当連結会計年度の経済情勢は、国内では、消費税増税以降、個人消費に弱さが見られるものの、さらなる円安の進行、原油価格の急落等により、企業業績が改善し、設備投資や輸出が増加した。海外では、中国その他新興諸国の経済成長が力強さを欠き、また、欧州経済の持ち直しも弱い動きにとどまったが、米国では堅調な景気回復が続いたことから、国内外の経済は全体として緩やかな回復基調となった。
当社グループを取り巻く事業環境については、一部に市況・出荷の低迷が長引く状況もあったが、上記の経済情勢を背景に、総じて堅調に推移した。
このような状況の下、当社グループは、販売価格の是正、販売数量の拡大に引き続き注力するとともに、徹底した合理化によるコスト削減に取り組み、全社を挙げて業績改善に努めてきた。
この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ1,329億円増加し、2兆3,767億円となった。損益面では、営業利益は1,273億円、経常利益は1,574億円、当期純利益は522億円となり、それぞれ前連結会計年度に比べ増加した。
当連結会計年度のセグメント別の業績の概況は、次のとおりである。
(基礎化学)
メタアクリルは出荷の増加や市況の上昇により販売が増加した。アルミニウムも市況の上昇により販売が増加した。一方、合成繊維原料は市況の低迷が続き、出荷も減少した。また、円安による在外子会社の邦貨換算差の影響もあった。この結果、売上高は前連結会計年度に比べ251億円(8.7%)増加し3,120億円となったが、営業損益は前連結会計年度に比べ105億円改善したものの、4億円の損失となった。
また、生産規模は、約2,300億円となった。(販売価格ベース)
(石油化学)
当連結会計年度後半の原料価格の下落により、石油化学品の市況は下落した。合成樹脂は市況の下落はあったが、シンガポールや国内の出荷が増加した。また、円安による在外子会社の邦貨換算差の影響もあった。この結果、売上高は前連結会計年度に比べ141億円(1.8%)増加し8,062億円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ163億円増加し212億円となった。
また、生産規模は、約5,530億円となった。(販売価格ベース)
(情報電子化学)
液晶ディスプレイ材料である偏光フィルムやタッチセンサーパネルは、販売価格は下落したが、需要の増加により出荷が増加した。また、円安による在外子会社の邦貨換算差の影響もあった。この結果、売上高は前連結会計年度に比べ429億円(11.8%)増加し4,051億円となった。一方、販売価格下落の影響により、営業利益は前連結会計年度に比べ25億円減少し324億円となった。
また、生産規模は、約3,430億円となった。(販売価格ベース)
(健康・農業関連事業)
メチオニン(飼料添加物)は市況の回復により販売が増加した。農薬は消費税増税等の影響により国内出荷が減少したが、海外では拡販により出荷が増加した。更に、円安による影響もあり、この結果、売上高は前連結会計年度に比べ354億円(10.8%)増加し3,624億円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ187億円増加し569億円となった。
また、生産規模は、約1,900億円となった。(販売価格ベース)
(医薬品)
北米では、独占販売期間の終了により、ルネスタ(催眠鎮静剤)の出荷が大きく減少したが、ラツーダ(非定型抗精神病薬)の出荷拡大に加え、円安の影響もあり、増収となった。中国ではメロペン(カルバペネム系抗生物質製剤)の出荷が大きく伸長した。一方、国内では、薬価改定や後発品の影響により販売が大幅に減少した。この結果、売上高は前連結会計年度に比べ152億円(3.6%)減少し4,036億円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ181億円減少し290億円となった。
また、生産規模は、約3,670億円となった。(販売価格ベース)
(その他)
上記5部門以外に、電力・蒸気の供給、化学産業設備の設計・工事監督、運送・倉庫業務、物性分析・環境分析等を行っている。また、当連結会計年度にはラービグ リファイニング アンド ペトロケミカル カンパニー(ペトロ・ラービグ社)向けの役務提供が含まれている。これらの売上高は前連結会計年度に比べ306億円(53.9%)増加し875億円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ73億円増加し157億円となった。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の増加やラービグ第2期計画に係る立替金の回収等により、前連結会計年度に比べ665億円増加し、2,609億円の収入となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出が減少した結果、前連結会計年度に比べ785億円減少し、566億円の支出となった。
この結果、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動および投資活動によるキャッシュ・フロー)は、前連結会計年度の592億円の収入に対して、当連結会計年度は2,042億円の収入となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,515億円の支出となった。また、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ697億円増加し、2,020億円となった。
当社グループ(当社および連結子会社)の生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産製品の規模は小さいため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていない。
このため生産の状況については、「1 業績等の概要」におけるセグメント別の業績の概況に関連付けて示している。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前連結会計年度比(%) |
