当連結会計年度における経営環境は、日本では年度終盤の円安により景気回復の兆しがみられました。世界経済では、米国の景気は個人消費に加えて良好な雇用情勢が追い風となり、好調に推移しました。欧州は緩やかな景気回復が続きました。なお、英国が欧州連合からの離脱を選択したことで先行きに不透明感はあるものの、足もとでは大きな影響はありませんでした。中国経済は政府の消費刺激策が功を奏し、景気減速に歯止めがかかりました。新興国経済は景気減速が継続しました。
このような状況において、当社グループは「世界に存在感を示す高収益スペシャリティ化学企業」を実現すべく、2015年度よりスタートした中期経営計画「GS-STEP」において掲げた経営戦略を順次実行しています。
2016年度の経営成績につきましては、売上高は前年同期比36,529百万円(7.0%)減の485,192百万円、営業利益は1,749百万円(2.6%)増の67,827百万円、経常利益は1,645百万円(2.5%)増の66,181百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は4,650百万円(13.0%)増の40,400百万円となりました。
[ビニルアセテート]
当セグメントの売上高は253,175百万円(前年同期比7.9%減)、営業利益は58,517百万円(同5.0%増)となりました。
① ポバール樹脂は米国新プラントが安定操業に至らず、償却費等を吸収できませんでした。光学用ポバールフィルムは液晶パネルの生産調整が一段落し、販売量が回復しました。水溶性ポバールフィルムは堅調に推移しました。PVBフィルムは順調に推移しました。
② EVOH樹脂<エバール>は、食品包装用途、自動車ガソリンタンク用途ともに順調に拡大しました。
当セグメントの売上高は51,083百万円(前年同期比7.1%減)、営業利益は6,934百万円(同0.2%増)となりました。
① イソプレン関連では、ファインケミカル、熱可塑性エラストマー<セプトン>、液状ゴムともに堅調に推移しました。
② 耐熱性ポリアミド樹脂<ジェネスタ>は、自動車用途が拡大を続け、コネクタ用途は回復しました。一方で、LED反射板用途は苦戦が続いています。
当セグメントの売上高は52,246百万円(前年同期比8.1%減)、営業利益は4,631百万円(同16.8%減)となりました。
① メタクリルは、厳しい環境が続きましたが、期の終盤には販売量が回復しました。
② メディカルは、歯科材料が新製品の拡充に加え、販売面で事業統合によるシナジー効果が増大し順調に推移しました。
③ 人工皮革<クラリーノ>は、為替の円高影響を吸収しきれませんでした。
当セグメントはビニロンの高付加価値用途が好調に推移しました。加えて生活資材も<クラフレックス>を中心に順調に推移した結果、売上高は48,566百万円(前年同期比4.8%増)、営業利益は5,958百万円(同45.1%増)となりました。
化学品関連事業は堅調に推移したものの、繊維関連事業は一部用途を除いて低調な国内需要の影響を受けました。この結果、売上高は119,498百万円(前年同期比0.1%減)、営業利益は3,833百万円(同1.3%減)となりました。
その他事業は、第1四半期連結会計期間にエネルギー材料事業が加わったことにより開発費が増加しました。この結果、売上高は63,838百万円(前年同期比8.3%減)、営業利益は2,017百万円(同27.2%減)となりました。
税金等調整前当期純利益60,512百万円、減価償却費41,555百万円などの収入に対し、たな卸資産の増加、仕入債務の減少による3,080百万円の支出、法人税等の支払額24,412百万円などの支出で、営業活動によるキャッシュ・フローは93,923百万円の収入となりました。前年度比では695百万円収入が増加しました。
投資有価証券の売却及び償還による3,551百万円などの収入に対し、有形及び無形固定資産の取得による49,992百万円などの支出で、投資活動によるキャッシュ・フローは49,300百万円の支出となりました。
借入金の増加や自己株式の売却による691百万円などの収入に対し、配当金の支払額14,753百万円などの支出により、財務活動によるキャッシュ・フローは14,701百万円の支出となりました。
以上の要因に加え、現金及び現金同等物に係る換算差額により、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より28,639百万円増加して、83,389百万円となりました。
当社は、グループが目指すべき長期的な方向性を示す「長期企業ビジョン」を踏まえ、ありたい姿である「世界に存在感を示す高収益スペシャリティ化学企業」の実現を目指しています。
2015年度よりスタートした3ヵ年の中期経営計画「GS-STEP」では、以下の5つの主要な経営戦略を推進しています。
① コア事業の深耕
事業買収や能力増強等の投資効果を結実させナンバーワン、オンリーワン事業の事業基盤をより磐石なものとして競争優位性を高めます。また、次なる成長に向けた布石を打ちます。
② 技術革新
