第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)企業集団の経営戦略

当社グループは、「革新的価値の創造」、「未来と世界への貢献」、「環境・社会との共生」を経営理念とし、「領域をこえ 未来へ」向かって、中長期的な企業価値向上に取り組んでいきます。

この経営理念の下、「海外事業の拡大」、「国内事業の集中・進化」、「財務基盤の強化」をグループ経営戦略の基本方針に据え、下記の経営目標を掲げています。

 

2018年度経営目標

連結営業利益

有利子負債残高

1,000億円

7,000億円

 

これを実現するため、具体的には以下の取り組みを行っています。

 

(a)生活産業資材

・産業資材(段ボール原紙事業、段ボール加工事業、白板紙・包装用紙事業、紙器・製袋事業)

海外では、東南アジア・インド・オセアニアを中心に事業拡大を進めています。着実な需要の伸びが期待できる東南アジアでは、段ボール原紙・加工一貫での事業基盤をより強固なものとするため、マレーシアではGS Paperboard & Packaging Sdn.Bhd.において段ボール原紙の生産設備増設とエネルギー供給及び用排水設備更新(2021年4月稼働予定)を、さらに、マレーシア中部地区では段ボールを製造する既存2工場において工場拡張及び生産能力増強(2018年12月稼働予定)を決定しました。また、ベトナムでは5箇所目の段ボール製造拠点となる新工場の建設(2019年7月稼働予定)を、インドでもチェンナイにおいて段ボール新工場(2018年12月稼働予定)の建設を決定しました。オーストラリアでは、2017年9月にメルボルン近郊においてCardboard Cartons Pty.Ltd.より段ボール加工事業を買収しました。また、クイーンズランド州において新段ボール工場が、2017年10月に営業運転を開始しました。今後も、インドネシア・フィリピンといった未進出国への展開も含め、拠点を拡大していくとともに、東南アジア・インド・オセアニア地域全体の連携を深めて製造・販売ネットワークを活性化し、収益力を強化していきます。

国内では、素材・加工一体型ビジネスをさらに推進するとともに、M&Aによる段ボール加工の事業拡大、生産性向上・競争力強化施策による全事業分野の基盤強化を推し進め、No.1総合パッケージングメーカーを目指していきます。また、中越パルプ工業株式会社との資本・業務提携施策の一つとして合弁で設立したO&Cアイボリーボード株式会社では、安定した需要が期待できる高級白板紙の営業生産を2017年10月に開始しました。

 

・生活消費財(家庭紙事業、紙おむつ事業)

家庭紙事業では、森林認証を取得した環境配慮型商品や「鼻セレブ」に代表される高品質商品をはじめとした商品展開により、一層の「ネピア」ブランドの価値向上を目指していきます。また、三菱製紙株式会社と合弁で設立したエム・ピー・エム・王子ホームプロダクツ株式会社では、三菱製紙株式会社八戸工場構内において家庭紙の製造設備稼働(2019年4月稼働予定)に向けた準備を進めています。東北地区で初めてとなる家庭紙事業の拠点獲得による物流コスト削減等を通じた家庭紙事業の競争力強化を進めるとともに、今後も安定した需要が期待される家庭紙事業の拡大を進めていきます。

紙おむつ事業の子供用分野では、国内外の統一ブランドとして展開する「Genki!(ゲンキ!)」に加え、グループ史上最高品質のブランドである「Whito(ホワイト)」を2017年10月に全国一斉販売を開始しました。これまでにない「3時間用おむつ」と「12時間用おむつ」の使い分けの新提案や、吸収体の表面にプレスしたキルト状の溝によって、おむつの基本性能である「吸収性」「通気性」「フィット性」をコントロールする独自技術「キルティングテクノロジー」等が高く評価され、2017年11月に「第10回ペアレンティングアワード」を、2018年1月には「日経優秀製品・サービス賞2017」において「日経MJ賞優秀賞」を受賞する等、好評を博しています。今後も品質志向の高い顧客をターゲットに高価格市場を開拓していきます。また、増設したテープ型・パンツ型加工機の生産能力をフルに生かし、日本国内だけでなく、海外への輸出も一層の強化を図っています。中国では、新たに販売チームを発足させ更なる拡販に向け販売体制を強化しています。東南アジアでは、マレーシア2拠点での製造販売、インドネシアの合弁会社による販売を展開していますが、加えてインドネシアでの自社現地生産の準備を進める等、一層の拡大を図っていきます。大人用分野の「ネピアテンダー」においても、介護現場が抱える課題を解決する商品の開発を続けていきます。

 

(b)機能材(特殊紙事業、感熱紙事業、粘着事業、フィルム事業)

東南アジアでの機能材事業は、感熱紙・粘着紙等の川上事業を中心に展開していきましたが、マレーシアでは2016年に粘着製品の印刷・加工・販売を行うHyper-Region Labels Sdn.Bhd.を買収、さらに、2017年8月には感熱紙・ノーカーボン紙の加工・販売を行うTele-Paper (M) Sdn.Bhd.の株式の76%を取得しました。これらの拠点を基点にエンドユーザーのニーズを適時適確に把握し、川上・川中・川下事業が一体となって新規事業開拓及び新製品開発を強化していきます。また、ミャンマーでは食品等の消費財向けラベルの拡販とフィルム等消費財向け軟包装事業の営業生産を2017年9月に開始しました。感熱紙については、世界戦略の一環としてブラジルのOji Papéis Especiais Ltda.の生産能力を増強し、旺盛な需要に対応して増販を図っていきます。今後も東南アジア・南米・中東・アフリカ等の新興国市場の経済発展に伴って拡大する需要に柔軟に対応し、新たな事業エリアの拡大を図っていきます。

国内については、生産体制の持続的な見直しにより競争力を高めることで既存事業の継続を図るとともに、これまで培ってきた「抄紙」等の当社グループのコア技術と新素材との融合により、成形適正と高強度を同時に確保できる炭素繊維複合材料シート(用途:タブレット筐体など)や「ナノインプリント」技術を活用した「光拡散部材」といった脱「紙」製品の開発を進めていきます。また、製造拠点に併設した「アドバンストフィルム研究所(滋賀)」にて、EV・HEV用コンデンサフィルムや光学性機能フィルム等の高機能フィルム製品の開発をより効率的に行い、新たな事業領域への展開を進めていきます。

 

(c)資源環境ビジネス(パルプ事業、エネルギー事業、木材事業)

パルプ事業では、主要拠点において戦略的な収益対策を実施しています。ニュージーランドのOji Fibre Solutions (NZ) Ltd.では、当社グループのノウハウや操業管理手法等を導入・活用し、操業の安定化及び効率化対策に取り組み、ブラジルのCelulose Nipo-Brasileira S.A.では製造設備の最新鋭化等による継続的な収益対策を進め、パルプ市況の変動に耐え得る事業基盤の強化に取り組んでいます。中国の江蘇王子製紙有限公司では2017年10月に2台目のドライパルプの生産設備が営業運転を開始しました。また、国内では溶解パルプ製造設備で従来のレーヨン用途向け製品に加え、医療品材料や濾過材用途等の高付加価値品の生産も開始しています。

エネルギー事業については、設置済みの3基のバイオマス発電設備が順調に稼働し、また、既存の水力発電設備の更新・近代化工事も順調に進捗し、販売電力量は順調に伸長しています。なお、三菱製紙株式会社と共同で行うバイオマス発電事業は2019年開始を予定しています。電力小売り事業の分野では、伊藤忠エネクス株式会社との共同売電会社が業績を拡大させています。一方、エネルギー事業の拡大にあわせ、未利用の国内木材資源を活用した燃料用チップの生産設備増強による増調達を進める等、バイオマス燃料事業の拡充も進めています。

木材事業では、木材加工の新工場稼働や製材工場のリニューアルを行う等、アジア・オセアニア地域を中心に生産能力の増強に取り組んでいます。また、中国・インドネシア・ベトナムに販売会社を設立し、パルプ、バイオマス燃料、木材製品等のグループ外への拡販を手掛け、幅広い分野で商社機能の強化を推し進めています。

