第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度における当社グループを取り巻く経済環境は、国内においては、円安・株高等により景気回復の兆しが見られました。一方、世界経済においては、米国は底堅く推移し、欧州も持ち直しの動きが見られたものの、新興国の景気鈍化もあり、全体として不透明な状況で推移しました。
 こうした状況の中、当社グループは、パルプ事業を始めとする海外事業の一層の展開(海外売上高比率20.3%、前期比3.7ポイント増加)、産業用フィルムやタッチパネル用光学粘着材料等の機能材製品の開発強化・生産能力増強、生産体制の最適化等の事業構造転換諸施策を進めました。

 各セグメントの状況は、次のとおりです。

 

○生活産業資材

 国内事業では、段ボール原紙・段ボールは、消費税率引上げ前の駆け込み需要と、青果物向け等の堅調な推移により販売量は増加しました。白板紙・包装用紙の販売量は横這いに推移しました。家庭用紙は、価格修正等の影響もあり減少しました。
 海外事業では、主要な事業展開地域である東南アジアにおいて、段ボール原紙の販売は堅調に推移し、段ボールの販売も飲料・加工食品関連を中心に堅調に推移しました。

 これらにより当事業の業績は以下のとおりとなりました。

 連結売上高:      552,062百万円 (前期比   2.1%増収)

             (外部顧客への売上高  511,586百万円)

 連結営業利益:      21,376百万円 (前期比  21.7%減益)

 

○印刷情報メディア

 新聞用紙の販売は、発行日数は増加したものの、部数の緩やかな減少により、前年を下回りました。印刷・情報用紙の販売は、円安進行等による輸入紙の減少等により販売量は増加するも、売上高は横這いに推移しました。

 これらにより当事業の業績は以下のとおりとなりました。

 連結売上高:      315,467百万円 (前期比   3.3%減収)

             (外部顧客への売上高  283,769百万円)

 連結営業損失(△):  △2,650百万円 (前期は△2,402百万円の営業損失)

 

○機能材

 特殊紙の国内販売は、新製品開発・新規顧客開拓に注力するも、印刷用途を中心とする既存製品群の需要低迷により減少しました。一方、輸出販売は電機産業向け製品の生産設備の新設稼動に伴う拡販もあり増加しました。感熱紙の国内販売は増加しました。
 海外事業では、感熱紙の販売は北米・南米・欧州・アジア各地域において堅調に推移しました。

 これらにより当事業の業績は以下のとおりとなりました。

 連結売上高:      218,789百万円 (前期比  10.9%増収)

             (外部顧客への売上高  199,355百万円)

 連結営業利益:      11,950百万円 (前期比  17.0%増益)

 

○資源環境ビジネス

 国内事業では、パルプの販売は増加し、木材の販売も需要の回復により増加しました。また、北海道白糠町において第2四半期より太陽光発電設備の営業運転を開始しました。
 海外事業では、パルプの販売は、ニュージーランド子会社での漂白機械パルプの本格生産化、2012年度第1四半期末より連結子会社化したブラジル子会社の大きな寄与により増加しました。木材の販売は、ニュージーランド、中国及び東南アジア子会社での販売が増加しました。

 これらにより当事業の業績は以下のとおりとなりました。

 連結売上高:      188,608百万円 (前期比  44.2%増収)

             (外部顧客への売上高  139,262百万円)

 連結営業利益:      22,087百万円 (前期比 117.3%増益)

 

○その他

 不動産販売の増加等により増収、増益となりました。

 これらによりその他の業績は以下のとおりとなりました。

 連結売上高:      302,610百万円 (前期比   6.7%増収)

             (外部顧客への売上高  198,537百万円)

 連結営業利益:       8,428百万円 (前期比  32.6%増益)

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比し、4,874百万円減少の52,173百万円となりました。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費73,260百万円(前連結会計年度は72,057百万円)、税金等調整前当期純利益63,900百万円(同37,932百万円)等により、109,316百万円の収入(同105,437百万円の収入)となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出等により、67,242百万円の支出(前連結会計年度は76,211百万円の支出)となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出等により、52,019百万円の支出(前連結会計年度は20,724百万円の支出)となりました。

 なお、有利子負債期末残高は、前連結会計年度末に比して32,575百万円の減少となっています。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

生活産業資材

555,740

1.9

印刷情報メディア

309,108

1.0

機能材

221,630

7.7

資源環境ビジネス

126,449

97.2

報告セグメント計

1,212,929

8.1

その他

41,554

9.8

1,254,483

8.2

(注)1 生産高は自家使用分を含めて記載しています。

2 金額は販売価格によるものであり、消費税及び地方消費税を含みません。

 

(2)受注状況

 当社グループは、不動産等一部の事業で受注生産を行っていますが、その割合が僅少であるため、記載を省略しています。

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

生活産業資材

511,586

1.4

印刷情報メディア

283,769

△0.8

機能材

199,355

10.4

資源環境ビジネス

139,262

58.9

報告セグメント計

1,133,972

7.1

その他

198,537

8.6

1,332,510

7.3

(注)1 セグメント間取引については相殺消去しています。

2 上記の金額には、消費税及び地方消費税を含みません。

3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

日本紙パルプ商事㈱

    122,984

    9.9

130,399

9.8

国際紙パルプ商事㈱

    123,384

        9.9

129,773

9.7

 

3【対処すべき課題】

 

(1)社会的責任の遂行(「企業行動憲章」の遵守)

 当社グループは、社会との約束、人との約束を守り、企業の社会的責任を果たすことが当社グループの存立の条件であることを強く認識し、コンプライアンスの徹底を企業活動の根幹として位置づけ、全役員・全従業員が高い倫理観をもって行動するよう教育・啓蒙を図っています。
 また、環境憲章の基本理念に基づき、環境と調和した企業活動の推進に努めるとともに、安全絶対最優先の基本理念のもと、事業に関わるすべての関係者の安全衛生の確保に努めていきます。
 なお、2012年に王子コンテナー株式会社及び森紙業株式会社等の当社グループ会社が、段ボールシートまたは段ボールケースの取引に関し、独占禁止法違反の疑いがあるとして公正取引委員会による立入検査を受け、以降、同委員会による調査に全面的に協力してきましたが、2014年6月19日に同委員会から独占禁止法に基づく排除措置命令及び課徴金納付命令を受領しました。
 当該各命令の内容につきましては、当社グループと公正取引委員会との間で認識の相違があることから、排除措置命令及び課徴金納付命令の内容を精査し、今後の対応を慎重に検討してまいります。