独自性の高い自社技術を活かし、新領域・新技術への展開を加速し、新事業を創出します。また、圧倒的な品質、コスト優位性を実現すべく、プロセス改良、新プロセス確立を推進します。
③ 次世代成長モデル
M&A・アライアンスを含めた外部資源のより一層の有効活用により、新規事業領域への拡大をはかります。また、研究開発、技術サービス、生産・販売、間接業務等様々な企業活動において革新的なビジネスモデルの確立にチャレンジします。
④ 経営資源最適配置
GLS事業統合などにより拡充した拠点、人材等の経営資源を、最適配置・積極活用することでグローバル経営の質を高めます。
⑤ 環境への貢献
地球環境に貢献する製品提供を拡大します。また、環境負荷を低減したプロセスで生産を行います。
これらの経営戦略に基づく諸施策を着実に実行し、高収益を実現することが中期経営計画「GS-STEP」の課題となります。
これまでの「GS-STEP」の2年間に実施した具体的な施策としては、ベルギー及び米国の<エバール>、西条の光学用ポバールフィルム、韓国のPVBフィルムなどビニルアセテート関連事業を中心に設備投資を実施し、拡大する需要への供給体制を整えました。また、コア事業の強化策の一環として、イソプレン事業のタイにおける事業化の検討を開始しました。さらに、ビニロンの新プロセスの開発や<ベクトラン>の生産性向上に取り組み、技術革新を推進しました。
この期間では、米国ポバール樹脂新工場の建設及び立ち上げの遅延や為替が円高に振れたことによる逆風もありましたが、原油価格下落に伴い原燃料コストが低下する追い風もあり、業績は連続して最高益を更新することができました。
2017年度は米国新大統領の政策、英国の欧州連合からの離脱による欧州諸国との関係性の変化及び欧州主要国で予定されている国政選挙などにより、世界経済は不透明感が増すことが懸念されます。このような環境のもと当社グループは、コア事業において買収事業のシナジー発現を加速するとともに、技術革新を推進し顧客ニーズに合った開発を行っていきます。また、全事業において品質及びコスト競争力を高めると同時に、グローバルITや人材活用など経営基盤の強化も進めます。さらに将来の成長戦略の一環として、当社100%出資の子会社であるクラレケミカル株式会社を2017年1月1日付けで吸収合併し、技術や知見などを複合的に組み合わせた技術革新を進めるとともに、海外ネットワークなど当社グループが保有する経営資源を最大限活用し炭素材料事業の強化・拡大を加速します。
中期経営計画「GS-STEP」は最終年度である2017年度に売上高6,500億円、営業利益900億円、売上高営業利益率13.8%、1株当たり当期純利益163円を掲げていますが、事業を取り巻く環境の変化により拡大のスピードが遅れた事業や戦略の修正を余儀なくされた事業などもあり、現時点で目標の達成が困難な状況です。
このような状況を真摯に受け止め、「GS-STEP」最終年にあたり、残された課題を確実に実行していくとともに、施策の効果発現が遅れている事業や市場環境の変化などにより見直しが必要な事業においては戦略の修正を行い、2018年から新たに始まる新中期経営計画に繋げていく所存です。
なお、2016年3月に当社は防衛装備庁が発注する繊維製品の競争入札に関して公正取引委員会の立ち入り検査を受けました。当社は、その事実を厳粛に受け止め、公正取引委員会の調査に全面的に協力するとともに、独占禁止法遵守に関する社内指針の改定、法令遵守のトップメッセージの発信、管理職層及び営業職に対する研修によるコンプライアンス意識の強化、就業規則の見直しや同業他社との接触ルールの整備等コンプライアンス体制の一層の強化に努めています。
<株式会社の支配に関する基本方針>
Ⅰ.当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
昨今、日本の企業社会の構造は大きく変わりつつあります。たとえば、株式の持合いの解消が進み、会社は株主のものとする考え方や株主の声に配慮した経営が一層浸透する一方で、企業買収に対する株式市場、企業社会の理解も深まってきています。こうした中で、企業買収の対象となる会社の経営陣と十分な協議や合意のプロセスを経ることなく、いわば敵対的に、突如として株式の大量買付けを強行する動きが顕在化しています。もとより、当社は、このような敵対的な株式の大量買付けであっても、その具体的な条件・方法等によっては、当社の企業価値・株主共同の利益の向上に資する場合もあると認識しております。そして、当社が資本市場に公開された株式会社である以上、当社の株式の買付提案に応じるべきか否かの判断は、最終的には、個々の株主の皆様によってなされるべきであると考えております。
しかしながら、上記のような一方的な株式の大量買付けの中には、株主の皆様に対して当該大量買付けに関する十分な情報が提供されず、株主の皆様に株式の売却を事実上強要するおそれがあるものや、株主の皆様が当該大量買付けの条件・方法等の検討を行ったり、当社取締役会が代替案の提案等を行ったりするための十分な時間が確保されないもの、その他真摯に合理的な経営を行う意思が認められないもの等の当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なう株式の大量買付けもないとはいえません。
