(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済政策や日銀による金融緩和及びインバウンド需要の拡大などを背景に、企業収益や雇用情勢の改善が見られ、緩やかな景気回復基調が続いた。しかしながら、中国の景気減速や米国の利上げ懸念、原油安の長期化などを背景に、年明け以降は世界的な株安や円高の動きも見られるなど、先行き不透明な状況で推移した。
このような状況の下、当社グループは、平成26年5月からスタートした中期経営計画に掲げる成長戦略の早期実現に向け、高分子事業を中心とする機能素材メーカーとしての基盤強化及び低採算事業の構造改革に努めてきた。なお、当連結会計年度には、当社連結子会社の株式会社ユニチカエステートなどの株式譲渡、当社グループが所有する豊橋事業所などの不動産の譲渡を完了したほか、当社連結子会社である尤尼吉可高分子科技(中国)有限公司(ユニチカエンブレムチャイナ)の解散などの施策を進め、当年度にて中期経営計画に基づく事業ポートフォリオ改革を概ね完了した。
この結果、当連結会計年度の売上高は146,474百万円(前期比8.0%減)、営業利益は10,450百万円(同17.2%増)、経常利益は6,821百万円(同11.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,933百万円(前期は27,033百万円の純損失)となった。
セグメント別の状況は次のとおりである。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更し、以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較している。詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」に記載している。
[高分子事業]
フィルム事業では、包装分野は、海外では東南アジアや中国の景気減速の影響を受け、低調に推移したが、国内では市況の回復に加え、インバウンド需要の効果もあり、販売数量は増加した。特に、高いガスバリア性能を持つ新バリアナイロンフィルム「エンブレムHG」については、順調に売上を伸ばした。工業分野は、情報端末機器用途などで需要が減少したが、耐熱ポリアミドフィルム「ユニアミド」やシリコーンフリー離型ポリエステルフィルム「ユニピール」などの高付加価値品の販売が拡大したこともあり、売上が増加した。この結果、事業全体で増収増益となった。
樹脂事業では、ナイロン樹脂は、自動車産業の低迷や中国の景気減速などの影響を受けたが、熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂「エリーテル」や環境配慮型の水性エマルション「アローベース」は、太陽電池用途などでの販売が好調に推移し、また熱可塑性ポリエステルシート「ユニレート」も電気・電子機器用途などで伸長した。当社独自のポリアリレート樹脂「Uポリマー」は、情報端末機器用途で堅調に推移した。当社独自技術により開発した高耐熱ポリアミド樹脂「ゼコット」は、電気・電子機器用途などで採用が更に進みつつある。この結果、事業全体で減収増益となった。
不織布事業では、ポリエステルスパンボンドは、国内の生活資材用途で堅調に推移したが、農業用途や建築用途などを中心に売上が減少し、低調に推移した。海外では、アジアや北米向けを中心に堅調に推移した。コットンスパンレースは、インバウンド需要の拡大を背景にスキンケア用品などの生活資材用途で売上を伸ばした。この結果、事業全体で減収増益となった。
以上の結果、高分子事業の売上高は56,313百万円(前期比1.2%増)、営業利益は8,002百万円(同25.4%増)となった。
[機能材事業]
ガラス繊維事業では、産業資材分野は、建築用途や環境関連用途では堅調であったが、土木用途で低調に推移した。電子材料分野のICクロスは、情報端末機器用途での需要が伸びず、低調に推移した。ガラスビーズ事業では、ロードマーキング用途で売上が回復し、工業用途や反射材用途では売上は減少したが、商品構成の改善や生産性の向上に努めた結果、収益は増加した。また、活性炭繊維事業では、液相分野は、工業用途で期後半から需要が減少したが、主力の浄水器用途で期後半から需要が回復したことや、気相分野でも期後半になり需要が上向いてきたことにより、事業全体としては堅調に推移した。
以上の結果、機能材事業の売上高は11,914百万円(同4.0%減)、営業利益は1,447百万円(同3.4%増)となった。
[繊維事業]