(2)分野別重点課題への対応

 当社グループは、常に先行して経営環境の変化に対応し、企業価値の向上と持続的成長を成し遂げるため、スピード感をもって事業構造転換に取り組んでいます。
 新興国・資源国を中心とした海外事業の更なる拡大、中核事業の深耕・深化、新規事業分野の開拓による次期中核事業の発掘をグループ経営戦略の中心に据え、経営の基盤となる研究開発力・技術力・営業力の一層の拡充及び連携強化により、グローバルに事業展開する「革新的価値創造企業」を目指しています。また、併せてキャッシュフロー経営を徹底し、選択と集中、計画的な事業リストラクチャー及び継続的コストダウンの推進により財務基盤を一層強化し、経営目標である営業利益1,000億円以上、純利益500億円以上の確保を目指しています。
 具体的には以下の取り組みを行っています。

(a)生活産業資材
・産業資材
(段ボール原紙事業、段ボール加工事業、白板紙・包装用紙事業、紙器・製袋事業)
 東南アジア・インドでの事業展開を加速させており、カンボジア・ベトナムにおける段ボール新工場、中国における2つの製袋新工場の稼働に続き、今後、インド・ミャンマーにおいても段ボール新工場が稼働します。また、ベトナムでは紙器・美粧段ボールメーカーを買収しました。国内では富士地区の板紙生産体制の効率化、福島県における段ボール生産設備の増強に取り組むとともに、総合パッケージングメーカーとしての優位性を活かし、素材・加工一体型ビジネスモデルを強化しています。

・生活消費財
(家庭用品事業)
 家庭紙・紙おむつでは既存商品のリニューアル・新商品の上市により、ブランド力の向上を図っています。特に紙おむつでは需要の伸びが期待される大人用紙おむつの新工場を福島県で稼働させるとともに、パーソナルケア・イノベーションセンターを設置し、商品開発力と事業競争力の強化を進めています。また、東南アジアを中心に積極的な事業展開を図るため、東南アジア最大の人口を擁するインドネシアで合弁会社を設立し、子供用紙おむつ事業に参入することを決定しました。

(b)印刷情報メディア
(新聞用紙事業、印刷・出版・情報用紙事業)
 事業環境を見極めつつ、適宜、生産体制再構築を実施してきましたが、引き続き、需要に即した最適生産体制の構築を推進する等コスト構造を継続的に見直し、国際競争力の強化を図っていきます。

 

(c)機能材
(特殊紙事業、感熱紙事業、粘着事業、フィルム事業)
 積極的な経営資源の投入による事業の拡大を図るため、ブラジルでは感熱紙生産設備を、国内ではコンデンサ用薄物フィルム生産設備を増設し、需要の増加しているタッチパネル用光学粘着材料についても生産能力の増強を逐次行っています。また、収益力の向上を図るため、最適な生産体制の構築に取り組み、東南アジア・日本を一体とした感熱紙生産体制の見直しも進めています。粘着材料イノベーション研究所・アドバンストフィルム研究所等を中心に、高機能・高付加価値製品の迅速な開発、新製品・新技術の創出に取り組むとともに、東南アジア等の成長国に積極的に進出し海外事業を拡大していきます。

(d)資源環境ビジネス
(木材事業、パルプ事業、エネルギー事業)
 海外では資源国を中心に木材・パルプ事業の拡大を進めており、ニュージーランドでの木材新製品の商業生産開始、インドネシアでの木材新工場の稼働に加え、今後、ベトナム・ラオスでも新たな木材工場が稼働する予定です。また、ブラジル・ニュージーランドではアジアを中心にパルプ販売を強化し、ミャンマー・インドネシア・ベトナムでは幅広い事業展開・販売強化を推し進めるための拠点作りに取り組みました。国内では新規ビジネス展開を加速させており、レーヨン用途向け等の溶解パルプ設備、太陽光発電設備が稼働したほか、植物工場から葉物野菜の出荷を開始しました。さらに、今後、3台のバイオマス発電設備が相次いで発電を開始するほか、水力発電設備の更新工事も進めています。また、当社グループの有する林木育種技術を活用して薬用植物分野への進出を視野に入れた取り組みを開始しています。

(e)重点機能の強化
 当社グループでは、上述の取り組みの一環として、2014年4月1日付で、研究開発本部を「イノベーション推進本部」に改称し、より機動的かつ効率的な研究開発活動を実現するため研究開発体制を刷新したほか、海外市場開拓体制の強化、商事機能の活用、さらにはこれらを促進するための基盤となる人事企画機能の強化にも取り組んでいます。

 さらに、当社は、2014年4月に海外事業の更なる拡大、新たなビジネス展開を図るため、株式会社産業革新機構と共同で、ニュージーランドやオーストラリアに生産拠点を有するCarter Holt Harvey Limitedのパルプ・板紙・パッケージング事業(Carter Holt Harvey Pulp & Paper Limited及び関係会社)を買収することを決定しました。詳細は、第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(注記事項)(重要な後発事象)をご覧ください。)

 当社グループは、これらの諸施策を通じて、革新的価値を創造し続けるグローバルな企業グループを目指していきます。

 

(3)会社の支配に関する基本方針

 当社は、「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」(以下、「会社の支配に関する基本方針」といいます。)を下記(Ⅰ)のとおり定めています。
 また、2014年6月27日開催の第90回定時株主総会における株主の皆様のご承認に基づき、有効期限を当該定時株主総会終結から3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時までとして、下記(Ⅲ)に定める特定株主グループ(注1)の議決権割合(注2)を20%以上とすることを目的とする当社株券等(注3)の買付行為、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為(注4)に関する対応方針(以下、「本方針」といいます。)を継続しています。

注1.特定株主グループとは、(ⅰ)当社の株券等(金融商品取引法第27条の23第1項に規定す

る株券等をいいます。)の保有者(同法第27条の23第1項に規定する保有者をいい、同条第3項に基づき保有者に含まれる者を含みます。)及びその共同保有者(同法第27条の23第5項に規定する共同保有者をいい、同条第6項に基づき共同保有者とみなされる者を含みます。)、または(ⅱ)当社の株券等(同法第27条の2第1項に規定する株券等をいいます。)の買付け等(同法第27条の2第1項に規定する買付け等をいい、取引所金融商品市場において行われるものを含みます。)を行う者及びその特別関係者(同法第27条の2第7項に規定する特別関係者をいいます。)を意味します。