当社といたしましては、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業理念、及び当社の企業価値の源泉をなす重要な経営資源を十分に理解した上で、当社の企業価値・株主共同の利益を中長期的に確保・向上させることを真摯に目指す者でなければならないと考えております。したがいまして、上記のような当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうおそれのある株式の大量買付けを行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。
Ⅱ.基本方針の実現に資する取組み
当社は、企業価値を安定的かつ持続的に向上させていくことこそが株主共同の利益の向上のために最優先されるべき課題であると考え、以下のような事項をはじめ、当社の企業価値・株主共同の利益の向上のための様々な取組みを行っております。これらの取組みは、上記Ⅰ.の当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の実現に資するものであると考えております。
1.中期経営計画に沿った事業の強化・拡大
当社が目指すべき長期的な方向性を示す「長期企業ビジョン」で掲げた「世界に存在感を示す高収益スペシャリティ化学企業」を実現するため、2015年度から2017年度の3ヵ年計画として中期経営計画「GS-STEP」に取り組み、コア事業の深耕、技術革新、次世代成長モデル、経営資源最適配置及び環境への貢献を主要な経営戦略とし、前中期経営計画「GS-Ⅲ」期間に実施した様々な施策の成果を結実させること、ならびに、事業拡大に向けた経営基盤の構築を確実に進めることにより、高収益を実現し、さらなる成長に向けて諸々の戦略を実行してまいります。
2.コーポレート・ガバナンス体制の構築
当社は、経営の効率性と公正性を確保する効果的なコーポレート・ガバナンス体制の構築により、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行い、多様な利害関係者との適切な関係を維持し、社会に対する責任を果たすことが、長期的・持続的に企業価値・株主共同の利益を向上させ、上記1.に記載の基本方針の実現に資するものと考えます。当社は、この認識のもとに、以下の諸施策の実施を通じてコーポレート・ガバナンス体制を構築しています。
① 社外取締役による経営監督機能の強化及び執行役員制度による経営の意思決定と業務執行責任の分離
② 社外監査役による監査機能の充実
③ 社外有識者による社長の業務執行に対する助言を目的とした経営諮問会議の設置
3.株主の皆様への利益配分についての基本方針
当社は、株主の皆様に対する利益配分を経営の重要課題と位置付け、当社の企業価値・株主共同の利益を確保・向上させるべく、株主の皆様に対する経営成果の還元と将来の成長力の確保に配慮しつつ、適正な利益配分を行うよう努めています。
当社は、中期経営計画「GS-STEP」の実施期間における利益配分として、親会社株主に帰属する当期純利益に対する総還元性向を35%以上、1株当たり年間配当金を36円以上といたします。
Ⅲ.基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、2015年3月27日開催の当社第134回定時株主総会の承認を得て、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上のための取組みとして、当社に対する濫用的な買収等を未然に防止するため、以下のとおり、当社の株式の大量買付行為に関する対応策(以下「本プラン」といいます。)を導入しました。
本プランに定められた手続(以下「大量買付ルール」といいます。)では、当社株式の保有割合が20%以上となる買付け等(以下「大量買付行為」といい、かかる買付行為を行う者を以下「大量買付者」といいます。)を行う大量買付者には大量買付行為を行う前に、大量買付行為に対する皆様のご判断及び当社取締役会の評価・検討等のために必要かつ十分な情報を提供していただくこととしております。当社取締役会は、当該情報に基づき所定の評価期間内に大量買付行為に対する意見を取りまとめ、株主の皆様に公表するとともに、必要に応じて大量買付者との間で大量買付行為の条件・方法について協議し、株主の皆様に対する代替案の策定等を行います。
大量買付者が大量買付ルールに従わずに大量買付行為を行おうとする場合には、当社取締役会は、当該大量買付行為を当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なう敵対的買収行為とみなし、新株予約権の無償割当てによる対抗措置を発動することができるものとします。他方、大量買付者が大量買付ルールに従って大量買付行為を行う場合には、当該大量買付行為が当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうものであると明白に認められる場合を除き、原則として当該大量買付行為に対する対抗措置は発動しません。