 

(d)印刷情報メディア(新聞用紙事業、印刷・出版・情報用紙事業)

取り巻く事業環境を見極めつつ、適宜、生産体制再構築を実施しており、王子製紙株式会社では2016年の富岡工場7号抄紙機の停止に続き、2017年6月には春日井工場4号抄紙機を停止しました。需要に対応した最適生産体制への再構築等を通じてコスト構造を継続的に見直し、国際競争力の強化を進めるとともにキャッシュ・フローの増大を図っていきます。

中国の江蘇王子製紙有限公司では、印刷用紙の販売が順調に伸長しており、また、パルプ・紙一貫生産体制の強みを最大限に生かしてコストダウンを進め、営業利益の黒字化を達成しています。2017年10月に営業運転を開始したドライパルプ生産設備による増販や更なるコストダウン等を進め、紙事業とパルプ事業の両輪で更なる競争力強化を図り、営業利益の黒字安定化と拡大を目指していきます。

 

(e)研究開発の強化

グループ内の関連部門と連携を密にとりながら、イノベーション推進本部を中心に機動的かつ効率的な研究開発活動を実施し、セルロースナノファイバー(CNF)をはじめとして、薬用植物や水処理技術等、革新的価値創造に取り組んでいます。

特にCNFについては、将来事業の柱として、最も精力的に取り組んでいます。まず、設備面については、CNFの実用化に有望と考えられる当社独自技術「リン酸エステル化法」による「CNFスラリー」の製造実証プラントの稼働に加え、2018年1月には世界に先駆けて、当社独自の「透明連続シート」の生産設備を導入しました。製品面については、CNF増粘剤「アウロ・ヴィスコ」が、一般消費者向けカーケミカル用品の増粘剤として正式採用され、2017年5月より提供を開始しました。また、当社独自の技術開発により実現したCNF透明連続シート「アウロ・ヴェール」、耐水性能を向上させた「アウロ・ヴェールWP」、立体成形加工が可能な「アウロ・ヴェール3D」、多様な有機溶剤に分散可能な「CNFパウダー」の積極的なサンプル提供を行い、より幅広い分野での用途開発を加速しています。この用途開発と並行して、2018年3月にはポリカーボネート樹脂とCNFを組み合わせることで、従来よりもはるかに高い特性を持ち、新規用途が期待できる複合材の開発に成功しました。引き続き、新たな可能性を創造し、軽くて強く持続可能な天然素材であるCNF市場の活性化に貢献していきます。

薬用植物については、「甘草(かんぞう)」の栽培研究によって、第17改正日本薬局方に定める薬効成分含量を満たす短期栽培技術を日本で初めて開発し、2017年からは、大規模栽培による「甘草」の量産化検討を開始しました。今後、漢方薬等の医薬品原料としての販売を目指すとともに、医薬部外品や甘味料等の原料化も視野に、新規ビジネスの柱の一つとして注力していきます。

水処理技術の分野では、当社が長年培ってきた製紙技術を通じて蓄積された用水製造・排水処理のノウハウを生かし、それらをさまざまなニーズと組み合わせることにより、あらゆる水環境に適した水処理システムを提供しています。2017年に発足した水環境事業推進室では、適切な現地調査・水質分析・ラボ試験が実施できる技術と設備が常備され、水処理の専門スタッフが在籍、水処理システムの提案を行うとともに、産業排水におけるカドミウム除去システムを確立しました。また、タイの工業団地で使用する工業用水の製造に当社の水処理システムが導入されました。今後も、水処理システムの技術革新を進めながら普及拡大を目指し、日本国内だけでなく、東南アジアをはじめとした新興国の水環境発展に貢献していきます。

その他、新規開発分野として、独自技術によるナノレベルの微細構造体の開発に取り組むとともに、医療用雑貨として、病院や介護向けに温かさが長持ちする使い捨ての「身体清拭ほっとクロス」を開発し、サンプル提供を開始しています。

 

(f)環境経営

民間企業で国内最大の森林保有者である当社グループは、環境経営の推進を掲げ、環境と調和した企業活動を展開しています。持続可能な森林経営を推進すると同時に、環境負荷ゼロに向けた取り組み、木材原料をはじめとする原材料についての責任ある調達を続けていきます。

さらに、当社は、2018年2月に三菱製紙株式会社との間で、資本業務提携に関する資本提携契約を締結しました。これまで両社は、情報用紙分野での業務提携をはじめとして、共同バイオマス発電事業や家庭紙合弁事業を立ち上げる等、業務提携の範囲を拡大していきましたが、本資本提携によって、特定の事業における単発的な協業関係にとどまらない、複数の事業での協業関係をより強化することが可能となります。なお、本資本提携の実施は、国内外の競争当局の許認可を得ること等を条件としています。

最後に、当社グループでは、働き方改革とダイバーシティの推進に取り組んでいます。特に女性活躍推進に優先的に取り組んでおり、その取り組みが評価され、当社は2017年12月に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」に基づき、女性の活躍推進の取り組み状況等が優良な企業に厚生労働大臣より与えられる「えるぼし」の最高位(第3段階)の認定を取得しました。また、2018年3月には、当社が女性活躍推進に優れた上場企業として経済産業省と株式会社東京証券取引所が共同で選定する「なでしこ銘柄」に初めて選定されました。

 

当社グループは、これらの諸施策を通じて、革新的価値を創造し続けるグローバルな企業グループを目指していきます。

 

(2)会社の支配に関する基本方針

 当社は、「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」(以下、「会社の支配に関する基本方針」といいます。)を下記(Ⅰ)のとおり定めています。また、2017年6月29日開催の第93回定時株主総会における株主の皆様のご承認に基づき、有効期限を当該定時株主総会終結から3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時までとして、下記(Ⅲ)に定める特定株主グループ(注1)の議決権割合(注2)を20%以上とすることを目的とする当社株券等(注3)の買付行為、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為(注4)に関する対応方針(以下、「本方針」といいます。)を継続しています。

注1.特定株主グループとは、(ⅰ)当社の株券等(金融商品取引法第27条の23第1項に規定する株券等をいいます。)の保有者(同法第27条の23第1項に規定する保有者をいい、同条第3項に基づき保有者に含まれる者を含みます。)及びその共同保有者(同法第27条の23第5項に規定する共同保有者をいい、同条第6項に基づき共同保有者とみなされる者を含みます。)、または(ⅱ)当社の株券等(同法第27条の2第1項に規定する株券等をいいます。)の買付け等(同法第27条の2第1項に規定する買付け等をいい、取引所金融商品市場において行われるものを含みます。)を行う者及びその特別関係者(同法第27条の2第7項に規定する特別関係者をいいます。)を意味します。

注2.議決権割合とは、(ⅰ)特定株主グループが、注1.の(ⅰ)の記載に該当する場合は、当該保有者の株券等保有割合(金融商品取引法第27条の23第4項に規定する株券等保有割合をいいます。この場合においては、当該保有者の共同保有者の保有株券等の数(同項に規定する保有株券等の数をいいます。)も計算上考慮されるものとします。)、または(ⅱ)特定株主グループが、注1.の(ⅱ)の記載に該当する場合は、当該買付者及びその特別関係者の株券等所有割合(同法第27条の2第8項に規定する株券等所有割合をいいます。)の合計をいいます。議決権割合の算出に当たっては、総議決権(同法第27条の2第8項に規定するものをいいます。)及び発行済株式の総数(同法第27条の23第4項に規定するものをいいます。)は、有価証券報告書、四半期報告書及び自己株券買付状況報告書のうち直近に提出されたものを参照することができるものとします。

注3.株券等とは、金融商品取引法第27条の23第1項または同法第27条の2第1項に規定する株券等を意味します。

注4.上記のいずれの買付行為についても、予め当社取締役会が同意したものを除きます。以下、このような買付行為を「大規模買付行為」、大規模買付行為を行う者を「大規模買付者」といいます。
 