産業繊維事業では、ポリエステル高強力糸は、主力の土木用途で販売数量が引き続き低調に推移したが、複合繊維など高採算製品の販売が拡大し、収益は増加した。ポリエステル短繊維は、事業構造改革に伴う低採算製品の事業縮小が完了し、高付加価値品への転換が進んだため、収益は大きく改善した。
衣料繊維事業では、ユニフォーム分野やスポーツ分野は、販売数量の減少や海外調達コストの増加に伴い採算が悪化したが、レディス分野は、市況低迷の中、二次製品の拡販に努め前年並みの収益を確保した。海外では、デニムの輸出が期後半は伸び悩んだが、高採算製品の販売が増加し、堅調に推移した。
以上の結果、繊維事業の売上高は65,431百万円(同12.9%減)、営業利益は1,586百万円(同40.2%増)となった。
[その他]
その他の事業については、事業ポートフォリオ改革に伴う株式譲渡や事業譲渡などの影響により、売上高は12,814百万円(同19.6%減)、営業損失は630百万円(前期は4百万円の損失)となった。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ10,315百万円増加し、当連結会計年度末には42,023百万円となった。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益に減価償却費などを加えたキャッシュ・イン・フロー、たな卸資産の減少などにより、11,661百万円の資金の増加(前期比91.8%増)となった。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資に伴う支出を計上したが、事業ポートフォリオ改革に伴う資産の売却による収入などにより、4,124百万円の資金の増加(前期は145百万円の資金の減少)となった。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済などにより、5,010百万円の資金の減少(前期は5,870百万円の資金の増加)となった。
(1)生産実績
当社グループの生産活動の大半は、当社、日本エステル㈱、ユニチカテキスタイル㈱、ユニチカグラスファイバー㈱、㈱ユニオン、P.T.EMBLEM ASIAで行われているため、これらの会社の実績により記載している。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
高分子事業 |
58,203 |
△13.7 |
|
機能材事業 |
8,629 |
△10.6 |
|
繊維事業 |
8,729 |
△22.1 |
|
報告セグメント計 |
75,562 |
△14.4 |
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その他 |
- |
- |
|
合計 |
75,562 |
△15.2 |
(注)1.生産高を明確に表示するため、外注生産高を含む総生産高で記載している。
2.上記の金額には消費税等は含まれていない。
3.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更し、前期比については、前期の実績を変更後の報告セグメントの区分に組み替えた数値で比較している。
(2)受注状況
当社グループは主として見込生産を行っている。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
高分子事業 |
56,313 |
1.2 |
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機能材事業 |
11,914 |
△4.0 |
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繊維事業 |
65,431 |
△12.9 |
|
報告セグメント計 |
133,659 |
△6.6 |
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その他 |
12,814 |
△19.6 |
|
合計 |
146,474 |
△8.0 |
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれていない。
2.販売実績が総販売実績の10%以上の相手先はない。
3.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更し、前期比については、前期の実績を変更後の報告セグメントの区分に組み替えた数値で比較している。
当社グループは、中期経営計画に基づく事業ポートフォリオ改革が当連結会計年度で概ね完了したため、今後は成長戦略施策に軸足を移し、業績の拡大を目指す。具体的には、一昨年の金融支援及び外部出資による自己資本増強で得た資金を有効活用し、成長事業である高分子事業を中心とした設備投資を更に推し進め、成長市場であるアジア地域での製品供給能力の増強を図るとともに、高付加価値品の開発を加速することで国内外での事業の拡大を目指す。
個々の事業戦略及び課題については次のとおりである。
高分子事業では、フィルム事業は、包装分野において、非食品包装分野への展開、「エンブレムHG」の拡販を進め、工業分野において、「ユニアミド」など高付加価値品の拡販を図る。また、インドネシア子会社のP.T.EMBLEM ASIAで昨年春に本格稼働したナイロンフィルム大型新鋭機の更なる生産能力増強により、ナイロンフィルムのグローバルトップシェアの地位を確固たるものにし、更に東南アジア市場でのシェア拡大や欧米市場での拡販を目指す。樹脂事業では、「アローベース」は、既存の環境分野に加え電気・電子機器分野などでも用途開拓を進める。昨年度に年産500トンの中量産設備を稼働した「ゼコット」は、電気・電子機器用途を中心とした用途開拓、拡販を更に進める。不織布事業では、タイ子会社のTHAI UNITIKA SPUNBOND CO.,LTD.でのポリエステルスパンボンドの生産設備増設を、平成29年3月末稼働を目標に引き続き進めると同時に、グローバルシェアの拡大に向けてマーケティングの強化を更に進める。コットンスパンレースについては、スキンケア用品などの生活資材用途の販売や海外展開を引き続き強化する。
機能材事業では、ガラス繊維事業の産業資材分野は、引き続き建築土木用途での拡販を進めるとともに、環境や自動車、電気・電子機器用途での拡販を強化する。電子材料分野のICクロスは、超薄物タイプなど高付加価値品の開発を更に進め、情報端末機器用途等で差別化品のシェアを高めることにより収益の拡大を目指す。ガラスビーズ事業は、自動車や電子部品等での用途展開と拡販を進めるとともに、反射材用途では更なる収益性の改善に注力する。活性炭繊維は、浄水用途、工業用途での液相分野、一般脱臭用途での気相分野ともに、中国・台湾などのアジア地域を中心に海外展開を進める。
繊維事業では、産業繊維事業は、複合繊維など差別化した高採算製品の投入により収益を拡大するとともに、調達・生産・販売及び管理の全ての段階においてコスト削減施策を継続し、採算改善を進める。衣料繊維事業は、中国、ベトナム及びインドネシアの海外拠点をベースにグローバル展開を加速し、国内では、製品の機能強化を図るとともに高付加価値品の拡販を目指す。
研究開発については、経営資源を有効活用して、当社グループが保有する高分子設計・改質技術、独自のナノテクノロジーなどを更に強化し、高機能樹脂、高耐熱フィルム、高機能繊維など成長を牽引する開発を加速する。
また、当社及びユニチカトレーディング株式会社は、防衛装備庁が発注する難燃ビニロン又はビニロンを材料として使用する繊維製品の競争入札に関して、独占禁止法違反の疑いがあるとして、平成28年3月1日に公正取引委員会による立入検査を受けた。当社としては、この度の事態を厳粛かつ真摯に受け止め、調査に全面的に協力している。
今回の中期経営計画を達成し、景気変動の影響を受けにくい筋肉質の高収益企業を目指し持続的に成長する企業、すなわち「新生ユニチカ」を実現するために、全社一丸となって不退転の覚悟で取り組む。
当社グループの経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下のようなものがある。なお、当社グループは、これらのリスクが発生する可能性を認識した上で、発生の回避やその影響を最小限に止めるなどの事前対応、または発生した場合の事後対応に努めるものとしている。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものである。
(1)原燃料価格の変動にかかるもの
当社グループにおいて、高分子事業及び合成繊維事業にて取り扱う製品は、主としてナフサなどから精製される化学原料を加工したものである。また事業所などで使用される重油、天然ガスなどの燃料も含めて、石化原燃料の購入価格の変動をタイムリーに製品価格への転嫁や生産性向上などの内部努力により吸収することができず、十分なスプレッドを確保できなかった場合は、各原燃料価格の変動が当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性がある。
(2)為替・金利レートの変動にかかるもの
当社グループの海外事業については、円建ての取引を基本としているが、現地通貨建てにて取引を行う項目に関しては、換算時の為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける場合がある。これら為替レートの変動が生じた場合、円換算後の売上高やコストへの影響が生じ、当社グループの業績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性がある。
また金利変動によるリスクについては、ヘッジ取引等、一部影響を緩和するための措置を講じているが、為替変動と同様に当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
(3)製品の欠陥にかかるもの
当社グループは製品の品質管理に万全を期し、製品の欠陥等の発生を未然に防止している。また、万が一の製品事故に備えた損害保険に加入している。しかしながら、予測できない原因により製品に重大な欠陥が発生した場合、回収費用、社会的信用の毀損、多大な補償・訴訟費用、賠償費用の負担などにより、当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
(4)海外事業にかかるもの
当社グループは中国、香港、インドネシア、タイなどの東アジア、欧米並びに南米などの地域において事業展開を図っているが、特に中国、東南アジアを中心として、次のようなリスクがある。これらの事象が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
・予期し得ない法律や規制、税制等の変更
・不利な政治的要因の発生
・テロ、戦争などによる政治的、社会的混乱
・疫病などの流行
(5)産業事故災害にかかるもの
当社グループにおいて、合繊原料など化学物質を取り扱う工場を中心として、万一、甚大な事故災害が発生した場合は、それに伴って生じる社会的信用の低下、補償などの対策費用、生産活動の停止による機会損失などによって、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
(6)貸し倒れにかかるもの
当社グループの取引先の信用不安によって予期せぬ貸し倒れが顕在化し、それに伴う追加の損失や引当の計上が必要となる場合は、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
(7)その他の主な変動要因にかかるもの
上記の他、事故、地震・台風・竜巻などの自然災害、新型インフルエンザなどの感染症の流行などが、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性がある。
1.合弁関係
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契約会社 |
相手先 |
対象国 |
契約内容 |
契約締結年月日 (有効期間) |
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当社 |
PT.GRAHA UPAYA MANDIRI 丸紅株式会社 |
インドネシア |
左記2社との共同出資によるナイロン6同時二軸延伸フィルム製造販売会社設立 資本金US$1,000万 (提出日現在:資本金US$3,240万 (平成7年11月15日P.T.EMBLEM ASIA設立) |
平成7年5月29日 (契約発効後、合弁会社の存続する期間) |
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当社 |
三井物産株式会社 三井物産(中国)有限公司 |
中国 |
左記2社との共同出資によるナイロン6同時二軸延伸フィルム製造販売会社設立 資本金US$1,850万 当社出資比率70% (平成16年1月7日尤尼吉可高分子科技(中国)有限公司設立) |
平成15年12月1日 (契約発効後、合弁会社の存続する期間) |
2.金融支援の要請
当社及び当社グループは、新中期経営計画に基づく財務体質の健全化策の一環として、借入先金融機関に対して債務残高の維持を目的とした債務返済条件の変更等(以下「本件条件変更等」という。)を要請し、平成26年7月17日に対象金融機関全社より本件条件変更等に関する同意書を取得した。
(本件条件変更等の内容)
(1)対象債権の内容
対象債権者 43取引金融機関(提出日現在:39取引金融機関)
対象債権額 約1,612億円(提出日現在:約1,241億円)
(2)債務返済条件の変更内容
平成26年5月26日取引終了時点における対象債権の元本全額について、弁済期日を平成29年9月末日に変更すること。
3.連結子会社の吸収合併について
当社は、平成28年1月26日開催の取締役会において、当社の完全子会社であるユニチカリアルティ株式会社を吸収合併することを決議し、同日付で合併契約を締結し、同年4月1日付で吸収合併を実施した。
詳細は、「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、(1)連結財務諸表、注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりである。
当社グループの研究開発活動は、長年にわたり蓄積してきた技術力を基盤とし、新技術の開発、応用を進めて、多様化する社会のニーズに応える商品開発を図り、もって事業基盤の強化と新規事業の拡大を行うことを目標としている。
当連結会計年度の研究開発費は、3,203百万円であり、この中には中央研究所で行っている全社共通テーマの各事業部門に配賦できない費用809百万円が含まれている。
(1)高分子事業
フィルム事業は、高付加価値品の展開および拡大を推進している。高耐熱性ポリアミドフィルムは、製品ブランドを「ユニアミド」(商標登録出願中)と決定し、平成28年1月に当社宇治事業所(京都府宇治市)の既存設備を改造し、量産体制を整えた。すでに、耐熱性と溶融加工性が評価されポリイミドフィルムの代替としてモバイル機器向けに採用されており、販売量は着実に増加している。今後はFPC(フレキシブルプリント基板)および関連基材や、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)が使用されている振動板、耐熱性と無色透明性の特長を活かした各種工程フィルムなどへの展開を検討している。柔軟性のある有機系バリア層をナイロンフィルムに積層した新規バリアナイロンフィルム「エンブレムHG」も平成27年10月に既存設備を改造し、量産化技術を確立した。ボイル・レトルト用途に対する高いガスバリア性能と食品の色目保持効果が格段に高いことから、漬物、惣菜、農産加工品を中心に採用が拡大している。シリコーンフリー離型PETフィルム「ユニピール」は、さらなる高品位用途へ対応できるように生産設備を改造し、量産化技術を確立した。これにより、表面の凹凸がほとんどない超平滑ユニピールを上市することができた。その他新規商品として、表面粗度がサンドマットと同等レベルで、フィルムを加熱してもオリゴマーによる汚染が極端に少ない高粗度PETフィルムを開発し、市場評価を進めている。
樹脂関連では、自動車などの軽量化に有効なナイロン系射出発泡用樹脂「フォーミロン」(商標登録出願中)を平成28年3月にプレスリリースし、商品展開に注力している。当社固有のエンジニアリングプラスチックであるポリアリレート樹脂「Uポリマー」については、その広い温度域における性能、寸法の安定性から、スマートフォン、タブレット用途で引き続き好調に販売を伸ばしているほか、新たに溶剤可溶タイプのポリアリレート樹脂「ユニファイナー」Vシリーズ、高耐熱成形用途Tシリーズについてもプレスリリースを平成28年3月に行った。優れた耐熱性と電気特性から、多用途で評価が進められており、早期実績化を目指している。高耐熱性ポリアミド樹脂である「ゼコット」は電気・電子用途で採用が進み、宇治事業所内の中量産プラントの稼働率が向上しつつある。オレフィン系エマルションである「アローベース」はエネルギー関連用途、食品用途などでの接着層、コーティング層として順調に拡大している。ポリエステル樹脂としては、ダイレクトブロー用に開発した共重合品のラインナップに耐衝撃グレードを加え、採用が拡大している。接着剤・コート剤用共重合ポリエステルである「エリーテル」は電気・電子用途の海外需用の増加に伴い、引き続き海外での用途展開が堅調である。また、ナノ多孔膜を形成することができるポリイミドワニスについて平成27年11月にプレスリリースを行い、リチウムイオン電池の熱暴走を防ぐ新たな技術として高い関心が寄せられている。メタリック着色、ピアノブラック着色等の高外観グレードは、家電関係、自動車関係で採用が増えており、特に欧州での自動車業界から注目を浴びている。中央研究所発の技術として「セルロースナノファイバー配合ナイロン6」をプレスリリースした。重合工程でセルロースナノファイバーを樹脂中に均一に分散させる独自の製造方法により得られるこの樹脂は、発泡成形すると気泡の大きさが均一になる特色があり、すでに複数のユーザーで評価が進んでいる。
不織布関連においてスパンボンドでは、極太の異形断面糸である「ディラ」は、類をみない繊維構造で硬さと高通気性からフィルター材、ワイパー材他、多様な用途への展開を計り、採用実績に繋がっている。また、「ディラ」の特長を活かして、他不織布、他素材との複合品の開発も行っており、更なる拡販を行う。農業分野へは多様なニーズに応えるべく開発を進めている。従来からのべたがけシートは透光・保温を兼ね備え、耐久性アップを目指した開発を進め、今年度中の本格販売を目指す。また、透明性を高めた高透光性シートや遮熱材と複合した遮熱性シートなど新たな用途への開発を進めている。土木分野では複合繊維エルベスを使用したガス透過性防水シートは、その性能の優位性から東北地方の除染廃棄物仮置き場に採用され、本年も引き続き順調に推移した。また、メガソーラー向けの雑草抑制の防草シートなどの開発を行い、販売を開始した。タイ国における新機台の増設により、今までと違った材料を提供することが可能となり、新規用途を含めた開発を進めている。スパンレースではコットンの素材の持つ優位性から国内外の衛材用途を中心に積極的な開発を推し進めている。撥水や抗菌等の機能性付与や他シートとの複合、柄付け等の意匠性等の開発により採用実績に繋がっている。今後ともお客様のご要望に応える製品をタイムリーに提供できるよう開発を進めていく。
バイオマスプラスチック関連では、バイオマスプラスチックの普及に向けた研究開発を引き続き進めている。前述した「ゼコット」は、スーパーエンジニアリングプラスチックでありながらバイオマスを原料とした樹脂であり、ポリ乳酸を用いた環境素材「テラマック」と共に、ユニチカの高い環境意識を象徴した製品としての役割も期待されている。用途開発においては、それぞれの特性をユーザーのニーズと一致させることに注力しており、「ゼコット」の電気、自動車用途への適用に加えて、「テラマック」の包装フィルム用マスターバッチや、後述の3Dプリンター用フィラメントなど、その成果を示す例が出てきている。このほかにも新規バイオマスプラスチックの開発に関して、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業である「木質バイオマスからの各種化学品原料の一貫製造プロセスの開発」プロジェクトに参加し、次世代のバイオマスプラスチックの開発を行っている。
当事業に係る研究開発費は1,793百万円である。
(2)機能材事業
ガラス繊維関連では、産業資材用途で顧客ニーズに応えたガラスクロス及びそれら処理加工品の製品開発を進め、ユーザーから好評価をいただいている。また、電子材料用途では、超薄クロスの生産技術革新に取り組むと共に、高性能な新規ICクロスも開発中である。
活性炭繊維関連では、液相分野においては、浄水器用及び工業フィルター用の高性能化とコストダウンにより国内外での競争力の強化を図っている。また、気相分野においては、自動車用に加え、空気清浄機やマスクなど、空気脱臭用の高性能化とコストダウンにより海外展開を進めていく。
業界で初めて製品化したナイロン6樹脂製の中空糸膜フィルターは、これまでの平膜タイプの同樹脂製フィルターに比べて高流量で長寿命であり、有機溶剤系での使用にも耐えられることから、半導体や化学分野で使用される薬物に含まれる不純物の除去などの用途で採用が続いている。
当事業に係る研究開発費は401百万円である。
(3)繊維事業
繊維事業においては、スポーツ用素材として当社独自の特殊加工技術により生地表面に凹凸構造を形成し、スポーツやアウトドアシーンなどでの長時間の降雨に優れた水滴転がり性を発揮する「タクティーム」を開発した。その撥水機能の持続性より、様々なスポーツ・アウトドアアパレルから好評価を得ている。
レディス用素材としては、ユニチカ独自の特殊紡糸、延伸技術により1本の糸に濃染部と淡染部を発生させたシルキー杢調素材の「ラインスターE」に特殊セラミックスを高濃度に付与した「ラインスターFE」を開発した。また、当社独自の特殊仮撚り技術と混繊技術を融合することにより、ポリエステル100%でありながらナチュラルなトップ杢調の外観と適度なストレッチ性、ふくらみと反撥感のある独特な風合いを実現した「ファンシーナ」を開発した。
ブラックフォーマル用素材として平成24年から販売開始した「ノイエ」に加え、新たなブランドとして高発色性ストレッチ素材「モニカ」を展開し、多くのファッションアパレルに採用された。この高い評価から、平成27年度の繊研合繊賞マーケティング部門を受賞、更なる拡販を目指している。
ユニフォーム素材としては、カレーやラー油といった家庭洗濯では落ちにくい汚れを落ちやすくした後加工素材「ホワイティング」を開発し、ユニフォームアパレルへの採用に向けて営業活動を開始した。また、ISO規格による高視認性基準をクリアした「プロテクサHV」は道路工事などの安全作業服として各ユニフォームアパレルからの引き合いも多く、平成27年10月にJIS規格にも制定されるなどその注目度から平成27年度の繊研合繊賞特別賞を受賞した。
生活資材用素材としては、株式会社サクラクレパスとの共同開発で、当社の付帯加工技術を応用した洗濯に強く、書いた文字が滲みにくい素材を開発した。平成27年12月10日から同社より「名前ラベル・マイネームツインセット」、「ゼッケン・マイネームツイン(太・細)セット」として販売が開始された。
産業繊維事業では、ポリ乳酸成形技術による光沢や透明性、そしてモノフィラメント製造技術による真円性、耐屈曲性や配向(結晶)性を有し、クリアで易取扱い性(耐折れ性)に優れた「Material Extrusion方式(熱で融解した造形材料を少しずつ積み重ねていく方式)」に使用される3Dプリンター用フィラメントは生産技術を確立した着色グレードも品揃えに加え、販路が拡大した。またこの製品は、繊維紡糸技術の応用としても高く評価され、平成27年度の繊研合繊賞エコロジー部門を受賞した。
当事業に係る研究開発費は194百万円である。
(1)財政状態の分析
総資産は、前期末に比べ15,924百万円減少し、219,957百万円となった。これは、主として現金及び預金が増加したものの、たな卸資産及び有形固定資産が減少したことによる。負債は、前期末に比べ22,270百万円減少し、182,020百万円となった。これは、主として仕入債務及び有利子負債が減少したことによる。純資産は、前期末に比べ6,346百万円増加し、37,936百万円となった。これは、主として親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことによる。
(2)経営成績の分析
①売上高
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ12,652百万円(8.0%)減収の146,474百万円となった。減収の主要因は、産業繊維事業の構造改革や事業ポートフォリオ改革に伴う株式譲渡・事業譲渡などが影響し、全体の売上が減少したためである。
②営業利益
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ1,534百万円(17.2%)増益の10,450百万円となった。原油安に伴い原燃料価格が好転したほか、産業繊維事業を中心とした事業ポートフォリオ改革などが奏功し、増益となった。セグメント別では、その他以外の全てのセグメントで増益となった。
③営業外損益と経常利益
当連結会計年度の営業外損益については、営業外収益は1,500百万円(61.3%)減少の943百万円となり、営業外費用は、円高の影響による外貨建資産の為替差損を計上したことなどにより、前連結会計年度に比べ893百万円(24.2%)増加の4,572百万円となり、損益全体として悪化した。これらの要因と、営業利益段階での増益により、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ859百万円(11.1%)減益の6,821百万円となった。
④特別損益
当連結会計年度の特別損益については、特別利益は、事業ポートフォリオ改革に伴う固定資産売却益などにより、前連結会計年度に比べ220百万円(13.0%)増加の1,908百万円となった。一方、特別損失は、事業ポートフォリオ改革に伴う事業構造改善費用や減損損失の計上が減少し、前連結会計年度に比べ35,794百万円(90.1%)減少の3,953百万円となった。
⑤親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益については、特別損益の好転、繰延税金資産の計上による法人税等調整額の減少などにより、前連結会計年度に比べ33,966百万円増加の6,933百万円の親会社株主に帰属する当期純利益となった。
(3)キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ10,315百万円増加し、当連結会計年度末には42,023百万円となった。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益に減価償却費などを加えたキャッシュ・イン・フロー、たな卸資産の減少などにより、11,661百万円の資金の増加(前期比91.8%増)となった。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資に伴う支出を計上したが、事業ポートフォリオ改革に伴う資産の売却による収入などにより、4,124百万円の資金の増加(前期は145百万円の資金の減少)となった。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済などにより、5,010百万円の資金の減少(前期は5,870百万円の資金の増加)となった。