当社取締役会は、対抗措置の発動に先立ち、社外取締役及び社外監査役で構成される特別委員会に対して対抗措置の発動の是非について諮問し、特別委員会の勧告を最大限尊重するものとします。また、当社取締役会は、特別委員会の勧告または当社取締役会の判断に基づき対抗措置の発動の是非につき株主の皆様のご意思を確認するための株主総会を招集する場合には、当該株主意思確認総会の決議に従うものとします。
なお、本プランの有効期間は、2015年3月27日開催の当社第134回定時株主総会の終了時から2018年に開催される当社第137回定時株主総会の終結時までです。
Ⅳ.上記Ⅱ.の取組みについての取締役会の判断
当社は、企業価値を安定的かつ持続的に向上させていくことこそが株主共同の利益の向上のために最優先されるべき課題であると考え、当社の企業価値・株主共同の利益の向上を目的として、上記Ⅱ.の取組みを行っております。これらの取組みの実施を通じて、当社の企業価値・株主共同の利益を向上させ、それを当社の株式の価値に適正に反映させていくことにより、当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうおそれのある当社株式の大量買付けは困難になるものと考えられます。したがいまして、上記Ⅱ.の取組みは上記Ⅰ.の基本方針に沿うものであり、株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
Ⅴ.上記Ⅲ.の取組みについての取締役会の判断
上記Ⅲ.の取組みは、十分な情報の提供と十分な検討等の期間の確保の要請に応じない大量買付者、及び当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なう大量買付行為を行いまたは行おうとする大量買付者に対して、対抗措置を発動できることとしています。したがいまして、上記Ⅲ.の取組みは、これらの大量買付者による大量買付行為を防止するものであり、上記Ⅰ.の基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みであります。また、上記Ⅲ.の取組みは、当社の企業価値・株主共同の利益を確保・向上させることを目的として、大量買付者に対して、当該大量買付者が実施しようとする大量買付行為に関する必要な情報の事前の提供、及びその内容の評価・検討等に必要な期間の確保を求めるために導入されたものです。さらに、上記Ⅲ.の取組みにおいては、株主意思の重視、合理的な客観的要件の設定、特別委員会の設置等の当社取締役会の恣意的な判断を排し、上記Ⅲ.の取組みの合理性を確保するための様々な制度及び手続が確保されているものです。
したがいまして、上記Ⅲ.の取組みは上記Ⅰ.の基本方針に沿うものであり、株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、また当社の役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
当社グループの業績(経営成績及び財政状態)等に重要な影響を及ぼすリスクには以下のような項目があります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2016年12月31日)現在において当社が判断したものです。
① 事業環境の変化に関わるリスク
当社グループは、多様な事業ポートフォリオを有しており、製品市場もグローバルかつ様々な用途分野に展開しています。さらに、当社の製品は特殊化学品が多く、一般に比べて商品市況の影響を受けにくい構成になっていますが、近年、用途分野を電子・電機、自動車、環境等の成長分野へシフトさせつつあり、業績の依存度も高まっています。これらの分野は、最終製品における業界標準の転換、短い製品寿命、グローバルな開発競争等、市場変化が激しいため、当社製品についても市場環境や競争条件が激変するリスクがあります。
また、当社グループの製品である化成品、合成樹脂、合成繊維の原料は、原油、天然ガスの市況に影響を受けるエチレン等の石油化学製品です。このため、予想を超えるこれらの市況の変動が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これらの事業環境の変化により、重要な事業が縮小・撤退を余儀なくされるリスクがあります。
② 事故・災害に関わるリスク
当社グループは、日本及び欧州、北米、アジア、豪州に生産拠点を設けており、これらの多くは大規模な化学工場です。爆発、火災、有害物質の漏洩などの事故・災害の未然防止、及び災害発生時には被害の極小化に努めるとともに、重要な生産設備については、拠点分散や損害保険によるリスク対応を行っていますが、重大な保安事故、環境汚染や自然災害が発生すれば、従業員や第三者への人的・物的な損害、事業資産の毀損、長期の生産停止が生じるリスクがあります。
また、重要な原材料、設備・メンテナンス部品やサービスの提供などを担っているサプライヤーにおける事故・災害の発生により、当社グループの製品供給に影響が生じるリスクがあります。
③ 係争・法令違反に関わるリスク
