(1)業績
当連結会計年度における小売業を取り巻く経済環境は、政府の景気対策等の効果もあり緩やかな景気回復基調で推移したものの、個人消費におきましては依然として先行き不透明な状況が続き、お客様の選別の目はより厳しさを増しております。
このような環境の中、当社グループにおきましては、「変化への対応と基本の徹底」を経営スローガンに掲げ、様々な社会環境の変化やお客様の心理変化を捉え、付加価値の高い商品や地域の嗜好に合わせた商品の開発を推進するとともに、接客力の向上に取り組んでまいりました。
グループのプライベートブランド商品である「セブンプレミアム」やグループ各社のオリジナル商品につきましては、新商品の開発を推進するとともに、既存商品のリニューアルを積極的に実施することで、品質の更なる向上と新しい価値の提案を図りました。なお、当連結会計年度における「セブンプレミアム」の売上は1兆1,500億円(前年同期比114.9%)、セブンプレミアムを含めたグループのオリジナル商品売上は3兆2,000億円(同106.7%)となりました。
当社グループのオムニチャネル戦略につきましては、グループ統合ポータルサイト「omni7(オムニセブン)」における商品力の強化を図りました。また、Eコマースを中心に不特定多数のお客様にアプローチする戦略から、国内のグループ店舗に日々来店される2,200万人のお客様に焦点を当てた戦略に変更し、各社共通のポイントプログラムなどが利用可能なスマートフォン用アプリケーションの開発に着手いたしました。
これらの結果、当連結会計年度における当社の連結業績は以下のとおりとなりました。
営業収益は金融関連事業が増収となったものの、為替レート変動に伴う円高の影響により2,109億円減少したことに加え、スーパーストア事業、百貨店事業、通信販売事業の減収により5,835,689百万円(前年同期比96.5%)となりました。
営業利益は、為替レート変動に伴う影響により75億円減少したものの、コンビニエンスストア事業やスーパーストア事業および金融関連事業の増益により364,573百万円(前年同期比103.5%)、経常利益は364,405百万円(前年同期比104.1%)となり、それぞれ6期連続で過去最高の数値を達成いたしました。親会社株主に帰属する当期純利益は、主にスーパーストア事業と百貨店事業の店舗に係る減損損失や、百貨店事業に係るのれんの減損損失等を含む特別損失を計上したことにより96,750百万円(前年同期比60.1%)となりました。
株式会社セブン‐イレブン・ジャパンと7-Eleven, Inc.における加盟店売上を含めた「グループ売上」は10,621,530百万円(前年同期比99.2%)となりました。
当連結会計年度における事業部門別の営業概況は以下のとおりです。
① コンビニエンスストア事業
コンビニエンスストア事業における営業収益は2,550,640百万円(前年同期比95.3%)、営業利益は313,195百万円(前年同期比103.0%)となりました。
株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、当連結会計年度末時点で19,422店舗(前期末比850店舗増)を展開しております。店舗におきましては、質の向上を図るべく積極的な立地移転を実施するとともに、新規出店における基準をより厳しく見直しました。商品におきましては、サンドイッチやフライヤーなどの基本商品の積極的なリニューアルを実施し、更なる品質向上に取り組んだことにより販売は好調に推移いたしました。これらの結果、既存店売上伸び率は平成24年8月以来55ヶ月連続でプラスとなりました。また、自営店と加盟店の売上を合計したチェーン全店売上は4,515,605百万円(前年同期比105.2%)となりました。
北米の7-Eleven, Inc.は、平成28年12月末時点で8,707店舗(前年同月比207店舗増)を展開しております。店舗におきましては、都市部への出店を推進するとともに、収益性を重視して既存店舗や買収店舗の一部を閉店いたしました。また、平成28年7月には米国CST Brands社の店舗取得に加え、同年9月よりカナダImperial Oil社の店舗を段階的に取得いたしました。商品におきましては、ファスト・フード商品やプライベートブランド商品「セブンセレクト」の開発および販売に引き続き注力したことに加え、ソフトドリンクやアルコール飲料等の売上が伸長いたしました。これらの結果、当連結会計年度におけるドルベースの米国内既存店商品売上伸び率は前年度を上回って推移いたしましたが、為替レート変動に伴う影響により、自営店と加盟店の売上を合計したチェーン全店売上は2,735,199百万円(前年同期比92.7%)となりました。
中国におきましては、平成28年12月末時点で北京市に219店舗、天津市に82店舗、成都市に67店舗を運営しております。
② スーパーストア事業
スーパーストア事業における営業収益は2,025,534百万円(前年同期比98.3%)、営業利益は22,903百万円(前年同期比316.6%)となりました。
国内の総合スーパーである株式会社イトーヨーカ堂は、当連結会計年度末時点で171店舗(前期末比11店舗減)を運営しております。店舗におきましては、食品館の3店舗と「セブンパーク アリオ柏」の計4店舗を出店いたしました。また、テナントミックスによる売場構成の見直しや15店舗の閉鎖等の事業構造改革を実施いたしました。商品におきましては、個店・地域特性に合わせた品揃えや、「セブンプレミアム」などの差別化商品の販売を強化いたしました。当連結会計年度における既存店売上伸び率は前年度を下回りましたが、販促費の抑制や荒利率の改善、衣料品の在庫適正化等により収益性は大幅に改善いたしました。
国内の食品スーパーにおきましては、当連結会計年度末時点で株式会社ヨークベニマルが南東北地方を中心に213店舗(前期末比8店舗増)、株式会社ヨークマートが首都圏を中心に78店舗(同2店舗増)を運営しております。株式会社ヨークベニマルは、生鮮食品の販売を強化するとともに、子会社の株式会社ライフフーズによる即食・簡便のニーズに対応した惣菜の品揃えを強化し、安全・安心・味・品質にこだわった商品で差別化を図りました。これらの結果、当連結会計年度における既存店売上伸び率は前年度を上回りました。
ベビー・マタニティ用品を販売する株式会社赤ちゃん本舗は、当連結会計年度末時点で106店舗(前期末比3店舗増)を運営しております。
中国における総合スーパーは、平成28年12月末時点で成都市に6店舗、北京市に2店舗を展開しております。
③ 百貨店事業
百貨店事業における営業収益は852,174百万円(前年同期比96.3%)、営業利益は3,672百万円(前年同期比95.8%)となりました。
株式会社そごう・西武は、当連結会計年度末時点で19店舗(前期末比4店舗減)を運営しております。販売におきましては、百貨店ならではの質の高い接客とビューティーアドバイザー等の専門販売員によるトータルアドバイス機能の強化を図りました。しかしながら、当連結会計年度における既存店売上伸び率は、衣料品を中心に売上が伸び悩み前年度を下回りました。店舗におきましては、事業構造改革に基づき平成29年2月末までに「そごう柏店」、「西武旭川店」、「西武八尾店」、「西武筑波店」の4店舗を閉店するとともに、平成28年10月に要員の適正化を図るべく希望退職を実施いたしました。
生活雑貨専門店を展開する株式会社ロフトは、当連結会計年度末時点で109店舗(前期末比7店舗増)を運営しております。
④ フードサービス事業