基礎化学 | 311,966 | 8.7 |
石油化学 | 806,151 | 1.8 |
情報電子化学 | 405,126 | 11.8 |
健康・農業関連事業 | 362,404 | 10.8 |
医薬品 | 403,562 | △3.6 |
その他 | 87,488 | 53.9 |
合計 | 2,376,697 | 5.9 |
(注) 1 上記販売実績は、外部顧客に対する売上高を示している。
2 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略している。
今後の経済動向は、国内は、雇用・所得環境の改善傾向が続く中、引き続き、緩やかな回復基調にて推移するものと思われる。海外では、米国経済の着実な回復が今後も続くと見られる一方で、米国の金融政策正常化に向けた動きの影響や、中国その他新興諸国、欧州の先行きなど、リスク要因も多く存在し、楽観はできないものと思われる。
当社グループを取り巻く事業環境についても、原材料価格の変動や製品市況の動向など、先行き不透明な要因があり、引き続き、市場環境を注視するとともに、環境変化に前広に対応していくことが重要であると考えている。
このような状況の下で、当社グループは現行の中期経営計画(平成25年度~平成27年度)の目標達成に総力を挙げて取り組んでいる。この中期経営計画は、本年10月に開業100周年を迎える当社グループが次の100年間も発展を継続していくための「強固な経営基盤づくり」の期間と位置づけ、「Change and Innovation -for the next hundredth anniversary-」のスローガンの下、事業構造、事業分野、企業風土を変革し、経営目標の達成を目指して、以下に示す5つの重要経営課題に取り組むものである。
平成27年度は、この中期経営計画の最終年度であり、事業ポートフォリオの高度化や有利子負債の削減など、目標必達に向けた総仕上げを行っていく。また、次の100年に向けた一歩となる次期中期経営計画の策定にも注力していく。
① 事業構造改善の断行
スペシャリティケミカル領域の事業拡大とバルクケミカル領域の事業再構築に取り組み、事業ポートフォリオの高度化を推進し、事業環境に大きく左右されることなく、安定した収益とキャッシュ・フローを生み出す経営基盤の構築を目指していく。
② 強固な財務基盤の構築
有利子負債残高を9,000億円未満に抑制するという目標の下、合理化および大型投資案件からの収益の確実な回収による収益性の改善、投資の厳選による投資キャッシュ・フローの抑制、資金回収期間の短縮による資産効率向上の3つの取り組みを進めていく。
③ 次世代事業の開発
環境・エネルギー、ICT(情報・通信技術)、ライフサイエンスの3分野に重点的に取り組む方針を継続し、当社の強みを生かした研究テーマをより的確に見定めるとともに、激しい競争に打ち勝つ事業の創出につながるコア技術にリソースを集中していく。
④ グローバル経営の深化
国境・国籍を越えた、事業の最適な組み合わせの実現に引き続き取り組むとともに、世界4極(中国、東南アジア・オセアニア、米州、欧州)に設置した地域統括会社を中心に、当社グループのグローバルなビジネス展開をサポートする体制を整えていく。
⑤ コンプライアンスの徹底、安全・安定操業の維持
コンプライアンスと安全・安定操業は当社グループが持続的に発展していくための最も基本的な要素で、経営の根幹をなすものであるとの認識に立ち、引き続き、国内外のグループ全体のコンプライアンス体制の維持・強化を図るとともに、安全・安定操業向上の施策に取り組んでいく。
当社グループの経営成績、株価および財政状況等に影響を及ぼす主要なリスクには以下のようなものがある。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
当社グループは、総合化学メーカーとして様々な事業を行っており、事業に関わるリスクは多種多様である。事業に係る市場リスクや供給リスクについては、主に以下のようなものがある。
・当社グループの事業は価格競争に晒されている。海外企業の国内市場参入、関税引き下げなどによる輸入品の流入、ジェネリック品の台頭など、様々な理由により当社グループの製品群は今後も厳しい価格競争に晒されるものと予想される。当社グループはコストの低減に努めているが、価格競争を克服できない場合、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
・当社グループの海外売上高は売上高の6割以上を占め、基礎化学部門、石油化学部門などの製品は特にアジア市場での販売が多い。また、情報電子化学部門は、中国や韓国、台湾の特定顧客向けの販売が大きな比重を占め、健康・農業関連事業部門の一部製品は特定顧客へカスタムメードで製品を供給している。アジア市場での経済情勢の悪化、あるいは顧客企業の業績状況の変化などによる値下げ要求が発生した場合、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
・石油化学部門の主要原料であるナフサは、中東地域の治安や世界の経済情勢に多大な影響を受け、時に急激な価格変動を起こすことがある。ナフサの価格が急激に上昇した場合、製品価格への転嫁が遅れることなどにより、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。
・ナフサやその他の原料品の一部については、特定の地域や購入先に依存している。購入先を複数にするなど、主要原料が購入できないリスクを低減するように努めているが、時に主要原料の不足が生じないという保証はない。必要な主要原料が確保できない場合には、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。
・情報電子化学部門の製品は、技術革新のスピードが速く、タイムリーに新製品を開発・提供していく必要がある。当社グループが顧客ニーズを満足させる新規製品を有効に開発できない場合、また他社において画期的な技術革新がなされた場合、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
