当連結会計年度における世界経済は、不安定な政情が経済へ与える影響を懸念しましたが、消費、投資とも引き続き拡大基調で、概ね順調に推移した一年となりました。日本経済は、順調な輸出を背景に企業収益が伸長したことに加え、雇用状況の改善が進み、景気は緩やかに上向きました。米国及び欧州は企業収益、個人消費、雇用情勢のいずれも良好で、景気の拡大が継続しました。中国は金融引き締め政策の影響を受けましたが、堅調な個人消費が経済を下支えし、成長を維持しました。また、新興国においては徐々に景気回復が進んだ一年となりました。
このような状況において、当社グループは「世界に存在感を示す高収益スペシャリティ化学企業」を実現すべく、当連結会計年度を最終年度とする中期経営計画「GS-STEP」において掲げた経営戦略を順次実行してきました。
2017年度の経営成績につきましては、売上高は前年同期比33,250百万円(6.9%)増の518,442百万円、営業利益は7,290百万円(10.7%)増の75,117百万円、経常利益は6,817百万円(10.3%)増の72,998百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は13,201百万円(32.7%)増の53,601百万円となりました。
前連結会計年度において「活性炭事業」、「エネルギー材料事業」をその他セグメントに区分していましたが、2017年1月1日のクラレケミカル株式会社の吸収合併に伴い、当連結会計年度にはこれらの事業を「炭素材料事業」に統合し機能材料セグメントへ編入しました。なお、当連結会計年度の比較及び分析は、変更後のセグメント区分に基づいています。
[ビニルアセテート]
当セグメントの売上高は266,894百万円(前年同期比5.4%増)、営業利益は61,320百万円(同4.8%増)となりました。
① ポバール樹脂は米国新工場の本格稼働により、北米市場を中心に販売量が増加し、順調に推移しました。光学用ポバールフィルムは販売量が増加しました。なお、第2四半期より西条事業所の新設備の稼動を開始しました。水溶性ポバールフィルムは個包装洗剤用途の需要が拡大し、好調でした。PVBフィルムは高付加価値品の拡販が進みました。
② EVOH樹脂<エバール>は、食品包装用途、自動車ガソリンタンク用途ともに販売量が拡大しました。
当セグメントの売上高は56,366百万円(前年同期比10.3%増)、営業利益は8,350百万円(同20.4%増)となりました。
① イソプレン関連では、ファインケミカル、熱可塑性エラストマー<セプトン>、液状ゴムともに数量が伸長し、順調に推移しました。
② 耐熱性ポリアミド樹脂<ジェネスタ>は、自動車用途、コネクタ用途、LED反射板用途のいずれも販売が拡大し、順調でした。
当セグメントの売上高は69,910百万円(前年同期比2.8%増)、営業利益は7,485百万円(同67.4%増)となりました。
① メタクリルは、一年を通した好市況に加え、高付加価値品の販売が増加しました。
② メディカルは、歯科材料のジルコニア系新素材の販売が拡大しました。
③ 人工皮革<クラリーノ>は、既存プロセス品並びに新プロセス品ともに順調に推移しました。
④ 炭素材料は、高付加価値品の販売量が増え、順調に推移しました。
当セグメントはビニロンの販売が拡大しましたが、一部原燃料価格上昇の影響を受けました。また、生活資材は<クラフレックス>の高付加価値品の拡販が進み、順調に推移した結果、売上高は51,658百万円(前年同期比6.4%増)、営業利益は6,011百万円(同0.9%増)となりました。
繊維関連事業は、衣料分野において、スポーツ用途及びユニフォーム用途が堅調であったものの、原糸及びテキスタイルの輸出は苦戦しました。一方、海外縫製事業はベトナムで行った増強投資の効果があり拡大しました。また、資材分野は概ね堅調に推移し、樹脂・化成品関連分野も輸出を中心に順調に推移した結果、売上高は128,834百万円(前年同期比7.8%増)、営業利益は3,911百万円(同2.0%増)となりました。
その他事業は、概ね好調に推移しました。この結果、売上高は54,233百万円(前年同期比17.2%増)、営業利益は3,300百万円(同134.7%増)となりました。
税金等調整前当期純利益68,141百万円、減価償却費42,965百万円などの収入に対し、たな卸資産の増加による13,601百万円の支出、売上債権の増加による7,294百万円の支出、法人税等の支払額17,675百万円などの支出で、営業活動によるキャッシュ・フローは84,606百万円の収入となりました。前年度比では9,316百万円収入が減少しました。
投資有価証券の売却及び償還による1,561百万円などの収入に対し、有形及び無形固定資産の取得による55,419百万円などの支出で、投資活動によるキャッシュ・フローは79,896百万円の支出となりました。
配当金の支払額14,420百万円、自己株式の取得による2,892百万円などの支出により、財務活動によるキャッシュ・フローは17,176百万円の支出となりました。
以上の要因に加え、現金及び現金同等物に係る換算差額により、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より13,155百万円減少して、70,234百万円となりました。