フードサービス事業における営業収益は82,562百万円(前年同期比98.5%)、営業利益は515百万円(前年同期比56.2%)となりました。
株式会社セブン&アイ・フードシステムズは、当連結会計年度末時点で815店舗(前期末比36店舗減)、内レストラン事業部で386店舗(同3店舗減)を運営しております。当連結会計年度におけるレストラン事業は、客単価は回復傾向だったものの、客数の伸び悩みにより既存店売上伸び率は前年度を下回りました。
⑤ 金融関連事業
金融関連事業における営業収益は201,932百万円(前年同期比104.9%)、営業利益は50,130百万円(前年同期比100.9%)となりました。
株式会社セブン銀行における当連結会計年度末時点のATM設置台数は、主に株式会社セブン‐イレブン・ジャパンの積極的な出店に伴い前年度末比965台増の23,353台まで拡大いたしました。また、当連結会計年度中のATM1日1台当たり平均利用件数は、一部提携銀行の顧客手数料有料化や日本銀行による「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入に伴う消費マインドの変化等により95.6件(前年同期比3.6件減)となりましたが、ATM設置台数の増加に伴い期間総利用件数は前年度を上回りました。
カード事業会社におきましては、株式会社セブンCSカードサービスがそごう・西武店舗の一部閉店等により取扱高が減少しましたが、株式会社セブン・カードサービスはクレジットカード事業、電子マネー事業ともに、取扱高が増加するなど順調に推移いたしました。
⑥ 通信販売事業
通信販売事業における営業収益は139,226百万円(前年同期比87.7%)、営業損失は15,097百万円となり、前連結会計年度と比べて6,645百万円の損失拡大となりました。
当社は、平成28年11月1日に完全子会社である株式会社セブン&アイ・ネットメディアの株式交換により、株式会社ニッセンホールディングスを完全子会社化し、構造改革を推進いたしました。なお、株式会社ニッセンホールディングスは、当連結会計年度より決算期末日を12月20日から2月末日に変更し、当期は14ヶ月決算となりました。
⑦ その他の事業
その他の事業における営業収益は57,424百万円(前年同期比93.2%)、営業利益は4,632百万円(前年同期比83.3%)となりました。
⑧ 消去および当社
当社グループで取り組んでいるオムニチャネル戦略におきましては、グループ全体に係る費用としてシステムに係る運用保守費やソフトウェアに係る減価償却費等を、消去および当社(調整額)にて計上しております。当セグメントにおける営業損失は15,379百万円となり前連結会計年度と比べて4,801百万円の損失拡大となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ62,411百万円増加したことにより、1,209,497百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、512,523百万円の収入(前年同期比104.8%)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が217,569百万円、減価償却費が207,483百万円、減損損失が59,719百万円、のれん償却額が55,458百万円となりましたが、法人税等の支払額が140,629百万円となったことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、371,602百万円の支出(前年同期比110.6%)となりました。これは、店舗の新規出店や改装などに伴う有形固定資産の取得による支出が321,089百万円となったことなどによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、78,190百万円の支出(前年同期は2,312百万円の支出)となりました。これは、長期借入れによる収入が139,451百万円あったものの、長期借入金の返済による支出が98,739百万円、社債の償還による支出が40,000百万円、配当金の支払額が80,834百万円となったことなどによるものであります。
(1)生産及び受注の状況
該当事項はありません。
(2)仕入の状況
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
仕入高(百万円) |
前年同期比(%) |
コンビニエンスストア事業 |
1,310,303 |
89.9 |
スーパーストア事業 |
1,454,209 |
95.9 |
百貨店事業 |
637,821 |
96.3 |
フードサービス事業 |
29,792 |
99.3 |
金融関連事業 |
22,586 |
143.9 |
通信販売事業 |
90,991 |
97.3 |
その他の事業 |
18,516 |
92.4 |
計 |
3,564,221 |
93.9 |
(注)1 上記仕入実績は、連結会社間の取引高を消去した金額となっております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)販売の状況
当連結会計年度における売上実績(営業収益のうちの売上高)をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
売上高(百万円) |
前年同期比(%) |
コンビニエンスストア事業 |
1,561,496 |
90.9 |
スーパーストア事業 |
1,980,953 |
98.2 |
百貨店事業 |
836,675 |
96.3 |
フードサービス事業 |
81,656 |
98.5 |
金融関連事業 |
22,355 |
137.5 |
通信販売事業 |
136,695 |
87.1 |
その他の事業 |
26,538 |
85.1 |
計 |
4,646,370 |
95.0 |
(注)1 株式会社セブン‐イレブン・ジャパンおよび7-Eleven, Inc.のチェーン全店売上は、それぞれ4,515,605百万円、2,735,199百万円であります。上表コンビニエンスストア事業の売上高には、これらのうち自営店売上のみが含まれております。なお、加盟店売上(チェーン全店売上から自営店売上を差引いた金額)を加えた場合、合計売上は、10,392,190百万円になります。
2 上記売上実績は、連結会社間の取引高を消去した金額となっております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
4 主要な子会社の売上状況は、次のとおりであります。
(1)コンビニエンスストア事業
① 株式会社セブン‐イレブン・ジャパン
区分 |
チェーン全店売上(百万円) |
前年同期比(%) |
構成比(%) |
加工食品 |
1,183,088 |
106.0 |
26.2 |
ファスト・フード |
1,350,166 |
105.6 |
29.9 |
日配食品 |
614,122 |
106.0 |
13.6 |
食品計 |
3,147,377 |
105.8 |
69.7 |
非食品 |
1,368,228 |
103.9 |
30.3 |
合計 |
4,515,605 |
105.2 |
100.0 |
(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。また、チェーン全店売上は、フランチャイズ・ストア(加盟店)とトレーニング・ストア(自営店)の売上の合計金額であります。
② 7-Eleven, Inc.
区分 |
チェーン全店売上(百万円) |
前年同期比(%) |
構成比(%) |
加工食品 |
650,509 |
93.6 |
23.8 |
ファスト・フード |
244,299 |
93.3 |
9.0 |
日配食品 |
101,814 |
92.2 |
3.7 |
食品計 |
996,623 |
93.4 |
36.5 |
非食品 |
624,655 |
94.5 |
22.8 |
商品計 |
1,621,278 |
93.8 |
59.3 |
ガソリン |
1,113,921 |
91.2 |
40.7 |
合計 |
2,735,199 |
92.7 |
100.0 |
(注) チェーン全店売上は、加盟店と自営店の売上の合計金額であります。
(2)スーパーストア事業
① 株式会社イトーヨーカ堂
区分 |
売上高(百万円) |
前年同期比(%) |
構成比(%) |
衣料 |
179,027 |
95.7 |
14.7 |
住居 |
122,445 |
85.7 |
10.0 |
食品 |
585,457 |
97.3 |
48.0 |
商品計 |
886,930 |
95.2 |
72.7 |
テナント |
322,191 |
102.4 |
26.4 |
その他 |
10,130 |
107.0 |
0.8 |
合計 |
1,219,252 |
97.1 |
100.0 |
(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
② 株式会社ヨークベニマル
区分 |
売上高(百万円) |
前年同期比(%) |
構成比(%) |
生鮮食品 |
145,105 |
104.0 |
34.6 |
加工食品 |
98,819 |
103.2 |
23.6 |
デイリー食品 |
81,101 |
104.7 |
19.4 |
食品計 |
325,026 |
103.9 |
77.6 |
衣料 |
14,967 |
94.2 |
3.6 |
住居 |
20,296 |
99.5 |
4.8 |
商品計 |
360,290 |
103.2 |
86.0 |
テナント |
58,439 |
102.1 |
14.0 |
合計 |
418,729 |
103.1 |
100.0 |
(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)百貨店事業
株式会社そごう・西武
区分 |
売上高(百万円) |
前年同期比(%) |
構成比(%) |
衣料 |
291,470 |
91.9 |
39.0 |
雑貨 |
75,770 |
93.4 |
10.1 |
食品 |
157,168 |
96.4 |
21.0 |
商品計 |
524,410 |
93.4 |
70.1 |
テナント |
183,696 |
97.4 |
24.6 |
法人外商部 |
39,844 |
97.9 |
5.3 |
合計 |
747,951 |
94.6 |
100.0 |
(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(4)フードサービス事業
株式会社セブン&アイ・フードシステムズ
区分 |
売上高(百万円) |
前年同期比(%) |
構成比(%) |
レストラン事業部 |
60,790 |
96.8 |
73.8 |
給食事業部 |
16,422 |
107.8 |
19.9 |
ファストフード事業部 |
5,181 |
91.6 |
6.3 |
合計 |
82,394 |
98.5 |
100.0 |
(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(1)経営課題
当社は、流通サービスに欠かせないあらゆる分野で培ってきた事業インフラやノウハウを結集するとともに、ダイバーシティ等の推進を通じて、一層のグループシナジーを発揮して持続的な成長と発展を目指してまいります。また、現場と経営が一体となって創意工夫を積み重ねる風土を根付かせ、社会に新しい価値を常に提案する力強い流通サービスグループを目指し、企業価値最大化に向けてまい進してまいります。
以上の目的達成のため、当社では以下の行為計画を掲げております。
① 日米コンビニエンスストア事業を成長の柱とし、経営資源を集中させる
② エリアと業態の「選択と集中」を進める
(a) エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社との資本業務提携の基本合意書の締結、株式会社そごう・西武における関西店舗承継の検討、最大消費マーケットである首都圏基幹店舗への経営資源集中
(b) 株式会社イトーヨーカ堂:首都圏、食品事業への重点化の検討開始
③ GMS・百貨店事業の再生に、不動産開発の観点を取り入れる
④ オムニチャネル戦略の見直し:顧客戦略の視点で、顧客生涯価値に重点化
また、グループシナジー効果の追求につきましては、グループ共通のプライベートブランド商品「セブンプレミアム」の開発において、各事業会社が業態の違いを超えた新たなマーチャンダイジングに挑戦しております。これらの取り組みを中心にグループ内で情報を共有することでコストの効率化を図るとともに、マーチャンダイジングにおける精度の向上と一層のスケールメリットの活用を図ってまいります。
なお、当社は、現時点では、「株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」(会社法施行規則第118条第3号)を明確な形では定めておりませんが、業績の更なる改善やコーポレートガバナンスの強化等を通じたグループ企業価値の最大化を目指しており、当社グループの企業価値を毀損させるおそれのある当社株式の大量取得行為等については適切な対応が必要と考えております。当該基本方針については、今後の法制度や裁判例等の動向および社会的な動向を踏まえ、引き続き慎重に検討を進めてまいります。
(2)「働き方改革」に向けた取り組み
当社では、グループ全体で働いている約15万人の従業員が働きがいを持って仕事ができるよう、多様な働き方を支援する取り組みを進めております。長時間労働の抑制や柔軟な働き方を支援する制度の拡大、育児や介護をしながら仕事を継続できるような育児両立支援制度の拡充等、従業員が活躍できる環境づくりを進めるとともに、仕事に対するモチベーションを高めることで更なる生産性の向上につながるような意識改革を推進してまいります。
また、グループ各社の改善施策の進捗や課題を共有し合う「働きがい向上委員会」を定期的に開催し、各社の実施状況・成果などを基に改善活動を促進させ、ワーク・ライフ・バランスを浸透・定着させる取り組みを進めてまいります。
(3)CSRに関する取り組み
当社は、「信頼される、誠実な企業でありたい」という社是の精神を実現するため、CSR統括委員会を中核とし、グループ企業行動指針の周知を通したコンプライアンスの徹底を図るとともに、CSR活動を推進しております。
特に、当社グループの事業領域の拡大や関係する社会的課題・要請が多様化する中、ステークホルダーとの対話を通して特定した「5つの重点課題」については、グループの強みを活かしながら、社会インフラとしてのお買物支援、店舗における環境負荷の低減、ダイバーシティの推進など、様々な取り組みを進めてまいります。
さらに、平成28年6月にCSR統括委員会傘下に「社会価値創造部会」を新たに設け、持続可能な発展に向け、本業を通じて社会と企業の双方に価値を生み出す取り組みCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)を強化してまいります。
5つの重点課題
・高齢化、人口減少時代の社会インフラの提供
・商品や店舗を通じた安全・安心の提供
・商品、原材料、エネルギーのムダのない利用
・社内外の女性、若者、高齢者の活躍支援
・お客様、お取引先を巻き込んだエシカルな社会づくりと資源の持続可能性向上
当社グループでは、定期的にリスクアセスメントを実施して、リスクの洗い出し・評価を行うことによりリスクを総体的に認識したうえで、その重大性および喫緊性に応じて優先順位を付けて対策を立案・実行し、改善状況をモニタリングする仕組みを確立しています。
この仕組みにより認識されたリスクのうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を、以下に記載しています。ただし、これらは、当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。また、これらのリスクはそれぞれ独立したものではなく、ある事象の発生により、他の様々なリスクが増大する可能性があります。
当社グループの事業、業績および財務状況は、これらのリスクのいずれによっても影響を受ける可能性があります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生を回避するための対策を講じるとともに、発生した場合には迅速かつ適切な対応に努めてまいります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。
(1)経済環境に関するリスク
経済状況の動向等
当社グループは、日本国内において主要な事業を行うほか、世界各地で事業を展開しています。そのため、日本および事業を展開している国または地域の景気や個人消費の動向などの経済状態が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、お客様のニーズに的確に対応するべく、販売戦略に基づいた商品の取扱い・開発を積極的に行っていますが、経済政策や異常気象等により予想外の消費行動の変化が生じた場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
金利の変動
金利の変動は、受払利息や金融資産・負債の価値に影響を与え、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。
為替の変動
海外のグループ会社の現地通貨建ての資産・負債等は、連結財務諸表作成のために円換算されます。また、当社グループの販売商品の中には、為替変動の影響を受ける海外開発商品があります。したがって、為替相場の変動により当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2)当社グループの事業活動に関するリスク
(グループ共通的なリスク)
商品・原材料等の調達と価格の変動
当社グループの事業活動にとって、十分な品質の商品・原材料等を適時に必要なだけ調達することが不可欠であり、特定の地域・取引先・製品・技術等に大きく依存しないよう、その分散化を図っています。しかし、仕入ルートの一部が中断した場合、それにより当社グループの事業が影響を受ける可能性があります。
また、当社グループの取扱商品の中には、原油等原材料価格変動の影響を受ける商品等、外的な要因により仕入価格が変動する商品があります。これら仕入価格の変動が生じた場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
商品の安全性および表示
当社グループは、関係法令の規制に基づき、食品衛生に関わる設備の充実、取引先を含めた一貫した商品管理の徹底、チェック体制の確立など、お客様に安全な商品と正確な情報を伝えるよう努めていますが、当社グループの取組みを超えた問題が発生した場合には、それによる当社グループの商品に対する信頼の低下、対応コストの発生等により、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、セブンプレミアムやグループ各社のオリジナル商品をさらに拡大して、新しい価値、上質の商品やサービスをお客様に提供し続けることに挑戦していますが、当社グループの取扱商品について重大な事故等が発生した場合、商品回収や製造物責任賠償が生じることもあり、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
地域性を重視した商品開発
当社グループは、お客様の嗜好の多様性に対応すべく、地域の特性を重視した商品開発と品揃えを強化しておりますが、お客様からの支持を、期待どおりには得られない場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
出店政策
当社グループの店舗出店に際しては、「大規模小売店立地法」「都市計画法」「建築基準法」等様々な法令に基づく規制を受けています。これらの法令の改正やこれらに関して各都道府県等が定めた規制の変更に伴い、当初策定した計画どおりの新規出店や既存店舗の改装等を行うことが困難となった場合や、将来の潜在的な出店候補地が減少した場合、および新たな対応コストが発生した場合は、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
M&Aや業務提携等の成否
当社グループは、M&Aおよび他社との業務提携や合弁会社設立などを通じて、新規事業の展開やグループ事業の再編を行っています。しかし、これら戦略的投資について、当初期待した効果が得られず戦略目的が達成できない場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
債権管理
当社グループは、店舗賃借に当たり、賃貸人へ敷金・保証金を差し入れています。店舗賃貸人の経済環境の悪化や債権保全のために担保設定した物件の価値が下落した場合等には、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
固定資産の減損
当社グループは、有形固定資産やのれん等多くの固定資産を保有しています。減損会計を適用しておりますが、今後、店舗等の収益性が悪化したり、保有資産の市場価格が著しく下落したこと等により、減損処理がさらに必要になった場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
オムニチャネル戦略
当社グループは、社会構造の変化を背景としたお客様の購買行動の変化に対応すべく、グループの全国店舗網、物流基盤等を活用し、お客様が、いつでも、どこでも、あらゆる商品やサービスを利用できるという新しい小売環境の創造を目指して、オムニチャネル戦略を推進しております。
統合ECサイト「omni7(オムニセブン)」を基軸として展開しており、質の高い商品開発や接客サービスの強化を図り、お客様の潜在ニーズを喚起することに挑戦していますが、何らかの内外要因により、その目的を完全には達成できない可能性があります。この場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
人材
当社グループの各事業には、お客様を始めとする様々なステークホルダーとの良好なコミュニケーション力を有する人材が不可欠ですが、今後、各事業分野および地域における人材獲得競争の激化等により、相応しい人材の獲得が困難となる場合や、人材の社外流出が生じた場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社代表取締役社長井阪隆一をはじめとする当社グループ経営陣が、より組織的な連携を強化して、グループ事業戦略を立案・実行しておりますが、何らかの事由により、その目的を完全には達成できない可能性があります。この場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(セグメント別のリスク)
コンビニエンスストア事業
当社グループのコンビニエンスストア事業は、主にフランチャイズ・システムからなり、「セブン‐イレブン」という同一店舗名でチェーン展開を行っています。同システムは、加盟店と当社グループが対等なパートナーシップと信頼関係に基づき、それぞれの役割を担う共同事業であるため、加盟店もしくは当社グループのいずれかがその役割を果たせないことにより、多くの加盟店との間で契約が維持できなくなった場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループのコンビニエンスストア事業は、常に変化し続けるお客様のニーズに対して、取引先各社と製造・物流・販売・それらを支える情報システムの仕組みを革新しながら、差別化された高品質の商品や生活をサポートする便利なサービスを構築してきました。このための独自の事業インフラは、フランチャイズ・システムの理念を共有する取引先各社と構築しているため、取引先各社との業務上の関係が維持できない状況が発生した場合、または取引先各社の技術力等が著しく低下した場合は、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループ会社の7-Eleven, Inc.は、特に、ガソリンスタンドを併設した店舗を米国およびカナダで積極的に展開しており、同社のチェーン全店売上に占めるガソリン売上が、約半分を占めるようになっています。ガソリンのサプライチェーンの垂直統合等により、ガソリン小売価格の変動に伴う利益率の低下リスクをヘッジしていますが、急激な価格の変動等、事業環境の予期しない変化により、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、「セブン‐イレブン」は、世界17の国と地域で61,000店を超える店舗(7-Eleven, Inc.とのライセンス契約に基づき展開されている当社グループ外の店舗を含む)を展開する世界的なチェーン店へ成長しています。当社グループに属さないエリアライセンシーおよび当該エリアライセンシーが展開する店舗において、不祥事その他の事由により、ロイヤリティの減少・売上の減少が生じた場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
スーパーストア事業
当社グループのスーパーストア事業は、主としてGMS(総合スーパー)事業と食品スーパー事業からなります。当社グループでは、お客様のニーズの変化に的確に対応していくため、GMS事業においては、個々の店舗が地域のマーケットに合致した商品の品揃えを主導する個店主義を推し進めるとともに、引き続き、MD(商品政策)改革の推進や接客の強化によるお客様とのコミュニケーションを強化する一方、不採算店舗の閉店を実行し、事業構造改革に取組んでおります。食品スーパー事業においては、新しい生活提案型スーパーマーケットの確立を目指して、MD改革の推進や生産性の向上に取組んでおります。しかしながら、事業環境の変化等予期しない要因により、その目的を完全には達成できない可能性があります。この場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
百貨店事業
当社グループの百貨店事業は、将来あるべき店舗構成に向けた店舗改革や、地域特性に合わせた地方店改革を進める一方、不採算店舗の閉店を実行し、新しい百貨店づくりに向けた事業構造改革に取組んでおりますが、事業環境の変化等予期しない要因により、その目的を完全には達成できない可能性があります。この場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
フードサービス事業
レストラン事業、給食事業、ファストフード事業からなる当社グループのフードサービス事業は、使われ方やニーズの変化に対応した商品開発の強化、および生産性の向上による成長戦略を推進しておりますが、事業環境の変化等予期しない要因により、その目的を完全には達成できない可能性があります。この場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
金融関連事業
当社グループでは、銀行業・カード事業等の金融関連事業を行っています。
株式会社セブン銀行の収入は、ATM事業に大きく依存していますが、現金に代替する決済の普及、ATMサービスに関する競争の激化、ATMネットワーク拡大の限界等の事態が発生した場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
カード事業については、クレジットカード「セブンカード・プラス/セブンカード」および「クラブ・オン/ミレニアムカード セゾン」と電子マネー「nanaco」の発行と運営を通じて、流通サービスと融合した利便性の高い金融サービスの実現に取り組んでおりますが、クレジットカード事業においては、貸倒率の増大・予想外の貸倒損失の発生、貸金業法に基づく総量規制等が、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、電子マネー事業においては、独自のシステムを構築して差別化を図っておりますが、我が国における電子マネーの急速な普及の過程で、汎用性の増大等の質的変化によって、競争力を維持できない場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
通信販売事業
当社グループの通信販売事業は、商品競争力の低下、ネット化の進行によるカタログ販売効率悪化、配送コスト増等の経営環境の変化に対して、事業構造改革の断行と早期の収益改善を図るべく、商品力の強化と販促効率向上を軸とする改革を推進するとともに、グループの各事業とのシナジー具現化に取組んでおりますが、事業環境の変化等予期しない要因により、その目的を完全には達成できない可能性があります。この場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3)その他の法的規制・訴訟に関するリスク
会計制度・税制等の変更
当社グループが予期しない会計基準や税制の新たな導入・変更により、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
環境に関する規制等
当社グループは、食品リサイクル、容器包装リサイクル、廃棄物処理および地球温暖化対策などに関する様々な環境関連法令の適用を受けています。これらの法令による規制はより強化されたり、または将来的に新たな規制が導入される可能性があり、当社グループにとって、法令遵守に係る追加コストが生じたり、事業活動が制限されたりする可能性があります。
情報の流出
当社グループは、金融事業を始めとする各種事業において、お客様等のプライバシーや信用に関する情報(個人情報を含む)を取り扱っており、また、他企業等の情報を受け取ることがありますが、これらの情報が誤ってまたは不正により外部に流出する可能性があります。情報が外部に流出した場合、被害者に対して損害賠償義務を負ったり、当社グループの社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの営業秘密が不正または過失により流出する危険もあり、その結果、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
訴訟および法的規制等
当社グループは、事業の遂行に関して、訴訟等および規制当局による様々な法的手続きに服するリスクを有しています。
現在までのところ、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されておりませんが、業績に大きな影響を及ぼす訴訟や社会的影響の大きな訴訟等が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、より厳格な法規制が導入されたり、規制当局の法令解釈が従来よりも厳しくなることなどにより、多大な法的責任、不利な措置が課された場合や、法的手続きへの対応に多大なコストがかかる場合、当社グループの事業活動や業績、財務状況および評判に影響を及ぼす可能性があります。
(4)災害等に関するリスク
災害等による影響
当社グループの本社および主要な事業の店舗等は日本にあるほか、世界各地で事業を展開しています。地震、台風、洪水、津波等の自然災害、火災、停電、原子力発電所事故、戦争、テロ行為等の違法行為等により、事業活動の停止や施設の改修に係る多額の費用が発生し、当社グループの事業運営に重大な支障が生じた場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。特に、コンビニエンスストア事業やスーパーストア事業を始め主要な事業の店舗が集中している首都圏において大きな災害等が発生した場合、その影響も大きくなることが予想されます。
加えて、当社グループの事業活動においてネットワークや情報システムの役割がさらに大きくなる中、停電、災害、テロ行為、ソフトウェア・ハードウェアの欠陥、コンピュータウィルスやネットワークへの不正侵入等によりシステム障害が発生した場合、事業運営に支障をきたすことになり、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
新型インフルエンザ等の感染症の流行による影響
ライフラインの一翼を担う小売業を中核事業とする当社グループは、新型インフルエンザのような感染症の流行に備えて、お客様や従業員等の人命・安全を確保した上で、地域および社会への責任を果たすため、感染症流行時における営業継続への対策を講じていますが、感染拡大や蔓延状況に応じて、営業時間の短縮、営業店舗の限定等の措置をとる可能性があります。この場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5)その他のリスク
退職給付債務・退職給付費用
当社グループの退職給付債務や退職給付費用は、割引率や年金資産の期待運用収益率等の基礎率を加味し算出していますが、これらの前提となる国内外の株価・為替・金利について予想外の変動が生じた場合や、それらにより年金資産の運用成績が悪化した場合、また、年金制度の変更が生じた場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
繰延税金資産
当社グループの繰延税金資産については、課税所得の将来の見積額や一時差異等のスケジューリングの結果に基づき計上しているグループ会社があります。今後、経営環境の悪化等により課税所得の見積もりを減額した場合等には、繰延税金資産を取崩す必要が生じ、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社および一部の連結子会社は、平成24年度より連結納税制度を適用しております。
ブランドイメージ
本編の他の項目に記載している諸事象および子会社・関連会社・フランチャイズビジネスにおける加盟店等の不祥事件により、結果として、当社グループ全体のブランドイメージが低下した場合、それによる当社グループに対するお客様の信頼低下、人材の流出、人材確保の困難化等により、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(1)グループ経営管理契約
当社は、株式会社セブン‐イレブン・ジャパン、株式会社イトーヨーカ堂、株式会社セブン&アイ・フードシステムズおよびその他の子会社25社との間で、当社が各社に対して行う経営管理に関し、それぞれ「グループ経営サービス等の提供に関する基本契約書」を締結しております。
(2)加盟店契約
株式会社セブン‐イレブン・ジャパンとコンビニエンスストア加盟店との加盟店契約の要旨は、次のとおりであります。
① 当事者(株式会社セブン‐イレブン・ジャパンと加盟者)の間で、取り結ぶ契約
(a)契約の名称
加盟店基本契約(書)およびその付属契約(書)
(b)契約の本旨
株式会社セブン‐イレブン・ジャパンの許諾によるコンビニエンスストア経営のためのフランチャイズ契約関係を加盟者と形成すること。
② 加盟者に対する商品の販売条件に関する事項
株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、開業時在庫の買取りを求める以外、爾後商品の販売はせず、加盟者は株式会社セブン‐イレブン・ジャパンの推薦する仕入先その他任意の仕入先から商品を買取ります。
③ 経営の指導に関する事項
株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは継続的に担当者を派遣して、店舗・商品・販売の状況を観察させて助言・指導をする他、販売情報等の資料の提供、効果的な標準小売価格の開示、各種仕入援助、広告宣伝、経営相談、計数管理のための計数等の作成提供を行い、商品仕入等についての与信をします。
④ 使用させる商標、商号その他の表示に関する事項
コンビニエンスストア経営について“セブン‐イレブン”の商標その他営業シンボル、著作物の使用をすることが許諾されます。
⑤ 契約の期間等に関する事項
契約の期間は、加盟店として新規開店の初日から向こう15ヶ年間です。契約の更新は、協議し、合意にもとづいて行われます。
⑥ 加盟者から定期的に徴収する金銭に関する事項
月間売上総利益(月間売上高から、月間売上商品原価(商品の総売上原価から品減り、不良品各原価および仕入値引金を差引いた純売上原価)を差引いたもの)を基に一定の計算をして算出した金額を、株式会社セブン‐イレブン・ジャパンが実施するサービスの対価として支払います。
該当事項はありません。
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
なお、当連結会計年度より、「企業会計に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2)経営成績の分析
① 営業収益および営業利益
当連結会計年度の営業収益は、前連結会計年度に比べ210,014百万円減少の5,835,689百万円(前年同期比96.5%)、営業利益は、12,252百万円増加の364,573百万円(前年同期比103.5%)となりました。
|
前連結会計年度 (平成28年2月29日) |
当連結会計年度 (平成29年2月28日) |
増減額 |
営業収益(百万円) |
|
|
|
コンビニエンスストア事業 |
2,675,890 |
2,550,640 |
△125,250 |
スーパーストア事業 |
2,060,516 |
2,025,534 |
△34,982 |
百貨店事業 |
884,716 |
852,174 |
△32,542 |
フードサービス事業 |
83,839 |
82,562 |
△1,276 |
金融関連事業 |
192,487 |
201,932 |
9,445 |
通信販売事業 |
158,732 |
139,226 |
△19,505 |
その他の事業 |
61,582 |
57,424 |
△4,157 |
消去および当社 |
△72,061 |
△73,805 |
△1,744 |
合 計 |
6,045,704 |
5,835,689 |
△210,014 |
営業利益(百万円) |
|
|
|
コンビニエンスストア事業 |
304,110 |
313,195 |
9,084 |
スーパーストア事業 |
7,234 |
22,903 |
15,668 |
百貨店事業 |
3,832 |
3,672 |
△159 |
フードサービス事業 |
917 |
515 |
△401 |
金融関連事業 |
49,697 |
50,130 |
433 |
通信販売事業 |
△8,451 |
△15,097 |
△6,645 |
その他の事業 |
5,559 |
4,632 |
△926 |
消去および当社 |
△10,578 |
△15,379 |
△4,801 |
合 計 |
352,320 |
364,573 |
12,252 |
株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、当連結会計年度末時点で19,422店舗(前期末比850店舗増)を展開しております。店舗におきましては、質の向上を図るべく積極的な立地移転を実施するとともに、新規出店における基準をより厳しく見直しました。商品におきましては、サンドイッチやフライヤーなどの基本商品の積極的なリニューアルを実施し、更なる品質向上に取り組んだことにより販売は好調に推移いたしました。これらの結果、既存店売上伸び率は平成24年8月以来55ヶ月連続でプラスとなりました。また、自営店と加盟店の売上を合計したチェーン全店売上は4,515,605百万円(前年同期比105.2%)となりました。商品別では、ソフトドリンク、菓子類他で構成される加工食品で1,183,088百万円(前年同期比106.0%)、弁当、おにぎり等の米飯や麺類、惣菜他で構成されるファスト・フードで1,350,166百万円(前年同期比105.6%)、パン、ペストリー、牛乳他で構成される日配食品で614,122百万円(前年同期比106.0%)、タバコ、日用雑貨他で構成される非食品で1,368,228百万円(前年同期比103.9%)となりました。また、加盟店からの収入と自営店の売上を合計した営業総収入は833,743百万円(前年同期比105.1%)、営業利益は243,493百万円(前年同期比103.6%)となりました。
北米の7-Eleven, Inc.は、平成28年12月末時点で8,707店舗(前期末比207店舗増)を展開しております。店舗におきましては、都市部への出店を推進するとともに、収益性を重視して既存店舗や買収店舗の一部を閉店いたしました。また、平成28年7月には米国CST Brands社の店舗取得に加え、同年9月よりカナダImperial Oil社の店舗を段階的に取得いたしました。商品におきましては、ファスト・フード商品やプライベートブランド商品「セブンセレクト」の開発および販売に引き続き注力したことに加え、ソフトドリンクやアルコール飲料等の売上が伸長いたしました。これらの結果、当連結会計年度におけるドルベースの米国内既存店商品売上伸び率は前年を上回って推移いたしましたが、為替レート変動に伴う影響により、自営店と加盟店の売上を合計したチェーン全店売上は2,735,199百万円(前年同期比92.7%)となりました。
中国におきましては、平成28年12月末時点で北京市に219店舗、天津市に82店舗、成都市に67店舗を運営しております。
これらの結果、コンビニエンスストア事業の営業収益は2,550,640百万円(前年同期比95.3%)、営業利益は313,195百万円(前年同期比103.0%)となりました。
スーパーストア事業の営業収益は2,025,534百万円(前年同期比98.3%)、営業利益は22,903百万円(前年同期比316.6%)となりました。
国内の総合スーパーである株式会社イトーヨーカ堂は、当連結会計年度末時点で171店舗(前期末比11店舗減)を運営しております。店舗におきましては、食品館の3店舗と「セブンパーク アリオ柏」の計4店舗を出店いたしました。また、テナントミックスによる売場構成の見直しや15店舗の閉鎖等の事業構造改革を実施いたしました。商品におきましては、個店・地域特性に合わせた品揃えや、「セブンプレミアム」などの差別化商品の販売を強化いたしました。当連結会計年度における既存店売上伸び率は前年度を下回りましたが、販促費の抑制や荒利率の改善、衣料品の在庫適正化等により収益性は大幅に改善いたしました。
国内の食品スーパーにおきましては、当連結会計年度末時点で株式会社ヨークベニマルが南東北地方を中心に213店舗(前期末比8店舗増)、株式会社ヨークマートが首都圏を中心に78店舗(同2店舗増)を運営しております。株式会社ヨークベニマルは、生鮮食品の販売を強化するとともに、子会社の株式会社ライフフーズによる即食・簡便のニーズに対応した惣菜の品揃えを強化し、安全・安心・味・品質にこだわった商品で差別化を図りました。これらの結果、当連結会計年度における既存店売上伸び率は前年度を上回りました。
ベビー・マタニティ用品を販売する株式会社赤ちゃん本舗は、当連結会計年度末時点で106店舗(前期末比3店舗増)を運営しております。
中国における総合スーパーは、平成28年12月末時点で成都市に6店舗、北京市に2店舗を展開しております
百貨店事業の営業収益は852,174百万円(前年同期比96.3%)、営業利益は3,672百万円(前年同期比95.8%)となりました。
株式会社そごう・西武は、当連結会計年度末時点で19店舗(前期末比4店舗減)を運営しております。販売におきましては、百貨店ならではの質の高い接客とビューティーアドバイザー等の専門販売員によるトータルアドバイス機能の強化を図りました。しかしながら、当連結会計年度における既存店売上伸び率は、衣料品を中心に売上が伸び悩み前年度を下回りました。店舗におきましては、事業構造改革に基づき平成29年2月末までに「そごう柏店」、「西武旭川店」、「西武八尾店」、「西武筑波店」の4店舗を閉店するとともに、平成28年10月に要員の適正化を図るべく希望退職を実施いたしました。
生活雑貨専門店を展開する株式会社ロフトは、当連結会計年度末時点で109店舗(前期末比7店舗増)を運営しております。
フードサービス事業の営業収益は82,562百万円(前年同期比98.5%)、営業利益は515百万円(前年同期比56.2%)となりました。
株式会社セブン&アイ・フードシステムズは、当連結会計年度末時点で815店舗(前期末比36店舗減)、内レストラン事業部で386店舗(同3店舗減)を運営しております。当連結会計年度におけるレストラン事業は、客単価は回復傾向だったものの、客数の伸び悩みにより既存店売上伸び率は前年度を下回りました。
金融関連事業の営業収益は201,932百万円(前年同期比104.9%)、営業利益は50,130百万円(前年同期比100.9%)となりました。
株式会社セブン銀行における当連結会計年度末時点のATM設置台数は、主に株式会社セブン‐イレブン・ジャパンの積極的な出店に伴い前期度末比965台増の23,353台まで拡大いたしました。また、当連結会計年度中のATM1日1台当たり平均利用件数は、一部提携銀行の顧客手数料有料化や日本銀行による「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入に伴う消費マインドの変化等により95.6件(前年同期比3.6件減)となりましたが、ATM設置台数の増加に伴い期間総利用件数は前年度を上回りました。
カード事業会社におきましては、株式会社セブンCSカードサービスがそごう・西武店舗の一部閉店等により取扱高が減少しましたが、株式会社セブン・カードサービスはクレジットカード事業、電子マネー事業ともに、取扱高が増加するなど順調に推移いたしました。
通信販売事業の営業収益は139,226百万円(前年同期比87.7%)、営業損失は15,097百万円となり前連結会計年度と比べ6,645百万円の損失拡大となりました。
当社は、平成28年11月1日に完全子会社である株式会社セブン&アイ・ネットメディアの株式交換により、株式会社ニッセンホールディングスを完全子会社化し、構造改革を推進いたしました。なお、株式会社ニッセンホールディングスは、当連結会計年度より決算期末日を12月20日から2月末日に変更し、当期は14ヶ月決算となりました。
② 営業外損益および経常利益
営業外損益は、前連結会計年度の2,154百万円の損失(純額)から167百万円の損失(純額)となりました。これは支払利息や為替差損が減少したことなどによるものです。
この結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ14,240百万円増加の364,405百万円となりました。
③ 特別損益および税金等調整前当期純利益
特別損益は、前連結会計年度の46,389百万円の損失(純額)から146,836百万円の損失(純額)となりました。これは事業構造改革費用、減損損失およびのれん償却額が増加したことなどによるものであります。
この結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ86,206百万円減少の217,569百万円となりました。
④ 法人税等(法人税等調整額を含む)および親会社株主に帰属する当期純利益
法人税等は、前連結会計年度に比べ28,347百万円減少の106,746百万円となりました。また、税効果会計適用後の負担率は49.1%となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ64,179百万円減少の96,750百万円となりました。1株当たり当期純利益は、109.42円となり、前連結会計年度の182.02円に比べ72.6円減少しました。
(3)財務状態の分析
① 資産、負債及び純資産の状況
|
前連結会計年度 (平成28年2月29日) |
当連結会計年度 (平成29年2月28日) |
増減額 |
総資産(百万円) |
5,441,691 |
5,508,888 |
67,197 |
負 債(百万円) |
2,936,508 |
3,033,082 |
96,573 |
純資産(百万円) |
2,505,182 |
2,475,806 |
△29,376 |
総資産は、前連結会計年度末に比べ67,197百万円増加して5,508,888百万円となりました。
流動資産は、現金及び預金が122,111百万円増加した一方、有価証券が80,000百万円、商品及び製品が19,387百万円減少したことなどから、前連結会計年度末に比べ24,436百万円増加し、2,274,403百万円となりました。
有形固定資産は、株式会社セブン‐イレブン・ジャパンや株式会社イトーヨーカ堂における新規出店や既存店の改装などにより35,474百万円の増加となりました。無形固定資産は、「企業結合に関する会計基準」等の適用によるのれんの減少などにより49,735百万円減少しております。また、投資その他の資産においては、株式会社セブン銀行が国債等を取得したことなどにより57,030百万円増加しております。これらの結果、固定資産は前連結会計年度末に比べ42,768百万円増加し、3,234,485百万円となりました。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ96,573百万円増加し、3,033,082百万円となりました。
流動負債は、未払費用が23,174百万円、預り金が31,267百万円、株式会社セブン銀行において銀行業における預金が20,688百万円増加した一方、1年内返済予定の長期借入金が37,027百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ66,715百万円増加し、1,947,618百万円となりました。
固定負債は、社債が一年内振替により49,997百万円減少、長期借入金が72,950百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ29,858百万円増加し、1,085,463百万円となりました。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ29,376百万円減少し、2,475,806百万円となりました。
資本剰余金は、「企業結合に関する会計基準」等の適用に伴う遡及修正による116,446百万円の減少などにより、前連結会計年度末に比べ118,379百万円減少しております。
利益剰余金は、「企業結合に関する会計基準」等の適用に伴う遡及修正による59,221百万円の増加、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による96,750百万円の増加および配当金の支払いによる80,890百万円の減少などにより、前連結会計年度に比べ75,263百万円増加しております。
為替換算調整勘定は、主に7-Eleven, Inc.の財務諸表の換算などより、14,536百万円減少しております。
これらの結果、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に比べ41.71円減少し2,641.40円となり、自己資本比率は前連結会計年度末の43.6%から42.4%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
|
前連結会計年度 (平成28年2月29日) |
当連結会計年度 (平成29年2月28日) |
増減額 |
営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円) |
488,973 |
512,523 |
23,549 |
投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円) |
△335,949 |
△371,602 |
△35,652 |
財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円) |
△2,312 |
△78,190 |
△75,878 |
現金及び現金同等物の期末残高(百万円) |
1,147,086 |
1,209,497 |
62,411 |
現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、株式会社セブン‐イレブン・ジャパンを中心として、店舗の新規出店および改装などに伴う支出がありましたが、コンビニエンスストア事業を中心とした高い営業収益力によりキャッシュ・フローを創出したことなどにより、前連結会計年度末に比べ62,411百万円増加し、1,209,497百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得た資金は、前連結会計年度に比べ23,549百万円増加し、512,523百万円となりました。これは、税金等調整前当期純利益が86,206百万円減少した一方、減損損失が30,919百万円、のれん償却額が32,348百万円、売上債権の増減額が20,291百万円、預り金の増減額が23,660百万円それぞれ増加したことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は、前連結会計年度に比べ35,652百万円増加し、371,602百万円となりました。これは、有形固定資産の売却による収入が34,372百万円増加した一方、投資有価証券の取得による支出が31,299百万円増加したこと、投資有価証券の売却による収入が32,008百万円減少したことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は、前連結会計年度に比べ75,878百万円増加し、78,190百万円となりました。これは、長期借入れによる収入が42,901百万円増加した一方、当社における社債の発行による収入が119,679百万円減少したことなどによるものであります。
(4)戦略的現状と見通し
当社グループは、平成30年2月期より中期経営計画の推進に向け、マネジメントアプローチによるセグメント管理をより強化いたします。
従来の「コンビニエンスストア事業」、「スーパーストア事業」、「百貨店事業」、「フードサービス事業」、「金融関連事業」、「通信販売事業」、「その他の事業」の7区分から、「国内コンビニエンスストア事業」、「海外コンビニエンスストア事業」、「スーパーストア事業」、「百貨店事業」、「金融関連事業」、「専門店事業」、「その他の事業」の7区分に変更いたします。主な変更内容につきましては、「コンビニエンスストア事業」を成長の柱と位置づけ、環境与件の異なる国内と海外に分けて管理いたします。さらに、「フードサービス事業」および「通信販売事業」に代えて「専門店事業」を設け、各事業セグメントに分かれていた専門店を集約いたします。
次期の見通しにつきましては、国内において雇用・所得環境の改善が続く中で各種政策の効果もあり、景気は緩やかに回復していくことが期待されるものの、個人消費におきましては、依然として先行き不透明な状態が想定されます。また、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響にも留意する必要があります。
このような環境の中、当社グループにおきましては、誠実と信頼、変化への対応と基本の徹底を基本方針に掲げ、平成28年10月には、平成32年2月期における営業利益4,500億円、ROE10%を目標とする中期経営計画を発表いたしました。次期は平成32年2月期までの3ヵ年計画のスタートの年として、中期経営計画の戦略を着実に実行してまいります。
また、グループ共通のプライベートブランド商品「セブンプレミアム」につきましては、平成19年5月の発売開始から10周年を迎えます。これを機に、「更なる品質の向上」、「新たな価値の創造」、「新領域への挑戦」の3つの方針を基に更なる飛躍を目指します。今後、既存商品のリニューアルを積極的に推進するとともに、生鮮3品「野菜・果物」、「精肉・卵」、「鮮魚」等を「セブンプレミアム フレッシュ」として新たに展開いたします。これらの取り組みにより、平成30年2月期における「セブンプレミアム」の売上高は1兆3,200億円(当期比14.8%増)を計画しております。
さらに、当社グループのオムニチャネル戦略につきましては、リアルとITを融合させ全ての購買データを補捉するCRM戦略(顧客関係管理戦略)の強化に向けて仕組みを構築してまいります。各社共通のポイントプログラムやお客様一人ひとりに対するきめ細かなパーソナル販促等、お客様とのコミュニケーション機能を充実させた新たなスマートフォン用アプリケーションの導入に向けて取り組んでまいります。
国内コンビニエンスストア事業の株式会社セブン‐イレブン・ジャパンにつきましては、高齢化や単身世帯の増加、小売店舗数の減少、働く女性の増加といった社会構造の変化を成長機会と捉え、コンビニエンスストアに求められる役割を果たすため、「近くて便利」なお店への更なる進化を目指し、加盟店オーナー様とともに変革への挑戦を継続してまいります。一方、国内の雇用環境は最低賃金の上昇や有効求人倍率の上昇、社会保険加入の適用拡大などを受け厳しさを増しております。このような環境の中、加盟店オーナー様がより積極的な店舗経営に専念できる環境を整備するとともに、将来の加盟促進に向けた施策として、平成29年9月よりセブン‐イレブン・チャージの1%特別減額を実施いたします。加えて、店舗従業員の作業効率の改善を図り、接客サービスの質を高めることを目的として、フライヤー等のカウンター商品の販売什器を洗浄するための業務用食洗機の導入も進めてまいります。また、商品の売上構成の変化に合わせた新たな店舗レイアウトの展開にも取り組んでまいります。出店におきましては、既存店の質の向上を図るべく積極的な立地移転を実施するとともに、新規出店の基準を引き続き厳しく精査いたします。商品では、ファスト・フード商品の更なる品質向上を図るとともに、お客様の潜在ニーズを捉えた新しい商品や地域のお客様の嗜好に合わせた商品の開発にも注力してまいります。中でも、「SEVEN CAFÉ(セブンカフェ)」につきましては、従来の商品に加えて、新たに質の高いカフェラテの提供を可能にした新型マシンを開発し、平成30年2月期末までに全店に導入し、更なる販売拡大を目指します。
海外コンビニエンスストア事業につきましては、7-Eleven, Inc.がファスト・フード商品とプライベートブランド商品「セブンセレクト」の開発および販売に注力するとともに、ドミナントエリアにおける新規出店と、自営店のフランチャイズ化を推進してまいります。なお、平成29年4月6日の取締役会において、7-Eleven, Inc.が、米国Sunoco LP社からコンビニエンスストア事業およびガソリン小売事業の一部を取得することを決議いたしました。これにより、更なる店舗網の拡充や利便性向上を進めるとともに、収益性の改善を図ってまいります。
スーパーストア事業の株式会社イトーヨーカ堂につきましては、平成28年10月に発表した中期経営計画に基づき8店舗の閉店や自営売場面積の縮小、食品強化等の構造改革を着実に実行してまいります。また、株式会社ヨークベニマルにつきましては、子会社である株式会社ライフフーズと連携して生鮮食品とデリカテッセンでの差別化を徹底し、地域のニーズに対応した品揃えの強化を継続するとともに、既存店の活性化とドミナント出店に取り組んでまいります。
百貨店事業の株式会社そごう・西武につきましては、最大消費マーケットである首都圏を中心とした基幹店に経営資源を集中させるとともに、首都圏郊外型の新しい百貨店モデルとして、お客様の来店頻度を高めるべく食品売場の強化を推進いたします。なお、当社および株式会社そごう・西武は、平成29年5月11日、エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社との間で基本合意書を締結し、平成29年10月1日(予定)を効力発生日として、株式会社そごう・西武が、そごう神戸店および西武高槻店に関する事業について会社分割を行い、エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社の子会社に譲渡することを合意いたしました。
専門店事業の株式会社セブン&アイ・フードシステムズにつきましては、デニーズにおいて客数の増加と作業効率の改善を目的としてドリンクバーの導入を積極的に進めるとともに、接客力の向上による収益性の改善に取り組んでまいります。株式会社ニッセンホールディングスにつきましては、総合カタログ通販事業を大幅に縮小し、より優位性の高いラージサイズ事業へ経営資源を集中してまいります。平成29年4月6日に同社の子会社である株式会社ニッセンは、多数の有力ブランドが出店するプラスサイズ・ファッションECモール「alinoma(アリノマ)」をオープンいたしました。