当社グループは、独自技術による事業を数多く有しており、将来において、当社グループの知的所有権への重大な侵害や当社の権利に対する係争が発生するリスクがあります。
また、当社グループは、自動車、電気・電子材料、医療、食品包装等、最終製品の品質確保に重要な役割を担う製品を数多く供給しています。当社グループでは主に製造拠点単位で品質マネジメントシステムを導入し品質の向上に努めていますが、品質の欠陥に起因する大規模な製品回収が発生すると、PL保険でカバーできない損害賠償等の損失が発生するリスクがあります。
当社グループの各事業拠点においては、コンプライアンス体制を構築し、法令等の遵守に努めていますが、重大な法令違反を起こした場合、また現行の法規制の変更や新たな法規制等が追加された場合には、事業活動に制約を受けるリスクがあります。
④ 為替の変動に関わるリスク
当社グループは、日本国内及び欧州、北米、アジア、豪州などの海外諸地域で生産、販売を展開しています。当社グループが国内で生産し、海外へ輸出する事業では製品の輸出価格が為替変動の影響を受けます。一方、海外の事業拠点で生産、販売する事業では、異なる通貨圏との間の調達・販売価格及び外貨建て資産・負債の価額が為替変動の影響を受けます。このため想定を超える為替変動は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ その他のリスク
当社グループは、グローバルな事業展開を行っており、戦争・暴動・テロ、伝染病等、偶発的な外部要因によって事業活動に支障が生じるリスクがあります。
(当社が契約主体である合弁契約)
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相手先 |
内容 |
期間 |
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浙江禾欣控股有限公司(中国) |
人工皮革用基布の製造販売を目的とする合弁会社の設立・運営 |
2004年7月13日から22年間 |
(注)当連結会計年度において、合弁期間を10年間延長し、2026年7月13日までとする合弁契約を締結しました。
(吸収合併契約)
当社は、2016年9月28日開催の取締役会において、当社とクラレケミカル株式会社(当社100%子会社)が合併することを決議し、同日付で合併契約を締結しました。なお、詳細は「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおりです。
当社グループにおける研究開発活動は、私たちの使命「私たちは、独創性の高い技術で産業の新領域を開拓し、自然環境と生活環境の向上に寄与します。」に基づいて、社内カンパニー・事業部・連結子会社に所属するディビジョン研究開発とコーポレート研究開発との緊密な連携の下に推進されています。
2015年度よりスタートした中期経営計画「GS-STEP」に掲げた「世界に存在感を示す高収益スペシャリティ企業」の実現を目標とし、技術革新を通じ新たな製品・用途開発を行うことで業容を拡大していきます。「GS-STEP」では「強い素材の開発と成形加工技術の深化・横展開」、「社内で保有しない技術の外部活用」、「カンパニーと関係会社の協働強化」を重点方針として掲げています。本方針に基づき、新事業創出を目指す「高い市場成長力」をもつ分野として定めた、環境(水処理を含む)、エネルギー、光学・電子材料の重点領域において、早期に収益への貢献を果たすことを目指します。
コーポレート研究開発は、くらしき研究センター、つくば研究センター及びクラレリサーチ&テクニカルセンター(KRTC:米国及びドイツ)を擁し、世界規模の体制で運営しています。生産技術に関しては、技術開発センターにおいて「原理原則と現場感覚の最適融合」による生産技術開発を推進しています。ディビジョン研究開発は、社内カンパニー・事業部・連結子会社が各事業所に研究開発部署を有しています。コーポレート研究開発とディビジョン研究開発は密接に連携し、基幹事業の強化及び新事業の開発加速のために活動を推進しています。これらを合わせた当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発人員数は957人です。当連結会計年度のセグメントごとの研究開発費は、ビニルアセテート5,943百万円、イソプレン1,724百万円、機能材料2,034百万円、繊維1,653百万円、トレーディング153百万円、その他1,058百万円、全社共通(コーポレート研究開発)7,262百万円、合計19,830百万円になります。
セグメントごと及びコーポレートの研究開発活動を示すと次のとおりです。
[ビニルアセテート]
・ポバール樹脂、ポバールフィルム、PVBフィルム、<エバール>樹脂の酢酸ビニルチェーンについては、世界のリーディングカンパニーとして、国内外の研究開発部署が連携し、新規用途開発、新商品開発、新規生産技術開発も併せて、研究開発活動を推進しています。
・ポバール樹脂は当社ビニルアセテートチェーンの根幹に位置する事業として日米欧亜の6工場を中心としたグローバルネットワークを強みとして市場開発を推進しています。自消、外販両面で安定かつ高い品質の原料供給を基本とし、クラレ発の新規技術を積極投入や技術サービスネットワークの強化により付加価値の高いビジネス機会を提案します。