注2.議決権割合とは、(ⅰ)特定株主グループが、注1.の(ⅰ)の記載に該当する場合は、当該

保有者の株券等保有割合(金融商品取引法第27条の23第4項に規定する株券等保有割合をいいます。この場合においては、当該保有者の共同保有者の保有株券等の数(同項に規定する保有株券等の数をいいます。)も計算上考慮されるものとします。)、または(ⅱ)特定株主グループが、注1.の(ⅱ)の記載に該当する場合は、当該買付者及びその特別関係者の株券等所有割合(同法第27条の2第8項に規定する株券等所有割合をいいます。)の合計をいいます。議決権割合の算出に当たっては、総議決権(同法第27条の2第8項に規定するものをいいます。)及び発行済株式の総数(同法第27条の23第4項に規定するものをいいます。)は、有価証券報告書、四半期報告書及び自己株券買付状況報告書のうち直近に提出されたものを参照することができるものとします。

注3.株券等とは、金融商品取引法第27条の23第1項または同法第27条の2第1項に規定する

株券等を意味します。

注4.上記のいずれの買付行為についても、予め当社取締役会が同意したものを除きます。以

下、このような買付行為を「大規模買付行為」、大規模買付行為を行う者を「大規模買付者」といいます。

 

(Ⅰ)会社の支配に関する基本方針の内容
 上場会社である当社の株式は株主、投資家の皆様による自由な取引が認められており、大規模買付行為であっても、当社の企業価値・株主共同の利益に資する買付提案等に基づくものであれば、当社はこれを一概に否定するものではありません。かかる提案等については、買付けに応募するかどうかを通じ、最終的には株主の皆様にご判断いただくべきものと考えています。
 他方、当社グループの事業の特性として、その経営においては大規模な設備投資や世界レベルでの原料確保等、中長期的かつ広角的な視点が必要とされることから、当社への大規模買付行為に際し、株主の皆様が適切な判断を行うためには、当該買付者に関する適切な情報等の提供及び代替案の検討機会を含めた検討期間の確保がなされることが必要不可欠であると考えます。しかし、当社株式の買付け等の提案においては、会社や株主に対して買付けに係る提案内容や代替案等を検討するための十分な時間や情報を与えないものも想定されます。
 また、買付目的や買付け後の経営方針等に鑑み、当社の企業価値・株主共同の利益を損なうことが明白であるもの、買付けに応じることを株主に強要するような仕組みを有するもの、買付条件が会社の有する本来の企業価値・株主共同の利益に照らして不十分または不適切であるもの等、当社の企業価値・株主共同の利益を毀損するおそれのある提案も想定されます。
 このような企業価値・株主共同の利益を毀損するおそれのある不適切な大規模買付行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては適切ではないと考えています。

(Ⅱ)会社の支配に関する基本方針の実現に資する取り組み
 当社では、多数の投資家の皆様に長期的に継続して当社に投資していただくため、(2)分野別重点課題への対応に記載の施策を実施しています。
 これらの取り組みは、当社の企業価値・株主共同の利益を向上させるためのものであることから、上記(Ⅰ)の会社の支配に関する基本方針に沿うとともに、当社の株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えています。

(Ⅲ)会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み

(a)本方針導入の目的

 当社取締役会は、上記(Ⅰ)の基本方針に基づき、以下のとおり、当社株式の大規模買付行為に関するルール(以下、「大規模買付ルール」といいます。)を設定し、大規模買付者に対して大規模買付ルールの遵守を求めることとしています。大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合には、当社取締役会として一定の措置を講じる方針です。また、大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかである場合や当社株主全体の利益を著しく損なう場合にも、当社取締役会として一定の措置を講じる方針です。

 

(b)大規模買付ルールの設定

 当社取締役会としては、大規模買付行為は、以下に定める大規模買付ルールに従って行われることが、当社株主全体の利益に合致すると考えます。この大規模買付ルールとは、(ⅰ)事前に大規模買付者から当社取締役会に対して十分な情報が提供され、(ⅱ)当社取締役会による一定の評価期間が経過した後に大規模買付行為を開始する、というものです。

 具体的には、まず、大規模買付者には、当社取締役会に対して、当社株主の皆様の判断及び取締役会としての意見形成のために十分な情報(以下、「大規模買付情報」といいます。)を提供していただきます。その項目は別紙1記載のとおりです。

 大規模買付情報の具体的内容は、大規模買付行為の内容によって異なることもあり得るため、大規模買付者が大規模買付行為を行おうとする場合には、まず当社宛に、大規模買付ルールに従う旨の意向表明書をご提出いただくこととします。意向表明書には、大規模買付者の名称、住所、設立準拠法、代表者の氏名、国内連絡先及び提案する大規模買付行為の概要を明示していただきます。当社は、この意向表明書の受領後5営業日以内に、大規模買付者から当初提供していただくべき大規模買付情報のリストを大規模買付者に交付します。なお、当初提供していただいた情報だけでは大規模買付情報として不足していると考えられる場合、十分な大規模買付情報が揃うまで追加的に情報提供をしていただくことがあります。当社取締役会は、大規模買付行為の提案があった事実は、速やかに情報開示します。また、当社取締役会に提供された大規模買付情報は、当社株主の皆様の判断のために必要であると認められる場合には、適切と判断する時点で、その全部または一部を開示します。
 次に、大規模買付行為の評価等の難易度に応じ、大規模買付情報の提供が完了した後、60日間(対価を現金(円貨)のみとする公開買付けによる当社全株式の買付けの場合)または90日間(その他の大規模買付行為の場合)を、取締役会による評価、検討、交渉、意見形成、代替案立案のための期間(以下、「取締役会評価期間」といいます。)とします。当社取締役会は、大規模買付情報の提供が完了した事実及び取締役会評価期間については、速やかに開示します。大規模買付行為は、取締役会評価期間の経過後にのみ開始されるものとします。
 取締役会評価期間中、当社取締役会は外部専門家の助言を受けながら、提供された大規模買付情報を十分に評価・検討し、取締役会としての意見を開示します。必要に応じ、大規模買付者との間で大規模買付行為に関する条件改善について交渉し、当社取締役会として株主の皆様へ代替案を提示することもあります。また、当社取締役会は、特別委員会に大規模買付情報を提供し、その評価・検討を依頼します。特別委員会は、独自に大規模買付情報の評価・検討を行い、本方針に従い当社取締役会がとるべき対応について勧告を行います。当社取締役会は、特別委員会の勧告を踏まえ、これを最大限尊重しつつ、本方針に従った対応を決定します。