・健康・農業関連事業部門の農薬や家庭用殺虫剤の出荷は、世界各地域における異常気象等の理由による作物の育成状況や病害虫の発生状況に左右される。また、飼料添加物は急激な価格変動を起こすことがある。作物の育成状況が悪くなった場合、病害虫の発生が少なくなった場合、或いは急激な価格変動が起こった場合、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
・医薬品部門では、国内において、急速な少子高齢化が進むなか医療保険制度改革が実行され、その一環として医療報酬体系の見直し、薬価制度改革などの議論が続けられている。薬価制度改定を含む政府の医療費抑制策が、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
当社グループは、国内で製造した製品を海外に輸出するとともに海外から原料品を輸入しているが、製品輸出高は原料品輸入高を上回っている。外国通貨に対して円高が進行した場合、海外で生産された製品に対する価格競争力が低下することに加え、輸出手取額の減少が輸入支払額の減少を上回ることになる。このようなリスクに対しては、為替予約や円建輸出取引を行うことによりリスクを最小限にするように努めているが、中長期的な為替レートの変動によるリスク等を完全にヘッジすることは出来ないため、円高の進行は当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
また、海外の連結子会社や持分法適用会社の経営成績は、連結財務諸表作成のために円換算されている。換算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があり、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
当社グループは、資金需要に対してその内容や財政状況および金融環境を考慮し、調達の金額・期間・方法等を判断している。今後の金利の変動に備え、固定金利・変動金利を適宜組み合わせて調達を行っているが、金利が上昇した場合には支払利息が増加し、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
当社グループが保有する有価証券の多くは、時価のある有価証券であるため、株式相場が大幅に下落した場合、減損が発生し、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用している。将来、当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により、減損損失が発生し、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
当社グループは、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づき、繰延税金資産の回収可能性の判断を行っているが、将来の課税所得の予測・仮定が変更され、繰延税金資産の一部ないしは全部が回収できないと判断された場合、繰延税金資産は減額され、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
当社グループの従業員退職給付費用および債務は、年金資産の運用収益率や割引率などの数理計算上の前提に基づいて算出されている。年金資産運用環境の悪化により前提と実績に乖離が生じた場合などは、将来の退職給付費用が増加し、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
(海外事業展開)
当社グループは、中東やアジアなど海外での事業活動を今後一層拡大していくこととしている。海外における事業活動には法律や規制の変更、労務環境の違いによる争議等の発生、人材の採用と確保の難しさ、テロ・戦争・その他の要因による社会的混乱などのリスクが内在しており、これらのリスクが顕在化した場合は、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
当社とサウジアラビアン オイル カンパニー(サウジ・アラムコ社)が共同で設立した「ペトロ・ラービグ社」は、サウジアラビアのラービグにおいて、石油精製・石油化学の統合コンプレックス事業(「ラービグ第1期計画」)を運営している。当社は、プロジェクト総投資額に対し、不測の事態による損害に備え、独立行政法人日本貿易保険の規約・限度額に従い、海外投資保険等に加入している。
「ペトロ・ラービグ社」は、既存の「ラービグ第1期計画」の拡張計画(「ラービグ第2期計画」)に関し、銀行団との間で、融資契約上のプロジェクト・コスト約81億米ドルの6割強にあたる約52億米ドルのプロジェクト・ファイナンス契約を締結し銀行借入を行っており、当社はその50%について完工保証を差入れている。また、「ペトロ・ラービグ社」の行っているその他の一部の借入に対して、当社は債務保証を行っている。当該保証の履行により、当社の経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性がある。当社は、「ラービグ第1期計画」と同様に「ラービグ第2期計画」についても、独立行政法人日本貿易保険の規約・限度額に従い、海外投資保険等に加入している。
(企業買収・資本提携)
当社グループは、事業拡大や競争力強化等を目的として、国内外において企業買収・資本提携等を実施しているが、当社グループおよび出資先企業を取り巻く事業環境の変化等により、当初期待していたシナジー効果を得られない可能性がある。また、出資先企業の経営成績、財政状態の悪化による企業価値の低下等により、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
(研究開発)
当社グループは、需要家のニーズに合わせた新技術・新製品をスピーディーに上市するため、積極的に研究開発を行っている。当社グループの研究開発は、次世代事業の創生のための探索研究を含んでいるため研究開発期間が長期間に亘る場合があり、また、研究開発テーマが実用化されず、新製品の開発が著しく遅延または断念される場合には、競争力が低下し、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