(Ⅰ)会社の支配に関する基本方針の内容
 上場会社である当社の株式は株主、投資家の皆様による自由な取引が認められており、大規模買付行為であっても、当社の企業価値・株主共同の利益に資する買付提案等に基づくものであれば、当社はこれを一概に否定するものではありません。かかる提案等については、買付けに応募するかどうかを通じ、最終的には株主の皆様にご判断いただくべきものと考えています。
 他方、当社グループが企業価値・株主共同の利益の向上を図っていくためには、当社グループが展開する様々な事業分野において、グループ経営戦略の基本方針である「海外事業の拡大」、「国内事業の集中・進化」、「財務基盤の強化」を中長期的に推進していく必要があり、また、民間企業で国内最大の森林保有者である当社グループにとって、持続可能な森林経営を行い、中長期的に森林の公益的価値の維持・向上を図ることが、社会的責任の一つであると認識しています。したがって、当社への大規模買付行為に際し、株主の皆様が適切な判断を行うためには、当該買付者に関する適切な情報等の提供及び代替案の検討機会を含めた検討期間の確保がなされることが必要不可欠であると考えます。
 しかし、当社株式の買付け等の提案においては、会社や株主に対して買付けに係る提案内容や代替案等を検討するための十分な時間や情報を与えないものも想定されます。また、買付目的や買付け後の経営方針等に鑑み、当社の企業価値・株主共同の利益を損なうことが明白であるもの、買付けに応じることを株主に強要するような仕組みを有するもの、当社の社会的信用を含めた企業価値が著しく毀損しまたは当社の株主に著しい不利益を生じさせる客観的な蓋然性があるもの等、当社の企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくありません。
 このような大規模買付行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては適切ではないと考えています。


(Ⅱ)会社の支配に関する基本方針の実現に資する取り組み
 当社では、多数の投資家の皆様に長期的に継続して当社に投資していただくため、当社の企業価値・株主共同の利益を向上させるための取り組みとして、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(1)企業集団の経営戦略」に記載の施策を実施しています。
 これらの取り組みは、当社の企業価値・株主共同の利益を向上させるためのものであることから、上記(Ⅰ)の会社の支配に関する基本方針に沿うとともに、当社の株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えています。
 

(Ⅲ)会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み

 

(a)本方針導入の目的

 当社取締役会は、上記(Ⅰ)の基本方針に基づき、以下のとおり、当社株式の大規模買付行為に関するルール(以下、「大規模買付ルール」といいます。)を設定し、大規模買付者に対して大規模買付ルールの遵守を求めることとしています。大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合には、当社取締役会として一定の措置を講じる方針です。また、大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかである場合や当社株主全体の利益を著しく損なう場合にも、当社取締役会として一定の措置を講じる方針です。
 

(b)大規模買付ルールの設定

 当社株主全体の利益のため、大規模買付行為は、以下に定める大規模買付ルールに従って行われるものとします。この大規模買付ルールとは、(ⅰ)事前に大規模買付者から当社取締役会に対して十分な情報が提供され、(ⅱ)当社取締役会による一定の評価期間が経過した後(株主意思確認総会(後記(c)ホ.に定義します。以下同じ。)が開催される場合には、当該株主意思確認総会が終了した後)に大規模買付行為を開始する、というものです。

 まず、大規模買付者には、当社取締役会に対して、当社株主の皆様の判断及び取締役会としての意見形成のために十分な情報(以下、「大規模買付情報」といいます。)を提供していただきます。その項目は別紙1記載のとおりです。

 大規模買付情報の具体的内容は、大規模買付行為の内容によって異なることもあり得るため、大規模買付者が大規模買付行為を行おうとする場合には、まず当社宛に、大規模買付ルールに従う旨の意向表明書をご提出いただくこととします。意向表明書には、大規模買付者の名称、住所、設立準拠法、代表者の氏名、国内連絡先及び提案する大規模買付行為の概要を明示していただきます。当社は、この意向表明書の受領後5営業日以内に、大規模買付者から提供していただくべき大規模買付情報のリストを大規模買付者に交付します。なお、当初提供していただいた情報だけでは大規模買付情報として不足していると考えられる場合、十分な大規模買付情報が揃うまで追加的に情報提供をしていただくことがあります。当社取締役会は、大規模買付行為の提案があった事実は、速やかに情報開示します。また、当社取締役会に提供された大規模買付情報は、当社株主の皆様の判断のために必要であると認められる場合には、適切と判断する時点で、その全部または一部を開示します。
 次に、大規模買付行為の評価等の難易度に応じ、大規模買付情報の提供が完了した後、60日間(対価を現金(円貨)のみとする公開買付けによる当社全株式の買付けの場合)または90日間(その他の大規模買付行為の場合)を、取締役会による評価、検討、交渉、意見形成、代替案立案のための期間(以下、「取締役会評価期間」といいます。)とします。当社取締役会は、大規模買付情報の提供が完了した事実及び取締役会評価期間については、速やかに開示します。大規模買付行為は、取締役会評価期間の経過後(株主意思確認総会が開催される場合には、当該株主意思確認総会が終了した後)にのみ開始されるものとします。
 取締役会評価期間中、当社取締役会は外部専門家の助言を受けながら、提供された大規模買付情報を十分に評価・検討し、取締役会としての意見を開示します。必要に応じ、大規模買付者との間で大規模買付行為に関する条件改善について交渉し、当社取締役会として株主の皆様へ代替案を提示することもあります。また、当社取締役会は、特別委員会に大規模買付情報を提供し、その評価・検討を依頼します。特別委員会は、独自に大規模買付情報の評価・検討を行い、本方針に従い当社取締役会がとるべき対応について勧告を行います。当社取締役会は、特別委員会の勧告を踏まえ、これを最大限尊重しつつ、本方針に従った対応を決定します。


(c)大規模買付行為がなされた場合の対応方針

イ.大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合

 大規模買付者が意向表明書を提出しない場合、大規模買付者が取締役会評価期間の経過前に大規模買付行為を開始する場合、大規模買付者が大規模買付ルールに従った十分な情報提供を行わない場合、その他大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合には、当社取締役会は、当社株主全体の利益の保護を目的として、新株予約権の発行等、会社法その他の法律及び当社定款が取締役会の権限として認める措置をとり、大規模買付行為に対抗することがあります。当社取締役会は、対抗措置の発動を決定するに先立ち、特別委員会に対抗措置の発動の是非を諮問しその勧告を受けるものとします。特別委員会の勧告を最大限尊重しつつ、弁護士、財務アドバイザー等の外部専門家の意見も参考にした上で、当社取締役会は対抗措置の発動を決定します。
 具体的な対抗措置については、その時点で相当と認められるものを選択することとなります。具体的対抗措置として株主割当てにより新株予約権を発行する場合の概要は、原則として別紙2記載のとおりとします。なお、新株予約権を発行する場合には、議決権割合が一定割合以上の特定株主グループに属さないことを新株予約権の行使条件や取得条件とする等、対抗措置としての効果を勘案した行使期間、行使条件及び取得条件を設けることがあります。

 今回の大規模買付ルールの設定及びそのルールが遵守されなかった場合の対抗措置は、当社株主全体の正当な利益を保護するための相当かつ適切な対応であると考えていますが、他方、このような対抗措置により、結果的に、大規模買付ルールを遵守しない大規模買付者に経済的損害を含む何らかの不利益を発生させる可能性があります。大規模買付ルールを無視して大規模買付行為を開始することのないように予め注意を喚起します。
 

