当連結会計年度における世界経済は、米国で緩やかな回復が続き、欧州もドイツ、英国などで景気が持ち直すなど回復軌道に乗りつつあります。一方新興国の経済は、米国の金融緩和政策の縮小が始まったことに伴う新興国から先進国への資金還流による影響などから経済成長は減速感を強めています。中国はこれまでの大規模な景気刺激策による高成長路線から安定成長への移行を模索する段階に入っています。また、ウクライナ情勢、タイの政情及びイラク・中東情勢をめぐる地政学リスクなども今後の懸念材料です。
国内経済は、政府の経済政策と日銀の金融政策との連携効果を背景に円高の是正や株価の上昇が進んだことから、消費マインドの改善や消費税率引上げに伴う駆け込み需要などもあって個人消費が回復し、復興需要などにも支えられて企業収益も改善傾向を強めるなど、景気は緩やかな回復が続いています。
今後は、家計所得や企業の設備投資の増加などにより景気回復の動きがより確かなものとなることが期待される一方、円安による輸入物価の上昇や消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動による影響など、景気の下振れリスクも依然として懸念されます。
当社グループは、人間社会最大の課題である地球環境問題にソリューションを提供する「環境・エネルギーカンパニー」として、平成30年3月期までに売上高6,000億円超、営業利益400億円超、ROE9%超を戦略目標に掲げています。その達成に向けたロードマップとして、平成25年4月には、新経営3カ年計画「NEXT 2015」をスタートさせ、「エレクトロニクス事業の改革と成長」、「ブレーキ事業の強化」、「繊維・紙製品・精密機器・化学品事業の収益体質強化」に取り組んでいます。エレクトロニクス事業とブレーキ事業を合計した売上高は連結売上高の約70%を占めるまで拡大し、今後もさらに当社グループを牽引してゆくセグメントです。平成22年に日本無線グループ、平成23年にTMD FRICTION GROUP S.A.(以下TMD社)の大型M&Aを実施しましたが、激変する市場環境にあっても着実に対策を講じてM&Aの成果を発揮します。
当連結会計年度の当社グループの連結業績は、前年同期比で増収となり、営業利益は大型不動産分譲があった前年同期に比べれば若干の減益となったものの、経常利益、当期純利益はそれぞれ増益となりました。
売上高は、ブレーキ事業が海外子会社の好調に加え円安に伴う海外売上高の円換算額増の影響もあって大幅な増収となったほか、エレクトロニクス事業もソリューション事業、半導体事業が好調で増収となったことなどにより、494,350百万円(前年同期比43,657百万円、9.7%増)となりました。
営業利益は、13,175百万円(前年同期比217百万円、1.6%減)となりました。これは、大型不動産分譲により5,541百万円の利益を計上した前連結会計年度からの不動産事業の落ち込み4,509百万円を、TMD社の業績回復やその他海外子会社の好調によるブレーキ事業の大幅な業績改善、エレクトロニクス事業の日本無線㈱の増益などによりカバーした結果です。なお、この営業利益13,175百万円は、TMD社買収に伴い生じているのれんの償却費や日欧会計基準差異等の調整額9,171百万円を費用処理した後の数値です。
経常利益は、為替差益の増加や持分法投資利益の増加などにより、22,171百万円(前年同期比4,485百万円、25.4%増)となりました。
当期純利益は、特別損失に日本無線㈱他の事業構造改善費用4,541百万円等を計上したものの、子会社の繰延税金資産の計上による法人税等の減少などにより、9,011百万円(前年同期比2,593百万円、40.4%増)となりました。
当連結会計年度における事業のセグメント別業績は下記のとおりです。なお、セグメント利益またはセグメント損失は、営業利益または営業損失ベースの数値です。
①繊維
国内では、シャツ地の市況が好調であったほか、スパンデックス糸も輸出を中心に堅調に推移しましたが、円安による海外生産拠点からの仕入価格の上昇やユニフォーム業界の市況回復の遅れなどから減収・減益となりました。
一方、海外では、インドネシア子会社が省力化対策の実施と販売価格の改善、欧米・日本向けの受注増などにより黒字基調が定着し、ブラジル子会社も引き続き堅調に推移した結果増収・増益となりました。
その結果、繊維事業全体では、売上高51,348百万円(前年同期比1.1%増)、セグメント利益552百万円(前年同期比4.0%減)となりました。
②ブレーキ
国内では、中国向け受注が回復したことや消費税率引上げに伴う駆け込み需要などにより自動車販売が増加した結果、増収・増益となりました。
海外では、米国・アジアの自動車市場が好調に推移したことにより、タイ、韓国、中国の子会社の売上が大幅に増加したことに加え、米国子会社の収益も拡大しました。またTMD社も、アフターマーケット向け販売の増加等により増収となり、EBIT(利払前・税引前利益)が黒字化するなど増収・増益となりました。
セグメント損益は、TMD社買収に伴い生じているのれんの償却費5,978百万円及び無形固定資産の償却費や研究開発費の費用処理といった日欧会計基準差異等の調整額3,193百万円、合計で9,171百万円を費用計上したことにより赤字となったものの、順調に改善が進んでいます。
その結果、ブレーキ事業全体では、売上高148,699百万円(前年同期比25.1%増)、セグメント損失1,813百万円(前年同期比2,488百万円の改善)となりました。
③紙製品
家庭紙は、主力のシャワートイレ用トイレットペーパーの販売数量の増加に加えて消費税率引上げに伴う駆け込み需要もあり増収となりましたが、円安による原料(パルプ)高などによるコストアップにより営業損失を計上しました。
洋紙も、ファインペーパーが、パッケージ用紙の販売増などにより売上は堅調に推移したものの、円安による原料(パルプ)高などの影響を受け減益となりました。また紙加工品は、売上は横ばいとなりましたが、中国子会社の円安による採算悪化等により、減益となりました。
その結果、紙製品事業全体では、売上高31,685百万円(前年同期比3.8%増)、セグメント利益42百万円(前年同期比94.0%減)となりました。
④精密機器
システム機事業は、太陽光発電システム設置事業及び各種産業向け専用機の販売が堅調に推移したことから増収となり、前連結会計年度に実施した収益構造改革の効果発揮により損益も改善しました。
プラスチック成形加工は、ASEANなどの新興国での家電・自動車関係向け出荷増により、増収・増益となり、自動車向け精密部品も中国生産の開始などにより増収・増益となりました。
その結果、精密機器事業全体では、売上高28,655百万円(前年同期比16.9%増)、セグメント利益は1,075百万円(前年同期比1,221百万円の改善)と黒字化しました。
⑤化学品
断熱製品は、住宅関連及びトンネルの補修工事増等により増収となったものの中国市場開拓に伴う販管費増等により減益となりました。
機能化学品は、バイオプラスチック向け改質剤が売上を伸ばしたものの円安による輸入原料費増により減益となり、燃料電池セパレータも、国内家庭用燃料電池向けの売上は伸びたものの、新仕様対応に伴うコスト増により損失が拡大しました。電気二重層キャパシタは、自動車レース向け等の増加により増収となり損失は縮小しました。
その結果、化学品事業全体では、売上高8,810百万円(前年同期比8.1%増)、セグメント利益105百万円(前年同期比20.5%減)となりました。
⑥エレクトロニクス
日本無線㈱は、主力のソリューション・特機事業において、防災事業の需要が好調に推移したことにより、県・市町村向け消防無線システムと防災行政無線システムの売上が増加し、さらに、公共事業投資の拡大に伴い衛星通信システムや水・河川情報システムの売上も増加したことにより大幅な増収・増益となりました。また、海上機器事業は造船市況の低迷により減収となり損失が拡大しましたが、通信機器事業は通信インフラ関連機器の売上は減少したものの費用の減少等により損失は縮小しました。この結果、全体では増収となり利益も大幅に増加しました。
新日本無線㈱は、主力の半導体をはじめ全ての事業セグメントにおいて売上が増加し、円安効果に加え事業構造改革の成果により利益も大幅に増加しました。
エレクトロニクス事業においては、現在、日本無線㈱を中心に事業構造改革を進めており、計画に沿って人員の削減や三鷹市(東京都)から長野市・上田市(長野県)及び中国広東省深圳市への生産拠点の移転等を実行中です。こうした中、長野日本無線㈱では、日本無線㈱からの生産移管に伴い、不採算事業からの撤退とこれにより生じる余裕人員・生産スペースなどの経営資源の移管品生産への集中を進めており、この一環として電源・エネルギー機器セグメントの産業機器用電源事業を大幅に縮小することにし、第2四半期連結会計期間において1,011百万円の棚卸資産評価損を計上した結果等により減益となりました。
その結果、エレクトロニクス事業全体では、売上高187,742百万円(前年同期比7.1%増)、セグメント利益9,351百万円(前年同期比20.1%増)となりました。
⑦不動産
遊休不動産を活用した宅地分譲事業が、針崎(岡崎市)、浜松、川越、能登川(東近江市)の各事業所跡地や水無瀬(大阪府三島郡)の寮跡地で順調に進んだものの、名古屋事業所跡地の大型分譲益5,541百万円を計上した前年同期との比較では減収・減益となりました。また土地賃貸収入やオフィスビル・商業施設の建物賃貸収入は堅調に推移しました。
その結果、不動産事業全体では、売上高10,567百万円(前年同期比31.2%減)、セグメント利益7,780百万円(前年同期比36.7%減)となりました。
⑧その他
ニッシン・トーア㈱(食品、産業資材等の商社機能や保険代理店業務)の事業、岩尾㈱(産業資材、衣料繊維等の提案型商社機能)等の事業を、その他として区分しています。
その他の売上高は26,841百万円(前年同期比1.3%減)、セグメント損失は66百万円(前年同期比329百万円の悪化)となりました。
(注)上記金額に消費税等は含まれていません。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは26,075百万円と前年同期に比べ8,020百万円減少しました。これは主として売上債権の増加によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは△19,862百万円と前年同期に比べ8,888百万円減少しました。これは主として有形固定資産売却による収入の減少によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは△2,321百万円と前年同期に比べ21,751百万円増加しました。これは主として長期借入れによる収入の増加によるものです。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は24,824百万円と前連結会計年度末に比べ6,421百万円増加しました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
繊維 | 42,120 | +13.2 |
ブレーキ | 121,429 | +27.1 |
紙製品 | 29,053 | +8.9 |
精密機器 | 26,871 | +13.9 |
化学品 | 6,782 | +5.2 |
エレクトロニクス | 197,615 | +7.4 |
その他 | 359 | +136.2 |
合計 | 424,233 | +13.5 |
(注) 1 金額は製造原価により算出しています。
2 不動産事業は生産活動を行っていないため、上記金額には含まれていません。
3 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
当連結会計年度における精密機器及びエレクトロニクスの受注実績を示すと、次のとおりです。なお、精密機器のうちメカトロニクス製品及びエレクトロニクス以外の製品については主として見込生産を行っています。
セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
精密機器 | 4,884 | △5.2 | 1,196 | △38.3 |
エレクトロニクス | 198,134 | +11.8 | 78,240 | +15.4 |
合計 | 203,018 | +11.4 | 79,436 | +13.9 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
繊維 | 51,348 | +1.1 |
ブレーキ | 148,699 | +25.1 |
紙製品 | 31,685 | +3.8 |
精密機器 | 28,655 | +16.9 |
化学品 | 8,810 | +8.1 |
エレクトロニクス | 187,742 | +7.1 |
不動産 | 10,567 | △31.2 |
その他 | 26,841 | △1.3 |
合計 | 494,350 | +9.7 |
(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が総販売実績の10%未満のため記載を省略しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
当社グループは経営の基本方針として「グループ企業理念」を以下のとおり定めています。
・企業公器
企業は社会の公器であるとの考えのもと、地球環境問題へのソリューションの提供を通じて、持続可能な社会の実現を目指します。
・至誠一貫
世界のさまざまな文化や慣習、さらには生物の多様性等を尊重し、企業人としての誇りをもって公正・誠実な事業活動を行います。
・未来共創
変化への対応とたゆまぬ挑戦を続け、ステークホルダーの皆さまとともに豊かな未来を創造します。
この「グループ企業理念」のもと、当社グループは、「グループ行動指針」を定め、グローバル社会に貢献する「環境・エネルギーカンパニー」として、企業価値の向上に邁進してまいります。
当社グループは、人間社会最大の課題である地球環境問題にソリューションを提供する「環境・エネルギーカンパニー」として「無線・エレクトロニクス」「車載・機器」「生活・素材」「新エネルギー・スマート社会」に関わる分野を戦略的事業領域としており、2017年度(平成30年3月期)までに売上高6,000億円超、営業利益400億円超、ROE9%超を戦略目標に掲げています。平成25年4月には、そのロードマップとなる新経営3ヵ年計画「NEXT 2015」をスタートさせ、2015年度(平成28年3月期)の目標を売上高5,500億円、営業利益240億円としました。この目標達成のため、グローバル競争力を強化し、「エレクトロニクス事業の改革と成長」、「ブレーキ事業の強化」、「繊維・紙製品・精密機器・化学品事業の収益体質強化」に取り組んでいます。
当社グループを牽引するエレクトロニクス事業とブレーキ事業では、平成22年に日本無線グループ、平成23年にTMD FRICTION GROUP S.A.の大型M&Aを実施しましたが、激変する市場環境にあっても着実に対策を講じてM&Aの成果を発揮していきます。また、グループ経営を支えるその他の既存事業についても、これまでに培った強みを活かし、収益体質の強化を図ります。さらに、研究開発の強化、新規ビジネスの事業化や積極的なM&Aを進めます。
各事業の重点課題と対応策は次のとおりです。
○繊維
国内事業の再編に向けた事業所の移転や子会社の事業譲渡の協議を開始するとともに、インドネシアでの設備増強や協業の推進、アジアでの縫製・加工事業の強化、欧州市場への販売拡大などを実行し、グローバル事業体制を構築します。また、次世代形態安定加工「アポロコット」関連商品の開発・拡販を推進します。
○ブレーキ
TMD社のコスト構造改革やグループ内のアライアンス活動を引き続き実行し、収益力を回復させるとともに、アジア戦略の一環としてタイの新会社設立や新工場の増設、中国子会社などを活用し、アジア地域の生産能力を増強します。また、米国の銅規制に適合する銅フリー摩擦材など、差別化商品の開発を強化します。
○紙製品
家庭紙事業では、再生紙商品の原料見直しや生産性向上などにより、収益改善を図ります。洋紙事業では、主力商品のリニューアルや新商品の販売により、収益体質を強化します。また、紙加工品事業では、海外向け商品の拡販やコストダウンによる利益率の向上、協業の推進などにより、経営基盤を強化します。
○精密機器
システム機事業では、競争力のある太陽電池製造装置の開発を促進するとともに、在庫管理を徹底します。精密機器事業では、中国に合弁会社を設立することにより、事業拡大を加速させます。また、高分子事業では、プラスチックファン「Ecoクロス」の拡販に注力するとともに、インドなどへのグローバル展開を進めます。
○化学品
高機能性樹脂素材「カルボジライト」、燃料電池セパレータ、水処理担体の海外市場への展開など、環境・エネルギー関連事業の拡大を推進するとともに、既存事業の収益力を強化します。また、グループシナジーを発揮して環境・エネルギー分野での技術確立・商品開発を進めるとともに、研究開発の効率化やスピードアップを図ります。
○エレクトロニクス
無線通信技術を核として事業を行う日本無線㈱、長野日本無線㈱、上田日本無線㈱の3社が一体となって、成長戦略を共有し、生産機能や事業拠点の移転、事業の再編、アジアへの生産・販売のシフトなどの事業構造改革を確実に推進します。また、半導体事業を行う新日本無線㈱では、タイへの生産移管や新規市場の開拓などにより、収益基盤の強化を図ります。
○不動産
遊休不動産の宅地分譲を積極的に推進し、資産のスリム化を図るとともに、M&Aや新規事業の育成、グローバルな事業展開に必要な資金を計画的に確保するよう努めます。
当社グループは、「グローバル経営」と「キャッシュフロー経営」をベースとして、企業理念の浸透やコーポレートガバナンスなど組織文化の質的向上と、ROE指標重視の収益力向上や株価重視の経営など数値・業績面の量的成長を、並行して実現しつつグループ企業価値の向上に取り組んでいます。
(株式会社の支配に関する基本方針)
(1)基本方針の内容
当社は、最終的に当社の財務及び事業の方針(以下「経営方針」といいます。)の決定を支配するのは、株主の皆様であると考えております。他方、実際に経営方針を決定するのは、株主総会において選任され、株主の皆様から委任を受けた取締役により構成される取締役会です。そのため、取締役会は、何よりも当社企業価値、ひいては、当社株主共同の利益(以下単に「株主共同の利益」といいます。)を維持・向上させるために、最善の努力を払うということと、株主の皆様の意向を、取締役会の経営方針の決定に、より速やかに反映するということを、当社の基本方針としております。
また、特定の者が大規模な当社株式等の買付行為(以下「大規模買付行為」といいます。)などにより、経営方針の決定を支配しようとしたときに、それが真に株主共同の利益にかなうものであるかどうか、取締役会として検討を行い判断いたしますが、その大規模買付行為を受け入れるか否かの判断も、最終的には株主の皆様によってなされるべきものと考えております。
しかし、当該大規模買付行為が、株主共同の利益を著しく損なうと判断される場合、具体的には、以下の5類型に該当すると認められる場合には、取締役会が何らかの対抗措置を講じることも、株主共同の利益を維持・向上するために必要であると考えております。
①真に当社の経営に参加する意思がないにもかかわらず、ただ株価を吊り上げて高値で株式を当社関係者に引き取らせる目的で当社株式の買収を行っていると判断される場合
②当社の経営を一時的に支配して当社の事業経営上必要な知的財産権、ノウハウ、企業秘密情報、主要取引先や顧客等を大規模買付者やそのグループ会社等に移譲させる目的で当社の株式の買収を行っていると判断される場合
③当社の経営を支配した後に、当社の資産を大規模買付者やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する予定で当社の株式の買収を行っていると判断される場合
④当社の経営を一時的に支配して当社の事業に当面関係していない不動産、有価証券等の高額資産等を売却等処分させ、その処分利益をもって一時的な高配当をさせるかあるいは一時的高配当による株価の急上昇の機会を狙って当社株式の高値売り抜けをする目的で当社の株式の買収を行っていると判断される場合
⑤大規模買付者の提案する当社株式の買付方法が、強圧的二段階買収(最初の買付で全株式の買付を勧誘することなく、二段階目の買付条件を不利に設定し、あるいは明確にしないで、公開買付等の株式買付を行うことをいいます。)など、株主の判断の機会または自由を制約し、事実上、株主に当社株式の売却を強要するおそれがあると判断される場合(ただし、部分的公開買付であることをもって当然にこれに該当するものではありません。)
(2)基本方針の実現に資する取り組み
当社は、企業価値の増大を図るため、持株会社制のもと、各事業会社の責任において迅速に意思決定を行い、グローバルな個別事業の成長やガバナンスの強化を推進するとともに、成長事業領域である環境・エネルギー分野に経営資源を重点的に配分しております。また、業績目標とそれを達成するための経営基本方針及びコーポレートガバナンス強化とCSR推進等の当社グループの推進事項を明確にし、株主共同の利益の向上に取り組んでおります。
さらに、株主の皆様から経営の委任を受けている取締役の毎事業年度の責任を明確にするため、取締役の任期を1年とするとともに、取締役の職務の執行を監督するという取締役会の機能を強化するため、社外取締役を選任しております。
(3) 基本方針に照らして不適切な者によって経営方針の決定が支配されることを防止する取り組み
当社は、基本方針に照らして不適切な者によって経営方針の決定が支配されることを防止する取り組みとして、平成24年6月28日開催の第169回定時株主総会のご承認に基づき、「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)」(以下「本プラン」といいます。)を継続導入しております。本プランは、特定の者による大規模買付行為に応じるか否かについて、株主の皆様に適切なご判断を行っていただくために必要かつ十分な情報の提供等、大規模買付行為を行おうとする者が遵守すべき一定のルール(以下「大規模買付ルール」といいます。)を定めております。
取締役会は、大規模買付者に対してこの大規模買付ルールの遵守を求め、大規模買付ルールに則って大規模買付者から提出された情報を十分に評価検討し、取締役会としての意見を適時適切に開示します。また、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合、あるいは、大規模買付ルールに則っていたとしても、大規模買付行為が株主共同の利益を著しく損なうと判断される場合には、取締役会が一定の対抗措置をとることができますが、その発動にあたっては、判断の合理性・公正性を担保するために、社外取締役と社外監査役で構成される取締役会から独立した企業価値委員会に諮問を行い、取締役会が企業価値委員会の勧告を最大限尊重する仕組みとしております。また、取締役会による恣意的な発動を防止するために、合理的かつ客観的な発動要件が充足されなければ対抗措置が発動されない設定となっております。
本プランの有効期間は、平成24年6月の継続導入時から平成27年6月に開催予定の定時株主総会終了の時までの3年間となっております。ただし、有効期間の満了前であっても、株主総会で本プランを変更または廃止する旨の決議が行われ、あるいは取締役会で本プランの廃止の決議が行われた場合には、その時点で本プランは廃止されます。
(4) 上記取り組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
上記(2)及び(3)に記載の取り組みが株主共同の利益の確保・向上させるための具体的施策であること、また上記(3)の取り組みについては、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を充足していることから、これらの取り組みは、上記(1)の基本方針に適うものであり、株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社の役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①新規事業に関するリスク
当社グループでは、売上・収益の拡大を目指して電気二重層キャパシタやカーボン触媒等の新規事業に積極的に取り組んでいますが、新規事業においては不確定要因が多く、魅力ある新製品を開発できない場合や、新規市場の創出が想定通り進まないことも考えられます。その場合には、これまでの投資回収が想定より遅れる、または回収できない可能性があります。
②投資有価証券の変動によるリスク
当社所有の投資有価証券は金融商品会計基準に基づき時価評価を行っており、一部についてはより厳格な社内基準により減損処理を実施しています。取得価格が総じて低いため、現行の会計処理及び減損処理基準では、純損益に影響を与える減損の可能性は大きくないと考えられるものの、時価の変動により包括利益は大きく変動することが考えられます。また、M&Aによる投資、海外展開への出資・設備投資などに対しては、有価証券を資金化することで対応し有利子負債の増加を抑える場合がありますが、売却時期と投資時期がずれれば目論見どおりにならない可能性があります。
③遊休土地の活用に伴うリスク
当社は事業構造の変革のため、一部事業場の閉鎖と閉鎖後の土地活用を積極的に進めており、再開発による収入が収益に大きく貢献しております。土地の再開発に当たっては、土地浄化費用が発生する可能性があること、また法律の改定などが再開発の障害となる可能性があります。
④製品の品質に関するリスク
当社グループの大部分は国際規格の品質管理基準に従って製品の製造をしていますが、将来において品質問題が発生しないという保証はありません。製造物責任賠償保険には加入をしておりますが、補償額が多大となれば業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤製品の売値、原料調達の市況変動によるリスク
当社グループが展開する製品には市況の動向、他社との競合に伴う市場価格の変動に大きく左右されるものがあります。売値に関しては繊維製品・紙製品が、原料の調達に関しては原綿・パルプ・鋼材・資材がその影響をうけやすい構造となっています。
新日本無線㈱及び同社の連結子会社(新日本無線グループ)は、その連結売上高の8割強を半導体部門が占めており、半導体市場の需要の変化によって経営成績が影響を受ける可能性があります。
⑥顧客企業の業績変動によるリスク
当社グループのブレーキ製品はグローバルに事業を展開する自動車メーカーを顧客としています。顧客企業の業績変動による予期しない契約打切り、大幅な値下げ要請など当社グループが管理できない要因により業績に影響を受ける可能性があります。
日本無線グループは、官公庁・自治体等に納入する割合が比較的高いことから、売上高が年度末に偏る傾向があります。また、官公庁・自治体の公共投資計画や通信業界の設備投資の動向によって、経営成績が影響を受ける可能性があります。
⑦部材入手に係るもの(サプライチェーンに係るリスク)
当社グループで使用する部材は経済環境の変化により入手困難になる可能性があります。例えば特定地域・製品分野の急発展などにより、部材メーカーの供給能力、納期対応に問題が生じた場合、出荷計画に影響を及ぼし、あるいは部材価格高騰による収益性の悪化をもたらす可能性があります。
⑧為替の変動によるリスク
外貨建取引により生ずる収益・費用及び外貨建債権・債務の円貨換算額、並びに外貨建で作成されている海外連結対象会社等の財務諸表の円貨換算額は、外国為替レートの変動の影響を受けます。
当社グループでは為替変動リスク対策は実施しているものの、当該リスクを完全に回避できるものではないため、為替の変動が業績に影響を及ぼすことがあります。
⑨予期しない法令等の改正によるリスク
日本無線㈱及び同社の連結子会社(日本無線グループ)は、その製品の特性から取引を行う各国において安全保障等による輸出制限、輸出入規制、環境・リサイクル関連等、様々な法令の適用を受けています。法令等の遵守(コンプライアンス)をポリシーとして掲げて、社内規定等で明確化をおこなっていますが、予期しない法令の改正がおこなわれた場合には、同社グループの活動の制限、コストの増加につながる可能性があります。
⑩海外展開事業のリスク
当社グループは海外に多くの生産拠点を保有しておりますが、予期しない法律または規制の変更、不利な政治的経済的要因、社会的混乱などのリスクが内在しています。
⑪資金調達に係る財務制限条項等に係るリスク
当社及び一部の連結子会社はコミットメントライン契約を、連結子会社新日本無線㈱はタームローン契約を複数の金融機関との間で締結しており、これらには一定の財務制限条項が付されています。
⑫災害・事故等について(災害・事故等に係るリスク)
当社グループでは、災害・事故等の発生に備えたリスク管理を実施しております。しかし、大地震等の大規模自然災害や火災等の突発的な事故が発生した場合は、生産設備等に多大な損害を被る可能性があり、操業の中断により出荷に遅れが生じ、また破損した建物や設備の復旧に多額の費用がかかる恐れがあります。
また、新型の感染症等が拡大した場合、操業に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 合弁会社設立に関する契約
契約会社名 | 契約の相手先 | 契約の内容 | 契約締結年月 |
| PT.Warga Djaja Trading Corp. (インドネシア) 帝人㈱ (日本) | 綿及び合繊混素材を原料とする糸・織物の生産・販売を目的とする合弁会社 PT.NIKAWA TEXTILE INDUSTRY (インドネシア)の設立 | 平成23年3月 |
| 伊藤忠商事㈱ (日本) (中国) | 各種紡織品の生産・販売を目的とする合弁会社寧波維科棉紡織有限公司(中国)の設立 | 平成13年12月 |
| Continental Teves AG&Co,oHG (ドイツ) | 自動車用EBS(電子式ブレーキシステム)、ブレーキ全般(摩擦材・ドラムブレーキ及び大・中型商用車用ブレーキを除く)の研究開発、製造、販売を目的とする合弁会社コンティネンタル・オートモーティブ㈱(旧会社名コンティネンタル・テーベス㈱)の設立 | 平成12年11月 |
日清紡テキスタイル㈱ | Vardhman Textiles Limited (インド) | シャツ製品の製造及び販売を目的とするVardhman Nisshinbo Garments Company Limited(インド)の設立 | 平成21年5月 |
(2) 技術導入に関する契約
契約会社名 | 契約の相手先 | 契約の内容 | 対価 | 契約締結年月 |
日清紡テキスタイル㈱ | Taltech Limited. (英国領バージン諸島) | 繊維製品の製造に関するパッカリング抑制技術についての特許使用権 | 生産数量基準による実施料 | 平成25年4月 (平成26年9月まで) |
日清紡ブレーキ㈱ | Meritor Heavy Vehicle Braking Systems(UK)Limited. (英国) | ディスクブレーキアッセンブリィ、ドラムブレーキアッセンブリィ及びその部品の設計並びに製造技術に関するノウハウの提供 | 売上金額基準による技術指導料 | 平成15年11月 平成20年11月以降1 年毎自動延長 |
日本無線㈱ | ウルトラ・エレクトロニクス・フライトライン・システムズ (米国) | ソノブイ受信機のノウハウ及び製造販売実施権の許諾 | 売上の一定比率額 | 昭和63年12月 (平成26年10月まで) |
BAE システムズ・インフォーメーション アンド エレクトリック システムズ インテグレーション インク. (米国) | ソノブイ受信機のノウハウ及び製造販売実施権の許諾 | 売上の一定比率額 | 昭和63年7月 (平成30年6月まで) | |
タレス (フランス) | 電波高度計の製造販売実施権の許諾 | 売上の一定比率額 | 平成元年11月 (平成27年10月まで) |
契約会社名 | 契約の相手先 | 契約の内容 | 対価 | 契約締結年月 |
新日本 | TEXAS INSTRUMENTS | 半導体装置に関する特許権並びに実用新案権の実施許諾 | 一定額及び売上の一定比率額 | 平成19年3月 (平成28年3月まで) |
ルネサス エレクトロニクス㈱ (日本) | 半導体装置に関する特許権並びに実用新案権の実施許諾 | 一定額及び売上の一定比率額 | 平成24年4月 (平成30年3月まで) | |
L-3 Communications (米国) | マイクロ波管に関する特許権並びに技術提供等の実施許諾 | 売上の一定比率額 | 平成22年5月 (平成31年8月まで) | |
㈱デンソー (日本) | 半導体装置等に関する特許権並びに技術提供等の実施許諾 | 一定額及び売上の一定比率額 | 平成24年12月 (平成27年12月まで) |
(3) 技術供与に関する契約
契約会社名 | 契約の相手先 | 契約の内容 | 対価 | 契約締結年月 |
日清紡ブレーキ㈱ | Rane Brake Lining Limited (インド) | ブレーキライニング、ディスクパッド、クラッチフェーシングの製造技術、原料配合及び製造設備技術情報に関するノウハウの提供 | 売上金額基準による技術指導料 | 平成22年1月 |
亨通機械股份有限公司 (台湾) | ブレーキライニング、ディスクパッドの製造技術、原料配合及び製造設備技術情報に関するノウハウの提供 | 売上金額基準による技術指導料 | 平成25年12月 | |
亨通機械股份有限公司 (台湾) | ドラムブレーキ及びその部品の設計並びに製造技術に関するノウハウの提供 | 売上金額基準による技術指導料 | 平成25年6月 |
(4) 連結子会社日清紡テキスタイル株式会社と連結子会社日清デニム株式会社との吸収合併
当社は、平成25年11月28日開催の取締役会において、完全子会社日清紡テキスタイル㈱が同社の完全子会社日清
デニム㈱を合併することを決議しました。この合併は、人材の組織横断的活用や購買・ユーティリティ使用の効率
化を進め、企業としての競争力を強化するために行うものです。
なお、同決議に基づき平成26年7月に合併契約を締結する予定となっています。
①合併の方法
日清紡テキスタイル㈱を吸収合併存続会社とし、日清デニム㈱は解散します。
②合併に際して発行する株式及び割当
日清デニム㈱は、日清紡テキスタイル㈱の完全子会社であるため、当該吸収合併に際して、日清紡テキスタイル㈱
の株式その他財産の交付はなされません。
③合併比率の算定根拠
該当事項はありません。
④合併の期日
平成26年10月1日予定
⑤引継資産・負債の状況(平成26年3月31日現在)
流動資産 209百万円
固定資産 1,639百万円
資産合計 1,848百万円
流動負債 2,489百万円
固定負債 188百万円
負債合計 2,677百万円
⑥吸収合併存続会社となる会社の資本金・事業の内容(当該吸収合併後)
資本金 10,000百万円
事業内容糸、織編物、不織布、衣服、産業用繊維資材その他の繊維製品の開発、製造、加工、販売及び輸出入
当社グループでは、社会的重要性が一層高まりつつある「環境・エネルギー」分野を重点課題に掲げ、当社の中央研究所を拠点に、これらの分野において高性能・高品質かつ競争力のある製品・技術の開発に力を注ぎ、新規事業の創出に取り組んでいます。また、日本無線グループ各社が有するエレクトロニクス技術と、メカトロニクス、ケミカル、新規事業開発などの各部門が持つコア技術を融合させることで「環境・エネルギーカンパニー」としてさらなる飛躍を目指します。
既存事業については主として日清紡テキスタイル㈱他4社の開発部門が担当し、エレクトロニクス製品については日本無線㈱、新日本無線㈱及び長野日本無線㈱が、それぞれ事業戦略に沿った新製品の開発に取り組んでいます。
当連結会計年度の研究開発費は19,630百万円であり、主な研究開発とその成果は次のとおりです。
(1)繊維
「環境配慮」「健康・快適」「高機能・高性能」をキーワードに掲げ、社会や消費者の皆様に貢献できるモノづくりを目指し、商品開発を推進しています。
藤枝事業所では紡績・織布・不織布技術の応用研究を、美合事業所(2014年10月吉野川市へ移転予定)では繊維全般の仕上げ加工技術の開発を、徳島事業所では合成繊維用ポリマー合成や、紡糸技術の基礎及び応用研究に取り組んでいます。日清紡テキスタイル㈱が総力をあげて開発した「アポロコット」は、先行した次世代ノーアイロンシャツに続き、ハンカチ、ビジネスニットシャツ、コットンビジネスパンツなど続々と製品バリエーションを拡げ、顧客から高い評価をいただいています。さらに、ストレッチ不織布などを開発し、「アポロコット」のシリーズ化による商品の更なる拡充と販路の拡大を目指します。また、コットンの上質な風合い・質感をベースに合成繊維との組合せによりストレッチなどの機能性を持たせたスタイリッシュな新素材「アスタリスク」や、夏の蒸し暑い環境下でもより快適な着心地のワーキングウェア用新素材「はたらクール」などを開発し、販売活動を開始しています。この他「バナナ繊維」や「バイオマスモビロン」など、「環境配慮」を具現化する商品群の拡充も図っています。
これらの技術やノウハウを国内外の生産拠点で展開し、グローバルネットワークでの競争力強化を図っていきます。また、開発力の更なる強化のため研究開発体制の再編を行います。2014年10月にデニム製造子会社を吸収合併し、美合事業所の研究開発部門及び付帯設備を同敷地内に移転します。テキスタイル加工の研究開発拠点を集約することで開発効率を高めていきます。
当セグメントに係る研究開発費は278百万円です。
(2)ブレーキ
今期は①安全第一(Safety First)の徹底 ②品質保証の強化 ③グローカル事業戦略の推進 ④価格競争力のある差別化商品の開発・拡販 ⑤連結経営体制の確立 ⑥事業リスクへの確実な対応 ⑦グローバル人材の育成、を品質目標に掲げ、競争力ある製品・技術の開発及び組織体制の見直しに取り組んできました。
摩擦材においては、重要保安部品としての高い信頼性の堅持、銅規制等に対応した環境負荷物質低減材質の開発、音・振動などのお客様ニーズへの対応等に重点をおいて活動しています。また海外子会社への開発支援体制の強化や、開発・製造・生産技術の連携による原価低減活動を促進し、競争力強化を図っています。さらにTMD FRICTION GROUP S.A.とのシナジー効果の早期発揮を目指し、グローバルニーズに応える製品の開発を進めていきます。
ブレーキにおいては、グローバルビジネスの受注・拡大のため、海外子会社への開発支援体制を強化するとともに、海外技術提携先との協業を推進してきました。併せて、車両の燃費向上に貢献する軽量化等、環境対応技術の実用化や、将来を見据えた新技術の実用化にも注力しています。また部品の標準化、開発業務の効率化を進め、開発段階からの原価低減により低コストを追求し、競争力強化を図っています。
当セグメントに係る研究開発費は8,573百万円です。
(3)紙製品
家庭紙・洋紙・紙加工品の3事業において、技術と感性の融合によって暮らしに彩りと快適さを与える商品の開発を行っています。
家庭紙では、パルプトイレットペーパー、再生紙トイレットペーパー、ティシュで特徴ある商品の開発を行っています。紅茶の香りを楽しむトイレットペーパー「フレーバーティーセレクション」、BOXデザインに「スヌーピー」や「くまモン」を起用したキャラクターティシュを、相次ぎ上市いたしました。
洋紙では、ファインペーパーで、紙本来の風合いとパッケージに求められる基本機能を併せ持つ商品「気包紙」に「黒気包紙」を品揃えし、パッケージ分野での展開を進めています。また、森林保護に繋がるFSC(Forest Stewardship Council)認証紙など、環境対応商品の拡充にも努めてまいります。
紙加工分野においては、高級パッケージ分野において、世界展開を図っている有力ブランドメーカーをターゲットに、独自の意匠性・機能性を有する商品の開発を進めています。高級パッケージ市場でのグローバル展開を進めることで、ワールドサプライヤーとしての地位の獲得を目指してまいります。
当セグメントに係る研究開発費は69百万円です。
(4)精密機器
システム機(メカトロニクス)事業においては、太陽電池モジュール製造装置や各種専用機の拡充、機能の向上とコスト低減に向けた研究開発活動を進めています。
太陽電池モジュール製造装置では、社内での太陽電池の量産試作を通じて蓄積した知見やノウハウを最大限活用し、お客様の視点に立った技術提案を行っています。既存のソーラーシミュレータ、ラミネータの原価低減、高効率化と品質向上に向けた開発活動の他、太陽電池セルの微細な欠陥を検出するエレクトロ・ルミネッセンス方式の検査装置や結晶系太陽電池モジュール用配線機など、新機種の拡充と高機能化に向けた開発を進めています。特に太陽電池の検査装置に関しては、業界のトップ・メーカーとしてデファクト・スタンダードを確立すべく、研究開発と新製品の上市に取り組んでいきます。各種専用機では、長年培った基礎・基盤技術を活かした製品を様々な産業分野のお客様に提供するとともに、電子部品(LED)実装装置など、新分野への展開を進めています。
また、高分子事業部における樹脂成形技術においては、主として空調機器用ファンの軽量化や省エネ化を目的とした研究開発を行い、上市を実現して、拡販を推進、併せて日本・中国をはじめ各国市場での商標登録を進めている他、より安価な製品作りを目指した製造方法や原材料の開発を進めています。
当セグメントに係る研究開発費は23百万円です。
(5)化学品
機能化学品部門では、環境関連商品の普及に役立つ添加剤、改質剤の開発及び電子材料の開発を進めています。
燃料電池部門では、カーボンの特長を生かした燃料電池セパレータの高性能化の研究開発に取り組んでいます。
断熱事業部門では、発泡体の特性を活かし、排水処理用微生物固定化担体等の開発に取り組んでいます。
キャパシタ部門では、電気二重層キャパシタの性能向上を進め、建設機械・自動車レースなどの分野に展開中です。
当セグメントに係る研究開発費は580百万円です。
(6)エレクトロニクス
日本無線グループは、海上機器、通信機器、ソリューション・特機などの各事業セグメントにおいて、中長期的な視野に立った基礎研究から、事業活動に直結した新技術の開発まで、総合的な研究開発活動を行っています。ソリューション・特機事業の衛星通信分野においては、海外放送事業者向けに可搬型SNG(Satellite News Gathering:放送用衛星中継システム)を開発しました。また、気象レーダ分野においては、二偏波ドップラー機能を全固体化で実現した気象観測用Xバンド小型レーダを開発しました。
新日本無線グループは、技術革新と市場変化の激しいエレクトロニクス業界にあって、半導体製品やマイクロ波関連製品の企画、設計から生産技術に至るまでの総合的な研究開発に注力しています。半導体事業においては、主力製品のオペアンプについて高精度、低雑音、超低消費電流、高音質の汎用品を開発すると共に、車載・産機向けの専用品の開発を進めております。新規事業分野においては、MEMSセンサを用いたスマートフォンのマイクモジュール向けに次世代品の開発を進めております。また、健康機器応用製品向けに光センサーの次世代製品の開発を開始しました。
長野日本無線グループは、「環境・省エネルギー」、「安心・安全」、「自動化・省力化」のニーズへの対応に研究開発活動の重点を置き、高性能・高品質かつ競争力のある製品・技術の開発に力を注ぎ、新製品の創出に取り組んでいます。情報・通信機器においては、最新のCPUに対応するCPUボード用BIOS及びOS実装技術の開発、400/920MHz帯の近距離無線モジュールの開発、マイクロ波プラズマトーチの用途別構造の開発を行いました。
また、ワイヤレス給電の要素開発、車載用コイルの高信頼性接合技術などの基礎研究にも取り組んでいます。
当セグメントに係る研究開発費は9,018百万円です。
(7)全社共通
・スマートファクトリー
当社グループの保有技術(燃料電池、電気二重層キャパシタ、太陽光発電、直流高圧電源HVDC等)を組み合わせて再生可能エネルギーを活用したエネルギーマネジメントシステム(EMS)の実証実験を徳島事業所で行っています。スマートファクトリー見学コースを設置し、当社の取り組みを紹介しています。
・無機機能材料
水素社会の到来に向け、白金触媒の代替として世界最高性能を持つカーボンアロイ触媒や水素吸蔵カーボンの研究開発を進めています。
・プラントファクトリー
水耕栽培による植物生産の技術開発を進めています。完全制御型植物工場で量産栽培したいちごの販売を行っています。
・高信頼性材料
さまざまな分野で応用可能な、長期耐久性のある封止技術や新材料等の研究開発を行っています。
全社共通に係る研究開発費は1,085百万円です。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。海外子会社については、IFRS(国際財務報告基準)及び進出国の会計基準に準拠して作成され、現地監査法人の監査を受けた上で必要な調整を反映させています。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
売上高については、ブレーキ事業が海外子会社の好調に加え円安に伴う海外売上高の円換算額増の影響もあって大幅な増収となったほか、エレクトロニクス事業もソリューション事業、半導体事業が好調で増収となったことなどにより、前年同期比9.7%の増収となりました。営業利益については、大型不動産分譲により利益を計上した前連結会計年度からの不動産事業の落ち込みを、TMD社の業績回復やその他海外子会社の好調によるブレーキ事業の大幅な業績改善、エレクトロニクス事業の日本無線㈱の増益などによりカバーした結果、前年同期比1.6%の減益にとどまりました。経常利益については、為替差益の増加や持分法投資利益の増加などにより、前年同期比25.4%の増益となりました。特別損益については、特別損失に日本無線㈱他の事業構造改善費用等を計上した結果、特別損失が特別利益を上回り、また、子会社の繰延税金資産の計上による法人税等の減少などにより、当期純利益は前年同期比40.4%の増益となりました。
なお、損益に関する各種指標は以下のとおりです。
| 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 特別損益 | 当期純利益 |
当連結会計年度 | 494,350百万円 | 13,175百万円 | 22,171百万円 | △7,654百万円 | 9,011百万円 |
前連結会計年度 | 450,693百万円 | 13,393百万円 | 17,686百万円 | △800百万円 | 6,418百万円 |
(3)事業戦略の現状と見通し
当社グループは、「環境・エネルギーカンパニー」として「無線・エレクトロニクス」「車載・機器」「生活・素材」「新エネルギー・スマート社会」に関わる分野を戦略的事業領域としています。
次期の重点課題は、M&Aの成果発揮によるエレクトロニクス・ブレーキの成長、既存事業の収益力強化、研究開発・新規事業展開の加速です。エレクトロニクス事業では、当期に構造改革による成果を上げた新日本無線㈱に続き、無線通信技術を核に事業展開している日本無線㈱を中心に長野日本無線㈱、上田日本無線㈱において新たな成長に向けた戦略的かつ抜本的な構造改革を断行し、一層の経営基盤の強化を図ります。また、ブレーキ事業では、TMD社のコスト構造改革を実行し、更なる収益体質の強化を図ります。
次期の業績見通しは、これらを中心とする重点課題の達成により増収・増益となる見込みです。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度は、支払利息大幅削減のためにTMD社の子会社が発行する全ての社債の買入償還を行いました。また、シンガポールと中国の統括会社を利用したグローバルベースでの資金効率化を進め、有利子負債の削減、支払利息低減に取り組んでまいりました。
配当などの株主還元のための資金に加え、既存ビジネスの事業構造転換のための投資や環境・エネルギー関連の新規ビジネスの育成など、今後も旺盛な資金需要を想定しておりますが、事業キャッシュ・フローに加え、たな卸資産を中心とする流動資産の圧縮等により、有利子負債の削減、資金効率の向上に取り組んでまいります。
(5)財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は611,310百万円と前連結会計年度末と比較し59,377百万円増加しました。
現金及び預金の増加7,832百万円、受取手形及び売掛金の増加14,566百万円、棚卸資産の増加9,241百万円、有形固定資産の増加8,694百万円、投資有価証券の増加12,187百万円が主な要因です。
負債総額は334,445百万円となり、前連結会計年度末と比較し25,135百万円増加しました。
支払手形及び買掛金の増加7,849百万円、短期借入金の増加19,917百万円、1年内償還予定の社債の減少11,133百万円、繰延税金負債(固定負債)の増加6,912百万円などが主な要因です。
純資産は、276,865百万円となり、前連結会計年度末と比較し34,242百万円増加しました。
利益剰余金の増加6,391百万円、その他有価証券評価差額金の増加7,460百万円、為替換算調整勘定の増加19,611百万円などが主な要因です。
(6)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、1(業績等の概要) (2)キャッシュ・フローに記載のとおりであります。