(1) 業績
当期の世界経済は、米国を中心とする先進国が安定した成長ペースを徐々に取り戻す一方で、中国をはじめ新興国の経済活動は全般に弱含みで推移し、グローバルの成長率としては力強さを欠いたものとなりました。また国内経済は、内需を牽引役とした回復傾向が続きましたが、輸出や設備投資については伸び悩む等、本格的な自律回復には道半ばという状況です。
このような状況のもと、当期の連結決算において、売上高は7,844億円(前期比5.2%増)となりました。また営業利益は、電子材料・化成品事業の収益が低迷した一方で、高機能繊維・複合材料事業が復調したことから181億円(前期比46.3%増)となりました。経常利益は持分法適用会社での税効果見直しに伴う増益等により前期比でおよそ倍増の199億円となり、当期純利益は、特別損益において投資有価証券の売却益や固定資産の減損損失の減少等もあり、同375億円増の84億円となりました。また1株当たり当期純利益は8円50銭となりました。
当連結会計年度における事業の概況は次のとおりです。
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高機能繊維・複合材料事業 |
:[売上高 1,236億円(前期比 11.1%増)、営業利益 57億円(前期 営業損失 47億円)] |
<高機能繊維分野:自動車関連用途を中心に需要が回復、炭素繊維・複合材料分野:主力用途の販売は順調に推移>
アラミド繊維分野における、パラアラミド繊維「トワロン」では、欧州のタイヤ向け等自動車関連用途の復調に加え、光ファイバー・ロープ補強用途といったインフラ関連での販売が堅調に推移しましたが、一方で防弾・防護用途では需要低迷が継続しました。また、価格面での競争は激しさを増しています。パラアラミド繊維「テクノーラ」は国内の自動車関連用途の販売が安定的に推移し、輸出においても円安効果が加わり採算が改善しました。メタアラミド繊維「コーネックス」は、産業資材用途において販売は堅調に推移しましたが、フィルター用途では需要伸長の中、競合が激化しています。
ポリエステル繊維では、自動車関連用途等の販売が堅調に推移し、タイ子会社は順調に収益を回復しましたが、国内では一部原料価格の上昇等もあり採算が低迷しました。
このような環境下で、優れた熱防護性と安定した染色性を持つ新規メタアラミド繊維の事業化を決定し、平成27年7月のタイでの稼働に向けて準備を着々と進めています。今後、難燃規制・環境規制強化を背景に、高い成長が見込まれるアジア・新興国での事業拡大を図っていきます。また中国浙江省に設立したポリエステル製品のリサイクル合弁事業は、平成26年度の生産開始に向け建設が進んでいます。
炭素繊維・複合材料分野では、炭素繊維「テナックス」は、航空機用途の需要が堅調に推移し、一般産業用途ではシェールガスの生産拡大を背景とした、圧力容器向け用途の需要が北米で順調に推移しました。その他の用途は欧州、中国経済の先行き不透明感により軟調な展開となりました。また、これまで低位に推移していた製品価格は回復基調となりましたが、海外後発メーカーを中心とした販売攻勢により予断を許さない状況にあります。
このような状況のもと、平成25年7月にシンガポールに現地法人Toho Tenax Singapore Pte. Ltd.を設立し、インド・アセアンを中心としたアジアにおける事業体制を強化しています。
また、先進複合材料における研究開発推進の中核施設である複合材料開発センター(愛媛県松山市)においては、熱可塑性CFRP(炭素繊維複合材料)「Sereebo(セリーボ)*」による、自動車及び一般産業分野をターゲットとする市場開拓を進めています。本年度には、一眼レフカメラの構造部品において実用化される等、その革新性が実証されました。また車体軽量化への切り札として大きな潜在市場が期待される量産車構造部材への適用については、複合材料開発センター内の熱可塑性CFRPパイロットプラントと米国の用途開発センター(ミシガン州)との連携により、具体的な部品開発と量産化プロセスの確立に向けて着実に複数のプロジェクトを推進しています。
当セグメントの生産規模は、1,363億円(前期比 8.4%増、販売価格ベース)でした。
* 「Sereebo」=Save the earth, revolutionary & evolutionary carbon の略。“地球環境に配慮し、モノづく
りの現場に新たな革命を起こすことができる”ことを意味します。
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電子材料・化成品事業 |
:[売上高 1,794億円(前期比 2.2%増)、営業損失 72億円(前期 営業損失 19億円)] |
<樹脂分野:ポリカーボネート樹脂の需給バランス失調が継続、フィルム分野:国内PETフィルム生産拠点の集約によりコスト競争力を強化>
樹脂分野では、主力のポリカーボネート樹脂は、中国経済の減速等による景気停滞により需要が伸び悩む一方で、競合各社が稼働率確保、年度末在庫圧縮に動いた結果、価格競争が激化しました。そのような環境下、柔軟な価格対応での販売量確保、シンガポール工場の部分休止によるコストダウンといった諸策を講じていますが、収益面では苦戦を強いられました。
特殊ポリカーボネート樹脂は、台湾・中国・韓国のスマートフォン・携帯電話用カメラや車載カメラのレンズ向けが好調でした。樹脂加工品は、自販機ダミー缶、自動車メーターパネル、オートバイ風防向けの「パンライトシート」や、カーナビ反射防止用途の位相差フィルム「ピュアエース」が堅調に推移しました。更に樹脂グレージング*では、平成25年10月より日産自動車㈱の「NV200 ニューヨーク市タクシー」のパーテーション窓として「パンライト」が採用され、グレージング部材の本格的展開に向けた生産基盤を構築しています。難燃剤では従来の臭素系に、広範な樹脂に使用できるリン系難燃剤「FCX-210」を新規開発してラインナップに加え、エレクトロニクスや自動車市場を中心に用途展開を進めています。
フィルム分野では、米国デュポン社とグローバルに合弁事業を展開しています。
エレクトロニクス関連用途では、工程用離型フィルムの販売がスマートフォン・タブレット向けを中心に堅調に推移しましたが、一方で液晶TV向けは、パネルの供給過剰や海外フィルムメーカーとの競合激化に伴う価格低下により苦戦し、また特殊包装用途や磁気用途の需要も漸減する等、収益は低迷しました。このような状況下、日本では茨城事業所の製造ラインを休止し、生産拠点の集約化を実行中です。今後、生産ラインの効率運転を更に進め、コスト競争力の回復を図るとともに、離型関連用途等で顧客との取り組み強化・拡販を進めていきます。
