及び現金同等物に係る換算差額等を含め、前連結会計年度末に比べ、53億8千2百万円(△13.1%)減の358億6百万円となりました。