(c)大規模買付行為がなされた場合の対応方針

イ.大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合

 大規模買付者が意向表明書を提出しない場合、大規模買付者が取締役会評価期間の経過前に大規模買付行為を開始する場合、大規模買付者が大規模買付ルールに従った十分な情報提供を行わない場合、その他大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合には、当社取締役会は、当社株主全体の利益の保護を目的として、新株予約権の発行等、会社法その他の法律及び当社定款が取締役会の権限として認める措置をとり、大規模買付行為に対抗することがあります。当社取締役会は、対抗措置の発動を決定するに先立ち、特別委員会に対抗措置の発動の是非を諮問しその勧告を受けるものとします。特別委員会の勧告を最大限尊重しつつ、弁護士、財務アドバイザー等の外部専門家の意見も参考にした上で、当社取締役会は対抗措置の発動を決定します。
 具体的な対抗措置については、その時点で相当と認められるものを選択することとなります。具体的対抗措置として株主割当てにより新株予約権を発行する場合の概要は、原則として別紙2記載のとおりとします。なお、新株予約権を発行する場合には、議決権割合が一定割合以上の特定株主グループに属さないことを新株予約権の行使条件や取得条件とする等、対抗措置としての効果を勘案した行使期間、行使条件及び取得条件を設けることがあります。

 今回の大規模買付ルールの設定及びそのルールが遵守されなかった場合の対抗措置は、当社株主全体の正当な利益を保護するための相当かつ適切な対応であると考えていますが、他方、このような対抗措置により、結果的に、大規模買付ルールを遵守しない大規模買付者に経済的損害を含む何らかの不利益を発生させる可能性があります。大規模買付ルールを無視して大規模買付行為を開始することのないように予め注意を喚起します。

 ロ.大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合

 大規模買付ルールは、当社の経営に影響力を持ち得る規模の当社株式の買付行為について、当社株主全体の利益を保護するという観点から、株主の皆様に、このような買付行為を受け入れるかどうかの判断のために必要な情報や、現に経営を担っている当社取締役会の評価意見を提供し、さらには、代替案の提示を受ける機会を保証することを目的とするものです。大規模買付ルールが遵守されている場合、原則として、当社取締役会の判断のみで大規模買付行為を阻止しようとするものではありません。
 しかしながら、例外的に、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守していても、大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかである場合や当社株主全体の利益を著しく損なう場合であると、弁護士、財務アドバイザー等の外部専門家の意見も参考にし、特別委員会の勧告を最大限尊重した上で、当社取締役会が判断したときには、上記(c)イで述べた大規模買付行為を抑止するための措置をとることがあります。かかる対抗措置をとることを決定した場合には、適時適切な開示を行います。具体的には、以下の類型に該当すると認められる場合には、原則として、大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかである場合や当社株主全体の利益を著しく損なう場合に該当するものと考えます。

(i)次の①から④までに掲げる行為等により株主全体の利益に対する明白な侵害をもたらすような

  買収行為を行う場合

 ①株式を買い占め、その株式について会社側に対して高値で買取りを要求する行為
 ②会社を一時的に支配して、会社の重要な資産等を廉価に取得する等会社の犠牲のもとに買収者

の利益を実現する経営を行うような行為

 ③会社の資産を買収者やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する行為
 ④会社経営を一時的に支配して会社の事業に当面関係していない高額資産等を処分させ、その

処分利益をもって一時的な高配当をさせるか、一時的高配当による株価の急上昇の機会をね

らって高値で売り抜ける行為

(ⅱ)強圧的二段階買収(最初の買付条件よりも二段階目の買付条件を不利に設定し、あるいは二

段階目の買付条件を明確にしないで、公開買付け等の株式買付けを行うことをいいます。)

等株主に株式の売却を事実上強要するおそれがある買収行為を行う場合

(ⅲ)大規模買付者による支配権取得により、顧客・取引先・地域社会・従業員その他の利害関係

者の利益が損なわれ、それによって長期的に当社株主全体の利益が著しく毀損されるおそれ

がある場合

(ⅳ)大規模買付者による支配権取得後の経営方針や事業計画等が著しく不合理または不適当であ

ったり、環境保全・コンプライアンスやガバナンスの透明性の点で重要な問題を生じるおそ

れがあったり、大規模買付者に関する情報開示が当社の株主保護の観点から見て十分かつ適

切になされないおそれがあるために、当社の社会的信用を含めた企業価値が著しく毀損し、または当社の株主に著しい不利益を生じさせるおそれがある場合

 

ハ.対抗措置発動後の停止

 当社取締役会は、本方針に従い対抗措置をとることを決定した後でも、(ⅰ)大規模買付者が大規模買付行為を中止した場合や、(ⅱ)対抗措置をとる旨の決定の前提となった事実関係等に変動が生じ、大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらさず、かつ当社株主全体の利益を著しく損なわないと判断される場合には、特別委員会の勧告を最大限尊重した上で、対抗措置の発動の停止を決定することがあります。対抗措置として、例えば新株予約権を無償割当てする場合において、権利の割当てを受けるべき株主が確定した後に、大規模買付者が大規模買付行為の撤回を行う等の事情が生じ、特別委員会の勧告を踏まえ、対抗措置の発動が適切でないと取締役会が判断したときには、新株予約権の効力発生日までの間は新株予約権の無償割当てを中止し、また新株予約権の無償割当て後、行使期間の開始までの間においては当社が無償で新株予約権を取得して、対抗措置の発動を停止することができるものとします。
 このような対抗措置の発動の停止を行う場合には、特別委員会が必要と認める事項とともに速やかな情報開示を行います。

 

ニ.特別委員会の設置及び検討

 本方針において、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守したか否か、大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかである場合や当社株主全体の利益を著しく損なう場合に該当するかどうか、そして大規模買付行為に対し対抗措置をとるか否か及び発動を停止するかの判断に当たっては、取締役会の判断の客観性、公正性及び合理性を担保するため、当社は、取締役会から独立した組織として、特別委員会を設置し、当社取締役会はその勧告を法律上可能な限り最大限尊重するものとします。特別委員会の委員は3名とし、社外取締役、社外監査役、経営経験豊富な企業経営者、投資銀行業務に精通する者、弁護士、公認会計士、税理士、学識経験者、またはこれらに準ずる者を対象として選任するものとします。