当社グループは使命である「世のため人のため、他人(ひと)のやれないことをやる」に基づき、創立100周年となる2026年に向けて長期ビジョン「Kuraray Vision 2026」を策定しました。「Kuraray Vision 2026」で掲げたありたい姿である「独自の技術に新たな要素を取り込み、持続的に成長するスペシャリティ化学企業」を目指し、社会との価値共創を図りながら、他社と一味違うスペシャリティ製品及びサービスを世界に提供する企業であり続けます。
当社グループは長期ビジョン「Kuraray Vision 2026」の実現に向けて、本年度よりスタートした中期経営計画「PROUD 2020」(2018年度~2020年度)において以下の4つの主要経営戦略を推進していきます。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2017年12月31日)現在において当社が判断したものです。
① 競争優位の追求
顧客ニーズに基づく高付加価値製品・用途の開発推進や、今後、更に存在感が増す新興国・地域を、新たな機会創出の場として捉え、戦略的に取り組みを強化することや、IoTを活用した生産・業務プロセスの革新・改善を行うことで競争力の強化を行っていきます。
② 新たな事業領域の拡大
独自技術の研鑽と外部技術の取り込みによる新事業の創出やM&A・アライアンスによる新領域の獲得、技術とサービスを組み合わせたビジネスモデルの確立を行うことで事業領域を拡大していきます。
③ グループ総合力強化
ビジネスの拡大に合わせたグローバル経営基盤の構築、世界の多様な優秀人材を惹きつける働きがいのある職場づくり、クラレグループの更なる一体感の醸成を行っていくと同時に、コンプライアンス徹底の取り組みを強化していきます。
④ 環境への貢献
上記3つの経営戦略に基づく具体的施策の実施において、事業活動における環境負荷の低減、地球環境や社会問題の解決に貢献する製品やサービスの提供、安全・安心な製品やサービスの提供の拡大を通じ、自然環境や生活環境の向上に貢献します。
当社グループは本年度よりスタートした中期経営計画「PROUD 2020」の経営戦略に基づく諸施策を着実に実行し、最終年度である2020年度には、売上高6,500億円、営業利益900億円、売上高営業利益率14%の達成を目指しています。「PROUD 2020」期間中は長期ビジョン「Kuraray Vision 2026」のスタートの3年間として、ビニルアセテートの更なる拡大に加え、第二、第三の柱となるイソプレン、炭素材料の強化を加速し、将来を見据えた新たな事業ポートフォリオの構築に取り組んでいく所存です。クラレグループは創立100周年に向って、持続的に成長するスペシャリティ化学企業として、大きく飛躍するため、今後も挑戦し続けます。
さて、当社は、2017年2月に浄水施設、ごみ焼却施設等で使用される活性炭の製造販売に関して公正取引委員会の立ち入り検査を受けました。また、2017年3月には防衛装備庁が発注する特定ビニロン製品の入札について、独占禁止法に違反する行為があったとして、公正取引委員会から排除措置命令を受けました。当社は、これら一連の事態を厳粛かつ真摯に受け止め、経営上の重要課題と捉え、経営トップから法令遵守徹底のメッセージを繰り返し発信しました。また、独占禁止法遵守指針の周知・徹底や社内体制整備を含む様々なコンプライアンス推進の施策を行い、社員の意識改革に取り組んでいます。今後も再発防止を徹底し、信頼回復に向けて一層の努力をしてまいります。
<株式会社の支配に関する基本方針>
Ⅰ.当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
昨今、日本の企業社会の構造は大きく変わりつつあります。たとえば、株式の持合いの解消が進み、会社は株主のものとする考え方や株主の声に配慮した経営が一層浸透する一方で、企業買収に対する株式市場、企業社会の理解も深まってきています。こうした中で、企業買収の対象となる会社の経営陣と十分な協議や合意のプロセスを経ることなく、いわば敵対的に、突如として株式の大量買付けを強行する動きが顕在化しています。もとより、当社は、このような敵対的な株式の大量買付けであっても、その具体的な条件・方法等によっては、当社の企業価値・株主共同の利益の向上に資する場合もあると認識しています。そして、当社が資本市場に公開された株式会社である以上、当社の株式の買付提案に応じるべきか否かの判断は、最終的には、個々の株主の皆様によってなされるべきであると考えています。
しかしながら、上記のような一方的な株式の大量買付けの中には、株主の皆様に対して当該大量買付けに関する十分な情報が提供されず、株主の皆様に株式の売却を事実上強要するおそれがあるものや、株主の皆様が当該大量買付けの条件・方法等の検討を行ったり、当社取締役会が代替案の提案等を行ったりするための十分な時間が確保されないもの、その他真摯に合理的な経営を行う意思が認められないもの等の当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なう株式の大量買付けもないとはいえません。