・PVBフィルムは、グローバルな研究開発体制を強化しており、自動車用途・建築用途の高付加価値品の開発を進めています。また、グローバル体制を生かし、社外と連携した活動も各極で推進しています。
・ガスバリア材料では、既存銘柄に加え、スーパーバリア材料<エバール>AP、コーティング系透明バリアフィルム<クラリスタ>など食品包装用途を中心に更なる用途拡大を目指します。また、プラスチック製燃料タンクや土壌燻蒸用フィルム用<エバール>樹脂、家庭用冷蔵庫などに使われる真空断熱板用の<エバール>フィルムなど、省エネルギー・地球環境保全に貢献する製品を積極的に展開していきます。
・2015年に買収したPlantic Technologies Limitedのでんぷん系バリアプラスチック事業に関しては、原料、成形技術に遡った研究開発を行い、新規製品の上市による市場拡大を加速することで、上記の既存バリア材料事業とのシナジー効果を早期に発現させます。
[イソプレン]
・エラストマー関連では、植物由来の原料ファルネセンを用いた液状ゴム及び熱可塑性エラストマーを開発しています。液状ゴムは、高機能タイヤの「グリップ性能」「耐摩耗性」等の向上が評価され、国内メーカーの2016年モデルに採用されました。海外大手タイヤメーカーでも評価が進んでおり、更なる採用拡大に向けて研究開発、マーケティング活動を進めていきます。
・イソプレンケミカル関連では、独自性の高いC4ケミストリーをさらに進化させた化学品として、香料、溶剤や特殊インキ関連の材料開発、ならびに精密有機合成技術を基盤にした新規材料など機能性化学品の創出に取り組んでいます。
・耐熱性ポリアミド樹脂<ジェネスタ>では、自動車樹脂部品の複合化に伴い普及しつつあるレーザー溶着に対応したレーザー透過グレードを開発し、自動車の冷却部品への販売拡大が進んでいます。また、新規に開発したハロゲンフリー難燃銘柄は幅広い厚みで難燃性を確保でき、電気電子部品用途の市場拡大が進んでいます。
[機能材料]
・メタクリル樹脂については、差別化ポリマーの拡充とメタアクリル系樹脂を活用した新規用途開発、新商品開発を主体に研究開発活動を行っています。
・メディカル事業では、クラレノリタケデンタル株式会社の無機/有機の技術の融合による新規歯科材料の開発に注力し、CAD/CAM用ジルコニア、高強度レジン等のデジタル化の流れにも対応した開発、商品化を行っています。また、人工骨インプラント<リジェノス>に吸収性骨再生用材料<アフィノス>を加え、配向連通孔技術を特長に、多面的な展開を進めています。
・人工皮革<クラリーノ>については、環境対応型革新プロセス(CATS)による特長を生かした新商品開発により、販売拡大が進んでいます。
[繊維]
・PVA繊維<ビニロン>については、革新プロセス(VIP)によるフィラメントの実証プラントを建設し、国内外の顧客にて実用化試験の段階に入っています。現在は、高強度フィラメントや新しい繊維の開発を進めています。FRC(セメント補強材)は、欧州の農業向け波板の需要が低迷するも、アスベスト非使用製品が本格化する中南米など新興国を中心に拡販に努めます。また、軽量な成型品の量産化技術がほぼ完成し、アジア地域での実販化を目指します。
・高強力繊維<ベクトラン>については、高採算の中細繊度品が伸長し、収益を確保しました。
・新型不織布<フェリベンディ>については、伸縮包帯用途は欧州での実販を機に、海外での展開を加速しています。またバイオクリーンルームを新設し、メディカル分野への展開を強化します。
・難燃繊維(ポリエーテルイミド繊維)は、耐熱性、低発煙性や分散染料可染等の特長を生かして、航空機用インテリアや資材に採用されました。原料メーカーや欧州大手繊維メーカーとの協働によって、更に各種航空機用資材や防護資材への展開を進めます。
[トレーディング]
・ポリエステル長繊維<クラベラ>では、①熱水に溶解し、生分解性をも有する特殊水溶性樹脂<エクセバール>を用いた水溶性繊維<ミントバール>とウールを複合した<ミントバールミックス>、②高白度でありながら透け防止性能に優れる<エクステージ> など、環境に優しい、高機能性をキーワードにした独自素材の開発に注力しています。
[その他]
・アクア事業推進本部では、中空糸ろ過膜を用いた様々な水の製造・回収、ポリビニルアルコール(PVA)ゲルを用いた産業排水の処理・回収、海洋生態系保全のための海水処理などを通して、「高品質で安全な水の提供」と「環境負荷の低減」に貢献する素材・装置・プラント・技術開発に取り組んでいます。
・クラレケミカル株式会社では、「Ecology & Amenity」を企業コンセプトとし、「環境・エネルギー」分野をメインターゲットに、活性炭や炭素材料を用いた新規用途開発に取り組みました。なお、炭素材料事業の早期拡大を企図して、クラレケミカル株式会社は当社に吸収合併され、2017年1月からは炭素材料事業部として引き続き開発に取り組んでいます。