 取締役会は、対抗措置の発動または発動の停止を決定するときは、特別委員会に対し諮問し、その勧告を受けるものとします。特別委員会は、当社の費用で、当社経営陣から独立した第三者(財務アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家を含む。)の助言を得たり、当社の取締役、監査役、従業員等に特別委員会への出席を要求し、必要な情報について説明を求めたりしながら、審議・決議し、その決議の内容に基づいて、当社取締役会に対し勧告を行います。取締役会は、対抗措置を発動するか否か及び発動の停止を行うかどうかの判断に当たっては、特別委員会の勧告を法律上可能な限り最大限尊重するものとします。なお、特別委員会規程の概要、特別委員会委員の氏名及び略歴は、それぞれ別紙3、4のとおりです。

(d)当社株主の皆様・投資家の皆様に与える影響等

 対抗措置の発動によって、当社株主の皆様(大規模買付者を除きます。)が経済面や権利面で損失を被るような事態は想定していませんが、当社取締役会が具体的対抗措置をとることを決定した場合には、法令及び金融商品取引所規則に従って、適時適切な開示を行います。
 対抗措置として考えられるもののうち、新株予約権の無償割当てを行う場合には、当社取締役会で別途定めて公告する基準日における最終の株主名簿に記録された株主に対し、その所有株式数に応じて新株予約権が割当てられますので、当該基準日における最終の株主名簿に記録される必要があります。また、新株予約権を行使して株式を取得するためには、所定の期間内に一定の金額の払込みを完了していただく必要があります。ただし、当社が新株予約権を当社株式と引き換えに取得できる旨の取得条項に従い新株予約権の取得を行う場合には、当社取締役会が当該取得の対象とした新株予約権を保有する株主の皆様は、金銭の払込みを要することなく、当社による新株予約権取得の対価として、当社株式の交付を受けることができます。これらの手続きの詳細については、実際に新株予約権を発行または取得することとなった際に、法令及び金融商品取引所規則に基づき別途お知らせします。
 なお、いったん新株予約権の無償割当てを決議した場合であっても、当社は、上記(c)ハに従い、新株予約権の無償割当ての効力発生日までに新株予約権の無償割当てを中止し、または新株予約権の無償割当ての効力発生日後新株予約権の行使期間の初日の前日までに新株予約権を無償にて取得する場合があります。これらの場合には、当社株式の株価に相応の変動が生じる可能性があります。例えば、新株予約権の無償割当てを受けるべき株主が確定した後(権利落ち日以降)において、当社が新株予約権を無償取得して新株を交付しない場合には、1株当たりの株式の価値の希釈化は生じませんので、当社株式の価値の希釈化が生じることを前提にして売買を行った投資家の方は、株価の変動により損害を被るおそれがあります。

 (e)大規模買付ルールの有効期限

 2014年6月27日開催の第90回定時株主総会において、本方針の継続について株主の皆様のご承認が得られたため、本方針の有効期間は、当該定時株主総会の日から3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時までとし、以後も同様とします。
 なお、当社取締役会は、本方針を継続することを決定した場合、その旨を速やかにお知らせします。また、当社取締役会は、株主全体の利益保護の観点から、会社法及び金融商品取引法を含めた関係法令の整備・改正等を踏まえ、本方針を随時見直していく所存です。
 本方針は、その有効期間中であっても、株主総会において本方針を廃止する旨の決議が行われた場合または当社取締役会により本方針を廃止する旨の決議が行われた場合は、その時点で廃止されるものとします。また、当社取締役会は、本方針の有効期間中であっても、株主総会での承認の趣旨の範囲内で本方針を修正する場合があります。

(Ⅳ)本方針が会社の支配に関する基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないことについての取締役会の判断及びその判断に係る理由

 以下の理由により、本方針は、上記(Ⅰ)の会社の支配に関する基本方針に沿うとともに、当社の株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えています。

(a)買収防衛策に関する指針の要件を充足していること

 本方針は、経済産業省及び法務省が2005年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性の原則)を充足しています。


(b)株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること

 本方針は、上記(Ⅲ)(a)「本方針導入の目的」にて記載したとおり、当社株券等に対する買付け等がなされた際に、当該買付け等に応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保し、株主の皆様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって導入されるものです。


(c)合理的な客観的発動要件の設定

 本方針は、上記(Ⅲ)(c)「大規模買付行為がなされた場合の対応方針」にて記載したとおり、大規模買付行為が大規模買付ルールを遵守していない、あるいは大規模買付ルールを遵守していても株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらす買収である場合や株主に株式の売却を事実上強要するおそれがある買収である場合等、予め定められた合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ対抗措置が発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しているものといえます。


(d)株主意思を重視するものであること

 当社は、本方針の継続について株主の皆様のご意思をご確認させていただくため、株主総会において、議案としてお諮りしています。株主総会において、本方針の継続の決議がなされなかった場合には、速やかに廃止されることになり、その意味で、本方針の消長及び内容は、当社株主の合理的意思に依拠したものとなっています。


(e)デッドハンド型買収防衛策やスローハンド型買収防衛策ではないこと

 上記(Ⅲ)(e)「大規模買付ルールの有効期限」にて記載したとおり、本方針は、当社の株主総会で選任された取締役で構成される取締役会により廃止することができるものとされており、当社の株券等を大量に買付けた者が、当社株主総会で取締役を指名し、かかる取締役で構成される取締役会により、本方針を廃止することが可能です。従って、本方針は、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。また、当社の取締役任期は1年間であり、本方針はスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。

(別紙1)

 

大規模買付情報

 

1.大規模買付者及びそのグループ(ファンドの場合は組合員その他の構成員を含む。)の情報。

(1)名称、資本関係、財務内容
(2)(大規模買付者が個人である場合は)国籍、職歴、当該買収提案者が経営、運営または勤務し

ていた会社またはその他の団体(以下、「法人」という。)の名称、主要な事業、住所、経営、運営または勤務の始期及び終期

(3)(大規模買付者が法人である場合は)当該法人及び重要な子会社等について、主要な事業、設

立国、ガバナンスの状況、過去3年間の資本及び長期借入の財務内容、当該法人またはその財産に係る主な係争中の法的手続き、これまでに行った事業の概要、取締役、執行役等の役員の氏名

(4)(もしあれば)過去5年間の犯罪履歴(交通違反や同様の軽微な犯罪を除く。)、過去5年間

の金融商品取引法、会社法(これらに類似する外国法を含む。)に関する違反等、その他コンプライアンス上の重要な問題点の有無

 

2.大規模買付行為の目的、方法及びその内容。(取得の対価の価額・種類、取得の時期、関連する

取引の仕組み、取得の方法の適法性、取得の実現可能性を含む。)