海外拠点では、米国では需要の落ち込みの影響をコスト削減でカバーしきれませんでしたが、欧州では包装用途や一般工業用途が堅調に推移しました。中国は国内メーカーの増設により競争が激化していますが、需要は堅調に推移しており、高い技術力や品質管理力を武器に販売機会を捉え、収益の維持を図っています。
当セグメントの生産規模は、1,799億円(前期比 9.6%減、販売価格ベース)でした。
* グレージング:樹脂等により射出成形された、ガラス・金属代替パーツ
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ヘルスケア事業 |
:[売上高 1,384億円(前期比 0.1%増)、営業利益 245億円(同 1.1%減)] |
<医薬品分野:高尿酸血症・痛風治療剤の販売が順調に拡大、在宅医療分野:高水準のレンタル台数を維持・拡大>
医薬品分野では、国内医薬品事業を取り巻く環境は、競合新薬や後発品の伸長により、厳しさを増しています。そのような環境の中、高尿酸血症・痛風治療剤「フェブリク錠」は順調に販売を拡大し、同疾患領域において国内トップとなったシェアを更に拡大しています。また、骨粗鬆症治療剤「ボナロン*」も日本初の点滴静注剤や経口ゼリー剤といった新剤形を揃え、同疾患領域への更なる浸透を図っています。
海外での高尿酸血症治療剤の販売も順調に拡大しています。現在、販売提携国と地域は117に達しており、その内日本を含め37の国と地域で販売を開始していますが、残りの国・地域においても、順次販売承認を取得して更なる拡大を図っていきます。
在宅医療分野では、国内外で約43万人の患者様にサービスを提供しています。主力の在宅酸素療法(HOT)用酸素濃縮装置は、新機種「ハイサンソ3S」「ハイサンソポータブルα」の投入効果もあり、高水準のレンタル台数を堅調に維持しました。また、睡眠時無呼吸症候群(SAS)治療器は、携帯電話網を活用して治療状況をモニタリングし、そのデータを医療機関に提供することにより効果的な治療を実現する「ネムリンク」の投入効果もあり、高水準のレンタル台数を順調に伸ばしました。そのほか、補助換気療法機器(「NIPネーザルシリーズ」「オートセットCS」)、超音波骨折治療器(「SAFHS」)も順調に拡大しました。一方で患者様のサポート体制を強化するため、大阪市にコールセンターを新たに設置し、対応力の向上を図っています。加えて、脳卒中後遺障害等の歩行機能回復用の歩行神経筋電気刺激装置「ウォークエイド」を平成25年4月に上市し、首都圏の医療機関等から順次エリアを拡大すべく事業展開を進めています。
海外では、現在米国・スペイン及び韓国においてサービスを展開しています。米国では、医療制度改革に伴い保険価格が大幅に引き下げられる等、厳しい事業環境が継続していますが、営業所の統廃合・人員削減といった収益改善策を進めています。
当セグメントの生産規模は、553億円(前期比 0.4%減、販売価格ベース)でした。
* ボナロン®/Bonalon®はMerck Sharp & Dohme Corp.の登録商標です。
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製品事業 |
:[売上高 2,542億円(前期比 7.2%増)、営業利益 52億円(同 10.0%増)] |
<「商」と「工」の融合シナジーを活かした提案型ソリューションビジネスを推進>
繊維素材分野では、円安の影響もあり欧米向けファッション、スポーツ用途のテキスタイル輸出販売が好調に推移しました。特に海外大手スポーツアパレルとの「デルタ・シリーズ」での取り組みに代表される機能素材の開発に加え、アセアンでの生地供給体制の拡充により、販売を拡大しました。
衣料製品分野でも、新設のミャンマー法人を含めたアセアン地区生産基地の拡充に取り組み、素材から製品までのグローバル一貫体制の強化を進めました。主力の製品OEM事業は、秋口の出荷が順調であったことに加え消費税アップ前の駆け込み需要等の影響もあり売り上げ増となりましたが、円安と海外生産コストアップにより全分野にわたり採算面では苦戦しました。
産業資材分野は、自動車関連の国内外での順調な生産・販売を反映し、シート・タイヤ、伝動ベルト・ホース向けの素材・部材の展開がグローバルで大幅に拡大しました。一般繊維資材では、震災復興需要が一段落したことを受けテント、水産関連の荷動きは伸び悩みましたが、土木・建築用途、ミシン糸の販売は堅調に推移しました。一方でインテリア関連や化成品分野は市況低迷が継続、荷動きは低調となりました。
このような中で、発足1周年を経過した帝人フロンティア㈱は、総合展示会等を通じて、素材開発と製品OEM、すなわち「商」と「工」の融合シナジーを顧客・市場に広くアピールしています。
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その他 |
:[売上高 888億円(前期比 6.4%増)、営業利益 17億円(同 58.9%減)] |
IT事業は、ネットビジネス分野において電子書籍配信サービスの伸び等を背景として堅調な推移となりました。今後、同事業分野をより拡大させるための体制整備を目的として、インフォコム㈱の同事業分野を分社化し、平成25年10月に㈱アムタスとして事業を開始しました。同社の電子書籍配信サービスは売上高100億円を超える規模に成長しています。またヘルスケア分野では、AJS㈱から放射線部門システム事業を譲り受けて、シェアの更なる拡大に取り組んでいます。同分野の製薬企業向け事業では営業支援システムの開発・販売を強化しています。
原料・重合事業では、需給バランスの失調により採算が悪化したパラキシレンの自社生産・販売について平成26年3月末をもって中止しました。
新事業開発推進グループにおいては、韓国で生産しているリチウムイオンバッテリー用セパレーター「LIELSORT」の採用が、複数の電池メーカーで進んでおり、急伸しているアジア市場をターゲットとして事業拡大を図っています。また、中国において急拡大する水処理のニーズに対応するため、帝人(瀋陽)環保科技有限公司を拠点としてビジネスを展開しています。その他、プリンタブルエレクトロニクスに用いられるナノシリコンインクや、シェールガス・オイル掘削用途で注目の高まっている高耐熱性の植物由来バイオプラスチック「バイオフロント」、組織修復材料・DDS(薬物送達)基材といった先端医療材料等の事業化に向け、開発を進めています。なお、新事業開発推進グループは、プロジェクト案件の事業化に向けた取り組みを加速するため、平成26年4月より「新事業推進本部」へと組織再編を行っています。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが386億円の資金収入、投資活動によるキャッシュ・フローが473億円の資金支出及び財務活動によるキャッシュ・フローが79億円の資金支出となり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ157億円減少し、330億円となりました。
