第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度のわが国経済は、消費税率の引き上げや円安による物価上昇などによる個人消費低迷が長期化しているものの、日銀による金融緩和策の継続や政府の機動的な財政支出により大企業を中心に業績改善がみられるなど緩やかな景気回復基調が続いた。一方、海外では、米国経済は堅調に推移したものの、中国はじめ新興国の成長鈍化や欧州経済の停滞による景気下振れリスクなど依然として先行き不透明な状況で推移した。

このような状況の下、当社グループは、当連結会計年度からスタートした新中期経営計画に掲げる成長戦略の早期実現に向け、高分子事業を中心とする機能資材メーカーとしての基盤強化に努めてきた。また、事業ポートフォリオ改革の一環としてポリエステル短繊維の生産縮小など産業繊維事業の構造改革を行い、メディカル事業、生活健康事業の事業譲渡及び株式会社ユニチカ京都ファミリーセンターやユニチカ赤穂開発株式会社の株式譲渡等を実行した。

また、平成26年12月16日に公表したが、ユニチカ設備技術株式会社の耐火スクリーンにかかわる遮煙性能の未達及び一部認定の不正取得が明らかとなり、改修費用見込み額3,708百万円を特別損失として計上した。現在、改修工事及び国土交通省の認定の再取得に全力を注いでおり、また、再発防止に万全を期し、ユニチカグループを挙げて信頼回復に努めている。

この結果、当連結会計年度の売上高は159,126百万円(前期比2.2%減)、営業利益は8,916百万円(同31.1%増)、経常利益は7,680百万円(同62.9%増)、当期純損失は27,033百万円(前期は583百万円の利益)となった。

セグメント別の業績は次のとおりである。

[高分子事業]

フィルム事業では、包装分野は、消費税増税後の食品や生活雑貨の消費低迷などの影響を受け、国内では販売数量が減少したが、海外向けは堅調に推移し、売上は増加した。工業分野は、電気・電子機器用途の市況回復により、販売数量、売上ともに増加した。また、新商品である離型ポリエステルフィルム「ユニピール」や高耐熱性ポリアミドフィルムの販売も好調に推移した。この結果、事業全体で売上は横ばいだったが、増益となった。

樹脂事業では、ナイロン樹脂は、自動車や電動工具用途の販売が堅調に推移し、当社独自のポリアリレート樹脂「Uポリマー」は、スマートフォン用途で販売が増加し、事務機器関連も安定的に推移した。環境配慮型の水性エマルション「アローベース」は、期後半から需要が増加し、高耐熱性ポリアミド樹脂「ゼコット」は自動車用途などで採用が進んだ。この結果、事業全体で売上は横ばいだったが、増益となった。

不織布事業では、ポリエステルスパンボンドは、海外では販売数量を伸ばし、増収となった。国内では消費税増税後の市況低迷の影響を受け、生活資材、産業資材用途とも減収となった。コットンスパンレースは、フェイスマスク用途などを中心に堅調に推移した。この結果、事業全体で減収増益となった。

以上の結果、高分子事業の売上高は64,467百万円(前期比1.6%減)、営業利益は7,729百万円(同13.0%増)となった。

[機能材事業]

ガラス繊維事業では、産業資材分野は、建築用途を中心に販売は堅調に推移した。電子材料分野のICクロスは、スマートフォン用途等で差別化品である超薄物タイプの販売が堅調に推移した。ガラスビーズ事業では、ロードマーキング用途で売上が減少したが、自動車向けなど工業用途や反射材用途で売上が増加した。また、活性炭繊維事業では、主力の浄水器用途が全般的に低調に推移し、自動車用途での販売減や空気清浄機用途の在庫調整などが影響し、売上が減少した。

以上の結果、機能材事業の売上高は14,682百万円(同1.2%減)、営業利益は1,959百万円(同3.0%増)となった。

[繊維事業]

産業繊維事業では、ポリエステル高強力糸は、主力の建築・土木分野が好調に推移し、低採算製品の販売縮小と高付加価値品の販売が奏功し、収益は増加した。ポリエステル短繊維は、抜本的な事業構造改革が奏功し、収益は大きく増加した。ビニロンは、アスベスト代替のセメント補強用途で、欧州及び新興国向けで高採算製品への販売転換が進み、採算は改善したが、引き続き厳しい状況が続いており、来年3月をめどに生産停止を決定した。