当社といたしましては、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業理念、及び当社の企業価値の源泉をなす重要な経営資源を十分に理解した上で、当社の企業価値・株主共同の利益を中長期的に確保・向上させることを真摯に目指す者でなければならないと考えています。したがいまして、上記のような当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうおそれのある株式の大量買付けを行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。
Ⅱ.基本方針の実現に資する取組み
当社は、企業価値を安定的かつ持続的に向上させていくことこそが株主共同の利益の向上のために最優先されるべき課題であると考え、以下のような事項をはじめ、当社の企業価値・株主共同の利益の向上のための様々な取組みを行っています。これらの取組みは、上記Ⅰ.の当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の実現に資するものであると考えています。
1.中期経営計画に沿った事業の強化・拡大
当社が目指すべき長期的な方向性を示す「長期企業ビジョン」で掲げた「世界に存在感を示す高収益スペシャリティ化学企業」を実現するため、2015年度から2017年度の3ヵ年計画として中期経営計画「GS-STEP」に取り組み、コア事業の深耕、技術革新、次世代成長モデル、経営資源最適配置及び環境への貢献を主要な経営戦略とし、前中期経営計画「GS-Ⅲ」期間に実施した様々な施策の成果を結実させること、並びに、事業拡大に向けた経営基盤の構築を確実に進めることにより、高収益を実現し、さらなる成長に向けて諸々の戦略を実行してきました。
2.コーポレート・ガバナンス体制の構築
当社は、経営の効率性と公正性を確保する効果的なコーポレート・ガバナンス体制の構築により、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行い、多様な利害関係者との適切な関係を維持し、社会に対する責任を果たすことが、長期的・持続的に企業価値・株主共同の利益を向上させ、上記1.に記載の基本方針の実現に資するものと考えます。当社は、この認識のもとに、以下の諸施策の実施を通じてコーポレート・ガバナンス体制を構築しています。
① 社外取締役による経営監督機能の強化及び執行役員制度による経営の意思決定と業務執行責任の分離
② 社外監査役による監査機能の充実
③ 社外有識者による社長の業務執行に対する助言を目的とした経営諮問会議の設置
3.株主の皆様への利益配分についての基本方針
当社は、株主の皆様に対する利益配分を経営の重要課題と位置付け、当社の企業価値・株主共同の利益を確保・向上させるべく、株主の皆様に対する経営成果の還元と将来の成長力の確保に配慮しつつ、適正な利益配分を行うよう努めています。
当社は、中期経営計画「GS-STEP」の実施期間における利益配分として、親会社株主に帰属する当期純利益に対する総還元性向35%以上、1株当たり年間配当金36円以上を継続してきました。
Ⅲ.基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、2015年3月27日開催の当社第134回定時株主総会の承認を得て、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上のための取組みとして、当社に対する濫用的な買収等を未然に防止するため、以下のとおり、当社の株式の大量買付行為に関する対応策(以下「本プラン」といいます。)を導入しました。
本プランに定められた手続(以下「大量買付ルール」といいます。)では、当社株式の保有割合が20%以上となる買付け等(以下「大量買付行為」といい、かかる買付行為を行う者を以下「大量買付者」といいます。)を行う大量買付者には大量買付行為を行う前に、大量買付行為に対する皆様のご判断及び当社取締役会の評価・検討等のために必要かつ十分な情報を提供していただくこととしています。当社取締役会は、当該情報に基づき所定の評価期間内に大量買付行為に対する意見を取りまとめ、株主の皆様に公表するとともに、必要に応じて大量買付者との間で大量買付行為の条件・方法について協議し、株主の皆様に対する代替案の策定等を行います。
大量買付者が大量買付ルールに従わずに大量買付行為を行おうとする場合には、当社取締役会は、当該大量買付行為を当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なう敵対的買収行為とみなし、新株予約権の無償割当てによる対抗措置を発動することができるものとします。他方、大量買付者が大量買付ルールに従って大量買付行為を行う場合には、当該大量買付行為が当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうものであると明白に認められる場合を除き、原則として当該大量買付行為に対する対抗措置は発動しません。