ロ.大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合

 大規模買付ルールは、当社の経営に影響力を持ち得る規模の当社株式の買付行為について、当社株主全体の利益を保護するという観点から、株主の皆様に、このような買付行為を受け入れるかどうかの判断のために必要な情報や、現に経営を担っている当社取締役会の評価意見を提供し、さらには、代替案の提示を受ける機会を保証することを目的とするものです。大規模買付ルールが遵守されている場合、原則として、当社取締役会の判断のみで大規模買付行為を阻止しようとするものではありません。
 しかしながら、例外的に、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守していても、大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかである場合や当社株主全体の利益を著しく損なう場合であると、弁護士、財務アドバイザー等の外部専門家の意見も参考にし、特別委員会の勧告を最大限尊重した上で、当社取締役会が判断したときには、上記(c)イ.で述べた大規模買付行為を抑止するための措置をとることがあります(ただし、株主意思確認総会が開催された場合には、当社取締役会は、当該株主意思確認総会の決議に従った決定を行うものとします。)。
 対抗措置をとることを決定した場合には、適時適切な開示を行います。具体的には、以下の類型に該当すると認められる場合には、原則として、大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかである場合や当社株主全体の利益を著しく損なう場合に該当するものと考えます。

 

(ⅰ)次の①から④までに掲げる行為等により株主全体の利益に対する明白な侵害をもたらすような買収行為を行う場合

①株式を買い占め、その株式について会社側に対して高値で買取りを要求する行為

②会社を一時的に支配して、会社の重要な資産等を廉価に取得する等会社の犠牲のもとに買収者の利益を実現する経営を行うような行為

③会社の資産を買収者やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する行為

④会社経営を一時的に支配して会社の事業に当面関係していない高額資産等を処分させ、その処分利益をもって一時的な高配当をさせるか、一時的高配当による株価の急上昇の機会をねらって高値で売り抜ける行為

(ⅱ)強圧的二段階買収(最初の買付条件よりも二段階目の買付条件を不利に設定し、あるいは二段階目の買付条件を明確にしないで、公開買付け等の株式買付けを行うことをいいます。)等株主に株式の売却を事実上強要する客観的な蓋然性のある買収行為を行う場合

(ⅲ)次の①から③までに該当する事由のいずれかが存在し、それにより、当社の社会的信用を含めた企業価値が著しく毀損しまたは当社の株主に著しい不利益を生じさせる客観的な蓋然性がある場合

①大規模買付者による支配権取得後の経営方針や事業計画等が著しく不合理または不適当であること

②大規模買付者による支配権取得後の経営方針や事業計画等について環境保全・コンプライアンスやガバナンスの透明性の点で重要な問題を生じる客観的な蓋然性があること

③大規模買付者に関する情報開示が当社の株主保護の観点から見て十分かつ適切になされない客観的な蓋然性があること

 

ハ.対抗措置発動後の停止

 当社取締役会は、本方針に従い対抗措置をとることを決定した後でも、(ⅰ)大規模買付者が大規模買付行為を中止した場合や、(ⅱ)対抗措置をとる旨の決定の前提となった事実関係等に変動が生じ、大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらさずかつ当社株主全体の利益を著しく損なわないと判断される場合には、特別委員会の勧告を最大限尊重した上で、対抗措置の発動の停止を決定することがあります(ただし、株主意思確認総会が開催されて、対抗措置の発動の停止についても決議がなされている場合には、当社取締役会は、当該株主意思確認総会の決議に従った決定を行うものとします。)。対抗措置として、例えば新株予約権を無償割当てする場合において、権利の割当てを受けるべき株主が確定した後に、大規模買付者が大規模買付行為の撤回を行う等の事情が生じ、特別委員会の勧告を踏まえ、対抗措置の発動が適切でないと取締役会が判断したときには、新株予約権の効力発生日までの間は新株予約権の無償割当てを中止し、また新株予約権の無償割当て後、行使期間の開始までの間においては当社が無償で新株予約権を取得して、対抗措置の発動を停止することができるものとします。
 このような対抗措置の発動の停止を行う場合には、特別委員会が必要と認める事項とともに速やかな情報開示を行います。
 

ニ.特別委員会の設置及び検討

 本方針において、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守したか否か、大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかである場合や当社株主全体の利益を著しく損なう場合に該当するかどうか、そして大規模買付行為に対し対抗措置をとるべきか否か、その判断にあたり株主意思確認総会を開催するか否か、及び発動を停止するべきか否かの判断に当たっては、取締役会の判断の客観性、公正性及び合理性を担保するため、当社は、取締役会から独立した組織として、特別委員会を設置し、当社取締役会はその勧告を最大限尊重するものとします。特別委員会の委員は3名とし、社外取締役、社外監査役、経営経験豊富な企業経営者、投資銀行業務に精通する者、弁護士、公認会計士、税理士、学識経験者、またはこれらに準ずる者を対象として選任するものとします。

 取締役会は、対抗措置の発動、株主意思確認総会の開催もしくは不開催または発動の停止を決定するときは、必ず特別委員会に対して諮問し、その勧告を受けるものとします。特別委員会は、当社の費用で、当社経営陣から独立した第三者(財務アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家を含む。)の助言を得たり、当社の取締役、監査役、従業員等に特別委員会への出席を要求し、必要な情報について説明を求めたりしながら、審議・決議し、その決議の内容に基づいて、当社取締役会に対し勧告を行います。取締役会は、対抗措置を発動するか否か、その判断にあたり株主意思確認総会を開催するか否か、及び発動の停止を行うか否かの判断に当たっては、特別委員会の勧告を最大限尊重するものとします。なお、特別委員会規程の概要、特別委員会委員の氏名及び略歴は、それぞれ別紙3、4のとおりです。

 

ホ.株主意思の確認手続き

 当社取締役会が、特別委員会の勧告を最大限尊重した上で、対抗措置を発動するか否かの判断にあたり、株主意思の確認手続きを経るべきであると判断した場合、当社取締役会は、株主の意思を確認するための株主総会(以下、「株主意思確認総会」といいます。)を開催することがあり、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守し、かつ、大規模買付行為が上記(c)ロ.(ⅲ)の類型に該当することのみを理由として対抗措置を発動する場合には、株主意思確認総会の開催が著しく困難な場合を除き、必ず株主意思確認総会を開催し、対抗措置を発動するか否かについての株主意思の確認を行います。また、株主意思確認総会の開催にあたり、当社の企業価値・株主共同の利益が損なわれないようにするため、当社株主に対し、当該株主意思確認総会における議決権行使に関する勧誘を行うことがあります。株主意思確認総会の招集手続き及び議決権行使方法は、法令及び当社定款に基づく定時株主総会または臨時株主総会の招集手続き及び議決権行使方法に準ずるものとし、当社取締役会は、対抗措置を発動するか否かに関する株主意思確認総会の決議に従うものとします。

 

(d)当社株主の皆様・投資家の皆様に与える影響等

 本方針に基づく対抗措置の発動によって、当社株主の皆様(大規模買付者を除きます。)が経済面や権利面で損失を被るような事態は想定していませんが、当社取締役会が具体的対抗措置をとることを決定した場合には、法令及び金融商品取引所規則に従って、適時適切な開示を行います。
 対抗措置として考えられるもののうち、新株予約権の無償割当てを行う場合には、当社取締役会で別途定めて公告する基準日における最終の株主名簿に記録された株主に対し、その所有株式数に応じて新株予約権が割り当てられますので、当該基準日における最終の株主名簿に記録される必要があります。また、新株予約権を行使して株式を取得するためには、所定の期間内に一定の金額の払込みを完了していただく必要があります。ただし、当社が新株予約権を当社株式と引き換えに取得できる旨の取得条項に従い新株予約権の取得を行う場合には、当社取締役会が当該取得の対象とした新株予約権を保有する株主の皆様は、金銭の払込みを要することなく、当社による新株予約権取得の対価として、当社株式の交付を受けることができます。これらの手続きの詳細については、実際に新株予約権を発行または取得することとなった際に、法令及び金融商品取引所規則に基づき別途お知らせします。
 なお、いったん新株予約権の無償割当てを決議した場合であっても、当社は、上記(c)ハ.に従い、新株予約権の無償割当ての効力発生日までに新株予約権の無償割当てを中止し、または新株予約権の無償割当ての効力発生日後新株予約権の行使期間の初日の前日までに新株予約権を無償にて取得する場合があります。これらの場合には、当社株式の株価に相応の変動が生じる可能性があります。例えば、新株予約権の無償割当てを受けるべき株主が確定した後(権利落ち日以降)において、当社が新株予約権を無償取得して新株を交付しない場合には、1株当たりの株式の価値の希釈化は生じませんので、当社株式の価値の希釈化が生じることを前提にして売買を行った投資家は、株価の変動により損害を被るおそれがあります。
 