(知的財産権)
当社グループは、他社と差別化できる技術とノウハウを蓄積し事業の競争力を強化してきたが、当社グループ独自の技術・製品とノウハウの一部は、厳正な管理を行っているものの、予期せぬ事態により外部に流出する可能性があり、また、特定の地域ではこれらの知的財産の完全な保護が不可能なため、第三者が当社グループの知的財産を使用して類似製品を製造することを効果的に防止できない可能性がある。また将来、知的財産に係る紛争が生じ、当社グループに不利な判断がなされる可能性がある。
(製品の品質)
当社グループは、世界的に認められている厳格な品質管理基準に従って、各種製品を製造しているが、すべての製品について欠陥が無く、将来に亘ってリコールが発生しないという保証はない。大規模な製品事故は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
また、農薬や医薬品等は各国の厳しい審査を受けて承認されているが、科学技術の進歩や市販成績が蓄積された結果から、新たに品質問題や副作用が見つかることもある。このように上市後予期せぬ品質問題や副作用が発見された場合には、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
(事故・災害)
当社グループは、製造設備の停止や製造設備に起因する事故などによる潜在的なマイナス要因を最小化するため、すべての製造設備において定期的な点検を実施している。しかしながら、製造設備で発生する事故、自然災害等による影響を完全に防止・軽減できる保証はない。また、当社グループの事業活動におけるシステム・ネットワークへの依存度は年々拡大しており、セキュリティの高度化などによりシステムやデータの保護に努めているが、停電、自然災害やコンピューターウィルス、ハッカー等のシステム犯罪などにより、システム・ネットワーク障害が生じる可能性がある。
事故等により、工場周辺に物的・人的被害を及ぼした場合、あるいは、システム・ネットワーク障害が発生した場合、事業活動に支障をきたすほか多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
(規制変更)
当社グループは、事業展開する各国の規制に従い、業務を遂行している。将来における法律、規則、政策、実務慣行、解釈およびその他の政策変更ならびにそれらによって発生する事態が、当社グループの業務遂行や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性がある。また、将来的に環境および化学品安全等に対する法的規制が強化され、新たな対策コストが発生する可能性がある。
(訴訟)
当社グループは、国内および海外事業に関連して、訴訟、係争、その他の法律的手続きの対象となるリスクがあり、将来重要な訴訟等が提起された場合には、当社グループの経営成績ならびに財政状況に重要な悪影響を及ぼす可能性がある。
契約会社名 | 契約相手先 | 国名 | 内容 | 対価 | 有効期間 |
大日本住友製薬 株式会社 | アルミラル社 | スペイン | エバスチン に関する技術 | ランニング・ ロイヤリティ | 昭和63年1月~平成24年12月 以後5年間ずつ自動更新 |
大日本住友製薬 株式会社 | ファイザー社 | イギリス、 パナマ | アムロジピン に関する技術 | ランニング・ ロイヤリティ | 平成20年10月~平成26年8月 以後は無償で販売できる。 |
大日本住友製薬 株式会社 | ブリストル・ | 日本 | イルベサルタン に関する技術 | 一時金 ランニング・ ロイヤリティ | 平成18年7月~ |
大日本住友製薬 株式会社 | ニューロクライン社 | アメリカ | インディプロン に関する技術 | 一時金 ランニング・ ロイヤリティ | 平成19年10月~ |
大日本住友製薬 株式会社 | インターセプト | アメリカ | ファルネソイドX受容体作動薬に関する技術 | 一時金 ランニング・ ロイヤリティ | 平成23年3月~ 国毎に、最初または第2適応症の上市から10年間、または独占期間のどちらか長い方 |
大日本住友製薬 株式会社 | エジソン社 | アメリカ | EPI-743およびEPI-589 | 一時金 ランニング・ ロイヤリティ | 平成25年3月~ 発売から10年間または 協議により延長可能 |
サノビオン社 | ビアル・ポルテラ・アンド・シーエー社 | ポルトガル | エスリカルバゼピンに関する技術 | 一時金 | 平成19年12月~ |
サノビオン社 | タケダ社 | ドイツ | シクレソニド | 一時金 ランニング・ ロイヤリティ | 平成20年1月~ |
契約会社名 | 契約相手先 | 国名 | 内容 | 契約期間 |
スミトモ アジア | ラービグ | サウジアラビア | ラービグ リファイニング アンド ペトロケミカル カンパニーが生産する石油化学製品の販売契約 (注) | 平成26年4月から10年間 |
スミトモ アジア | ラービグ | サウジアラビア | ラービグ リファイニング アンド ペトロケミカル カンパニーがラービグ第2期計画で生産する石油化学製品および基礎化学製品等の販売契約 | 平成27年3月~ |
(注)本契約は、スミトモ ケミカル アジア プライベート リミテッドとラービグ リファイニング アンド ペトロケミカル カンパニーとの間で平成21年2月に締結した契約に対する変更契約である。
当社グループ(当社および連結子会社)は、事業拡大と収益向上に寄与すべく、独自の優位性ある技術の確立を基本方針とし、各社が独自に研究開発活動を行っているほか、当社グループ全体としての効率性を念頭に置きながら、互いの研究開発部門が密接に連携して共同研究や研究開発業務の受委託等を積極的に推進している。
当連結会計年度においては、平成25年度から平成27年度までの中期経営計画に従い、環境・エネルギー、ライフサイエンス、ICT(情報・通信技術)の3分野に研究資源を重点投入するとともに、異分野技術融合による新規事業の芽の発掘とその育成に取り組んできた。
これに基づき、当連結会計年度の研究開発費は、前連結会計年度に比べ66億円増加し、1,479億円となった。