営業活動・投資活動・財務活動による各々のキャッシュ・フローの主な内容は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ257億円(40.0%)収入が減少し、386億円の資金収入となりました。これは主に、当期純利益に加え、減価償却費及びその他の償却費がが457億円あったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ94億円(24.9%)支出が増加し、473億円の資金支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が309億円、投資有価証券の取得による支出が212億円あったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ47億円(37.3%)支出が減少し、79億円の資金支出となりました。これは主に、長期借入金の返済等により有利子負債を圧縮したこと及び配当金の支払によるものです。
帝人グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「1.業績等の概要」における各事業のセグメントの業績に関連付けて示しています。
(1) 会社の経営の基本方針
帝人グループは、「人と地球環境に配慮した化学技術の向上と、社会と顧客が期待している解決策の提供により、本当の価値を実現することに挑戦し続けること」を通じて企業理念としている「人間への深い理解と豊かな想像力をもってクォリティ・オブ・ライフの向上に努める*1」企業となることを目指しています。
この企業理念のもと、「持続的な企業価値の増大」を図るために帝人グループは、「事業戦略」、「コーポレ
ート・ガバナンス」、「CSR*2」の三つを軸として事業運営を行います。また、これを通じ各ステークホルダー*3との信頼関係の構築に努めます。
*1 企業理念は、「クォリティ・オブ・ライフ」を中心として「社会とともに成長します」「社員とともに成長します」の3つです。
*2 CSR: 環境・安全・健康、コンプライアンス(社会規範・倫理・法令等の遵守)、社会貢献等の社会的責任
*3 ステークホルダー: 株主、従業員、債権者、顧客を含む取引先、消費者、地域社会等の利害関係者
(2) 目標とする経営指標
帝人グループは、ROA(総資産営業利益率)、ROE(自己資本当期純利益率)、またD/Eレシオ(有利子
負債/自己資本)を重要な経営指標として位置づけています。
(3) 会社の対処すべき課題
当社を取り巻く事業環境は、新興国経済の発展により競合が激化し、また市場構造の変化や商品・技術のライフサイクルの短期化が更に加速する中、今後益々厳しいものとなることが予想されます。このような中において、引き続き中長期ビジョンの基本方針として掲げた「ソリューション提供型のビジネスモデルへの進化」を通じて顧客価値を提供する企業を目指し、「構造改革」と「成長戦略」の両軸において持続的な成長への取り組みを進めていきます。
昨年度来取り組んでいる構造改革については、まず当社の事業領域を『市場の成長性』『技術的優位性』『採算性』『ビジネスモデル』の切り口から再度絞り込みます。その上で、それに見合う適正な『生産規模』『生産立地』『設備構成』を実現することで、収益基盤の再構築を図ります。
具体的な施策としては、以下のとおりです。
1)国内外生産・研究開発拠点の統廃合
2)戦略的アライアンス、OEM、M&Aの推進
3)汎用素材ビジネスの最適立地・適正規模化と、成長分野への資源集中
4)スタッフ部門効率化と全社コストダウン活動の継続推進
一方で成長戦略については、重点戦略事業と定めている「高機能繊維・複合材料」「ヘルスケア」及びその融合領域に、引き続き集中的に経営資源を投入し、将来の業績拡大へと結びつけていきます。素材事業においては、小型化、軽量化、強靭化、意匠性を実現する多彩な高機能素材群とそれらの複合化技術により、単なる素材提供に留まらず、部材や最終製品、あるいはサービスの提供にまでビジネス領域を拡大します。ヘルスケア事業においては医薬・在宅医療のシナジー、在宅医療の全国ネットワークといった強みを活かし、成長を加速します。
更に素材・ヘルスケアにITを組み合わせた新たなビジネスモデルの創出を目指して、帝人グループの総合力を結集して取り組み、持続的な成長を実現するとともに、社会から必要とされる価値を創出し続ける企業体を目指していきます。
(4) 会社の支配に関する基本方針
① 当社の株主の在り方に関する基本方針
(会社法施行規則第118条第3号にいう、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針)
当社の株主の在り方について、当社は、株主は市場での自由な取引を通じて決まるものと考えています。したがって、株式会社の支配権の移転を伴う買付提案に応じるかどうかの判断も、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えています。
しかし、当社株式の大量取得行為や買付提案の中には、「企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれのあるもの」「株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの」「買付の条件等が当社の本源的価値に鑑み不十分又は不適当なもの」等も想定されます。このような大量取得行為や買付提案を行う者は、例外的に、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないと考えています。
② 基本方針の実現に資する取り組み
当社では、多数の投資家の皆様に長期的に当社に投資を継続して頂くために、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取り組みとして、次の施策を既に実施しています。これらの取り組みは、上記①の基本方針の実現にも資するものと考えています
ア.「事業構造改革と成長戦略の推進」による企業価値向上への取り組み
当社は、世界に存在感のある「グローバルエクセレンスの獲得」に向けて、中長期ビジョンの基本方針として掲げている「ソリューション提供型のビジネスモデルへの進化」を通じて顧客価値を提供する企業を目指し、「構造改革」と「成長戦略」の両軸においての取り組みを進めています。平成26年度以降の具体的な施策は「(3)会社の対処すべき課題」に記載のとおりですが、これらの施策を着実に実施していくことにより持続的成長を実現していきます。
イ.「コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化」による企業価値向上への取り組み
当社は、企業価値ひいては株主共同の利益向上のために不可欠な仕組みとして、従来より、コーポレート・ガバナンスの強化を重要な課題に掲げ取り組んでいます。具体的には、以下の施策を実施しています。
1)意思決定、業務執行、監視・監査の3機能の分離と強化
2)国内外の有識者による経営全般への助言・提言を通じた「より良い経営、透明性の高い経営」の遂行と経営トップの評価を目的とした、取締役会の諮問機関としてのアドバイザリー・ボードの設置
3)コーポレート・ガバナンスに関する具体的な指針である「コーポレート・ガバナンスガイド」の制定と開示
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み(買収防衛策)
当社は、平成24年6月22日に開催された第146回定時株主総会において株主の皆様の承認を受け、当社株式の大量取得行為に関する対応策(以下、「本プラン」という)を更新しました。本プランの概要は以下のとおりです。
ア.対象となる買付
本プランの対象となる買付は、株式の保有割合が20%以上となる買付です。
イ.買付者との交渉手続き
買付者には、事前に買付説明書の提供を求め、当社が、情報収集や検討を行う期間を確保した上で、株主の皆様に当社経営陣の計画や代替案を提示したり、買付者との交渉を行っていくための手続きを定めています。
ウ.買付者が手続きを守らなかった場合の取得条項付新株予約権の無償割当て
買付者が前記手続きを守らなかった場合等には、独立委員会の勧告に従い、取締役会は、その時点の全ての株主に対し、保有株式1株につき1個の割合で「取得条項付新株予約権」を無償で割当てることを決議します。
エ.取得条項付新株予約権の取得と当社株式の交付
新株予約権に付された取得条項により、当社は買付者等以外の株主の皆様から新株予約権を取得しこれと引き換えに、新株予約権1個につき、当社株式1株を交付します。
オ.買付者等以外の株主の皆様への影響
買付者等以外の株主の皆様全員に平等に当社株式を交付しますので、株主の皆様の保有する株式の希釈化は生じません。買付者等には当社株式は交付されませんので、この交付により、買付者等の保有する当社株式の議決権割合を最大50%まで希釈化させる可能性があります。
カ.新株予約権の無償割当ての要件
新株予約権の無償割当ては以下のような所定の要件に該当し、新株予約権の無償割当てをすることが相当と認められる場合に行われます。
1)本プランに定める手続きを遵守しない場合
2)株式を買い占め、当社に対し高値で買取りを要求する場合等、買収の目的や買収後の経営方針等に鑑み、
当社の企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれがある場合
3)株式の売却を事実上強要するおそれのある買付である場合
4)買付の条件等が当社の本源的価値に鑑み不十分又は不適当な買付である場合
キ.発動までのプロセスの概要
買付者から買付説明書が提出された場合、社外取締役又は社外監査役のうち5名で構成される独立委員会は、取締役会に対して、買付者の買付の内容に対する取締役会の意見等を一定の期間内(30日を上限とします)に提示するよう求めることがあります。その後、最長60日間、情報収集・検討等を行います。独立委員会は、30日を上限として検討期間を延長することができるものとします。
独立委員会はこれらの情報収集・検討等に基づき、取締役会に対し、新株予約権の無償割当ての実施または不実施の勧告を行います。取締役会は、独立委員会の勧告を尊重し、これに従い最終的に新株予約権の無償割当ての実施または不実施の決議を行います。ただし、独立委員会が当該実施に関し株主総会の承認を予め得るべき旨の留保を付した場合、取締役会は、実務上可能な限り速やかに株主総会を招集し、新株予約権の無償割当ての実施に関する議案を付議するものとします。
*「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)」の詳細については、インターネット上の当社ウェブサイト(http://www.teijin.co.jp/ir/governance/defense/)に掲載しています。
④ 前記取り組みが、基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社役員の地位の維持を目的とするものではないことについて
当社では、本プランの設計に際し、以下の諸点を考慮し織り込むことにより、本プランが、基本方針に沿い当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致するものであり、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えています。
ア.株主意思の反映
本プランは、平成24年6月22日に開催された第146回定時株主総会において承認され発効し、その有効期限は、平成27年3月期の事業年度に関する定時株主総会の終結の時までの3年とします。また、当社取締役の任期は1年となっていますので、取締役の選任を通じて株主の皆様の意思を反映させることが可能です。更に、本プランの有効期間の満了前であっても、株主総会において本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されることになります。
イ.独立性の高い社外役員の判断の重視
当社は、本プランの導入に当たり、本プランの発動等の運用に際して、取締役会の恣意的判断を排除し、株主の皆様のために実質的な判断を客観的に行う機関として、独立委員会を設置しました。独立委員会は、社外取締役または社外監査役のいずれかに該当する者の中から取締役会が選任した者から構成します。
ウ.コーポレート・ガバナンスの強化と継続
当社では、定員10名以内の取締役のうち4名を独立社外取締役、監査役の過半数の3名を独立社外監査役とすること等により、意思決定、業務執行、監視・監査の3機能の分離と強化を図り、また、5~7名の社外アドバイザーと取締役会長(取締役会長が空席の場合は、相談役)、CEOで構成されるアドバイザリー・ボードを取締役会の諮問機関として設置して、CEOの交代及び後継者の推薦、帝人グループの役員報酬制度の審議等を行い、上記の取り組みを含むコーポレート・ガバナンスの指針を「コーポレート・ガバナンスガイド」として開示しています。