(e)大規模買付ルールの有効期限

 2017年6月29日開催の第93回定時株主総会において、本方針の継続について株主の皆様のご承認が得られたため、本方針の有効期間は、当該定時株主総会の日から3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時までとし、以後も同様とします。なお、当社取締役会は、本方針を継続することを決定した場合、その旨を速やかにお知らせします。また、当社取締役会は、株主全体の利益保護の観点から、会社法及び金融商品取引法を含めた関係法令の整備・改正等を踏まえ、本方針を随時見直していく所存です。
 本方針は、その有効期間中であっても、株主総会において本方針を廃止する旨の決議が行われた場合または当社取締役会により本方針を廃止する旨の決議が行われた場合は、その時点で廃止されるものとします。また、当社取締役会は、本方針の有効期間中であっても、株主総会での承認の趣旨の範囲内で本方針を修正する場合があります。
 

(Ⅳ)本方針が会社の支配に関する基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないことについての取締役会の判断及びその判断に係る理由

 以下の理由により、本方針は、上記(Ⅰ)の会社の支配に関する基本方針に沿うとともに、当社の株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えています。

 

(a)買収防衛策に関する指針の要件を充足していること

 本方針は、経済産業省及び法務省が2005年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性の原則)を充足しています。
 

(b)株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること

 本方針は、上記(Ⅲ)(a)「本方針導入の目的」にて記載したとおり、当社株券等に対する買付け等がなされた際に、当該買付け等に応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保し、株主の皆様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって導入されるものです。
 

(c)合理的な客観的発動要件の設定

 本方針は、上記(Ⅲ)(c)「大規模買付行為がなされた場合の対応方針」にて記載したとおり、大規模買付行為が大規模買付ルールを遵守していない、あるいは大規模買付ルールを遵守していても株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらす買収である場合や株主に株式の売却を事実上強要するおそれがある買収である場合等、予め定められた合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ対抗措置が発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しているものといえます。
 

(d)株主意思を重視するものであること

 当社は、本方針の継続について株主の皆様のご意思をご確認させていただくため、株主総会において、議案としてお諮りしています。株主総会において、本方針の継続の決議がなされなかった場合には、速やかに廃止されることになり、その意味で、本方針の消長及び内容は、当社株主の合理的意思に依拠したものとなっています。
 

(e)デッドハンド型買収防衛策やスローハンド型買収防衛策ではないこと

 上記(Ⅲ)(e)「大規模買付ルールの有効期限」にて記載したとおり、本方針は、当社の株主総会で選任された取締役で構成される取締役会により廃止することができるものとされており、当社の株券等を大量に買付けた者が、当社株主総会で取締役を指名し、かかる取締役で構成される取締役会により、本方針を廃止することが可能です。従って、本方針は、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。また、当社の取締役任期は1年間であり、本方針はスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。

(別紙1)

 

大規模買付情報

 

1.大規模買付者及びそのグループ(ファンドの場合は組合員その他の構成員を含む。)の情報。

(1)名称、資本関係、財務内容

(2)(大規模買付者が個人である場合は)国籍、職歴、当該買収提案者が経営、運営または勤務していた会社またはその他の団体(以下、「法人」という。)の名称、主要な事業、住所、経営、運営または勤務の始期及び終期

(3)(大規模買付者が法人である場合は)当該法人及び重要な子会社等について、主要な事業、設立国、ガバナンスの状況、過去3年間の資本及び長期借入の財務内容、当該法人またはその財産に係る主な係争中の法的手続き、これまでに行った事業の概要、取締役、執行役等の役員の氏名

(4)(もしあれば)過去5年間の犯罪履歴(交通違反や同様の軽微な犯罪を除く。)、過去5年間の金融商品取引法、会社法(これらに類似する外国法を含む。)に関する違反等、その他コンプライアンス上の重要な問題点の有無

 

2.大規模買付行為の目的、方法及びその内容(取得の対価の価額・種類、取得の時期、関連する

取引の仕組み、取得の方法の適法性、取得の実現可能性を含む。)。


3.当社株式の取得の対価の算定根拠(算定の前提となる事実・仮定、算定方法、算定に用いた数

値情報並びに取得に係る一連の取引により生じることが予想されるシナジー及びその算定根拠を含む。)。


4.大規模買付行為の資金の裏付け(資金の提供者(実質的提供者を含む。)の具体的名称、

調達方法、関連する取引の内容を含む。)。


5.大規模買付行為後の当社の経営方針、事業計画、資本政策及び配当政策。


6.大規模買付行為後における当社の従業員、取引先、顧客、地域社会その他の当社に係る利害関係

者(ステークホルダー)に関する方針。

 

7.必要な政府当局の承認、第三者の同意等、大規模買付行為の実行に当たり必要な手続きの内容及び見込み。大規模買付行為に対する、独占禁止法その他の競争法並びにその他大規模買付者または当社が事業活動を行っているか製品を販売している国または地域の重要な法律の適用可能性や、これらの法律が大規模買付行為の実行に当たり支障となるかどうかについての考え及びその根拠。


8.その他当社取締役会または特別委員会が合理的に必要と判断して要請する情報。

 

(別紙2)

 

新株予約権の概要

 

1.新株予約権付与の対象となる株主及びその発行条件

 取締役会で定める基準日における最終の株主名簿に記録された株主に対し、その所有株式(ただし、当社の有する当社普通株式を除く。)1株につき1個の割合で新株予約権を割当てる。なお、株主に新株予約権の割当てを受ける権利を与えて募集新株予約権を引き受ける者の募集を行う場合と、新株予約権の無償割当てを行う場合とがある。

 

2.新株予約権の目的である株式の種類及び数

 新株予約権の目的である株式の種類は当社普通株式とし、新株予約権の目的となる株式の総数は、当社取締役会が基準日として定める日における当社発行可能株式総数から当社普通株式の発行済株式(当社の所有する当社普通株式を除く。)の総数を減じた株式数を上限とする。新株予約権1個当たりの目的である株式の数は1株とする。ただし、当社が株式分割または株式併合を行う場合は、所要の調整を行うものとする。

 

3.発行する新株予約権の総数

 新株予約権の割当総数は、当社取締役会が基準日として定める日における当社発行可能株式総数から当社普通株式の発行済株式(当社の所有する当社普通株式を除く。)の総数を減じた株式の数を上限として、取締役会が定める数とする。取締役会は、割当総数がこの上限を超えない範囲で複数回にわたり新株予約権の割当てを行うことがある。

 

4.各新株予約権の払込金額

 無償(金額の払込みを要しない。)

 

5.各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額

 各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は1円以上で取締役会が定める額とする。

 

6.新株予約権の譲渡制限

 譲渡による新株予約権の取得については、取締役会の承認を要することとする。

 

7.新株予約権の行使条件

 議決権割合が20%以上の特定株主グループに属する者(当社の株券等を取得または保有することが当社株主全体の利益に反しないと当社取締役会が認めたものを除く。)等に行使を認めないこと等を新株予約権行使の条件として定めることがある。詳細については、当社取締役会において別途定めるものとする。

 

8.新株予約権の行使期間等

 新株予約権の行使期間、取得条項その他必要な事項については、取締役会にて別途定めるものとする。なお、取得条項については、上記7.の行使条件のため新株予約権の行使が認められない者以外の者が有する新株予約権を当社が取得し、新株予約権1個につき1株を交付することができる旨の条項を定めることがある。

 

(別紙3)

 

特別委員会規程の概要

 

1.特別委員会は、大規模買付行為に対する対抗措置の発動等に関する取締役会の恣意的判断を排

し、取締役会の判断の客観性、公正性及び合理性を担保することを目的として設置される。

 