3.当社株式の取得の対価の算定根拠。(算定の前提となる事実・仮定、算定方法、算定に用いた数

値情報ならびに取得に係る一連の取引により生じることが予想されるシナジー及びその算定根拠を含む。)


4.大規模買付行為の資金の裏付け。(資金の提供者(実質的提供者を含む。)の具体的名称、

調達方法、関連する取引の内容を含む。)


5.大規模買付行為後の当社の経営方針、事業計画、資本政策及び配当政策。


6.大規模買付行為後における当社の従業員、取引先、顧客、地域社会その他の当社に係る利害関係

者(ステークホルダー)に関する方針。


7.必要な政府当局の承認、第三者の同意等、大規模買付行為の実行に当たり必要な手続きの内容お

よび見込み。大規模買付行為に対する、独占禁止法その他の競争法ならびにその他大規模買付者または当社が事業活動を行っているか製品を販売している国または地域の重要な法律の適用可能性や、これらの法律が大規模買付行為の実行に当たり支障となるかどうかについての考え及びその根拠。


8.その他当社取締役会または特別委員会が合理的に必要と判断して要請する情報。

 

(別紙2)

 

新株予約権の概要

 

1.新株予約権付与の対象となる株主及びその発行条件

 取締役会で定める基準日における最終の株主名簿に記録された株主に対し、その所有株式(ただし、当社の有する当社普通株式を除く。)1株につき1個の割合で新株予約権を割当てる。なお、株主に新株予約権の割当てを受ける権利を与えて募集新株予約権を引き受ける者の募集を行う場合と、新株予約権の無償割当てを行う場合とがある。

 

2.新株予約権の目的である株式の種類及び数

 新株予約権の目的である株式の種類は当社普通株式とし、新株予約権の目的となる株式の総数は、当社取締役会が基準日として定める日における当社発行可能株式総数から当社普通株式の発行済株式(当社の所有する当社普通株式を除く。)の総数を減じた株式数を上限とする。新株予約権1個当たりの目的である株式の数は1株とする。ただし、当社が株式分割または株式併合を行う場合は、所要の調整を行うものとする。

 

3.発行する新株予約権の総数

 新株予約権の割当総数は、当社取締役会が基準日として定める日における当社発行可能株式総数から当社普通株式の発行済株式(当社の所有する当社普通株式を除く。)の総数を減じた株式の数を上限として、取締役会が定める数とする。取締役会は、割当総数がこの上限を超えない範囲で複数回にわたり新株予約権の割当てを行うことがある。

 

4.各新株予約権の払込金額

 無償(金額の払込みを要しない。)

 

5.各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額

 各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は1円以上で取締役会が定める額とする。

 

6.新株予約権の譲渡制限

 譲渡による新株予約権の取得については、取締役会の承認を要することとする。

 

7.新株予約権の行使条件

 議決権割合が20%以上の特定株主グループに属する者(当社の株券等を取得または保有することが当社株主全体の利益に反しないと当社取締役会が認めたものを除く。)等に行使を認めないこと等を新株予約権行使の条件として定めることがある。詳細については、当社取締役会において別途定めるものとする。

 

8.新株予約権の行使期間等

 新株予約権の行使期間、取得条項その他必要な事項については、取締役会にて別途定めるものとする。なお、取得条項については、上記7.の行使条件のため新株予約権の行使が認められない者以外の者が有する新株予約権を当社が取得し、新株予約権1個につき1株を交付することができる旨の条項を定めることがある。

 

(別紙3)

 

特別委員会規程の概要

 

1.特別委員会は、大規模買付行為に対する対抗措置の発動等に関する取締役会の恣意的判断を排

し、取締役会の判断の客観性、公正性及び合理性を担保することを目的として設置される。

 

2.特別委員会の委員は3名とし、当社の業務執行を行う経営陣から独立している、(i)当社社外取

締役、(ⅱ)当社社外監査役、または(ⅲ)社外の有識者のいずれかに該当する者の中から、当社取締役会が選任する。ただし、社外の有識者は、経営経験豊富な企業経営者、投資銀行業務に精通する者、弁護士、公認会計士、税理士、学識経験者、またはこれらに準ずる者とし、別途当社取締役会が定める善管注意義務条項等を含む契約を当社との間で締結した者でなければならない。

 

3.特別委員会委員の任期は、選任後3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株

主総会の終結の時までとする。ただし、当社取締役会の決議により別段の定めをした場合はこの限りではない。

 

4.特別委員会は、取締役会の諮問を受けて、以下の各号に記載される事項について審議・決議し、

その決議の内容に基づいて、当社取締役会に対し勧告する。なお、特別委員会の各委員は、こうした審議・決議にあたっては、当社の企業価値・株主共同の利益に資するか否かの観点からこれを行うものとし、自己または当社の経営陣の個人的利益を図ることを目的としてはならない。

①大規模買付行為に対する対抗措置の発動の是非

②大規模買付行為に対する対抗措置発動の停止

③その他当社取締役会が判断すべき事項のうち、当社取締役会が特別委員会に諮問した事項

 

5.特別委員会は、当社の費用で、当社経営陣から独立した第三者(財務アドバイザー、公認会計

士、弁護士、コンサルタントその他の専門家を含む。)の助言を得ることができる。

 

6.特別委員会は、必要な情報収集を行うため、当社の取締役、監査役、従業員その他特別委員会委

員が必要と認める者の出席を求め、特別委員会が求める事項に関する説明を要求することができる。

 

7.特別委員会の決議は、原則として、特別委員会の委員全員が出席し、その過半数をもってこれを

行う。ただし、やむを得ない事由があるときは、特別委員会委員の過半数が出席し、その議決権の過半数をもってこれを行う。

(別紙4)

 

特別委員会委員の氏名及び略歴

 

特別委員会の委員は、以下の3名です。

 

奈良 道博(なら みちひろ)

 

略歴

1946年5月17日生まれ

1974年4月 弁護士登録

      現在に至る。

2014年6月 当社取締役
      現在に至る。

※奈良道博氏は、会社法第2条第15号に定める社外取締役です。

 

 

桂 誠(かつら まこと)

 

略歴

1948年2月3日生まれ

1971年4月 外務省入省

2004年7月 ラオス駐箚特命全権大使

2007年8月 フィリピン駐箚特命全権大使

2011年5月 退官

2013年6月 当社監査役
      現在に至る。

※桂誠氏は、会社法第2条第16号に定める社外監査役です。

 