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりである。
基礎化学分野では、カプロラクタム、メタアクリルを中心とする既存バルク製品の競争力強化のための触媒・プロセス改良や、機能性に特徴を持つ各種製品開発に積極的に取り組んでいる。当連結会計年度において、無機材料関連では、独自に開発したチタン酸アルミニウム製のディーゼルエンジンすす除去フィルターについて、顧客から納入業者指定を受けた。ポーランド工場で平成27年度より商業生産を開始する予定である。また、触媒塗布量増大が可能な次世代用フィルターについても、顧客の指定取得に向け大きな進捗があった。高純度アルミナについては、リチウムイオン電池用グレードの生産性を大幅に向上する技術を開発し、その工業化技術をほぼ確立した。アルミニウム分野では、高純度アルミニウムの特徴を活かした新規用途・新規材料の開拓に引き続き注力し、顧客評価を進めている。メタアクリルモノマーに関しては、性能が大幅に向上した触媒を開発し、その製造を開始した。メタアクリル樹脂関連では、高機能製品をシンガポールのPMMAプラントにて製造開始した。化成品関連では、機能性ゴム薬品について、タイヤ用途及び防振ゴム用途それぞれに新規製品の上市を行った。機能性樹脂分野でも環境対応を切り口とした新規の水系接着剤用原料開発を進め、いくつかの用途で有望な材料を見出し、顧客で良好な評価が得られている。
なお、基礎化学部門の研究開発費は75億円であった。
石油化学分野では、事業のグローバル競争力強化のために、石油化学品、合成樹脂および合成ゴム製品の製造プロセスの改良、既存素材の高性能化や新規高付加価値製品の開発に取り組んでいる。当連結会計年度において、合成ゴムでは、省燃費タイヤグレードのさらなる燃費性能の改良や加工性の改善検討が進展した。ポリエチレンでは、太陽電池用封止向け材料の性能改良に進展があった。具体的には、太陽電池の大規模発電で出力低下に繋がるPID(Potential Induced Degradation)現象を抑えることが可能な封止材の顧客評価が進展し、顧客採用に向けた進捗があった。ポリプロピレンでは、軽量化等の環境ニーズに対応した自動車材や機能性フィルム材に求められる高性能ポリプロピレンの材料、及び、その製造プロセスの開発に進展が見られた。機能性材料としては塗布型ガスバリアコーティング剤の開発、顧客での実用評価が進展した。また、新製品開発では、前連結会計年度の研究組織改編による機能別研究開発ユニット体制のもとで、制振、蓄熱などの機能を有する製品の開発が進捗した。
なお、石油化学部門での研究開発費は66億円であった。
情報電子化学分野では、IT関連企業の先端技術に対応する新規材料・部材・デバイスに関する新製品の開発に、引き続き積極的に取り組んでいる。当連結会計年度は、機能性光学フィルム分野において、当社が培ってきた差別化技術に基づく最先端製品の開発・製造をさらに推進した。具体的には、大型液晶TV用光学フィルムにおいては、自社開発フィルムを適用した製品開発を広範に展開し、様々な顧客ニーズに応えた。小型液晶用光学フィルムにおいては、国内外の顧客ニーズを先取りした薄型化・高性能化を実現する製品を開発し、スマートフォン、タブレット市場での採用が進んだ。また、フレキシブルディスプレイに代表される次世代ディスプレイに用いられる様々な新製品・新技術の開発を推し進めており、今後新製品の上市に向け量産化技術の確立など各種対応を加速していく。
電子材料分野では、半導体向け液浸ArFレジスト・厚膜i線レジストや高性能液晶パネル向け高輝度・高色再現性カラーレジストが国内外の需要家から高い評価を得ているなか、更なる高性能化に向けた研究開発を進めている。また、スーパーエンジニアリングプラスチックの分野では、用途に合わせた新規グレードの積極的な開発が結実し、液晶性ポリマーのOA機器用途への採用拡大、自動車部品での採用を実現した。さらにMOエピタキシャルウエハ分野では、今後成長が見込まれるパワーデバイス分野においてさらなる開発の効率化と競争優位を獲得するため、国家プロジェクトへの参画を含め、技術・研究開発体制を強化した。
電池部材分野では、リチウムイオン二次電池用耐熱セパレータのEV用電池向けの採用が進み、事業が着実に拡大している。また、正極材料においては、当社の強みを活かしたハイニッケル系材料を含めたいくつかの品目を開発し、市場評価の段階に達した。
表示デバイス分野では、タブレットPCやスマートフォンに使用されるタッチセンサーパネルに関する設計・開発・製造を韓国の関係会社(東友ファインケム)にて精力的に実施している。当連結会計年度は、タッチセンサーパネルの技術をさらに深化させるとともに、次世代ディスプレイにも適用可能な湾曲可能な新しいタッチセンサーパネルの開発・製品化に成功し、市場投入を果した。
なお、情報電子化学部門の研究開発費は165億円であった。
健康・農業関連事業分野では、新製品、新技術の開発や製造プロセスの改善・向上に積極的に取り組み、コア事業強化と周辺事業への展開および川下化を推進し、健康・農業関連事業を取り巻く環境の変化に柔軟に対応している。
当連結会計年度において、農業関連事業については、国内では新規農薬・肥料製品の上市により製品ラインナップの拡充を図るとともに新しい取り組みとして、良食味で多収が可能な性能を持つコメ品種等を研究開発機能とともに取得し、事業化に向けた第一歩を踏み出した。また、グループ会社を通じては、種子・種苗や培土・灌水資材の販売、農業法人の運営、農産物販売などを積極展開している。非農耕地分野においても、グループ会社を通じて、家庭用園芸、ゴルフ場、森林防除等の非農耕地分野に農薬・肥料製品を展開している。