2.特別委員会の委員は3名とし、当社の業務執行を行う経営陣から独立している、(ⅰ)当社社外取

締役、(ⅱ)当社社外監査役、または(ⅲ)社外の有識者のいずれかに該当する者の中から、当社取締役会が選任する。ただし、社外の有識者は、経営経験豊富な企業経営者、投資銀行業務に精通する者、弁護士、公認会計士、税理士、学識経験者、またはこれらに準ずる者とし、別途当社取締役会が定める善管注意義務条項等を含む契約を当社との間で締結した者でなければならない。

 

3.特別委員会委員の任期は、選任後3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株

主総会の終結の時までとする。ただし、当社取締役会の決議により別段の定めをした場合はこの限りではない。

 

4.特別委員会は、取締役会の諮問を受けて、以下の各号に記載される事項について審議・決議し、

その決議の内容に基づいて、当社取締役会に対し勧告する。なお、特別委員会の各委員は、こうした審議・決議にあたっては、当社の企業価値・株主共同の利益に資するか否かの観点からこれを行うものとし、自己または当社の経営陣の個人的利益を図ることを目的としてはならない。

①大規模買付行為に対する対抗措置の発動の是非

②大規模買付行為に対する対抗措置発動の停止

株主意思確認総会の開催の要否

④その他当社取締役会が判断すべき事項のうち、当社取締役会が特別委員会に諮問した事項

 

5.特別委員会は、当社の費用で、当社経営陣から独立した第三者(財務アドバイザー、公認会計

士、弁護士、コンサルタントその他の専門家を含む。)の助言を得ることができる。

 

6.特別委員会は、必要な情報収集を行うため、当社の取締役、監査役、従業員その他特別委員会委

員が必要と認める者の出席を求め、特別委員会が求める事項に関する説明を要求することができる。

 

7.特別委員会の決議は、原則として、特別委員会の委員全員が出席し、その過半数をもってこれを

行う。ただし、やむを得ない事由があるときは、特別委員会委員の過半数が出席し、その議決権の過半数をもってこれを行う。

(別紙4)

 

特別委員会委員の氏名及び略歴

 

特別委員会の委員は、以下の3名です。

 

奈良 道博(なら みちひろ)

 

略歴

1946年5月17日生まれ

1974年4月 弁護士登録

2014年6月 当社取締役
      現在に至る。

※奈良道博氏は、会社法第2条第15号に定める社外取締役です。

 

 

寺坂 信昭(てらさか のぶあき)

 

略歴

1953年4月9日生まれ

1976年4月 通商産業省入省

2009年7月 原子力安全・保安院院長

2011年8月 退官

2015年6月 当社取締役
      現在に至る。

※寺坂信昭氏は、会社法第2条第15号に定める社外取締役です。

 

 

北田 幹直(きただ みきなお)

 

略歴

1952年1月29日生まれ

1976年4月 検事任官

2012年1月 大阪高等検察庁検事長

2014年1月 退官

2014年3月 弁護士登録

2014年6月 当社監査役
      現在に至る。

※北田幹直氏は、会社法第2条第16号に定める社外監査役です。

 

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

また、以下に記載したリスクは主要なものであり、これらに限られるものではありません。

(1)国内需要の減少及び市況価格の下落

当社グループの売上高の約7割は国内売上高が占めており、国内景気の大幅な後退による国内需要の減少が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に対して悪影響を及ぼす可能性があります。

また、国内市況に大きく影響を受ける古紙等の主要原燃料購入価格及び製品販売価格の変動は、当社グループの財政状態及び経営成績に対して影響を及ぼす可能性があります。

(2)国際市況価格の変動

国際市況に大きく影響を受けるチップ・重油・パルプ等の主要原燃料購入価格及び製品としての各種パルプの販売価格の変動は、当社グループの財政状態及び経営成績に対して影響を及ぼす可能性があります。

(3)為替レートの変動

当社グループは日本国内を始めとして、東南アジア・北米・南米・欧州・中国・オセアニア等、世界各地に拠点を持ち、様々な通貨を用いて事業活動を展開しています。原燃料購入価格に大きな影響を与える対米ドル・対豪ドル等の為替レートの大幅な円安が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に対して悪影響を及ぼす可能性があります。

円だけに限らず、ブラジルレアル・ニュージーランドドル・人民元等の、大規模な事業を展開している国で主に使用される通貨において、対米ドル・対日本円の為替レートの変動により、当社グループの経営成績に対して影響を及ぼす可能性があります。

このような為替レートの変動リスクを低減するために、為替予約等によるリスクヘッジを行っていますが、すべてのリスクを回避することは不可能です。

また、連結財務諸表は日本円で表示するため、為替レートの変動により換算額に影響を受けます。

(4)金利の上昇

当社グループの総資産に対する有利子負債の割合は、当連結会計年度末において32.9%となっています。グループファイナンスの実施によりグループ資金の効率化を行うこと等により財務体質の改善に取り組んでいますが、大幅な金利の上昇が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(5)退職給付債務

当社グループの退職給付制度には、確定拠出型の制度の他、確定給付型の制度によるものがあります。確定給付型の制度における退職給付債務は、退職給付債務の割引率や年金資産の長期期待運用収益率等の数理計算上の前提に基づいて算出していますが、数理計算上の前提を変更する必要が生じた場合や株式市場の低迷等により年金資産が毀損した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(6)海外での政治・経済情勢の変動

当社グループは、チップ・重油等の原燃料の多くを海外から調達しています。現地での政治・経済情勢の悪化に伴って、原燃料確保の困難な状況や原燃料購入価格の上昇が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に対して悪影響を及ぼす可能性があります。

また、海外での政治・経済情勢の変動が、海外の現行のプロジェクトや将来の計画に対して悪影響を及ぼす可能性があります。

(7)災害による影響

当社グループは、災害による影響を最小限に留めるための万全の対策をとっていますが、災害によるすべての影響を防止・軽減できる保証はありません。災害による影響を防止・軽減できなかった場合、当社グループの生産能力の低下及び製造コストの増加等により、当社グループの財政状態及び経営成績に対して悪影響を及ぼす可能性があります。

(8)法規制または訴訟に関するリスク

当社グループの事業は、環境規制、知的財産等の様々な法規制の適用を受けており、それらの変更・改正によって、追加の費用が発生する可能性があります

また、訴訟等のリスクにさらされる可能性がありますが、訴訟の結果によっては当社グループの財政状態及び経営成績に対して悪影響を及ぼす可能性があります。

(9)製造物責任

当社グループの製品につき、当社グループは製造物責任に基づく損害賠償請求を受ける対象となっています。現在のところ重大な損害賠償請求を受けていませんが、将来的には直面する可能性があります。

製造物責任に係る保険(生産物賠償責任保険)を付保していますが、当社グループが負う可能性がある損害賠償責任を補償するには十分でない場合があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況及び経営者の視点による分析・検討内容

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計方針に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しています。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項」に記載のとおりです。

 

②経営成績等の状況

 当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(1)企業集団の経営戦略」に記載のとおり、「革新的価値の創造」、「未来と世界への貢献」、「環境・社会との共生」を経営理念とし、「領域をこえ 未来へ」向かって、中長期的な企業価値向上に取り組んでいきます。この経営理念の下、「海外事業の拡大」、「国内事業の集中・進化」、「財務基盤の強化」をグループ経営戦略の基本方針に据え、2018年経営目標として連結営業利益1,000億円を掲げ取り組んでいます。

 この取り組みの下、当連結会計年度の売上高は生活産業資材セグメントにおける東南アジアの堅調な段ボール需要の取り込みや資源環境ビジネスセグメントにおける海外パルプ事業の販売が好調だったこと等により前連結会計年度を46,040百万円(+3.2%)上回る1,485,895百万円となりました。王子グループの海外売上高比率は着実に伸長しており、当連結会計年度の海外売上高比率は前期を+2.8ポイント上回り31.0%となりました。