衣料繊維事業では、ユニフォーム分野は、ワーキング用途が好調に推移したものの、円安による海外生産品の調達コスト上昇などの影響を受けた。また、スポーツ分野は、国内市場で苦戦したが、レディス分野は、二次製品の販売に加え、織物・ニット生地の販売も堅調に推移した。海外市場では引き続きデニムの輸出が好調に推移した。

以上の結果、繊維事業の売上高は66,787百万円(同2.0%減)、営業利益は1,743百万円(同310.7%増)となった。

[その他]

生活健康事業では、「白幻鳳凰」など健康食品が、消費税増税の影響により需要が回復せず、低調に推移したが、セラミドを中心とした機能性食品原料や飼料原料は、好調だった。

メディカル事業では、循環系カテーテルのクワッドルーメンタイプを中心にカテーテルの販売が増加し、増産などに伴うコストダウン効果もあり、収益は増加した。

不動産関連事業では、マンション販売は、期後半に竣工した物件の販売が堅調に推移し、売上が増加した

以上の結果、その他の売上高は13,188百万円(同6.7%減)となり、営業利益は536百万円(同32.7%減)となった。

(2)キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ12,151百万円増加し、当連結会計年度末には31,708百万円となった。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失であったが、減価償却費、減損損失(事業構造改善費用を含む)などの非資金項目を加えたキャッシュ・イン・フローなどにより、6,080百万円の資金の増加(前期比11.1%減)となった。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、事業ポートフォリオ改革に伴う資産の売却による収入を計上したが、設備投資に伴う支出などにより、145百万円の資金の減少(前期は4,103百万円の資金の減少)となった。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、株式の発行、借入金の返済などにより、5,870百万円の資金の増加(前期は3,053百万円の資金の減少)となった。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

当社グループの生産活動の大半は、当社、日本エステル㈱、ユニチカテキスタイル㈱、ユニチカグラスファイバー㈱、㈱ユニオンで行われているため、これらの会社の実績により記載している。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

高分子事業

52,019

2.4

機能材事業

9,648

15.3

繊維事業

22,830

0.2

報告セグメント計

84,498

3.1

その他

801

△4.7

合計

85,300

3.0

 (注)1.生産高を明確に表示するため、外注生産高を含む総生産高で記載している。

2.上記の金額には消費税等は含まれていない。

(2)受注状況

当社グループは主として見込生産を行っている。

(3)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

高分子事業

64,467

△1.6

機能材事業

14,682

△1.2

繊維事業

66,787

△2.0

報告セグメント計

145,937

△1.8

その他

13,188

△6.7

合計

159,126

△2.2

 (注)1.上記の金額には消費税等は含まれていない。

2.販売実績が総販売実績の10%以上の相手先はない。

3【対処すべき課題】

当社グループは、昨年5月に策定した新中期経営計画に掲げる施策を着実に実行する。当連結会計年度から実行している事業ポートフォリオ改革を加速し、また昨年7月末の金融支援及び外部出資による自己資本増強に伴い、経営資源を成長事業である高分子事業に集中的に投下し、成長市場であるアジア地域への製品供給能力の向上を図るとともに、国内外で高付加価値品の拡販を実施することで、事業の拡大を目指す。また、本年4月から経営・執行体制と組織運営体制を新たにし、業務執行に対する権限と責任をより明確にすることで、高収益体質への転換と財務内容改善の実現を図る。

また、ユニチカ設備技術株式会社の耐火スクリーンにかかわる遮煙性能未達及び一部認定の不正取得については、改修工事を早期に完了すべく当社グループ一丸となって取り組むとともに、再発防止に努める。

 

 個々の事業戦略及び課題については次のとおりである。

 

高分子事業では、フィルム事業は、包装分野では、「エンブレムHG」など新バリアナイロンフィルムの拡販や非食品分野への展開を図り、トップメーカーとしての市場への影響力を高める。また、インドネシア子会社のP.T.EMBLEM ASIAにおいて稼働を開始したナイロンフィルム大型新鋭機による生産能力の増強により、東南アジア市場でのシェア拡大や欧米市場での拡販を図る。工業分野では、成長戦略商品である「ユニピール」や高耐熱性ポリアミドフィルムの採用拡大を目指す。樹脂事業では、年産500トンの中量産設備の稼働を開始した「ゼコット」は、自動車用途、電気・電子機器用途を中心に、用途開拓を一層加速する。「アローベース」やダイレクトブロー用ポリエステル樹脂については、既存ユーザーへの拡販を進める一方で、他用途展開や新規ユーザー獲得を進め、収益力の一層の向上を図る。不織布事業では、ポリエステルスパンボンドは、「マリックス」「エルベス」を中心として産業資材・生活資材・農業資材分野などへの用途展開により、引き続き事業拡大を進める。また、タイ子会社のTHAI UNITIKA SPUNBOND Co., Ltd.における生産設備の増設決定により、アジア地域を中心としたシェアの維持・拡大を図る。コットンスパンレースについては、ウェットシート用途の販売や海外展開を引き続き強化する。

 機能材事業では、ガラス繊維事業の産業資材分野は、引き続き建築土木分野での拡販を進めるとともに、環境分野や電気・電子分野での拡販を強化する。電子材料分野のICクロスは、超薄物タイプの開発を更に進め、スマートフォン用途等で差別化品のシェアを高めることにより収益の拡大を目指す。ガラスビーズ事業は、工業用途を中心に拡販を図る。活性炭繊維は、今後も堅調な需要が見込まれる水栓内蔵型浄水器用途の販売促進を継続するとともに、中国、台湾、欧州などをターゲットとして現地ニーズに適合した製品開発を促進し、差別化品での拡販を図る。

 繊維事業では、産業繊維事業は、引き続き高採算製品への販売転換を推し進めるとともに、調達・生産・販売及び管理の全ての段階において抜本的なコスト削減施策を実施し、収益改善を進める。衣料繊維事業は、中国、ベトナム及びインドネシアの海外拠点をベースにグローバル展開を加速し、国内では、製品の機能強化を図るとともに高付加価値品の拡販を目指す。

海外展開については、前述のナイロンフィルム大型新鋭機の稼働により、ナイロンフィルムのグローバルトップシェアの地位を確固たるものにし、その他の高分子、機能材、繊維の各事業についても、中国やASEAN地域の海外拠点との連携によるマーケティングや海外調達機能の強化、アジア市場への新規開拓や欧米市場への拡販に取り組む。

研究開発については、当社グループが保有する高分子設計・制御技術、無機材料技術や分析評価技術などを駆使し、高機能樹脂、高耐熱フィルム、高機能繊維など成長を牽引する開発を加速する。

コストダウンについては、連結経営体制の強化及び業容に合わせた管理コストの削減などで高収益体質への転換を図る。また、引き続き在庫削減などを含めた資金運営の効率化を徹底し、有利子負債の削減に努める。

4【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下のようなものがある。なお、当社グループは、これらのリスクが発生する可能性を認識した上で、発生の回避やその影響を最小限に止めるなどの事前対応、または発生した場合の事後対応に努めるものとしている。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものである。

(1)原燃料価格の変動にかかるもの

当社グループにおいて、高分子事業及び合成繊維事業にて取り扱う製品は、主としてナフサなどから精製される化学原料を加工したものである。また事業所などで使用される重油、天然ガスなどの燃料も含めて、石化原燃料の購入価格の変動をタイムリーに製品価格への転嫁や生産性向上などの内部努力により吸収することができず、十分なスプレッドを確保できなかった場合は、各原燃料価格の変動が当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性がある。

(2)為替・金利レートの変動にかかるもの

当社グループの海外事業については、円建ての取引を基本としているが、現地通貨建てにて取引を行う項目に関しては、換算時の為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける場合がある。これら為替レートの変動が生じた場合、円換算後の売上高やコストへの影響が生じ、当社グループの業績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性がある。

また金利変動によるリスクについては、ヘッジ取引等、一部影響を緩和するための措置を講じているが、為替変動と同様に当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。

(3)製品の欠陥にかかるもの

当社グループは製品の品質管理に万全を期し、製品の欠陥等の発生を未然に防止している。また、万が一の製品事故に備えた損害保険に加入している。しかしながら、予測できない原因により製品に重大な欠陥が発生した場合、回収費用、社会的信用の毀損、多大な補償・訴訟費用、賠償費用の負担などにより、当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。

(4)海外事業にかかるもの

当社グループは中国、香港、インドネシア、タイなどの東アジア、欧米並びに南米などの地域において事業展開を図っているが、特に中国、東南アジアを中心として、次のようなリスクがある。これらの事象が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。

・予期し得ない法律や規制、税制等の変更

・不利な政治的要因の発生

・テロ、戦争などによる政治的、社会的混乱

・疫病などの流行

(5)産業事故災害にかかるもの

当社グループにおいて、合繊原料など化学物質を取り扱う工場を中心として、万一、甚大な事故災害が発生した場合は、それに伴って生じる社会的信用の低下、補償などの対策費用、生産活動の停止による機会損失などによって、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。

(6)貸し倒れにかかるもの

当社グループの取引先の信用不安によって予期せぬ貸し倒れが顕在化し、それに伴う追加の損失や引当の計上が必要となる場合は、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。

(7)その他の主な変動要因にかかるもの

上記の他、事故、地震・台風・竜巻などの自然災害、新型インフルエンザなどの感染症の流行などが、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性がある。

5【経営上の重要な契約等】

1.合弁関係

契約会社

相手先

対象国

契約内容

契約締結年月日

(有効期間)

当社

PT.GRAHA UPAYA MANDIRI

丸紅株式会社

インドネシア

左記2社との共同出資によるナイロン6同時二軸延伸フィルム製造販売会社設立

 資本金US$1,000万
 当社出資比率60.00%

(提出日現在:資本金US$3,240万
      当社出資比率82.79%)

(平成7年11月15日P.T.EMBLEM ASIA設立)

平成7年5月29日

(契約発効後、合弁会社の存続する期間)

当社

三井物産株式会社

三井物産(中国)有限公司

中国

左記2社との共同出資によるナイロン6同時二軸延伸フィルム製造販売会社設立

 資本金US$1,850万

 当社出資比率70%

(平成16年1月7日尤尼吉可高分子科技(中国)有限公司設立)

平成15年12月1日

(契約発効後、合弁会社の存続する期間)

 

2.引受契約の締結

当社は、平成26年5月26日開催の当社取締役会において、株式会社三菱東京UFJ銀行、株式会社みずほ銀行、三菱東京UFJ信託銀行株式会社及びジャパン・インダストリアル・ソリューションズ第壱号投資事業有限責任組合に対して第三者割当によるA種種類株式、B種種類株式及びC種種類株式(以下、あわせて「本種類株式」という。)を発行すること及び割当先が本種類株式を引受けることに関する引受契約を締結することを決議し、同日付で割当先と引受契約を締結した。

本種類株式発行による資金調達の額は375億円であり、平成26年7月31日に払込手続が完了している。

なお、本種類株式の内容は、「第4 提出会社の状況、1 株式等の状況、(1)株式の総数等、② 発行済株式」に記載のとおりである。

 

3.金融支援の要請

当社及び当社グループは、新中期経営計画に基づく財務体質の健全化策の一環として、借入先金融機関に対して債務残高の維持を目的とした債務返済条件の変更等(以下「本件条件変更等」という。)を要請し、平成26年7月17日に対象金融機関全社より本件条件変更等に関する同意書を取得した。

(本件条件変更等の内容)

(1)対象債権の内容

対象債権者  43取引金融機関

対象債権額  約1,612億円

(2)債務返済条件の変更内容

平成26年5月26日取引終了時点における対象債権の元本全額について、弁済期日を平成29年9月末日に変更すること。

4.連結子会社の吸収合併について

当社は、平成26年7月28日開催の取締役会において、当社の完全子会社であるユニチカロジスティクス株式会社を吸収合併(以下「本件合併」という。)することを決議し、同日付で合併契約を締結し、同年10月1日付で吸収合併を実施した。

詳細は、「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、(1)連結財務諸表、注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりである。

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、長年にわたり蓄積してきた技術力を基盤とし、新技術の開発、応用を進めて、多様化する社会のニーズに応える商品開発を図り、もって事業基盤の強化と新規事業の拡大を行うことを目標としている。

当連結会計年度の研究開発費は、3,940百万円であり、この中には中央研究所で行っている全社共通テーマの各事業部門に配賦できない費用977百万円が含まれている。

(1)高分子事業

フィルム関連において、柔軟性のある有機系バリア層をナイロンフィルムに積層した新規バリアナイロンフィルム「エンブレムHG」を平成27年1月にプレスリリースし、商品紹介を開始した。ボイル・レトルト用途に対する高いガスバリア性能と物理的ストレス耐性をあわせ持つことが特徴で、食品の色目保持効果が格段に高いことから、市場からの評価は良好である。すでに、一部の商品に採用されており、今後の展開が期待されている。

新規高耐熱性ポリアミドフィルム「EX」は、優れた耐熱性と加工性が認められ、開発品ながら、小型電子機器の部材用途に採用が急増している。また、当社独自のシリコーンフリー離型PETフィルム「ユニピール」も電子部材の製造工程などへの販売が拡大している。そのため、「EX」、「ユニピール」ともに増産体制の拡充を進めている。

樹脂関連では、当社固有のエンジニアリングプラスチックであるポリアリレート樹脂「Uポリマー」が、その広い温度域における性能、寸法の安定性から、スマートフォン、タブレット用途で適用が拡大、国内外で採用が広がっている。溶剤可溶タイプのポリアリレート樹脂「ユニファイナー」は優れた耐熱性と電気特性から、多用途で評価が進められており、早期実績化を目指している。高耐熱性ポリアミド樹脂である「ゼコット」は電気、自動車用途を中心に高評価なことから、今年度、宇治事業所(京都府)内に中量産プラントを増設、拡販準備を進めた。オレフィン系エマルションである「アローベース」は接着層、コーティング層としての高い汎用性、機能性から、食品、医療用包装材用途のみならず、電機、自動車分野にも広く適用され、順調に拡大している。ポリエステル樹脂としては、ダイレクトブロー用に開発した共重合品の採用が拡大しており、増産体制を確立した。接着剤・コート剤用共重合ポリエステルである「エリーテル」は電気・電子用途の海外需用の増加に伴い、海外での用途展開が進んでいる。また、平成26年7月1日付でUイミド事業開発部を技術開発本部より移管、ポリイミドを商品群に加えることにより、高機能フィルム、コーティング用途への展開のさらなる加速を目指している。ナイロン樹脂はユニチカ独自技術との組み合わせによる、メタリック着色、ピアノブラック着色等の高外観グレード、発泡成形技術とマッチングさせた発泡成形用グレード、電子機器等の放熱材料として用いられる高熱伝導性樹脂等、樹脂の付加価値を高めた製品の展開を進めている。

不織布関連においてスパンボンドでは、極太の異形断面スパンボンドを「ディラ」の商標で上市した。その硬さと通気性からフィルター材、ワイパー材他、多様な用途への展開を図っている。また、「ディラ」の特長を活かして、他不織布、他素材との複合品の開発も行っている。農業分野へは遮熱材と複合した遮熱性シートや透明性を高めた高透光性シート、地温上昇抑制シートなど新たな用途への開発を進める一方、従来からのべたがけシートは多様なニーズに応えるべく新たな改良検討を行っている。土木分野では複合繊維「エルベス」のニードルパンチタイプ不織布でポリエチレン微多孔フィルムを挟んだガス透過性防水シートが、その性能の優位性から東北地方の除染廃棄物仮置き場に採用され、本年も引き続き順調に推移した。また、メガソーラー向けの雑草抑制の防草シート、電柱へのつる性植物の巻き付き防止シートなどの開発を行い、これらの販売に着手した。さらに、タイ国におけるスパンボンド新機台の増設も決定し、従来製品とは異なる用途へ向けての開発を進めている。スパンレースではコットン素材が持つ優位性から国内外衛材用途を中心に積極的に展開を行っているが、抗菌性や異形断面繊維を混ぜたワイパー分野向けなどの開発も進めている。また、小ロットから対応可能な独自の柄付け技術の確立を目指した検討を重ねており、今後もユーザーの要望に応える製品をタイムリーに提供できるよう開発を進めていく。

バイオマスプラスチック関連では、バイオマスプラスチックの普及に向けた研究開発を引き続き進めている。前述したスーパーエンジニアリングプラスチックである「ゼコット」は、バイオマスを原料とした樹脂であり、ポリ乳酸を用いた環境素材「テラマック」と共に、ユニチカの高い環境意識を象徴した製品としての役割も期待されている。用途開発においては、それぞれの特性をユーザーのニーズと一致させることに注力しており、「ゼコット」の電気、自動車用途への適用に加えて、「テラマック」の包装フィルム用マスターバッチなど、その成果を示す例が出てきている。実用化研究段階にあるポリ尿素は、植物由来のジアミンと二酸化炭素のみを原料として作られる。すなわち、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素を直接固定化してなる究極の環境配慮型素材であるが、加えて、高い耐熱性を示すエンジニアリングプラスチックとしても注目されている。

当事業に係る研究開発費は1,677百万円である。

(2)機能材事業

ガラス繊維関連では、産業資材用途で顧客ニーズに応えたガラスクロス、及びそれら処理加工品の製品開発を進め、ユーザーから好評価をいただいている。また、電子材料用途では、超薄クロスの生産技術革新に取り組むと共に、高性能な新規ICクロスも開発中である。

活性炭繊維関連では、液相分野においては、浄水器用及び工業フィルター用の高性能化とコストダウンにより国内外での競争力の強化を図っている。また、気相分野においては、自動車用に加え、空気清浄機やマスクなど、空気脱臭用の高性能化とコストダウンにより海外展開を進めていく。

当事業に係る研究開発費は453百万円である。

(3)繊維事業

繊維事業においては、ベビー、子供服用肌着として2つの異なるコットンの特性を活かした芯鞘構造糸「ロールス」を開発した。やさしい肌触りと適度なハリコシを実現した特殊複重層紡績糸であり、ベビー・子供服大手のファミリアと共同で「ロールス」の特長を活かした新生児肌着用ニット素材を新たに開発した。(平成27年4月から販売開始)

ドレスシャツ用素材としては、機能性に優れたポリエステル繊維のまわりを肌触りの良い上質なコットンで包み込んだ特殊複重層紡績糸「パルパー」の細番手の優しいタッチが快適な「パルパープレミアム」を開発した。防シワ性、吸水速乾性等の機能性に優れ、かつ、コットンの風合いを活かした次世代のシャツ素材である。また、平成27年に40周年を迎えるロングセラーの「パルパー」は平成26年度の繊研合繊賞の特別賞を受賞した。

スポーツ衣料、ドレスシャツ用素材としては、部屋干し臭の原因菌の一つといわれるモラクセラ菌に対する制菌加工素材「モイストドライ」を開発した。一般社団法人繊維評価技術協議会が認定するSEK制菌加工マークの基準をクリアし、ドレスシャツ用途に展開中である。

ユニフォーム素材としては、従来綿混素材では蛍光発色や輝度をクリアすることが困難とされていたが、染料や助剤の選定、染色・仕上げ工程の見直しを実施することで、ユニフォームの主力素材であるポリエステル65%・綿35%でISO規格による高視認性基準をクリアした素材を開発した。

産業資材用素材としては、当社の熱融着ポリエステルを用いて、道路及び施設周辺内への小動物の侵入を防止する防護ネット「シャットアウト」を開発した。従来の防護ネットは鉄筋格子が主流であったが、芯鞘複合構造の熱融着特殊ポリエステルフィラメント繊維を用いることで軽量化を実現。荷降ろし工数の軽減や、現地でネットを簡単に切断できるなどの施工性が高く評価されている。

他には、3Dプリンター用フィラメントの開発・上市をおこなっている。3Dプリンターの中で最も普及している「Material Extrusion方式(熱で融解した造形材料を少しずつ積み重ねていく方式)」に使用されるものである。弊社では世界でもいち早くポリ乳酸などのバイオマスプラスチックの成形に取り組み、「テラマック」の商標でバイオマスプラスチック事業を行ってきたが、3Dプリンター用フィラメントはそのバイオマスプラスチック事業で培ったポリ乳酸成形技術と釣り糸やガットといった従来からの繊維事業で培ったモノフィラメント製造技術とを融合したものである。その特徴としてはポリ乳酸成形技術による光沢や透明性、そしてモノフィラメント製造技術による真円性、耐屈曲性や配向(結晶)性を有し、業界で初めてクリアで易取扱い性(耐折れ性)に優れた3Dプリンター用フィラメントとして好評であり、国内外からの引き合いに対応している。

当事業に係る研究開発費は560百万円である。

(4)その他

生活健康事業関連では、生活健康事業部が美容素材として幅広く展開していたこんにゃくセラミド、砂糖の吸収を抑えるL-アラビノース、家畜飼料に少量添加することでサルモネラ菌や大腸菌などの家畜の腸管への定着を抑制するマンノース含有飼料「コッコエース」、カルシウムの吸収促進によって骨の健康を助けるラクトビオン酸含有食品原料など、多くの食品機能素材を販売してきた。また、当該事業部では骨粗しょう症予防や美白が期待され、美容・健康分野で注目の食品原料であるβ-クリプトキサンチンを温州みかんより濃縮する技術を確立し、事業化を進めてきた。しかしながら、平成27年3月31日に、当該事業部は新中期経営計画で重点志向する事業領域への経営資源の更なる集中のために株式会社ダイセルに譲渡した。

メディカル事業関連では、高分子技術で培った技術をもとにして、ウロキナーゼを固定化した抗血栓性材料、ベニズワイガニなどの甲殻類の殻から抽出したキチンをベースにした各種のキチン関連製品などユニークな医用材料を医療の場に提供してきた。また、常温よりも高い温度で生育する好熱菌に注目して従来の酵素の常識を超えた耐熱性の酵素の精製に成功し、この耐熱性酵素を利用して、安定性が大幅に向上した各種の臨床検査薬を提供してきた。しかしながら、平成27年3月31日に、当該事業部は新中期経営計画で重点志向する事業領域への経営資源の更なる集中のためにニプロ株式会社に譲渡した。

当事業に係る研究開発費は271百万円である。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ18,299百万円減少し、235,882百万円となった。これは、主として有形固定資産が減少したことによる。負債は、前期末に比べ30,521百万円減少し、204,291百万円となった。これは、主として有利子負債が減少したことによる。純資産は、前期末に比べ12,221百万円増加し、31,590百万円となった。これは、主として株式の発行により株主資本が増加したことによる。

(2)経営成績の分析

①売上高

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ3,560百万円(2.2%)減収の159,126百万円となった。減収の主要因は、消費税増税後の市況低迷の影響を受け、衣料繊維や食品包装フィルムなど生活資材関連商材の売上が減少したためである。

②営業利益

当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ2,117百万円(31.1%)増益の8,916百万円となった。ポリエステル短繊維での抜本的な事業構造改革が奏功し、高分子事業における価格改定や繊維事業における高付加価値品への販売転換などの効果もあり、全体として増益となった。セグメント別では、その他事業以外の全てのセグメントで増益となった。

③営業外損益と経常利益

当連結会計年度の営業外損益については、営業外収益は、前連結会計年度を上回る為替差益の計上があったことなどにより549百万円(29.0%)増加の2,443百万円となり、営業外費用は、支払利息の減少などにより前連結会計年度に比べ299百万円(7.5%)減少の3,679百万円となった。これらの要因と、営業利益段階での増益により、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ2,966百万円(62.9%)増益の7,680百万円となった。

④特別損益

当連結会計年度の特別損益については、特別利益は、事業ポートフォリオ改革に伴う事業譲渡益や関係会社株式売却益などにより、前連結会計年度に比べ1,153百万円増加した。一方、特別損失は、事業ポートフォリオ改革に伴う事業構造改善費用や減損損失を計上し、加えてユニチカ設備技術株式会社の耐火スクリーン対策に関わる費用も製品改修引当金繰入額として計上したため、前連結会計年度に比べ36,070百万円増加した。

 

⑤当期純利益

当連結会計年度の当期純利益については、法人税等調整額は減少したものの、特別損益の悪化が大きく影響したため、前連結会計年度に比べ27,616百万円減少の27,033百万円の当期純損失となった。

 

(3)キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ12,151百万円増加し、当連結会計年度末には31,708百万円となった。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失であったが、減価償却費、減損損失(事業構造改善費用を含む)などの非資金項目を加えたキャッシュ・イン・フローなどにより、6,080百万円の資金の増加(前期比11.1%減)となった。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、事業ポートフォリオ改革に伴う資産の売却による収入を計上したが、設備投資に伴う支出などにより、145百万円の資金の減少(前期は4,103百万円の資金の減少)となった。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、株式の発行、借入金の返済などにより、5,870百万円の資金の増加(前期は3,053百万円の資金の減少)となった。