当社取締役会は、対抗措置の発動に先立ち、社外取締役及び社外監査役で構成される特別委員会に対して対抗措置の発動の是非について諮問し、特別委員会の勧告を最大限尊重するものとします。また、当社取締役会は、特別委員会の勧告または当社取締役会の判断に基づき対抗措置の発動の是非につき株主の皆様のご意思を確認するための株主総会を招集する場合には、当該株主意思確認総会の決議に従うものとします。
なお、本プランの有効期間は、2015年3月27日開催の当社第134回定時株主総会の終了時から2018年に開催される当社第137回定時株主総会の終結時までです。
Ⅳ.上記Ⅱ.の取組みについての取締役会の判断
当社は、企業価値を安定的かつ持続的に向上させていくことこそが株主共同の利益の向上のために最優先されるべき課題であると考え、当社の企業価値・株主共同の利益の向上を目的として、上記Ⅱ.の取組みを行っています。これらの取組みの実施を通じて、当社の企業価値・株主共同の利益を向上させ、それを当社の株式の価値に適正に反映させていくことにより、当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうおそれのある当社株式の大量買付けは困難になるものと考えられます。したがいまして、上記Ⅱ.の取組みは上記Ⅰ.の基本方針に沿うものであり、株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の役員の地位の維持を目的とするものではないと考えています。
Ⅴ.上記Ⅲ.の取組みについての取締役会の判断
上記Ⅲ.の取組みは、十分な情報の提供と十分な検討等の期間の確保の要請に応じない大量買付者、及び当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なう大量買付行為を行いまたは行おうとする大量買付者に対して、対抗措置を発動できることとしています。したがいまして、上記Ⅲ.の取組みは、これらの大量買付者による大量買付行為を防止するものであり、上記Ⅰ.の基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みであります。また、上記Ⅲ.の取組みは、当社の企業価値・株主共同の利益を確保・向上させることを目的として、大量買付者に対して、当該大量買付者が実施しようとする大量買付行為に関する必要な情報の事前の提供、及びその内容の評価・検討等に必要な期間の確保を求めるために導入されたものです。さらに、上記Ⅲ.の取組みにおいては、株主意思の重視、合理的な客観的要件の設定、特別委員会の設置等の当社取締役会の恣意的な判断を排し、上記Ⅲ.の取組みの合理性を確保するための様々な制度及び手続が確保されているものです。
したがいまして、上記Ⅲ.の取組みは上記Ⅰ.の基本方針に沿うものであり、株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、また当社の役員の地位の維持を目的とするものではないと考えています。
※本プランは当事業年度末時点のものを記載しています。本プランの有効期間は、2018年3月23日開催の当社第137回定時株主総会の終結時までとなっており、当社は同年2月21日開催の取締役会において、本プランを継続しないことを決議しています。
当社グループの業績(経営成績及び財政状態)等に重要な影響を及ぼすリスクには以下のような項目があります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2017年12月31日)現在において当社が判断したものです。
① 事業環境の変化に関わるリスク
当社グループは、多様な事業ポートフォリオを有しており、製品市場もグローバルかつ様々な用途分野に展開しています。さらに、当社の製品は特殊化学品が多く、一般に比べて商品市況の影響を受けにくい構成になっていますが、近年、用途分野を電子・電機、自動車、環境等の成長分野へシフトさせつつあり、業績の依存度も高まっています。これらの分野は、最終製品における業界標準の転換、短い製品寿命、グローバルな開発競争等、市場変化が激しいため、当社製品についても市場環境や競争条件が激変するリスクがあります。
また、当社グループの製品である化成品、合成樹脂、合成繊維の原料は、原油、天然ガスの市況に影響を受けるエチレン等の石油化学製品です。このため、予想を超えるこれらの市況の変動が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これらの事業環境の変化により、重要な事業が縮小・撤退を余儀なくされるリスクがあります。
② 事故・災害に関わるリスク
当社グループは、日本及び欧州、北米、アジア、豪州に生産拠点を設けており、これらの多くは大規模な化学工場です。爆発、火災、有害物質の漏洩などの事故・災害の未然防止、及び災害発生時には被害の極小化に努めるとともに、重要な生産設備については、拠点分散や損害保険によるリスク対応を行っていますが、重大な保安事故、環境汚染や自然災害が発生すれば、従業員や第三者への人的・物的な損害、事業資産の毀損、長期の生産停止が生じるリスクがあります。
また、重要な原材料、設備・メンテナンス部品やサービスの提供などを担っているサプライヤーにおける事故・災害の発生により、当社グループの製品供給に影響が生じるリスクがあります。
③ 係争・法令違反に関わるリスク
当社グループは、独自技術による事業を数多く有しており、将来において、当社グループの知的所有権への重大な侵害や当社の権利に対する係争が発生するリスクがあります。
また、当社グループは、自動車、電気・電子材料、医療、食品包装等、最終製品の品質確保に重要な役割を担う製品を数多く供給しています。当社グループでは主に製造拠点単位で品質マネジメントシステムを導入し品質の向上に努めていますが、品質の欠陥に起因する大規模な製品回収が発生すると、PL保険でカバーできない損害賠償等の損失が発生するリスクがあります。
当社グループの各事業拠点においては、コンプライアンス体制を構築し、法令等の遵守に努めていますが、重大な法令違反を起こした場合、また現行の法規制の変更や新たな法規制等が追加された場合には、事業活動に制約を受けるリスクがあります。
④ 為替の変動に関わるリスク
当社グループは、日本国内及び欧州、北米、アジア、豪州などの海外諸地域で生産、販売を展開しています。当社グループが国内で生産し、海外へ輸出する事業では製品の輸出価格が為替変動の影響を受けます。一方、海外の事業拠点で生産、販売する事業では、異なる通貨圏との間の調達・販売価格及び外貨建て資産・負債の価額が為替変動の影響を受けます。このため想定を超える為替変動は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ その他のリスク
当社グループは、グローバルな事業展開を行っており、戦争・暴動・テロ、伝染病等、偶発的な外部要因によって事業活動に支障が生じるリスクがあります。
(買収に関する契約)
当社は、Calgon Carbon Corporation(本社:米国ペンシルバニア州、米国ニューヨーク証券取引所上場)の全株式を取得し、当社の完全子会社とすることについて合意する契約を2017年9月21日付で同社と締結し、買収手続きを実施していましたが、2018年3月9日に完了しました。なお、詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。
当社グループにおける研究開発活動は、私たちの使命「私たちは、独創性の高い技術で産業の新領域を開拓し、自然環境と生活環境の向上に寄与します。」に基づいて、社内カンパニー・事業部・連結子会社に所属するディビジョン研究開発とコーポレート研究開発との緊密な連携の下に推進されています。
コーポレート研究開発は、以下3点を通じて、クラレグループ全体の業容拡大・収益向上に資することを目指しています。
① 新事業の創出:素材事業を主に、あるいはそれらに加工技術を付加した部材事業をターゲットとし、早期創出を目指します。2018年度より開始した中期経営計画「PROUD 2020」の進行中に、部材事業の事業化を推進するとともに、当社における部材事業の立ち上げにおいて、何が必要かを見極めます。
② 既存事業の強化・拡大:コーポレート機能の抜本的見直しのもと、カンパニー、グループ会社との協働・支援を強化し、全社事業の盤石化を図るとともに、新事業開発を促進します。
③ 基盤技術の保有:新事業の創出及び既存事業の強化・拡大を通じて、必要とする基盤技術を構築し、深化・深耕を図ります。
研究開発の体制として、従来は基礎段階のものを「研究開発本部」、事業化に近いものを「新事業開発本部」が担っていましたが、2017年1月に「研究開発本部」に統合・一本化しました。研究開発本部内には、くらしき研究センター、つくば研究センター及びクラレリサーチ&テクニカルセンター(KRTC:米国)、機能製品開発部、成形部材事業推進部、電材事業推進部を擁しています。なお、2018年1月より、クラレリサーチ&テクニカルセンター(KRTC)は「KAI Corporate R&D」に、電材事業推進部は「ベクスター事業推進部」に名称変更しています。生産技術に関しては、技術開発センターにおいて「原理原則と現場感覚の最適融合」による生産技術開発を推進しています。ディビジョン研究開発は、社内カンパニー・事業部・連結子会社が各事業所に研究開発部署を有しています。コーポレート研究開発とディビジョン研究開発を合わせた当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発人員数は934人です。
当連結会計年度のセグメントごとの研究開発費は、ビニルアセテート6,414百万円、イソプレン1,685百万円、機能材料2,989百万円、繊維1,676百万円、トレーディング142百万円、その他1,107百万円、全社共通(コーポレート研究開発)6,945百万円、合計20,961百万円になります。
セグメントごと及びコーポレートの研究開発活動を示すと次のとおりです。
[ビニルアセテート]
・ポバール樹脂、ポバールフィルム、PVBフィルム、<エバール>樹脂の酢酸ビニルチェーンについては、世界のリーディングカンパニーとして、国内外の研究開発部署が連携し、新規用途開発、新商品開発、新規生産技術開発も併せて、研究開発活動を推進しています。
・ポバール樹脂は当社ビニルアセテートチェーンの根幹に位置する事業として日米欧亜の6工場を中心としたグローバルネットワークを強みとして市場開発を推進しています。自消、外販両面で安定かつ高い品質の原料供給を基本とし、クラレ発の新規技術を積極投入すると共に技術サービスネットワークの強化により付加価値の高いビジネス機会を提案します。
・ポバールフィルムは、液晶ディスプレイ向け光学フィルムのトップメーカーとして市場を牽引すべく、さらなる高性能化、高品質化に顧客と一体となって取り組んでいます。また、洗剤包装用途を中心にますます拡大する水溶性フィルムについてもポバール樹脂メーカーである強味を活かし原料まで遡った高性能化・多機能化を加速させます。
・PVBフィルムは、自動車用途・建築用途の高付加価値品の開発を進めています。その一環として、アイオノマーシートを活用した更なる高付加価値化やPVBフィルムとのシナジー効果の発現、新規用途開発を推進しています。
・エバール樹脂を中心とするバリア材料は、日米欧の3拠点で世界各地のニーズを把握しながら、開発を推進しています。既存のエバール樹脂銘柄に加え、スーパーバリア銘柄<エバール>AP、二次加工性改良銘柄<エバール>SPなどの差別化エバール樹脂銘柄、さらに<エバール>フィルムを、特に省エネルギー・地球環境保全に貢献する用途へ積極的に展開していきます。また、バイオマス由来のガスバリア材<PLANTIC>についても既存バリア材料事業とのシナジー効果を早期に発現させます。
[イソプレン]
・エラストマー関連では、熱可塑性エラストマー及び液状ゴムの差別化、高付加価値化に取り組んでいます。植物由来原料のファルネセンを用いた液状ゴムは、高機能タイヤの改質剤として国内外のタイヤメーカーへ採用が広がっています。ファルネセンを用いた熱可塑性エラストマーの開発も進めており更なる差別化製品の開発と市場拡大に向けて研究開発、マーケティング活動を推進しています。
・イソプレンケミカル関連では、独自性の高いC4ケミストリーをさらに進化させた化学品として、香料、溶剤や特殊インキ関連の材料開発並びに精密有機合成技術を基盤にした新規材料など機能性化学品の創出に取り組んでいます。
・耐熱性ポリアミド樹脂<ジェネスタ>では、自動車樹脂部品の複合化に伴い普及しつつあるレーザー溶着に対応したレーザー透過グレードを開発し、自動車の冷却部品への販売拡大が進んでいます。また、新規に開発したハロゲンフリー難燃銘柄は幅広い厚みで難燃性を確保でき、電気電子部品用途の市場拡大が進んでいます。
[機能材料]
・メタクリル樹脂については、差別化ポリマーの拡充とメタアクリル系樹脂を活用した新規用途開発、新商品開発を主体に研究開発活動を行っています。
・メディカル事業では、クラレノリタケデンタル株式会社の無機/有機の技術の融合による新規歯科材料の開発に注力し、CAD/CAM用ジルコニア、高強度レジン等のデジタル化の流れにも対応した開発、商品化を行っています。また、人工骨インプラント<リジェノス>に吸収性骨再生用材料<アフィノス>を加え、配向連通孔技術を特長に、多面的な展開を進めています。
・人工皮革<クラリーノ>については、環境対応型革新プロセス(CATS)による特長を生かした新商品開発により、販売拡大が進んでいます。
・炭素材料では、「環境・エネルギー」分野をメインターゲットに、活性炭や炭素材料を用いた新規用途開発に取り組んでいます。
[繊維]
・PVA繊維<ビニロン>については、パイロットプラントにおいて革新プロセス(VIP)によるゴム補強用フィラメントの技術確立を達成し、量産プラントの建設を進めています。既に国内外の顧客に販売を開始しており、現在は、本プロセスを用いた新しい繊維の開発も進めています。FRC(セメント補強材)は、アスベスト不使用製品が本格化する中南米など新興国を中心に拡販に努めています。
・高強力繊維<ベクトラン>は、高強度、低吸水性や耐切創性の特長が求められる高採算の中細繊度品が国内外で伸長し、収益を確保しました。
・不織布<クラフレックス>については、メルトブローン技術とスパンレース技術を融合した高付加価値不織布をコスメ用途やマスクとして国内外で展開し、販売拡大が進んでいます。また、食品用途については製造環境の衛生管理をすすめ、東南アジアを始め国内外での拡販に努めています。
・難燃繊維(ポリエーテルイミド繊維)は、耐熱性、低発煙性や分散染料可染等の特長を生かして、航空機用内装材に採用されました。高温熱可塑性の特長を生かし、炭素繊維補強熱可塑性コンポジットとして、新たな用途開拓を進め、航空機用資材や電気自動車用部材としても可能性が広がっています。
[トレーディング]
・ポリエステル長繊維<クラベラ>では、①熱水に溶解し、生分解性をも有する特殊水溶性樹脂<エクセバール>を用いた水溶性繊維<ミントバール>、②要求性能に応じた多様な断面構造で高い帯電防止性能を持つ導電性繊維<クラカーボ>、③高白度でありながら透け防止性能に優れる<エクステージ> など、環境に優しい、高機能性をキーワードにした独自素材の開発に注力しています。
[その他]
・アクア事業推進本部では、中空糸ろ過膜を用いた様々な水の製造・回収、ポリビニルアルコール(PVA)ゲルを用いた産業排水の処理・回収、海洋生態系保全のための海水処理などを通して、「高品質で安全な水の提供」と「環境負荷の低減」に貢献する素材・装置・プラント・技術開発に取り組んでいます。
・クラレプラスチックス株式会社では、当社の研究・開発部門と連携し、家電・電子部品、自動車部品、建材、生活用品、メディカル、スポーツ用品等用途でのスチレン系エラストマーを使用した機能性コンパウンド、同コンパウンドをベースとしたフィルム・シートや不織布等の二次製品、エバールフィルムに特殊コーティング加工をした新規フィルム、成型加工技術を利用したスマートハウス向け断熱換気ダクトや、機能性コンパウンドと高強力繊維 <ベクトラン>を使用し土木用途を中心に展開を図る繊維複合ホース等の開発を推進しています。
[コーポレート研究開発]
・コーポレート研究開発のミッションである①新事業の創出 ②既存事業の強化 ③基盤技術の構築・深耕の達成に向けて、改革を進めています。また、当社事業の急速なグローバル化に対応し、グループ海外拠点との連携を強化しています。2016年度からの2年間は「酢ビ系高分子研究所」と「構造・物性研究所」が中心となり、当社の一番の強みであるビニルアセテート事業に的を絞り、M&Aによって拡大した全世界の拠点を巡りテーマ・課題を集め技術面でバックアップし、一つひとつの課題を解決してきました。同じ取り組みをイソプレン事業や炭素材料事業にも展開していきます。
・リチウムイオン二次電池(LiB)の研究開発・市場開発に関し、植物を原料とし当社独自炭素構造由来の低吸湿、耐酸化性を備えたハードカーボンは、黒鉛同等の体積容量を発現する当社ハードカーボン特有の性質を利用した使用方法を市場に提案、さらに、より高容量、高出力の特性を発揮する新しい炭素材の技術開発進めています。加えて、当社ポリマー技術より低抵抗、高接着性を特徴とする水系バインダー、高接着性を特徴とする溶剤系バインダーの開発を進め、急速に市場進出が進むハイブリッド車や電気自動車などの車載用市場向けの電池部材の開発を一層加速していきます。
・酢酸ビニルチェーンの更なる事業拡大を図るべく、これまで培ったコア技術に加え、内外から新たな技術を取り込み、優れた機能を有する酢ビ系新素材の開発を進めています。酢ビ系高分子の基本構造を精密に制御する技術や安価に機能化する技術を獲得し、顧客ニーズに合致した素材を早期に提案できる開発体制を構築することで、世界のリーディングカンパニーとして確固たる地位を確立します。
・新規アクリル系の特殊フィルムの開発において、アクリルの透明性を生かしながら、新たな機能を付与させた製品の用途開拓を推進しています。展示会においては、多くの顧客からサンプル供給の要求を受けるなど、注目を集めています。光学や加飾分野での採用が見込まれ、市場展開を加速していきます。
・高周波回路基板用途の液晶ポリマーフィルム<ベクスター>は、車載用ミリ波レーダーや5Gアンテナなど高周波による高速伝送の需要が高まる中、フレキシブルプリント配線基板として高周波領域での伝送損失が低く、加工性に優れる点が評価され数量が拡大しました。この流れは今後も加速することが予想され、積極的に事業拡大を進めていきます。
・半導体用研磨パッド(CMPパッド)は、人工皮革で培ったポリウレタンの設計及び製造技術を駆使し、従来に無い高硬度ポリウレタンを原料にしています。当社CMPパッドの特長は、高硬度なため研磨するデバイスを平坦にする能力が優れること、高硬度でありながら研磨傷が少ないこと、耐磨耗性が優れるため長時間使えること、などで、複数の顧客・複数プロセスで実証されています。また、顧客の要望に応じて適正な硬度を選定・提案し、プロセスに合ったパッドの選択が可能な環境を整えています。今後、国内に留まらず、海外への展開も視野に入れており、顧客の先端プロセスと既存プロセスの両方に対応できる事業環境を整えていく予定です。
・微細パターン設計・加工技術を用いた微細パターン付きフィルムを開発し、アミューズメント用途や次世代自動車ディスプレイ用途等での市場開拓活動を進めています。バーチャルリアリティ(VR)分野では、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)用途でマイクロレンズアレイフィルムが採用され、徐々に需要拡大が見込まれています。一方、拡張現実(AR)を取り入れたヘッドアップディスプレイ(HUD)用途での評価が車載用部材供給メーカー各社で進み、2019年度からの採用を既に決めている自動車メーカーも現れつつあります。これら二大用途を足掛かりに新規用途創出と市場拡大を目指し、新しいニーズに合った商品開発を更に加速しています。
・光学設計技術及び金型設計技術を活かしたPMMA製導光板をエッジライト方式のLED照明用途へ展開しています。高い照度、配光特性のコントロール及び異方出射特性を有するLED照明用導光板の開発に成功し、省エネ化、薄型化、軽量化された照明器具への採用実績が出てきています。特に、大手医療照明メーカーとの全国展開、オフィスビル分野での大手ゼネコンとの共同開発が進み、今後の拡大が期待されます。一方、更なる市場拡大を促進する為に、拡散板を必要としないノングレア(眩しさを抑制)タイプの新規導光板の開発に成功し、大手照明メーカーでの採用に向けて共同開発を進めています。
・微細加工成形技術を用いて開発した三次元細胞培養プレート<Elplasia>の市場評価が進み、がんの創薬スクリーニング用途及び再生医療細胞培養用途での採用実績が徐々に出てきています。創薬スクリーニング用途においては、研究委託機関(CRO)と連携して実験事例データの構築に努め、大手製薬メーカーでの採用事例が徐々に拡大しています。一方、再生医療用途では、産学官で進めてきたプロジェクトに大きな進捗が有り、膵島細胞、肝臓細胞や心筋細胞分野で治験に向けた臨床研究が2018年度から実施される計画です。また、主戦場である米国展開に関しては、大手メディカル商社やメーカーとの提携を通してのローカル化を加速しつつあります。
(1) 経営成績の分析
当連結会計年度における世界経済は、不安定な政情が経済へ与える影響を懸念しましたが、消費、投資とも引き続き拡大基調で、概ね順調に推移した一年となりました。日本経済は、順調な輸出を背景に企業収益が伸長したことに加え、雇用状況の改善が進み、景気は緩やかに上向きました。米国及び欧州は企業収益、個人消費、雇用情勢のいずれも良好で、景気の拡大が継続しました。中国は金融引き締め政策の影響を受けましたが、堅調な個人消費が経済を下支えし、成長を維持しました。また、新興国においては徐々に景気回復が進んだ一年となりました。
このような状況において、当社グループは「世界に存在感を示す高収益スペシャリティ化学企業」を実現すべく、当連結会計年度を最終年度とする中期経営計画「GS-STEP」において掲げた経営戦略を順次実行してきました。
セグメント別の状況につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」に記載のとおりです。
(2) 財政状態の分析
総資産は、棚卸資産の増加及び有形固定資産の増加等により前連結会計年度末比50,301百万円増の775,735百万円となりました。負債は、未払法人税等の増加等により前連結会計年度末比6,792百万円増の211,247百万円となりました。純資産は、前連結会計年度末比43,508百万円増加し、564,487百万円となりました。自己資本は555,979百万円となり、自己資本比率は71.7%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標は以下のとおりです。
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2016年12月期 |
2017年12月期 |
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自己資本比率(%) |
70.7 |
71.7 |
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時価ベースの自己資本比率(%) |
85.1 |
96.1 |
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キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
0.6 |
0.7 |
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インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
127.1 |
116.0 |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務諸表数値により計算しています。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。
3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。
4.有利子負債は短期借入金、コマーシャル・ペーパー、長期借入金及び社債の合計額を使用しています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
(4) 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、目指すべき長期的な方向性を示す「長期ビジョン」を踏まえ、このビジョンの実現に向けた挑戦を続けています。
世界経済は、各地で地政学上のリスクは継続するものの、景気の拡大基調が続いており、次期においても、概ね順調に推移することが見込まれます。一方、日本経済においては、順調な世界経済を背景とした輸出や投資が引き続き拡大しますが、個人消費の伸び悩みが懸念され、景気は極めて緩やかな伸びにとどまることが予測されます。また、2015年度より低位で安定していた原燃料価格が、2017年より上昇に転じており、2018年度は製造原価のアップによる収益の悪化が懸念されます。
当社グループは、2018年よりスタートする中期経営計画「PROUD 2020」で4つの主要経営戦略として、競争優位の追求、新たな事業領域の拡大、グループ総合力強化、環境への貢献を掲げています。スタート年にあたる次期は、前中期経営計画「GS-STEP」の結果を振り返り、積み残した課題を確実に成果に繋げると共に、「PROUD 2020」の経営戦略の具体的施策に順次着手してまいります。
※文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものです。