第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度における世界経済は、中国をはじめとする新興国経済の成長鈍化や原油価格の急落、ギリシャ債務問題、ウクライナ問題をめぐる欧米諸国のロシアへの経済制裁などの不安定要素があるものの、米国は着実に景気が回復し、欧州も景気持ち直しの動きが続いたことから、緩やかに景気は回復しつつあります。

国内経済は、政府、日銀の経済・金融政策による企業収益や雇用環境の改善の動きや個人消費の底堅さが見られるなど、緩やかな回復基調が続きました。

このような状況のもと、当社グループは、平成30年3月期(2017年度)の売上高6,000億円、ROE9%の経営目標の達成に向け、「既存事業の強化」、「研究開発の成果発揮」、「M&Aの積極展開」をグループ一丸となって進めています。また、当連結会計年度においては、株主還元と資本効率の向上を図るため、16,285千株(発行済株式総数の9.1%)の自己株式取得を実施しました。 

当連結会計年度の当社グループの連結業績は、売上高はエレクトロニクス事業やブレーキ事業が大幅な増収となったこと等により、523,757百万円(前年同期比29,407百万円、5.9%増)となりました。

営業利益は、エレクトロニクス事業が、日本無線㈱の海上機器事業の収益改善、新日本無線㈱の電子デバイスの好調、長野日本無線㈱の採算改善による黒字化等により増益となり、紙製品事業も好調を維持したこと等から、のれん償却前営業利益は21,068百万円(前年同期比1,214百万円、6.1%増)となり、営業利益は13,744百万円(前年同期比568百万円、4.3%増)となりました。

経常利益は、持分法による投資利益や外貨建て貸付金に係る為替差益が減少したこと等から、20,650百万円(前年同期比1,521百万円、6.9%減)となりました。

また当期純利益は、特別利益に日本無線㈱(三鷹製作所土地の一部)他の固定資産売却益を計上したこと、前連結会計年度に特別損失に計上した日本無線㈱の事業構造改善費用やTMD社の社債償還に伴う損失等が、当連結会計年度には大幅に減少したこと、さらにエレクトロニクス事業の国内子会社やブレーキ事業の海外子会社において、収益性の改善に伴う繰延税金資産の計上により税負担が減少したこと等により、13,693百万円(前年同期比4,682百万円、52.0%増)となりました。

当連結会計年度における事業のセグメント別業績は下記のとおりです。なお、セグメント利益またはセグメント損失は、営業利益または営業損失ベースの数値です。

 

①繊維

国内では、ユニフォーム地の販売が回復に転じたものの、CHOYA㈱の事業譲渡に伴い売上が大幅に減少したことに加え、主力のドレスシャツ地や中高級ブルージーンズ向けのデニム地の販売が低調に推移し、円安による海外生産拠点からの仕入価格の高止まりや外注加工賃の上昇が収益を圧迫したこと等から、減収・減益となりました。

海外では、主力のインドネシア子会社は販売が好調だったものの高級原綿の価格が高止まりした影響を受け、ブラジル子会社は原綿相場下落に伴い製品市況が悪化したこと等から、増収ながらも減益となりました。

その結果、繊維事業全体では、売上高47,361百万円(前年同期比7.8%減)、セグメント損失475百万円(前年同期比1,027百万円の悪化)となりました。

 

②ブレーキ

国内では、消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動から国内自動車販売が減少した影響を受けたものの、海外市場の伸びによる輸出の増加や円安効果等により、増収・増益となりました。

海外では、タイ子会社が減収・減益となりましたが、米国、韓国子会社は円安による影響もあり増収・増益となり、中国子会社も営業黒字化した結果、増収・増益となりました。また、TMD社もアフターマーケット向け売上は減少したものの、欧州の自動車販売が増加したこと等により業績は概ね順調に推移しましたが、円安によりのれんの償却費等の負担が増加しました。

その結果、ブレーキ事業全体では、売上高161,886百万円(前年同期比8.9%増)、セグメント損失2,068百万円(前年同期比255百万円の悪化)となりましたが、TMD社買収等に伴い生じているのれんの償却費6,916百万円を費用処理する前の、のれん償却前営業利益は4,847百万円(前年同期比226百万円、4.9%増)と増益となりました。

 

 

③紙製品

家庭紙は、消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動による販売数量の減少や円安による原料高等のコストアップがあったものの、販売価格の改定が定着したこと等により、減収ながらも増益となりました。

洋紙は、ファインペーパーの高級印刷用紙や合成紙の販売が堅調に推移したことにより増収となりましたが、円安による原料高の影響等から減益となりました。また紙加工品は、パッケージやプリンター関連製品の好調や中国子会社の採算改善が進んだこと等から増収となり、収益も改善しました。

その結果、紙製品事業全体では、売上高31,280百万円(前年同期比1.3%減)、セグメント利益425百万円(前年同期比905.5%増)となりました。 

 

④精密機器

システム機事業は、各種産業向け専用機、太陽光発電システム設置事業の受注が減少し、太陽電池製造装置の利益率も低下したことから、減収・減益となりました。

プラスチック成形加工は、中国・ASEAN向け製品の出荷増により増収となったものの、エアコン向け製品の出荷が減少し採算が悪化したことから、減益となりました。

また、自動車向け精密部品は、中国生産品の販売増により増収となったものの、中国子会社の新規立ち上げに伴う費用負担により、減益となりました。

その結果、精密機器事業全体では、売上高28,607百万円(前年同期比0.2%減)、セグメント利益263百万円(前年同期比75.5%減)となりました。

 

⑤化学品

断熱製品は住宅着工件数の減少や原料高騰の影響等により、カーボン製品は半導体・液晶製造装置用部材の販売不振により、それぞれ減収・減益となりましたが、エラストマー製品は、テープやシーリングテープの売上が増加し、増収・増益となりました。

また、燃料電池セパレータは、国内家庭用・定置用の売上が増加したことから増収となり損失が縮小し、機能化学品は、水性架橋剤の売上が増加し、増収・増益となりました。

その結果、化学品事業全体では、売上高8,942百万円(前年同期比1.5%増)、セグメント利益514百万円(前年同期比387.3%増)となりました。

 

⑥エレクトロニクス

日本無線㈱は、主力のソリューション事業において、堅調な更新需要を背景として県・市町村向け防災無線システムの売上が増加し、社会インフラ事業の海外展開の推進により港湾監視システムや気象レーダシステムの売上も増加しました。また、海上機器事業は造船市場の回復基調から受注が堅調に推移し、通信機器事業も自動車用ITS(高度道路交通システム)製品の売上が増加した結果、日本無線㈱全体では増収・増益となりました。

新日本無線㈱は、主力の電子デバイス事業が好調に推移したことに加え、円安効果や事業構造改革の成果等から増収・増益となりました。

長野日本無線㈱は、情報・通信機器、メカトロニクス機器事業の売上増により増収となり、高付加価値製品比率の拡大や前期に計上した棚卸資産評価損が当期はなくなったこと等から利益も大幅に改善し、黒字化しました。

その結果、エレクトロニクス事業全体では、売上高209,115百万円(前年同期比11.4%増)、セグメント利益12,703百万円(前年同期比35.8%増)となりました。

エレクトロニクス事業においては、日本無線㈱、長野日本無線㈱、上田日本無線㈱3社による事業構造改革を進めています。長野日本無線㈱隣接地に建設中であった日本無線㈱の先端技術センターが平成26年12月に完成、三鷹製作所(東京都三鷹市)から技術部門・品質保証部門が移転しました。また、同敷地内に新たな生産棟も完成し、平成27年6月までに移転を完了して先端技術センターと併せて開発・生産の主要拠点となります。これら一連の移転に伴い、日本無線㈱の三鷹製作所跡地は順次売却する方針であり、当連結会計年度においては、一部土地(約29千㎡)の売却を完了しました。

 

 

⑦不動産

遊休不動産を活用した宅地分譲事業は、針崎(愛知県)、川越(埼玉県)、能登川(滋賀県)、名古屋の各事業所跡地で順調に進みましたが、前期末で浜松工場跡地の分譲が終了した影響等により、減収・減益となりました。一方、土地賃貸事業やオフィスビル・商業施設の建物賃貸事業は堅調に推移しました。

その結果、不動産事業全体では、売上高9,246百万円(前年同期比12.5%減)、セグメント利益6,669百万円(前年同期比14.3%減)となりました。

 

⑧その他

ニッシン・トーア㈱(食品、産業資材等の商社機能や保険代理店業務)の事業、岩尾㈱(産業資材、衣料繊維等の提案型商社機能)等の事業を、その他として区分しています。

その他の売上高は27,317百万円(前年同期比1.8%増)、セグメント損失は110百万円(前年同期比43百万円の悪化)となりました。

 

(注)上記金額に消費税等は含まれていません。

 

(2)キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは37,120百万円と前年同期に比べ11,045百万円増加しました。これは主として税金等調整前当期純利益の増加によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは△21,271百万円と前年同期に比べ1,408百万円減少しました。これは主として有形固定資産取得による支出の増加によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは△6,238百万円と前年同期に比べ3,916百万円減少しました。これは主として自己株式取得による支出の増加によるものです。
 以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は36,706百万円と前連結会計年度末に比べ11,881百万円増加しました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

 (1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

繊維

42,500

+0.9

ブレーキ

131,268

+8.1

紙製品

28,778

△0.9

精密機器

28,793

+7.2

化学品

6,600

△2.7

エレクトロニクス

219,197

+10.9

その他

542

+50.7

合計

457,680

+7.9

 

(注) 1 金額は製造原価により算出しています。

2 不動産事業は生産活動を行っていないため、上記金額には含まれていません。

3 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(2) 受注状況

当連結会計年度における精密機器及びエレクトロニクスの受注実績を示すと、次のとおりです。なお、精密機器のうちメカトロニクス製品及びエレクトロニクス以外の製品については主として見込生産を行っています。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

精密機器

5,763

+18.0

2,108

+76.2

エレクトロニクス

215,144

+8.6

84,161

+7.6

合計

220,907

+8.8

86,270

+8.6

 

(注)  上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

繊維

47,361

△7.8

ブレーキ

161,886

+8.9

紙製品

31,280

△1.3

精密機器

28,607

△0.2

化学品

8,942

+1.5

エレクトロニクス

209,115

+11.4

不動産

9,246

△12.5

その他

27,317

+1.8

合計

523,757

+5.9

 

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が総販売実績の10%未満のため記載を省略しています。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

3 【対処すべき課題】

当社グループは経営の基本方針として「グループ企業理念」を以下のとおり定めています。 

 ・企業公器

 企業は社会の公器であるとの考えのもと、地球環境問題へのソリューションの提供を通じて、持続可能な社会の実現を目指します。

 ・至誠一貫

 世界のさまざまな文化や慣習、さらには生物の多様性等を尊重し、企業人としての誇りをもって公正・誠実な事業活動を行います。

 ・未来共創

 変化への対応とたゆまぬ挑戦を続け、ステークホルダーの皆さまとともに豊かな未来を創造します。

 

 この「グループ企業理念」のもと、「グループ行動指針」を定め、グローバル社会に貢献する「環境・エネルギーカンパニー」グループとして、企業価値の向上に邁進してまいります。

 

当社グループは、「無線・エレクトロニクス」、「車載・機器」、「素材・生活関連」、「新エネルギー・スマート社会」に関わる分野を戦略的事業領域としており、平成30年3月期(2017年度)までに売上高6,000億円、ROE9%の達成を経営目標としています。

新たに次期長期戦略目標として、平成38年3月期(2025年度)売上高1兆円、ROE12%超の達成を掲げました。

「環境・エネルギーカンパニー」グループとしての将来像と大きな方向性を見据えつつ、「既存事業の強化」、「研究開発の成果発揮」、「M&Aの積極展開」を成長の3本柱として、たゆまぬイノベーションを原動力にグループ一丸となってさらなる成長を目指してまいります。

各事業の重点課題と対応策は次のとおりです。

 

 

○繊維

新商品開発体制を強化し、次世代形態安定加工「アポロコット」ブランドの開発・販売を推進します。モビロン事業とエラストマー事業の統合など、国内の事業基盤を強化するとともに、インドネシアなど海外生産拠点の拡充や海外生産品の欧米向けの販売を拡大するなど、グローバルな生産・販売体制を構築します。また、シャツ事業のM&Aにより、業績向上と素材・製造・小売の一貫体制によるビジネスモデルの強化を図ります。

○ブレーキ

新興国の成長市場でのシェア拡大に向け、アジアではタイや中国の新工場の生産拡大、南米ではTMD社のブラジル拠点の移転に伴う新工場の建設など、それぞれの地域で生産能力を増強し、グローバルで最適な生産体制を構築します。また、重要な市場である欧州において、今後世界レベルで需要が見込まれる銅規制対応摩擦材を生産する最新の生産設備の導入や生産拠点の再整備を行い、さらなる競争力の強化を図ります。

○紙製品

家庭紙事業では、商品の包装見直しや高付加価値商品の開発・拡販、トイレットペーパー等のロール商品の生産性向上などにより、コスト競争力の強化を図ります。洋紙事業では、新商品の開発や既存商品のリニューアル、他社との協業推進などにより、収益性を向上させます。また、紙加工品事業では、グローバル展開を進めるとともにコスト削減等により利益率を向上させ、収益改善を図ります。

○精密機器

システム機事業では、太陽電池製造装置などの太陽光ビジネスにおける事業体制を見直すとともに、商品開発力と調達力を強化します。精密部品事業では、中国に設立した合弁会社の運営を早期に軌道に乗せます。また、高分子事業では、軽量化したプラスチックファン「Ecoクロス」「Ecoターボ」の開発・拡販に注力するとともに、グローバル展開を進めます。

○化学品

LNG(液化天然ガス)船用保冷パネルの生産体制を構築するとともに、高機能性樹脂素材「カルボジライト」、燃料電池セパレータ、水処理担体の海外市場への展開など、環境・エネルギー関連事業を積極的に展開します。また、新エネルギー・スマート社会のニーズに合った事業領域の開拓・開発を進めるとともに、グループシナジーの発揮や産官学の連携強化などにより、研究開発力と新規事業の事業化力の強化を図ります。

○エレクトロニクス

日本無線㈱、長野日本無線㈱、上田日本無線㈱が一体となって取り組んできた、技術部門・生産拠点の再編やアジアへの生産・販売のシフトなどの事業構造改革を完遂させるとともに、連携強化に向けた改革を推進し、成長戦略を共有して新たな収益基盤を確立します。また、半導体事業を行う新日本無線㈱では、通信デバイス向けの新製品の拡充などにより電子デバイス事業を拡大させ、継続的な成長を実現します。

○不動産

事業所跡地などの再開発、オフィス・商業施設の賃貸、宅地分譲などを計画的に行い、グループの成長戦略を支えるための資金を調達するとともに、グループ全体の不動産の有効活用を推進します。

 

 

 (株式会社の支配に関する基本方針)

(1)基本方針の内容

当社は、最終的に当社の財務及び事業の方針(以下「経営方針」といいます。)の決定を支配するのは、株主の皆様であると考えております。他方、実際に経営方針を決定するのは、株主総会において選任され、株主の皆様から委任を受けた取締役により構成される取締役会です。そのため、取締役会は、何よりも当社企業価値、ひいては、当社株主共同の利益(以下単に「株主共同の利益」といいます。)を維持・向上させるために、最善の努力を払うということと、株主の皆様の意向を、取締役会の経営方針の決定に、より速やかに反映するということを、当社の基本方針としております。

また、特定の者が大規模な当社株式等の買付行為(以下「大規模買付行為」といいます。)などにより、経営方針の決定を支配しようとしたときに、それが真に株主共同の利益にかなうものであるかどうか、取締役会として検討を行い判断いたしますが、その大規模買付行為を受け入れるか否かの判断も、最終的には株主の皆様によってなされるべきものと考えております。

しかし、当該大規模買付行為が、株主共同の利益を著しく損なうと判断される場合、具体的には、以下の5類型に該当すると認められる場合には、取締役会が何らかの対抗措置を講じることも、株主共同の利益を維持・向上するために必要であると考えております。

①真に当社の経営に参加する意思がないにもかかわらず、ただ株価を吊り上げて高値で株式を当社関係者に引き取らせる目的で当社株式の買収を行っていると判断される場合

②当社の経営を一時的に支配して当社の事業経営上必要な知的財産権、ノウハウ、企業秘密情報、主要取引先や顧客等を大規模買付者やそのグループ会社等に移譲させる目的で当社の株式の買収を行っていると判断される場合

③当社の経営を支配した後に、当社の資産を大規模買付者やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する予定で当社の株式の買収を行っていると判断される場合

④当社の経営を一時的に支配して当社の事業に当面関係していない不動産、有価証券等の高額資産等を売却等処分させ、その処分利益をもって一時的な高配当をさせるかあるいは一時的高配当による株価の急上昇の機会を狙って当社株式の高値売り抜けをする目的で当社の株式の買収を行っていると判断される場合

⑤大規模買付者の提案する当社株式の買付方法が、強圧的二段階買収(最初の買付で全株式の買付を勧誘することなく、二段階目の買付条件を不利に設定し、あるいは明確にしないで、公開買付等の株式買付を行うことをいいます。)など、株主の判断の機会または自由を制約し、事実上、株主に当社株式の売却を強要するおそれがあると判断される場合(ただし、部分的公開買付であることをもって当然にこれに該当するものではありません。)

 

(2)基本方針の実現に資する取り組み

当社は、企業価値の増大を図るため、持株会社制のもと、各事業会社の責任において迅速に意思決定を行い、グローバルな個別事業の成長やガバナンスの強化を推進するとともに、成長事業領域である環境・エネルギー分野に経営資源を重点的に配分しております。また、業績目標とそれを達成するための経営基本方針及びコーポレートガバナンス強化とCSR推進等の当社グループの推進事項を明確にし、株主共同の利益の向上に取り組んでおります。

さらに、株主の皆様から経営の委任を受けている取締役の毎事業年度の責任を明確にするため、取締役の任期を1年とするとともに、取締役の職務の執行を監督するという取締役会の機能を強化するため、社外取締役を選任しております。

 

(3) 基本方針に照らして不適切な者によって経営方針の決定が支配されることを防止する取り組み

当社は、基本方針に照らして不適切な者によって経営方針の決定が支配されることを防止する取り組みとして、平成24年6月28日開催の第169回定時株主総会のご承認に基づき、「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)」(以下「本プラン」といいます。)を継続導入しております。本プランは、特定の者による大規模買付行為に応じるか否かについて、株主の皆様に適切なご判断を行っていただくために必要かつ十分な情報の提供等、大規模買付行為を行おうとする者が遵守すべき一定のルール(以下「大規模買付ルール」といいます。)を定めております。

 

取締役会は、大規模買付者に対してこの大規模買付ルールの遵守を求め、大規模買付ルールに則って大規模買付者から提出された情報を十分に評価検討し、取締役会としての意見を適時適切に開示します。また、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合、あるいは、大規模買付ルールに則っていたとしても、大規模買付行為が株主共同の利益を著しく損なうと判断される場合には、取締役会が一定の対抗措置をとることができますが、その発動にあたっては、判断の合理性・公正性を担保するために、社外取締役と社外監査役で構成される取締役会から独立した企業価値委員会に諮問を行い、取締役会が企業価値委員会の勧告を最大限尊重する仕組みとしております。また、取締役会による恣意的な発動を防止するために、合理的かつ客観的な発動要件が充足されなければ対抗措置が発動されない設定となっております。

本プランの有効期間は、平成24年6月の継続導入時から平成27年6月に開催予定の定時株主総会終了の時までの3年間となっております。ただし、有効期間の満了前であっても、株主総会で本プランを変更または廃止する旨の決議が行われ、あるいは取締役会で本プランの廃止の決議が行われた場合には、その時点で本プランは廃止されます。

 

(4) 上記取り組みに対する当社取締役会の判断及びその理由

上記(2)及び(3)に記載の取り組みが株主共同の利益の確保・向上させるための具体的施策であること、また上記(3)の取り組みについては、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を充足していることから、これらの取り組みは、上記(1)の基本方針に適うものであり、株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社の役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。

 

(ご参考)

本プランの有効期間は、平成27年6月26日開催の第172期定時株主総会終結の時までとなっています。当社は、平成27年4月23日開催の取締役会において、有効期限の満了をもって本プランを継続しないことを決議いたしました。

なお、当社は、本プランの有効期間満了後も引き続き、当社株式の大規模な買付行為や買付提案を行おうとする者に対しては、関係諸法令に従い、大規模買付行為の是非を株主の皆様に適切に判断いただくための必要かつ十分な情報の開示を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示するとともに、株主の皆様に検討いただくために必要な時間の確保に努めるなど、適切な措置を講じてまいります。

 

 

4 【事業等のリスク】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

①新規事業に関するリスク

当社グループでは、売上・収益の拡大を目指してカーボン触媒等の新規事業に積極的に取り組んでいますが、新規事業においては不確定要因が多く、魅力ある新製品を開発できない場合や、新規市場の創出が想定通り進まないことも考えられます。その場合には、これまでの投資回収が想定より遅れる、または回収できない可能性があります。

 

②投資有価証券の変動によるリスク

当社所有の投資有価証券は金融商品会計基準に基づき時価評価を行っており、一部についてはより厳格な社内基準により減損処理を実施しています。取得価格が総じて低いため、現行の会計処理及び減損処理基準では、純損益に影響を与える減損の可能性は大きくないと考えられるものの、時価の変動により包括利益は大きく変動することが考えられます。また、M&Aによる投資、海外展開への出資・設備投資などに対しては、有価証券を資金化することで対応し有利子負債の増加を抑える場合がありますが、売却時期と投資時期がずれれば目論見どおりにならない可能性があります。

 

③遊休土地の活用に伴うリスク

当社は事業構造の変革のため、一部事業場の閉鎖と閉鎖後の土地活用を積極的に進めており、再開発による収入が収益に大きく貢献しております。土地の再開発に当たっては、土地浄化費用が発生する可能性があること、また法律の改正などが再開発の障害となる可能性があります。

 

④製品の品質に関するリスク

当社グループの大部分は国際規格の品質管理基準に従って製品の製造をしていますが、将来において品質問題が発生しないという保証はありません。製造物責任賠償保険には加入をしておりますが、補償額が多大となれば業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤製品の売値、原料調達の市況変動によるリスク

当社グループが展開する製品には市況の動向、他社との競合に伴う市場価格の変動に大きく左右されるものがあります。売値に関しては繊維製品・紙製品が、原料の調達に関しては原綿・パルプ・鋼材・資材がその影響をうけやすい構造となっています。

新日本無線㈱及び同社の連結子会社(新日本無線グループ)は、その連結売上高の8割強を半導体部門が占めており、半導体市場の需要の変化によって経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

⑥顧客企業の業績変動によるリスク

当社グループのブレーキ製品はグローバルに事業を展開する自動車メーカーを顧客としています。顧客企業の業績変動による予期しない契約打切り、大幅な値下げ要請など当社グループが管理できない要因により業績に影響を受ける可能性があります。

日本無線グループは、官公庁・自治体等に納入する割合が比較的高いことから、売上高が年度末に偏る傾向があります。また、官公庁・自治体の公共投資計画や通信業界の設備投資の動向によって、経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

 

⑦部材入手に係るもの(サプライチェーンに係るリスク)

当社グループで使用する部材は経済環境の変化により入手困難になる可能性があります。例えば特定地域・製品分野の急発展などにより、部材メーカーの供給能力、納期対応に問題が生じた場合、出荷計画に影響を及ぼし、あるいは部材価格高騰による収益性の悪化をもたらす可能性があります。

 

⑧為替の変動によるリスク

外貨建取引により生ずる収益・費用及び外貨建債権・債務の円貨換算額、並びに外貨建で作成されている海外連結対象会社等の財務諸表の円貨換算額は、外国為替レートの変動の影響を受けます。

当社グループでは為替変動リスク対策は実施しているものの、当該リスクを完全に回避できるものではないため、為替の変動が業績に影響を及ぼすことがあります。

 

⑨予期しない法令等の改正によるリスク

日本無線㈱及び同社の連結子会社(日本無線グループ)は、その製品の特性から取引を行う各国において安全保障等による輸出制限、輸出入規制、環境・リサイクル関連等、様々な法令の適用を受けています。法令等の遵守(コンプライアンス)をポリシーとして掲げて、社内規定等で明確化をおこなっていますが、予期しない法令の改正がおこなわれた場合には、同社グループの活動の制限、コストの増加につながる可能性があります。

 

⑩海外展開事業のリスク

当社グループは海外に多くの生産拠点を保有しておりますが、予期しない法律または規制の変更、不利な政治的経済的要因、社会的混乱などのリスクが内在しています。

 

⑪資金調達に係る財務制限条項等に係るリスク

当社及び一部の連結子会社はコミットメントライン契約及びタームローン契約を複数の金融機関との間で締結しており、これらには一定の財務制限条項が付されています。

 

⑫災害・事故等について(災害・事故等に係るリスク)

当社グループでは、災害・事故等の発生に備えたリスク管理を実施しております。しかし、大地震等の大規模自然災害や火災等の突発的な事故が発生した場合は、生産設備等に多大な損害を被る可能性があり、操業の中断により出荷に遅れが生じ、また破損した建物や設備の復旧に多額の費用がかかる恐れがあります。

また、新型の感染症等が拡大した場合、操業に影響を及ぼす可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 合弁会社設立に関する契約

契約会社名

契約の相手先

契約の内容

契約締結年月

 

PT.Warga Djaja Trading Corp.

(インドネシア)

帝人㈱               (日本)

綿及び合繊混素材を原料とする糸・織物の生産・販売を目的とする合弁会社 PT.NIKAWA TEXTILE INDUSTRY (インドネシア)の設立

平成23年3月


 
提出会社

伊藤忠商事㈱          (日本)
寧波維科精華集団股份有限公司

(中国)

各種紡織品の生産・販売を目的とする合弁会社寧波維科棉紡織有限公司(中国)の設立

平成13年12月

 

Continental Teves AG&Co,oHG

(ドイツ)

自動車用EBS(電子式ブレーキシステム)、ブレーキ全般(摩擦材・ドラムブレーキ及び大・中型商用車用ブレーキを除く)の研究開発、製造、販売を目的とする合弁会社コンチネンタル・オートモーティブ㈱(旧会社名コンチネンタル・テーベス㈱)の設立

平成12年11月

日清紡テキスタイル㈱

Vardhman Textiles Limited

(インド)

シャツ製品の製造及び販売を目的とするVardhman Nisshinbo Garments Company Limited(インド)の設立

平成21年5月

 

 

(2) 技術導入に関する契約

契約会社名

契約の相手先

契約の内容

対価

契約締結年月
(有効期間)

日清紡ブレーキ㈱

Meritor Heavy Vehicle

Braking Systems(UK)Limited.

(英国)

ディスクブレーキアッセンブリィ、ドラムブレーキアッセンブリィ及びその部品の設計並びに製造技術に関するノウハウの提供

売上金額基準による技術指導料

平成15年11月

平成20年11月以降1

年毎自動延長

日本無線㈱

ウルトラ・エレクトロニクス・フライトライン・システムズ

(米国)

ソノブイ受信機のノウハウ及び製造販売実施権の許諾

売上の一定比率額

昭和63年12月

(平成27年10月まで)

BAE システムズ・インフォーメーション アンド エレクトリック システムズ インテグレーション インク.

(米国)

ソノブイ受信機のノウハウ及び製造販売実施権の許諾

売上の一定比率額

昭和63年7月

(平成30年6月まで)

タレス

(フランス)

電波高度計の製造販売実施権の許諾

売上の一定比率額

平成元年11月

(平成27年10月まで)

 

 

 

契約会社名

契約の相手先

契約の内容

対価

契約締結年月
(有効期間)

新日本
無線㈱

TEXAS INSTRUMENTS
INCORPORATED          (米国)

半導体装置に関する特許権並びに実用新案権の実施許諾

一定額及び売上の一定比率額

平成19年3月

(平成28年3月まで)

ルネサス エレクトロニクス㈱

(日本)

半導体装置に関する特許権並びに実用新案権の実施許諾

一定額及び売上の一定比率額

平成24年4月

(平成30年3月まで)

L-3 Communications  

(米国)

マイクロ波管に関する特許権並びに技術提供等の実施許諾

売上の一定比率額

平成22年5月

(平成31年8月まで)

㈱デンソー       

(日本)

半導体装置等に関する特許権並びに技術提供等の実施許諾

一定額及び売上の一定比率額

平成24年12月

(平成27年12月まで)

 

 

(3) 技術供与に関する契約

契約会社名

契約の相手先

契約の内容

対価

契約締結年月
(有効期間)

日清紡ブレーキ㈱

Rane Brake Lining Limited

(インド)

ブレーキライニング、ディスクパッド、クラッチフェーシングの製造技術、原料配合及び製造設備技術情報に関するノウハウの提供

売上金額基準による技術指導料

平成22年1月
(5年)※

亨通機械股份有限公司

(台湾)

ブレーキライニング、ディスクパッドの製造技術、原料配合及び製造設備技術情報に関するノウハウの提供
提携製品の工場建設の指導

売上金額基準による技術指導料

平成25年12月
(3年)

亨通機械股份有限公司

(台湾)

ドラムブレーキ及びその部品の設計並びに製造技術に関するノウハウの提供

売上金額基準による技術指導料

平成25年6月
(3年)

 

 ※次期契約締結に向けて交渉中であり、締結までの間、上記契約が覚書にて期間延長されています。

 

6 【研究開発活動】

当社グループでは、社会的重要性が一層高まりつつある「環境・エネルギー」分野を重点課題に掲げ、当社の中央研究所を拠点に、これらの分野において高性能・高品質かつ競争力のある製品・技術の開発に力を注ぎ、新規事業の創出に取り組んでいます。また、日本無線グループ各社が有するエレクトロニクス技術と、メカトロニクス、ケミカル、新規事業開発などの各部門が持つコア技術を融合させることで「環境・エネルギーカンパニー」グループとしてさらなる飛躍を目指します。

既存事業については主として日清紡テキスタイル㈱他4社の開発部門が担当し、エレクトロニクス製品については日本無線㈱、新日本無線㈱及び長野日本無線㈱が、それぞれ事業戦略に沿った新製品の開発に取り組んでいます。

当連結会計年度の研究開発費は20,938百万円であり、主な研究開発とその成果は次のとおりです。

 

(1)繊維

「環境・エネルギー」をキーワードに掲げ、社会や消費者の皆様に貢献できるモノづくりを目指し、商品開発を推進しています。

2014年10月に美合事業所の商品開発部を新たに設立した吉野川事業所に移転してテキスタイル加工の商品開発拠点を集約するとともに、日清紡インドネシアにも開発スタッフを配置してスピーディな開発を推進しています。国内のマザー機能を高め、技術やノウハウを国内外の生産拠点で展開し、他社との協業も含めたグローバルネットワークでの競争力強化を図っていきます。
 日清紡テキスタイル㈱が総力をあげて開発した「アポロコット」は、ノーアイロンシャツに続き、ハンカチ、ビジネスニットシャツ、コットンビジネスパンツなど続々と製品バリエーションを拡げ、皆様から高い評価をいただいています。さらに、次世代薄地アポロコットシャツ、CVC(チーフバリューコットン・綿50%以上)のノーアイロンシャツ、寝装アポロコットなど、「アポロコット」のシリーズ化による商品の更なる拡充と販路の拡大を目指します。

当セグメントに係る研究開発費は251百万円です。

 

(2)ブレーキ

今期は①安全第一(Safety First)の徹底 ②グループ理念の浸透と実践 ③人材育成 ④品質保証の強化 ⑤グローカル事業戦略の推進 ⑥コスト競争力のある差別化商品の提供 ⑦法令遵守と事業リスクへの確実な対応、を品質目標に掲げ、競争力ある製品・技術の開発に取り組んでいます。

摩擦材においては、重要保安部品としての高い信頼性の堅持、銅規制等に対応した環境負荷物質低減材質の開発、音・振動などのお客様ニーズへの対応等に重点をおいて活動しています。また海外子会社への開発支援体制の強化や、開発・製造・生産技術の連携による原価低減活動を促進し、競争力強化を図っています。さらにTMD FRICTION GROUP S.A.の買収によるシナジー効果の早期発揮を目指し、グローバルニーズに応える製品の開発を進めていきます。

ブレーキアッセンブリィ等においては、グローバルビジネスの受注・拡大のため、海外子会社への開発支援体制を強化するとともに、海外技術提携先との協業を推進してきました。併せて、軽量化製品の開発など環境対応技術の実用化や、将来を見据えた新技術の実用化にも注力しています。また部品の標準化、開発業務の効率化を進め、開発段階からの原価低減により低コストを追求し、競争力強化を図っています。

当セグメントに係る研究開発費は9,142百万円です。

 

 

(3)紙製品

家庭紙・洋紙・紙加工品の3事業において、「環境と人にやさしいものづくり」をコンセプトに、オリジナリティあふれる高品質な商品開発に注力しています。

家庭紙では、パルプトイレットペーパー・再生紙トイレットペーパー・ティシュで、快適な暮らしを支える商品の開発を行っています。紅茶の香りを楽しめるトイレットペーパー「フレーバーティーセレクション コンパクト」、BOXにスヌーピーデザインをほどこしたキャラクターティシュ「コットンフィール スヌーピーBOX」第2弾を、相次ぎ上市いたしました。今後も、商品の差別化と市場の活性化を図ってまいります。

洋紙では、ファインペーパーで、紙本来の風合いとパッケージに求められる基本機能を併せ持つ商品「気包紙」「黒気包紙」の展開や、色物の代表銘柄「NTラシャ」のリニューアルなど、技術と感性の融合によって暮らしに彩りを与える商品の開発を行っています。また、合成紙では、インクジェット用紙やレーザープリンター用紙を拡充するなど、オンデマンド印刷のニーズに応えています。

紙加工分野においては、高級パッケージ分野において、世界展開を図っている有力ブランドメーカーをターゲットに、独自の意匠性・機能性を有する商品の開発を進めています。高級パッケージ市場でのグローバル展開を進めることで、ワールドサプライヤーとしての地位の獲得を目指してまいります。

当セグメントに係る研究開発費は62百万円です。

 

(4)精密機器

システム機(メカトロニクス)事業においては、太陽電池モジュール製造装置や各種専用機の拡充、機能の向上とコスト低減に向けた研究開発活動を進めています。

太陽電池モジュール製造装置では、社内での太陽電池の量産試作を通じて蓄積した知見やノウハウを最大限活用し、お客様の視点に立った技術提案を行っています。既存のソーラーシミュレータ、ラミネータの原価低減、高効率化と品質向上に向けた開発活動を進めています。また、太陽電池関連材料分野では、太陽電池の早期発電劣化(PID現象)の発生を防止するシクロオレフィン・コポリマー(COC)フィルムや長寿命化に貢献するオレフィンゴム封止材の開発に取り組んでいます。各種専用機では、長年培った基礎・基盤技術を活かした製品を様々な産業分野のお客様に提供するとともに、電子部品(LED)実装装置など、新分野への展開を進めています。

また、高分子事業部における樹脂成形技術においては、主として空調機器用ファンの軽量化や省エネ化を目的とした研究開発を行い、製品化して、拡販を推進、併せて日本・中国をはじめ各国市場での商標登録及び特許権の取得を進めている他、より安価な製品作りを目指した製造方法や原材料の開発を進めています。

当セグメントに係る研究開発費は12百万円です。

 

(5)化学品

機能化学品部門では、環境関連商品の普及に役立つ添加剤、改質剤の開発及び電子材料の開発を進めています。

燃料電池部門では、カーボンの特長を生かした燃料電池セパレータの高性能化の研究開発に取り組んでいます。

断熱事業部門では、環境に優しい低温暖化係数発泡剤の実用化、今後のエネルギー政策に大きくかかわるLNG等超低温分野の断熱技術の開発や、排水処理用微生物固定化担体等の開発に取り組んでいます。

当セグメントに係る研究開発費は490百万円です。

 

(6)エレクトロニクス

日本無線グループは、海上機器、通信機器、ソリューション・特機などの各事業セグメントにおいて、中長期的な視野に立った基礎研究から、事業活動に直結した新技術の開発まで、総合的な研究開発活動を行っています。ソリューション・特機事業の情報通信分野としては、次世代型無線LANを開発いたしました。また、気象レーダ分野においては、広い範囲の観測に向いているCバンドで、降雨を高精度に観測可能な二偏波気象レーダを開発しました。

 

新日本無線グループは、電子デバイスやマイクロ波関連製品等の企画、設計から生産技術まで総合的な研究開発を行っています。その内容は、主力の「電子デバイス」を中心に、オーディオ向けやウェアラブル端末向け、通信用、等各種デバイスの実用化に向けた開発等に注力しています。
また、新規分野であるパッシブ素子の研究開発も鋭意行っています。
 長野日本無線グループは、「環境・省エネルギー」、「安心・安全」、「自動化・省力化」のニーズへの対応に研究開発活動の重点を置き、高性能・高品質かつ競争力のある製品・技術の開発に力を注ぎ、新製品の創出に取り組んでいます。情報・通信機器においては、最新のCPUに対応するCPUボード用BIOS及びOS実装技術の開発、決済端末のセキュリティ技術の開発、20MHz帯の近距離無線モジュールの開発、耐環境性の高い無線機の開発を行いました。
また、ワイヤレス給電の要素開発、車載用コイルの接合技術などの基礎研究にも取り組んでいます。

当セグメントに係る研究開発費は9,781百万円です。

 

(7)全社共通

 ・スマートファクトリー

   当社グループの保有技術を組み合わせて再生可能エネルギーを活用したエネルギーマネジメントシステム(EMS)の実証実験を徳島事業所で行っています。スマートファクトリー見学コースを設置し、当社の取り組みを紹介しています。

 ・無機機能材料

     水素社会の到来に向け、白金触媒の代替として世界最高性能を持つカーボンアロイ触媒や水素吸蔵カーボンの研究開発を進めています。

 ・プラントファクトリー

   水耕栽培による植物生産の技術開発を進めています。完全制御型植物工場で量産栽培したいちごの販売を行っています。

 全社共通に係る研究開発費は1,198百万円です。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。海外子会社については、IFRS(国際財務報告基準)及び進出国の会計基準に準拠して作成され、現地監査法人の監査を受けた上で必要な調整を反映させています。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

 当連結会計年度の当社グループの連結業績は、売上高はエレクトロニクス事業やブレーキ事業が大幅な増収となったこと等により、523,757百万円(前年同期比29,407百万円、5.9%増)となりました。

 営業利益は、エレクトロニクス事業が、日本無線㈱の海上機器事業の収益改善、新日本無線㈱の電子デバイスの好調、長野日本無線㈱の採算改善による黒字化等により増益となり、紙製品事業も好調を維持したこと等から、のれん償却前営業利益は21,068百万円(前年同期比1,214百万円、6.1%増)となり、営業利益は13,744百万円(前年同期比568百万円、4.3%増)となりました。経常利益は、持分法による投資利益や外貨建て貸付金に係る為替差益が減少したこと等から、20,650百万円(前年同期比1,521百万円、6.9%減)となりました。また当期純利益は、特別利益に日本無線㈱(三鷹製作所土地の一部)他の固定資産売却益を計上したこと、前連結会計年度に特別損失に計上した日本無線㈱の事業構造改善費用やTMD社の社債償還に伴う損失等が、当連結会計年度には大幅に減少したこと、さらにエレクトロニクス事業の国内子会社やブレーキ事業の海外子会社において、収益性の改善に伴う繰延税金資産の計上により税負担が減少したこと等により、13,693百万円(前年同期比4,682百万円、52.0%増)となりました。

なお、損益に関する各種指標は以下のとおりです。

 

売上高

営業利益

経常利益

特別損益

当期純利益

当連結会計年度

523,757百万円

13,744百万円

20,650百万円

△2,691百万円

13,693百万円

前連結会計年度

494,350百万円

13,175百万円

22,171百万円

△7,654百万円

9,011百万円

 

 

(3)事業戦略の現状と見通し

平成28年3月期(2015年度)は経営方針を「事業力・事業化力の強化」と定め、「キャッシュフロー経営の加速」の継続とともに目標達成に向けた取り組みを進めます。

エレクトロニクス事業では、日本無線㈱を中心に長野日本無線㈱、上田日本無線㈱の3社で進めてきた構造改革の完遂と経営基盤の一層の強化を図ります。また、ブレーキ事業ではTMD社の更なる収益体質の強化を、繊維事業ではシャツ事業の再編による成果の発揮を目指します。

次期の業績見通しは、以上の施策等を推進することにより増収・増益となる見込みです。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度は、エレクトロニクス事業をはじめとする既存ビジネスの事業構造改革のための投資や、株主還元と資本効率の向上のための自己株式の取得を実行しています。短期銀行借入で当座の資金を賄ってきましたが、平成27年5月に長期シンジケートローンを組成し安定調達に移行しています。
 また、営業活動によるキャッシュフローに加え、投資有価証券の売却、日本無線の移転に伴う一部土地の売却による資産圧縮、有利子負債、支払利息の削減に取り組んで参りました。

 

 

(5)財政状態の分析

当連結会計年度末における総資産は678,486百万円と前連結会計年度末と比較し67,175百万円増加しました。

現金及び預金の増加17,654百万円、受取手形及び売掛金の増加6,650百万円、有形固定資産の増加10,639百万円、投資有価証券の増加21,226百万円、退職給付に係る資産の増加5,622百万円が主な要因です。

負債総額は371,548百万円となり、前連結会計年度末と比較し37,103百万円増加しました。

電子記録債務の増加2,437百万円、短期借入金の増加22,627百万円、1年内返済予定の長期借入金の減少13,685百万円、その他(流動負債)の増加7,420百万円、長期借入金の増加9,273百万円、繰延税金負債(固定負債)の増加2,650百万円などが主な要因です。 

純資産は、306,937百万円となり、前連結会計年度末と比較し30,072百万円増加しました。
  利益剰余金の増加11,444百万円、自己株式の取得等による減少19,925百万円、その他有価証券評価差額金の増加18,290百万円、為替換算調整勘定の増加7,408百万円、少数株主持分の増加10,435百万円などが主な要因です。

 

(6)キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、1(業績等の概要) (2)キャッシュ・フローに記載のとおりであります。