海外では、米国において、種子処理用殺菌剤を上市した。欧州においては、殺虫剤の新規登録を花卉、野菜向けに取得した。また、果樹野菜用殺菌剤の新規登録をドイツ、スペイン等で取得し上市した。南米においては、殺虫剤を花卉、野菜向けにエクアドル、コロンビアで上市した。アジア地域では、水稲用除草剤の新規登録を中国、マレーシアで取得した。また、資本提携している豪州農薬会社ニューファーム社とは、混合剤新製品の商業化に向けた開発に取り組んでいる。生活環境事業については、家庭用殺虫剤・業務用殺虫剤・動物用殺虫剤・ヒューマンヘルスケア・エアプロテクションの各重点分野における新製品開発を推進している。家庭用殺虫剤については、国内において優れた速効性と広いスペクトルを有する新規有効成分を含む不快害虫用高性能エアゾール製品、ならびに、屋外での広範囲の虫よけ機能を有する噴霧デバイス商品を上市し、東南アジアにおいて、蚊に優れた効果を示す蚊取り線香用の新規有効成分を含む製品を上市した。業務用殺虫剤については、国内においてシロアリ対策用新製品を上市するとともに、海外においても北米を中心としてトコジラミなどの難防除害虫対策新製品の開発を推進している。また、動物用殺虫剤については国内外においてペット用駆虫剤の新商品開発を推進しており、ヒューマンヘルスケア分野については他社との共同開発によりヒト疥癬症対策製品の薬事承認を取得し、販売を開始した。エアプロテクション分野については静電噴霧技術を用いた業務用芳香消臭デバイスの新製品を上市し、新規市場の開発を加速している。熱帯感染症対策事業については、シンガポールでは、優れた速効性と拡散性を有する空間散布剤、マリ等のアフリカ諸国で上市したピレスロイド抵抗性対策蚊帳の普及と販売推進を行っている。マラリア対策用防虫蚊帳は、国際入札ビジネスの他、ケニア、ウガンダの一般商業市場において上市しているが、ナイジェリアなどの西アフリカ諸国に加え、ASEAN各国での一般商業市場への進出も検討を開始した。また、熱帯感染症に対する総合防除に係る製品強化のため、新しいコンセプトのピレスロイド抵抗性対策蚊帳、室内残留散布剤や幼虫防除剤などの蚊帳以外の防除手段の開発も推進している。加えて、熱帯地域のみならず近年先進国にも拡大しつつある感染症リスクに対応するため、北米でのウエストナイル熱、日本でのデング熱等に有効な製品の開発も進めている。アニマルニュートリション事業においては、マレーシアに開設したアニマルニュートリションテクノロジーセンターの飼料分析ラボ及び家禽栄養に関する試験研究施設を活用した新規商材の開発を推進している。医薬化学品事業では、ジェネリック原薬の製法開発と商用生産に注力するとともに、原薬・中間体の受託製造案件の獲得に積極的に取り組んでいる。また、新規分野である核酸医薬原薬については、ボナック社からライセンスを取得し、開発用原薬の製造を開始した。
なお、健康・農業関連事業部門の研究開発費は257億円であった。
医薬品分野では、精神神経領域とがん領域を重点領域とし、革新的な医薬品の創製を目指しており、世界に先駆ける分野や先端的技術領域での事業展開を図るべく自社研究、技術導入、ベンチャーやアカデミアとの共同研究等あらゆる手法を取り入れている。当連結会計年度においては、大日本住友製薬株式会社、日本メジフィジックス株式会社保有の先端技術を活かした創薬研究等を進めるとともに、国内外の大学を含む研究機関等とのアライアンスも積極的に進めている。
医療用医薬品の研究初期段階では、自らが保有する先端技術などの活用により研究効率の向上に取り組むとともに、iPS細胞等の最先端サイエンスを創薬や再生医療・細胞医薬に応用する取組を進めている。また、京都大学iPS細胞研究所と難治性希少疾患の治療薬の創製を目指した共同研究を推進中であり、産官学連携プロジェクトにも積極的に参加している。
研究後期および開発段階では、グローバルな視点からグループ全体でのポートフォリオの最適化を行っている。加えて、製品価値の最大化を目指した剤形展開等の製品ライフサイクルマネジメントにも積極的に取り組んでいる。
精神神経領域では、次の進展があった。①抗てんかん剤「アプティオム」について、米国およびカナダにおいて昨年10月に、部分てんかん単剤療法に関する適応追加承認申請を行った。②非定型抗精神病薬ルラシドン塩酸塩について、昨年11月にタイにおいて、昨年12月にロシア・トルコ・ベネズエラ・香港において、それぞれ海外提携先より承認申請が行われた。日本において、統合失調症を対象とした第Ⅲ相臨床試験の結果を得たが、本年4月に本試験結果に基づく製造販売承認申請は難しいと判断し、現在、今後の開発方針を検討している。③注意欠如・多動症(ADHD)治療剤SEP-225289について、米国において、成人を対象とした第Ⅲ相臨床試験を昨年10月に開始した。④非定型抗精神病薬ブロナンセリンの経皮吸収型製剤について、日本において、統合失調症を対象とした第Ⅲ相臨床試験を昨年8月に開始した。⑤パーキンソン病治療剤「トレリーフ」について、日本において、レビー小体型認知症(DLB)に伴うパーキンソニズムを対象とした第Ⅲ相臨床試験を本年2月に開始した。
がん領域では、がん幹細胞への抗腫瘍効果を目指して創製されたBBI608について、結腸直腸がんを対象とした単剤での国際共同第Ⅲ相臨床試験は、昨年5月に新規の患者登録および登録済みの患者への投与が中止された。一方、胃または食道胃接合部腺がんを対象とした併用での国際共同第Ⅲ相臨床試験などの継続中の試験は計画通り進んでおり、さらに、米国、カナダおよび日本において、固形がんまたは血液がんを対象とした第Ⅰ相臨床試験を開始した。固形がん治療剤BBI503について、米国、カナダおよび日本において、複数のがん種を対象に第Ⅰ相臨床試験および第Ⅱ相臨床試験を開始した。
新規分野およびその他の領域では、次の進展があった。①再生医療・細胞医薬に関して、昨年4月に神戸市が推進する「神戸医療産業都市」に研究拠点「神戸再生・細胞医薬センター」を大日本住友製薬株式会社が開設した。また、昨年5月から京都大学iPS細胞研究所とパーキンソン病に対するiPS細胞由来神経細胞移植の共同研究を開始した。②脳梗塞治療剤SB623について、昨年9月に米国のサンバイオ・インクとの間で米国およびカナダをテリトリーとした共同開発およびライセンス契約を締結し、米国において後期第Ⅱ相臨床試験の準備を進めている。③慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療剤SUN-101について、米国において、第Ⅲ相臨床試験を本年1月に開始した。
当社グループは、開発品の導入および研究提携にも積極的に取り組んでおり、昨年12月に、初期臨床段階までの化合物の導入を推進する「オープンイノベーション開発室」と、医薬事業のM&A、導出入および提携に関する機能を担う「ビジネスディベロップメント部」を大日本住友製薬株式会社内に設置した。
放射性医薬品では、平成15年度にライセンス導入した新規がん診断用PET製剤で開発が進捗した。また、平成25年度にライセンス導入したアルツハイマー診断剤も、申請に向けて準備を進めている。
なお、医薬品部門の研究開発費は729億円であった。
全社共通およびその他の研究分野では、上記5事業分野の事業領域を外縁部へ積極拡大するための研究および触媒技術をはじめとする共通基盤技術開発とともに、既存事業の枠に属さない新規事業分野への展開を図るべく、環境・エネルギー、ICT、ライフサイエンスの各分野で研究開発に取り組んでいる。当連結会計年度においては、次の進展があった。ICT分野では、ディスプレイ用途において、高分子有機EL材料の性能向上を図り、印刷プロセスへの適性向上を目的にインク改良を進めた。また、プリンテッド・エレクトロニクス技術を使った有機半導体の開発を進めている。また有機成分と無機成分をナノレベル・分子レベルで機能設計することにより、これまでにない機能を有する材料を生み出す技術の開発を進めている。環境・エネルギー分野では、高分子有機ELを活かした照明用途において、一般照明向けの材料開発、プロセス開発を更に進めるとともに、デザイン照明向けに光素子パネルのラインナップを増強した。ライフサイエンス分野では、農作物に環境ストレス耐性を付与する化学物質の開発を行うクロップ・ストレス・マネジメント(CSM)に取り組んでいる。また、理化学研究所と共同で、ヒトES細胞から毛様体縁幹細胞ニッチを含む立体網膜を作製することに成功した。
なお、全社共通部門の研究開発費は187億円であった。
このように、事業拡大および競争力強化を図るべく、新製品・新技術の研究開発および既存製品の高機能化・既存技術の一層の向上に取り組み、各事業分野において着実に成果を挙げつつある。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものである。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成している。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要とする。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しているが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。特に次の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えている。
当社グループは、貸倒れが懸念される特定の債権については、個別に回収可能性を勘案し回収不能見込額に基づき貸倒引当金を計上している。また、その他の一般債権についても、貸倒実績率を勘案して貸倒引当金を計上している。なお、将来、相手先の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性がある。また、貸倒損失の発生により貸倒実績率が上昇し、一般債権に係る貸倒引当金の追加計上が発生する可能性がある。
当社グループは、たな卸資産について収益性の低下により投資額の回収可能性が認められなくなった場合には、回収可能な額まで帳簿価額を切り下げている。将来、当社グループの販売するたな卸資産の市場価格が低下した場合には、売上原価が増加する可能性がある。
当社グループは、事業資産については管理会計上の区分に基づき(一部の無形固定資産については、個々の資産を1つの単位として資産のグルーピングを行っている)、遊休資産等については個々の資産を1つの単位として資産のグルーピングを行っている。将来、当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等があった場合には、減損損失が発生する可能性がある。
当社グループは、保有する市場性のある有価証券を合理的な基準に基づいて減損処理を行っている。時価が50%程度以上下落している場合は減損処理をしており、30%~50%下落している場合は、個別銘柄ごとに最近の時価水準と帳簿価額との乖離状況や発行体の業績、財政状態等を考慮した総合的な判断に拠って減損処理している。将来、株式相場が悪化した場合には、有価証券評価損を計上する可能性がある。
当社グループは、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づき、繰延税金資産の回収可能性の判断を行っているが、将来の課税所得の予測・仮定が変更され、繰延税金資産の一部ないしは全部が回収できないと判断された場合、繰延税金資産は減額され、費用が増加する可能性がある。
従業員退職給付費用および債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出している。これらの前提条件には、割引率、将来の昇給率、退職率、死亡率および年金資産の収益率などが含まれる。退職給付債務等の計算の基礎に関する事項のうち、割引率は優良社債の利回りをもとに設定している。また、実際の結果が前提条件と異なる場合または前提条件が変更された場合、その影響は数理計算上の差異として累積され、主として3年間で規則的に費用処理されている。
当社グループの当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ1,329億円増加し2兆3,767億円となり、営業利益は前連結会計年度比265億円増益の1,273億円となった。営業外損益は前連結会計年度比198億円増加し301億円の利益となり、経常利益は前連結会計年度比463億円増益の1,574億円となった。特別損益は前連結会計年度比158億円悪化し407億円の損失となり、当期純利益は前連結会計年度比152億円増益の522億円となった。
売上高は、基礎化学での市況上昇や情報電子化学、健康・農業関連事業での出荷増加、さらに在外子会社の邦貨換算差の影響もあり、前連結会計年度に比べ1,329億円増収の2兆3,767億円となった。
情報電子化学の売上高は、偏光フィルムやタッチセンサーパネルの販売価格が下落したものの、需要の増加による出荷増加や邦貨換算差の影響により、前連結会計年度に比べて429億円増加し4,051億円となった。