 

北田 幹直(きただ みきなお)

 

略歴

1952年1月29日生まれ

1976年4月 検事任官

2012年1月 大阪高等検察庁検事長

2014年1月 退官

2014年3月 弁護士登録

      現在に至る。

2014年6月 当社監査役
      現在に至る。

※北田幹直氏は、会社法第2条第16号に定める社外監査役です。

 

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 また、以下に記載したリスクは主要なものであり、これらに限られるものではありません。

(1)国内需要の減少及び市況価格の下落

 当社グループの売上高の内、国内売上高は約8割を占めます。当社グループの事業は、概ね内需型産業であり、国内景気動向の影響を大きく受けます。国内景気の大幅な後退による国内需要の減少及び市況価格の下落が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に対して悪影響を及ぼす可能性があります。

(2)原燃料購入価格の上昇

 国際市況に大きく影響を受けるチップ・重油や、国内市況に大きく影響を受ける古紙等の主要原燃料購入価格の上昇は、当社グループの財政状態及び経営成績に対して悪影響を及ぼす可能性があります。

(3)為替レートの変動

 原燃料購入価格に大きな影響を与える対米ドル・対豪ドル等の為替レートの大幅な円安が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に対して悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは為替予約等によるリスクヘッジを行っていますが、すべてのリスクを回避することは不可能です。

(4)金利の上昇

 当社グループの総資産に対する有利子負債の割合は、当連結会計年度末において41.7%となっています。グループファイナンスの実施によりグループ資金の効率化を行うこと等により財務体質の改善に取り組んでいますが、大幅な金利の上昇が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(5)海外での政治・経済情勢の変動

 当社グループは、チップ・重油等の原燃料の多くを海外から調達しています。現地での政治・経済情勢の悪化に伴って、原燃料確保の困難な状況や原燃料購入価格の上昇が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に対して悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、海外での政治・経済情勢の変動が、海外の現行のプロジェクトや将来の計画に対して悪影響を及ぼす可能性があります。

(6)災害による影響

 当社グループは、災害による影響を最小限に留めるための万全の対策をとっていますが、災害によるすべての影響を防止・軽減できる保証はありません。災害による影響を防止・軽減できなかった場合、当社グループの生産能力の低下及び製造コストの増加等により、当社グループの財政状態及び経営成績に対して悪影響を及ぼす可能性があります。

(7)法規制又は訴訟に関するリスク

 当社グループの事業は、環境規制、知的財産等の様々な法規制の適用を受けており、それらによる訴訟等のリスクにさらされる可能性があります。

 訴訟の結果によっては当社グループの財政状態及び経営成績に対して悪影響を及ぼす可能性があります。

(8)製造物責任

 当社グループの製品につき、当社グループは製造物責任に基づく損害賠償請求を受ける対象となっています。現在のところ重大な損害賠償請求を受けていませんが、将来的には直面する可能性があります。

 製造物責任に係る保険(生産物賠償責任保険)を付保していますが、当社グループが負う可能性がある損害賠償責任を補償するには十分でない場合があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社は、2014年4月25日開催の取締役会において、株式会社産業革新機構と共同にて、ニュージーランドやオーストラリアに生産拠点を保有するRank Group Limited傘下のCarter Holt Harvey Limited(以下「CHH社」)のパルプ、板紙及びパッケージング事業(Carter Holt Harvey Pulp & Paper Limited及びCHH社の関係会社)を取得することについて決議し、同日、株式売買契約を締結しました。なお、株式譲渡は、各国の関係当局の許認可等の全ての取得を条件としています。

 詳細は、第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(注記事項)(重要な後発事象)をご覧ください

 

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、全体の研究開発を統括するイノベーション推進本部と各カンパニーの研究開発部門、各工場の研究技術部等が機動的に連携しながら取り組んでいます。イノベーション推進本部では、各センター、各研究所が革新事業推進センターとともに、新事業創出を目指した研究開発、及び各事業の競争力強化のための研究開発を行っています。知的財産部では研究開発部門・事業部門との連携を緊密化し、事業に必要な知的財産活動を戦略的に行っています。当連結会計年度末における当社の保有特許・実用新案権の総数は国内1,336件、海外383件です。

 当連結会計年度における各セグメントの研究開発活動を示すと、次のとおりです。

 

(1)生活産業資材

既存事業の競争力強化の一環として、パルプ、抄紙、塗工、紙物性に関する基盤技術を応用し、コストダウン、各工場の品質、操業の安定化、新製品開発に取り組んでいます。具体的には、白板紙の処方変更、板紙の使用薬品原単位削減や安価な輸入材料の使用によるコストダウン、調成工程の最適化による欠点削減等の操業性改善等を推進しました。段ボール原紙ケーサー適性対策として強度解析を行い、罫割れ及びフラップ差込不良を解消しました。また、素材・加工一体型ビジネスとして、新たな国内美粧包装市場を創出すべく、軽量かつ環境に優しいフレキソ印刷対応の美粧薄物コート白ライナー「PICライナ」を開発し、販売準備を進めています。

当事業に係る研究開発費は748百万円です。

 

(2)印刷情報メディア

既存事業の競争力強化の一環として、パルプ、抄紙、塗工、紙物性に関する基盤技術を応用し、コストダウン、各工場の品質、操業の安定化、新製品開発に取り組んでいます。具体的には、東南アジア産の木材チップ利用推進によるコストダウン、調成工程の最適化による欠点・断紙削減等の操業性改善、燃焼灰の処理技術確立による廃棄物の有効利用・処理費削減、安価な輸入材料の使用によるコストダウン等を推進しました。江蘇王子製紙有限公司南通工場新マシンにおける調成・抄紙条件の最適化を進めて操業性を改善し、製品の品質改善を行いました。

当事業に係る研究開発費は1,461百万円です。

 

(3)機能材

研究開発型ビジネスの形成を目指し、王子グループのコア技術であるシートの製造・加工技術を活用した機能性シート・フィルム分野での新製品開発を進めるとともに、国内外の製品競争力をより強固なものにするため、既存品のコストダウン、品質・操業の安定化にも取り組んでいます。

特殊紙事業では、炭素繊維、エンプラ繊維等の特殊繊維を使用した高機能性シートを開発し、成長分野への投入を進めています。一方、王子エフテックス株式会社江別工場6号抄紙機に新たに設置されたオンライン塗工設備を活用し、直接シリコーン処理が可能な剥離紙原紙を開発する等、パルプ生産から抄紙までの一貫生産による競争力強化も進めています。