 営業利益は、前連結会計年度を538百万円(+0.8%)上回る70,781百万円となりました。国内事業については製品の価格修正やコストダウン等により一部はカバーしたものの原燃料価格の高騰等の影響が減益要因となりました。一方、海外事業については海外パルプ市況の上昇等により増益となり、海外所在会社合計では前連結会計年度を26,694百万円(+134.6%)上回る46,527百万円の営業利益となりました。

 営業外損益は、為替差損益が改善したこと等により前連結会計年度に比し12,471百万円の増益となり、経常利益は前連結会計年度を13,009百万円(+24.6%)上回る65,958百万円となりました。

 特別損益は、一部の連結子会社で順次実施した退職給付制度の改定に伴い発生した特別利益が前連結会計年度に比し12,398百万円減少したこと等により前連結会計年度に比し13,431百万円の減益となり、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度を421百万円(△0.6%)下回る64,999百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度を4,047百万円(△10.1%)下回る36,222百万円となりました。

 2016-2018年度中長期計画の最終年度である2018年度も引き続き「海外事業の拡大」、「国内事業の集中・進化」、「財政基盤の強化」に注力し、国内事業では、既存事業の集約化・効率化、及び蓄積技術・ノウハウを生かした新規有望事業の展開加速を図るとともに、海外事業では、既存拠点の設備増強、M&A等による新規拠点の獲得を進め、進出地域と事業分野のさらなる拡大を図っていきます。

 

各セグメント別の売上高及び営業利益の状況は、次のとおりです。

 

○生活産業資材

当連結会計年度は、売上高は、前期比5.0%増収の651,319百万円、営業利益は、原燃料価格の高騰により、同71.1%減益の5,436百万円となりました。

国内事業では、段ボール原紙・段ボールは、青果物・飲料・加工食品・通販向け等が堅調に推移し、販売量が前年に対し増加しました。白板紙は、国内販売及び東南アジア向け輸出が好調に推移し、販売量が前年に対し増加しました。包装用紙は、国内販売は販売量が前年に対し増加しましたが、輸出販売は減少しました。紙おむつは、子供用の国内販売は販売量がほぼ前年並みでしたが、大人用は増加しました。家庭紙は、堅調に推移し、販売量が前年に対し増加しました。

海外事業では、東南アジアにおいて、段ボール原紙の販売が堅調に推移し、段ボールの販売も飲料・加工食品関連を中心に堅調に推移しました。紙おむつは、新興国での需要伸長を背景に、マレーシアにおける「Genki!」ブランドの子供用パンツ型に加えテープ型の販売開始、インドネシアにおける販売店舗への配荷増加やミニマーケット大手Indomaretでの販売開始、中国における現地販売組織立ち上げによる本格市場参入等により、販売量が前年に対し大幅に増加しました。

 

連結売上高:                 651,319万円(前期比   5.0%増収)

連結営業利益:                 5,436百万円(前期比  71.1%減益)

 

○機能材

当連結会計年度は、売上高は、前期比1.5%増収の220,798百万円、営業利益は、コスト削減効果等により、同5.8%増益の18,559百万円となりました。

国内事業では、国内販売向けは、特殊紙及び感熱紙はほぼ前年並みに推移し、フィルムはスマートフォン製造工程用を中心に、販売量が前年に対し増加しました。輸出販売向けは、物流ラベル用・電気部品用・合成皮革用等の剥離紙他の拡販により、販売量が前年に対し増加しました。

海外事業では、新たにグループ入りしたマレーシアのTele-Paper (M) Sdn. Bhd.が業績拡大に寄与したほか、感熱紙の販売が、南米で堅調に推移しました。

 

連結売上高:                 220,798万円(前期比   1.5%増収)

連結営業利益:                18,559万円(前期比   5.8%増益)

 

○資源環境ビジネス

当連結会計年度は、売上高は、前期比10.4%増収の298,490百万円、営業利益は、パルプ市況の上昇等により、同121.2%増益の42,305百万円となりました。

国内事業では、パルプ事業は、溶解パルプが輸出向けを中心に販売好調であり、販売量が前年に対し増加しました。木材事業は、販売好調により、販売量が前年に対し増加しました。エネルギー事業は、堅調に推移し、売電量がほぼ前年並みでした。

海外事業では、パルプ事業は、Celulose Nipo-Brasileira S.A.、江蘇王子製紙有限公司、Oji Fibre Solutions (NZ) Ltd.の販売好調により、販売量が前年に対し増加しました。木材事業は、Pan Pac Forest Products Ltd.の販売好調により、販売量が前年に対し増加しました。

 

連結売上高:                 298,490万円(前期比   10.4%増収)

連結営業利益:                42,305万円(前期比  121.2%増益)

 

○印刷情報メディア

当連結会計年度は、売上高は、前期比1.7%減収の290,988百万円、営業利益は、コスト削減に努めたものの、原燃料価格の高騰がコストダウン効果を上回り、同10,030百万円減益の△4,502百万円の損失となりました。

国内事業では、新聞用紙は、発行部数減及び頁数減の影響等により、販売量が前年に対し減少しました。印刷・情報用紙は、販売量はほぼ前年並みでしたが、売上高は市況軟化の影響等により、前年に対し減少しました。

海外事業では、江蘇王子製紙有限公司が順調に印刷用紙の販売を伸ばし、販売量が前年に対し増加しました。

 

連結売上高:                 290,988万円(前期比   1.7%減収)

連結営業損失(△):         △4,502万円(前期は5,527百万円の連結営業利益)

 

○その他

当連結会計年度は、売上高は商事及び物流等の収入により前期比2.7%増収の277,004百万円、営業利益は、同1.6%減益の8,756百万円となりました。

 

連結売上高:                 277,004万円(前期比    2.7%増収)

連結営業利益:                 8,756万円(前期比    1.6%減益)

 

③生産、受注及び販売の実績

 

(a)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

生活産業資材

685,178

5.5

機能材

206,064

1.7

資源環境ビジネス

227,140

15.7

印刷情報メディア

282,381

0.8

報告セグメント計

1,400,764

5.4

その他

9,024

△0.2

1,409,789

5.4

(注)1 生産高は自家使用分を含めて記載しています。

2 金額は販売価格によるものであり、消費税及び地方消費税を含みません。

 

(b)受注実績

 当社グループは、エンジニアリング等一部の事業で受注生産を行っていますが、その割合が僅少であるため、記載を省略しています。

 

(c)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

生活産業資材

601,987

4.3

機能材

203,783

1.6

資源環境ビジネス

245,395

11.7

印刷情報メディア

263,811

△1.9

報告セグメント計

1,314,977

3.8

その他

170,918

△1.5

1,485,895

3.2

(注)1 セグメント間取引については相殺消去しています。

2 上記の金額には、消費税及び地方消費税を含みません。

 

④財政状態

 総資産につきましては、流動資産は当連結会計年度末の期末日が休日のため決済が翌営業日となったことから受取手形及び売掛金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比し53,543百万円増加し、633,241百万円となりました。固定資産は有形固定資産が減少した一方で投資有価証券、退職給付に係る資産の増加等により前連結会計年度末に比し13,418百万円増加し、1,334,749百万円となりました。

 負債につきましては、当連結会計年度末の期末日が休日のため決済が翌営業日となったことから支払手形及び買掛金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比し16,148百万円増加し、1,157,979百万円となりました。有利子負債は、前連結会計年度末に比し29,891百万円減少し、647,423百万円となりました。

 純資産につきましては、利益剰余金やその他有価証券評価差額金、退職給付に係る調整累計額の増加により、50,813百万円増加し、810,011百万円となりました。

 この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は34.2%と、前連結会計年度末に比し1.1ポイント上昇しました。

 