健康・農業関連事業の売上高は、メチオニンの市況が上昇したこと、海外向け農薬等の出荷増加に加え、邦貨換算差の影響もあり、前連結会計年度に比べて354億円増加し3,624億円となった。
基礎化学の売上高は、メタアクリルの市況上昇や出荷増加、アルミニウムの市況上昇等により、前連結会計年度に比べ251億円増加し3,120億円となった。
なお、海外売上高は1兆4,284億円となり、海外売上高比率は60.1%となった。
売上総利益は、交易条件の改善等により、前連結会計年度に比べ447億円増益の6,489億円となり、売上総利益率も、前連結会計年度に比べ0.4ポイント上昇し27.3%となった。販売費及び一般管理費は、研究開発費が増加したことや邦貨換算差の影響等により、前連結会計年度に比べ182億円増加し5,215億円となったが、売上高に対する比率は、前連結会計年度に比べ0.5ポイント低下し21.9%となった。なお、研究開発費は前連結会計年度に比べ66億円増加し1,479億円となり、売上高に対する比率は6.2%となった。
この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ265億円増益の1,273億円に、営業利益率は前連結会計年度より0.9ポイント上昇し5.4%となった。
営業外損益は、前連結会計年度の103億円の利益から198億円増加し、301億円の利益となった。ペトロケミカル コーポレーション オブ シンガポール(プライベート)リミテッドおよびペトロ・ラービグ社等の業績改善により持分法投資利益が増加したことや、為替差益が増加したことが主な要因である。
この結果、経常利益は前連結会計年度の1,111億円に対し463億円増加し、1,574億円となった。
特別利益は、固定資産売却益、投資有価証券売却益、受取補償金および受取損害賠償金で合計247億円計上し、前連結会計年度の90億円に比べ157億円増加した。固定資産売却益は、子会社の保有する土地および建物等の売却により162億円を計上した。
特別損失は、減損損失および事業構造改善費用で合計655億円計上し、前連結会計年度の339億円に比べ315億円増加した。減損損失は、英国子会社における高分子有機EL材料およびデバイスに係る特許権や当社におけるアルミナ製造設備等などについて333億円を計上した。事業構造改善費用は、当社および子会社における有形固定資産除却損等で322億円を計上した。
この結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度の862億円に対し305億円増加し、1,167億円となった。
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の総額は456億円となり、税金等調整前当期純利益に対する税効果会計適用後の法人税等の負担率は、39.1%となった。
この結果、少数株主損益調整前当期純利益は、711億円となった。
少数株主利益は、主として大日本住友製薬株式会社や住友共同電力株式会社などの連結子会社の少数株主に帰属する利益からなり、前連結会計年度の180億円に比べ9億円増加し、当連結会計年度は189億円となった。
この結果、当期純利益は、前連結会計年度の370億円に対し152億円増加し、522億円となった。
当社グループは、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、銀行借入、資本市場における社債およびコマーシャル・ペーパーの発行等により、必要資金を調達している。当社グループの財務活動の方針は、低利かつ中長期に亘り安定的な資金調達を行うこと、および十分な流動性を確保することである。
当社グループの当連結会計年度末の現金及び現金同等物は2,020億円であり、流動比率(流動資産/流動負債)は145.0%である。また、短期的な資金需要に対応するため、コマーシャル・ペーパーの発行枠を1,800億円(当連結会計年度末の発行残高400億円)と大手邦銀のシンジケート団による800億円のコミットメント・ラインおよび、大手外銀のシンジケート団による210億円のマルチカレンシー(円・米ドル・ユーロ建)によるコミットメント・ラインを有している。
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ919億円増加し2兆8,804億円となった。在外子会社および関連会社の換算レートが前連結会計年度末に比べ円安となったことが主な要因である。
負債は、前連結会計年度末に比べ918億円減少し1兆7,622億円となった。有利子負債(短期借入金、1年内償還予定の社債、コマーシャル・ペーパー、社債および長期借入金の合計でリース債務を除く)が前連結会計年度末に比べ944億円減少し、9,802億円となったことが主な要因である。
純資産(少数株主持分を含む)は、為替換算調整勘定等のその他の包括利益累計額や利益剰余金の増加により、前連結会計年度末に比べ1,837億円増加し1兆1,182億円となった。自己資本比率は、前連結会計年度末に比べて4.4ポイント上昇し、27.5%となった。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の増加やラービグ第2期計画に係る立替金の回収等により、前連結会計年度に比べ665億円増加し、2,609億円の収入となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、子会社の保有する土地および建物等の売却により固定資産の売却による収入が増加したことに加え、投資の厳選等により固定資産の取得による支出が減少した結果、前連結会計年度に比べ785億円支出が減少し、566億円の支出となった。
この結果、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度の592億円の収入に対して、当連結会計年度は2,042億円の収入となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,515億円の支出となった。また、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ697億円増加し、2,020億円となった。