イメージングメディア事業では、高い薬品耐性をもつ医療用合成紙ラベル等を開発し、市場ニーズに適合したラインナップの拡充を進めています。さらに、感熱紙の新しい用途展開に向けた技術開発を行っています。また、海外子会社も含め、新製品開発、コストダウンに繋がる技術支援を進めています。

粘着事業では、新たな市場開拓として土木や自動車の分野に目を向け、道路工事用養生フィルムを開発するとともに、自動車部品用の加飾フィルムの開発にも着手しています。

フィルム事業では、フィッシュアイと呼ばれる微小欠陥を大幅に低減した2軸延伸ポリプロピレンフィルムを開発し、非シリコン系剥離フィルムとして拡販を進めています。コンデンサー用極薄ポリプロピレンフィルムでは、次世代に向けたさらなる高機能化を進めています。また、タッチパネルに用いられる各種高機能フィルムの開発を進めており、印刷適性を付与した飛散防止フィルムや、タッチパネルモジュールと液晶モジュール等の貼り合せに使用される光学用両面粘着フィルムがスマートフォン向け等で採用が進んでいます。

新規フィルム製品である異方性拡散シート「ナノバックリング」、等方性拡散シート「パルーチェ」は各種LED光源の拡散シートとして採用が広がり、事業会社への移管を進めています。

当事業に係る研究開発費は2,983百万円です。

 

(4)資源環境ビジネス

海外植林分野では、海外植林地の生産性向上と植林木の品質向上を目指し、ユーカリ及びアカシアについてクローン植林の推進に取り組んでいます。総合林産業の推進に向け、製材、合板材や家具材の適性を備えたクローンの創出のほか、新たに木材乾燥等木材加工技術開発も進めています。

また、生体情報(DNA、RNA、代謝物)を利用した優良クローンの早期選定や、施肥時期及び量の見極めができる技術の開発に取り組んでおり、これまでに派生技術として新しいクローン識別法を開発し、現地に適用しています。

王子製紙株式会社米子工場に設置したバイオリファイナリー効率的一体型連続工業プロセスにて、溶解パルプ生産とフルフラールの連続製造の実証を行っています。溶解パルプは、レーヨンやアセテートの原料として今後の需要増が期待でき、また、フルフラールは将来のバイオプラスチック原料として期待されています。

当事業に係る研究開発費は265百万円です。

 

(5)その他

未利用森林資源等の木質バイオマスを用い、パルプ化技術、酵素と微生物によるバイオ技術を組み合わせる当社独自のバイオエタノール生産方法を開発しました。王子マテリア株式会社呉工場に2011年に設置したパイロットプラントを用いた実証試験で、製造コスト、エネルギー収支、温暖化ガス排出量等の評価を進めています。

ドット型周期微細構造を表面に賦形するナノドットアレイ技術を開発し、反射防止機能付与や、LEDや有機ELの光取り出し効率の向上を検討しています。

セルロースナノファイバーの樹脂複合化、透明シート化に関して、効率的な製造プロセスの確立、有望な複合材料の選定、具体的な用途の開発を進めています。

2013年9月に北海道下川町に医療植物研究室を立上げ、薬草の研究を開始しました。薬草はほとんどを中国からの輸入に依存しており、国産化が期待されています。ユーカリやアカシアで培った植栽技術を取り入れ、成長性と薬効成分量が優れる薬草の開発を進めています。

その他に係る研究開発費は5,452百万円です。

なお、(1)~(4)の各セグメントに関わる研究開発活動のうち、事業化段階に無い、探索段階及び開発段階の研究開発活動の研究開発費はここに含まれます。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は、以下のとおりです。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、不確実性、リスクといったものを内含しており、将来生じる実際の結果と異なる可能性があります。

(1)財政状態の分析

 当社グループの当連結会計年度末総資産は前連結会計年度末に比し844億円増加して、19,156億円となりました。主な増減は、林地の増加156億円、植林立木の増加137億円、機械装置及び運搬具の増加68億円です。

 負債は前連結会計年度末に比し68億円減少して、12,453億円となりました。主な増減は、社債の増加199億円、長期借入金の増加710億円、繰延税金負債の増加63億円、短期借入金の減少1,234億円です。なお、当連結会計年度末の有利子負債は7,985億円となりました。

 少数株主持分を含めた純資産については、前連結会計年度に比し912億円増加して、6,703億円となりました。主な増減は、少数株主持分の増加216億円、為替換算調整勘定(海外連結子会社等の純資産の為替換算に係るもの)の増加524億円、利益剰余金の増加247億円です。

 この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は30.0%と、前連結会計年度末に比し2.4ポイント増加しました。

(2)経営成績の分析

 

 

 

(単位:億円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

差異

①売上高

12,414

13,325

910

②経常利益

545

703

157

③特別損益

△166

△64

101

④法人税等及び
法人税等調整額

84

234

150

⑤当期純利益

256

338

82

 

① 売上高

 当連結会計年度の売上高は13,325億円と、前連結会計年度に比し910億円の増収となりました。生活産業資材において111億円の増収、印刷情報メディアにおいて106億円の減収、機能材において215億円の増収、資源環境ビジネスにおいて577億円の増収、その他・調整額では112億円の増収となりました(セグメント間売上を含む)。

② 経常利益

 当連結会計年度の経常利益は703億円と、前連結会計年度に比し157億円の増益となりました。前連結会計年度に比し28.9%の増益となりました。

 この結果、当連結会計年度の売上高経常利益率は、前連結会計年度に比し0.9ポイント増加し、5.3%となりました。

③ 特別損益

 当連結会計年度の特別損益は64億円の損失となり、前連結会計年度に比し101億円の増益となりました。主な内訳として、前連結会計年度に生じた退職給付制度一部終了損88億円が、当連結会計年度は発生しなかったこと等が挙げられます。

④ 法人税等及び法人税等調整額

 所得の増加による税額の増加、土地の収用に係る圧縮積立金の増加による繰延税金負債の増加等の影響により、法人税等及び法人税等調整額が150億円増加しました。

⑤ 当期純利益

 以上の結果、当連結会計年度の当期純利益は338億円と、前連結会計年度に比し82億円の増益となりました。1株当たりの当期純利益は、前連結会計年度に比し8.29円増加し、34.22円となりました。

(3)キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの状況につきましては、「1業績等の概要」に記載しています。

(4)今後の戦略について

 今後の戦略につきましては、「3対処すべき課題(2)分野別重点課題への対応」に記載しています。