以上の施策は、我が国の上場会社において、コーポレート・ガバナンスの先駆的な取り組みと評価されています。この仕組みは、当社役員の保身的な行動を強く抑制するものであり、本プランの実施にあっても、その恣意的な行使を抑止する重要な機能を果たすことが期待されます。
エ.本プラン発動のための合理的な客観的要件の設定
本プランは、予め定められた合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ発動されないように設定されており、しかも、これらの客観的要件は当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないとされる場合と一致させています。これにより、取締役会による恣意的な発動を防止します。
業績等に影響を与える可能性のある重要な要因には、以下の事項があります。なお、業績に影響を与える要因はこれらに限定されるものではありません。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において帝人グループが判断したものです。
(1) 競合・市況変動にかかるもの
帝人グループは市況製品を展開しており、景気動向、他社との競合に伴う市場価格の変動により事業業績が大きく左右される可能性があります。
特に、景気や他社との競合という観点からは、ポリエステル繊維、ポリエステルフィルム、ポリカーボネート樹脂といった汎用素材の分野では、販売量、売値及び原燃料調達価格に関し変動を受けやすい構造となっています。また、これらの事業は、製造原価に占める原燃料コストのウェイトが高いため、原油価格の動向により、損益に大きな影響を受ける可能性があります。
また、帝人グループの素材事業は中間財が多く、末端需要の拡大・縮小が各段階での在庫調整により実体経済以上に増減する可能性があります。
加えて、ヘルスケア事業は、公定価格水準の変動といった価格変動要因以外にも他社との競争はますます激化しており、売値下落のリスクがあります。
また、為替や金利の変動が、帝人グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 製品の品質にかかるもの
ヘルスケア事業においては、ヘルスケア事業の中核会社である帝人ファーマ㈱内に、他の部門から独立した信頼性保証部門を設置し、事業活動全般における品質保証を確保する体制を敷いています。製造物責任賠償については保険に加入していますが、生命関連商品を取り扱っているため、製品の欠陥により、業績、財務状況、社会的評価等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 医薬品の研究開発にかかるもの
医療用医薬品の開発には、多額の費用と長い期間がかかるうえ、創薬研究において、有用な化合物を発見できる可能性は決して高くありません。また、臨床試験の結果、予測していた有効性が証明できない、あるいは予測していない副作用が発現した等の理由で承認申請を断念しなければならない可能性があります。また、承認申請した後でも審査の過程で承認されない、また、市販後調査の結果、承認が取り消される可能性があります。
(4) 海外活動にかかるもの
帝人グループは、中国、タイ・シンガポール等の東南アジア、ドイツ・オランダ等の欧州、米国等海外で事業展開しており、これら海外での活動について為替変動に係るリスクのほか、特に中国及び東南アジアの各国においては、次のようなリスクがあります。そのため、これらの事象が発生した場合は、帝人グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
① 予期しない法律・規制の施行、不利な影響を及ぼす租税制度の変更
② 経済変動、政変・テロ・戦争等による社会的混乱
(5) 事故・災害にかかるもの
帝人グループは、グループ共通の防災に関するガイドラインを整備し、防災診断、地震対策、火災予防等の未然防止対策や防災教育、防災訓練、防火設備強化等の拡大防止対策を積極的に推進しています。しかしながら、万一、大規模な自然災害や不慮の事故等により生産設備が損害を受けた場合や原材料の供給等サプライチェーンに大きな障害が生じた場合は、帝人グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度において締結している経営上の重要な契約は、以下のとおりです。
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契約会社名 |
相手先 |
内容 |
期間 |
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帝人㈱ (当社) |
デュポン社 (米国) |
合弁会社の設立等に関する契約 ・ポリエステルフィルムを製造・販売する合弁会社を世界6ヶ国で設立 |
1999.7.14 から 合弁会社の存続する期間 |
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帝人㈱ (当社) |
ベーリンガーインゲルハイム社 (独) |
技術等導入に関する契約 ・医薬品の供与 ・「ラキソベロン」等医薬品4品目の製造に関する技術 |
2005.1.1 から 2016.12.31 |
帝人グループでは、ブランドステートメント"Human Chemistry, Human Solutions"のもと、人々の暮らしを豊かにし、社会の発展に貢献することで事業の持続的成長と収益性向上を実現するための研究開発をグローバルな視野で推進しています。研究開発活動への積極的かつ効率的な投資を継続して実施しており、国内8ケ所、海外8ケ所のグローバル研究開発ネットワークにおいて1,600名余りの研究者が、基礎研究を含めたグループ全体の研究開発戦略に基づくR&D推進、連携強化を通じて、ソリューション提供を目的とした独創的なビジネスモデル構築を目指しています。
中長期経営ビジョン「CHANGE for 2016」で定めた帝人グループの成長戦略と、それを支える経営基盤の強化を基軸に据え、研究開発戦略として、事業の持続的成長や事業構造の変革を可能とする基幹技術群と、それを支える高分子化学や創薬技術、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー等の基盤技術の深化、拡充に取り組んでいます。具体的には、既存事業の深化、幅出しに加え、「グリーンケミストリー」「ヘルスケア」及びこれらの「融合領域」を研究開発の重点技術領域と定めて、強化を進めています。これらを核に、サプライチェーンやビジネスモデルの変革を念頭におき、素材等の一次製品の提供ではなく付加価値をつけた部材・デバイスまでを作り上げて納入する、あるいはIT技術を活用したヘルスケア分野での新しいサービスを提供する等、従来のビジネスの域を超えた価値創造、ポートフォリオ変革を積極的に推進していきます。
平成26年度から研究開発機能の強化と研究開発成果の早期事業化の推進を目的にいくつかの組織改編が計画、実施されました。研究開発機能を強化するために、「技術最高責任者、研究部門、エンジニアリング本部」を統合し、技術本部を設置しました。また、個別プロジェクトを推進、事業化を加速するために、新事業推進本部を設けました。
既存事業に関しては、事業競争力の向上を目標に、プロダクトパイプラインの充足と技術ロードマップの見直し、最適な生産体制への再編成、研究開発への効率的な投資等を進めています。また、素材自体の強みと高次加工技術との組み合せ、顧客一体での商品開発による、顧客にとっての価値を生むユニークな部材・デバイスの開発も目指します。更に、産官学連携等のオープンイノベーションの推進、知財戦略や構造解析能力等、研究開発活動を支える機能・組織の見直しとインフラ機能の強化、技術系人材の育成を推進しています。
人材育成に関しては、高分子・バイオ関連分野の研究者の大学教授や研究者が集まるフォーラムの開催、国内外の最先端研究機関への若手研究員派遣を積極的に推進しています。特に、平成22年度ノーベル化学賞を受賞され、帝人グループの名誉フェローにご就任いただいている根岸英一 米・パデュー大学特別教授には、国内研究員のコンサルテーションと「Teijin Limited Director of the Negishi-Brown Institute」としての派遣研究員への直接のご指導をお願いしています。これらの活動から、幾つかの新しい技術開発の成果も出てきつつあり、研究者のモチベーション向上にも繋がっています。
各重点技術領域での研究開発は着実に進捗、成果を挙げつつあります。
なお、当連結会計期間の研究開発費は322億円(前期比10億円減)でした。
また、報告セグメントごとの研究開発活動の概要は次のとおりです。
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高機能繊維・ 複合材料事業 |
: アラミド繊維分野では、平成25年4月に中国・アジア地区での用途開発・技術サービス拠点として、テクニカル・センター・アジアを開設しました。アラミド繊維が用いられる全ての用途に対して、素材及び後加工品の評価試験、品質検査を含む技術サポートを提供するとともに、開かれた共同開発の場として、中国・アジア地域の顧客のニーズに応じた新たなソリューションの創出を図っていきます。 一方、平成25年7月に新規メタアラミド繊維についてタイ国アユタヤ県に生産工場を新設することを決定しました。この新設工場で生産するメタアラミド繊維は、当社が新たに開発した製造方法により、世界最高レベルの優れた熱防護性及び従来はできなかった後染めを可能としています。 また、平成25年11月にはTeijin Aramid B.V.において、パラアラミド繊維の新たな防弾ポリビニルブラチールプリプレグ及び複合材料「トワロンUD22」を続けて開発しました。これにより、既にグローバル展開しているパラアラミド繊維、メタアラミド繊維、高機能ポリエチレンテープ等と併せ、警察、消防、製造現場等の安全を支える「ライフプロテクション」分野で幅広いソリューションを提供していきます。 |
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ポリエステル繊維分野では、平成25年8月に建築構造物に使用される吊り天井を大幅に軽量化できるポリエステル製のタテ型不織布「V-Lap」に不燃材料を複合させた天井材を開発しました。これは、従来の天井材に比べて柔らかく、軽量であるため、万一、天井が落下した際の安全性向上に大きく寄与することが期待されます。 また、平成26年4月に帝人(中国)商品開発センターを開設しました。これにより、中国国内で原糸から最終製品までの研究開発に対応することが可能となり、更に量産にいたるまでを当センター内で完結できることからこれまで以上に迅速な顧客対応が可能となる予定です。 炭素繊維・複合材料分野では、高性能炭素繊維の開発と合わせてソリューション提供の観点で顧客ニーズにマッチした中間製品、複合材料の開発に注力しています。 平成25年5月には、熱可塑性樹脂を使用した炭素繊維複合材料(CFRP)をはじめとする先端複合材料の研究開発を推進している「複合材料開発センター」を、松山事業所(愛媛県松山市)内へ移転しました。これにより、既に平成24年12月より同事業所内にて稼働を開始しているパイロットプラントの活用と合わせ、成形加工技術の開発から素材・設計・接合等の複合材料開発までを総合的かつこれまで以上のスピード感をもって推進することが可能となりました。 同拠点と、平成25年4月に米国(ミシガン州)に開設した複合材料用途開発センターを有機的に連携させていくことで、今後急成長が予想される自動車用途及び一般産業用途における市場開拓を強力に推進し、コンポジット製品事業を早期に本格展開することを目指します。 また、欧州事業会社であるToho Tenax Europe GmbHは、新たに開発した高効率の熱硬化性CFRP生産技術により、ドイツの社団法人強化プラスチック工業協会が主催する「AVK Innovation Award 2013」を受賞しています。 当セグメントに係る研究開発費は52億円です。 |
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電子材料・ 化成品事業 |
: 樹脂分野では、有望市場をターゲットにポリカーボネート樹脂「パンライト」の改良グレードの開発や、加工技術の研究開発に取り組んでいます。情報・エレクトロニクス用途では、スマートフォンやタブレット、ノートパソコン等モバイル端末の筐体材料向けに、薄肉成形に適した強化ポリカーボネート樹脂を開発しました。特殊なガラス繊維と添加剤を使用することで、薄肉成形した筐体に要求される高剛性・寸法安定性を満たし、加えて独自の難燃化技術によって従来は困難とされていた薄肉成形においてトップクラスの高い難燃性を実現しています。今後は、モバイル端末だけでなく、医療機器やアミューズメント、自動車等幅広い用途への展開を行います。樹脂グレージング用途においては、当社独自技術による『車窓の新しいカタチ』への取り組みが評価され、「NV200ニューヨーク市タクシー」のパーティション窓として、日産車体㈱と共同開発した「パンライト」製グレージングが採用にいたりました。世界初となる独自技術によって、これまでポリカーボネート樹脂製のパーティション窓では実現が難しいとされていた「歪みが少なく、高い視認性」と「自由度の高い、美しいデザイン性」の両立を可能としています。これに伴い三原工場(広島県)及び松山工場(愛媛県)においてポリカーボネート樹脂グレージングの商業生産能力を拡充しました。 また、難燃剤市場におけるノンハロゲン化ニーズへのソリューションとして、当社独自の分子設計技術により新規リン系難燃剤「FCX-210」を開発しました。「FCX-210」は従来のリン系難燃剤の課題であった耐熱性の低下を解決し、より多彩な樹脂への対応が可能です。従来の臭素系難燃剤にこのリン系難燃剤をラインナップに加えることにより、エレクトロニクスや自動車市場を中心に用途展開を進めています。 更に将来に備えての研究開発として、石油資源に依存しない植物由来ポリカーボネート系樹脂「PLANEXT」の用途を拡大するため高機能化グレードの開発に取り組んでおり、耐熱性と耐衝撃性を両立したグレードのサンプル提供を開始しました。 フィルム分野では、スマートフォンを中心とした静電容量タイプのタッチパネル基材として、ハードコートとの光干渉による虹模様を抑制した高透明PETフィルムの量産化技術を確立しました。更に高い透明性や表面品質、帯電防止性等、さまざまな特性を高いレベルで兼ね備えたPETフィルムを開発しました。今後、画面の高精細化が進むスマートフォンやタブレット端末の画面保護フィルムやディスプレイ組立工程における工程材用途を中心に市場展開を進めていきます。 また、LCD反射板用フィルムとして、近接して配置される導光板との接触による傷つきやスポット状の斑を防止するため、特殊なビーズの開発とその特殊ビーズを塗布した高性能反射板の開発に成功しました。今後海外顧客を中心に市場拡大を図ります。 更に、新たに独自開発したノンハロゲンの難燃フィラーを活用して、世界最高位の難燃性(UL規格:VTM-0)を有するPETフィルムを開発しました。今後、OA機器やパソコン、照明といった製品に用いられる難燃絶縁部材、難燃ラベル、フレキシブルディスプレイ用基板等の分野を中心に、市場開拓を進めていく予定です。 当セグメントに係る研究開発費は49億円です。 |
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ヘルスケア事業 |
: 医薬品分野では、英国プルマジェン セラピューティクス(アズマ)リミテッドから導入した気管支喘息治療薬「ADC3680」(開発コード:PTR-36)について平成25年6月に国内での臨床開発 に着手しました。また、平成24年に米国で開始した腰椎椎間板ヘルニア治療剤(開発コード :KTP-001*)の臨床開発も引き続き推進しています。また去痰剤「ムコソルバン」の剤形追加として開発中の「NA872ET(小型徐放錠)」について、平成26年2月に厚生労働省に対し承認申請を行いました。その他、既存薬の適用拡大等に向けた臨床開発にも取り組んでいます。一方で平成25年6月には、米国アムジェン社と新しい自己免疫疾患治療薬の創製に関する共同研究契約及び開発・販売に関するオプション契約を締結しました。本契約下、アムジェン社と共同研究を実施することにより、革新的な新薬の創製に努めていきます。 在宅医療分野では、脳卒中後遺障害等の歩行機能回復用の歩行神経筋電気刺激装置「ウォークエイド」を平成25年4月に上市しました。また、在宅酸素療法で用いられる携帯用酸素ボンベに取り付け、酸素の消費を節約する呼吸同調式デマンドバルブの新機種として、「サンソセーバーeⅢ」を平成25年4月に上市しました。加えて、在宅酸素療法で用いられる携帯用酸素ボンベとして長時間使用のニーズに応えるため、Luxfer社のFRPボンベを採用し、平成25年6月に上市しました。 当セグメントに係る研究開発費は128億円です。 |
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製品事業 |
: 帝人フロンティア㈱を中心に新製品の企画開発を主とする研究開発を行っています。多様化・細分化する市場ニーズに沿った新製品開発のために、試験反作成、品質調査、物性テスト等の試作・試験を実施しています。 当セグメントに係る研究開発費は5億円です。 |
帝人㈱で行うコーポレート研究(グループ共通の基礎研究及び新事業・新製品創出)では、これまで培ってきた合成化学や高分子化学分野での研究開発基盤を更に強化することによる新規事業創出を目指しています。
環境分野では植物由来のバイオプラスチックを独自技術で高機能化し、石油・ガス掘削用途等への展開を加速しています。
情報・エレクトロニクス分野では、米国子会社のNanoGram Corporationにおいて、半導体用シリコンインク研究開発を加速させており、プリンタブルエレクトロニクス用材料の早期事業化を目指しています。
またライフサイエンス分野においては、生体吸収ポリマー、ナノ材料加工、微細成型加工等の素材技術と、細胞工学、タンパク質工学、製剤設計や医療機器設計等のヘルスケア技術を融合することで、再生医療、組織修復材料、DDS(薬物送達)基材、医療機器材料、スポーツメディシン等新たな事業分野の創出をめざし研究開発活動を本格化しています。
これらに係る研究開発費は88億円です。これらの費用については、各セグメントへの配賦は行わずに「消去又は全社」に表示しています。
* KTP-001は波呂浩孝氏(山梨大学大学院・教授)と小森博達氏(横浜市立みなと赤十字病院・副院長)の発明に基づき、帝人ファーマ㈱と一般財団法人化学及血清療法研究所が共同で開発・創製した薬剤です。
(1) 重要な会計方針及び見積り
帝人グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性の存在により、これらの見積りと異なる場合があります。
帝人グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えています。
① 貸倒引当金の計上基準
帝人グループでは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を繰入計上しています。将来、顧客の財務状況等が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。
② たな卸資産の評価基準
帝人グループの販売する製品の価格は、市場相場変動の影響を強く受ける傾向にあるので、その評価基準として主に原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しています。)を採用しています。
③ 投資有価証券の減損処理
帝人グループは、金融機関や、製造・販売等に係る取引会社及び関係会社の株式を保有しています。これらの株式は、株式市場の価格変動リスクや、経営状態・財務状況の悪化による価値下落リスクを負っているため、合理的な基準に基づき、投資有価証券の減損処理を行っています。
④ 繰延税金資産の回収可能性
帝人グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際し、将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するので、課税所得の見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(2) 経営成績の分析
帝人グループの平成25年度連結決算は、売上高が7,844億円(前期比5.2%増)となりました。
また営業利益は、電子材料・化成品事業の収益が低迷した一方で、高機能繊維・複合材料事業が復調したことから181億円(前期比46.3%増)となりました。
経常利益は持分法適用会社での税効果見直しに伴う増益等により前期比でおよそ倍増の199億円となり、当期純利益は、特別損益において投資有価証券の売却益や固定資産の減損損失の減少等もあり、同375億円増の84億円となりました。また1株当たり当期純利益は8円50銭となりました。
(3) 財政状態の分析
① 資産、負債、純資産
総資産は7,684億円となり、前期末に比べ60億円増加しました。これは、円安を受けて外貨建て資産の円建て評価額が増加したことが主要因です。科目別にみると、株式取得等により投資有価証券が大きく増加する一方で、現金及び預金が減少しました。また、減価償却の進行及び減損処理により、固定資産も減少しました。
負債は前期末比20億円減少し、4,683億円となりました。この内、短期借入金、長期借入金等の有利子負債は、主として外貨建て有利子負債の為替変動影響(円安)により同108億円増加し、2,815億円となりました。
純資産は3,001億円となり、前期末に比べ80億円増加しました。この内「株主資本」に「その他の包括利益累計額」を加えた自己資本は、2,817億円と前期末比104億円増加しました。これは当期純利益に加え、「為替換算調整勘定」の控除額が減少したこと等によります。
② キャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、当期純利益に加え、減価償却費等の非資金項目が運転資本等の増加を上回ったことから、合計で386億円の資金収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産及び投資有価証券の取得等により473億円の資金支出となりました。
この結果、営業活動に投資活動を加えたキャッシュ・フローは87億円の資金支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、社債の発行及び償還、長短借入金の借入・返済と配当金支払い等の差し引きで79億円の資金支出となりました。
またこれらの結果、現金及び現金同等物に係る換算差額等も加え、最終的な現金及び現金同等物の減少額は157億円となりました。
また、財政状態に関する各種指標は以下のとおりです。
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第144期 |
第145期 |
第146期 |
第147期 |
第148期 |
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ROA(%) |
1.6 |
6.1 |
4.5 |
1.6 |
2.4 |
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ROE(%) |
△12.4 |
9.1 |
4.2 |
△10.3 |
3.0 |
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D/Eレシオ |
1.18 |
0.94 |
0.89 |
1.00 |
1.00 |
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自己資本比率(%) |
33.0 |
37.3 |
38.3 |
35.6 |
36.7 |
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時価ベースの自己資本比率(%) |
36.9 |
44.7 |
37.8 |
31.3 |
34.9 |
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キャッシュ・フロー対有利子負債比率 |
4.0 |
3.5 |
4.9 |
4.2 |
7.3 |
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インタレスト・カバレッジ・レシオ |
13.1 |
17.2 |
10.9 |
18.4 |
10.5 |
(注)各指標はいずれも当社連結ベースの財務数値を用いて算出しています。
・ROA(総資産営業利益率)・・・営業利益/期首・期末平均総資産
・ROE(自己資本当期純利益率)・・・当期純利益/期首・期末平均自己資本
・D/Eレシオ(有利子負債自己資本比率)・・・期末有利子負債/期末自己資本
・自己資本比率・・・(期末純資産の合計-期末新株予約権-期末少数株主持分)/期末総資産
・時価ベースの自己資本比率・・・株式時価総額/時価ベースの総資本
*株式時価総額・・・期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)にて算出。
*時価ベースの総資本・・・期末自己資本を時価ベースに置き換えて算出。
・キャッシュ・フロー対有利子負債比率・・・有利子負債/営業キャッシュ・フロー
*営業キャッシュ・フロー・・・連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用。
・インタレスト・カバレッジ・レシオ・・・営業キャッシュ・フロー/利払い
*利払い・・・連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用。