⑤キャッシュ・フローの分析

 当社グループは「財務基盤の強化」をグループ経営戦略の基本方針の一つに据え、有利子負債残高7,000億円を2018年度経営目標に掲げ取り組んでいます。

 当連結会計年度は、営業活動によるキャッシュ・フローは税金等調整前当期純利益に減価償却費を加えたキャッシュ・インが136,879百万円(前連結会計年度は140,279百万円)となった一方で、運転資金の増加等により、前連結会計年度に比し34,227百万円収入が減少し123,178百万円の収入(前連結会計年度は157,406百万円の収入)となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産や投資有価証券の売却収入が減少したことや有形及び無形固定資産の取得による支出の増加などにより、前連結会計年度に比し33,778百万円支出が増加し74,025百万円の支出(前連結会計年度は40,247百万円の支出)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローの支出の主な内容は、既存分野における設備維持・更新、品質改善、生産性向上、安全及び環境のために必要な投資の他、成長戦略投資としてCelulose Nipo-Brasileira S.A.のパルプ設備増強・更新、Oji Fibre Solutions(QLD)Pty.Ltd.の段ボール新工場建設に関する支出によるものです。

 営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを控除したフリー・キャッシュ・フローは主として有利子負債の圧縮に充当し、その結果、財務活動によるキャッシュ・フローは41,793百万円の支出(前連結会計年度は114,468百万円の支出)となり、当連結会計年度末の有利子負債残高は、前連結会計年度末に比し29,891百万円減少し、647,423百万円となりました。また、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比し、6,991百万円増加し、58,343百万円となりました。

 なお、当社は、長期借入金の返済資金の一部に充当するため、2018年1月に第33回無担保社債(10,000百万円)、第34回無担保社債(10,000百万円)を発行しました。

 

⑥資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(a)資金需要の主な内容

当社グループの営業活動に関する資金需要は、生産・販売活動のために必要な運転資金(製品製造のための原燃料の購入・製造費や人件費、製品の輸送・保管費等)や研究開発費等が主な内容です。投資活動に関する資金需要は、経営戦略の遂行に必要な投資や品質改善・生産性向上・安全・環境のために必要な設備投資等が主な内容です。

今後も海外事業や新規事業等の成長分野に対しては、M&Aや設備投資、研究開発投資等を積極的に行っていく予定であり、所要資金の調達については、自己資金と外部調達との最適なバランスを検討し実施していきます。

 

(b)財務政策

営業活動を通じて獲得したキャッシュ・フローは配当及び投資資金に充当し、経営目標である有利子負債残高7,000億円を基準として、不足資金については借入金やコマーシャル・ペーパー、社債の発行等による資金調達を行い、余剰資金については有利子負債の削減に充当します。

なお、長期借入金や社債等の長期資金については、経営計画に基づく資金需要見通しや金利動向等の調達環境、既存の借入金や社債償還時期等を総合的に勘案の上、調達規模、調達手段等を適宜判断して実施することとしています。

当社は、主要連結子会社との間でグループファイナンスを行い、資金の一元管理を行なうことにより、運転資金の効率的な運用を図っています。

 

4【経営上の重要な契約等】

当社は、2018年2月6日開催の取締役会において、三菱製紙株式会社(以下、「三菱製紙」)との間で、両社の間の資本業務提携(以下、「本提携」)に関する契約の締結及び第三者割当による当社に対する三菱製紙の新株式の発行について決議しました。

 

当社は、本提携の実行により、三菱製紙の総議決権数の33.00%にあたる株式を所有する予定です。なお、本提携の実施は、金融商品取引法による届出の効力発生、本提携についての国内外の競争当局の許認可を得ること等を条件としています。

 

 

5【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、全体の研究開発を統括するイノベーション推進本部と各事業会社の研究開発部門、各工場の研究技術部等が連携しながら取り組んでいます。イノベーション推進本部は、新事業の創出ならびに既存事業の競争力強化を念頭に、技術革新のシーズ開発から、よりビジネスに密着した新市場の開拓と新製品開発を行っています。

当連結会計年度末における当社の保有特許権・実用新案権・意匠権の総数は国内1,817件、海外439件です。また保有商標権の総数は国内835件、海外752件です。

当連結会計年度における各セグメントの研究開発活動を示すと、次のとおりです。

 

グループ全体の既存事業の競争力強化として、植林、パルプ、抄紙、塗工の各分野で、蓄積・体系化された技術を基に、新製品開発及び品質改善に取り組んでいます。国内外の工場で、品質向上・操業の安定化、コストダウンの推進を図っています。

 

(1)生活産業資材

産業資材事業では、古紙利用拡大、抄紙条件、薬品の最適化によるコストダウン、異物・欠陥削減等の品質・操業性改善を推進しました。これらの国内で培った基盤技術を活用して新製品開発を進めるとともに、カンパニーの枠を越え、当社グループ会社の各海外拠点へ水平展開を進めています。

また、板紙・包装用紙から段ボール・紙器・製袋までのトータルパッケージング事業を強化するため、2018年4月にイノベーション推進本部にパッケージング推進センターを発足しています。

当事業に係る研究開発費は540百万円です。

 

(2)機能材

機能材事業では、研究開発型ビジネスの形成を目指し、王子グループのコア技術であるシートの製造・加工技術を活用した機能性シート・フィルム分野での新製品開発を進めています。

特殊紙事業では、半導体や二次電池などの製造工程で使用される各種高機能フィルター用の素材として、従来品の性能は維持しながら、より環境に配慮した無機繊維ペーパーを開発しています。さらに、医療用途や電子機器など、成長分野への様々な製品開発も進めています。

粘着事業では、機能進化するタッチパネルに対応した各種粘着シートや高機能フィルムの開発を進めています。タッチペン適性を向上させたり、性能の劣化を抑制する粘着シート、画面の見やすさを向上させるフィルムなどで、スマートフォンや最新ノートPC、ゲーム機等への採用が進んでいます。また、進化する車載ディスプレイ向製品の開発など、新たな市場開拓を目指した製品開発も進めています。

フィルム事業では、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの技術を生かしたコンデンサ用フィルムの開発や、塗工設備を活用した離型用フィルムの開発を進めています。コンデンサ用フィルムでは、ハイブリッド車や電気自動車向けフィルムコンデンサ用極薄ポリプロピレンフィルムを開発し、世界的な電動化の潮流に対応した自動車用電子部品の小型化に貢献しています。また、新たな高機能フィルムの開発では、半導体等電子部品の生産工程用ノンシリコーン軽剥離フィルムの開発を進めています。

メディカル事業では、温かさが長持ちする身体清拭用シートを開発し、上市に向けた活動を進めています。

当事業に係る研究開発費は2,321百万円です。

 

(3)資源環境ビジネス

王子製紙株式会社米子工場に設置したバイオリファイナリー連続工業プロセスでは、溶解パルプの実機生産と並行して、副生するヘミセルロース分解物の有効活用に関する研究を行っています。溶解パルプは、レーヨン、医薬品や食品の添加剤、セルロース誘導体等の原料として使用され、今後世界的な人口増加により需要拡大が期待されています。既に繊維原料メーカーや医薬品原料メーカーへの販売を行っており、現在はセルロース誘導体用途等の高付加価値品の開発にも注力しています。また、ヘミセルロース分解物からフルフラールを製造する技術確立は完了し、現在は付加価値の高い用途開発を進めています。

当事業に係る研究開発費は407百万円です。

 

(4)印刷情報メディア

印刷情報メディア事業では、DIP品質と歩留まりを両立する技術開発や、使用薬品の最適化によるコストダウン、欠点・断紙削減等の操業性改善を推進し、収益向上に繋げています。また、インクジェット新聞用紙やフォーム印刷用インクジェット紙の開発で培った技術を応用し、さらに付加価値の高いインクジェット用紙の開発を進めています。

当事業に係る研究開発費は1,079百万円です。

 

(5)その他の研究開発活動

その他の研究開発活動につきましては、「第1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)企業集団の経営戦略 (e)研究開発の強化」に記載のとおりです。

その他の研究開発活動に係る研究開発費は4,603百万円です。なお、(1)~(4)の各セグメントに関わる研究開発活動のうち、事業化段階に無い、探索段階及び開発段階の研究開発活動の研究開発費が含まれます。