・クラレプラスチックス株式会社では、当社の研究・開発部門と連携し、家電・電子部品、自動車部品、建材、生活用品、メディカル、スポーツ用品等用途でのスチレン系エラストマーを使用した機能性コンパウンド、同コンパウンドをべースとしたフィルム・シートや不織布等の二次製品、エバールフィルムに特殊コーティング加工をした新規フィルム、成型加工技術を利用したスマートハウス向け断熱換気ダクトや土木用途を中心とした繊維複合ホース等の開発を推進しています。
[コーポレート研究開発]
・コーポレート研究開発は、市場成長が期待される「水・環境」、「エネルギー」、「電子・光学」分野を重点注力分野とし、新規事業の創出と育成に注力しています。また、当社事業の急速なグローバル化に対応し、グループ海外拠点との連携を強化しています。2016年度は<酢ビ系高分子研究所>と<構造・物性研究所>が中心となり、欧米・アジア各拠点との連携強化を図りました。各拠点に点在する研究開発ニーズや技術課題の共有、これまで当社が蓄積してきた分析技術の海外拠点での活用などを進め、コーポレート研究開発とディビジョン研究開発のグローバルレベルでの連携が本格的に始動しました。
・リチウムイオン二次電池(LiB)の研究開発・市場開発に関し、クラレケミカル株式会社と株式会社クレハの子会社である株式会社クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパンによる生産合弁会社である株式会社バイオハードカーボンを2016年4月に当社に吸収合併し、当社グループ単独事業として改めてスタートしました。植物を原料とし当社独自炭素構造由来の低吸湿、耐酸化性を備え、黒鉛に迫る電気容量のハードカーボンを中心に、新たに当社ポリマー技術より低抵抗を特徴とする水系バインダーを加え、急速な拡大が見込まれるハイブリッド車や電気自動車などの車載用市場向けの電池負極材の開発を一層加速していきます。
・当社コア技術を用いて水処理膜として有益な新規イオン交換膜を開発しました。急速に工業発展している中国やインド等の新興国においては、水不足や水質汚染が年々深刻化しており、産業排水の再生・再利用の観点から排水をゼロにする技術(ZLD:ゼロ・リキッド・ディスチャージ)が注目されています。当該技術に適応できる新素材の研究開発を進め、水回収率及び排水濃縮率が高く、膜汚染に対する耐久性が高い、ポリビニルアルコール系の水処理膜の開発に成功しました。国内外の水処理エンジニアリング会社と連携して、工場排水を用いたパイロット試験と市場開拓を進めています。
・新規アクリル系の特殊フィルムの開発において、アクリルの透明性を生かしながら、新たな機能を付与させた製品の用途開拓を推進しています。展示会においては、多くの顧客からサンプル供給の要求を受けるなど、注目を集めています。光学や加飾分野での採用が見込まれ、市場投入に向けた販売体制の準備を進めています。
・当社独自技術による新規光硬化性エラストマーを新たに開発しました。当社独自の高分子技術により、エラストマー部と光硬化性部の分子量や配列を自在にコントロールし、これまでの光硬化性樹脂にはない優れた硬化性と柔軟性の両立を実現しました。アクリル系由来の「透明性」「耐候性」「接着性」などの特長を持つとともに、柔軟性と強度の制御が自在、各種モノマーとの配合の自由度が高い、硬化時に収縮しにくく、寸法安定性が良好等の優れた特長も併せ持っています。粘・接着剤、コーティング剤、成形材料等の領域で市場展開を加速していきます。
・電材事業として、①高周波回路基板用途の液晶ポリマーフィルム<ベクスター>の事業拡大、及び②半導体製造工程で用いられる高性能CMP(化学機械研磨)パッドの事業化を進めています。①の液晶ポリマーフィルム<ベクスター>は、高周波特性が求められる車載用途で数量が拡大しました。②の高性能CMPパッドは販売が始まり、さらに複数の半導体メーカーにて評価が進捗しています。
・微細パターン設計・成形技術を用いた微細パターン付きフィルムを開発し、アミューズメント用途や次世代自動車ディスプレイ用途等での市場開拓活動を進めています。バーチャルリアリティ(VR)や拡張現実(AR)といった用途でマイクロレンズアレイフィルムの採用実績も出てきており、更なる市場拡大を目指し、新しいニーズに合った商品開発を更に加速しています。
・光学設計技術、及び、金型設計技術を活かしたPMMA製導光板をエッジライト方式のLED照明用途へ展開しています。高い照度、配光特性のコントロール及び異方出射特性を有するLED照明器具の開発に成功し、省エネ化、薄型化、軽量化された照明器具への採用実績が出てきており、更なる市場拡大を目指し、大手照明メーカー、設計事務所、及び、大手建設企業との共同開発を進めています。
・当社の微細成形技術を用いて開発したマイクロ空間細胞培養プレート<Elplasia>の市場評価が進み、がんの創薬スクリーニング用途、及び、再生医療細胞培養用途での採用実績が徐々に出てきています。将来の市場拡大に向けて、産学官連携プロジェクトへも積極的に参画しています。また、主戦場である米国展開に関しては、大手メディカル商社との提携を模索しており、ローカル化を加速しつつあります。
・オープン・イノベーション推進部を設立しました。2011年開設のシリコンバレーの拠点とリンクさせ、これまで作り上げたネットワークを通して得られた社外提携の種を当社の既存技術や事業と融合させることで、新しいイノベーションを興す作業を進めています。
(1) 経営成績の分析
当連結会計年度における経営環境は、日本では年度終盤の円安により景気回復の兆しがみられました。世界経済では、米国の景気は個人消費に加えて良好な雇用情勢が追い風となり、好調に推移しました。欧州は緩やかな景気回復が続きました。なお、英国が欧州連合からの離脱を選択したことで先行きに不透明感はあるものの、足もとでは大きな影響はありませんでした。中国経済は政府の消費刺激策が功を奏し、景気減速に歯止めがかかりました。新興国経済は景気減速が継続しました。
このような状況において、当社グループは「世界に存在感を示す高収益スペシャリティ化学企業」を実現すべく、2015年度よりスタートした中期経営計画「GS-STEP」において掲げた経営戦略を順次実行しています。
セグメント別の状況につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」に記載のとおりです。
(2) 財政状態の分析
総資産は、有価証券の増加等により前連結会計年度末比23,663百万円増の725,433百万円となりました。負債は環境対策引当金の増加等により前連結会計年度末比6,274百万円増の204,454百万円となりました。純資産は前連結会計年度末比17,389百万円増加し、520,978百万円となりました。自己資本は512,959百万円となり、自己資本比率は70.7%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標は以下のとおりです。
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2015年12月期 |
2016年12月期 |
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自己資本比率(%) |
70.7 |
70.7 |
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時価ベースの自己資本比率(%) |
73.7 |
85.1 |
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キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
0.6 |
0.6 |
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インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
128.7 |
127.1 |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務諸表数値により計算しています。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。
3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。
4.有利子負債は短期借入金、コマーシャル・ペーパー、長期借入金及び社債の合計額を使用しています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
(4) 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、目指すべき長期的な方向性を示す「長期企業ビジョン」を踏まえ、このビジョンの実現に向けた挑戦を続けています。
次期の経営環境については、米国新大統領の政策、英国の欧州連合からの離脱問題及び欧州主要国で予定されている国政選挙など世界経済は先行き不透明感が増しています。その中において日本は緩やかな景気の回復が見込まれます。米国景気は総じて好調に推移することが期待され、欧州の景気は緩やかな回復の継続が予想されます。中国は景気後退に歯止めがかかり、小康状態が続くことが見込まれ、新興国は引き続き成長減速が懸念されます。
2016年までの原燃料価格下落によるコストの低下はこれまで当社の業績に追い風となりました。しかし、次期は原燃料価格上昇とそれに伴う製造原価のアップが見込まれます。一方、製品販売価格の調整にはタイムラグが生じることから、次期も引き続き一部の製品で販売価格の下落が懸念されます。
これまでの中期経営計画「GS-STEP」の2年間は、計画で掲げた5つの主要経営戦略(コア事業の深耕、技術革新、次世代成長モデル、経営資源の最適配置、環境への貢献)の具体的施策を着実に実行してきました。次期は「GS-STEP」最終年にあたり、残された施策を確実に実行していくとともに、施策の効果発現が遅れている事業や市場環境の変化により見直しが必要な事業においては戦略の修正を行い、2018年から新たに始まる次期中期経営計画に繋げていく所存です。
※文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものです。